IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】繊維製品の洗浄方法および洗浄液
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/20 20060101AFI20220104BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20220104BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C11D3/20
D06L1/12
C11D1/66
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017232018
(22)【出願日】2017-12-01
(65)【公開番号】P2019099681
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】森元 由佳
(72)【発明者】
【氏名】藤原 久美子
(72)【発明者】
【氏名】末國 智成
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110323(JP,A)
【文献】特開2015-017156(JP,A)
【文献】特開2015-224273(JP,A)
【文献】特開2003-105385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
D06L 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:有機カルボン酸、及び
(B)成分:ノニオン界面活性剤を含有する界面活性剤、を含み、
前記(A)成分の含有量が40~1500質量ppm、
前記(B)成分の含有量が100~5000質量ppmであり、
前記(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)が5未満であり、かつ
pHが2~6である洗浄液中で
p-クレゾールが付着している繊維製品に外力を加えて洗濯処理する、繊維製品の洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄液が、さらに香料を含む、請求項1に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗濯処理前に、前記洗浄液中に前記繊維製品を浸漬させて10分以上外力を加えずに放置する浸漬処理を行う、請求項1又は2に記載の繊維製品の洗浄方法。
【請求項4】
洗浄液中で繊維製品に外力を加える洗濯処理に用いられる、繊維製品用の洗浄液であって、
(A)成分:有機カルボン酸、及び
(B)成分:ノニオン界面活性剤を含有する界面活性剤、を含み、
前記(A)成分の含有量が40~1500質量ppm、
前記(B)成分の含有量が100~5000質量ppmであり、
前記(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)が5未満であり、かつ
pHが2~6である、繊維製品用の洗浄液。
【請求項5】
さらに香料を含む、請求項4に記載の繊維製品用の洗浄液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品の洗浄方法および洗浄液に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や要介護者のいる家庭や介護施設では、衣類に付着した尿臭が問題となっている。尿臭の主な臭気成分のひとつにp-クレゾールがある。p-クレゾールは通常の洗濯では落としにくいという問題がある。
特許文献1では、尿臭や便臭を低減する方法として、(A)8-シクロヘキサデセン-1-オン、(B)カンファー、ボルネオール、l-メントン等から選ばれる1種以上の香料、(C)界面活性剤、(D)過炭酸ナトリウム、及び(E)漂白活性化剤を含有する洗濯前処理剤組成物の希釈液に被洗物を浸漬させた後、通常の洗浄剤で洗濯する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-39871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法は、尿臭の消臭効果が充分とは言えない。また洗濯前処理剤組成物の希釈液に被洗物を浸漬させた後、別の洗浄剤を用いて洗濯する必要があり煩雑である。
本発明は、繊維製品の消臭効果に優れる洗浄方法および洗浄液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1](A)成分:有機カルボン酸、及び(B)成分:界面活性剤、を含み、前記(A)成分の含有量が40~1500質量ppm、前記(B)成分の含有量が100~5000質量ppmであり、前記(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6である洗浄液に、p-クレゾールが付着している繊維製品を接触させる、繊維製品の洗浄方法。
[2]前記洗浄液が、さらに香料を含む、[1]の繊維製品の洗浄方法。
【0006】
[3](A)成分:有機カルボン酸、及び(B)成分:界面活性剤、を含み、前記(A)成分の含有量が40~1500質量ppm、前記(B)成分の含有量が100~5000質量ppmであり、前記(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6である、洗浄液。
