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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】粒状洗剤
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20220127BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 1/83 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20220127BHJP
   C11D 7/18 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D3/12
C11D1/83
C11D3/04
C11D3/395
C11D7/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017204700
(22)【出願日】2017-10-23
(65)【公開番号】P2019077760
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】出井 陽平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-194899(JP,A)
【文献】特開2005-120162(JP,A)
【文献】特表2007-530773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記粒子群(A)、下記粒子群(B)、下記粒子群(C)および下記粒子群(D)を含む、粒状洗剤であって、
前記粒状洗剤の総質量に対して、前記粒子群(A)の含有量が4~15質量%である、粒状洗剤。
粒子群(A):アニオン界面活性剤を40質量%以上含み、アニオン界面活性剤の含有量が他の界面活性剤の含有量より高い、アニオン界面活性剤含有粒子(a)の粒子群。
粒子群(B):ノニオン界面活性剤を30質量%以上、および水膨潤性粘土鉱物を25質量%以上含み、ノニオン界面活性剤の含有量が他の界面活性剤の含有量より高い、ノニオン界面活性剤含有粒子(b)の粒子群。
粒子群(C):過炭酸塩を含まず、水溶性無機塩を70質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)の群であり、平均粒子径が500μm以上である粒子群。
粒子群(D):過炭酸塩を80質量%以上含有する、過炭酸塩含有粒子(d)の粒子群。
【請求項2】
さらに、下記粒子群(E)を含む、請求項1に記載の粒状洗剤。
粒子群(E):界面活性剤および過炭酸塩のいずれも含まず、水溶性無機塩を80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(e)の群であり、平均粒子径が500μm未満である粒子群。
【請求項3】
水分含量が3質量%以下である、請求項1または2に記載の粒状洗剤。
【請求項4】
前記粒状洗剤の総質量に対して、ゼオライトの含有量が10質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒状洗剤。
【請求項5】
前記粒子群(D)の平均粒子径が500μm以上であり、粒子群(C)の平均粒子径と粒子群(D)の平均粒子径との差の絶対値が300μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒状洗剤。
【請求項6】
前記粒状洗剤の総質量に対して、前記粒子群(B)の含有量が2~15質量%であり、前記粒子群(C)の含有量が10~30質量%であり、かつ前記粒子群(D)の含有量が10~50質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒状洗剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状洗浄剤において、輸送コストや保管・陳列に要するスペースの削減、一般家庭における計量の手間の省略といった点から、界面活性剤の濃縮化および粉体の高嵩密度化が主流となっている。
界面活性剤の濃縮化および粉体の高嵩密度化を図る方法として、界面活性剤を高濃度で含有する顆粒同士をドライブレンドする方法が知られている。
特許文献1では、結晶性の強いアニオン界面活性剤を高濃度で含有する界面活性剤粒子を、ノニオン界面活性剤を主剤とする粒子と併用することにより、微粉を抑制し流動性を良好に維持する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-095997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗剤の保管場所や使用場所によっては高温条件で保存される場合もあり、粒状洗剤においても高温条件での保存に耐え得ることが求められる。
本発明者等の知見によれば、特許文献1の方法では、粒状洗剤が高温で保存されたときに流動性が低下し、スプーンで掬い難くなることがある。
本発明は、高温条件で保存されても流動性の低下が小さい粒状洗剤を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記粒子群(A)、下記粒子群(B)、下記粒子群(C)および下記粒子群(D)を含む、粒状洗剤。
粒子群(A):アニオン界面活性剤を40質量%以上含み、アニオン界面活性剤の含有量が他の界面活性剤の含有量より高い、アニオン界面活性剤含有粒子(a)の粒子群。
粒子群(B):ノニオン界面活性剤を30質量%以上、および水膨潤性粘土鉱物を25質量%以上含み、ノニオン界面活性剤の含有量が他の界面活性剤の含有量より高い、ノニオン界面活性剤含有粒子(b)の粒子群。
粒子群(C):過炭酸塩を含まず、水溶性無機塩を70質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)の群であり、平均粒子径が500μm以上である粒子群。
粒子群(D):過炭酸塩を80質量%以上含有する、過炭酸塩含有粒子(d)の粒子群。
[2] さらに、下記粒子群(E)を含む、[1]の粒状洗剤。
粒子群(E):界面活性剤および過炭酸塩のいずれも含まず、水溶性無機塩を80質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(e)の群であり、平均粒子径が500μm未満である粒子群。
[3] 水分含量が3質量%以下である、[1]または[2]の粒状洗剤。
[4] 粒状洗剤の総質量に対して、ゼオライトの含有量が10質量%以下である、[1]~[3]のいずれかの粒状洗剤。
[5] 前記粒子群(D)の平均粒子径が500μm以上であり、粒子群(C)の平均粒子径と粒子群(D)の平均粒子径との差の絶対値が300μm以下である、[1]~[4]のいずれかの粒状洗剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高温条件で保存されても流動性の低下が小さい粒状洗剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[水分含量の測定方法]
本明細書において、粒子群の水分含量および粒状洗剤の水分含量は、赤外線水分計(たとえば株式会社ケツト科学研究所製Kett水分計)により20分間130℃加熱後の蒸発揮発分として測定される値である。
[嵩密度の測定方法]
本明細書において、粒子群の嵩密度はJIS K3362(2008)に従って測定される値である。
【0008】
[平均粒子径の測定方法]
本明細書において、粒子群の平均粒子径は以下の篩い分け法で測定した値である。
平均粒子径は、目開き1400μm、1180μm、1000μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm及び75μmの10段の篩と、受け皿とを用いた分級操作により測定する。
