(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】車両用前照灯の制御装置、車両用前照灯、及び車両用前照灯の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B60Q1/14 A
(21)【出願番号】P 2017218152
(22)【出願日】2017-11-13
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】横山 功
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-184595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置であって、
対向車両の動きを示す情報である動き情報を求め、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、
前記遮光範囲導出部が導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部と
を備え
、
前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、
対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い、車両用前照灯の制御装置。
【請求項2】
カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、自車両の進行方向と前記自車両と前記対向車両とを結んだ線とのなす角度を求める車両情報取得部を備え、
前記遮光範囲導出部は、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報から、前記動き情報を求める、請求項
1に記載の車両用前照灯の制御装置。
【請求項3】
前記車両情報取得部は、前記自車両の速度を示す情報をさらに取得し、
前記遮光範囲導出部は、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報と、前記自車両の速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を導出する、請求項
2に記載の車両用前照灯の制御装置。
【請求項4】
車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置であって、
対向車両の動きを示す情報である動き情報を求め、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、
前記遮光範囲導出部が導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部と、
カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、前記自車両の進行方向と、前記自車両と前記対向車両とを結んだ線とのなす角度と、前記自車両の速度を示す情報とを取得する車両情報取得部
とを備え、
前記遮光範囲導出部は、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報から、前記動き情報を求め、前記自車両の速度が所定の閾値未満である場合には、前記動き情報に基づいて、遮光範囲を導出し、前記自車両の速度が所定の閾値以上である場合には、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報と、前記自車両の速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を導出する
、車両用前照灯の制御装置。
【請求項5】
前記遮光範囲導出部は、前記自車両に対する前記対向車両の相対速度と遮光範囲とを関連付けた定数テーブルを記憶し、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報と、前記自車両の速度を示す情報とに基づいて、前記自車両に対する前記対向車両の相対速度を導出し、送出した前記相対速度に関連付けられている遮光範囲を取得する、請求項
4に記載の車両用前照灯の制御装置。
【請求項6】
前記動き情報は、角速度である、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の車両用前照灯の制御装置。
【請求項7】
車両用前照灯であって、
対向車両の動きを示す情報である動き情報を求め、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、
前記遮光範囲導出部が導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部と
を備え
、
前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、
対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い、車両用前照灯。
【請求項8】
車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御方法であって、
対向車両の動きを示す情報である動き情報を求めるステップと、
求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出するステップと、
前記遮光範囲を導出するステップで導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御するステップと、
を有
し、
前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、
対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い、車両用前照灯の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯の制御装置、車両用前照灯、及び車両用前照灯の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の前照灯は、例えば、走行ビーム(いわゆるハイビーム)とすれ違いビーム(いわゆるロービーム)の2つの機能を有する。
近年、ADB(Adaptive Driving Beam)が開発され、車両の前方に存在する先行車あるいは対向車の部分を遮光して、走行ビームの領域を保持する機能を有するランプが登場した。
ADBでは、車両の前方をカメラによって撮影し、遮光すべき対象物を検出した場合に、LCM(Light Control Module)へ信号を送り、当該対象物に光が到達しないように遮光させる。
【0003】
車両の前照灯に関して、先行車にグレアを与えにくくする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この技術では、車両用前照灯の点灯制御装置は、カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、前方車両の位置情報を求める車両検出部と、自車両から見た前方車両の左右方向の移動を検出する前方車両移動検出部と、車両用前照灯の遮光範囲を、車両検出部により求められた位置情報に基づいて求め、前方車両移動検出部により自車両から見た前方車両の左右方向の移動が検出されると、求められた車両用前照灯の遮光範囲を、自車両の向きに対する前方車両の相対角度に応じて補正する遮光範囲決定部と、求められた遮光範囲に従い車両用前照灯の光照射状態を制御する配光制御部を備える。
この点灯制御装置によれば、前方車両が自車両に対して左右方向に移動する際に、前方車両にグレアを与えにくくすることができる。前方車両が左右方向に移動することで自車両の向きと前方車両の向きの相対的角度が変わると、自車両から見て前方車両にグレアを与える範囲が変わるが、自車両の向きに対する前方車両の相対角度に応じて遮光範囲を補正すること(追加補正)で、前方車両にグレアを与えにくくし、グレアによる前方車両の運転者等の不快感を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した技術では、車両の前方をカメラによって撮影してから、遮光すべき対象物に光が到達しないように遮光させるまでに時間を要し、遮光した際には、検知した位置には、対象物が存在しておらず、光が到達する範囲に対象物がいる状態となっている場合がある。この場合、対象物が対向車両である場合には、その対向車のドライバーにグレアを与えてしまう。
自車両から対向車両を見た場合には、その対向車両は、相対速度で移動しているため、自車両から前方車両を見た場合と比較して、高速で移動しているように見える。したがって、対向車両に対して、遮光した際には、検知した位置には、対象物が存在しておらず、光が到達する範囲に対象物がいる状態となっていることが多い。
仮に、遮光する範囲にマージンを設けることで、遮光する範囲を大きくした場合には、対向車両のドライバーにグレアを与えずに済む場合があるが、マージンを大きくすることによって、前照灯の照射範囲を高解像に制御することが犠牲になる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、対向車のドライバーにグレアを与えにくくできる車両用前照灯の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報を求め、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、前記遮光範囲導出部が導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部とを備え、前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い、車両用前照灯の制御装置である。
【0009】
