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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】可変容量圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/18 20060101AFI20220104BHJP
   F04B 27/12 20060101ALI20220104BHJP
   F04B 39/10 20060101ALI20220104BHJP
   F04B 39/02 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
F04B27/18 B
F04B27/12 Q
F04B27/18 A
F04B39/10 Z
F04B39/02 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018124676
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020002901
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】515098886
【氏名又は名称】サンデン・オートモーティブコンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸彦
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-144701(JP,A)
【文献】特開2015-117596(JP,A)
【文献】特開平06-288348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 25/00-37/20;41/00-41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出室と吸入室が区画されたシリンダヘッドと、
環状に配列された複数のシリンダボアと、前記環状に配列された複数のシリンダボアの径方向内側に設けられたセンタボアと、が形成されたシリンダブロックと、
前記シリンダブロックと共にクランク室を形成するフロントハウジングと、
前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドとの間に設けられ、一方の面が前記シリンダボアを閉塞し、他方の面が前記吐出室及び前記吸入室を閉塞するバルブプレートと、
一端が前記シリンダブロックに回転可能に支持され、且つ他端が前記フロントハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、
前記シリンダボア内を往復動するピストンと、
前記駆動軸の回転を前記ピストンの往復動に変換する往復動変換部と、
前記吐出室と前記クランク室に連通して吐出室の冷媒をクランク室へ供給する供給通路と、
前記クランク室と前記吸入室に連通してクランク室の冷媒を吸入室へ排出する排出通路と、
前記供給通路の開度を変化させる容量制御弁と、
前記排出通路に設けられた絞り通路と、を備え、前記容量制御弁の開度変化により前記クランク室の圧力が変化して前記ピストンのストロークが変化する可変容量圧縮機であって、
前記排出通路は、前記駆動軸の他端側の面と前記バルブプレートとの間に形成された前記センタボア内の空間である収容室を有する第一排出通路と、前記第一排出通路とは別にシリンダブロックに設けられた第二排出通路と、を含んで構成され、
前記収容室内に配置され、且つ前記収容室の温度が予め設定した第一閾値温度以上の場合は前記第一排出通路を開放させて前記クランク室内に存在するオイルを排出し、前記収容室の温度が前記第一閾値温度よりも低い予め設定した第二閾値温度以下の場合は前記第一排出通路を閉鎖する開閉機構を備えることを特徴とする可変容量圧縮機。
【請求項2】
前記絞り通路は、前記第一排出通路の前記収容室よりも下流側であって前記吸入室に開口し、
前記第一排出通路は、前記収容室と前記絞り通路の間に配置され、且つ前記第二排出通路が合流する合流部を備えていることを特徴とする請求項1に記載した可変容量圧縮機。
【請求項3】
前記第一排出通路は、前記駆動軸の内部に形成され、且つ前記駆動軸の他端面に開口して前記収容室に連通する軸内通路を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した可変容量圧縮機。
【請求項4】
前記開閉機構は、前記収容室内に外周縁が支持されて駆動軸の軸線方向に変位する円板状に形成されたバイメタル弁と、前記収容室内で前記バイメタル弁よりも下流側に配置され、前記バイメタル弁が接離するバイメタル弁当接部材と、前記バイメタル弁及び前記バイメタル弁当接部材のいずれか一方に形成された弁孔と、前記バイメタル弁及び前記バイメタル弁当接部材のいずれか他方に形成された弁座と、を有し、さらに、前記収容室の温度が前記第一閾値温度以上のとき、前記バイメタル弁が前記駆動軸の他端面側に凸曲面となる変位によって前記弁孔が前記弁座から離間して前記弁孔を開放し、前記収容室の温度が前記第二閾値温度以下となると、前記バイメタル弁が前記バイメタル弁当接部材側に凸曲面となる変位によって前記弁孔が前記弁座に当接して弁孔が閉鎖することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した可変容量圧縮機。
【請求項5】
前記開閉機構は、前記バイメタル弁の中央に形成された前記弁孔と、前記バイメタル弁当接部材の前記弁孔が対向する位置に形成されている前記弁座と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の可変容量圧縮機。
【請求項6】
前記第一排出通路は、前記収容室と前記絞り通路の間に配置され、且つ前記第二排出通路が合流する合流部を備え、
前記収容室は、前記合流部に連通する開口部を有し、
前記開口部は、前記弁孔と対向しない位置に配置されていることを特徴とする請求項5に記載した可変容量圧縮機。
【請求項7】
前記収容室は、前記シリンダブロックの前記バルブプレート側から凹設された大径部と、前記大径部の径よりも小径であって前記大径部の底壁に開口する小径部と、を備え、
前記バイメタル弁の外周縁は、前記大径部の底壁と前記バイメタル弁当接部材との間に配置され、且つ前記大径部の底壁と前記バイメタル弁当接部材により支持されることを特徴とする請求項4から請求項6のうちいずれか1項に記載した可変容量圧縮機。
【請求項8】
前記収容室は、前記収容室の内周面に外周面が密閉嵌合して前記収容室内に配置される筒状の弁ケーシングを備え、
前記弁ケーシングの内周面に、前記大径部と前記小径部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載した可変容量圧縮機。
【請求項9】
前記バイメタル弁の外周縁が支持される前記底壁は、前記バイメタル弁の径方向外側に向かうにつれて前記バイメタル弁当接部材から遠ざかるように傾斜していることを特徴とする請求項7または請求項8に記載した可変容量圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用の空調装置等に用いる可変容量圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
クランク室の圧力変動に応じて吐出容量を変化させる可変容量型の可変容量圧縮機としては、例えば、特許文献1に記載されている構成のものがある。