分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1400μmの篩の上から100g/回の試料を入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩上及び受け皿上に残留した試料(分級サンプル)を篩目ごとに回収する。各粒子径の分級サンプルの質量を測定し、質量頻度(%)を算出する。
平均粒子径を求める場合は、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」とし、下記(1)式により平均粒子径(50質量%粒径)を求め、これを平均粒子径とする。
【0009】
【数1】
【0010】
(粒状洗剤)
本発明の粒状洗剤は、粒子群(A)と粒子群(B)と粒子群(C)と粒子群(D)を含む粒状の組成物である。
粒状洗剤中で、粒子群(A)を構成するアニオン界面活性剤含有粒子(a)と、粒子群(B)を構成するノニオン界面活性剤含有粒子(b)と、粒子群(C)を構成する水溶性無機塩含有粒子(c)と、粒子群(D)を構成する過炭酸塩含有粒子(d)はそれぞれ独立した粒子として存在している。
【0011】
<粒子群(A)>
粒子群(A)は、アニオン界面活性剤を40質量%以上含み、アニオン界面活性剤の含有量が他の界面活性剤の含有量より高い、アニオン界面活性剤含有粒子(a)(以下、単に「粒子(a)」ともいう。)の群である。
粒状洗剤に含まれる粒子群(A)は、1種でもよく、組成が異なる2種以上でもよい。1種の粒子群(A)を構成する粒子(a)の組成は均一であるものとする。
【0012】
アニオン界面活性剤としては、粒状洗剤に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、以下のものが挙げられる。
(1-1)α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩。
α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩(以下、α-SF塩ともいう。)の種類は特に制限されない。下記式(1)で表されるものが好ましい。
-CH(SOM)-COOR ・・・(1)
式(1)中、Rは、炭素数8~20、好ましくは炭素数14~16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数8~20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Rは炭素数1~6のアルキル基であり、炭素数1~3であることが好ましい。洗浄力がより向上することからメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Mは、対イオンを表し、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
【0013】
(1-2)炭素数8~18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(1-3)炭素数10~20のアルカンスルホン酸塩。
(1-4)炭素数10~20のα-オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(1-5)炭素数10~20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(1-6)炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均0.5~10モル付加した炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(1-7)炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均3~30モル付加した炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(1-8)炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比EO/PO=0.1/9.9~9.9/0.1)を、平均0.5~10モル付加した炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(1-9)炭素数10~20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(1-10)炭素数10~20のアルキル基を有するモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(1-11)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(1-12)炭素数10~20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。
アニオン界面活性剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
アニオン界面活性剤として、α-SF塩が好ましく、α-スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(MES)がより好ましい。
【0014】
粒子(a)は、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤を含んでもよい。例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、後述の(2-1)~(2-8)が挙げられる。
ノニオン界面活性剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0015】
カチオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
(3-1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3-2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3-3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12~26、好ましくは14~18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。なかでも、炭素数1~4、好ましくは1~2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2~4、好ましくは2~3のヒドロキシアルキル基;炭素数2~4、好ましくは2~3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
カチオン界面活性剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0016】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系の両性界面活性剤、アミドベタイン系、アミンオキサイド系の両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシドが挙げられる。
両性界面活性剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0017】
粒子(a)の総質量に対して、界面活性剤の合計の含有量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。上限は100質量%でもよい。上記範囲の下限値以上であると洗浄性能を発揮する上で必要な、粒子(a)の配合量をより少なくすることができ、発塵を抑制できる点で好ましい。
