(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】反射型液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1335 20060101AFI20220104BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G02F1/1335 520
G02F1/1335 510
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2017253034
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】関 克矢
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-209225(JP,A)
【文献】特開2000-352669(JP,A)
【文献】特開2009-229729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
画像表示面を有する反射型液晶表示パネルと、
前記光源から出射された光に含まれる互いに偏光軸が直交する二種類の直線偏光のうち一方の直線偏光のみを透過させる偏光板と、
前記偏光板を透過した前記一方の直線偏光を前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面に向けて反射すると共に、前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面から出射された前記一方の直線偏光とは偏光軸が直交する他方の直線偏光を透過させる光透過反射面を有する偏光ビームスプリッターと、
前記反射型液晶表示パネルと前記偏光ビームスプリッターとの間に配置された
第一の透明部材と、
前記偏光ビームスプリッターを挟んで前記第一の透明部材と対向する位置に配置された第二の透明部材と、
前記第二の透明部材を収容する筐体と、を備え
た、
反射型液晶表示装置であって、
前記
第一の透明部材は、前記偏光板を透過した前記一方の直線偏光が入射する第一の面と、前記偏光ビームスプリッターの前記光透過反射面と対向する第二の面と、前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面と対向する第三の面と、を有
し、
前記第二の透明部材は、前記第一の透明部材の前記第二の面と対向する第一の面と、前記第二の透明部材の内部を伝播する光を観察者側へ出射させる第二の面と、前記筐体の側面と対向する第三の面と、前記反射型液晶パネルの前記画像表示面の周囲に位置する領域と対向する第四の面と、を有し、
前記筐体は、前記第二の透明部材の前記第二の面から出射した光を通過させる開口部を有し、
前記開口部の周囲に位置する前記筐体の少なくとも一部は、前記第二の透明部材の前記第二の面の一部を覆う突出部を有し、
前記第二の透明部材は、前記筐体の前記突出部に覆われた領域に、前記第二の透明部材の前記第二の面と前記第三の面と前記第四の面とで囲まれた部分として形成された、前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面から出射された光の光軸に沿った断面が矩形状の突出部を有し、
前記第二の透明部材の前記突出部は、前記筐体の前記突出部と前記筐体の側面と前記反射型液晶表示パネルとで囲まれた実質的に前記第二の透明部材の前記突出部と同形状の空間に係合し、
前記偏光板を透過して前記
第一の透明部材の前記第一の面から前記透明部材の内部へ入射した前記一方の直線偏光が前記
第一の透明部材の前記第三の面に入射した際の光の
入射角をθ1とし、前記
第一の透明部材の内部において前記透明部材の前記第二の面と前記第三の面とが成す角度をα2とした場合、以下の式が成り立つことを特徴とする反射型液晶表示装置。
α2=θ1/2
【請求項2】
前記
第一の透明部材の内部において前記
第一の透明部材の前記第一の面と前記第三の面とが成す角度をα1とした場合、以下の式が成り立つことを特徴とする請求項1に記載の反射型液晶表示装置。
69°≦α1+α2≦80°
【請求項3】
前記第二の透明部材の内部において前記第二の透明部材の前記第一の面と前記第二の面とが成す角度をβ1とした場合、以下の式が成り立つことを特徴とする請求項
