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  • 特許-睡眠の質改善剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】睡眠の質改善剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/19 20060101AFI20220104BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20220104BHJP
   A23L 33/12 20160101ALI20220104BHJP
【FI】
A61K31/19
A61P25/20
A23L33/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018065782
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019172642
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】坪田 潤
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/060367(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02818177(EP,A1)
【文献】特開2017-201906(JP,A)
【文献】Neuropharmacology,2014年,Vol.79,p.399-404
【文献】J. Sleep Res.,2016年,Vol.25,p.116-123
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 31/00-31/80
A61K 33/00-33/11
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
A23L 33/00-33/29
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3ヒドロキシ酪酸単量体を有効成分とする経口剤である睡眠の質改善剤。
【請求項2】
レム睡眠潜時を改善する請求項1に記載の睡眠の質改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠の質改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
3ヒドロキシ酪酸やその塩(以下3HBと称する、また、3HBと称する場合、特にその単量体を指すものとする)は、もともと人の体内に存在する物質であるため生体親和性が高く、糖質に代わる画期的なエネルギー源として期待されている。また、3HBは単なるエネルギー源という役割だけでなく、様々な遺伝子の発現やタンパク質の活性に影響するシグナル伝達物質としての作用があることがわかってきた。3HBは、例えば、遺伝子発現調節作用によって、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害することによって認知機能や、長期持続記憶を改善することが知られ、アルツハイマーの予防に有効性が確認されている。例えば、ココナツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸の摂取および体内での代謝により生成される3HBが、脳や体内において糖質をうまく利用できないアルツハイマー病、糖尿病の患者の症状を改善させる効果を持つことが知られている。また、3HBは体内において糖質よりも速やかにエネルギーに変換されること、細胞への脂肪や糖の吸収を抑制する効果を有することから、アスリート向けのエネルギー物質、ダイエット・健康食品分野への応用が期待できる。
【0003】
一方、睡眠は、大脳の活動がほとんど停止しているノンレム睡眠と全身は脱力状態にあるが脳の一部は活発に活動し夢を見ているレム睡眠の2種に大別される。この2種の眠りが一定の間隔で繰り返され、眠りが形成される。良質な睡眠には、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(入眠潜時)が短く、十分なノンレム睡眠時間と深いノンレム睡眠、特に睡眠初期の十分に深いノンレム睡眠の確保が必要である。また、高齢者では低年齢者と比較してノンレム睡眠時間が大きく減少しており、加齢により睡眠の質が低下していることが報告されている。
【0004】
睡眠の質の低下として、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(入眠潜時)が長かったり、ノンレム睡眠の時間が短かったり、深いノンレム睡眠が得られていないなどの要因が挙げられる。これらに対し医薬品の睡眠薬が利用される場合がある。しかし、睡眠薬を利用する際には医師の診断が必要である。睡眠薬には目覚めの悪さ、記憶障害、依存性などの副作用がある。このように睡眠薬は、手軽に安全に利用することが困難な場合が多い。
