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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】デマンド制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20220104BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H02J3/14 130
H02J13/00 311T
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018122891
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020005408
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川野 裕希
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 利宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 義統
(72)【発明者】
【氏名】大谷 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 冬樹
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097841(JP,A)
【文献】特開2013-070584(JP,A)
【文献】特開2015-154580(JP,A)
【文献】特開2016-135040(JP,A)
【文献】特開2018-190115(JP,A)
【文献】国際公開第2011/080986(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/021502(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の設備の中から、前記各設備の稼動率を参照して省エネ制御の対象とする前記設備を抽出する抽出手段と、
前記各設備の稼動率及び前記各設備の削減可能な電力量を示す余力を参照して、前記抽出手段により抽出された前記設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を設定する設定手段と、
デマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測される場合、前記優先順位に従ってデマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が前記目標値を超えないように前記設備の運転を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするデマンド制御装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記施設の設備の中から、常時稼動している設備及び前記稼動率が所定値以下の設備を省エネ制御の対象外とすることを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御装置。
【請求項3】
前記余力は、デマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測された時点における、前記各設備の使用電力を実測して算出されることを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記各設備の省エネ制御の対象とする優先度を示す制御優先度、前記各設備の余力に対する信頼度、前記各設備の前記制御手段により制御対象となった頻度を示す制御回数、前記各設備の前記制御手段による制御開始から電力が削減できるまでに要した時間を示す応答性、又は前記各設備の設置エリアにおける所在人数のうち少なくとも1つを更に参照して前記各設備に対して前記優先順位を設定することを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御装置。
【請求項5】
前記設定手段は、少なくとも前記各設備の稼動率に基づき前記各設備に対して前記優先順位として優先レベルを設定し、
前記制御手段は、優先レベル単位に前記設備の運転を制御することを特徴とする請求項1に記載のデマンド制御装置。
【請求項6】
コンピュータを、
施設の設備の中から、前記各設備の稼動率を参照して省エネ制御の対象とする前記設備を抽出する抽出手段、
前記各設備の稼動率及び前記各設備の削減可能な電力量を示す余力を参照して、前記抽出手段により抽出された前記設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を設定する設定手段、
デマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測される場合、前記優先順位に従ってデマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が前記目標値を超えないように前記設備の運転を制御する制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デマンド制御装置及びプログラム、特に電力供給の制御対象とする設備の順位付けに関する。
【背景技術】
【0002】