粒子(a)に含まれる、アニオン界面活性剤の合計量は、他の界面活性剤のそれぞれの合計量(例えばノニオン界面活性剤の合計量、カチオン界面活性剤の合計量、または両性界面活性剤の合計量)より多い。
粒子(a)の総質量に対して、アニオン界面活性剤の合計の含有量は、40質量%以上であり、50質量%以上が好ましい。上限は100質量%でもよい。上記範囲の下限値以上であると洗浄性能を発揮する上で必要な、粒子(a)の配合量をより少なくすることができ、発塵を抑制できる点で好ましい。
粒子(a)中の界面活性剤の合計の含有量に対して、アニオン界面活性剤の合計の含有量は、80~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。
【0018】
[他の任意成分]
粒子(a)は、必要に応じて、界面活性剤以外の他の任意成分をさらに含有してもよい。他の任意成分としては、粒状洗剤に配合される公知の成分を用いることができ、例えば有機ビルダー、水溶性無機塩、水不溶性無機塩、蛍光剤、ポリマー類、酵素安定剤、ケーキング防止剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0019】
有機ビルダーとしては、例えば、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等が挙げられる。
【0020】
水溶性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状ケイ酸ナトリウム、非晶質アルカリ金属ケイ酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属ケイ酸塩の複合体等が挙げられる。
なお、炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムとしては、無水物が好適に使用される。本明細書における「炭酸ナトリウム」、「硫酸ナトリウム」との記載は、無水物を指す。
【0021】
水不溶性無機塩としては、例えばアルミノ珪酸塩、粘土鉱物等が挙げられる。粘土鉱物としては、後述の水膨潤性粘土鉱物が例示できる。
アルミノケイ酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれも用いることができる。カチオン交換能の点から結晶性アルミノケイ酸塩が好ましい。結晶性アルミノケイ酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等のゼオライトが好適である。
【0022】
粒子(a)の総質量に対して、ゼオライトの含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。ゼロでもよい。上記範囲の上限値以下であると、過炭酸塩の保存安定性により優れる。
【0023】
粒子群(A)の水分含量は、7質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。下限は特に限定されない。実質的には0.5質量%以上が好ましい。上記範囲の上限値以下であると、過炭酸塩の保存安定性により優れる。
粒状洗剤に、組成が異なる2種以上の粒子群(A)が含まれる場合、粒子群(A)の水分含量の好ましい範囲は、それぞれの粒子群の水分含量についての好ましい範囲を意味する(粒子群(B)~(E)においても同様である。)。
【0024】
粒子群(A)の平均粒子径は250~550μmが好ましく、350~450μmがより好ましい。粒子群(A)の平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると粉立ちが少なく扱いやすく、上限値以下であると水への溶解性が良好である。
粒状洗剤に、組成が異なる2種以上の粒子群(A)が含まれる場合、粒子群(A)の平均粒子径の好ましい範囲は、それぞれの粒子群の平均粒子径についての好ましい範囲を意味する(粒子群(B)~(E)においても同様である。)。
【0025】
粒子群(A)の嵩密度は0.6~1.0g/cmが好ましく、0.6~0.7g/cmがより好ましい。粒子群(A)の嵩密度が上記範囲の下限値以上であると分級を抑制でき、上限値以下であると粒子群(B)の嵩密度との差が小さくなり混合性が良好になり、発塵を抑制できる。
粒状洗剤に、組成が異なる2種以上の粒子群(A)が含まれる場合、粒子群(A)の嵩密度の好ましい範囲は、それぞれの粒子群の嵩密度についての好ましい範囲を意味する(粒子群(B)~(E)においても同様である。)。
【0026】
粒状洗剤の総質量に対する粒子群(A)の合計の含有量は4~15質量%が好ましく、7~15質量%がより好ましく、9~12質量%がさらに好ましい。粒子群(A)の含有量が上記下限値以上であると粒子群(B)の付着性を抑制することができ、上記上限値以下であると粒状洗剤の発塵性および保存後の粒状洗剤の流動性の点で好ましい。
【0027】
粒子群(A)の製造方法は、粒子(a)中のアニオン界面活性剤の含有量を40質量%以上にできる方法であればよく、公知の方法を用いることができる。粒子群(A)として市販品を用いてもよい。
例えば、粒子中のアニオン界面活性剤がα-SF塩である粒子(a)の製造方法としては、α-SF塩を含有するペーストを調製する工程(ペースト化工程)、前記ペーストからフレークを調製する工程(フレーク化工程)、前記フレークからヌードルを調製する工程(ヌードル化工程)、前記ヌードルからペレットを調整する工程(ペレット化工程)、前記フレーク、ヌードル又はペレットを粉砕して粒子を得る工程(粉砕工程)を有する方法が挙げられる。
なお、上記(ヌードル化工程)及び(ペレット化工程)は、任意の工程であり省略してもよい。また、上記(粉砕工程)の後に、粒子群を分級する工程(分級工程)を設けてもよい。さらに、上記(フレーク化工程)、(ヌードル化工程)又は(ペレット化工程)の後、粉砕工程の前に、フレーク、ヌードル又はペレットを熟成する工程(熟成工程)を設けてもよい。
【0028】
<粒子群(B)>
粒子群(B)は、ノニオン界面活性剤を30質量%以上、および水膨潤性粘土鉱物を25質量%以上含み、ノニオン界面活性剤の含有量が他の界面活性剤の含有量より高い、ノニオン界面活性剤含有粒子(b)(以下、単に「粒子(b)」ともいう。)の群である。
粒状洗剤に含まれる粒子群(B)は、1種でもよく、組成が異なる2種以上でもよい。1種の粒子群(B)を構成する粒子(b)の組成は均一であるものとする。
【0029】
ノニオン界面活性剤としては、従来、粒状洗剤に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、以下のものが挙げられる。
(2-1)炭素数6~22、好ましくは8~18の脂肪族アルコールに炭素数2~4のアルキレンオキシドを平均3~30モル、好ましくは3~20モル、さらに好ましくは5~20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2-2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(2-3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
(2-4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(2-5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(2-6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(2-7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(2-8)グリセリン脂肪酸エステル。
ノニオン界面活性剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0030】
