(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】大容量メータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
G01F3/22 D
(21)【出願番号】P 2018087166
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】越智 毅
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6448464(JP,B2)
【文献】特許第4408479(JP,B2)
【文献】実開昭49-11656(JP,U)
【文献】実開昭52-117227(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を通流する気体の流量を計測する計測器にて計測された値を示す非補正指針と、前記計測器にて計測された値を補正した補正値を示す補正指針とを備え、筐体の内部に配設された前記非補正指針を視認する視認窓が設けられた大容量メータであって、
前記視認窓に合わせた開口部を有する金属基板が前記筐体に固設され、
前記金属基板が前記筐体に固設された固設状態で、前記視認窓及び前記開口部を介して前記非補正指針を外部から視認可能な開放姿勢と外部からの視認を禁止する閉止姿勢とで切り替え可能な開閉蓋を、前記金属基板の表面に沿う摺動方向で摺動自在な状態で前記金属基板に取り付ける取付治具を備える大容量メータ。
【請求項2】
前記開閉蓋には、前記摺動方向に沿って延びるスライド溝が設けられ、
前記取付治具は、
前記開閉蓋を取り付ける取付状態において、前記開閉蓋の厚み方向で前記筐体の外側である筐体外側から前記筐体の内側である筐体内側へ向かって延びる棒形状を有し、
前記開閉蓋を取り付ける前記取付状態において、前記スライド溝に嵌入すると共に前記開閉蓋の厚み方向で前記開閉蓋の厚みよりも厚い嵌入部位と、
前記開閉蓋を取り付ける前記取付状態において、前記開閉蓋の厚み方向で前記嵌入部位よりも前記筐体外側に前記スライド溝の溝幅よりも大径の抜け止め部位とを有する請求項1に記載の大容量メータ。
【請求項3】
前記金属基板は、当該金属基板の厚み方向に開口する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記金属基板が前記筐体に固設される前記固設状態で、前記金属基板の厚み方向において前記筐体側の端部に、孔内壁から孔軸心に向かって延びる円環状のフランジ部を有すると共に、
前記取付治具は、前記開閉蓋を取り付ける前記取付状態において、前記嵌入部位よりも前記筐体内側に前記貫通孔に嵌り込む嵌合部位と、当該嵌合部位よりも前記筐体内側に前記筐体に形成された雌螺子部に螺合する雄螺子部位を有し、
前記筐体の雌螺子部に前記取付治具の雄螺子部位が螺合して、前記取付治具の前記嵌合部位が前記筐体との間に前記フランジ部を挟持する形態で、前記金属基板が前記筐体に固設される請求項2に記載の大容量メータ。
【請求項4】
前記取付治具は、前記抜け止め部位を有する第1治具と、前記嵌入部位と前記嵌合部位と前記雄螺子部位とを有する第2治具とから構成され、前記第1治具と前記第2治具とが着脱自在に構成されている請求項3に記載の大容量メータ。
【請求項5】
前記金属基板の前記表面には、前記取付治具が前記開閉蓋を取り付ける取付状態において、前記摺動方向に沿って延設され且つ前記金属基板の前記表面から突出する形状で、前記開閉蓋の前記摺動方向での摺動をガイドする突出ガイド部が設けられている請求項1~4の何れか一項に記載の大容量メータ。
【請求項6】
前記金属基板は、前記表面に前記開閉蓋との摺動抵抗を低減する摺動抵抗低減加工が施され、前記摺動抵抗低減加工は、前記金属基板の前記表面に真鍮の薄膜を被覆する表面処理である請求項1~5の何れか一項に記載の大容量メータ。
【請求項7】
前記金属基板と前記筐体との間には液体の流通を阻止するパッキンが設けられている請求項1~6の何れか一項に記載の大容量メータ。
【請求項8】
内部を通流する気体の流量を計測する計測器にて計測された値を示す非補正指針と、前記計測器にて計測された値を補正した補正値を示す補正指針とを備え、筐体の内部に配設された前記非補正指針を視認する視認窓が設けられた大容量メータであって、
揺動軸を揺動軸心周りで回動自在に枢支する枢支部を、前記筐体に固設する状態で備え、