本発明の一態様は、車両用前照灯の制御装置において、カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、自車両の進行方向と前記自車両と前記対向車両とを結んだ線とのなす角度を求める車両情報取得部を備え、前記遮光範囲導出部は、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報から、前記動き情報を求める、構成が用いられてもよい。
【0010】
本発明の一態様は、車両用前照灯の制御装置において、前記車両情報取得部は、前記自車両の速度を示す情報をさらに取得し、前記遮光範囲導出部は、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報と、前記自車両の速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を導出する、構成が用いられてもよい。
【0011】
本発明の一態様は、車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報を求め、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、前記遮光範囲導出部が導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部と、カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、前記自車両の進行方向と前記自車両と前記対向車両とを結んだ線とのなす角度と、前記自車両の速度を示す情報とを取得する車両情報取得部とを備え、前記遮光範囲導出部は、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報から、前記動き情報を求め、前記自車両の速度が所定の閾値未満である場合には、前記動き情報に基づいて、遮光範囲を導出し、前記自車両の速度が所定の閾値以上である場合には、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報と、前記自車両の速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を導出する、車両用前照灯の制御装置である。
【0012】
本発明の一態様は、車両用前照灯の制御装置において、前記遮光範囲導出部は、前記自車両に対する前記対向車両の相対速度と遮光範囲とを関連付けた定数テーブルを記憶し、前記車両情報取得部が取得した前記角度を示す情報と、前記自車両の速度を示す情報とに基づいて、前記自車両に対する前記対向車両の相対速度を導出し、送出した前記相対速度に関連付けられている遮光範囲を取得する、構成が用いられてもよい。
【0013】
本発明の一態様は、車両用前照灯の制御装置において、前記動き情報は、角速度である、構成が用いられてもよい。
【0014】
本発明の一態様は、車両用前照灯であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報を求め、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、前記遮光範囲導出部が導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部とを備え、前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い、車両用前照灯である。
【0015】
本発明の一態様は、車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御方法であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報を求めるステップと、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出するステップと、前記遮光範囲を導出するステップで導出した前記遮光範囲に従って、前記車両用前照灯の配光状態を制御するステップと、を有し、前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い、車両用前照灯の制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対向車のドライバーにグレアを与えにくくできる車両用前照灯の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動車1の概略的な構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る照明システム101が適用された自動車1の前側部分を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の概略的な遮光範囲を制御する処理の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの概略的な遮光範囲を制御する処理を説明する図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの概略的な遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る自動車1bに備えられた照明システム101bの概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る自動車1bに備えられた照明システム101bの遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本実施形態に係る車両用前照灯の制御装置を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
本実施形態に係る車両用前照灯の制御装置は、乗り物に搭載される。本実施形態では、乗り物の一例として自動車を示すが、乗り物としては、自動二輪車、自転車、超小型モビリティ、パーソナルモビリティーなどもある。
【0020】
[自動車の概略的な構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る自動車1の概略的な構成を示す図である。
自動車1は、左側の前照灯(本実施形態では、左側前照灯部10Lという。)と、右側の前照灯(本実施形態では、右側前照灯部10Rという。)と、左側の尾灯(本実施形態では、左側尾灯部11Lという。)と、右側の尾灯(本実施形態では、右側尾灯部11Rという。)と、左側のサイドミラー(本実施形態では、左側サイドミラー13Lという。)と、右側のサイドミラー(本実施形態では、右側サイドミラー13Rという。)と、フロントウィンドウ15と、リアウィンドウ16とを備える。
左側前照灯部10Lは自動車1の前方の左側に配置されており、右側前照灯部10Rは自動車1の前方の右側に配置されている。
左側尾灯部11Lは自動車1の後方の左側に配置されており、右側尾灯部11Rは自動車1の後方の右側に配置されている。
また、自動車1は、前方の車外検出部(本実施形態では、前方車外検出部21という。
)と、制御部31とを備える。
【0021】
ここで、本実施形態では、自動車1の構成部のうちの一部を示してあるが、例えば、それに加えて、一般の自動車が通常備える他の構成部など、任意の構成部を備えてもよい。
また、前方車外検出部21と、制御部31のうちの一部または全部は、自動車1の外観では見えずに、自動車1の内部に備えられてもよい。
また、前方車外検出部21に車両検出(画像処理)部を備えてもよい。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る照明システムが適用された自動車1の前側部分を示す図である。
図2に示されるように、左側前照灯部10Lは、左側の前照灯ユニット12Lを備えている。左側の前照灯ユニット12Lは自動車1の前端部の左側端部に配置される。
また、右側前照灯部10Rは、右側の前照灯ユニット12Rを備えている。右側の前照灯ユニット12Rは自動車1の前端部の右側端部に配置される。
【0023】
また、前照灯ユニット12Rと、前照灯ユニット12Lとの上側には、自動車1のエンジンルームを開閉するフード50の前端部が配置されている。そして、前照灯ユニット12Rと、前照灯ユニット12Lとは、車幅方向において左右対称に構成されている。
【0024】
前照灯ユニット12Lは、前照灯ユニット12Lの車幅方向外側部分を構成する左側前照灯14Lを含む。
前照灯ユニット12Rは、前照灯ユニット12Rの車幅方向外側部分を構成する右側前照灯14Rを含む。
【0025】
左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとは、図示しない光源を有しており、光源によって、自動車1の前方を照射する。光源は、ハイビーム用の光源として構成されている。または、光源は、ロービーム用及びハイビーム用の光源として構成されていてもよい。つまり、左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとは、主として自動車1の前方の路面領域(ロービーム配光エリア)を照射するロービームと、ロービームによって照射される領域よりも上側の領域(ハイビーム配光エリア)を照射するハイビームとのいずれかに切替可能に構成されている。なお、左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとの光源として、LED(発光ダイオード)、ハロゲンランプ、ディスチャージランプ、レーザー等が用いられる。
【0026】
[自動車の制御システムの概略的な機能構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
照明システム101は、前照灯部10と、制御部31と、前方車外検出部21とを備える。
ここで、本実施形態では、一般的な「前後」の概念と同様に、自動車1の運転者が通常時に向く方向であって自動車1が通常時に進行(走行)する方向を「前(前方)」とし、それとは逆の方向を「後ろ(後方)」とする。