[4]さらに香料を含む、[3]の洗浄液。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、繊維製品の消臭効果に優れる洗浄方法および洗浄液を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の繊維製品の洗浄方法は、(A)成分及び(B)成分を含む洗浄液で、p-クレゾールが付着している繊維製品を洗浄する方法である。洗浄液の成分については後述する。
繊維製品としては、例えば尿臭がある衣料、布巾、シーツなどが挙げられる。
例えば、尿汚れのある衣類、例えば軽失禁による尿汚れ衣類、乳幼児の尿汚れ衣類、またはペットの尿汚れ衣類やマット等の洗浄方法として好適である。
また、例えば一般的な洗剤を用いて洗濯し乾燥した後も尿臭が残っている(p-クレゾールが付着している)繊維製品も、本発明を適用することで消臭効果が得られる。
繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維等のいずれでもよい。
【0009】
洗浄液は、洗浄液より高濃度の組成物(以下、液体洗浄剤という。)を水で希釈して調製することができる。
繊維製品の洗浄方法は、洗浄液中で被洗物(繊維製品)に外力を加えて洗濯処理し、洗濯処理後にすすぎ処理を行う方法(1)でもよく、前記洗濯処理前に、洗浄液中に被洗物を浸漬させて10分以上外力を加えずに放置する浸漬処理を設け、浸漬処理に使用した洗浄液を用いて前記洗濯処理を行い、その後にすすぎ処理を行う方法(2)でもよい。
方法(2)において、浸漬処理における洗浄液の濃度と、洗濯処理における洗浄液の濃度は同じでもよく、浸漬処理で使用した洗浄液を希釈して洗濯処理における洗浄液として用いてもよい。
洗濯処理において、被洗物に外力を加える方法は、例えば洗濯機により機械力を加える方法でもよく、もみ洗い、押し洗い、たたき洗い、つかみ洗い、つまみ洗い、または振り洗い等の手洗いによる方法でもよい。
洗濯処理の洗浄液に、公知の酸素系漂白剤を加えてもよい。すすぎ処理のすすぎ液に柔軟剤を加えてもよい。
消臭効果により優れる点では方法(2)が好ましく、洗濯処理における洗浄液の濃度より、浸漬処理における洗浄液の濃度が高いことがより好ましい。
洗浄に要する時間が短い点では方法(1)が好ましい。
【0010】
前記方法(1)、(2)において、洗浄液の、被洗物と接触する直前の温度は15~40℃が好ましく、25~40℃がより好ましい。
前記方法(1)において、洗浄液と被洗物とが接触している時間は、例えば5~30分が好ましく、10~20分がより好ましい。
前記方法(2)の浸漬処理および洗濯処理において、洗浄液と被洗物とが接触している合計の時間は、30分~24時間が好ましく、2~12時間がより好ましい。
【0011】
前記方法(1)、(2)において、洗浄液のpHは2~6であり、3~6が好ましく、3.5~5.5がより好ましい。前記下限値以上であると消臭効果に優れ、上限値以下であると液体洗浄剤の安定性に優れる。
本発明において、洗浄液のpHは、被洗物と接触する直前の温度における値とする。
前記方法(2)において、浸漬処理における洗浄液のpHと、洗濯処理における洗浄液のpHは同じでもよく、異なっていてもよい。異なる場合は、少なくとも浸漬処理における洗浄液のpHが上記の範囲内であればよく、両方の洗浄液のpHが上記の範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書におけるpHは、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値を意味する。
【0012】
<(A)成分>
(A)成分は有機カルボン酸である。有機カルボン酸としては、カルボキシ基とヒドロキシ基を有するヒドロキシカルボン酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸等)、シュウ酸、マロン酸が挙げられる。
(A)成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。
(A)成分がヒドロキシカルボン酸を含むことが好ましい。ヒドロキシカルボン酸の中でも、性能や供給性の観点から、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸が好ましく、クエン酸、酒石酸がさらに好ましく、クエン酸が特に好ましい。
【0013】
(A)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対し40~1500質量ppmである。前記下限値以上であると消臭効果に優れ、上限値以下であると液体洗浄剤における良好な安定性が得られやすい。
前記方法(1)において、洗浄液の総質量に対して(A)成分の含有量が40~130質量ppmであることが好ましく、50~120質量ppmがより好ましく、55~110質量ppmがさらに好ましい。
前記方法(2)において、浸漬処理における洗浄液の総質量に対して(A)成分の含有量Xaが500~1500質量ppm、洗濯処理における洗浄液の総質量に対して(A)成分の含有量Yaが40~130質量ppmであることが好ましく、Xaが600~1400質量ppm、Yaが50~120質量ppmであることがより好ましく、Xaが700~1300質量ppm、Yaが55~110質量ppmであることがさらに好ましい。
【0014】
<(B)成分>
(B)成分は界面活性剤である。繊維製品の洗浄剤の分野で公知の界面活性剤を用いることができる。例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤(後述の(d-1)成分を除く)、両性界面活性剤等が挙げられる。
