(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20220104BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20220104BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20220104BHJP
C11D 1/74 20060101ALI20220104BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/72 ZAB
C11D1/722
C11D1/74
C11D1/04
(21)【出願番号】P 2017232017
(22)【出願日】2017-12-01
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】森元 由佳
(72)【発明者】
【氏名】末國 智成
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-537482(JP,A)
【文献】特開2014-227445(JP,A)
【文献】特開2009-155615(JP,A)
【文献】特開平08-081696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下式(a)で表されるノニオン界面活性剤、及び
(B)成分:下式(b)で表されるノニオン界面活性剤を含有し、
界面活性剤(高級脂肪酸塩を除く。)の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、液体洗浄剤組成物の総質量に対
して、(A)成分の含有量が5~50質量%、(B)成分の含有量が4.5質量%以下であ
り、かつ(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)が0.01~0.2である、液体洗浄剤組成物。
R
1-X
1-[(EO)
n/(PO)
m]-R
2 ・・・(a)
(式(a)中、R
1は炭素数8~18の炭化水素基であり、X
1は-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-であり、R
2は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、nはEOの平均繰返し数を表し、
5~18の数であり、mはPOの平均繰返し数を表し、
0である。)
R
11-X
2-[(EO)
s/(PO)
t/(BO)
u]-R
12 ・・・(b)
(式(b)中、R
11は炭素数8~24の炭化水素基であり、X
2は-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-であり、R
12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、sはEOの平均繰返し数を表し1~30の数、tはPOの平均繰返し数を表し0~20の数、uはBOの平均繰返し数を表し1~20の数である。)
【請求項2】
さらに(C)成分:高級脂肪酸塩を含む、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境負荷に対する意識の高まりから、消泡性が良く、少量の水ですすぐことができる洗浄剤が求められている。
洗浄剤の中には、高級脂肪酸塩(石けん)やシリコーン系消泡剤等の泡コントロール剤を配合することで、洗浄剤の泡立ちを抑えたり、生じた泡を破泡したりして、消泡性の改善を図っているものがある。
特許文献1では、シリコーン抑泡剤及び特定の脂肪酸エステルを含有する液体洗剤組成物が提案されている。
特許文献2では、直鎖状脂肪酸のエステルと界面活性剤とを所定の比率で含有する洗浄剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平11-513066号公報
【文献】特開2013-91782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高級脂肪酸塩やシリコーン系消泡剤の添加は、液安定性を低下させる場合がある。液安定性が低下すると保存中に分離や析出などが生じて外観が悪化しやすい。
本発明は、消泡性および液安定性に優れた液体洗浄剤組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の態様を有する。
[1](A)成分:下式(a)で表されるノニオン界面活性剤、及び(B)成分:下式(b)で表されるノニオン界面活性剤を含有し、
界面活性剤(高級脂肪酸塩を除く。)の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、液体洗浄剤組成物の総質量に対する(B)成分の含有量が4.5質量%以下である、液体洗浄剤組成物。
R1-X1-[(EO)n/(PO)m]-R2 ・・・(a)
(式(a)中、R1は炭素数8~18の炭化水素基であり、X1は-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-であり、R2は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、nはEOの平均繰返し数を表し、3~20の数である。mはPOの平均繰返し数を表し、0~10の数である。)
R11-X2-[(EO)s/(PO)t/(BO)u]-R12 ・・・(b)
(式(b)中、R11は炭素数8~24の炭化水素基であり、X2は-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-であり、R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、sはEOの平均繰返し数を表し1~30の数、tはPOの平均繰返し数を表し0~20の数、uはBOの平均繰返し数を表し1~20の数である。)
[2]さらに(C)成分:高級脂肪酸塩を含む、[1]の液体洗浄剤組成物。
【0006】
[3]液体洗浄剤組成物の総質量に対する(C)成分の含有量が0.01~20質量%である、[2]の液体洗浄剤組成物。