特許文献1に記載されている可変容量圧縮機は、回転軸とともに回転する斜板を収容するクランク室と、クランク室と吐出室を連絡する給気通路と、吸入室とクランク室を連絡する抽気通路とを備えている。抽気通路は、クランク室と連通する第一通路と、第一通路と別の経路でクランク室と連通し、且つ回転軸の径方向において、第一通路よりも外周側に形成される第二通路を含む。さらに、抽気通路は、第一通路と第二通路が互いに合流する合流部と、合流部と吸入室との間に形成された絞り通路を含む。これに加え、可変容量圧縮機は、第一通路及び第二通路の少なくとも一方を開閉する開閉手段を備えており、第二通路は、クランク室内の温度が所定温度以上のときに開かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-009720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている可変容量圧縮機を含め、一般的な可変容量圧縮機では、駆動軸の軸線を中心とする可変容量圧縮機の取付け角度がエンジンによって異なる場合が多い。このため、クランク室内に存在するオイルを効果的に排出するためには、クランク室内に存在するオイルを排出する排出通路のクランク室側の開口位置を変更する必要があり、これに伴って排出通路を開閉する手段の位置を、駆動軸の取付け対象となるエンジン毎に、鉛直方向に沿って変更する必要がある。したがって、排出通路を開閉する手段を収容するスペースの確保が困難となる場合がある。さらに、排出通路を開閉する手段の可変容量圧縮機内への組み立てが困難である。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、排出通路を開閉する手段を容易に配置することが可能な可変容量圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、吐出室の冷媒をクランク室へ供給する供給通路の開度を変化させる容量制御弁の開度変化により、クランク室の圧力が変化してピストンのストロークが変化する可変容量圧縮機である。また、可変容量圧縮機は、クランク室の冷媒を吸入室へ排出する排出通路を備える。排出通路は、駆動軸の他端側の面とバルブプレートとの間に形成されたセンタボア内の空間である収容室を有する第一排出通路と、第一排出通路とは別にシリンダブロックに設けられた第二排出通路を含んで構成される。さらに、可変容量圧縮機は、収容室内に配置された開閉機構を備える。開閉機構は、収容室の温度が予め設定した第一閾値温度以上の場合は第一排出通路を開放させてクランク室内に存在するオイルを排出し、収容室の温度が第一閾値温度よりも低い予め設定した第二閾値温度以下の場合は第一排出通路を閉鎖する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、クランク室内に存在するオイルを排出する第一排出通路を開閉する開閉機構が、駆動軸の中心軸の延長線上に配置された収容室に収容される。このため、駆動軸の軸線を中心とする可変容量圧縮機の取付け角度がエンジンによって異なっても、開閉機構の位置を変更する必要が無く、且つ可変容量圧縮機内への開閉機構の組立性を向上させることが可能な可変容量圧縮機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第一実施形態における可変容量圧縮機の構成を表す断面図である。
図2図1中に線IIで囲んだ範囲の拡大図である。
図3図2中に線IIIで囲んだ範囲の拡大図である。
図4】開閉機構の構成を表す図である。
図5図4中に線Vで囲んだ範囲の拡大図である。
図6】第一実施形態の変形例を表す図である。
図7】第一実施形態の変形例を表す図である。
図8】第一実施形態の変形例を表す図である。
図9】第一実施形態の変形例を表す図である。
図10】第一実施形態の変形例を表す図である。
図11】第一実施形態の変形例を表す図である。
図12】第一実施形態の変形例を表す図である。
図13】第一実施形態の変形例を表す図である。
図14】第一実施形態の変形例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明の第一実施形態を以下において説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係や、各層の厚さの比率等は、現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0009】
さらに、以下に示す第一実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質や、それらの形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
【0010】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1から図5を用いて、第一実施形態の構成を説明する。
(可変容量圧縮機)
図1中に表す可変容量圧縮機1は、主に、車両用(車載)のエアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に適用される、クラッチレス可変容量圧縮機として構成されている。なお、図1における上方は、鉛直方向の上方である。同様に、図1における下方は、鉛直方向の下方である。
図1中に表すように、可変容量圧縮機1は、環状に配列された複数のシリンダボア21を有するシリンダブロック2と、シリンダブロック2の一端に設けられたフロントハウジング3と、シリンダブロック2の他端にバルブプレート4を介して設けられたシリンダヘッド5を備える。
【0011】
そして、フロントハウジング3と、センターガスケット(図示せず)、シリンダブロック2、シリンダガスケット83、吸入弁形成板84、バルブプレート4、吐出弁形成板87、ヘッドガスケット(図示せず)、シリンダヘッド5が順次接続され、複数の通しボルト11により締結されることで、可変容量圧縮機1のハウジングを形成している。
また、シリンダブロック2とフロントハウジング3とによってクランク室30が形成されており、水平方向に延びる駆動軸6が、クランク室30内を横断して設けられている。
各シリンダボア21の内部には、シリンダボア21内を往復動するピストン23が収容されている。
【0012】
駆動軸6の軸方向の中間部の周囲には、円環状に形成されており、駆動軸6を径方向から包囲している斜板31が配置されている。
斜板31は、駆動軸6に固定されたロータ32に、リンク機構33を介して連結されており、駆動軸6と共に回転する。また、斜板31は、駆動軸6の中心軸線に直交する平面に対する角度(斜板31の傾角)が変更可能に構成されている。
さらに、斜板31は、クランク室30の圧力(内圧)を変化させることによって、駆動軸6の軸線に対する傾角(傾斜角度)を変化させることが可能である。
リンク機構33は、ロータ32の斜板31と対向する面から突出している第一アーム33aと、斜板31のロータ32と対向する面から突出している第二アーム33bと、一端側が第一連結ピン33dを介して第一アーム33aと回転可能に連結され、他端側が第二連結ピン33eを介して第二アーム33bと回転可能に連結されたリンクアーム33cを含む。
【0013】
また、斜板31には、斜板31が最大傾角と最小傾角の範囲で傾動可能となる形状に、貫通孔34が形成されている。貫通孔34には、駆動軸6と接触する最小傾角規制部(図示せず)が形成されている。最小傾角規制部は、斜板31が駆動軸6に対して直交するときの斜板31の傾角を0[°]とした場合、斜板31を、ほぼ0[°]まで傾角変位させることが可能に形成されている。また、斜板31は、傾角が最大となると、ロータ32に接触して、傾角の増加が規制される。