(B)成分として、1種の界面活性剤を用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。(B)成分は、常法により製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0015】
(B)成分はノニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
ノニオン界面活性剤として、下記式(b-1)で表されるポリ(オキシアルキレン)アルキルエーテルが挙げられる。
-X-[(EO)/(AO)]-R・・・(b-1)
式(b-1)中、Rは炭素数8~18の炭化水素基であり、Xは-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-であり、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数2~6のアルケニル基である。sはEOの平均繰返し数を表し、3~20の数である。tはAOの平均繰返し数を表し、0~20の数である。EOはオキシエチレン基を表し、AOはオキシプロピレン基またはオキシブチレン基の少なくとも一方である。
[(EO)/(AO)]において、EOとAOはランダム状に配列していてもよく、ブロック状に配列していてもよい。AOはオキシプロピレン基でもよく、オキシブチレン基でもよく、これらの両方がブロック状またはランダム状に混在していてもよい。
【0016】
式(b-1)中、Rである炭化水素基の炭素数は8~18であり、特に良好な洗浄力が得られやすい点で10~18が好ましい。Rは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状の構造を含んでもよい。Rは飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を有していてもよい。
は脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基がより好ましい。
としての炭化水素基は、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられる。具体的には、1級又は2級の高級アルコールからOH基を除いた残基、高級脂肪酸からC(O)OH基を除いた残基、高級脂肪酸アミドからC(O)NH基を除いた残基等が挙げられる。
【0017】
としてのアルキル基の炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。Rとしてのアルケニル基の炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
Xは-O-、-C(O)O-または-C(O)NH-である。
Xが-O-のとき、(B)成分はアルコールアルコキシレートである。この場合、洗浄力に優れる点から、Rの炭素数は10~18であることが好ましく、Rは不飽和結合を有していてもよい。また、この場合において、Rは水素原子であることが好ましい。
【0018】
Xが-C(O)O-であるとき、(B)成分は脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤である。この場合において、洗浄力が良好であることから、Rの炭素数は9~18であることが好ましく、より好ましくは11~18である。Rは不飽和結合を有していてもよい。また、この場合において、Rは、炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。
【0019】
式(b-1)中、sはEOの平均繰り返し数であり、tはAOの平均繰り返し数である。s及びtは、それぞれ加重平均値を意味する。s及びtは、例えばガスクロマトグラフ質量分析計を用いて測定することができる。
sは3~20の数である、好ましくは5~18の数であり、より好ましくは14~18の数である。sが20を超えると、HLB値が高くなりすぎて、洗浄力が低下する傾向にある。一方、sが3未満であると、(B)成分自体の原料臭気が劣化しやすくなる傾向にある。
tは0~6であり、好ましくは0~3の数である。tが6を超えると、生分解性が悪化する傾向にある。
【0020】
ノニオン界面活性剤として、以下の化合物が好ましい。
式(b-1)において、Rが炭素数12のアルキル基または炭素数14のアルキル基、RがH、-X-が-O-、sが15、tが0である化合物(LMAO)。
式(b-1)において、Rが炭素数11のアルキル基又は炭素数13のアルキル基、Rがメチル基、-X-が-C(O)O-、s=15、t=0である化合物(MEE)。
式(b-1)において、Rが炭素数10のアルキル基、RがH、-X-が-O-、sが8、tが1、AOがオキシブチレン基である化合物(EOBO)。
【0021】
(B)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対し100~5000質量ppmである。前記下限値以上であると洗浄力および消臭効果に優れ、上限値以下であると液体洗浄剤の安定性に優れる。
前記方法(1)において、洗浄液の総質量に対して(B)成分の含有量が100~450質量ppmであることが好ましく、125~350質量ppmがより好ましく、150~250質量ppmがさらに好ましい。
前記方法(2)において、浸漬処理における洗浄液の総質量に対して(B)成分の含有量Xbが1200~5000質量ppm、洗濯処理における洗浄液の総質量に対して(B)成分の含有量Ybが100~450質量ppmであることが好ましく、Xbが1500~4000質量ppm、Ybが125~350質量ppmであることがより好ましく、Xbが2000~3000質量ppm、Ybが150~250質量ppmであることがさらに好ましい。