デマンド制御では、デマンド時限内での使用電力量を予測し、予測した使用電力値が目標値を超えることが予測される場合に予め決められた省エネ制御を実施する。省エネ制御として、例えば、従来においては、ビル等の施設の各設備を、停止しても問題ない設備、できれば停止させたくない設備、停止できない設備等停止可能性に基づくレベル設定基準に従ってレベル分けし、レベル毎に見込める電力削減量(以下、「余力」)を設定する。レベルは、電力供給の制御対象とする設備の優先順位を表すことになるが、省エネ制御では、要求される電力削減量に応じてレベルの弱い設備(優先的に停止できる設備群)から順に電力の消費量が少ない運転に切り替える、若しくは設備の稼動を停止して電力の消費をなくすことによって使用電力量の削減目標を達成できるように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-97841号公報
【文献】特開2013-70584号公報
【文献】特開2016-135040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、レベル毎に設定された余力を参照して使用電力量の削減を図ろうとしても、例えば設備が省エネ制御により停止される前から停止している場合、期待する電力削減量が得られないことになる。
【0005】
本発明は、目標とする電力削減量をより確実に達成できるように設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデマンド制御装置は、施設の設備の中から、前記各設備の稼動率を参照して省エネ制御の対象とする前記設備を抽出する抽出手段と、前記各設備の稼動率及び前記各設備の削減可能な電力量を示す余力を参照して、前記抽出手段により抽出された前記設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を設定する設定手段と、デマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測される場合、前記優先順位に従ってデマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が前記目標値を超えないように前記設備の運転を制御する制御手段と、を有するものである。
【0007】
また、前記抽出手段は、前記施設の設備の中から、常時稼動している設備及び前記稼動率が所定値以下の設備を省エネ制御の対象外とするものである。
また、前記余力は、デマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測された時点における、前記各設備の使用電力を実測して算出されるものである。
【0008】
また、前記設定手段は、前記各設備の省エネ制御の対象とする優先度を示す制御優先度、前記各設備の余力に対する信頼度、前記各設備の前記制御手段により制御対象となった頻度を示す制御回数、前記各設備の前記制御手段による制御開始から電力が削減できるまでに要した時間を示す応答性、又は前記各設備の設置エリアにおける所在人数のうち少なくとも1つを更に参照して前記各設備に対して前記優先順位を設定するものである。
【0009】
また、前記設定手段は、少なくとも前記各設備の稼動率に基づき前記各設備に対して前記優先順位として優先レベルを設定し、前記制御手段は、優先レベル単位に前記設備の運転を制御するものである。
【0010】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、施設の設備の中から、前記各設備の稼動率を参照して省エネ制御の対象とする前記設備を抽出する抽出手段、前記各設備の稼動率及び前記各設備の削減可能な電力量を示す余力を参照して、前記抽出手段により抽出された前記設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を設定する設定手段、デマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測される場合、前記優先順位に従ってデマンド時限終了時点における前記施設の使用電力量が前記目標値を超えないように前記設備の運転を制御する制御手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各設備の稼動率を参照して設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を付けるようにしたので、目標とする電力削減量をより確実に達成することができる。
【0012】
また、施設の設備の中から優先順位付けの対象とする設備を事前に絞り込むようにしたので、優先順位付けに要する処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るデマンド制御装置の一実施の形態を含むシステム全体のブロック構成図である。
図2】本実施の形態におけるデマンド制御装置のハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態において利用する指標をリスト形式にて示す図である。
図4】本実施の形態におけるデマンド制御装置が実施する処理を示すフローチャートである。
図5】本実施の形態における制御対象設備抽出処理を示すフローチャートである。
図6】本実施の形態におけるレベル設定処理を示すフローチャートである。
図7】本実施の形態における指標データテーブルのデータ構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るデマンド制御装置の一実施の形態を含むシステム全体のブロック構成図である。図1には、サーバ2、入退管理システム4及びデマンド制御装置10が示されている。デマンド制御装置10は、デマンド制御に利用する設備情報、運転実績情報及び運用情報を、例えばビル管理システムに含まれる1又は複数のサーバコンピュータから取得するが、図1では、便宜的に1台のサーバ2にて図示している。