ロータ32と斜板31の間には、斜板31が最小傾角となるまで、斜板31の傾角を減少させる方向に付勢する傾角減少バネ35が装着されている。また、斜板31とバネ支持部材36との間には、斜板31の傾角を増大させる方向に付勢する傾角増大バネ37が装着されている。
【0014】
最小傾角における傾角増大バネ37の付勢力は、傾角減少バネ35の付勢力よりも大きく設定されている。このため、駆動軸6が回転していないとき、斜板31の傾角は、傾角減少バネ35の付勢力と傾角増大バネ37の付勢力とが釣り合う角度となる。
斜板31の外周部は、ピストン23のうち、クランク室30側に突出している端部に形成された内側空間に収容されている。これにより、斜板31は、一対のシュー38を介して、ピストン23と連動する構成となっている。したがって、駆動軸6の回転に伴う斜板31の回転により、各ピストン23が、収容されているシリンダボア21の内部を往復動する。すなわち、斜板31とシュー38は、駆動軸6の回転をピストン23の往復動に変換する往復動変換部を形成する。
【0015】
駆動軸6の一端(図1における右側の端部)は、センタボア22へ挿入されている。
センタボア22は、環状に配列された複数のシリンダボア21の径方向内側で中心に設けられており、シリンダブロック2を貫通する空間である。
駆動軸6とセンタボア22との間には、第一滑り軸受61が配置されている。したがって、駆動軸6の一端は、シリンダブロックに回転可能に支持されている。
駆動軸6とロータ32で形成される連結体は、第一滑り軸受61と第二滑り軸受64によって、ラジアル方向に回転可能に支持されており、スラストプレート62とスラスト軸受66によって、スラスト方向に回転可能に支持されている。
【0016】
駆動軸6の他端(図1における左側の端部)は、一部がフロントハウジング3の外側へ部分的に突出し、動力伝達装置(図示せず)に連結されている。動力伝達装置は、エンジン等の駆動力発生源(図示せず)にベルトを介して連結されている。すなわち、駆動軸6の他端は、フロントハウジング3に回転可能に支持されている。クランク室30の内部は、軸封装置65によって外部空間から遮断されている。
したがって、駆動力発生源が発生させた駆動力が動力伝達装置に伝達されると、駆動軸6は、動力伝達装置の回転と同期して回転可能となっている。
【0017】
また、駆動軸6のバルブプレート4と対向する側の端面は、円環状のスラストプレート62で支持されている。
駆動軸6とスラストプレート62との接触状態(隙間)は、シリンダブロック2に対する調整ねじ63の取り付け状態によって調整されている。
調整ねじ63は、円環状に形成されており、外径面に雄ねじ(図示せず)が形成されている。また、センタボア22のうち、調整ねじ63の外径面と対向する面には、調整ねじ63に形成されている雄ねじと嵌合する雌ねじ(図示せず)が形成されている。
したがって、調整ねじ63は、センタボア22の雌ねじに雄ねじを嵌合させることで、駆動軸6よりもバルブプレート4に近い位置で、センタボア22の内部へ配置されている。
調整ねじ63が有する空隙部は、例えば、駆動軸6の軸方向から見て、六角形に形成されている。
【0018】
なお、可変容量圧縮機1の内部には、潤滑用のオイル(図示せず)が封入されており、駆動軸6が回転すると、オイルが攪拌される。また、可変容量圧縮機1の内部を冷媒が移動すると、冷媒と共にオイルが移動して、可変容量圧縮機1の内部が潤滑される。
可変容量圧縮機1の内部、特に、クランク室30の内部において、存在するオイルの量が多い領域は、鉛直方向で下方の領域である。また、クランク室30の内部において、存在するオイルの量が少ない領域は、鉛直方向で上方の領域である。
シリンダヘッド5は、バルブプレート4を間に挟んで、シリンダブロック2と対向して配置されている。すなわち、シリンダヘッド5は、バルブプレート4を介して、シリンダブロック2の他端側に設けられている。
【0019】
また、シリンダヘッド5には、吸入室51と吐出室52が、シリンダヘッド5の内部に区画されて形成されている。なお、吸入室51と吐出室52は、バルブプレート4の他方の面により閉塞されている。
吸入室51は、駆動軸6の軸方向から見て、シリンダヘッド5の中央部に配置されている。
また、吸入室51は、吸入ポート53と吸入通路54を介して、エアコンシステムが有する吸入側の外部冷媒回路と接続されており、吸入側の外部冷媒回路から、低圧側の冷媒(冷媒ガス)を吸入する。
さらに、吸入室51は、バルブプレート4に設けられた吸入孔42と、吸入弁(図示せず)を介して、各シリンダボア21と連通している。
吐出室52は、駆動軸6の軸方向から見て、吸入室51を環状に包囲する位置に配置されている。
また、吐出室52は、吐出弁(図示せず)と、バルブプレート4に設けられた吐出孔41を介して、各シリンダボア21と連通している。
【0020】
したがって、吸入側の外部冷媒回路から吸入室51の内部へ吸入された低圧側の冷媒は、ピストン23の往復動によって、ピストン23を収容しているシリンダボア21に吸入される。そして、ピストン23の往復動によって、圧縮されて高圧となり、吐出室52へ吐出される。すなわち、シリンダボア21及びピストン23によって、吸入室51の内部へ吸入された冷媒を圧縮する圧縮部が形成されている。
さらに、吐出室52は、吐出通路55と吐出ポート56を介して、エアコンシステムが有する吐出側の外部冷媒回路と接続されている。したがって、吐出室52へ吐出された、圧縮部によって圧縮された冷媒は、吐出通路55と吐出ポート56を介して、吐出側の外部冷媒回路へ、高圧側の冷媒(冷媒ガス)が吐出される。
【0021】
吐出室52と吐出通路55との間には、吐出逆止弁57が配置されている。
吐出逆止弁57は、吐出室52(上流側)と吐出通路55(下流側)との圧力差に応答して動作する。そして、吐出逆止弁57は、圧力差が予め設定した閾値の圧力よりも小さい場合には、吐出室52と吐出通路55との間を遮断して、吐出室52から吐出通路55への冷媒の移動を阻止する。一方、吐出逆止弁57は、圧力差が閾値の圧力よりも大きい場合には、吐出室52と吐出通路55との間を連通させる。
したがって、吐出室52から、吐出通路55と吐出ポート56を介して、吐出側の外部冷媒回路へ吐出される高圧側の冷媒は、吐出逆止弁57によって、逆流を阻止されている。
第一実施形態において、可変容量圧縮機1は、吐出室52の冷媒をクランク室30へ供給する供給通路7と、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する排出通路8と、容量制御弁9と、開閉機構10を備える。
【0022】
(供給通路)
供給通路7は、シリンダブロック2のうち、シリンダボア21とセンタボア22との間の領域に形成されている通路である。
また、供給通路7は、吐出室52の冷媒をクランク室30へ供給する通路であり、容量制御弁9のうち吐出室52から供給された冷媒を排出する部分と、クランク室30とを連通させている。すなわち、供給通路7は、吐出室52とクランク室30に連通して、吐出室52の冷媒をクランク室30へ供給する。
【0023】
(排出通路)
排出通路8は、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する通路である。すなわち、排出通路8は、クランク室30と吸入室51に連通して、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する。
また、排出通路8は、第一排出通路8aと、第二排出通路8bと、合流部8cと、絞り通路8dを有する。
第一排出通路8aは、軸内通路81と、収容室82を有する。