【0022】
(B)成分の総質量に対して、ノニオン界面活性剤が30~100質量%であることが好ましく、50~100質量%がより好ましく、70~100質量%がさらに好ましい。前記下限値以上であると洗浄力に優れる。
(B)成分の総質量に対して、式(b-1)で表されるポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が30~100質量%であることが好ましく、50~100質量%がより好ましく、70~100質量%がさらに好ましい。前記下限値以上であると洗浄力に優れる。
【0023】
洗浄液中の、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比を表す(B)/(A)は5未満であることが好ましく、0.5~4.5がより好ましく、1~3.5がさらに好ましく、2~3が特に好ましい。前記範囲内であると消臭効果に優れる。
【0024】
<(C)成分:香料>
洗浄液が、さらに香料(以下、(C)成分ともいう。)を含むことが好ましい。香料としては、通常洗剤に配合できるものが使用できる。洗剤の香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994);「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996);「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 );「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989);「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996);「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されており、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0025】
(C)成分は、以下の(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分を含むことが好ましい。
<(C1)成分>
(C1)成分は、2-メチルウンデカナール(2-methylundecanal)、ルバフラン(Rhubafuran:2,4-dimethyl-4-phenyloxolane)、及びファラオン(Pharaone:2-cyclohexyl-1,6-heptadien-3-one)からなる群から選択される少なくとも1種である。
(C1)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
好ましい組み合わせとしては、2-メチルウンデカナールとルバフランとファラオンとの組み合わせ、2-メチルウンデカナールとルバフランとの組み合わせ、2-メチルウンデカナールとファラオンとの組み合わせ、ルバフランとファラオンとの組み合わせが挙げられる。
(C1)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対し、0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。(C1)成分の含有量の上限値は、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
(C1)成分が上記下限値以上であると、トップノートが介護臭のマスキング効果に優れるため好ましい。
【0026】
<(C2)成分>
(C2)成分は、ブルゲオナール(Bourgeonal:3-(4-tert-butylphenl)propionaldehyde)、ロジラン(Rosyrane:4-methyl-6-phenyl-5,6-dihydro-2H-pyran)、及びペオニール(Peonile:2-cyclohexyliden-2-penylacetonitrile)からなる群から選択される少なくとも1種である。
(C2)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
好ましい組み合わせとしては、ブルゲオナールとロジランとペオニールとの組み合わせ、ブルゲオナールとロジランとの組み合わせ、ブルゲオナールとペオニールとの組み合わせ、ロジランとペオニールとの組み合わせが挙げられる。
(C2)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対し、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。(C2)成分の含有量の上限値は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
(C2)成分の含有量が上記下限値以上であると、ミドルノートが介護臭のマスキング効果に優れるため好ましい。
【0027】
<(C3)成分>
(C3)成分は、クマリン(Coumarin:2H-1-benzopyran-2-one)、ヒンジノール(Hindinol:(2E)-2-methyl-4-[(1R)-2,3,3-trimethyl-3-cyclopentenyl]-2-butene-1-ol)、及びカシュメラン(Cashmeran:1,2,3,5,6,7-hexahydro-1,1,2,3,3-pentamethyl-4H-inden-4-one)からなる群から選択される少なくとも1種である。