【0016】
設備情報には、各設備に関する情報が含まれている。例えば、各設備の種類、機種、型番、仕様(定格電力等)、設置場所等の情報が含まれる。運転実績情報には、各設備の運転実績に関する情報が含まれている。例えば、各設備の稼動状態(稼動又は非稼動)の別、使用電力量が含まれる。運用情報には、施設又は各設備の運用に関する情報が含まれている。例えば、施設における省エネ制御対象時間が含まれる。
【0017】
入退管理システム4は、デマンド制御装置10が設置される施設の入退室を管理するシステムである。デマンド制御装置10は、入退管理システム4から施設内における部屋等の各エリアの所在人数を取得する。
【0018】
デマンド制御装置10は、デマンド制御を行う装置であり、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えるかどうかを予測し、超えると予測した場合に目標値を超えないように施設の各設備の省エネ制御を実施する。具体的には、1又は複数の設備の運転を制限して使用電力量の削減目標を達成できるように制御する。「設備の運転の制限」というのは、電力の消費量が少ない運転に切り替える、若しくは設備の稼動を停止して電力の消費をなくすことを意味している。なお、以上の説明から明らかなように、施設には、省エネ制御の対象となり得る設備が設置されており、設備は、電力が供給されて動作する空調や照明等の電気設備である。
【0019】
なお、省エネ制御というのは、設備の運転を制限して当該設備での使用電力量を削減するための制御である。省エネ制御において設備の運転の究極的な制限は、設備の稼動の停止であるが、例えば、4本の蛍光管を持つ照明のうち2本の蛍光管を消灯させる場合は、電力の消費量が少ない運転に切り替える場合に相当する。ただ、本実施の形態における省エネ制御は、便宜的に設備の運転を停止するよう制御する場合を想定して説明する。つまり、省エネ制御と設備の運転の停止制御は同義として考えてよい。
【0020】
図2は、本実施の形態におけるデマンド制御装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態におけるデマンド制御装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、デマンド制御装置10は、図2に示すようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示手段として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)29を内部バス30に接続して構成される。
【0021】
図1に戻り、デマンド制御装置10は、指標データ生成部11、制御対象設備抽出部12、設備制御情報生成部13、デマンド制御部14、指標データ記憶部15、設備制御情報記憶部16及び制御実績情報記憶部17を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については図から省略している。
【0022】
指標データ生成部11は、設備制御情報生成部13が設備制御情報の生成に参照する指標データを生成する。指標データ生成部11に含まれる稼動率算出部111、余力算出部112及び制御優先度設定部113は、それぞれ指標データとなる稼動率、余力及び制御優先度を生成する。本実施の形態において取り扱う指標については後述する。制御対象設備抽出部12は、抽出手段として設けられ、各設備の稼動率を参照して、施設の設備の中からデマンド制御部14による省エネ制御の対象とする設備を抽出する。設備制御情報生成部13は、設定手段として設けられ、制御対象設備抽出部12により抽出された各設備に対して省エネ制御の対象とする優先順位を設定する。優先順位を設定する際、設備制御情報生成部13は、指標データを参照する。また、詳細は後述するように、設備制御情報生成部13は、指標データに基づき各設備に対して優先順位として優先レベル(以下、単に「レベル」)を設定する。デマンド制御部14は、デマンド制御を実行し、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測される場合、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が目標値を超えないように設備の運転を制御する。本実施の形態におけるデマンド制御部14は、設備制御情報生成部13が設定した優先順位、具体的には各設備に設定したレベル単位に設備の運転を制御する。
【0023】
指標データ記憶部15には、指標データ生成部11により生成される指標データが記憶される。また、設備制御情報記憶部16には設備制御情報生成部13により生成される設備制御情報が、制御実績情報記憶部17には、デマンド制御部14におけるデマンド制御の実行内容に関する情報が制御実績情報として記憶されるが、これら各情報の詳細は追って説明する。
【0024】
デマンド制御装置10における各構成要素11~14は、デマンド制御装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部15~17は、デマンド制御装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0025】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0026】