軸内通路81は、排出通路8のうち駆動軸6の内部に形成されている通路である。
軸内通路81の一端は、駆動軸6の側面に開口しており、オイル導入通路39を介して、クランク室30と連通している。軸内通路81の他端は、駆動軸6のバルブプレート4と対向する側の端面に開口している。
【0024】
したがって、軸内通路81は、クランク室30と、センタボア22とを連通させている。
また、軸内通路81の一端は、クランク室30の内部において、存在するオイルの量が多い領域と連通している。
収容室82は、シリンダブロック2が備え、センタボア22のうち、バルブプレート4に近い側の一部によって形成されている。すなわち、収容室82は、シリンダブロック2のうち、駆動軸6の他端側(リア側)の面とバルブプレート4との間に形成されたセンタボア22内の空間である。
【0025】
また、収容室82は、センタボア22の内部において、駆動軸6の他端側の端面とバルブプレート4との間に形成された空間である。駆動軸6の他端側の端面とは、バルブプレート4と対向する側の端面である。
さらに、収容室82は、大径部82aと、小径部82bを有しており、軸内通路81の他端と連通している。
また、収容室82と、軸内通路81との間には、スラストプレート62が有する空隙部と、調整ねじ63が有する空隙部により、通路が形成されている。スラストプレート62が有する空隙部の内径は、軸内通路81の内径よりも大きい。調整ねじ63が有する空隙部の内径は、スラストプレート62が有する空隙部の内径よりも大きい。
【0026】
大径部82aは、駆動軸6の軸方向から見て円形に形成された空間であり、収容室82のうち、バルブプレート4に近い側の空間を構成している。
また、図2中に示すように、大径部82aは、シリンダブロック2のバルブプレート4側から凹設されて形成されている。
第一実施形態では、一例として、大径部82aが、シリンダガスケット83と、吸入弁形成板84によって覆われている構成とした場合について説明する。
【0027】
以上により、第一排出通路8aは、駆動軸6の内部に形成され、且つ駆動軸6の他端面に開口して収容室82に連通する軸内通路81を有する。
シリンダガスケット83は、吸入弁形成板84よりもシリンダブロック2に近い位置で、吸入弁形成板84と共に、シリンダブロック2とバルブプレート4との間に配置されている。
また、シリンダガスケット83には、突出部83aと、ガスケット側第一ポート83bと、ガスケット側第二ポート83cが形成されている。
【0028】
突出部83aは、シリンダガスケット83のシリンダブロック2と対向する面から大径部82aに向けて突出しており、駆動軸6の軸方向から見て、環状に形成されている。
ガスケット側第一ポート83bは、シリンダガスケット83を厚さ方向に貫通する孔であり、駆動軸6の軸方向から見て、軸内通路81と重ならない位置に配置されている。
ガスケット側第二ポート83cは、シリンダガスケット83を厚さ方向に貫通する孔であり、駆動軸6の軸方向から見て、第二排出通路8bと重なる位置に配置されている。
なお、図示を省略しているが、シリンダガスケット83のシリンダブロック2と対向する面は、樹脂製(ゴム製)のコート層で覆われている。
【0029】
吸入弁形成板84は、シリンダガスケット83とバルブプレート4との間に配置されている。
また、吸入弁形成板84には、吸入側第一ポート84aと、吸入側第二ポート84bが形成されている。
吸入側第一ポート84aは、吸入弁形成板84を厚さ方向に貫通する孔であり、駆動軸6の軸方向から見て、ガスケット側第一ポート83bと重なる位置に配置されている。
吸入側第二ポート84bは、吸入弁形成板84を厚さ方向に貫通する孔であり、駆動軸6の軸方向から見て、ガスケット側第二ポート83cと重なる位置に配置されている。
小径部82bは、駆動軸6の軸方向から見て円形に形成された空間であり、収容室82のうち、駆動軸6に近い側の空間を構成している。
【0030】
小径部82bの内径は、大径部82aの内径よりも小さい。したがって、小径部82bと大径部82aが連続する位置には、段差が形成されている。
また、収容室82を形成する壁面のうち、小径部82bと大径部82aが連続する位置に段差を形成し、バルブプレート4と対向する面である側壁面82cは、駆動軸6の中心軸線から離れるにつれて、バルブプレート4から離れるように傾斜している。
したがって、小径部82bは、大径部82aの径よりも小径であって、大径部82aの底壁(側壁面82c)に開口している。
第二排出通路8bは、ブロック側排出通路形成部85と、プレート側排出通路形成部86を有する。
ブロック側排出通路形成部85は、第二排出通路8bのうちシリンダブロック2に形成されている通路であり、シリンダボア21とセンタボア22との間に形成されて、クランク室30とプレート側排出通路形成部86とを連通させている。
【0031】
第一実施形態では、一例として、ブロック側排出通路形成部85の一端が、クランク室30の内部において、駆動軸6よりも鉛直方向で上方に配置されている場合について説明する。したがって、ブロック側排出通路形成部85の一端は、クランク室30の内部において、存在するオイルの量が少ない領域と連通している。
プレート側排出通路形成部86は、第二排出通路8bのうちバルブプレート4に形成されている開口部であり、ブロック側排出通路形成部85と、合流部8cとを連通させている。
【0032】
以上により、第二排出通路8bは、第一排出通路8aとは別にシリンダブロック2に設けられた通路である。
合流部8cは、バルブプレート4に形成されている開口部であり、ガスケット側第一ポート83b及び吸入側第一ポート84aと、プレート側排出通路形成部86と連通している。すなわち、合流部8cは、第一排出通路8aと第二排出通路8bとを合流させる空間である。
したがって、ガスケット側第一ポート83b及び吸入側第一ポート84aは、収容室82が有する、合流部8cに連通する開口部を形成している。
また、合流部8cは、駆動軸6の軸方向から見て、収容室82と重なる位置に配置されている。
さらに、合流部8cは、駆動軸6の軸方向から見て、複数のシリンダボア21よりも駆動軸6に近い位置に配置されている。
【0033】
絞り通路8dは、バルブプレート4とシリンダヘッド5との間に配置された吐出弁形成板87に形成された貫通孔であり、合流部8cと吸入室51とを連通させている。すなわち、絞り通路8dは、排出通路8の一部を形成しており、第一排出通路8aの収容室82よりも下流側であって吸入室51に開口し、合流部8cと吸入室51とを連通させる通路であり、合流部8cの下流側に配置されている。
また、絞り通路8dの内径は、ガスケット側第一ポート83b、吸入側第一ポート84a及びプレート側排出通路形成部86の内径よりも小さい。
したがって、第一排出通路8aは、収容室82と絞り通路8dの間に配置され、且つ第二排出通路8bが合流する合流部8cを備える。
【0034】
(容量制御弁)
容量制御弁9は、シリンダヘッド5の内部において、吐出室52とクランク室30とを連通させており、供給通路7の途中(両端部間)に配置されている。
また、容量制御弁9は、供給通路7の開度(断面積)を変化させることが可能である。
容量制御弁9によって供給通路7の開度を制御することで、吐出室52からクランク室30への冷媒の導入量を制御することが可能である。したがって、容量制御弁9によって供給通路7の開度を制御することによって、クランク室30の圧力を変化させ、斜板31の傾斜角を変化させると、ピストン23のストロークを変化させることが可能となる。そして、ピストン23のストロークを変化させると、可変容量圧縮機1の吐出容量(吐出する冷媒の流量)を、可変制御することが可能となる。すなわち、可変容量圧縮機1は、容量制御弁9の開度変化によりクランク室30の圧力が変化して、ピストン23のストロークが変化する圧縮機である。