(C3)成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合わせて用いてもよい。
好ましい組み合わせとしては、クマリンとヒンジノールとカシュメランとの組み合わせ、クマリンとヒンジノールとの組み合わせ、クマリンとカシュメランとの組み合わせ、ヒンジノールとカシュメランとの組み合わせが挙げられる。
(C3)成分の含有量は、(C)成分の総質量に対し、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。(C3)成分の含有量の上限値は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
(C3)成分の含有量が上記下限値以上であると、ベースノートが介護臭のマスキング効果に優れるため好ましい。
【0028】
(C1)成分/(C2)成分で表される質量比(以下、C1/C2比ともいう)は、1/100~1/2が好ましく、3/100~1/2がより好ましく、5/100~1/10がさらに好ましい。
(C1)成分/(C3)成分で表される質量比(以下、C1/C3比ともいう)は、1/100~1/1が好ましく、5/100~1/2がより好ましく、1/10~1/5がさらに好ましい。
(C2)成分/(C3)成分で表される質量比(以下、C2/C3比ともいう)は、1/2~10/1が好ましく、1/1~10/1がより好ましく、2/1~5/1がさらに好ましい。
(C1)成分、(C2)成分、及び(C3)成分の含有量の合計は、(C)成分の総質量に対し、1~40質量%が好ましく、2~30質量%がより好ましく、20~26質量%がさらに好ましい。
(C1)成分、(C2)成分、及び(C3)成分の含有量の合計が上記範囲内であると、繊維の消臭効果、特に繊維に付着した尿臭の消臭効果に優れる。
【0029】
上記(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分以外のその他の香料成分として、アルデヒドC-12ラウリック、マンダリンアルデヒド、ダイナスコン、フルテート、オキサン、ダマスコンアルファ、ダマスコンデルタ、シクラメンアルデヒド、リリアール、フロラルオゾン、ヤラヤラ、メチルアンソラニレート、シクラセット、オイゲノール、ジハイドロオイゲノール、アニスアルデヒド、シンナミックアルデヒド、バクダノール、カラナール、アンバーマックス、イソブチルキノリン、ガンマーウンデカラクトン、ガンマーデカラクトン、ガンマーノナラクトン、バニリン、リナロール、リグストラール、マンザネート、メチルイオノンガンマー、テトラヒドロリナロール、ベルドックス、テサロン、シトロネリルニトリル、シクロヘキシルサリチレート、ガラクソリド、へディオン、ヘキシル サリチレート、イソ・イー・スーパー、オレンジ オイル、フェニルエチルアルコール、ラズベリーケトン、スチラリル アセテート等が挙げられる。
その他の香料成分は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いてもよい。その他の香料成分の含有量は、(C)成分の総質量に対し、0.1~50質量%が好ましい。
【0030】
(C)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対し0.08~150質量ppmが好ましい。前記下限値以上であると消臭効果に優れ、上限値以下であると液体洗浄剤における良好な安定性が得られやすい。
前記方法(1)において、洗浄液の総質量に対して(C)成分の含有量が0.08~15質量ppmであることが好ましく、0.3~10質量ppmがより好ましく、0.8~5質量ppmがさらに好ましい。
前記方法(2)において、浸漬処理における洗浄液の総質量に対して(C)成分の含有量Xcが1~150質量ppm、洗濯処理における洗浄液の総質量に対して(C)成分の含有量Ycが0.08~15質量ppm、かつXc≧Ycであることが好ましく、Xcが5~100質量ppm、Ycが0.3~10質量ppm、かつXc≧Ycであることがより好ましく、Xcが10~50質量ppm、Ycが0.8~5質量ppmであることがさらに好ましい。
【0031】
<(D)成分:抗菌剤>
洗浄液が、さらに抗菌剤(以下、(D)成分ともいう。)を含むことが好ましい。繊維製品の洗浄剤の分野で公知の抗菌剤を用いることができる。抗菌剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
抗菌剤として、例えば、下記(d-1)成分、(d-2)成分及び(d-3)成分からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(d-1)成分:4級窒素原子の置換基として、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~16のアルキル基、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1~16のアルケニル基、炭素数1~16のヒドロキシアルキル基又は炭素数1~16のフェニルアルキル基を有する第4級アンモニウム塩。
(d-2)成分:フェノール系抗菌剤。
(d-3)成分:ビグアニド化合物。
【0032】
(d-1)成分としては、下記式(d-1-1)、(d-1-2)、(d-1-3)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0033】
【化1】
【0034】