[4](A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)が0.01~0.2である、[1]~[3]のいずれかの液体洗浄剤組成物。
[5](B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比を表す(C)/(B)が0.1~0.6である、[1]~[4]のいずれかの液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消泡性および液安定性に優れた液体洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(液体洗浄剤組成物)
本発明の液体洗浄剤組成物(以下、単に液体洗浄剤ということがある)は、(A)成分および(B)成分を含有する。さらに(C)成分を含有することが好ましい。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、下式(a)で表されるノニオン界面活性剤である。(A)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。(A)成分は、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
R1-X1-[(EO)n/(PO)m]-R2 ・・・(a)
【0010】
R1は炭素数8~18の1価の炭化水素基である。R1の炭素数は、特に良好な洗浄力が得られやすい点で10~18が好ましい。R1は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよく、環状の構造を含んでもよい。R1は飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を有していてもよい。
R1は、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基がより好ましい。
R1としての炭化水素基は、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられる。具体的には、1級又は2級の高級アルコールからOH基を除いた残基、高級脂肪酸からC(O)OH基を除いた残基、高級脂肪酸アミドからC(O)NH2基を除いた残基等である。
【0011】
R2は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。アルキル基の炭素数は1~3が好ましい。アルケニル基の炭素数は2~3が好ましい。
X1は-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-である。
EOはオキシエチレン基を表す。nはEOの平均繰返し数を表し、3~20の数である。nは、好ましくは5~18の数であり、14~18の数がより好ましい。nが20を超えるとHLB値が高くなりすぎて、洗浄力が低下する傾向にある。nが3未満であると、(A)成分自体の原料臭気が劣化しやすくなる傾向にある。
POはオキシプロピレン基を表す。mはPOの平均繰返し数を表し、0~10の数である。mは、好ましくは0~6の数であり、0~3の数がより好ましい。mが10以下であると生分解性に優れる。
【0012】
X1が-O-のとき、(A)成分はアルコールアルコキシレートである。この場合、洗浄力が良好であることから、R1の炭素数は10~18が好ましい。R1は不飽和結合を有していてもよい。この場合において、R2は水素原子であることが好ましい。
【0013】
X1が-C(O)O-であるとき、(A)成分は脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤である。この場合、洗浄力が良好であることから、R1の炭素数は9~18が好ましく、11~18がより好ましい。R1は不飽和結合を有していてもよい。また、この場合において、R2は炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
X1が-C(O)O-である化合物としては、R2が炭素数1~6のアルキル基である化合物、すなわちポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルが好ましく、R2がメチル基であるポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステルがより好ましい。
【0014】
(A)成分として、以下の化合物が好ましい。
式(a)において、R1が炭素数12のアルキル基または炭素数14のアルキル基、R2がH、-X1-が-O-、nが15である化合物(LMAO)。
式(a)において、R1が炭素数11のアルキル基又は炭素数13のアルキル基、R2がメチル基、-X1-が-C(O)O-、nが15である化合物(MEE)。
【0015】
液体洗浄剤の総質量に対して、(A)成分の含有量は5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄力に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は、下式(b)で表されるノニオン界面活性剤である。(B)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。(B)成分は、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
R11-X2-[(EO)s/(PO)t/(BO)u]-R12 ・・・(b)
【0017】
R11は炭素数8~24の1価の炭化水素基である。R11の炭素数は、特に良好な洗浄力を得られやすい点で10~18が好ましい。R11は、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよく、環状の構造を含んでもよい。R11は飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を有していてもよい。