2に記載の反射型液晶表示装置。
α2=β1
【請求項4】
前記第二の透明部材の前記突出部の表面には、光を吸収する遮光層が形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の反射型液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、反射型液晶表示装置の小型化、特に、反射型液晶表示装置の低背化は、観測者と液晶表示パネルの距離を近づけることで、液晶表示パネルの視認性や集光効率を向上させるために必要な技術とされている。
図2は、従来の反射型液晶表示装置を示す縦断面図である。従来の反射型液晶表示装置では、回路基板1の同一面上に反射型液晶表示パネル2と光源3が配置されており、光源3の上方には、光源3から出射する光が反射型液晶表示パネル2の上方に配置された湾曲形状の偏光ビームスプリッター7へ向かって出射するように、反射板4が傾斜して配置されている。反射板4から偏光ビームスプリッター7へと進む光路上には、光を拡散させる拡散板5と、互いに偏光軸が直交する二種類の直線偏光のうち一方の直線偏光(以下P波とする)のみを透過させる偏光板6が配置されている。偏光ビームスプリッター7は、P波を反射し、それと偏光軸が直交する直線偏光(以下S波とする)を透過させるもので、偏光板6から偏光ビームスプリッター7に入射したP波を反射型液晶表示パネル2の画像表示面へ垂直に入射させるようにその傾斜角と光透過反射面の曲率が決められ、筐体8に保持されている。
【0003】
反射型液晶表示パネル2は、電源オフ状態でP波がそのまま液晶を通過するように構成されており、偏光ビームスプリッター7側から垂直に入射したP波はそのまま液晶を通過し、反射型液晶表示パネル2の裏面側に設けられた反射要素(反射電極等)で垂直に反射され、反射されたP波は再び偏光ビームスプリッター7へ向かって進む。偏光ビームスプリッター7はP波を透過しない状態に配置されているため、反射型液晶表示パネル2で反射されたP波は遮断され、電源オフ状態では黒表示状態となる。
【0004】
一方、反射型液晶表示パネル2は、電源オン状態ではP波をS波へと変換し、S波はP波と同様に反射型液晶表示パネル2の裏面側で反射され、偏光ビームスプリッター7へ向かって進む。偏光ビームスプリッター7はS波を透過する状態に配置されているので、電源オン状態では白表示となる。
【0005】
以上のプロセスは反射型液晶表示パネル2の画素毎に行われ、偏光ビームスプリッター7を透過したS波が観察者の目9に入射し、映像として視認される。(例えば、特許文献1~3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-61699号公報
【文献】特開2011-107453号公報
【文献】特開2006-234973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、液晶表示装置は高輝度を実現するために、観察者の目へほぼ垂直に光が入射するように設計される。従来の反射型液晶表示装置では、反射型液晶表示パネルでP波がほぼ垂直に反射するように偏光ビームスプリッターの傾斜角や曲率が決定されているため、最低でもそれを許容するだけの筐体の高さが必要であった。近年、反射型液晶表示装置の小型化が求められているが、そのために単に筐体の高さを低くすると、以下のような問題が生じる。
図3は、従来の反射型液晶表示装置において筐体の高さを低くした状態を示す縦断面図である。
図3に示すように、従来の反射型液晶表示において筐体8の高さを低くすると、筐体8に保持されている偏光ビームスプリッター7の傾斜角も小さくなる。この状態で、偏光板6を透過して偏光ビームスプリッター7に入射したP波は反射型液晶表示パネル2側に反射されるが、偏光ビームスプリッター7の傾斜角が小さいため、P波は反射型液晶表示パネル2の画像表示面へ斜めに入射し、反射型液晶表示パネル2からの反射光も観察者の目9から離れる方向へ出射することから観察者の目9に届く光は減少し、その分、画像の輝度が低下することとなる。
【0008】
本発明は、以上の問題に鑑みたもので、画像の輝度を確保しつつ小型化することが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
光源と、