粒子(b)は、ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤を含んでもよい。例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらは、前記粒子(a)におけるアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤と同様のものが挙げられる。
【0031】
粒子(b)の総質量に対して、界面活性剤の合計の含有量は、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。上限は75質量%であり、60質量%以下が好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄性能の点で好ましい。上限値以下であると粒子(b)の流動性が良好となる。
粒子(b)に含まれる、ノニオン界面活性剤の合計量は、他の界面活性剤のそれぞれの合計量(例えばアニオン界面活性剤の合計量、カチオン界面活性剤の合計量、または両性界面活性剤の合計量)より多い。
粒子(b)の総質量に対して、ノニオン界面活性剤の合計の含有量は、30質量%以上であり、50質量%以上が好ましい。上限は75質量%であり、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると他の粒子群の発塵を良好に抑制でき、上限値以下であると他の成分とのバランスが良い。
粒子(b)中の界面活性剤の合計の含有量に対して、ノニオン界面活性剤の合計の含有量は、85~100質量%が好ましく、90~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。
【0032】
「水膨潤性粘土鉱物」とは、膨潤力が20mL/2g以上である粘土鉱物を意味する。ここで「膨潤力」は、第15改定 日本薬局方に定められたベントナイトの試験方法を準用し、水膨潤性粘土鉱物2gの膨潤体積(mL)で表される。
水膨潤性粘土鉱物としては、ベントナイト、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライト、スチブンサイト、ソーコナイト、ノントロナイト等のスメクタイト粘土、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性雲母などの天然粘土、また、これらの合成粘土、及びこれらの混合物が挙げられる。
水膨潤性粘土鉱物は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0033】
粒子(b)の総質量に対して、水膨潤性粘土鉱物の合計の含有量は、25質量%以上であり、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がさらに好ましい。上限は70質量%であり、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。上記範囲の下限値以上であるとノニオン界面活性剤の吸油能が良好になり、上限値以下であると、他の成分とのバランスが良い。
【0034】
粒子(b)は、必要に応じて、界面活性剤または水膨潤性粘土鉱物のいずれにも該当しない他の任意成分をさらに含有してもよい。他の任意成分としては、粒子(a)における他の任意成分(ただし、水膨潤性粘土鉱物は除く。)と同様のものが挙げられる。
【0035】
粒子群(B)の水分含量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。下限は特に限定されない。実質的には1質量%以上が好ましい。上記範囲の上限値以下であると、過炭酸塩の保存安定性により優れる。
粒子群(B)の平均粒子径は300~600μmが好ましく、400~500μmがより好ましい。粒子群(B)の平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると粉立ちが少なく扱いやすく、上限値以下であると水への溶解性が良好である。
粒子群(B)の嵩密度は0.5~0.9g/cmが好ましく、0.6~0.8g/cmがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると分級を抑制でき、上限値以下であると粒子群(A)の嵩密度との差が小さくなり混合性が良好になり、発塵を抑制できる。
粒状洗剤の総質量に対する粒子群(B)の合計の含有量は2~15質量%が好ましく、4~10質量%がより好ましい。粒子群(B)の含有量が上記下限値以上であると他の粒子群の発塵を抑制でき、上記上限値以下であると粒状洗剤の保存後の流動性の点で好ましい。
【0036】
粒子群(B)の製造方法は、公知の方法を用いることができる。粒子群(B)として市販品を用いてもよい。
例えば、水膨潤性粘土鉱物および必要に応じた他の任意成分を撹拌して混合し、そこへノニオン界面活性剤を添加し、撹拌造粒する方法で製造できる。
【0037】
<粒子群(C)>
粒子群(C)は、過炭酸塩を含有せず、水溶性無機塩を70質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(c)(以下、単に「粒子(c)」ともいう。)の群であり、平均粒子径が500μm以上の粒子群である。
粒状洗剤に含まれる粒子群(C)は、1種でもよく、組成が異なる2種以上でもよい。1種の粒子群(C)を構成する粒子(c)の組成は均一であるものとする。
【0038】
水溶性無機塩としては、前記粒子(a)において、他の任意成分として挙げた水溶性無機塩と同じものが挙げられる。
粒子(c)は、水溶性無機塩およびバインダーを含む造粒物が好ましい。造粒物とすることにより、平均粒子径と嵩密度の制御が容易になる。
バインダーとしては有機水溶性高分子化合物又は無機水溶性高分子化合物が用いられる。有機水溶性高分子化合物と無機水溶性高分子化合物を併用してもよい。
【0039】
[有機水溶性高分子化合物]
有機水溶性高分子化合物は、40℃において水100gに対して0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する高分子化合物である。有機水溶性高分子化合物は1種でもよく2種以上でもよい。
有機水溶性高分子化合物としては、天然高分子化合物、半合成高分子化合物及び合成高分子化合物等が挙げられる。具体的にはビニル系高分子化合物、多糖類、ポリエーテル系高分子化合物、ポリエステル系高分子化合物、ペプチド系高分子化合物、ポリウレタン、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0040】
ビニル系高分子化合物としては、ビニル系ポリカルボン酸塩類(アクリル酸系高分子化合物)、ビニル系ポリスルホン酸塩、ポリビニルピリジン塩、ポリビニルイミダゾリウム塩等が挙げられる。多糖類としては、各種天然又は合成多糖類が挙げられる。
ポリエステル系高分子化合物としては、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール単位とのコポリマー又はターポリマー等が挙げられる。
ペプチド系高分子化合物又はその誘導体としては、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、ポリリジン、ポリアルギニン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリウレタンとしては、水溶性ポリウレタン等が挙げられる。
また、ポリエチレングリコール等のその他の水溶性高分子化合物も用いることができる。
【0041】
特に、アニオン性、両性、ノニオン性等の親水性官能基を有する水溶性有機高分子化合物をバインダーとして用い、水の存在下で、水溶性無機塩を造粒すると、水溶性無機塩が水和しやすい点で好ましい。