【0027】
前照灯部10は、いわゆるヘッドランプであり、自動車1の前方に光を照射する。
左側前照灯14Lは、主に自動車1の前方の左側に光を照射する。左側前照灯14Lは、走行ビーム(いわゆるハイビーム)の光を照射する機能と、すれ違いビーム(いわゆるロービーム)の光を照射する機能を有しており、これら2つの機能が切り替えられることが可能である。
右側前照灯14Rは、主に自動車1の前方の右側に光を照射する。右側前照灯14Rは、走行ビーム(いわゆるハイビーム)の光を照射する機能と、すれ違いビーム(いわゆるロービーム)の光を照射する機能を有しており、これら2つの機能が切り替えられることが可能である。
【0028】
なお、左側前照灯14L、右側前照灯14Rは、それぞれ、任意の照灯が用いられてもよい。
具体例として、照灯として走行ビームのランプは、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)レーザースキャニングヘッドランプ、DMD(Digital Mirror Device)ヘッドランプ、列と行の制御が可能なマトリクスADBヘッドランプ、あるいは、列のみの制御が可能なADBヘッドランプなどのうちの1以上が用いられてもよい。
ここで、MEMSレーザースキャニングヘッドランプは、例えば、配光を可変に変化させることが可能な車両用のヘッドランプの一例であり、シームレスADBランプの一例である。
前方車外検出部21は、自動車1の前方の外側に関する情報を検出する。本実施形態では、自動車1は、前方車外検出部21を備えるが、他の構成例として、後方車外検出部を備えてもよい。
また、他の構成例として、自動車1は、自動車1の側方の外側に関する情報を検出する車外検出部(本実施形態では、「側方車外検出部」ともいう。)を備えてもよい。側方車外検出部としては、例えば、自動車1の進行方向に対して右側の側方車外検出部と、自動車1の進行方向に対して左側の側方車外検出部が用いられてもよい。
【0029】
前方車外検出部21は、前方の車外に関する任意の情報を検出する検出部を備えてもよい。前方車外検出部21は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)、レーダー、ソナー、カメラ(撮像装置)40などのうちの1以上を備えてもよい。
カメラ40などは、例えば、可視光を検出する機能を備えてもよく、あるいは、赤外光を検出する機能を備えてもよく、あるいは、これら両方を備えてもよい。本実施形態では、前方車外検出部21が、カメラ40を備える場合について説明を続ける。カメラ40は、自動車1の所定位置(例えば室内ミラー付近)に設置されており、自車両の前方の空間を撮影する。
【0030】
制御部31は、車両検出部32と、車両情報取得部33と、遮光範囲導出部34と、配光制御部35と、記憶部37とを備える。尚、本実施例において車両検出部32は制御部31に含まれているが前方車外検出部21に備えられてもよい。
記憶部37は、情報を記憶する。ここで、記憶部37は、任意の情報を記憶してもよい。一例として、記憶部37は、制御部31により実行される制御プログラムあるいは制御パラメータなどの情報を記憶してもよい。この場合、制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを備え、当該プロセッサが記憶部37に記憶された制御パラメータを使用して、記憶部37に記憶された制御プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
【0031】
車両検出部32は、カメラ40により周期的に撮影される自動車1の前方の画像に基づいて、対向車両を検出する。具体的には、車両検出部32は、当該画像に対して画像認識処理を行うことにより対向車両上の一対の点を認識することによって、対向車両を検出する。一対の点の一例は、対向車両のヘッドランプ(左側前照灯14L、右側前照灯14R)である。
車両検出部32は、対向車両を検出した場合、対向車両上の一対の認識結果を、車両情報取得部33へ出力する。ここで、対向車両上の一対の認識結果の一例は、対向車両上の一対の画像である。
【0032】
車両情報取得部33は、車両検出部32が出力した対向車両上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1の基準点からみた対向車両上の一対の点の各々の位置(相対位置)を求める。ここで、自動車1の基準点の一例は、自動車1の所定位置(例えば室内ミラー付近)である。
具体的に、自動車1が対向車両を検出したときの自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度αとし、自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度βとした場合について、説明する。
車両情報取得部33は、対向車両が第1の位置にいるときにカメラ40が撮影した自動車1の前方の画像から位置(角度(α1、β1))を求める。車両情報取得部33は、求めた位置(角度(α1、β1))を示す情報を、遮光範囲導出部34へ出力する。
また、車両情報取得部33は、その対向車両が移動して第2の位置にいるときにカメラ40が撮影した自動車1の前方の画像から位置(角度(α2、β2))を求める。車両情報取得部33は、求めた位置(角度(α2、β2))を示す情報を、遮光範囲導出部34へ出力する。
【0033】
遮光範囲導出部34は、車両情報取得部33が出力した位置(角度)を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
具体的には、遮光範囲導出部34は、車両情報取得部33が出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。また、遮光範囲導出部34は、車両情報取得部33が出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
図4は、本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の概略的な遮光範囲を制御する処理を説明する図である。
図4において、左側は時刻T1における自動車1と対向車両2との位置関係を示し、真ん中は時刻T2における自動車1と対向車両2との位置関係を示し、右側は時刻T3における自動車1と対向車両2との位置関係を示す。
図4の左側において、自動車1が対向車両2を検出したときの自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度α1とし、自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1と対向車両2の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度β1とする。
図4の真ん中において、自動車1が対向車両2を検出したときの自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度α2とし、自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度β2とする。
図4の右側において、自動車1が対向車両2を検出したときの自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度α3とし、自動車1の中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度β3とする。
【0034】
遮光範囲導出部34は、時刻T1では、車両情報取得部33が出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。遮光範囲導出部34は、時刻T2では、車両情報取得部33が出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
遮光範囲導出部34が、時刻T2から所定の時間が経過した時刻T3に実行する処理について説明する。
ここで、角速度は、角度差を時間で除算することによって得られる。カメラ40が自動車1の前方を撮影してから、遮光範囲の制御を行うまでに要する時間を時間t1と仮定する。
遮光範囲導出部34は、角度α1、角度β1、角度α2、β2から、以下の式(1)と、式(2)から、時刻T2における左側の角速度ωLT2と、右側の角速度ωRT2とを導出する。
【0035】
ωLT2=(α2-α1)/t (1)
ωRT2=(β2-β1)/t (2)
【0036】
遮光範囲導出部34は、導出した左端の角速度ωLT2を示す情報と右ヘッドランプの角速度ωRT2を示す情報とを、保持する。
また、遮光範囲導出部34は、角度α2、角度β2と導出した左端の角速度ωLT2と右ヘッドランプの角速度ωRT2とに基づいて、角度α3、角度β3を導出し、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34は、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0037】
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した遮光範囲を示す情報を取得し、取得した遮光範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、遮光範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとへ制御信号を出力する。
具体的には、配光制御部35は、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)による光の照射を制御(画像処理、LD制御演算、MEM制御演算など)することで、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の配光を制御する。