式(d-1-1)中、R11~R14のうちの2つ以上は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、それ以外は、炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。Zは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
【0035】
【化2】
【0036】
式(d-1-2)中、R15は、炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R16は、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数5~20の芳香族炭化水素基である。x及びyは、オキシエチレン基の平均繰り返し数を示し、それぞれ独立して0以上の整数であって、x+yが10以上である。Zは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
【0037】
【化3】
【0038】
式(d-1-3)中、R17及びR18は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、R19は、炭素数8~16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R20は、炭素数1~3のアルキレン基である。Zは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
【0039】
(d-2)成分としては、ダイクロサン、トリクロサン、クロルチモール、カルバクロル、クロロフェン、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、クロロキシレノール、クロロクレゾール等のクロロフェノール系抗菌剤;O-フェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノールが挙げられ、なかでもダイクロサンが好ましい。
【0040】
(d-3)成分としては、下記一般式(d-3-1)で表されるビグアニド系化合物や塩酸クロロヘキシジン(1,1’-Hexamethylene bis [5-(4-chlorophenyl)biguanide] dihedrochloride)などを用いることができる。
-[R21-NH-C(NH)-NH-C(NH)-NH]-n・HY・・・(d-3-1)
式(d-3-1)中、R21は炭素数2~8のアルキレン基であり、好ましくは炭素数4~8のアルキレン基であり、特にヘキサメチレン基であり、nは2~14であり、好ましくは10~14であり、より好ましくは11~13であり、特に好ましくは12である。HYは有機酸又は無機酸を示し、好ましくは塩酸、グルコン酸又は酢酸であり、特に塩酸が最も好ましい。
(d-3)成分としては、一般式(d-3-1)においてR21がヘキサメチレン基であり、nが10~14であるものが好適であり、更にはnが11~13であるポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩が最も好適である。
好ましいポリヘキサメチレンビグアニド抗菌剤は市販のものを用いることができる。例えば前記一般式(d-3-1)のR21がヘキサメチレン基であり、nが12であり、HYが塩酸である、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩(商品名Proxel IB(登録商標))を使用できる。
【0041】
(D)成分の含有量は、洗浄液の総質量に対し0.008~700質量ppmが好ましい。前記下限値以上であると消臭効果に優れ、上限値以下であると再汚染防止効果(汚れが再度被洗物に付着するのを防止する効果)を向上しやすい。
前記方法(1)において、洗浄液の総質量に対して(D)成分の含有量が0.008~60質量ppmであることが好ましく、0.04~50質量ppmがより好ましく、0.08~25質量ppmがさらに好ましい。
前記方法(2)において、浸漬処理における洗浄液の総質量に対して(D)成分の含有量Xdが0.1~700質量ppm、洗濯処理における洗浄液の総質量に対して(D)成分の含有量Ydが0.008~60質量ppm、かつXd≧Ydであることが好ましく、Xdが0.5~500質量ppm、Ydが0.04~50質量ppm、かつXd≧Ydであることがより好ましく、Xdが1~300質量ppm、Ydが0.08~25質量ppm、かつXd≧Ydであることがさらに好ましい。
【0042】
<その他の任意成分>
洗浄液は、前記の成分および水以外に、繊維製品の洗浄剤の分野で公知の成分を適宜含有させることができる。
例えば、酵素、pH調整剤、水混和性有機溶媒、金属イオン捕捉剤、酸化防止剤、防腐剤、風合い向上剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、ハイドロトロープ剤、着色剤、乳濁剤、蛍光剤、エキス等の任意成分が挙げられる。
その他の任意成分の合計の含有量(ただしpH調整剤の含有量は含まない。以下、同様。)は特に限定されないが、例えば、洗浄液の総質量に対し2000質量ppm以下が好ましく、8~1500質量ppmがより好ましく、40~1000質量ppmがさらに好ましい。
前記方法(1)において、洗浄液の総質量に対して任意成分の合計の含有量が200質量ppm以下であることが好ましく、8~150質量ppmがより好ましく、40~100質量ppmがさらに好ましい。
前記方法(2)において、浸漬処理における洗浄液の総質量に対して任意成分の合計の含有量Xsが2000質量ppm以下、洗濯処理における洗浄液の総質量に対して任意成分の合計の含有量Ysが200質量ppm以下、かつXs≧Ysであることが好ましく、Xsが100~1500質量ppm、Ysが8~150質量ppm、かつXs≧Ysであることがより好ましく、Xsが500~1000質量ppm、Ysが40~100質量ppmであることがさらに好ましい。