【0005】
そこで、医薬品以外で、天然成分や飲食品からの睡眠改善剤の研究開発が盛んに行われており、種々の睡眠改善剤が提案されている。このような睡眠改善剤の有効成分としては、例えば、ナス科ウィザニア属植物由来成分(特許文献1)、アキノワスレグサの発酵処理物(特許文献2)、茶葉由来のテアミン(特許文献3)、高麗人参エキス(非特許文献1)などが提案されている。しかしながら、入眠潜時やノンレム睡眠の時間と深さに対するこれらの成分の効果は明らかではなく、睡眠の質を改善する作用は十分ではない。また、清酒酵母が睡眠の質の改善に有用であるとの報告もあるが、レム睡眠潜時の改善については十分な効果が認められるには至っていない(非特許文献2)。
【0006】
このような中、3HBのオリゴマーが睡眠等の導入剤として有効であることも報告されている(特許文献4)。
【0007】
尚、3HBは、各種微生物にポリ3ヒドロキシ酪酸(以下PHBと称する)を生産させたのち、得られたPHBを酵素等により分解することにより得ることができる(特許文献5)。3HBを人に投与可能な形態としては、3HBをオリゴマーとして静脈投与可能にすることが知られている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-28051号公報
【文献】特開2006-62998号公報
【文献】国際公開第2005/097101号公報
【文献】特開2005-65652号公報
【文献】特開2010-168595号公報
【文献】特開平06-321778号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Young Ho Rhee,et al.,Psychopharmacology,101,p.486-488(1990)
【文献】J sleep Res.,25,p.116-123(2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、睡眠の質を改善するには、睡眠の導入を改善するだけでは不十分であり、さらに睡眠の質改善剤の有効成分の探索が行われている。また、睡眠の質を改善するにあたっては、経口投与による簡易な使用形態とすることが求められている
【0011】
したがって、本発明は上記実状に鑑み、経口投与によっても睡眠の質改善効果を奏する睡眠の質改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の睡眠の質改善剤の特徴構成は、3HBの単量体を有効成分とする経口剤である点にある。
【0013】
本発明者らは、鋭意研究の結果、3HBの単量体が、レム睡眠潜時を改善する睡眠の質改善効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によると、3HBは、経口投与によって、睡眠の質改善効果を発揮するため、簡便かつ安全に睡眠の質改善効果を期待できる。また、睡眠の質としては、特にレム睡眠潜時を改善するため、ノンレム睡眠・レム睡眠の睡眠リズムサイクルが改善し、充実した睡眠に寄与する。
【0014】
本発明における「睡眠の質」とは、睡眠により疲れた身体および脳を休めることができることを意味する。睡眠時間が長くても睡眠の質が伴わなければ、疲れを十分に取ることはできない。睡眠の質を測る指標としては、例えば、就寝からノンレム睡眠出現までの時間(以下、入眠潜時という。)、睡眠初期のノンレム睡眠の深さ(レム睡眠潜時)、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合(ノンレム深睡眠)、起床時の眠気のなさ、寝つき並びに熟眠感、夢見、睡眠時間の満足感および疲労感が挙げられる。このうち、入眠潜時、睡眠初期のノンレム睡眠の深さ、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合、起床時の眠気のなさ、寝つき並びに熟眠感、夢見および疲労感が好ましい。これらの評価指標は種々公知の手法を用いて評価できる。
【0015】
本発明における「睡眠の質を改善する」とは、上記の睡眠の質が改善または向上したことを意味する。睡眠の質が改善されていることは、例えば、入眠潜時が短縮されること(入眠潜時)、睡眠初期のノンレム睡眠が深いこと(レム睡眠潜時)、睡眠時間全体に占めるノンレム睡眠時間の割合が増加していること(ノンレム深睡眠)、起床時の眠気のなさが改善されていること、寝つきと熟眠感が改善されていること、夢見が改善されていること(例えば、頻繁に夢を見ることまたは悪夢を見ることがなくなる)、および疲労回復感の増加(疲労感の軽減)からなる群より選ばれる1つ以上から判断できる。また、これらの複数から判断してもよい。入眠潜時、レム睡眠潜時、ノンレム深睡眠、寝つきと熟眠感などの睡眠の質が改善されていることは、実施例の条件にて確認することができる。起床時の眠気のなさ、夢見の改善、疲労回復感については実施例の測定条件で直接的に改善したとすることはできないが、上記睡眠指標の改善が当然に他の指標改善にも結び付いていると想像することができる。