R11は、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基がより好ましい。
【0018】
X2は-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-である。酸性下での消泡性に優れる点で-O-が好ましい。
R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。アルキル基の炭素数は1~3が好ましい。アルケニル基の炭素数は2~3が好ましい。
X11が-O-のとき、R12は水素原子であることが好ましい。
【0019】
EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、BOはオキシブチレン基を表す。
式中のsはEOの平均繰り返し数であり、tはPOの平均繰り返し数であり、uはBOの平均繰り返し数である。s、t及びuは、それぞれ加重平均値を意味する。s、t及びuは、例えばガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定することができる。
sは1~30の数であり、好ましくは5~20の数であり、より好ましくは6~16の数であり、7~9の数が特に好ましい。sが30を超えると、HLB値が高くなりすぎて、洗浄力が低下する傾向にある。一方、sが1未満であると、(B)成分自体の原料臭気が劣化しやすくなる傾向にある。
tは0~20の数であり、好ましくは0~5の数であり、より好ましくは0~3の数である。tが20以下であると生分解性に優れる。
uは1~20の数であり、好ましくは1~3の数であり、より好ましくは1~2の数である。uが1以上であると消泡性に優れる。uが20以下であると生分解性に優れる。
sとtとuの合計は5~31が好ましく、6~21がより好ましく、7~17がさらに好ましく、8~10が特に好ましい。
[(EO)s/(PO)t/(BO)u]において、EOとPOとBOはランダム状に配列していてもよく、ブロック状に配列していてもよい。
【0020】
(B)成分として、以下の化合物が好ましい。
式(b)において、R11が炭素数9~11のアルキル基、R12がH、-X2-が-O-、sが7~9、tが0~1、uが1、sとtとuの合計が8~10である化合物。
【0021】
液体洗浄剤の総質量に対して、(B)成分の含有量は4.5質量%以下であり、0.1~4質量%が好ましく、0.5~3.5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると消泡性に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)は0.01~0.2が好ましく、0.05~0.15がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると消泡性に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
【0022】
液体洗浄剤中の界面活性剤(高級脂肪酸塩を除く。)の総質量に対して、(B)成分の含有量は0.02質量%以上であり、0.04~0.17質量%が好ましく、0.06~0.14質量%がより好ましく、0.08~0.12質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると消泡性に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
液体洗浄剤の総質量に対して、界面活性剤の総質量は10~60質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると洗浄力に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
【0023】
<(C)成分>
(C)成分は高級脂肪酸塩である。本明細書において、高級脂肪酸とは、炭素数8~22の脂肪酸を意味する。(C)成分は消泡性の向上に寄与する。
(C)成分としては、例えば、炭素数10~20の高級脂肪酸塩が挙げられ、炭素数10~16の高級脂肪酸塩が好ましい。
(C)成分は、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アミン塩、またはアンモニウム塩が好ましい。
(C)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。
【0024】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し0.01~20質量%が好ましく、0.03~10質量%がより好ましく、0.05~5質量%がさらに好ましく、0.1~3質量%が特に好ましい。上記下限値以上であると消泡性の向上効果に優れ、上限値以下であると液体洗浄剤の安定性に優れる。
(B)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比を表す(C)/(B)は0.1~0.6が好ましく、0.2~0.4がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると消泡性に優れ、上限値以下であると液安定性に優れる。
【0025】
<その他の任意成分>
本発明の液体洗浄剤は、上記の成分および水以外に、液体洗浄剤の分野で公知の成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
その他の任意成分として、例えば、(A)成分および(B)成分のいずれにも該当しないノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、酵素、pH調整剤、水混和性有機溶媒、金属イオン捕捉剤、酸化防止剤、防腐剤、風合い向上剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、ハイドロトロープ剤、着香剤、着色剤、乳濁剤、蛍光剤、エキス等が挙げられる。
【0026】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。これらのなかでも、液体洗浄剤の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒であり、液体洗浄剤の分野において公知のものを使用できる。