アニオン性基を有する水溶性有機高分子化合物としては、カルボキシル基、スルホ基を有する高分子化合物、アニオン性基を有する水溶性多糖類が挙げられる。カルボキシル基を有する水溶性有機高分子化合物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸、メタクリル酸、フマル酸、2-ヒドロキシアクリル酸、シトラコン酸等のモノマーを重合させてなるポリマー及びその塩、並びにこれらのモノマーとその他のビニル系モノマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリカルボン酸(塩)が挙げられる。スルホ基を有する水溶性高分子化合物としては、例えば、アクリルアミドプロパンスルホン酸、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のモノマーを重合してなるモノマー及びその塩、並びにこれらのポリマーとその他のビニル系ポリマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリスルホン酸(塩)等が挙げられる。アニオン性基を有する水溶性多糖類としては、例えば、ポリウロン酸塩、アルギン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、カラゲーナン、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0042】
両性水溶性高分子化合物としては、例えば、アニオン性基を有するビニル系単量体とカチオン性基を有するビニル系単量体との共重合体、カルボキシベタイン基又はスルホベタイン基を有するビニル系の両性高分子が挙げられ、具体的には、アクリル酸/ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、アクリル酸/ジエチルアミノエチルメタクリル酸共重合体等が挙げられる。
ノニオン性水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、ポリエチレングリコール等の合成高分子化合物、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストラン、プルラン等の多糖類が挙げられる。
【0043】
[無機水溶性高分子化合物]
無機水溶性高分子化合物は、40℃において水100gに対して0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する化合物である。
このような無機水溶性高分子化合物であれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。無機水溶性高分子化合物としては、金属アルコキシドの前駆体化合物を含む溶液を加水分解・縮重合反応することによって得られるものが好ましく、珪酸塩がより好ましく、珪酸ナトリウムが特に好ましい。
【0044】
水溶性無機塩およびバインダーを含む造粒物は、水溶性無機塩の粒子にバインダーおよび水を添加し、公知の造粒法を用いて造粒することにより製造できる。
粒子(c)の総質量に対して、有機水溶性高分子化合物は0.1~10質量%が好ましく、0.5~8質量%がより好ましい。
粒子(c)の総質量に対して、無機水溶性高分子化合物は、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましい。
【0045】
粒子(c)の総質量に対して、水溶性無機塩の含有量は70質量%以上であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。100質量%でもよい。
粒子群(C)の水分含量は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。ゼロでもよい。上記範囲の上限値以下であると、過炭酸塩の保存安定性により優れる。
粒子群(C)の平均粒子径は500μm以上であり、700~1100μmが好ましく、800~1000μmがより好ましい。粒子群(C)の平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると、粒状洗剤の流動性の向上効果に優れ、上限値以下であると水への溶解性に優れる。
粒子群(C)の嵩密度は0.9~1.3g/cmが好ましく、1.0~1.2g/cmがより好ましい。上記範囲の下限値以上であると流動性が良好になり、上限値以下であると分級を抑制できる。
粒状洗剤の総質量に対する粒子群(C)の合計の含有量は10~30質量%が好ましく、15~25質量%がより好ましい。粒子群(C)の含有量が上記下限値以上であると粒状洗剤の保存後の流動性の点で好ましく、上記上限値以下であると他の粒子群とのバランスが良い。
【0046】
<粒子群(D)>
粒子群(D)は、過炭酸塩を80質量%以上含有する過炭酸塩含有粒子(d)(以下、単に「粒子(d)」ともいう。)の群である。
過炭酸塩は、水に溶解したときに過酸化水素を発生し、漂白効果に寄与する。過炭酸塩の表面に水分や他の洗剤成分等が接触すると、過炭酸塩の分解が生じる場合があるため、これを防止するために被覆等の処理を施すことが好ましい。被覆が施された形態の粒子としては、既に提案されている酸素系漂白剤粒子を用いることができる。例えば特許第2918991号公報に記載の漂白剤粒子を挙げることができる。該漂白剤粒子は、流動状態を保った過炭酸ナトリウム粒子にホウ酸水溶液とケイ酸アルカリ金属塩水溶液とを別々に噴霧して乾燥してなる造粒物である。従来知られているキレート剤等の安定化剤を被覆剤と併用してもよい。
【0047】
粒子(d)の総質量に対して、過炭酸塩の含有量は80質量%以上であり、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。上限は100質量%でもよいが、過炭酸塩の保存安定性の点からは95質量%以下が好ましい。
粒子群(D)の水分含量は、粒子(d)の安定性の点から、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。ゼロでもよい。
【0048】
粒子群(D)の平均粒子径は500μm以上であり、500~900μmが好ましく、600~800μmがより好ましい。粒子群(D)の平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると、粒子(d)の安定性に優れ、上限値以下であると水への溶解性に優れる。
粒状洗剤中に共存する、粒子群(C)の平均粒子径と粒子群(D)の平均粒子径との差の絶対値は300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。ゼロでもよい。この範囲内であると粒子群(C)を用いることによる流動性の向上効果に優れる。粒状洗剤に、粒子群(C)または粒子群(D)の少なくとも一方が2種以上含まれる場合、粒子群(C)の平均粒子径と粒子群(D)の平均粒子径との差の最も大きい値が上記の範囲内であればよい。
粒子群(D)の嵩密度は0.7~1.1g/cmが好ましく、0.8~1.0g/cmがより好ましい。上記範囲の下限値以上かつ、上限値以下であると他の粒子群の嵩密度との差が小さく分級が起こりにくい。
粒状洗剤の総質量に対する粒子群(D)の合計の含有量は10~50質量%が好ましく、20~40質量%がより好ましい。粒子群(D)の含有量が上記下限値以上であると洗浄性能の点で好ましく、上記上限値以下であると他の粒子群とのバランスが良い。
【0049】
<粒子群(E)>
粒子群(E)は、界面活性剤および過炭酸塩を含有せず、水溶性無機塩を70質量%以上含有する水溶性無機塩含有粒子(e)(以下、単に「粒子(e)」ともいう。)の群であり、平均粒子径が500μm未満である粒子群である。
粒状洗剤に含まれる粒子群(E)は、1種でもよく、組成が異なる2種以上でもよい。1種の粒子群(E)を構成する粒子(e)の組成は均一であるものとする。
【0050】
水溶性無機塩としては、前記粒子(a)において、他の任意成分として挙げた水溶性無機塩と同じものが挙げられる。
粒子(e)は、粒子(c)と同様のバインダーを含む造粒物であってもよいが、水溶性無機塩の結晶からなる粒子が好ましい。