前記揺動軸に連結されて前記揺動軸心周りで揺動する開閉蓋を、前記視認窓を介して前記非補正指針を外部から視認可能な開放姿勢と外部からの視認を禁止する閉止姿勢とで切り替え自在に備える大容量メータ。
【請求項9】
前記開閉蓋は、前記閉止姿勢において、前記筐体に近い側から順に設けられる内蓋と外蓋とから構成されている請求項8に記載の大容量メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を通流する気体の流量を計測する計測器にて計測された値を示す非補正指針と、前記計測器にて計測された値を補正した補正値を示す補正指針との双方を備え、筐体の内部に配設された前記非補正指針を視認する視認窓が設けられた大容量メータに関する。
【背景技術】
【0002】
大容量メータには、内部を通流する気体(例えば、都市ガス13A)の流量を計測する計測器にて計測された値を示す非補正指針と、計測器にて計測された値を気体の温度及び圧力等に基づいて補正した補正値を示す補正指針とが備えられている(大容量メータの特徴を示す資料がないため、先行技術文献を開示できない)。
通常、大容量メータは、検針員が補正指針の値を検針し料金計算に用い、非補正指針の値は大容量メータに異常が発生した場合等に用いるため、補正指針は外部から視認できるよう配設されると共に、非補正指針は大容量メータの筐体の内部に配設され、外部から簡単に視認できないように構成されている。具体的には、筐体に非補正指針用の視認窓が形成されると共に、当該視認窓を金属蓋で閉止すると共に螺子等により固定している。そして、計量性能に異常が生じた可能性がある場合に、非補正指針を確認するべく、専門の技能を有する作業者が工具を使用し、金属蓋を取り外す作業を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した作業は、作業者の手間がかかると共に、メータの破損(螺子がなめる等の破損)や部品紛失(螺子、金属蓋の損失)、作業者の怪我等のリスクにもつながっており、改善の余地があった。
【0004】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、非補正指針を補正指針と誤認する虞を低減しながらも、メータの破損や部品紛失、作業者の怪我等のリスクを低減できる大容量メータを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための大容量メータは、
内部を通流する気体の流量を計測する計測器にて計測された値を示す非補正指針と、前記計測器にて計測された値を補正した補正値を示す補正指針とを備え、筐体の内部に配設された前記非補正指針を視認する視認窓が設けられた大容量メータであって、その特徴構成は、
前記視認窓に合わせた開口部を有する金属基板が前記筐体に固設され、
前記金属基板が前記筐体に固設された固設状態で、前記視認窓及び前記開口部を介して前記非補正指針を外部から視認可能な開放姿勢と外部からの視認を禁止する閉止姿勢とで切り替え可能な開閉蓋を、前記金属基板の表面に沿う摺動方向で摺動自在な状態で前記金属基板に取り付ける取付治具を備える点にある。
【0006】
上記特徴構成によれば、筐体の表面に、非補正指針を視認する視認窓に合わせた開口部を有する金属基板を設けることで、当該金属基板の表面に対して、他の部材を摺動自在に備えて、摺動させたとしても筐体の損傷を防止することができる。
そして、当該金属基板の表面に対して、取付治具により、開閉蓋を表面に沿う摺動方向で摺動自在に取り付けることで、非補正指針を読む必要がない場合は、開閉蓋を閉止姿勢に維持すると共に、非補正指針を読む必要がある場合には、工具を用いた特別な操作をすることなく、開閉蓋を摺動移動させて開放姿勢として、非補正指針を読み出すことができる。
これにより、非補正指針を補正指針と誤認する可能性は低くしながらも、メータの破損や部品紛失、作業者の怪我等のリスクを低減できる大容量メータを実現できる。
【0007】
大容量メータの更なる特徴構成は、
前記開閉蓋には、前記摺動方向に沿って延びるスライド溝が設けられ、
前記取付治具は、
前記開閉蓋を取り付ける取付状態において、前記開閉蓋の厚み方向で前記筐体の外側である筐体外側から前記筐体の内側である筐体内側へ向かって延びる棒形状を有し、
前記開閉蓋を取り付ける前記取付状態において、前記スライド溝に嵌入すると共に前記開閉蓋の厚み方向で前記開閉蓋の厚みよりも厚い嵌入部位と、