ここで、配光制御部35は、例えば、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)が点灯しているときにおける配光、あるいは、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)が点灯しているときにおける配光を制御する。
【0038】
ここで、ソフトウェアの処理に要する時間をt2秒と仮定して、説明を続ける。遮光範囲導出部34は、保持している左端の角速度ωLT2を示す情報と右ヘッドランプの角速度ωRT2を示す情報とを用いて、式(3)と式(4)とにより、時刻T3における左端の角度α3と、右ヘッドランプの角度β3とを導出する。
【0039】
α3=α2+ωLT2×t2^2 (3)
β3=β2+ωRT2×t2^2 (4)
【0040】
遮光範囲導出部34は、導出した左端の角度α3を示す情報と右ヘッドランプの角度β3を示す情報とを保持する。
また、遮光範囲導出部34は、導出した左端の角度α3と右ヘッドランプの角度β3とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34は、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0041】
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した遮光範囲を示す情報を取得し、取得した遮光範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の左側前照灯14Lと右側前照灯14Rとの光照射状態を制御する。例えば、配光制御部35は、遮光範囲に応じた配光パターンを設定し、設定した配光パターンに応じて光が照射されるように左側前照灯14Lと、右側前照灯14Rとへ制御信号を出力する。
具体的には、配光制御部35は、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)による光の照射を制御することで、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の配光を制御する。
ここで、配光制御部35は、例えば、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)が点灯しているときにおける配光、あるいは、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)が点灯しているときにおける配光を制御する。
【0042】
[遮光範囲の調整処理の手順の一例]
図5は、本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6は、本発明の一実施形態に係る自動車1に備えられた照明システム101の遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示す図である。
本例では、ある人が運転者として自動車1の運転席に搭乗したことを想定する。本例では、自動車1と対向車両2の両方が走行していることを、自動車1に対する対向車両2の相対的な位置で示す。
具体的には、
図6に示されるように、時刻T1では自動車1に対して対向車両2は(1)に位置し、時刻T2では自動車1に対して対向車両2は(2)に位置し、時刻T3では自動車1に対して対向車両2は(3)に位置し、時刻T4では自動車1に対して対向車両2は(4)に位置する。
本例では、主に、時刻T3において、遮光範囲導出部34が実行する処理について説明する。
【0043】
(ステップS101)
車両検出部32は、時刻T1において、カメラ40により撮影される(1)に位置する自動車1の前方の画像に基づいて、対向車両2を検出する。車両検出部32は、対向車両2を検出した場合、対向車両2上の一対の認識結果を、車両情報取得部33へ出力する。
車両情報取得部33は、車両検出部32が検出した対向車両2上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1の基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度)を求める。車両情報取得部33は、求めた自動車1の基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度(α1、β1))を、遮光範囲導出部34へ出力する。
遮光範囲導出部34は、時刻T1では、車両情報取得部33が出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。遮光範囲導出部34は、位置(角度(α1、β1))を示す情報を保持する。
(ステップS102)
車両検出部32は、時刻T2において、カメラ40により撮影される(2)に位置する自動車1の前方の画像に基づいて、対向車両2を検出する。車両検出部32は、対向車両2を検出した場合、対向車両2上の一対の認識結果を、車両情報取得部33へ出力する。
車両情報取得部33は、車両検出部32が検出した対向車両2上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1の基準点からみた対向車両上の一対の点それぞれの位置(角度)を求める。車両情報取得部33は、求めた自動車1の基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度(α2、β2))を、遮光範囲導出部34へ出力する。
【0044】
(ステップS103)
遮光範囲導出部34は、時刻T2では、車両情報取得部33が出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。遮光範囲導出部34は、求めた遮光範囲を示す情報を、配光制御部35に出力する。遮光範囲導出部34は、位置(角度(α2、β2))を示す情報を保持する。
【0045】
(ステップS104)
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した遮光範囲を示す情報を取得し、取得した遮光範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の左側前照灯14Lと右側前照灯14Rとの光照射状態を制御する。
(ステップS105)
遮光範囲導出部34は、時刻T3において、保持している位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報に基づいて、左ヘッドランプの角速度ωLT2と右ヘッドランプの角速度ωRT2とを導出する。遮光範囲導出部34は、導出した左ヘッドランプの角速度ωLT2と右ヘッドランプの角速度ωRT2とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34は、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
具体的には、遮光範囲導出部34は、導出した左ヘッドランプの角速度ωLT2を示す情報と、右ヘッドランプの角速度ωRT2を示す情報とに基づいて、(3)に位置する対向車両2における左ヘッドランプの角度α3と、右ヘッドランプの角度β3とを導出する。遮光範囲導出部34は、導出した左ヘッドランプの角度α3と右ヘッドランプの角度β3とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34は、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
(ステップS106)
配光制御部35は、遮光範囲導出部34が出力した遮光範囲を示す情報を取得し、取得した遮光範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の左側前照灯14Lと右側前照灯14Rとの光照射状態を制御する。
ステップS106の処理が終了した後、ステップS101へ移行する。ステップS101では、時刻T4における、遮光範囲を制御する処理が行われる。
【0046】
前述した第1の実施形態では、照明システム101が、角度(α2、β2)と、導出した左ヘッドランプの角速度ωLT2と右ヘッドランプの角速度ωRT2とに基づいて、角度(α3、β3)を導出し、導出した角度(α3、β3)に基づいて、遮光範囲を推定する処理を一度行う場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、照明システム101が、求めた位置(角度)と、導出した左ヘッドランプの角速度と右ヘッドランプの角速度とに基づいて、遮光範囲を二度以上推定するようにしてもよい。
図5に示される例では、遮光範囲導出部34は、時刻T1における遮光範囲の制御結果と、時刻T2における遮光範囲の制御結果とを使用して、時刻T3における遮光範囲の制御を行い、時刻T4における遮光範囲の制御は、以前の遮光範囲の制御結果を使用しないで行う場合について説明した。しかし、遮光範囲導出部34は、時刻T2における遮光範囲の制御結果と、時刻T3における遮光範囲の制御結果とを使用して、時刻T4における遮光範囲の制御を行うようにしてもよい。
前述した第1の実施形態では、カメラ40により撮影される自動車1の前方の画像に基づいて、遮光範囲導出部34は、遮光範囲を制御する場合について説明したが、この限りでない。例えば、自動車1に対向車両を検知できるレーダーを備えるように構成し、遮光範囲導出部34は、そのレーダーが出力する情報を用いて、車両情報を検知するようにしてもよい。本実施例では角速度を算出したが速度でもよい。また、対向車両のヘッドランプ位置を基準としたが、これに限られず対向車両の中心でもよい。
前述した第1の実施形態では、対向車両の遮光範囲を制御する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、対向車両に限らず、同じ車線や隣の車線を走行している前方車両にも適用できる。また、例えば、後方車両にも適用できる。このような場合はそれぞれの方向を検出する車外検出部を備える。