粒子(e)の総質量に対して、水溶性無機塩の含有量は80質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。100質量%でもよい。
粒子群(E)の水分含量は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。ゼロでもよい。上記範囲の上限値以下であると、過炭酸塩の保存安定性により優れる。
【0051】
粒子群(E)の平均粒子径は500μm未満であり、150~400μmが好ましく、200~350μmがより好ましい。粒子群(E)の平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると、粒状洗剤の流動性の点で好ましく、上限値以下であると水への溶解性に優れる。
粒子群(E)の嵩密度は0.8~1.3g/cmが好ましく、0.9~1.2g/cmがより好ましい。上記範囲の下限値以上かつ、上限値以下であると他の粒子群の嵩密度との差が小さく分級が起こりにくい。
粒状洗剤の総質量に対する粒子群(E)の合計の含有量は15~55質量%が好ましく、25~45質量%がより好ましい。粒子群(E)の含有量が上記下限値以上かつ、上記上限値以下であると他の粒子群とのバランスが良い。
【0052】
<任意成分>
粒状洗剤は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、粒子群(A)~(E)のいずれにも該当しない任意成分を含有してもよい。例えば漂白活性化剤、漂白活性化触媒、酵素、消泡剤、表面コート剤(ゼオライト等)、香料、色素等が挙げられる。
これらの任意成分は、その他の粒子群として粒子群(A)~(E)と粉体混合してもよく、例えば噴霧により粒子群(A)~(E)に付着させてもよい。
粒状洗剤の総質量に対する、任意成分の合計の含有量は0~10質量%であり、0~8質量%が好ましく、0~6質量%がより好ましく、0~4質量%が特に好ましい。
【0053】
粒状洗剤の水分含量は3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下がさらに好ましい。上記範囲の上限値以下であると過炭酸塩の保存安定性に優れる。下限は粒状洗剤の溶解性の点から0.5質量%以上が好ましく、0.75質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。
粒状洗剤の総質量に対して、ゼオライトの含有量は、10質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。上記範囲の上限値以下であると過炭酸塩の保存安定性に優れる。下限は洗浄性能の点から1.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、4.5質量%以上がさらに好ましい。
【0054】
<粒状洗剤の製造方法>
粒状洗剤は、粒子群(A)と、粒子群(B)と、粒子群(C)と、粒子群(D)と、必要に応じてその他の粒子群を、所定の割合で粉体混合することにより製造できる。
粒子群の混合方法は、公知の粉体混合方法を用いることができ、例えば、従来公知の粉体混合装置(例えば水平円筒型転動混合機やV型ミキサー)に、全粒子群を投入して混合する方法が挙げられる。各粒子群の投入は、2種以上を同時に投入してもよく、1種ずつ投入してもよく、これらを組み合わせてもよい。全粒子群を混合した後に、香料等の液状成分を噴霧等により添加し、混合してもよい。
【0055】
<粒状洗剤の使用方法>
粒状洗剤は、被洗物の洗濯に用いることができる。粒状洗剤を用いた被洗物の洗濯方法としては、例えば、粒状洗剤の濃度が0.02~2質量%(200~20000ppm)となるように50~5000倍の水で希釈した洗浄液を用い、浴比が3~50倍となるように被洗物を投入した洗濯機で被洗物を洗浄したり、洗浄液に被洗物を浸け置く等の方法等、従来公知の洗浄方法が挙げられる。
被洗物としては、例えば、衣料、布帛、カーテン、シーツ等の繊維製品が挙げられる。
【実施例
【0056】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0057】
(使用原料)
<粒子群(A)>
粒子群(A-1):製造例1で製造したアニオン界面活性剤含有粒子の群。アニオン界面活性剤の含有量83質量%、水分含量5質量%、平均粒子径370μm、嵩密度0.68g/cm
粒子群(A-2):炭素数12~14のアルキル硫酸エステル塩粒子(商品名「Sulfopon1214G」BASF社製)の群。アニオン界面活性剤の含有量99質量%以上、水分含量1質量%未満、平均粒子径440μm、嵩密度0.64g/cm
【0058】
<粒子群(A’)>
粒子群(A’-1):製造例2で製造したアニオン界面活性剤含有粒子の群。アニオン界面活性剤の含有量15.5質量%、ノニオン界面活性剤の含有量4.2質量%、水分含量7.5質量%、平均粒子径380μm、嵩密度0.84g/cm
【0059】
<粒子群(B)>
粒子群(B-1):製造例3で製造したノニオン界面活性剤含有粒子の群。ノニオン界面活性剤の含有量50質量%、水膨潤性粘土鉱物の含有量40質量%、水分含量4質量%、平均粒子径480μm、嵩密度0.68g/cm
粒子群(B-2):製造例4で製造したノニオン界面活性剤含有粒子の群。ノニオン界面活性剤の含有量30質量%、水膨潤性粘土鉱物の含有量60質量%、水分含量6質量%、平均粒子径430μm、嵩密度0.63g/cm
【0060】
<粒子群(C)>
粒子群(C-1):芒硝顆粒の群(商品名「Detergent White Speckle」Zhejiang HANSHA Detergents社製)、硫酸ナトリウムの含有量98質量%、珪酸ナトリウムの含有量1質量%、カルボキシメチルセルロースの含有量1質量%、水分含量1質量%未満、平均粒子径880μm、嵩密度1.1g/cm
【0061】
<粒子群(D)>
粒子群(D-1):過炭酸ナトリウム粒子の群(商品名「SPCC」、Zhejiang Jinke Chemicals社製、コーティングあり)、過炭酸ナトリウムの含有量82.5質量%、水分含量1質量%、平均粒子径830μm、嵩密度0.94g/cm
粒子群(D-2):過炭酸ナトリウム粒子の群(商品名「SPC」、Zhejiang Jinke Chemicals社製、コーティングなし)、過炭酸ナトリウムの含有量87質量%、水分含量1.5質量%、平均粒子径690μm、嵩密度0.91g/cm
【0062】
<粒子群(E)>
粒子群(E-1):炭酸ナトリウム粒子の群(商品名「粒灰」旭硝子社製)、炭酸ナトリウム含有量99質量%、水分含量1質量%未満、平均粒子径280μm、嵩密度0.95g/cm
粒子群(E-2):炭酸水素ナトリウム粒子の群(商品名「炭酸水素ナトリウム」青島海湾社製)、炭酸水素ナトリウム含有量99質量%、水分含量1質量%未満、平均粒子径250μm、嵩密度1.2g/cm
【0063】
<その他成分>
ゼオライト:A型ゼオライト、商品名「シルトンB」水澤化学社製、純分80質量%。
酵素:「サビナーゼ12T」/「カンナーゼ24T」/「LIPEX100T」/「セルクリーン4500T」(いずれも商品名、ノボザイムズ社製)=4/4/1/1(質量比)の混合物。
蛍光剤:「チノパールCBS-X」(ジスチリルビフェニル誘導体、水溶性蛍光剤)/「チノパールAMS-GX」(ビス(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体、準分散性蛍光剤)(いずれも商品名、BASF社製)=1/1(質量比)の混合物。
香料:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
【0064】
(製造例1:粒子群(A-1)の調製)
[α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩ペーストの製造]
パルミチン酸メチル(商品名「パステルM-16」ライオン社製)と、ステアリン酸メチル(商品名「パステルM-180」ライオン社製)とを、80:20(質量比)となるように混合し、脂肪酸メチルエステル混合物とした。