【0016】
本発明の睡眠の質改善剤によれば、効果的に睡眠の質を改善することができる。また、3HBは元来生体にも含まれる物質であるから、これを有効成分とする本発明の睡眠の質改善剤は、生体に対し安全であり、利用者は安心して使用できる。
【0017】
すなわち、3HBは、静脈投与する必要がなく、経口投与可能であるから簡便にヒトに投与することができ、また、入眠導入の改善のみではなく、従来改善が困難であった睡眠リズムサイクルの改善に寄与することで、睡眠の質低下が関連する疾病、例えば、糖尿病、心疾患、高血圧、高脂血症、アルツハイマー等の疾病の予防および治療への応用が期待される。従って、本発明の睡眠の質改善剤は、飲食品、医薬品、医薬部外品等の最終製品として有用である。
【発明の効果】
【0018】
したがって、様々な睡眠障害の改善に対して利用が期待され、特にレム睡眠潜時の改善に対する利用が期待される経口投与可能な睡眠の質改善剤を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】各睡眠指標の3HB摂取効果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の睡眠の質改善剤を説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0021】
〔睡眠の質改善剤〕
本発明の実施形態にかかる睡眠の質改善剤は、3ヒドロキシ酪酸単量体(3HB)を有効成分とするものであり、経口投与で、レム睡眠潜時を改善する目的で使用することができる。
【0022】
3HBは、単量体であれば、同一の効果を奏するものと考えられ、3HBの単量体そのものに限らず、3HBの塩(たとえば3ヒドロキシ酪酸ナトリウムなど)の形で提供されるものであってもよい。
【0023】
また、睡眠の質改善剤としては、3HBの他種々の成分を含有していてもよく、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などの薬学的に許容可能な添加剤が挙げられる。これらの中から、睡眠の質改善効果、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわず、かつ、最終製品の剤形に応じた添加剤を1種または2種以上選択することができる。また、3HB以外の睡眠の質改善剤等の有効成分を含有してもよい。
【0024】
本発明の睡眠の質改善剤は、そのままの形態で、最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)として用いることができる。また、飲食品用の添加剤、医薬用の添加剤、医薬部外品用の添加剤として用いることができる。これにより、飲食品、医薬品、医薬部外品に、睡眠の質改善効果を付与することができる。
【0025】
本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の投与形態は特に限定されない。例
えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(静脈内投与、筋肉
内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中
でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与であることがより好ましい。
【0026】
本発明の睡眠の質改善剤および睡眠の質改善組成物の剤形は、特に限定されない。経口
投与される際の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状(
錠剤)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフト
カプセル剤)、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。非経口投与する場合の
剤形の例としては、液剤(注射剤、点鼻剤)、霧状(噴霧剤、吸入剤)などが挙げられる
【0027】
3HBは、種々公知の方法で製造することができる。たとえば、3HBは、3HB生産性のハロモナス菌を添加した発酵プロセスを行い、得られた発酵液からハロモナス菌を分離除去し、精製することにより得られる。発酵プロセスは、果汁等の糖質栄養源を含有する原料液に、3HB生産性のハロモナス菌をそのまま添加し、好気発酵、微好気発酵を順に行うプロセス(特開2013-081403号公報等参照)として実施することができる。これにより、糖質が3HBに変換され、発酵液中に生産されることになる。生産された3HBは、常法にて、膜分離、分離精製を経たのち、純粋な3HBとして用いられる。
【0028】