図3は、本実施の形態において設備をレベル分けする際に利用する指標に関する情報を示す図である。ここで、各指標について説明する。
【0027】
本実施の形態におけるデマンド制御では、デマンド時限内での施設における使用電力量を予測し、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えることが予測される場合、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が目標値を超えないように、1つ又は複数の設備の運転を制限(本実施の形態では、停止)するよう省エネ制御する。なお、目標値として電力会社との契約電力を設定してもよいし、それ以外(通常は契約電力未満)の使用電力量を設定してもよい。
【0028】
本実施の形態においては、各設備に優先順位を付け、優先順位順に運転を停止することによって目標とする電力削減量を達成できるようにする。目標とする電力削減量は、一般にデマンド時限終了時点において予測される施設の使用電力量から目標値を減算することで算出できるが、これに限る必要はない。
【0029】
本実施の形態では、各設備を複数のレベルに分類する。各設備が属するレベルが当該設備の優先順位に相当する。デマンド制御部14は、レベル単位に優先順位の高いレベルから順に運転を停止するよう制御する。各レベルには、1つ又は複数の設備が含まれることになるので、複数の設備に対して同時に運転が停止されることになる。つまり、制御対象となるレベルに含まれる各設備の余力の合計値分の使用電力量が削減可能となる。しかしながら、省エネ制御により停止される前に、制御対象の設備が停止していたとするならば、その設備の余力分の使用電力量は削減できないことになり、目標とする電力削減量を達成できなくなるおそれが生じる。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、各設備に優先順位を付ける際(本実施の形態では、設備にレベルを設定する際)、図3に示す指標を参照して優先順位を付けることで目標とする電力削減量をより確実に達成できるようにした。
【0031】
図3には、指標として、稼動率、制御優先度、余力、余力の信頼度、省エネ制御の回数、省エネ制御の応答性及び在室人数が示されている。
【0032】
稼動率は、各設備の稼動率である。稼動率が高いということは、省エネ制御が開始されるときに運転中である、すなわち電力を使用している可能性が高いことを示している。よって、稼動率の高い設備を優先的に停止制御対象とすることで、当該設備の余力分の使用電力量が削減できる可能性が高くなる。稼動率は、所定期間(例えば、1日)に対する稼動時間の比率で算出してもよいし、省エネ制御を行われる時間(例えば、就業時間)に対する稼動時間の比率で算出してもよい。また、複数期間の稼動率を平均して当該設備の稼動率としてもよい。稼動率算出部111は、制御対象設備抽出部12あるいは設備制御情報生成部13からの要求に応じてサーバ2の運用情報及び運転実績情報を参照して稼動率を算出する。
【0033】
制御優先度は、各設備の電力供給の制御対象とする優先度を示す指標であり、ビル管理者等のユーザが積極的に省エネ制御してもよいとする設備が優先的に制御対象となるよう各設備に設定する。例えば、社長室と廊下であれば、廊下の空調や照明等の設備が社長室に設置の設備より先に停止制御されるように高い制御優先度が設定される。ユーザが設定することで、施設利用者の不満を最小限にし、また快適性の低下を防止することが可能となる。制御優先度設定部113は、レベル設定処理の際に設定画面をディスプレイ27に表示して、各設備に対する制御優先度をユーザに入力させる。本実施の形態においては、制御優先度を“高”、“中”、“低”という3レベルで設定するようにしたが、これは一例であってその他のレベル数で設定してもよい。
【0034】
余力は、各設備の削減可能な電力を示す指標であり、各設備が省エネ制御を行った際に見込める削減電力である。余力の多い設備を優先的に制御することで必要最低限の設備で目標とする電力削減量の達成が可能となり、ユーザの不満を最小限にすることが可能となる。余力は、各設備に電力計を設置して稼動中の設備の使用電力を実測し算出してもよいし、各設備の定格電力を余力として設定してもよい。余力算出部112は、レベル設定処理の際にサーバ2の運転実績情報又は設備情報を参照して余力を算出する。本実施の形態では、図7に示すように余力を数値で設定するようにしたが、制御優先度のように複数のレベルで設定してもよい。
【0035】
余力の信頼度は、各設備の余力に対する信頼度を示す指標である。余力の信頼度は、各設備を省エネ制御した際の想定余力と実績余力の平均誤差を参照して得られる。なお、余力(絶対値)の大小を考慮して平均誤差率を参照してもよい。誤差(率)が少ない設備を優先的に制御対象とすることにより、電力削減量をより精度良く算出できるため、より確実な削減目標の達成が可能となる。指標データ生成部11は、レベル設定処理の際にサーバ2の設備情報及び運転実績情報を参照して平均誤差(率)を算出する。余力の信頼度は、数値で設定することを想定しているが、制御優先度のように複数のレベルで設定してもよい。
【0036】
省エネ制御の回数は、各設備のデマンド制御部14により制御対象となった頻度を示す制御回数を示す指標であり、直近の所定期間内における当該設備に対する省エネ制御の実施回数である。設備毎の省エネ制御の実施回数が同程度となるよう、すなわち実施回数の少ない設備を優先的に制御対象とすることにより、公平感を保つことが可能となる。指標データ生成部11は、レベル設定処理の際にサーバ2の運転実績情報を参照して所定期間内における省エネ制御の実施回数を取得する。