【0043】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、アンモニア等が挙げられる。これらのなかでも、液体洗浄剤の経時安定性の面から、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶媒であり、液体洗浄剤において公知のものを使用できる。
例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール等の炭素数2~4の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200~5000のポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン等の炭素数2~4の多価アルコール;及び
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ダイセル社製セルトールEDGAC(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。
【0045】
<洗浄液>
本発明の洗浄液は、(A)成分と(B)成分を含み、洗浄液の総質量に対して、(A)成分の含有量が40~1500質量ppm、(B)成分の含有量が100~5000質量ppmであり、(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6である。
本発明の洗浄液は、p-クレゾールが付着している繊維製品など、消臭効果が必要な繊維製品の洗浄液として好適である。
【0046】
本発明の洗浄液は、(A)成分と(B)成分を含み、(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸およびマロン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が前記式(b-1)で表されるノニオン界面活性剤であり、洗浄液の総質量に対して、(A)成分の含有量が500~1500質量ppm、(B)成分の含有量が1200~5000質量ppmであり、(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6であることが好ましい。
本発明の洗浄液は、(A)成分と(B)成分と(C)成分を含み、(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸およびマロン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が前記式(b-1)で表されるノニオン界面活性剤であり、(C)成分が前記(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分を含み、洗浄液の総質量に対して、(A)成分の含有量が500~1500質量ppm、(B)成分の含有量が1200~5000質量ppm、(C)成分の含有量が1~150質量ppmであり、(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6であることが好ましい。
本発明の洗浄液は、(A)成分と(B)成分と(D)成分を含み、(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸およびマロン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が前記式(b-1)で表されるノニオン界面活性剤であり、(D)成分が前記(d-1)成分、(d-2)成分及び(d-3)成分からなる群から選択される少なくとも1種であり、洗浄液の総質量に対して、(A)成分の含有量が500~1500質量ppm、(B)成分の含有量が1200~5000質量ppm、(D)成分の含有量が0.1~700質量ppmであり、(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6であることが好ましい。
本発明の洗浄液は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分を含み、(A)成分がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸およびマロン酸からなる群から選択される少なくとも1種であり、(B)成分が前記式(b-1)で表されるノニオン界面活性剤であり、(C)成分が前記(C1)成分、(C2)成分、(C3)成分を含み、(D)成分が前記(d-1)成分、(d-2)成分及び(d-3)成分からなる群から選択される少なくとも1種であり、洗浄液の総質量に対して、(A)成分の含有量が500~1500質量ppm、(B)成分の含有量が1200~5000質量ppm、(C)成分の含有量が1~150質量ppm、(D)成分の含有量が0.1~700質量ppmであり、(B)/(A)が5未満であり、かつpHが2~6であることが好ましい。
【実施例
【0047】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1に示す液体洗浄剤の配合に従って、pH調整剤以外の各成分を混合し、表1に示す液体洗浄剤のpHの値となるようpH調整剤を加えて、液体洗浄剤を調製した。
下記の洗浄方法(1)または(2)に従い、各例で得られた液体洗浄剤を水で希釈した洗浄液を用いて、p-クレゾールが付着している繊維製品を洗浄処理した。表1に、洗浄液における各成分の含有量を示す。