攪拌機を備えた容量1kLの反応装置に、前記脂肪酸メチルエステル混合物330kgを入れた。撹拌しながら、着色抑制剤として無水硫酸ナトリウムを、脂肪酸メチルエステル混合物に対して5質量%となる量で投入した。反応温度80℃で攪拌を継続しながら、窒素ガスで4容量%に希釈したSOガス(スルホン化ガス)110kg(脂肪酸メチルエステル混合物に対して1.1倍モル)をバブリングしながら3時間かけて等速で吹き込んだ。さらに80℃に保ちながら30分間熟成を行った。
エステル化槽に移送後、メタノール14kgを供給し、80℃においてエステル化反応を行った。更に80℃に保ちながら30分間熟成を行った。
さらに、反応装置から抜き出したエステル化物を、ラインミキサーを用いて当量の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより連続的に中和した。
ついで、この中和物を漂白剤混合ラインに注入し、35%過酸化水素水を、AI(有効成分:α-スルホ脂肪酸アルキルエステル金属塩)に対して純分換算で1~2質量%となる量で供給し、80℃に保ちながら混合することにより漂白し、α-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを得た。
【0065】
得られたα-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペーストを、真空薄膜蒸発機(伝熱面:4m、Ballestra社製)に200kg/時間で導入し、内壁加熱温度100~160℃、真空度0.01~0.03MPaにて濃縮し、温度100~130℃の溶融物として取り出した。
【0066】
ついで、この溶融物をベルトクーラー(日本ベルティング社製)を用いて、20~30℃まで0.5分間で冷却し、さらに解砕機((株)日本ベルティング製)を用いてα-スルホ脂肪酸アルキルエステル塩フレークを得た。
【0067】
上記フレーク1kgを30℃、28日間熟成処理(結晶化処理)し、得られたMESフレークをスピードミル(粉砕条件:回転数1500rpm、スクリーン孔径1.0mm、粉砕機内部の温度25℃)で粉砕してα-スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(MES)含有粒子群を得た。該粒子とA型ゼオライトとを容器回転式混合機に投入し、混合して粒子群(A-1)を得た。該粒子群中のα-スルホ脂肪酸メチルエステル塩の含有量は、83質量%であった。ゼオライト含有量は、12質量%であった。
【0068】
(製造例2:粒子群(A’-1)の調製)
表1に示す組成に従い、以下の工程(1)~(3)により粒子群(A’-1)を製造した。
表1に示す原料は以下の通りである。
MES:脂肪酸残基の炭素数16:炭素数18=83:17(質量比)の脂肪酸メチルエステルスルフォネートのナトリウム塩(ライオン社製、AI=70質量%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)。
LAS-Na:直鎖アルキル(炭素数10~14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名「ライポンLH-200」ライオン社製、LAS-H純分96質量%)を界面活性剤組成物調製時に48質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和する)。
AE(C12EO7):ノニオン界面活性剤、商品名「LMAO-90」ライオンケミカル社製)、オキシエチレン基の平均付加モル数が7であるポリオキシエチレンラウリルエーテル。
石鹸:炭素数14~20の脂肪酸ナトリウム(ライオン社製、純分66質量%、脂肪酸組成;C14=1.0質量%、C16=43.3質量%、C18F0(ステアリン酸)=6.6質量%、C18F1(オレイン酸)=41.6質量%、C18F2(リノール酸)=7.2質量%、C20=0.3質量%、分子量;291)。
炭酸ナトリウム:商品名「粒灰」旭硝子社製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm
炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm、旭硝子社製。
芒硝:硫酸ナトリウム:商品名「中性無水芒硝A0」四国化成工業社製。
ゼオライト:A型ゼオライト、商品名「シルトンB」水澤化学社製、純分80質量%。
PA:ポリアクリル酸ナトリウム、商品名「ソカランPA30CL」BASF社製。
蛍光剤:「チノパールCBS-X」(ジスチリルビフェニル誘導体、水溶性蛍光剤)/「チノパールAMS-GX」(ビス(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体、準分散性蛍光剤)(いずれも商品名、BASF社製)=1/1(質量比)の混合物。
【0069】
【表1】
【0070】
・工程(1)
原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られたMESの水性スラリー(水分含量25質量%に調製した)に、LAS-Naの一部(MESに対して25質量%の量)を投入し、水分含量が11質量%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、MESとLAS-Naとの混合濃縮物を得た。
【0071】
・工程(2)
撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を80℃に調整した。これに前記混合濃縮物(MESと上記LAS-Naの一部)を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてPAを添加した。さらに10分間撹拌した後、ゼオライトの一部(下記表1中に記載の配合量から、下記工程(3)で投入する捏和時添加用1.0質量%、粉砕助剤用5.0質量%を除いた量)、炭酸ナトリウム及び芒硝を添加した。さらに20分間撹拌して水分38質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm、水分6質量%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0072】
・工程(3)
得られた噴霧乾燥粒子、工程(1)で得られた混合濃縮物、1.0質量%のゼオライト、蛍光剤、及び水を連続ニーダー(KRC-S12型、栗本鐵工所社製)に投入し、ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分7質量%の捏和物を得た(捏和処理)。該捏和物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル株式会社製、EXDFJS-100型)で押し出しつつ、カッターで切断(カッター周速は5m/s)し、長さ5~30mm程度のペレット状成形物を得た。
次いで、得られたペレット状成形物に、粉砕助剤としてのゼオライト5.0質量%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で、直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン社製、DKA-3)を用いて粉砕し(スクリーン穴径:1段目12mm/2段目7mm/3段目3mm、回転数:1段目4700rpm/2段目4700rpm/3段目4700rpm)、粒子群(A’-1)を得た。
【0073】
(製造例3、4:粒子群(B-1)、(B-2)の調製)
表2に示す組成に従い、以下の方法で粒子群(B-1)、(B-2)を製造した。
表2に示す原料は以下の通りである。
ノニオン界面活性剤:商品名「EMALEX707」日本エマルジョン社製、オキシエチレン基の平均付加モル数が7であるポリオキシエチレンラウリルエーテル。