【0035】
例えば、空調装置の作動時、すなわち、可変容量圧縮機1を作動させている状態では、容量制御弁9に内蔵されるソレノイドの通電量が、外部から入力を受けた信号に基づいて調整される。これにより、吸入室51の圧力が所定値となるように、可変容量圧縮機1の吐出容量が可変制御される。このとき、容量制御弁9は、外部環境に応じて、吸入圧力を最適な値に制御することが可能である。
また、例えば、空調装置の非作動時、すなわち、可変容量圧縮機1を作動させていない状態では、容量制御弁9に内蔵されるソレノイドを通電させないことにより、供給通路7を強制的に開放し、可変容量圧縮機1の吐出容量を最小に制御する。
【0036】
(開閉機構)
開閉機構10は、収容室82内に配置されたバイメタル弁100を備えている。
なお、収容室82は、例えば、センタボア22に駆動軸6とスラストプレート62を配置し、さらに、シリンダブロック2に調整ねじ63を取り付ける作業において、必要な空間を用いて形成することが可能である。このため、収容室82は、可変容量圧縮機1の内部に、開閉機構10を配置するために、専用の収容室として形成した空間ではなく、可変容量圧縮機1に既存の構成を利用して形成することが可能な構成である。
バイメタル弁100は、熱膨張率が異なる複数枚の金属板を貼り合わせて、円板状に形成されている。
【0037】
また、バイメタル弁100は、収容室82のうち、大径部82aの内部に収容されている。
バイメタル弁100を厚さ方向から見た中心(中央)には、バイメタル弁100を厚さ方向に貫通する円形の弁孔100aが形成されている。
したがって、ガスケット側第一ポート83b及び吸入側第一ポート84aによって形成された、収容室82が有する開口部は、弁孔100aと対向しない位置に配置されている。
バイメタル弁100を構成する複数枚の金属板は、駆動軸6の軸方向に沿って積層されている。
バイメタル弁100を構成する複数枚の金属板は、収容室82の温度が、予め設定した第一閾値温度以上の場合、図4及び図5中に示すように、駆動軸6側の面である第一面101が突出した曲面となる組み合わせとする。
【0038】
これに加え、バイメタル弁100を構成する複数枚の金属板は、収容室82の温度が予め設定した第二閾値温度以下の場合、図2及び図3中に示すように、バルブプレート4側の面である第二面102が突出した曲面となる組み合わせとする。
第一閾値温度は、例えば、クランク室30の周壁における温度を基準として、130[℃]以上150[℃]以下の範囲内に設定する。
第二閾値温度は、例えば、第一閾値温度よりも15[℃]以上25[℃]以下の範囲内で、低い温度に設定する。
したがって、バイメタル弁100は、収容室82の温度変化に応じて、駆動軸6の軸方向に沿って変位する。
【0039】
以上により、バイメタル弁100は、収容室82内に外周縁が支持されて駆動軸6の軸線方向に変位する円板状に形成されている。
バイメタル弁100の外径は、第一面101及び第二面102が曲面となっている状態では、大径部82aの外径と等しい。
また、バイメタル弁100が湾曲していない状態におけるバイメタル弁100の外径は、大径部82aの外径よりも大きい。
【0040】
具体的には、バイメタル弁100が湾曲していない状態におけるバイメタル弁100の外径は、収容室82の温度が第二閾値温度以下となってバイメタル弁100の第二面102が突出すると、第二面102がシリンダガスケット83に接触する値に設定する。
第二面102がシリンダガスケット83に接触すると、バイメタル弁100のうち、弁孔100aの周囲がシリンダガスケット83に接触して、軸内通路81と合流部8cとの間が遮断されるため、第一排出通路8aが遮断されることとなる。これにより、排出通路8は、第二排出通路8bと、合流部8cと、絞り通路8dを経由して、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する通路となる。
【0041】
一方、図4中に示すように、第二面102がシリンダガスケット83から離間すると、軸内通路81と合流部8cとの間が弁孔100aで連通されるため、第一排出通路8aが連通されることとなる。これにより、排出通路8は、第一排出通路8aから合流部8cと絞り通路8dを経由する経路と、第二排出通路8bから合流部8cと絞り通路8dを経由する経路の、二つの経路を介して、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する通路となる。
【0042】
したがって、シリンダガスケット83は、収容室82内でバイメタル弁100よりも下流側に配置され、バイメタル弁100が接離するバイメタル弁当接部材を形成する。また、バイメタル弁100の外周縁は、大径部82aの底壁とバイメタル弁当接部材(シリンダガスケット83)との間に配置され、且つ大径部82aの底壁とバイメタル弁当接部材(シリンダガスケット83)により支持される。
また、バイメタル弁100の外周縁が支持される大径部82aの底壁(側壁面82c)は、バイメタル弁100の径方向外側に向かうにつれて、バイメタル弁当接部材(シリンダガスケット83)から遠ざかるように傾斜している。
【0043】
以上により、収容室82とシリンダガスケット83とは、バイメタル弁100を外周側から支持する環状溝を形成している。
また、バイメタル弁100は、収容室82の温度が第一閾値温度以上の場合は弁孔100aをバルブプレート4から離間させて、第一排出通路8aと合流部8cとを弁孔100aで連通させる。一方、バイメタル弁100は、収容室82の温度が第二閾値温度以下の場合は、弁孔100aをバルブプレート4で閉塞して、第一排出通路8aと合流部8cとの間を遮断する。
【0044】
したがって、開閉機構10は、収容室82内に配置され、且つ収容室82の温度が第一閾値温度以上の場合は第一排出通路8aと合流部8cとの間を連通させ、収容室82の温度が第二閾値温度以下の場合は第一排出通路8aと合流部8cとの間を遮断する。これにより、開閉機構10は、収容室82の温度が第一閾値温度以上の場合は第一排出通路8aを開放させてクランク室30内に存在するオイルを排出し、収容室82の温度が第二閾値温度以下の場合は第一排出通路を閉鎖する。
【0045】
すなわち、収容室82内に配置された開閉機構10(バイメタル弁100)は、収容室82の温度変化に応じて、第一排出通路8aと合流部8cとの間を開閉する。
また、収容室82に配置された開閉機構10(バイメタル弁100)は、吸入弁形成板84、シリンダガスケット83、バルブプレート4のうち少なくとも一つにより、収容室82から抜け止めされている。
以上により、開閉機構10は、バイメタル弁100の中央に形成された弁孔100aと、バイメタル弁当接部材(シリンダガスケット83)の弁孔100aが対向する位置に形成されている弁座(シリンダガスケット83)を含む。
【0046】
(動作・作用)
図1から図5を参照して、第一実施形態の可変容量圧縮機1で行う動作の一例と、作用を説明する。
可変容量圧縮機1の使用時には、駆動軸6の回転によりロータ32と斜板31が回転すると、斜板31とシュー38によって、駆動軸6の回転がピストン23の往復動に変換され、シリンダボア21の内部に供給された冷媒を圧縮する。
シリンダボア21の内部におけるピストン23のストロークは、容量制御弁9によって供給通路7の開度を制御することで変化する。
供給通路7の開度を制御する際に、容量制御弁9が供給通路7を開くと、クランク室30から軸内通路81を通過して、収容室82へ冷媒が移動する。
【0047】