【0047】
前述した第1の実施形態に係る照明システム101によれば、時刻T1において、(1)に位置している対向車両の位置(角度)などの車両情報と、時刻T2において、(2)に位置している対向車両の位置(角度)などの車両情報に基づいて、時刻T2での角速度を導出する。照明システム101は、(2)に位置している対向車両の位置(角度)と、dここ導出した角速度に基づいて、所定の時間が経過した次回の遮光範囲を導出するときに使用する角度などの対向車両の位置を示す情報(位置情報)を求める。
このように構成することによって、対向車を検知した際の車両情報から角速度を求め、求めた角速度と記憶した車両情報とを、遮光範囲の位置決め制御に反映させ、遮光範囲の位置を移動させることができる。カメラ40により撮影される自動車1の前方の画像を用いることなく角速度を導出することができる。
自動車1の前方をカメラ40によって撮影してから、遮光すべき対象物に光が到達しないように遮光させるまでに要する時間を短縮できるため、遮光した際には、検知した位置には、対象物が存在しておらず、光が到達する範囲に対象物がいる状態となることを低減できる。カメラとの通信速度、画像処理速度による遅れを考慮して対向車両にグレアを与えない配光を形成することにより、対向車のドライバーの視野を損なわず、安全に寄与できる。
上記の如く、前方車外検出(カメラ40、レーダー)による新たな測定結果を使用せずに保存済みの車両情報(角速度、速度)のみから新たな遮光範囲を算出し、照射状態の変更を行う処理を組み込んでいる。これにより、都度、前方車外検出部による情報を処理するよりも短い間隔で遮光範囲を切り替えることを可能にしている。
カメラ40と制御部31との間の通信周期を最大tp[s]と仮定した場合、カメラ40が撮影することによって得られる画像を使用しないことによって、つまり、過去に求めた角度や、角速度に基づいて、遮光範囲を推定(導出)することによって、カメラ40と制御部31との間の通信に要する時間短縮できるため、最大tp[s]短縮できる。すなわち、動き情報(角速度)は、複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い。
【0048】
<構成例>
一構成例として、車両用前照灯(本実施形態では、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置(本実施例では、照明システム101の制御部31)であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報(本実施例では、角速度)を求め、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、遮光範囲導出部が導出した遮光範囲に従って、車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部とを備える、車両用前照灯の制御装置(本実施例では、照明システム101の制御部31)である。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、自車両の進行方向と自車両と対向車両とを結んだ線とのなす角度を求める車両情報取得部(本実施例では、照明システム101の車両情報取得部33)を備え、遮光範囲導出部は、車両情報取得部が取得した角度を示す情報から、動き情報を求める。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、動き情報は、角速度である。
一構成例として、車両用前照灯(本実施形態では、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報(本実施例では、角速度)を求め、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部と、遮光範囲導出部が導出した遮光範囲に従って、車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部とを備える、車両用前照灯である。
一構成例として、車両用前照灯による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御方法であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報を求めるステップと、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出するステップと、遮光範囲導出部が導出した遮光範囲に従って、車両用前照灯の配光状態を制御するステップと、を有する、車両用前照灯の制御方法である。
【0049】
[第2の実施形態]
本発明の一実施形態に係る自動車1aの概略的な構成は、
図1を適用できる。ただし、制御部31の代わりに、制御部31aを備える。
本発明の一実施形態に係る制御装置が適用された自動車1aの前側部分は、
図2を適用できる。
【0050】
[自動車の制御システムの概略的な機能構成]
図7は、本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
照明システム101aは、前照灯部10と、制御部31aと、前方車外検出部21とを備える。
ここで、本実施形態では、一般的な「前後」の概念と同様に、自動車1aの運転者が通常時に向く方向であって自動車1aが通常時に進行する方向を「前(前方)」とし、それとは逆の方向を「後ろ(後方)」とする。
【0051】
制御部31aは、車両検出部32と、車両情報取得部33aと、遮光範囲導出部34aと、配光制御部35と、記憶部37aとを備える。
記憶部37aは、情報を記憶する。ここで、記憶部37aは、任意の情報を記憶してもよい。一例として、記憶部37aは、制御部31aにより実行される制御プログラムあるいは制御パラメータなどの情報を記憶してもよい。この場合、制御部31aは、例えば、CPUなどのプロセッサを備え、当該プロセッサが記憶部37aに記憶された制御パラメータを使用して、記憶部37aに記憶された制御プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
【0052】
車両検出部32は、カメラ40により周期的に撮影される自動車1aの前方の画像に基づいて、対向車両を検出するとともに、対向車両を検出したときの自動車1aの速度を示す情報を取得する。
具体的には、車両検出部32は、当該画像に対して画像認識処理を行うことにより対向車両上の一対の点を認識することによって、対向車両を検出する。一対の点の一例は、対向車両のヘッドランプ(左側前照灯14L、右側前照灯14R)である。車両検出部32は、対向車両を検出した場合、対向車両上の一対の認識結果と、自動車1aの速度を示す情報とを、車両情報取得部33aへ出力する。ここで、対向車両上の一対の認識結果の一例は、対向車両上の一対の画像である。
【0053】
車両情報取得部33aは、車両検出部32が検出した対向車両上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1aの基準点からみた対向車両上の一対の点の各々の位置(相対位置)を求める。ここで、自動車1aの基準点の一例は、自動車1aの所定位置(例えば室内ミラー付近)である。
具体的に、自動車1aが対向車両を検出したときの自動車1aの中心を通る進行方向とその自動車1aの中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度αとし、自動車1aの中心を通る進行方向とその自動車1aの中心と対向車両の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度βとし、自動車1aの速度を速度vとした場合について説明する。
車両情報取得部33は、対向車両が第1の位置にいるときにカメラ40が撮影した自動車1aの前方の画像から位置(角度(α1、β1))を求め、速度v1を示す情報を取得する。車両情報取得部33は、求めた位置(角度(α1、β1))を示す情報と、速度v1を示す情報とを、遮光範囲導出部34aへ出力する。
また、車両情報取得部33aは、その対向車両が移動して第2の位置にいるときにカメラ40が撮影した自動車1の前方の画像から位置(角度(α2、β2))を求め、速度v2を示す情報を取得する。車両情報取得部33は、求めた位置(角度(α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とを、遮光範囲導出部34へ出力する。
【0054】
遮光範囲導出部34aは、車両情報取得部33aが出力した位置(角度)を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
具体的には、遮光範囲導出部34aは、車両情報取得部33aが出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。また、遮光範囲導出部34aは、車両情報取得部33aが出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
遮光範囲導出部34aは、位置(角度(α1、β1、α2、β2))から、前述した式(1)と、式(2)から、時刻T2における左側の角速度ωLT2と、右側の角速度ωRT2とを導出する。
遮光範囲導出部34aは、導出した左端の角速度ωLT2と右端の角速度報ωRT2とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34aは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。遮光範囲導出部34aは、位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とを、保持する。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの概略的な遮光範囲を制御する処理を説明する図である。