前記開閉蓋を取り付ける前記取付状態において、前記開閉蓋の厚み方向で前記嵌入部位よりも前記筐体外側に前記スライド溝の溝幅よりも大径の抜け止め部位とを有する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、取付治具が、スライド溝に嵌入すると共に開閉蓋の厚み方向で開閉蓋の厚みよりも厚い嵌入部位を有すると共に、開閉蓋の厚み方向で嵌入部位よりも筐体外側にスライド溝の溝幅よりも大径の抜け止め部位とを有することにより、開閉蓋と抜け止め部位との間に間隙を形成できるから、開閉蓋を金属基板の表面にてすべり抵抗を十分に小さくして摺動性の高い状態を維持しながらも、開閉蓋の筐体外側への抜け落ちを良好に防止できる。
【0009】
大容量メータの更なる特徴構成は、
前記金属基板は、当該金属基板の厚み方向に開口する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記金属基板が前記筐体に固設される前記固設状態で、前記金属基板の厚み方向において前記筐体側の端部に、孔内壁から孔軸心に向かって延びる円環状のフランジ部を有すると共に、
前記取付治具は、前記開閉蓋を取り付ける前記取付状態において、前記嵌入部位よりも前記筐体内側に前記貫通孔に嵌り込む嵌合部位と、当該嵌合部位よりも前記筐体内側に前記筐体に形成された雌螺子部に螺合する雄螺子部位を有し、
前記筐体の雌螺子部に前記取付治具の雄螺子部位が螺合して、前記取付治具の前記嵌合部位が前記筐体との間に前記フランジ部を挟持する形態で、前記金属基板が前記筐体に固設される点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、取付治具により、筐体の雌螺子部に取付治具の雄螺子部位が螺合して、取付治具の嵌合部位が筐体との間にフランジ部を挟持する形態で、金属基板を筐体に固設することができる。
即ち、本発明の取付治具は、金属基板を筐体に良好に固設しながらも、当該金属基板の表面に対して、開閉蓋を摺動自在に取り付けることができる。
【0011】
大容量メータの更なる特徴構成は、
前記取付治具は、前記抜け止め部位を有する第1治具と、前記嵌入部位と前記嵌合部位と前記雄螺子部位とを有する第2治具とから構成され、前記第1治具と前記第2治具とが着脱自在に構成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、金属基板を第1治具にて筐体に対して固設した後に、開閉蓋を第2治具にて金属基板に対して摺動自在に取り付けることができ、作業性の高い取付治具を実現できる。
【0013】
大容量メータの更なる特徴構成は、
前記金属基板の前記表面には、前記取付治具が前記開閉蓋を取り付ける取付状態において、前記摺動方向に沿って延設され且つ前記金属基板の前記表面から突出する形状で、前記開閉蓋の前記摺動方向での摺動をガイドする突出ガイド部が設けられている点にある。
【0014】
例えば、開閉蓋が、一又は二のスライド溝のみを有し、夫々のスライド溝において一の取付治具にてスライド自在に取り付ける構成を採用する場合、開閉蓋が摺動する際、スライド溝の延設方向と摺動方向がズレてしまう虞がある。
上記特徴構成によれば、突出ガイド部が、開閉蓋の摺動方向での摺動をガイドするから、摺動方向をスライド溝の延設方向に良好に沿わせることができる。
【0015】
これまで説明してきた大容量メータとしては、
前記金属基板は、前記表面に前記開閉蓋との摺動抵抗を低減する摺動抵抗低減加工が施され、前記摺動抵抗低減加工は、前記金属基板の前記表面に真鍮の薄膜を被覆する表面処理であることが好ましい。
【0016】
これにより、金属基板の表面における開閉蓋の摺動を、より一層滑らかに実現することができる。
【0017】
大容量メータの更なる特徴構成は、
前記金属基板と前記筐体との間には液体の流通を阻止するパッキンが設けられている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、筐体と金属基板との間を介して、筐体外部から筐体内部へ雨水等が侵入することを防止できる。
【0019】
上記目的を達成するための大容量メータは、
内部を通流する気体の流量を計測する計測器にて計測された値を示す非補正指針と、前記計測器にて計測された値を補正した補正値を示す補正指針とを備え、筐体の内部に配設された前記非補正指針を視認する視認窓が設けられた大容量メータであって、その特徴構成は、
揺動軸を揺動軸心周りで回動自在に枢支する枢支部を、前記筐体に固設する状態で備え、