画像表示面を有する反射型液晶表示パネルと、前記光源から出射された光に含まれる互いに偏光軸が直交する二種類の直線偏光のうち一方の直線偏光のみを透過させる偏光板と、前記偏光板を透過した前記一方の直線偏光を前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面に向けて反射すると共に、前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面から出射された前記一方の直線偏光とは偏光軸が直交する他方の直線偏光を透過させる光透過反射面を有する偏光ビームスプリッターと、前記反射型液晶表示パネルと前記偏光ビームスプリッターとの間に配置された第一の透明部材と、前記偏光ビームスプリッターを挟んで前記第一の透明部材と対向する位置に配置された第二の透明部材と、前記第二の透明部材を収容する筐体と、を備えた、反射型液晶表示装置であって、前記第一の透明部材は、前記偏光板を透過した前記一方の直線偏光が入射する第一の面と、前記偏光ビームスプリッターの前記光透過反射面と対向する第二の面と、前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面と対向する第三の面と、を有し、前記第二の透明部材は、前記第一の透明部材の前記第二の面と対向する第一の面と、前記第二の透明部材の内部を伝播する光を観察者側へ出射させる第二の面と、前記筐体の側面と対向する第三の面と、前記反射型液晶パネルの前記画像表示面の周囲に位置する領域と対向する第四の面と、を有し、前記筐体は、前記第二の透明部材の前記第二の面から出射した光を通過させる開口部を有し、前記開口部の周囲に位置する前記筐体の少なくとも一部は、前記第二の透明部材の前記第二の面の一部を覆う突出部を有し、前記第二の透明部材は、前記筐体の前記突出部に覆われた領域に、前記第二の透明部材の前記第二の面と前記第三の面と前記第四の面とで囲まれた部分として形成された、前記反射型液晶表示パネルの前記画像表示面から出射された光の光軸に沿った断面が矩形状の突出部を有し、前記第二の透明部材の前記突出部は、前記筐体の前記突出部と前記筐体の側面と前記反射型液晶表示パネルとで囲まれた実質的に前記第二の透明部材の前記突出部と同形状の空間に係合し、前記偏光板を透過して前記第一の透明部材の前記第一の面から前記透明部材の内部へ入射した前記一方の直線偏光が前記第一の透明部材の前記第三の面に入射した際の光の入射角をθ1とし、前記第一の透明部材の内部において前記透明部材の前記第二の面と前記第三の面とが成す角度をα2とした場合、以下の式が成り立つ反射型液晶表示装置とする。
α2=θ1/2
【0010】
前記第一の透明部材の内部において前記第一の透明部材の前記第一の面と前記第三の面とが成す角度をα1とした場合、以下の式が成り立つ反射型液晶表示装置とすることができる。
69°≦α1+α2≦80°
【0011】
前記第二の透明部材の内部において前記第二の透明部材の前記第一の面と前記第二の面とが成す角度をβ1とした場合、以下の式が成り立つ反射型液晶表示装置とすることができる。
α2=β1
【0012】
前記第二の透明部材の前記突出部の表面には、光を吸収する遮光層が形成されている反射型液晶表示装置とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、画像の輝度を確保しつつ反射型液晶表示装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明における反射型液晶表示装置の一実施形態を示す縦断面図
【
図3】従来の反射型液晶表示装置において筐体の高さを低くした状態を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明における反射型液晶表示装置の一実施形態を示す縦断面図である。本発明における反射型液晶表示装置の一実施形態は、従来の反射型液晶表示装置と同様に、以下の構成を備えている。回路基板1の同一面上には、反射型液晶表示パネル2と光源3が配置されており、光源3の上方には、光源3から出射した光が反射型液晶表示パネル2の上方に配置された偏光ビームスプリッター7へ向かって反射されるように、反射板4が傾斜して配置されている。反射板4から偏光ビームスプリッター7へと進む光路上には、光を拡散させる拡散板5と、P波のみを透過させる偏光板6が配置されている。偏光ビームスプリッター7は、P波を反射し、S波を透過させるもので、偏光板6を透過して偏光ビームスプリッター7に入射したP波を反射型液晶表示パネル2の画像表示面へほぼ垂直に入射させるように傾斜して配置されている。