図8において、左側は時刻T1における自動車1aと対向車両2との位置関係を示し、真ん中側は時刻T2における自動車1aと対向車両2の位置関係を示し、右側は時刻T3における自動車1aと対向車両2との位置関係を示す。
図8の左側において、自動車1aが対向車両2を検出したときの自動車1aの中心を通る進行方向とその自動車1aの中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度α1とし、自動車1aの中心を通る進行方向とその自動車1aの中心と対向車両2の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度β1とし、自動車1aの速度をv1[m/s]とする。
図8の真ん中において、自動車1aが対向車両2を検出したときの自動車1aの進行方向とその自動車1aと対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度α2とし、自動車1aの進行方向とその自動車1aと対向車両2の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度β2とし、自動車1aの速度をv2[m/s]とする。
遮光範囲導出部34aは、時刻T1では、車両情報取得部33aが出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。遮光範囲導出部34aは、時刻T2では、車両情報取得部33aが出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
遮光範囲導出部34aが、時刻T2から所定の時間が経過した時刻T3に実行する処理について説明する。
ここで、自動車1aの幅をd1mとし、自動車1aの走行方向に垂直な方向において、自動車1aの中心から対向車両2の右ヘッドランプまでの長さをd2とすると、自動車1aの中心から、対向車両2の左ヘッドランプまでの長さはd1+d2で示される。
遮光範囲導出部34aは、式(5)-式(8)から、対向車両2の前照灯の動いた距離を導出する。
【0056】
tanα1=(対向車両2との間の距離)/d1 (5)
tanβ1=(対向車両2との間の距離)/(d1+d2) (6)
tanα2=(対向車両2との間の距離)/d1 (7)
tanβ2=(対向車両2との間の距離)/(d1+d2) (8)
【0057】
また、自動車1aの速度v1と速度v2とから、遮光範囲導出部34aは、自動車1aが走行した距離Hを導出する。
さらに、対向車両2の前照灯の動いた距離二値の平均を相対距離hとすると、対向車両2の移動した距離は、h-Hとなる。
【0058】
遮光範囲導出部34aは、式(9)から、対向車両2の速度v3を、導出する。
v3=(h-H)/t1 (9)
遮光範囲導出部34aは、速度v2と速度v3とに基づいて、自動車1aと対向車両2との間の相対速度を導出する。本実施形態では、自動車1aと対向車両2との間の相対速度と、遮光範囲を示す情報とを関連付けたテーブル形式のデータ(定数テーブル)が予め用意されている。遮光範囲導出部34aは、その定数テーブルを記憶する。
遮光範囲導出部34aは、導出した自動車1aと対向車両2との間の相対速度に基づいて、定数テーブルから、その相対速度に関連付けられている遮光範囲を取得することによって、遮光範囲を導出する。
遮光範囲導出部34aは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0059】
[遮光範囲の調整処理の手順の一例]
図9は、本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10は、本発明の一実施形態に係る自動車1aに備えられた照明システム101aの概略的な遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示す図である。
本例では、ある人が運転者として自動車1aの運転席に搭乗したことを想定する。本例では、自動車1aと対向車両2の両方が走行していることを、自動車1aに対する対向車両2の位置で示す。
具体的には、
図10に示されるように、時刻T1では自動車1aに対して対向車両2は(1)に位置し、時刻T2では自動車1aに対して対向車両2は(2)に位置し、時刻T3では自動車1aに対して対向車両2は(3)に位置し、時刻T4では自動車1aに対して対向車両2は(4)に位置する。
本例では、主に、時刻T3において、遮光範囲導出部34が実行する処理について説明する。
【0060】
(ステップS201)
車両検出部32aは、時刻T1において、カメラ40により撮影される(1)に位置する自動車1aの前方の画像に基づいて、対向車両2を検出するとともに、対向車両を検出したときの自動車1aの速度情報を取得する。車両検出部32aは、対向車両2を検出した場合、対向車両2上の一対の認識結果と、自動車1aの速度を示す情報とを、車両情報取得部33aへ出力する。
車両情報取得部33aは、車両検出部32が検出した対向車両2上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1aの基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度)を求め、自動車1aの速度v1を示す情報を取得する。車両情報取得部33aは、求めた自動車1aの基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度(α1、β1))と、速度(v1)を示す情報とを、遮光範囲導出部34aへ出力する。
遮光範囲導出部34aは、時刻T1では、車両情報取得部33aが出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。遮光範囲導出部34aは、位置(角度(α1、β1))を示す情報と、自動車1aの速度v1を示す情報とを保持する。
【0061】
(ステップS202)
車両検出部32aは、時刻T2において、カメラ40により撮影される(2)に位置する自動車1aの前方の画像に基づいて、対向車両2を検出するとともに、対向車両を検出したときの自動車1aの速度情報を取得する。車両検出部32aは、対向車両2を検出した場合、対向車両2上の一対の認識結果と、自動車1aの速度を示す情報とを、車両情報取得部33aへ出力する。
車両情報取得部33aは、車両検出部32aが検出した対向車両2上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1aの基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度)を求め、自動車1aの速度v2を示す情報を取得する。車両情報取得部33aは、求めた自動車1aの基準点からみた対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度(α2、β2))と、速度(v2)を示す情報とを、遮光範囲導出部34aへ出力する。
【0062】
(ステップS203)
遮光範囲導出部34aは、時刻T2では、車両情報取得部33aが出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1aと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。遮光範囲導出部34aは、求めた遮光範囲を示す情報を、配光制御部35に出力する。遮光範囲導出部34aは、位置(角度(α2、β2))を示す情報と、自動車1aの速度v2を示す情報とを保持する。
【0063】
(ステップS204)
配光制御部35は、遮光範囲導出部34aが出力した遮光範囲を示す情報を取得し、取得した遮光範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯40R)の左側前照灯14Lと右側前照灯40Rとの光照射状態を制御する。
(ステップS205)
遮光範囲導出部34aは、時刻T3において、保持している位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報に基づいて、前述した第1の実施形態と同様に、左ヘッドランプの角速度ωLT2と右ヘッドランプの角速度ωRT2とを導出する。遮光範囲導出部34aは、導出した左ヘッドランプの角速度ωLT2と、右ヘッドランプの角速度ωRT2とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34aは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
具体的には、遮光範囲導出部34aは、保持している位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とに基づいて、前述した式(5)-式(8)から、対向車両2の前照灯の動いた距離を導出する。遮光範囲導出部34aは、前述した式(9)から、対向車両2の速度v3を、導出する。遮光範囲導出部34aは、速度v2と速度v3とに基づいて、自動車1aと対向車両2との間の相対速度を導出する。遮光範囲導出部34aは、導出した自動車1aと対向車両2との間の相対速度に基づいて、定数テーブルから、その相対速度に関連付けられている遮光範囲を取得する。遮光範囲導出部34aは、取得した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0064】
(ステップS206)
配光制御部35は、遮光範囲導出部34aが出力した遮光範囲を示す情報を取得し、取得した遮光範囲を示す情報にしたがって、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)の左側前照灯14Lと右側前照灯14Rとの光照射状態を制御する。
ステップS206の処理が終了した後、ステップS201へ移行する。ステップS201では、時刻T4における、遮光範囲を制御する処理が行われる。
【0065】