睡眠の質改善剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。目的の効果を得る好ましい投与量は、3HBの一日当たりの量として、0.5~25gが好ましく、1~5gがより好ましい。
【0029】
本発明の睡眠の質改善剤は、例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)等の飲食品として用いることができる。中でも、各種飲料として利用することが好ましい。たとえば、3HBをpH4~5程度に中和した5%3HB塩水溶液として1日1回100mLを就寝前に摂取する利用形態が想定される。3HBが睡眠を改善する機序については不明であるが、日中の摂取でも同程度の睡眠の質改善効果を見込むことができる。
【0030】
本発明の睡眠の質改善剤は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用することができる。中でも、健康食品、機能性食品とすることが好ましい。
【0031】
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により説明する。
【0032】
〔睡眠の質改善効果〕
(実験方法)
ヒト被検体に対して、5%の3HB水溶液からなる睡眠の質改善剤を、4日間就寝前に100mLずつ摂取させたときの睡眠指標を観測する。
【0033】
測定は、脳波計(Sleepscope,Sleepwell社製)を用いて行った。
睡眠指標としては、
(1)第1睡眠周期のδパワー値(μV/分) :睡眠初期のノンレム睡眠の深さ
(2)睡眠効率(%) :就床中、寝ていた時間の割合(眠りの質全般)
(3)中途覚醒(%) :途中で起きたり、寝返り・歯ぎしりなどで動いた時間の割合
(4)ノンレム深睡眠(%) :深い睡眠の時間の割合(熟眠度)
(5)レム睡眠潜時(分) :ノンレム睡眠・レム睡眠のリズムサイクル(リズム)
(6)入眠潜時(分) :寝つくまでにかかった時間(寝つき)
を測定して評価した。
【0034】
睡眠指標は、ヒト被検体が睡眠の質改善剤を摂取していない4日間の測定値、および、摂取した4日間の測定値を、それぞれ平均して求めたものを、対比した。その結果、図1のようになった。
【0035】
また、これらの改善効果の割合(改善比率)を、
(改善比率)=(摂取した場合)/(摂取しなかった場合)
として求め、本実施例による改善比率と非特許文献2に記載の改善比率(測定に用いた脳波計は、本実施例と同じ)と比較したところ、表1のようになった。
【0036】
【表1】
【0037】
図1および表1より、3HBを摂取した場合は、摂取しなかった場合に比べ、
(1)第1睡眠周期のδパワー値が大きくなり、ノンレム睡眠の深さが改善し、
(2)睡眠効率が向上し、眠りの質全般が改善し、
(3)中途覚醒が減少し、睡眠途中での覚醒や動きが少なくなり、
(4)ノンレム深睡眠 ノンレム3が増加し、深い睡眠の時間が長くなり、
(5)レム睡眠潜時が短くなり、睡眠のリズムが大きく改善している、
(6)入眠潜時が短くなり、寝つきが良くなっている、
ことがわかった。
【0038】
図1および表1を検討すると、(1)~(6)の評価項目に関する睡眠の質改善剤の効果は、有効成分の種類によって異なることがわかる。3HBは、各評価項目に対して全般的に有効に働いており、睡眠の質改善剤として有効であることが分かった。また、非特許文献2の有効成分では効果が認められていなかった(1)、(5)の評価項目で優れた効果を発揮することから、レム睡眠潜時を改善する睡眠の質改善剤として特に有効であるといえる。尚、本実施例では、眠りの質の評価項目として脳波計にて測定可能な6項目をとり、総合的に評価するものとしているが、いずれか1項目としてもよく、これらから選ばれる複数種であってもよい。この場合、3HBの効果の大きなレム睡眠潜時を評価項目に含めることが望ましい。またさらに、寝つき感、夢見、疲労感等、パネラーに対するアンケート調査等による評価項目を追加して含めることもできる。すなわち、3HBの単量体は、これら評価項目を眠りの質として改善する睡眠の質改善剤として利用できることがわかる。
【0039】
尚、種々の有効成分が睡眠の質のいずれの評価項目に有効に作用するかについては、現状相関関係は見出されていない。たとえば、評価項目(6)に関して、入眠障害に効果が期待される有効成分が、評価項目(1)―(5)に関して、中途覚醒、早期覚醒、熟眠障害(睡眠の質)にも効果があるとは限らない。そのため、3HBの単量体は、評価項目(5)のレム睡眠潜時を改善する睡眠の質改善剤の有効成分として、従来と異質な効果を有する睡眠の質改善剤の有効成分として新たなものであり、評価項目(1)~(6)を全般的に改善する有効成分として、従来よりも顕著な効果を有する睡眠の質改善剤の有効成分といえるものであることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の睡眠の質改善剤は、睡眠の質改善に用いることができ、特にレム睡眠潜時を改善する睡眠の質改善剤として利用することができる。
図1