【0019】
ここで、
図1に示す本実施形態の反射型液晶表示装置と
図3に示す従来の反射型液晶表示装置とを比較すると、本実施形態では、筐体8の高さが従来よりも低背化されており、それに伴い反射型液晶表示パネル2の画像表示面に対する反射板4、拡散板5、偏光板6、偏光ビームスプリッター7の角度が従来よりも小さくなっている。また、従来の反射型液晶表示装置では、偏光ビームスプリッター7は筐体8の外形に沿うように筐体8の外表面付近に配置されていたが、本実施形態では、偏光ビームスプリッター7は筐体8の内部の中央付近に配置されている。本実施形態では、筐体8が従来よりも低背化されている分だけ各部品の設置位置も無駄が生じないように考慮され、全体として反射型液晶表示装置が小型化されている。
【0020】
筐体8の内部には、偏光ビームスプリッター7と反射型液晶表示パネル2との間に第一の透明部材10が配置され、偏光ビームスプリッター7を挟んで反射型液晶表示パネル2と対向する位置に第二の透明部材11が配置されている。偏光ビームスプリッター7は第一の透明部材10と第2の透明部材11とで挟み込まれるように配置されている。第一の透明部材10は三角柱状とされ、第二の透明部材11は台形柱状とされており、それらの一側面を反射型液晶表示パネル2の画像表示面上に寝せた状態で互いに重なるように配置されている。
【0021】
筐体8の上部には反射型液晶表示パネル2の画像表示面から出射された光を通過させる開口部8aが設けられており、開口部8aは筐体8の内側から第二の透明部材11で塞がれている。開口部8aの周囲に位置する筐体8の一部には開口部8aへ向かって突出する突出部8bが設けられており、突出部8bはそれと対向する第二の透明部材11の外周部と反射型液晶表示パネル2の外周部とを観察者側から遮蔽している。
【0022】
第一の透明部材10と第二の透明部材11は、例えば光の屈折率が1.5程度のアクリル樹脂で構成されるが、筐体8内部の部品の設置位置や反射型液晶表示パネル2の大きさや形状等に応じて、屈折率や材質を変更することもできる。
【0023】
第一の透明部材10は、偏光板6の光出射面と対向する第一の面10aと、偏光ビームスプリッター7の光透過反射面と対向する第二の面10bと、反射型液晶表示パネル2の画像表示面と対向する第三の面10cとを有し、第一の面10aと第三の面10cは、各々の一辺において互いに接続され、第二の面10bは、互いに接続された第一の面10aと第三の面10cの一辺とは反対側に位置する各々の一辺において第一の面10aと第三の面10cに接続されている。
【0024】
第一の透明部材10の第一の面10aは、偏光板6の光出射面と平行となるように、且つ偏光板6の光出射面に空気層を介して近接して配置されている。尚、第一の透明部材10の第一の面10aは、偏光板6の光出射面に空気層を介さずに例えば透明な接着部材等を介して密着して配置されていても良い。
【0025】
第一の透明部材10の第三の面10cは、反射型液晶表示パネル2の画像表示面と平行となるように、且つ反射型液晶表示パネル2の画像表示面に空気層を介して近接して配置されている。尚、第一の透明部材10の第三の面10cは、偏光板6の光出射面に空気層を介さずに例えば透明な接着部材等を介して密着して配置されていても良い。
【0026】
第一の透明部材10の第二の面10bは、偏光ビームスプリッター7の光透過反射面と平行となるように、且つ偏光ビームスプリッター7の光透過反射面に空気層を介して近接して配置されている。尚、第一の透明部材10の第二の面10bは、偏光ビームスプリッター7の光透過反射面に空気層を介さずに例えば透明な接着部材等を介して密着して配置されていても良い。
【0027】
第一の透明部材10の形状は、三角柱状のみに限定されず、例えば
図1に示すように配置された状態で上側の角部が面取りされた台形柱状であっても良い。このような台形柱状に形成することで第一の透明部材10の高さを抑制することができ、反射型液晶表示装置の低背化に繋がる。
【0028】