【0037】
省エネ制御の応答性は、各設備のデマンド制御部14による制御開始から電力が削減できるまでに要した時間を示す指標である。応答速度が速い設備を優先的に制御することにより、削減目標を達成するに当たり、削減目標に早期に収束させることが可能となる。指標データ生成部11は、レベル設定処理の際にサーバ2の運転実績情報又は設備情報を参照して省エネ制御の応答性を算出する。省エネ制御の応答性は、数値で設定することを想定しているが、制御優先度のように複数のレベルで設定してもよい。
【0038】
在室人数は、各設備の設置エリアにおける所在人数を示す指標である。所在人数が少ないエリアの設備を積極的に制御することでユーザの不満を最小限にすることが可能となる。指標データ生成部11は、レベル設定処理の際に入退管理システム4に問い合わせることによって当該エリアの所在人数を取得する。
【0039】
指標データ生成部11は、以上説明した指標を必要により生成すると、指標データ記憶部15の後述する指標データテーブルに設定登録する。
【0040】
次に、本実施の形態における動作について説明する。本実施の形態においてデマンド制御を実施するに当たり、施設の設備をレベル分けしておく必要がある。本実施の形態では、図3に示す指標に基づき設備のレベル分けを行って設備制御情報を生成することを特徴としている。そのために、本実施の形態においては、2段階のステップを踏む。すなわち、図4に示すように、施設の設備の中から、レベル分け対象とする設備、換言すると省エネ制御対象とする設備を抽出する制御対象設備抽出処理(ステップ10)と、抽出された各設備をレベル分けするレベル設定処理(ステップ20)と、を実行する。この処理は、デマンド制御とは独立して実行することは可能であるが、例えば在室人数のようにリアルタイムなデータを利用したい場合を考慮すると、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が目標値を超えることが予測された時点で実行するのが好適である。まず、制御対象設備抽出処理の詳細について図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0041】
稼動率算出部111は、施設の全設備に対する稼動率を算出する(ステップ101)。稼動率は、所定期間内に対する設備の稼動時間の比率により算出できるが、設備の稼動時間は、運転実績情報から取得可能である。また、所定期間は、前述したように全時間(例えば1日24時間)としてもよいし、設備の運用情報を参照して省エネ制御が行われる時間帯(例えば、就業時刻)を取得して稼動率を算出してもよい。
【0042】
制御対象設備抽出部12は、稼動率算出部111が算出した稼動率を取得すると、まず稼動率が100%の設備を制御対象候補から除外する(ステップ102)。稼動率が100%の設備というのは、例えばサーバ室の空調設備のように常時稼動させておくのが必須の設備と考えられる。なお、稼動率の算出対象とする期間の取り方にもよるが、例えばサーバ室の空調設備もメンテナンス時に一時停止させる場合もあるので、除外対象の稼動率を100%とせずに設備の運用等に応じて100%に近い所定の値に設定してもよい。
【0043】
続いて、制御対象設備抽出部12は、稼動率がX%以下の設備を制御対象候補から除外する(ステップ103)。例えば、X=0とした場合、この設備は、稼動率を算出するための所定期間において全く稼動していない設備ということになる。このような設備を省エネ制御の対象としても電力の削減は何ら見込めないため、最初から制御対象候補から除外する。このような理由からして、Xは0に近い数字とするのが好適であるが、実際には運用に応じて適宜設定すればよい。
【0044】
以上のようにして、制御対象設備抽出部12は、各設備の稼動率を参照して省エネ制御対象とする設備を抽出する。
【0045】
続いて、レベル設定処理の詳細について図6に示すフローチャートを用いて説明する。この処理では、指標データを参照してステップ20において抽出された各設備にレベルを設定することになるが、そのために図7に示す指標データテーブルを設定する(ステップ201)。すなわち、指標データテーブルには、ステップ10において抽出された各設備に対して制御優先度、余力及び稼動率の各指標データが設定される。前述したように、制御優先度設定部113は、設備に対する制御優先度をユーザに設定させる。稼動率算出部111は、サーバ2から必要な情報を取得して各設備の稼動率を算出する。余力算出部112は、サーバ2から必要な情報を取得して各設備の余力を算出する。
【0046】
なお、指標データ生成部11は、余力の信頼度等、指標データテーブルに含まれていないその他の指標データも生成可能であるが、ここでは、便宜的に稼動率に加えて制御優先度及び余力という3指標を用いてレベル分けする場合を例にして説明する。
【0047】
本実施の形態においては、ステップ10において抽出された設備に対して指標データテーブルを参照して以下の処理を実行するので、抽出しない場合と比較してレベル設定処理に要する処理負荷を軽減させることができる。なお、本処理の説明においては、ステップ10において省エネ制御の対象として抽出された設備を、特に断らない限り単に「設備」ということにする。
【0048】
本実施の形態では、省エネ制御の対象とされやすい設備から順にレベルを設定する。本実施の形態では、レベルを示す数の小さい方ほど高いレベルであり、高いレベルに該当する設備から省エネ制御の対象となる。
【0049】