ここで、第一実施形態の構成では、排出通路8が、第一排出通路8aと、第二排出通路8bと、合流部8cを備えている。これに加え、収容室82に配置されている開閉機構10が、収容室82の温度変化に応じて、第一排出通路8aと合流部8cとの間を開閉する。
さらに、第一実施形態の構成では、開閉機構10が、収容室82の温度が第一閾値温度以上の場合は、第一排出通路8aと合流部8cとの間を連通させる。一方、収容室82の温度が第一閾値温度よりも低い第二閾値温度以下の場合は、第一排出通路8aと合流部8cとの間を遮断する。
【0048】
このため、クランク室30から収容室82へ移動する冷媒の温度が上昇し、収容室82の温度が第一閾値温度以上となると、図4及び図5中に示すように、バイメタル弁100の第一面101が、駆動軸6側に突出した曲面となる。
バイメタル弁100の第一面101が、駆動軸6側に突出した曲面となると、第二面102がバルブプレート4から離間して、弁孔100aが開放されるため、第一排出通路8aが開放されて、収容室82を介して軸内通路81と合流部8cが連通する。
【0049】
これにより、図4中に示すように、クランク室30から軸内通路81を経由して収容室82へ移動した冷媒が、弁孔100aを通過して、合流部8cへ移動することとなる。そして、合流部8cには、第二排出通路8bを経由して、クランク室30から冷媒が移動する。
このため、合流部8cでは、クランク室30から第一排出通路8aを経由して移動した冷媒と、クランク室30から第二排出通路8bを経由して移動した冷媒が合流する。そして、合流部8cで合流した冷媒は、絞り通路8dを経由して吸入室51へ移動する。なお、図4中には、冷媒の流れを、破線の矢印で示す。
【0050】
したがって、クランク室30から収容室82へ移動する冷媒の温度が上昇して、収容室82の温度が第一閾値温度以上となると、第一排出通路8aが開放される。このため、排出通路8は、第一排出通路8aから合流部8cと絞り通路8dを経由する経路と、第二排出通路8bから合流部8cと絞り通路8dを経由する経路の、二つの経路を介して、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する通路となる。これにより、排出通路8の開度が最大となり、クランク室30から吸入室51へ排出する冷媒の排出量を増加させることが可能となる。
【0051】
また、シリンダガスケット83は、大径部82aに向けて突出し、駆動軸6の軸方向から見て、環状に形成されている突出部83aを備えている。これに加え、収容室82の側壁面82cは、駆動軸6の中心軸線から離れるにつれて、バルブプレート4から離れるように傾斜している。
このため、バイメタル弁100の第一面101が、駆動軸6側に突出した曲面となると、図5中に示すように、第一面101が突出部83aに押圧されるとともに、第二面102が側壁面82c(小径部82bと大径部82aが連続する位置の段差)に押圧される。これにより、突出部83aと側壁面82cによって、バイメタル弁100が安定して支持される。
【0052】
したがって、シリンダガスケット83は、バイメタル弁100及びバイメタル弁当接部材(シリンダガスケット83)のいずれか一方(バイメタル弁100)に弁孔100aが形成されている場合に、他方に形成された弁座を形成している。
すなわち、収容室82の温度が第一閾値温度以上のとき、バイメタル弁100が駆動軸6の他端面側に凸曲面となる変位によって、弁孔100aが弁座(シリンダガスケット83)から離間して弁孔100aを開放する。また、収容室82の温度が第二閾値温度以下となると、バイメタル弁100がバイメタル弁当接部材(シリンダガスケット83)側に凸曲面となる変位によって、弁孔100aが弁座(シリンダガスケット83)に当接して弁孔100aが閉鎖する。
【0053】
また、バイメタル弁100とシリンダガスケット83との間に、弁孔100aを通過した冷媒を合流部8cへ移動させるために必要十分な空間を確保することが可能となる。
一方、クランク室30から収容室82へ移動する冷媒の温度が低下して、収容室82の温度が第二閾値温度以下となると、図2及び図3中に示すように、バイメタル弁100の第二面102が、バルブプレート4側に突出した曲面となる。
バイメタル弁100の第二面102が、バルブプレート4側に突出した曲面となると、バイメタル弁100のうち、弁孔100aの周囲がシリンダガスケット83に接触して、軸内通路81と合流部8cとの間が遮断される。このため、第一排出通路8aが遮断されることとなる。
【0054】
これにより、排出通路8は、第二排出通路8bと、合流部8cと、絞り通路8dを経由して、クランク室30の冷媒を吸入室51へ排出する通路となり、排出通路8の開度が、ゼロよりも大きな最小の開度となる。
したがって、クランク室30から収容室82へ移動する冷媒の温度が低下して、収容室82の温度が第二閾値温度以下となると、第一排出通路8aが遮断されるため、クランク室30から吸入室51へ排出する冷媒の排出量を減少させることが可能となる。
【0055】
また、収容室82の側壁面82cは、駆動軸6の中心軸線から離れるにつれて、バルブプレート4から離れるように傾斜している。
このため、第二面102が、バルブプレート4側に突出した曲面となると、第一面101が軸内通路81から収容室82へ移動する冷媒の流れに押圧され、第一面101の外周部が収容室82の側壁面82cに押圧される。これにより、第一排出通路8aを流れる冷媒の流れによって、バイメタル弁100が安定して支持される。これに加え、バイメタル弁100の第一面101と側壁面82cが面接触に近い状態で接触するため、収容室82のうち、第一面101が配置される側の領域から第二面102が配置される側の領域への、冷媒の漏れを抑制することが可能となる。
【0056】
さらに、シリンダガスケット83のシリンダブロック2と対向する面は、樹脂製(ゴム製)のコート層で覆われている。このため、第二面102がバルブプレート4側に突出した曲面となり、バイメタル弁100がシリンダガスケット83に接触した際には、コート層によって、バイメタル弁100がシリンダガスケット83に接触したときの衝撃を低減させることが可能となる。
また、合流部8cがバルブプレート4に形成されているため、クランク室30から吸入室51に至る排出通路8を、容易に形成することが可能となる。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0057】
(第一実施形態の効果)
第一実施形態の可変容量圧縮機1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)排出通路8が、収容室82を有する第一排出通路8aと、第一排出通路8aとは別にシリンダブロック2に設けられた第二排出通路8bを含んで構成される。これに加え、収容室82の温度が第一閾値温度以上の場合は第一排出通路8aを開放させてクランク室30内に存在するオイルを排出し、収容室82の温度が第二閾値温度以下の場合は第一排出通路8aを閉鎖する開閉機構10を備える。
このため、クランク室30内に存在するオイルを排出する第一排出通路8aを開閉する開閉機構10が、駆動軸6の中心軸の延長線上に配置された収容室82に収容される。
その結果、駆動軸6の軸線を中心とする可変容量圧縮機1の取付け角度がエンジンによって異なっても、開閉機構10の位置を変更する必要が無く、且つ可変容量圧縮機1内への開閉機構10の組立性を向上させることが可能な可変容量圧縮機1を提供することが可能となる。
【0058】
また、開閉機構10が、シリンダブロック2の内部において、駆動軸6よりもバルブプレート4側に形成された収容室82に収容されているため、開閉機構10が、駆動軸6の回転によって発生する遠心力によって、横力を受けることが無い。このため、駆動軸6の回転によって動作不良となることを、防止することが可能となる。