表において、液体洗浄剤の配合の単位は「質量%」であり、いずれの成分も純分換算量を示す。洗浄液における各成分の含有量の単位は「質量ppm」であり、液体洗浄剤の組成と希釈倍率に基づいて算出した値である。
表中の空欄はその成分が配合されていないことを示す。
「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
【0048】
<(A)成分>
A-1:クエン酸:関東化学株式会社製、試薬「くえん酸」。
<(B)成分>
B-1:LMAO:炭素数12~14の天然アルコール(プロクター・アンド・ギャンブル社製、商品名「CO-1214」)に、平均15モルのエチレンオキシドを付加した化合物。
<(C)成分>
C-1:表2に示す香料組成物。表中の「DPG」はジプロピレングリコールである。
<(D)成分>
D-1:PHMB:ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩。
<任意成分>
PEG:ポリエチレングリコール(水混和性有機溶媒)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「PEG1000」。
PTS-H:パラトルエンスルホン酸(ハイドロトロープ剤)、協和発酵工業(株)製、商品名:PTS酸。
安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(防腐剤)、東亜合成株式会社製。
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)、商品名「SUMILZER BHT-R」、住友化学株式会社製。
pH調整剤(NaOH):鶴見曹達(株)製、商品名:水酸化ナトリウム。
水。
【0049】
<p-クレゾールが付着している繊維製品>
介護家庭10家庭から、普段洗濯をしても尿臭が気になる衣類(下穿き)を回収して用いた。回収した衣類を一辺が10cmの正方形に裁断し試験布とした。
下記の方法で試験布からの揮発成分を分析したところp-クレゾールが検出された。これにより試験布にp-クレゾールが付着していることを確認した。
[p-クレゾールの検出方法]
試験布1枚を封入したバイアル瓶を40℃条件下で30分静置した後、ヘッドスペースをガスクロマトグラフ質量分析計にて測定し、該当するピークが検出されることを確認した。
【0050】
<洗浄方法(1)>
洗浄試験器として、Terg-O-tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。
各例の液体洗浄剤0.75gを、合計900gになるよう水と混合して洗浄液を調製した。
洗浄試験器に、25℃の洗浄液900mL、試験布10枚、および洗浄メリヤス布(チャージ布)を入れ、120rpmで20分間洗濯処理した。試験布と洗浄メリヤス布の合計は45g、浴比は20倍とした。
次に、試験布および洗浄メリヤス布を、二槽式洗濯機(東芝社製、製品名「銀河3.6」)に移し、1分間脱水後、水道水(25℃、3゜DH)40Lを加え、5分間標準ですすぎ処理した。その後、1分間脱水した後、室内(25℃)で自然乾燥した。
【0051】
<洗浄方法(2)>
洗浄方法(1)と同じ洗浄試験器を用いた。
各例の液体洗浄剤0.75gを、合計75gになるよう水と混合して洗浄液を調製した。
洗浄試験器に、25℃の洗浄液75mL、試験布10枚を入れ、2時間放置して浸漬処理した。
2時間放置後、洗浄液に対する液体洗浄剤の含有量が833.3質量ppmとなるように、25℃の水道水を加えて希釈し、浴比が20倍となるように洗浄メリヤス布(チャージ布)を加え、120rpmで10分間洗濯処理した。
次に、洗浄方法(1)と同様に、試験布および洗浄メリヤス布を二槽式洗濯機に移し、脱水、すすぎ処理、脱水、および自然乾燥を行った。
【0052】
なお、表には、浸漬処理における洗浄液に対する各成分の含有量を記載する。
実施例7の、浸漬処理後の洗濯処理で使用した洗浄液の組成は実施例1と同じである。 比較例7の、浸漬処理後の洗濯処理で使用した洗浄液の組成は比較例6と同じである。
【0053】
<消臭効果の評価方法>
6名のパネラーが試験布の臭いを嗅いで、下記の評価基準に基づいて臭気強度を6段階で評価した。各パネラー毎に10枚の臭気強度の平均点を算出し、臭気強度の点数として、この点数が高いほど臭気が弱いことを表す。
さらに、6名のパネラーの臭気強度の平均を官能評価の平均点とし、下記の基準で消臭効果を評価した。結果を表に示す。
(臭気強度の評価)
5点:異臭が全くしない。
4点:異臭がやっと感知できる程度に感じられる。
3点:異臭が弱く感じられる。
2点:異臭がやや強く感じられる。
1点:異臭が強く感じられる。
0点:異臭が強烈に感じられる。
(評価基準)
◎:官能評価の平均点が4.0以上。
○:官能評価の平均点が3.5以上、4.0未満。
△:官能評価の平均点が2.5以上、3.5未満。
×:官能評価の平均点が2.5未満。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表1に示されるように、実施例1~7では良好な消臭効果が得られた。特に洗浄方法(2)を用いた実施例7は消臭効果に優れる。
(A)成分を含まない比較例1、および(A)成分の含有量が少ない比較例2は、消臭性能が不充分であった。
(B)成分を含まない比較例3、(B)成分の含有量が少ない比較例4は、消臭性能が不充分であった。
(B)/(A)が大きすぎる比較例5は消臭効果が不充分であった。
洗浄液のpHが7である比較例6、7は消臭性能が不充分であった。