第二の透明部材11は、偏光ビームスプリッター7の光透過反射面と対向する第一の面11aと、筐体8の開口部8aと対向する第二の面11bと、光源3とは反対側の位置する筐体8の側面と対向する第三の面11cと、反射型液晶表示パネル2の画像表示面の周囲に位置する領域と対向する第四の面11dを有し、第一の面11aと第二の面11bは、各々の一辺において互いに接続され、第三の面11cと第四の面11dは、互いに接続された第一の面11aと第二の面11bの一辺とは反対側に位置する各々の一辺においてそれぞれ第二の面11bと第一の面11aに接続され、それらが接続された一辺とは反対側に位置する各々の一辺において互いに接続されている。
【0029】
第二の透明部材11の外周部のうち第三の面11cが設けられた部位は、
図1に示すように筐体8の開口部8aから側面へ向かって突出する断面(反射型液晶表示パネル2の画像表示面から出射された光の光軸に沿った断面)が矩形状の突出部11eを構成している。第二の透明部材11の突出部11eは、筐体8の開口部8aの周囲に設けられた筐体8の突出部8bにより、上から反射型液晶表示パネル2の外周部に向かって押さえ込まれるようにして固定され、必要に応じて筐体8の突出部8bと接着部材等で固定されている。第二の透明部材11の突出部11eは、筐体8の側面と突出部8bとで覆われており、偏光ビームスプリッター7から出射した光が第二の透明部材11を通過する際に発生した不要な散乱光の一部は、第二の透明部材11の突出部11eにおいて、筐体8の側面と突出部8bに吸収される。第二の透明部材11の突出部11eは、筐体8の突出部8bと筐体8の側面と反射型液晶表示パネル2の外周部とで囲まれた実質的に突出部11eと同形状の空間に係合し、構造的に安定した状態で保持されている。
【0030】
第二の透明部材11の突出部11eにおいて、第二の透明部材11の第二の面11bと第三の面11cには、例えばマットインク等の黒塗料を塗布することで、遮光層が形成されていても良い。この構成によれば、第二の透明部材11の突出部11eにおいて、不要な散乱光を遮光層で吸収することができる。
【0031】
第一の透明部材10の第一の面10aと第三の面10cとが成す角度(内角)α1と、第一の透明部材10の第二の面10bと第三の面10cとが成す角度(内角)α2と、第一の透明部材10の光の屈折率は、第一の透明部材10の第一の面10aから第一の透明部材10の内部へ入射した光(P波)が反射型液晶表示パネル2の画像表示面側へ効率良く伝播するように設定されるのが望ましく、特に第一の透明部材10の角度α2と第一の透明部材10の屈折率は、第一の透明部材10の第一の面10aから第一の透明部材10の内部へ入射した光(P波)の主光束が、第一の透明部材10の第二の面10bと第三の面10cで全反射されて第一の透明部材10の内部を伝播し、反射型液晶表示パネル2の画像表示面の上方において光の入射角が臨界角θ以内になったところで、第一の透明部材10の第二の面10bから出射し、偏光ビームスプリッター7により反射されて反射型液晶表示パネル2の画像表示面へほぼ垂直に入射するように決定されるのが望ましい。臨界角θはスネルの法則から以下の式1に基づき決定される。ここで、nAは空気層の屈折率、nBは第一の透明部材10の屈折率である。
sinθ=nA/nB ・・・式1
【0032】
ここで、第一の透明部材10の内部においては、第一の透明部材10の第三の面10cにおける光の入射角をθ1とし、第一の透明部材10の第二の面10bにおける光の入射角をθ2とすると、数学的に、θ1=90°-(180°-90°-2×θ2)という式が成り立つことから、この式を変形して、以下の式2が導き出される。
θ2=θ1/2 ・・・式2
【0033】
また、第一の透明部材10の内部においては、数学的に、180°-90°-θ2=180°-90°-α2という式が成り立つことから、この式を変形して、以下の式3が導き出される。
θ2=α2 ・・・式3
【0034】
また、式2と式3を整理して、以下の式4が導き出される。
α2=θ1/2 ・・・式4
【0035】
式4は、第一の透明部材10の第一の面10aから入射した光が第二の面10bと第三の面10cとの間を効率良く全反射しながら伝播する条件を示している。即ち、第一の透明部材10の第二の面10bと第三の面10cとが成す角度α2が、第一の透明部材10の第三の面10cにおける光の入射角θ1の半分となるように設計することで、第一の透明部材10の第一の面10aから入射した光をそれとは反対側へ効率良く伝播させることができる。
【0036】
第一の透明部材10の角度α2は、例えば25°前後であるが、この角度には限定されない。
【0037】