炭酸ナトリウム:商品名「粒灰」旭硝子社製。
ベントナイト:商品名「Laundrosil PRW414」ズードケミー社製。
【0074】
【表2】
【0075】
表2に示す配合成分のうち、ベントナイトおよび炭酸ナトリウムを、鋤刃状ショベルを具備し、ショベル-壁面間クリアランスが5mmのレーディゲミキサー(マツボー社製、M20型)に投入(充填率50容積%)し、主軸200rpm、チョッパー200rpmの撹拌を開始した。撹拌開始後30秒後にノニオン界面活性剤を2分で添加して、ジャケット温度30℃の条件で撹拌造粒して目的の粒子群を得た。
【0076】
(実施例1~17、比較例1~3)
表3、4に示す組成のうち、香料以外の成分を、容器回転式円筒型混合機に15kg/minの速度で同時に投入し、混合した。この容器回転式円筒型混合機は、容器が直径0.7m、長さ1.4m、傾斜角3.0°、出口堰高さ0.15m、内部混合羽根が高さ0.1m、長さ1.4mの平羽根を90°毎に4枚取り付けた仕様のものである。また、内部混合羽根の回転数はフルード数をFr=0.2になるように調整した。
容器を回転させて流動化した粒子群に対し、香料を噴霧し、1分間転動して粒状洗剤を得た。
【0077】
(評価方法)
実施例および比較例で得た粒状洗剤について、下記の方法で評価を行った。結果を表3、4に示す。
【0078】
<保存試験>
各例で製造した粒状洗剤について、下記の保存試験を行った。
外側からコートボール紙(坪量:350g/m)、ワックスサンド紙(坪量:30g/m)、クラフトパルプ紙(坪量:70g/m)の3層からなる紙を用いて、長さ15cm×巾9.3cm×高さ18.5cmの箱を作製し、この箱に粒状洗剤1.0kgを入れた。粒状洗剤を入れた箱に封をして恒温恒湿室で30日間保存した。恒温恒湿室は、45℃、75%RH8時間と、25℃、55%RH16時間との繰り返し運転を行った。30日間の保存後、恒温恒湿室から箱を取り出し、温度25℃、相対湿度60%で6時間放置した。
【0079】
<流動性の評価>
[安息角の測定]
流動性の評価は、下記方法により安息角(°)を測定することにより行った。
角度の目盛りが記入された横蓋付のアクリル製測定器(高さ10cm×奥行10cm×幅3cm)を平らな場所に置き、測定器の横蓋(高さ10cm×幅3cm側の一側面)を閉じた状態で、測定器の上面からの高さが1~2cmの位置より、上記の保存試験終了後の粒状洗剤を測定器内へそれぞれ流し入れた。
粒状洗剤が、測定器の上面からの高さが0~1cm程度超えて山盛り状態になった時点で横蓋を静かに開け、粒状洗剤重力により自然に排出させた。
排出終了後、測定器内に残った粒状洗剤の表面(傾斜面)と、水平面とのなす角度(傾斜角)を前記目盛りから読み取った。前記操作を3回行い、その平均値を安息角の値とした。下記の評価基準に基づいて流動性を評価した。スプーンで掬い易い点で、AまたはBが好ましく、Aが特に好ましい。
なお、前記アクリル製測定器は、横蓋が高さと幅のなす側面の一方に設けられ、角度の目盛りが高さと奥行きのなす側面に記入されているものを使用した。
評価基準
A:安息角が40°以下。
B:安息角が40°超、50°以下。
C:安息角が50°超、60°以下。
D:安息角が60°超。
【0080】
<発塵抑制性>
下記の方法で発塵の発生量を調べた。
高さ40cm×幅30cm×奥行き30cmの容器の上部に、該容器内で発生する粒状洗剤の微粉末(粉塵)の発生量を測定可能なLD-3型デジタル粉塵計(商品名、柴田科学機器工業社製)を設置した。
前記容器内の雰囲気を温度25℃、相対湿度60%に保ち、容器上部に設けられた試料投入口から容器内へ粒状洗剤50gを落下させ、これと同時に、前記デジタル粉塵計のスイッチを入れ、5分間静置後の粉塵カウント数を読み取った。
下記の評価基準に基づいて発塵抑制性を評価した。スプーンで掬い易い点で、AまたはBが好ましく、Aが特に好ましい。
評価基準
A:粉塵カウント数が100以下。
B:粉塵カウント数が100超、300以下。
C:粉塵カウント数が300超、500以下。
D:粉塵カウント数が500超。
【0081】
<過炭酸塩の保存安定性>
[過炭酸ナトリウムの残存率の測定]
上記の保存試験終了後、箱内の粒状洗剤全体を充分に混合した後、下記の手順で、粒状洗剤をサンプリングし、過炭酸ナトリウムの残存率を測定した。
粒状洗剤が入った箱を水平台に静置し、スプーンを用いて中心部からスプーンすり切り1杯(約50g)の粒状洗剤を掬った。掬った粒状洗剤(試料)から約25gを、10mgまで精秤した。
精秤した試料約25gを1Lビーカーに入れ、33質量%酢酸水溶液200mLを加え、マグネチックスターラーで攪拌して溶解させた。次いで10質量%ヨウ素カリウム水溶液40mLを添加し、得られた溶液を、1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した。途中、溶液が無色になったところで飽和モリブデン酸アンモニウムを2~3滴加え、溶液が淡黄色になったところでさらに滴定を続け、再び溶液が無色になった時点で滴定を終了した。滴定開始から滴定終了までに滴下した1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量p(mL)から、下記式により有効酸素量(%)を求めた。
有効酸素量(%)={f×p×(1/2)×(1/1000)×16}/g×100〔式中、fは1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター、pは1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液滴定量(単位:mL)、gは試料の質量(単位:g)。〕
【0082】
試料の残りの半量約25gも上記方法にて有効酸素量を求めた。これらの平均値を試料の有効酸素量とした。
別途、粒状洗剤の製造に用いた粒子群(D)の有効酸素量(%)を、上記と同様の算出方法で求めた。
これらの有効酸素量から、下記式により過炭酸ナトリウムの残存率(%)を求めた。
過炭酸ナトリウムの残存率(%)=(試料の有効酸素量(%)/粒子群(D)の有効酸素量(%))×100(%)
下記の評価基準に基づいて過炭酸塩の保存安定性を評価した。AまたはBが好ましく、Aが特に好ましい。
評価基準
A:過炭酸ナトリウムの残存率が70%超。
B:過炭酸ナトリウムの残存率が55%超~70%以下。
C:過炭酸ナトリウムの残存率が40%超~55%以下。
D:過炭酸ナトリウムの残存率が40%以下。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
表3、4に示すように、実施例1~17の粒状洗剤はいずれも、発塵抑制性に優れ、スプーンによる掬い易さに優れる。また高温の過酷な条件で保存された場合も流動性が良好であり、スプーンによる掬い易さが維持された。さらに高温の過酷な条件で保存された場合も過炭酸塩の性能が良好に維持された。
特に、粒子群(A-1)は、アニオン界面活性剤のなかでも、結晶性が高いα-SF塩を高濃度で含むため、単独では経時で粒子が脆くなり、発塵や流動性の低下が生じやすいが、実施例1~3、5~17では発塵および流動性の低下が抑制された。
【0086】
一方、粒子群(C)を含まない比較例1は、実施例3に比べて流動性が大きく低下した。
粒子群(B)を含まない比較例2は、実施例3に比べて発塵抑制性が大きく低下し、流動性も劣る。
粒子群(B)を含まず、かつ粒子群(A)のアニオン界面活性剤の含有量が低い比較例3は、過炭酸塩の保存安定性が大きく低下し、流動性および発塵抑制性も劣る。
比較例3は、噴霧乾燥粒子を含む粉体原料、および液体原料を混練機にて圧縮混合しその後粉砕する方法(捏和粉砕法)で粒子群(A)を製造した例である。噴霧乾燥装置、混練機および粉砕機への原料付着の防止目的としてゼオライトが組成に含まれており、液体原料由来の水分も含まれている。比較例3の粒状洗剤は、かかるゼオライトや水分が比較的多く含まれることが、過炭酸塩の保存安定性の低下を引き起こすと考えられる。