例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等の炭素数2~4の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200~5000のポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン等の炭素数2~4の多価アルコール;及び
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダイセル社製セルトールEDGAC(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。
【0028】
金属イオン捕捉剤としては、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。金属イオン捕捉剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
液体洗浄剤の総質量に対して、金属イオン捕捉剤の含有量は0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。
【0029】
その他の任意成分の合計の含有量は特に限定されないが、例えば、液体洗浄剤の総質量に対し、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましく、9質量%以下が特に好ましい。
本発明の液体洗浄剤の各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0030】
本発明の液体洗浄剤は、25℃におけるpHが2~10であり、3~9が好ましく、4~8がさらに好ましい。液体洗浄剤のpHが上記範囲内であると、液安定性に優れる。液体洗浄剤のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
なお、本明細書において、pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値を意味する。
【0031】
<製造方法>
本発明の液体洗浄剤は、従来公知の液体洗浄剤の製造方法に準じて製造することができる。例えば、分散媒である水の一部に、pH調整剤を除く各成分を加えて混合した後、pH調整剤を添加してpHを調整した後、水の残部を加えて全体量を100質量%として、液体洗浄剤とする。
【0032】
<使用方法>
本発明の液体洗浄剤は、例えば、衣料用洗浄剤、食器用洗浄剤、台所用洗浄剤、風呂用洗浄剤、トイレ洗浄剤等として用いられる。
衣料用洗浄剤には、より少ない水で、より速やかに消泡することが求められる。また、使用感の点からは適度に泡立つことが好まれる。本発明の液体洗浄剤は、これらの要求特性に対して効果を発揮し、衣料用洗浄剤として好適に用いられる。
衣料用の液体洗浄剤の使用方法としては、例えば、液体洗浄剤を単独で、又は公知の漂白剤や柔軟剤と共に水に入れて洗浄液とし、この洗浄液に被洗物を入れ洗濯機で洗浄する方法、洗浄液に被洗物を一定時間漬け置きした後、その後、洗濯機で洗浄する方法等が挙げられる。
【0033】
本発明の液体洗浄剤は、(A)成分と(B)成分を含み、界面活性剤の総質量が10~60質量%、(A)成分の含有量が5~50質量%、(B)成分の含有量が4.5質量%以下、界面活性剤の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、(B)/(A)が0.01~0.2であることが好ましい。
(A)成分と(B)成分を含み、界面活性剤の総質量が10~30質量%の場合、(A)成分の含有量は5~30質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましく、15~20質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量は、4.5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。面活性剤の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、(B)/(A)が0.01~0.2であることが好ましい。
(A)成分と(B)成分を含み、界面活性剤の総質量が30超~60質量%の場合、(A)成分の含有量は25~50質量%が好ましく、30~45質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が4.5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。界面活性剤の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、(B)/(A)が0.01~0.2であることが好ましい。
本発明の液体洗浄剤は、(A)成分と(B)成分と(C)成分を含み、界面活性剤の総質量が10~60質量%、(A)成分の含有量が5~50質量%、(B)成分の含有量が4.5質量%以下、界面活性剤の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、(B)/(A)が0.01~0.2、(C)/(B)が0.1~0.6であることが好ましい。
(A)成分と(B)成分と(C)成分を含み、界面活性剤の総質量が10~30質量%の場合、(A)成分の含有量は5~30質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましく、15~20質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量は、4.5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。界面活性剤の総質量に対する(B)成分の含有量が0.02質量%以上であり、(B)/(A)が0.01~0.2、(C)/(B)が0.1~0.6であることが好ましい。