前記揺動軸に連結されて前記揺動軸心周りで揺動する開閉蓋を、前記視認窓を介して前記非補正指針を外部から視認可能な開放姿勢と外部からの視認を禁止する閉止姿勢とで切り替え自在に備える点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、揺動軸及び当該揺動軸を回動自在に枢支する枢支部を備えることにより、開閉蓋を揺動軸心周りで揺動させることで、視認窓を開放する開放姿勢と閉止する閉止姿勢に切り替えることができる。結果、非補正指針を読む必要がない場合は、開閉蓋を閉止姿勢に維持すると共に、非補正指針を読む必要がある場合には、工具を用いた特別な操作をすることなく、開閉蓋を摺動移動させて開放姿勢として、非補正指針を読み出すことができる。
これにより、非補正指針を補正指針と誤認する虞を低減しながらも、メータの破損や部品紛失、作業者の怪我等のリスクを低減できる大容量メータを実現できる。
【0021】
大容量メータの更なる特徴構成は、
前記開閉蓋は、前記閉止姿勢において、前記筐体に近い側から順に設けられる内蓋と外蓋とから構成されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、開閉蓋を内蓋と外蓋とにより2重に設けるから、例えば、内蓋を筐体と密着性の高い材料から構成することで防水性能を持たせながらも、外蓋を金属材料から構成することで比較的高い強度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】開閉蓋が閉止姿勢にある場合の実施形態に係る大容量メータの側面図
【
図2】開閉蓋が開放姿勢にある場合の実施形態に係る大容量メータの側面図
【
図3】
図1におけるIII-III断面を一部含む図
【
図5】開閉蓋が閉止姿勢にある場合の別実施形態に係る大容量メータの正面図及び側面図
【
図6】開閉蓋が開放姿勢にある場合の別実施形態に係る大容量メータの正面図及び側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る大容量メータ100は、非補正指針S2を補正指針S1と誤認する虞を低減しながらも、メータの破損や部品紛失、作業者の怪我等のリスクを低減できるものに関する。以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る大容量メータ100を説明する。
【0025】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る大容量メータ100は、
図1~3に示すように、都市ガス13A(気体の一例)等を通流するガス配管に取り付けられ、中間圧以上の圧力で供給される場合に用いられるものであり、内部を通流する都市ガスの流量を計測する計測器(図示せず)にて計測された値を示す非補正指針S2と、計測器にて計測された値を補正した補正値を示す補正指針S1とを備え、筐体Kの内部に配設された非補正指針S2を視認する視認窓91(
図2に図示)が設けられている。
尚、補正指針S1及び非補正指針S2は、筐体Kに設けられる鍵穴81に鍵(図示せず)が挿入されることで指針値が表示されるように構成されており、表示される値は、鍵穴81の側脇に設けられる切換ボタン82が押下される毎に、例えば「流量⇒圧力⇒温度」等の如く、切り換え可能に構成されている。また、表示される圧力値び温度については、圧力計及び温度計83にて計測された値が用いられる。
当該計測器は、例えば、比較的大流量を計測可能なタービン式の計測器を用いることができ、タービン(図示せず)の回転数に応じた計測流量を導出すると共に、都市ガスの温度・圧力等に基づいて標準流量に補正する制御部(図示せず)を有する。制御部は、補正された標準流量を補正指針S1にて示すと共に、補正前の計測流量を非補正指針S2に示す。
【0026】
さて、当該大容量メータ100は、非補正指針S2が、通常状態において、外部から視認されない状態にするべく、以下のように構成されている。
大容量メータ100は、
図1~3に示すように、視認窓91と略同一形状の開口部11(
図2に図示)を有する金属基板10が筐体Kに固設され、金属基板10が筐体Kに固設された固設状態で、視認窓91及び開口部11を介して非補正指針S2を外部から視認可能な開放姿勢(
図1に示す姿勢)と外部からの視認を禁止する閉止姿勢(
図2に示す姿勢)とで切り替え可能な開閉蓋20を、金属基板10の表面に沿う摺動方向(