また、第一の透明部材10の角度α2は、例えば以下の式5を満たすことで、第一の透明部材10の高さを抑えつつ、光源3からの光を第一の透明部材10の第一の面10aから効率良く入射させることができる。ここで、角度α1は、第一の透明部材10の第一の面10aと第三の面10cとが成す角度(内角)である。尚、式5の値が69°よりも小さい場合には、第一の透明部材10の高さはより減少するが、光源3からの光が第一の透明部材10の第一の面10aから入射し難くなり、それとは逆に、式5の値が80°よりも大きい場合には、光源3からの光は第一の透明部材10の第一の面10aから入射し易くなるが、第一の透明部材10の高さが増加し、小型化の妨げとなる。
69°≦α1+α2≦80° ・・・式5
【0038】
第一の透明部材10の屈折率、角度α1、角度α2は、観察者の目9が必要とする視野角と反射型液晶表示装置の大きさなどを考慮して決定され、例えば、空気層の屈折率を1とし、第一の透明部材10の屈折率を1.5とし、視野角0°(観察者の目9に垂直)だけの光を考えた場合、式2は、以下の通りとなる。
sinθ=1/1.5
【0039】
この場合、第一の透明部材10の第三の面10cにおける光の入射角θ1は、41.8°となり、第一の透明部材10の角度α2は、式4により約21°となるから、光源3からの光を第一の透明部材10の内部で効率良く全反射させるためには、第一の透明部材10の角度α2は、21°前後であることが望ましい。
【0040】
また、第一の透明部材10の角度α2は、以下の式6を満たすことが望ましい。ここで、角度β1は、第二の透明部材11の第一の面11aと第二の面11bとが成す角度(内角)である。つまり、本実施形態では、第一の透明部材10の第三の面10cと第二の透明部材11の第二の面11bは、互いに平行であることが望ましく、このようにすることで、反射型液晶表示パネル2の画像表示面から出射された光を効率良く観察者の目9へ導くことができる。
α2=β1 ・・・式6
【0041】
本実施形態において、光源3から出射された光の主光束は、
図1中矢印で示されるように、反射板4で反射され、拡散板5と偏光板6を透過してP波となり、空気層を経由して第一の透明部材10の第一の面10aに入射する。第一の面10aに入射したP波は、第一の透明部材10の内部を、第一の透明部材10の第二の面10bと第三の面10cとの間で全反射しながら伝播し、その一部が第一の透明部材10の第二の面10bから外部へ出射して偏光ビームスプリッター7に入射する。偏光ビームスプリッター7に入射したP波は、偏光ビームスプリッター7で反射され、第一の透明部材10の第二の面10bに入射し、第一の透明部材10の内部を経由して、第一の透明部材10の第三の面10cから外部へ出射して反射型液晶表示パネル2の画像表示面に入射する。反射型液晶表示パネル2の画像表示面に入射したP波は、そこで映像光(P波とS波の混合光)となって偏光ビームスプリッター7側へ反射され、第一の透明部材10、偏光ビームスプリッター7、第二の透明部材11を順次経由して、第二の透明部材11の第二の面11bから外部へ出射し、観察者の目9に画像として入射する。
【0042】
光源3は、その光出射面が偏光板6の光入射面と対向する位置に配置されていても良い。
【0043】
第一の透明部材10と第二の透明部材11は、互いに同じ屈折率の部材で構成されていても良いが、互いに異なる屈折率の部材で構成されていても良い。
【0044】
第一の透明部材10と第二の透明部材11の形状は、互いに同じであっても良いが、互いに異なっていても良い。
【0045】
第一の透明部材10と第二の透明部材11は、可視光を実質的に透過する材料であれば、無色透明の材料に限らず、着色された材料などで構成されていても良い。
【0046】
第二の透明部材11の突出部11eの表面に形成される遮光層は、黒塗料やマットインクに限定されず、画像の色味等に応じてその他の色や質感のものであっても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 回路基板
2 反射型液晶表示パネル
3 光源
4 反射板
5 拡散板
6 偏光板
7 偏光ビームスプリッター
8 筐体
8a 開口部
8b 突出部
9 観察者の目
10 第一の透明部材
10a 第一の面
10b 第二の面
10c 第三の面
11 第二の透明部材
11a 第一の面
11b 第二の面
11c 第三の面
11d 第四の面
11e 突出部