(A)成分と(B)成分と(C)成分を含み、界面活性剤の総質量が30超~60質量%の場合、(A)成分の含有量は25~50質量%が好ましく、30~45質量%がより好ましい。(B)成分の含有量は4.5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。(B)/(A)が0.01~0.2、(C)/(B)が0.1~0.6であることが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1及び2に示す組成に従い、pH調整剤以外の各成分を混合し、表1及び2に示す液体洗浄剤のpHの値となるようpH調整剤を加えて、液体洗浄剤を調製した。
表中の配合量の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。
「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
【0035】
<(A)成分>
A-1:LMAO:炭素数12~14の天然アルコール(プロクター・アンド・ギャンブル社製、商品名「CO-1214」)に、15モル相当のエチレンオキシドを付加した化合物。
A-2:MEE:C11H23COO(CH2CH2O)nCH3とC13H27COO(CH2CH2O)nCH3との質量比で8/2の混合物、n=平均15、ナロー率33質量%、合成品。
【0036】
<(B)成分>
B-1:式(b)において、tが0であり、R11が炭素数10のアルキル基、R12がH、-X2-が-O-、sが8、uが1である化合物(下記合成例1)。
B-2:式(b)において、tが0であり、R11が炭素数16のアルキル基、R12がH、-X2-が-O-、sが14、uが1である化合物(下記合成例2)。
<(B’)成分>
B’-1:式(b)において、uが0であり、R11が炭素数12のアルキル基または炭素数14のアルキル基、R12がH、-X2-が-O-、sが12、tが3、EOとPOがブロック状に付加している化合物(商品名「ソフタノールEP12030」,日本触媒化学工業株式会社製)。
【0037】
<(C)成分>
C-1:ヤシ脂肪酸ナトリウム(日油社製の商品名「椰子脂肪酸」を水酸化ナトリウムにより中和したもの)。
C-2:C16石けん(パルミチン酸ナトリウム)、試薬、関東化学株式会社製。
【0038】
<任意成分>
シリコーン:ダウケミカル社製、商品名「Dow Corning(登録商標)AF-8014」、シリコーン系消泡剤。
LAS:炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)社製、商品名:ライポン(登録商標)LH-200)。
PEG:ポリエチレングリコール(水混和性有機溶媒)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「PEG1000」。
安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(防腐剤)、東亜合成株式会社製。
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)、商品名「SUMILZER BHT-R」、住友化学株式会社製。
クエン酸:関東化学株式会社製、試薬「くえん酸」。
香料:着香剤、特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
pH調整剤(NaOH):鶴見曹達(株)製、商品名:水酸化ナトリウム。
水:イオン交換水。
【0039】
≪合成例1:B-1成分の合成≫
デカノールと水酸化カリウム触媒を撹拌しながら昇温し、脱水した。その後、エチレンオキシド、ブチレンオキシドの順に反応させ、冷却して酢酸で中和し、エチレンオキシドの平均付加モル数8、ブチレンオキシドの平均付加モル数1のブロック付加物を得た。
【0040】
≪合成例2:B-2成分の合成≫
合成例1において、デカノールをn-ヘキサデカノールに変更し、同様の手順でエチレンオキシド、ブチレンオキシドを導入して、エチレンオキシドの平均付加モル数14、ブチレンオキシドの平均付加モル数1のブロック付加物を得た。
【0041】
<液安定性の評価方法>
液体洗浄剤を円筒ガラス瓶に取り、蓋を閉めて50℃の恒温槽中で1か月間保存した。保存後の液の外観を目視で観察し、下記基準に基づいて液安定性を評価した。
○:均一で分離がない。
△:均一だがやや濁りが見られる。
×:分離または析出が見られる。
【0042】
<起泡性及び消泡性の評価方法>
各例の液体洗浄剤0.25gを、25℃に調温した水道水100mLに溶解して洗浄液とした。洗浄液20mLをエプトン管に入れ、エプトン管を手で1ストローク/秒で20回振盪した。
エプトン管の振盪が終了した直後及び5分後に、それぞれの泡の量(mL;泡と洗浄液との境界から、泡の上端面までの体積)をエプトン管の目盛で読み取った。
泡の量を指標とし、下記の評価基準に基づいて評価した。直後の泡の量が多いほど起泡性に優れ、5分後の泡の量が少ないほど消泡性に優れることを意味する。
(起泡性の評価基準)
◎:直後の泡の量が20mL以上。
○:直後の泡の量が16mL以上、20mL未満。
△:直後の泡の量が13mL以上、16mL未満。
×:直後の泡の量が13mL未満。
(消泡性の評価基準)
◎:5分後の泡の量が10mL未満。
○:5分後の泡の量が10mL以上、15mL未満。
△:5分後の泡の量が15mL以上、20mL未満。
×:5分後の泡の量が20mL以上。
【0043】
【0044】
【0045】
実施例1~11はいずれも、消泡性及び液安定性に優れていた。起泡性にも優れていた。
(B)成分を含まない比較例1は、消泡性が劣っていた。
(B)成分の含有量が多すぎる比較例2は液安定性が劣っていた。
(B)成分の代わりに、BOを含まないポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を用いた比較例3は消泡性が劣っていた。
(B)成分の代わりに、シリコーン系消泡剤を用いた比較例4は液安定性および起泡性が劣っていた。
特に、実施例1、7、比較例1を比べると、(B)成分と(C)成分の相乗効果により消泡性が顕著に向上することがわかる。