前述した第2の実施形態では、照明システム101aが、対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度(α1、β1、α2、β2))と、速度(v1、v2)を示す情報とに基づいて、遮光範囲を推定する処理を一度行う場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、照明システム101aが、対向車両2上の一対の点それぞれの位置(角度)と、速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を二度以上導出するようにしてもよい。
図9に示される例では、遮光範囲導出部34aは、時刻T1における位置(角度)と速度と、時刻T2における位置(角度)と速度とを使用して、時刻T3における遮光範囲の制御を行い、時刻T4における遮光範囲の制御は、以前の位置(角度)と速度を使用しないで行う場合について説明した。しかし、遮光範囲導出部34aは、時刻T2における位置(角度)と速度と、時刻T3における位置(角度)と速度とを使用して、時刻T4における遮光範囲の制御が行うようにしてもよい。
前述した第2の実施形態では、カメラ40により撮影される自動車1の前方の画像に基づいて、遮光範囲導出部34aは、遮光範囲を制御する場合について説明したが、この限りでない。例えば、自動車1aに対向車両を検知できるレーダーを備えるように構成し、遮光範囲導出部34は、そのレーダーが出力する情報を用いて、車両情報を検知するようにしてもよい。
前述した第2の実施形態では、対向車両の遮光範囲を制御する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、対向車両に限らず、同じ車線や隣の車線を走行している前方車両にも適用できる。また、例えば、後方車両にも適用できる。このような場合はそれぞれの方向を検出する車外検出部を備える。
【0066】
前述した第2の実施形態に係る照明システム101aによれば、時刻T1において、(1)に位置している対向車両の位置(角度)、速度などの車両情報と、時刻T2において、(2)に位置している対向車両の位置(角度)、速度などの車両情報に基づいて、時刻T2での角速度を導出する。照明システム101aは、時刻T1において取得した車両情報と、時刻T2において取得した車両情報とに基づいて、所定の時間が経過した次回(時刻(T3))の遮光範囲を導出する。
このように構成することによって、対向車を検知した際の車両情報から角速度を求め、求めた角速度と、記憶した車両情報と、自車両の車体速度とを、遮光範囲の位置決め制御に反映させ、遮光範囲の位置を移動させることができる。カメラ40により撮影される自動車1aの前方の画像を用いることなく遮光範囲を導出することができる。
自動車1aの前方をカメラ40によって撮影してから、遮光すべき対象物に光が到達しないように遮光させるまでに要する時間を短縮できるため、遮光した際には、検知した位置には、対象物が存在しておらず、光が到達する範囲に対象物がいる状態となることを低減できる。カメラとの通信速度、画像処理速度による遅れを考慮して対向車両にグレアを与えない配光を形成することにより、対向車のドライバーの視野を損なわず、安全に寄与できる。
カメラ40と制御部31aとの間の通信周期を最大tpa[s]と仮定した場合、カメラ40が撮影することによって得られる画像を使用しないことによって、つまり、過去に求めた角度や、角速度や、速度に基づいて、遮光範囲を推定(導出)することによって、カメラ40と制御部31aとの間の通信に要する時間短縮できるため、最大tpa[s]短縮できる。すなわち、動き情報(角速度、速度)は、複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い。
【0067】
<構成例>
一構成例として、車両用前照灯(本実施形態では、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置(本実施例では、照明システム101aの制御部31a)であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報(本実施例では、角度、角速度、速度)を求め、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部(本実施例では、遮光範囲導出部34a)と、遮光範囲導出部が導出した遮光範囲に従って、車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部(本実施例では、配光制御部35)とを備える、車両用前照灯の制御装置(本実施例では、照明システム101aの制御部31a)である。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、自車両の進行方向と自車両と対向車両とを結んだ線とのなす角度を求める車両情報取得部(本実施例では、車両情報取得部33a)を備え、遮光範囲導出部は、車両情報取得部が取得した角度を示す情報から、動き情報を求める。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、車両情報取得部は、自車両の速度を示す情報をさらに取得し、遮光範囲導出部は、車両情報取得部が取得した角度を示す情報と、自車両の速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を導出する。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、動き情報は、角速度である。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、遮光範囲導出部は、自車両に対する対向車両の相対速度と遮光範囲とを関連付けた定数テーブルを記憶し、車両情報取得部が取得した角度を示す情報と、自車両の速度を示す情報とに基づいて、自車両に対する対向車両の相対速度を導出し、送出した相対速度に関連付けられている遮光範囲を取得する。
【0068】
[第3の実施形態]
本発明の一実施形態に係る自動車1bの概略的な構成は、
図1を適用できる。ただし、制御部31の代わりに、制御部31bを備える。
本発明の一実施形態に係る制御装置が適用された自動車1bの前側部分は、
図2を適用できる。
本実施形態に係る照明システム101bは、自動車1bの速度に応じて、第1の実施形態と、第2の実施形態とを使い分けるようにしたものである。
【0069】
[自動車の制御システムの概略的な機能構成]
図11は、本発明の一実施形態に係る自動車1bに備えられた照明システム101bの概略的な機能構成を示す機能ブロック図である。
照明システム101bは、前照灯部10と、制御部31bと、前方車外検出部21とを備える。
ここで、本実施形態では、一般的な「前後」の概念と同様に、自動車1bの運転者が通常時に向く方向であって自動車1bが通常時に進行(走行)する方向を「前(前方)」とし、それとは逆の方向を「後ろ(後方)」とする。
【0070】
制御部31bは、車両検出部32と、車両情報取得部33bと、遮光範囲導出部34bと、配光制御部35と、記憶部37bとを備える。
記憶部37bは、情報を記憶する。ここで、記憶部37bは、任意の情報を記憶してもよい。一例として、記憶部37bは、制御部31bにより実行される制御プログラムあるいは制御パラメータなどの情報を記憶してもよい。この場合、制御部31bは、例えば、CPUなどのプロセッサを備え、当該プロセッサが記憶部37bに記憶された制御パラメータを使用して、記憶部37bに記憶された制御プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
【0071】
車両検出部32は、カメラ40により周期的に撮影される自動車1bの前方の画像に基づいて、対向車両を検出するとともに、対向車両を検出したときの自動車1bの速度情報を取得する。具体的には、車両検出部32は、当該画像に対して画像認識処理を行うことにより対向車両上の一対の点を認識することによって、対向車両を検出する。一対の点の一例は、対向車両のヘッドランプ(左側前照灯14L、右側前照灯14R)である。
車両検出部32は、対向車両を検出した場合、対向車両上の一対の認識結果と、自動車1bの速度を示す情報とを、車両情報取得部33bへ出力する。ここで、対向車両上の一対の認識結果の一例は、対向車両上の一対の画像である。
【0072】
車両情報取得部33bは、車両検出部32が検出した対向車両上の一対の点の認識結果に基づいて、自動車1bの基準点からみた対向車両上の一対の点の各々の位置(相対位置)を求める。ここで、自動車1bの基準点の一例は、自動車1bの所定位置(例えば室内ミラー付近)である。
具体的に、自動車1bが対向車両を検出したときの自動車1bの中心を通る進行方向とその自動車1の中心と対向車両2の左ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度αとし、自動車1bの中心とその自動車1の中心と対向車両の右ヘッドランプとを結んだ線とのなす角度を角度βとし、自動車1bの速度を速度vとした場合について、説明する。
車両情報取得部33bは、対向車両が第1の位置にいるときにカメラ40が撮影した自動車1bの前方の画像から求められた位置(角度(α1、β1))を求め、速度v1を示す情報を取得する。車両情報取得部33bは、求めた位置(角度(α1、β1))を示す情報と、速度v1を示す情報とを、遮光範囲導出部34bへ出力する。
また、車両情報取得部33bは、その対向車両が移動して第2の位置にいるときにカメラ40が撮影した自動車1の前方の画像から位置(角度(α2、β2))を求め、速度v2を示す情報を取得する。車両情報取得部33は、求めた位置(角度(α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とを、遮光範囲導出部34bへ出力する。
【0073】
遮光範囲導出部34bは、車両情報取得部33bが出力した位置(角度)を示す情報に基づいて、自動車1bと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