図1、2で矢印Zに沿う方向)で摺動自在な状態で金属基板10に取り付ける取付治具30を備えている。
視認窓91について説明を追加すると、筐体Kに形成される円形開口(図示せず)を介して、筐体Kの内部に非補正指針S2等が設けられ、当該円形開口を封止する封止蓋90が複数の螺子N1にて円形開口に取り付けられ、当該封止蓋90に対して視認窓91が形成されている。
【0027】
当該実施形態に係る大容量メータ100にあっては、摺動方向は、鉛直方向に沿う方向とし、開閉蓋20は、鉛直方向の上方にて開放姿勢となり、下方にて閉止姿勢となるように構成している。このため、検針員の指先等による操作により開放姿勢となった開閉蓋20は、操作が止められることにより、自重にて閉止姿勢に戻ることになる。当該構成により、開閉蓋20は、検針員が操作していない自然状態においては、閉止姿勢をとり、視認窓91は閉じられ外部から非補正指針S2の視認が禁止される。
【0028】
金属基板10は、強度、経年劣化、摺動性を考慮し、種々の金属に表面処理を施したものから構成することが好適であり、その表面には、摺動方向に沿って摺動する開閉蓋20の摺動抵抗を低減する摺動抵抗低減加工が施されている。当該摺動抵抗低減加工としては、金属基板10の表面に真鍮等の薄膜を被覆する表面処理が好適である。更に、金属基板10の表面には、取付治具30が開閉蓋20を取り付ける取付状態において、摺動方向に沿って延設され且つ表面から突出する形状で、開閉蓋20の摺動方向での摺動をガイドする突出ガイド部12が設けられている。当該突出ガイド部12は、
図1、2の側面視で略長方形状の開閉蓋20の摺動方向に沿う両方の側面をガイドする形態で、一対設けられている。
更に、金属基板10は、金属基板の厚み方向に開口する一対の貫通孔13aを有している。貫通孔13aは、金属基板10が筐体Kに固設される固設状態で、金属基板10の厚み方向(
図3で矢印Xに沿う方向)において筐体K側の端部に、孔内壁から孔軸心に向かって延びる円環状のフランジ部13bを有している。金属基板10は、当該貫通孔13a及びフランジ部13bを用いて、後述する取付治具30にて筐体Kに固設される。
【0029】
開閉蓋20は、摺動方向(
図1、2で矢印Zに沿う方向)に沿って延びる一対のスライド溝21が設けられている。開閉蓋20は、
図1、2に示す側面視において、開閉蓋20が開放姿勢と閉止姿勢の何れにある場合にも、一対のスライド溝21が金属基板10の貫通孔13aと重畳するように、取付治具30にて取り付けられる。尚、開閉蓋20は、強度、経年劣化、摺動性を考慮し、種々の金属に表面処理を施したものから構成することが好ましい。
【0030】
取付治具30は、
図1、2に示す側面視において、金属基板10の貫通孔13aと開閉蓋20のスライド溝21に重畳する状態で設けられる。
当該取付治具30は、開閉蓋20を取り付ける取付状態(
図1~3に示す状態)において、全体として、開閉蓋20の厚み方向(
図1~3で矢印Zに沿う方向)で筐体Kの外側である筐体外側から筐体Kの内側である筐体内側へ向かって延びる棒形状を有している。
【0031】
当該取付治具30は、
図3に示すように、上記取付状態において、スライド溝21に嵌入すると共に開閉蓋の厚み方向で開閉蓋の厚み(
図3でL2)よりも厚い(
図3でL1)嵌入部位30aと、上記取付状態において、開閉蓋20の厚み方向で嵌入部位30aよりも筐体外側(
図3で矢印Xの先端側)にスライド溝21の溝幅よりも大径の抜け止め部位N2を有している。
更に、取付治具30は、上記取付状態において、嵌入部位30aよりも筐体内側(
図3で矢印Xの基端側)に金属基板10の貫通孔13aに嵌り込む嵌合部位30bと、嵌合部位30bよりも筐体内側に筐体Kに形成された雌螺子部90aに螺合する雄螺子部位30cを有する。これにより、筐体Kの雌螺子部90aに取付治具30の雄螺子部位30cが螺合して、取付治具30の嵌合部位30bが筐体Kとの間に金属基板10のフランジ部13bを挟持する形態で、金属基板10が筐体Kに固設される。
【0032】
即ち、取付治具30は、上記取付状態において、筐体外側(
図3で矢印Xの先端側)から順に、抜け止め部位N2、嵌入部位30a、嵌合部位30b、雄螺子部位30cを有するものであり、より詳細には、抜け止め部位N2から成る第1治具J1と、嵌入部位30aと嵌合部位30bと雄螺子部位30cとから成る第2治具J2とが、分離可能に構成されている。
第1治具J1は、その筐体内側(