まず、レベルを示す変数αを1に設定する(ステップ202)。そして、設備制御情報生成部13は、指標データテーブルを参照し、まだレベル分けしていない設備の中で制御優先度が最も高い設備を抽出する(ステップ203)。なお、レベル分けしていない設備というのは、後段のステップ205においていずれのレベルにもまだ追加されていない設備のことをいう。本実施の形態においては、制御優先度を高、中、低というレベルに設定しているので複数の設備が同時に抽出される場合がある。
【0050】
続いて、設備制御情報生成部13は、抽出した設備の中で稼動率が最も高い設備を抽出する(ステップ204)。そして、抽出した設備をレベルαに追加する(ステップ205)。ここでは、まだレベル=1なので、当該設備はレベル1にレベル分けされたことになる。そして、追加する設備の余力をレベル1の余力に加算する(ステップ206)。各レベルの余力は0に初期化されているので、加算により得られる余力が当該レベルにおいて削減可能な電力となる。
【0051】
全ての設備に対する処理が終了していない場合(ステップ207でN)、設備制御情報生成部13は、当該レベルの余力と目標削減電力とを比較する。目標削減電力は、レベル毎に予め設定され、当該レベルにおいて目標とする電力削減量である。当該レベルの余力が目標削減電力に達していなければ(ステップ208でN)、ステップ203に戻り、まだレベル分けしていない設備に処理を移行する。そして、ステップ203~207を繰り返し、当該レベルの余力が目標削減電力以上となった場合(ステップ208でY)、レベルαに1を加算することで(ステップ209)、設備を次のレベル(優先度が1つ低いレベル)に対する分類を行う。なお、本実施の形態では、設備を分類するレベル数は事前に決めており、そのレベル数に達した場合(ステップ210でY)、処理は終了する。そうでない場合(ステップ210でN)、前述した処理(ステップ203~209)を繰り返し実行する。なお、全ての設備をレベル分けできた場合も(ステップ207でY)、処理は終了する。
【0052】
ところで、ステップ205においては、ただ1つの設備のみをレベルαに追加する。ただ、ステップ204において稼動率が同じ設備が存在する場合も想定できる。この場合、レベルαの目標削減電力を数少ない設備で達成させたい場合には、余力が最大の設備を選出すればよい。そうでない場合、あるいは同じ余力の設備が複数存在する場合、指標データテーブルの上位に登録されている設備を優先的に抽出するようにして、必ず1つの設備を抽出するように処理する。
【0053】
以上のようにして設備をレベル分けすると、設備制御情報生成部13は、レベル設定処理の実行結果を設備制御情報として設備制御情報記憶部16に登録する。設備制御情報は、各レベルに1又は複数の設備が紐づけられて構成される。
【0054】
デマンド制御部14は、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が予め設定されている目標値を超えると予測した場合、設備制御情報を参照して、高いレベルの設備から順に省エネ制御を実施する。すなわち、レベル1に振り分けられた設備が最初に省エネ制御の対象となり、電力の供給が停止される。これにより、レベル1に対して設定されている目標削減電力以上の使用電力量の削減が見込まれる。そして、目標とする電力削減量に達していなければ、次に高いレベル2の設備に対して省エネ制御を実施する。このように、高いレベルの設備から順に省エネ制御を実施することで、デマンド制御部14は、デマンド時限終了時点における施設の使用電力量が目標値を超えないように設備の運転を制御する。
【0055】
本実施の形態においては、稼動率に基づき設備に対して電力供給の制限対象とする優先順位(レベル)を設定するようにしたので、電力を実際に使用している可能性の高い設備を優先的に省エネ制御対象とすることができる。これにより、該当する設備を省エネ制御したときに見込める削減電力(余力)と目標削減電力との差をより小さくできるので、目標とする電力削減量をより確実に達成することが可能となる。
【0056】
本実施の形態では、制御優先度及び稼動率に基づいて設備をレベル分けしたが、余力の大きい設備が優先的に抽出されるようにするなど、設備の抽出に参照する指標として利用してもよい。また、図3に示した他の指標、具体的には、余力の信頼度、省エネ制御の回数、省エネ制御の応答性及び在室人数を用いてレベル分けしてもよい。本実施の形態では、図6に示すステップ203,204において指標を用いて設備を抽出しているので、設備制御情報生成部13は、上記他の指標に基づく設備の抽出処理を、これらの処理に含めて、あるいはいずれかの処理に代えて実行してもよい。
【0057】
例えば、余力の信頼度と省エネ制御の応答性は、稼動率と同様に目標とする電力削減量を得るための精度や効率性に関係の深い指標なので、単に設備を抽出する条件に加えてもよいし、稼動率に代えて用いてもよい。
【0058】
また、省エネ制御の回数と在室人数は、制御優先度と同様に快適性に関係の深い指標なので、単に設備を抽出する条件に加えてもよいし、制御優先度に代えて用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
2 サーバ、4 入退管理システム、10 デマンド制御装置、11 指標データ生成部、12 制御対象設備抽出部、13 設備制御情報生成部、14 デマンド制御部、15 指標データ記憶部、16 設備制御情報記憶部、17 制御実績情報記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークインタフェース(IF)、30 内部バス、111 稼動率算出部、112 余力算出部、113 制御優先度設定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7