さらに、第一閾値温度及び第二閾値温度を、可変容量圧縮機1の特性に応じた温度に設定することで、開閉機構10の動作条件を、可変容量圧縮機1の特性に応じた条件に設定することが可能となる。
【0059】
(2)排出通路8に設けられた絞り通路8dが、第一排出通路8aの収容室82よりも下流側であって吸入室51に開口する。これに加え、第一排出通路8aが、収容室82と絞り通路8dの間に配置され、且つ第二排出通路8bが合流する合流部8cを備えている。
その結果、合流部8cの温度が急変動することを抑制することが可能となり、収容室82の温度が安定化するため、開閉機構10の作動を正確に行うことが可能となる。
(3)第一排出通路8aが、駆動軸6の内部に形成され、且つ駆動軸6の他端面に開口して収容室82に連通する軸内通路81を有する。
その結果、収容室82とクランク室30とを、容易に連通させることが可能となる。
【0060】
(4)開閉機構10が、バイメタル弁100と、バイメタル弁当接部材と、弁孔100aと、弁座を有する。さらに、収容室82の温度が第一閾値温度以上のとき、バイメタル弁100が駆動軸6の他端面側に凸曲面となる変位によって弁孔100aが弁座から離間して弁孔100aを開放する。また、収容室82の温度が第二閾値温度以下となると、バイメタル弁100がバイメタル弁当接部材側に凸曲面となる変位によって弁孔100aが弁座に当接して弁孔100aが閉鎖する。
その結果、アクチュエータ等を必要とせずに、弁孔100aを開閉することが可能となる。
【0061】
(5)開閉機構100が、バイメタル弁100の中央に形成された弁孔100aと、バイメタル弁当接部材の弁孔100aが対向する位置に形成されている弁座を含む。
その結果、駆動軸6の軸方向に沿った開閉機構10の高さ(長さ)が増加することを抑制するとともに、収容室82に開閉機構10を容易に配置することが可能となる。
(6)第一排出通路8aが、収容室82と絞り通路8dの間に配置され、且つ第二排出通路8bが合流する合流部8cを備える。これに加え、収容室82が、合流部8cに連通し、且つ弁孔100aと対向しない位置に配置されている開口部を有する。
その結果、収容室82の温度に応じたバイメタル弁100の変形により、弁孔100aを開閉することが可能となる。
【0062】
(7)収容室82が、大径部82aと小径部82bを備える。これに加え、バイメタル弁100の外周縁が、大径部82aの底壁とバイメタル弁当接部材との間に配置され、且つ大径部82aの底壁とバイメタル弁当接部材により支持される。
その結果、バイメタル弁100を、収容室82の内部へ安定して保持することが可能となる。
(8)バイメタル弁100の外周縁が支持される大径部82aの底壁は、バイメタル弁100の径方向外側に向かうにつれてバイメタル弁当接部材から遠ざかるように傾斜している。
その結果、バイメタル弁100が安定して支持することが可能となる。
【0063】
(9)バイメタル弁100が、円板状に形成されているとともに、バイメタル弁100を厚さ方向に貫通する円形の弁孔100aを有する。これに加え、弁孔100aが、バイメタル弁100の中心に形成されている。
その結果、汎用性の高いバイメタルであるワッシャータイプのバイメタルを用いて、開閉機構10を形成することが可能となる。
【0064】
(10)バイメタル弁100が、収容室82の温度変化に応じて、100aをバルブプレート4から離間させて第一排出通路8aと合流部8cとを、弁孔100aで連通させる。または、弁孔100aをバルブプレート4で閉塞させて、第一排出通路8aと合流部8cとの間を遮断する。
その結果、アクチュエータ等を必要とせずに、収容室82の温度変化に応じてバイメタル弁100を変形させることで、第一排出通路8aと合流部8cとの間を開閉することが可能となる。
【0065】
(11)バイメタル弁100を外周側から支持する環状溝が、収容室82とシリンダガスケット83によって形成されている。
その結果、バイメタル弁100を固定せずに安定に支持することが可能となり、バイメタル弁100を外周側から支持する機構を、簡略化することが可能となる。
(12)収容室82に配置された開閉機構10(バイメタル弁100)は、吸入弁形成板84、シリンダガスケット83、バルブプレート4のうち少なくとも一つにより、収容室82から抜け止めされている。
その結果、開閉機構10を収容室82に固定するための固定手段が不要となり、構成を簡略化することが可能となる。
【0066】
(第一実施形態の変形例)
(1)第一実施形態では、収容室82の構成を、大径部82aと小径部82bを備える構成とし、小径部82bと大径部82aが連続する位置に形成した段差によって、バイメタル弁100を支持する構成としたが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、図6から図8中に示すように、収容室82に、バイメタル弁100を支持するための弁ケーシング110を配置してもよい。
弁ケーシング110は、ケース部111と、リテーナ112と、シール部材113を備えており、シリンダガスケット83、吸入弁形成板84及びバルブプレート4のうちいずれかによって、収容室82から抜け止めされている。
【0067】
ケース部111は、円筒状に形成されており、外周面が収容室82の内周面と接触した状態で、収容室82に収容されている。また、ケース部111は、ケース部111の内周面から中心軸へ向けて突出する円環状のフランジ部111aを備えている。
リテーナ112は、円板状に形成されており、リテーナ112の外周面をケース部111の内周面に嵌め合せることで、フランジ部111aと共に、バイメタル弁100を挟んで保持している。すなわち、ケース部111とリテーナ112とは、バイメタル弁100を外周側から支持する環状溝を形成している。
また、リテーナ112は、リテーナ112を厚さ方向(駆動軸6の軸方向)に貫通するリテーナ側ポート112aを備えている。
【0068】
リテーナ側ポート112aは、駆動軸6の軸方向から見て、バイメタル弁100の弁孔100aと重ならない位置に形成されている。これに加え、リテーナ側ポート112aは、駆動軸6の軸方向から見て、合流部8cと重なる位置に形成されている。
シール部材113は、例えば、樹脂材料を用いて形成したOリングであり、ケース部111の外周面と収容室82の内周面との間に配置されて、ケース部111の外周面及び収容室82の内周面と接触している。なお、弁ケーシング110の構成を、シール部材113を備えていない構成とし、ケース部111の外周面を収容室82の内周面に圧入して嵌め込んでもよい。また、バネ等を用いて弁ケーシング110を押圧することで、収容室82へ弁ケーシング110を保持してもよい。
【0069】
すなわち、収容室82が備える弁ケーシング110は、収容室82の内周面に外周面が密閉嵌合して、収容室82内に配置される筒状に形成されている。この場合、弁ケーシング110の内周面に、大径部82aと小径部82bが形成されている。
この構成であれば、収容室82の構成を既存の構成から変更せずに、収容室82へバイメタル弁100を収容することが可能となる。
また、図6から図8中に示すように、弁ケーシング110によってバイメタル弁100を支持する構成であれば、納品前や出荷前等、バイメタル弁100を可変容量圧縮機1に搭載する前に、バイメタル弁100の動作確認を容易に実施することが可能となる。なお、バイメタル弁100を可変容量圧縮機1に搭載する前に行う、バイメタル弁100の動作確認は、例えば、高温槽等を用いて、バイメタル弁100を支持している弁ケーシング110を加熱することで行う。