図3で矢印Xの基端側)に、雄螺子N2aを有すると共に、第2治具J2は、その内部に雌螺子30dを有しており、第1治具J1の雄螺子N2aが第2治具J2の雌螺子30dに螺合する形態で、両者が締結されることになる。
【0033】
金属基板10の固設方法、及び開閉蓋20の取付方法について説明を追加する。
筐体Kの雌螺子部90aと金属基板10の貫通孔13aとを重畳させ、筐体Kの表面に対して金属基板10を配設している状態で、取付治具30の第2治具J2を軸回りに回動させながら、雄螺子部位30cを筐体Kの雌螺子部90aに螺合させる。これにより、第2治具J2の嵌合部位30bと筐体Kの表面との間に、金属基板10のフランジ部13bが挟持され、金属基板10が筐体Kに対して固設される。ここで、嵌入部位30aは、側面視(
図3で矢印Xに沿う方向視)で、六角形状をしており、スパナ等により回動可能な形状となっている。
更に、第2治具J2の嵌入部位30aに対して開閉蓋20のスライド溝21を位置合わせした状態で、金属基板10に開閉蓋20を載置し、第1治具J1の雄螺子N2aを第2治具J2の雌螺子30dに螺合させて締結する。このよう締結した場合でも、第2治具J2の嵌入部位30aの厚みが開閉蓋20の厚みよりも厚いため、第1治具J1の抜け止め部位N2と開閉蓋20との間に間隙Spが形成され、開閉蓋20の摺動方向における摺動を妨げることなく、開閉蓋20が抜け落ちることを防止している。ここで、第1治具J1の抜け止め部位N2の頂部には、十字の切欠が形成されており、ドライバ等により回動可能に構成されている。
【0034】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、摺動方向は鉛直方向に沿う方向としたが、鉛直方向と直交する方向等、他の方向であっても、本発明の目的を良好に達成することができる。
また、突出ガイド部12及びスライド溝21の夫々は、一対設けられ、スライド溝21の夫々に対して取付治具30を取り付ける構成を例示した。
しかしながら、突出ガイド部12及びスライド溝21の夫々は、単一であっても構わないし、3以上の複数であっても構わないし、両者の数が異なる構成も権利範囲に含むものとする。
【0035】
(2)上記第2実施形態において、
図4に示すように、筐体K(封止蓋90)との間に、雨水等の流体の通流を阻止するパッキンPaを設ける構成を採用しても構わない。
【0036】
(3)上記実施形態では、開閉蓋20を摺動方向で摺動させる構成を採用することで、視認窓91を開閉する構成を示した。
当該別実施形態では、上記実施形態において、金属基板10、開閉蓋20、及び取付治具30に係る構成を、他の構成にて実現するものである。従って、大容量メータ100の構成は、上記実施形態と同一の構成であるため、上記実施形態と同一の符号を付すと共にその説明を割愛する。
当該別実施形態に係る大容量メータ100は、
図5、6に示すように、揺動軸Jを揺動軸心P周りで回動自在に枢支する枢支部位40aを有する枢支部40を、筐体Kに固設する状態で備え、揺動軸Jに連結されて揺動軸心P周りで揺動する開閉蓋50を、視認窓91を介して非補正指針S2を外部から視認可能な開放姿勢(
図6に示す姿勢)と外部からの視認を禁止する閉止姿勢(
図5に示す姿勢)とで切り替え自在に備える。
ここで、開閉蓋50は、閉止姿勢において、筐体Kに近い側から順に設けられる内蓋41と外蓋20とから構成されている。
外蓋20と内蓋41とは、外蓋20に形成される長穴21と内蓋41に形成される貫通孔(図示せず)を貫通する状態で、螺子N2及びナットWにより締結されている。
【0037】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の大容量メータは、非補正指針を補正指針と誤認する虞を低減しながらも、メータの破損や部品紛失、作業者の怪我等のリスクを低減できる大容量メータとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 :金属基板
11 :開口部
12 :突出ガイド部
13a :貫通孔
13b :フランジ部
20 :開閉蓋
21 :スライド溝
30 :取付治具
30a :嵌入部位
30b :嵌合部位
30c :雄螺子部位
40 :枢支部
41 :内蓋
50 :開閉蓋
90a :雌螺子部
91 :視認窓
100 :大容量メータ
J :揺動軸
K :筐体
N2 :抜け止め部位
Pa :パッキン
S1 :補正指針
S2 :非補正指針