具体的には、遮光範囲導出部34bは、車両情報取得部33bが出力した位置(角度(α1、β1))を示す情報に基づいて、自動車1と対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。また、遮光範囲導出部34bは、車両情報取得部33bが出力した位置(角度(α2、β2))を示す情報に基づいて、自動車1bと対向車両2との間の位置関係を求め、求めた位置関係に基づいて車両用前照灯の遮光範囲を求める。
また、遮光範囲導出部34bは、車両情報取得部33bが出力した速度(v1、v2)を示す情報のうち、速度(v2)が、所定の閾値未満であるか、所定の閾値以上であるかを判定する。速度(v2)が閾値未満である場合、遮光範囲導出部34bは、前述した第1の実施形態にしたがって処理を行う。この場合、遮光範囲導出部34bは、導出した左ヘッドランプの角度α3と右ヘッドランプの角度β3とを、保持する。また、遮光範囲導出部34bは、導出した左ヘッドランプの角度α3と右ヘッドランプの角度β3とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34bは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
一方、速度(v2)が閾値以上である場合、遮光範囲導出部34bは、前述した第2の実施形態にしたがって処理を行う。この場合、遮光範囲導出部34bは、導出した左端の角速度ωLT2と右端の角速度報ωRT2とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34bは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。遮光範囲導出部34bは、位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とを、保持する。
【0074】
遮光範囲導出部34bは、導出した左ヘッドランプの角速度ωLT2を示す情報と右ヘッドランプの角速度ωRT2を示す情報とを保持する。
ここで、ソフトウェアの処理に要する時間をt2秒と仮定して、説明を続ける。遮光範囲導出部34bは、保持している左ヘッドランプの角速度ωLT2を示す情報と右ヘッドランプの角速度ωRT2を示す情報とを用いて、前述した式(3)と式(4)とにより、時刻T3における左ヘッドランプの角度α3と、右ヘッドランプの角度β3とを導出する。
遮光範囲導出部34bは、導出した左ヘッドランプの角度α3を示す情報と右ヘッドランプの角度β3を示す情報とを保持する。
また、遮光範囲導出部34bは、導出した左ヘッドランプの角度α3と右ヘッドランプの角度β3とに基づいて、遮光範囲を導出する。遮光範囲導出部34bは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0075】
一方、遮光範囲導出部34bは、遮光範囲導出部34bが出力した位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とを取得した場合、取得した位置(角度(α1、β1、α2、β2))を示す情報と、速度(v1、v2)を示す情報とを保持する。
遮光範囲導出部34bは、前述した式(5)-式(8)から、対向車両2の前照灯の動いた距離を導出する。自動車1bの速度v1と速度v2とから、遮光範囲導出部34bは、自動車1bが走行した距離Hを導出する。遮光範囲導出部34bは、前述した式(9)から、対向車両2の速度v3を、導出する。遮光範囲導出部34bは、速度v2と速度v3とに基づいて、自動車1bと対向車両2との間の相対速度を導出する。遮光範囲導出部34bは、導出した自動車1bと対向車両2との間の相対速度に基づいて、定数テーブルから、その相対速度に関連付けられている遮光範囲を取得することによって、遮光範囲を導出する。
遮光範囲導出部34bは、導出した遮光範囲を示す情報を、配光制御部35へ出力する。
【0076】
[遮光範囲の調整処理の手順の一例]
図12は、本発明の一実施形態に係る自動車1bに備えられた照明システム101bの遮光範囲を制御する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る照明システム101bの遮光範囲を制御する処理の手順の一例は、
図10を適用できる。
本例では、ある人が運転者として自動車1bの運転席に搭乗したことを想定する。本例では、自動車1bと対向車両2の両方が走行していることを、自動車1bに対する対向車両2の位置で示す。
具体的には、
図10に示されるように、時刻T1では自動車1bに対して対向車両2は(1)に位置し、時刻T2では自動車1bに対して対向車両2は(2)に位置し、時刻T3では自動車1bに対して対向車両2は(3)に位置し、時刻T4では自動車1bに対して対向車両2は(4)に位置する。
【0077】
ステップS301-S302は、前述した
図9のステップS201-S202を適用できる。
(ステップS303)
遮光範囲導出部34bは、車両情報取得部33bが出力した速度(v1、v2)を示す情報に基づいて、速度(v2)が、所定の閾値未満であるか、所定の閾値以上であるかを判定する。
速度(v2)が、所定の閾値未満である場合には、ステップS304へ移行する。速度(v2)が、所定の閾値以上である場合には、ステップS308へ移行する。
ステップS304-S307は、前述した
図5のステップS103-S106を適用できる。
ステップS308-S311は、前述した
図9のステップS203-S206を適用できる。
前述した第3の実施形態では、対向車両の遮光範囲を制御する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、対向車両に限らず、同じ車線や隣の車線を走行している前方車両にも適用できる。また、例えば、後方車両にも適用できる。このような場合はそれぞれの方向を検出する車外検出部を備える。
【0078】
前述した第3の実施形態に係る照明システム101bによれば、自動車1bの速度に応じて、第1の実施形態で説明した遮光範囲の制御と、第2の実施形態で説明した制御とを使い分ける。このように構成することによって、自動車1bの速度が低速である場合には、対向車両の動きを表す角速度に基づいて、遮光範囲を制御し、自動車1bの速度が高速である場合には、対向車両との間の相対速度に基づいて、遮光範囲を制御する。
このように構成することによって、カメラ40により撮影される自動車1bの前方の画像を用いることなく遮光範囲を導出することができる。自動車1aの前方をカメラ40によって撮影してから、遮光すべき対象物に光が到達しないように遮光させるまでに要する時間を短縮できるため、遮光した際には、検知した位置には、対象物が存在しておらず、光が到達する範囲に対象物がいる状態となることを低減できる。カメラとの通信速度、画像処理速度による遅れを考慮して対向車両にグレアを与えない配光を形成することにより、対向車のドライバーの視野を損なわず、安全に寄与できる。
【0079】
<構成例>
一構成例として、車両用前照灯(本実施形態では、前照灯部10(左側前照灯14L、右側前照灯14R)による配光状態を制御する、車両用前照灯の制御装置(本実施例では、照明システム101bの制御部31b)であって、対向車両の動きを示す情報である動き情報(本実施例では、角度、角速度、速度)を求め、求めた動き情報に基づいて、車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出部(本実施例では、遮光範囲導出部34b)と、遮光範囲導出部が導出した遮光範囲に従って、車両用前照灯の配光状態を制御する配光制御部とを備える、車両用前照灯の制御装置(本実施例では、照明システム101bの制御部31b)である。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、前記動き情報は複数回検出した対向車両の位置から算出され、対向車両の位置の検出の間隔よりも、求めた前記動き情報に基づいて、前記車両用前照灯の遮光範囲を導出する遮光範囲導出する時間が短い。
一構成例として、車両用前照灯の制御装置において、カメラにより撮影される自車両の前方の画像に基づいて、自車両の進行方向と、自車両と対向車両とを結んだ線とのなす角度と、自車両の速度を示す情報とを取得する車両情報取得部(本実施例では、車両情報取得部33b)を備え、遮光範囲導出部は、車両情報取得部が取得した角度を示す情報から、動き情報を求め、自車両の速度が所定の閾値未満である場合には、動き情報に基づいて、遮光範囲を導出し、自車両の速度が所定の閾値以上である場合には、車両情報取得部が取得した角度を示す情報と、自車両の速度を示す情報とに基づいて、遮光範囲を導出する。
【0080】
以上に示した実施形態に係る装置(例えば、制御部31、31a、31bなど)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、処理を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティング・システム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0081】
さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)あるいは電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1、1a、1b…自動車、10…前照灯部、10L…左側前照灯部、10R…右側前照灯部、11L…左側尾灯部、11R…右側尾灯部、14L…左側前照灯、14R…右側前照灯、15…フロントウィンドウ、16…リアウィンドウ、13L…左側サイドミラー、13R…右側サイドミラー、21…前方車外検出部、31、31a、31b…制御部、32…車両検出部、33、33a、33b…車両情報取得部、34、34a、34b…遮光範囲導出部、35…配光制御部、37、37a、37b…記憶部、40…カメラ、101、101a、101b…照明システム