【0070】
したがって、収容室82の構成は、図1等に示されるように、大径部82aと小径部82bが、収容室82の周壁に直接形成された構成に限定されるものではない。すなわち、収容室82の構成は、例えば、図6等のように、大径部82aと小径部82bを備えた弁ケーシング110を収容室82に設けた構成も含まれる。
また、収容室82に、バイメタル弁100を支持するための弁ケーシング110を配置する場合、リテーナ112の構成を、例えば、図9中に示すように、リテーナ側絞り通路112bを備える構成としてもよい。
【0071】
リテーナ側絞り通路112bは、リテーナ112を厚さ方向(駆動軸6の軸方向)に貫通する貫通孔であり、リテーナ側ポート112aとは異なる位置に配置されている。具体的には、リテーナ側絞り通路112bは、駆動軸6の軸方向から見て、バイメタル弁100の弁孔100aと重なる位置に形成されている。また、リテーナ側絞り通路112bの内径は、リテーナ側ポート112a及び弁孔100aの内径よりも小さい。
リテーナ112の構成が、リテーナ側絞り通路112bを備える構成であれば、バイメタル弁100がリテーナ112と接触している状態であっても、リテーナ側絞り通路112bによって、収容室82と吸入室51が連通することとなる。このため、吸入室51へのオイルの流出を抑制しつつ、駆動軸6と駆動軸6の支持部(例えば、第一滑り軸受61)との間へオイルを供給して、駆動軸6の潤滑が可能となる。
【0072】
また、収容室82に、バイメタル弁100を支持するための弁ケーシング110を配置する場合、例えば、図10中に示すように、バイメタル弁100が、弁体103を備える構成としてもよい。
弁体103は、バイメタル弁100の内周面に取り付けられて弁孔100aを閉塞するとともに、弁体103をバイメタル弁100の厚さ方向に貫通する弁体側ポート103aを備えている。また、弁体103の材料は、金属材料であっても、樹脂材料であってもよいが、樹脂材料を用いることにより、弁体103がリテーナ112に接触したときの騒音を低減させることが可能となる。
【0073】
バイメタル弁100が、弁体103を備える構成であれば、バイメタル弁100がリテーナ112に直接接触することが無いため、バイメタル弁100の耐久性が低下することを抑制して、バイメタル弁100の信頼性を向上させることが可能となる。
この場合、弁体103は、バイメタル弁100及びバイメタル弁当接部材(リテーナ112)のいずれか一方(リテーナ112)に弁体側ポート103aが形成されている場合に、他方(バイメタル弁100)に形成された弁座を形成している。
【0074】
また、収容室82に、バイメタル弁100を支持するための弁ケーシング110を配置する場合、例えば、図11中に示すように、リテーナ112にリテーナ側弁孔112cを形成し、バイメタル弁100にバイメタル側ポート100bを備える構成としてもよい。
リテーナ側弁孔112cは、駆動軸6の軸方向から見たリテーナ112の中心に配置された、リテーナ112を厚さ方向に貫通する貫通孔である。
バイメタル側ポート100bは、リテーナ側弁孔112cよりも内径が小さい貫通孔であり、バイメタル弁100を厚さ方向に貫通している。また、バイメタル側ポート100bは、駆動軸6の軸方向から見て、リテーナ側弁孔112cと重ならない位置に配置されている。
【0075】
(2)第一実施形態では、合流部8cを、バルブプレート4のうち、駆動軸6の軸方向から見て収容室82と重なる位置に形成したが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、図12中に示すように、合流部8cを、シリンダブロック2のうち、駆動軸6の軸方向から見て収容室82と重ならない位置に形成してもよい。この場合、第二排出通路8bの構成を、ブロック側排出通路形成部85のみを有する構成とし、絞り通路8dを、吸入弁形成板84のうち、駆動軸6の軸方向から見て、ブロック側排出通路形成部85及び合流部8cと重なる位置に形成する。
【0076】
(3)第一実施形態では、バイメタル弁100を円板状に形成したが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、図13中に示すように、バイメタル弁100をリード状に形成してもよい。この場合、バイメタル弁100を、ボルトやナット等を用いてバルブプレート4に固定することで、開閉機構10の構成を簡略化することが可能となる。
(4)第一実施形態では、軸内通路81の一端が、オイル導入通路39を介してクランク室30と連通している構成としたが、これに限定するものではなく、軸内通路81の一端が、直接、クランク室30と連通している構成としてもよい。
【0077】
(5)第一実施形態では、第一排出通路8aを、駆動軸6の内部に形成されている軸内通路81と、収容室82を有する構成としたが、これに限定するものではない。
すなわち、例えば、図14中に示すように、シリンダブロック2に、クランク室30とセンタボア22とを連通させる通路であるシリンダ内通路88を形成する。これにより、第一排出通路8aを、シリンダブロック2の内部に形成されているシリンダ内通路88と、収容室82を有する構成としてもよい。
【0078】
(6)第一実施形態では、排出通路8の構成を、第一排出通路8aと第二排出通路8bとを合流させる合流部8cを備える構成としたが、これに限定するものではない。
すなわち、排出通路8の構成を、例えば、合流部を形成せず、第一排出通路8aと第二排出通路8bのそれぞれに絞り通路を設け、それぞれの絞り通路が吸入室51に連通する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…可変容量圧縮機、2…シリンダブロック、3…フロントハウジング、4…バルブプレート、5…シリンダヘッド、6…駆動軸、7…供給通路、8…排出通路、8a…第一排出通路、8b…第二排出通路、8c…合流部、8d…絞り通路、9…容量制御弁、10…開閉機構、11…通しボルト、21…シリンダボア、22…センタボア、23…ピストン、30…クランク室、31…斜板、32…ロータ、33…リンク機構、33a…第一アーム、33b…第二アーム、33c…リンクアーム、33d…第一連結ピン、33e…第二連結ピン、34…貫通孔、35…傾角減少バネ、36…バネ支持部材、37…傾角増大バネ、38…シュー、41…吐出孔、42…吸入孔、51…吸入室、52…吐出室、53…吸入ポート、54…吸入通路、55…吐出通路、56…吐出ポート、57…吐出逆止弁、61…第一滑り軸受、62…スラストプレート、63…調整ねじ、64…第二滑り軸受、65…軸封装置、66…スラスト軸受、81…軸内通路、82…収容室、82a…大径部、82b…小径部、82c…側壁面、83…シリンダガスケット、83a…突出部、83b…ガスケット側第一ポート、83c…ガスケット側第二ポート、84…吸入弁形成板、84a…吸入側第一ポート、84b…吸入側第二ポート、85…ブロック側排出通路形成部、86…プレート側排出通路形成部、87…吐出弁形成板、88…シリンダ内通路、100…バイメタル弁、100a…弁孔、100b…バイメタル側ポート、101…第一面、102…第二面、103…弁体、103a…弁体側ポート、110…弁ケーシング、111…ケース部、111a…フランジ部、112…リテーナ、112a…リテーナ側ポート、112b…リテーナ側絞り通路、112c…リテーナ側弁孔、113…シール部材
図1
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図10
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図14