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特許6991132活性化剤-担体を有するチーグラー・ナッタ-メタロセン二元触媒系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】活性化剤-担体を有するチーグラー・ナッタ-メタロセン二元触媒系
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20220104BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20220104BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20220104BHJP
   C08F 210/16 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C08F4/654
C08F4/6592
C08F10/00 510
C08F210/16
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018515211
(86)(22)【出願日】2016-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 US2016052803
(87)【国際公開番号】W WO2017053375
(87)【国際公開日】2017-03-30
【審査請求日】2019-07-24
(31)【優先権主張番号】14/863,528
(32)【優先日】2015-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン、アーラン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チン
(72)【発明者】
【氏名】ガトニー、ロイド ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】グレコ、ジェフリー エフ
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-511804(JP,A)
【文献】特表2000-500170(JP,A)
【文献】特表2009-518506(JP,A)
【文献】特表2013-520556(JP,A)
【文献】特表2007-508435(JP,A)
【文献】特表2007-508436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0203617(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0092357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/60-4/70
C08F 10/00-10/14
C08F 210/00-210/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンポリマーを生成するための触媒組成物の生成プロセスであって、
(i)
(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナと、
(b)マグネシウム化合物と、
(c)チタン(IV)化合物及び/またはバナジウム(III)~(V)化合物と、を接触させて、
担持触媒を形成することと、
(ii)前記担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を接触させて前記触媒組成物を形成することと、を含み、
前記メタロセン化合物がクロム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムを単独または組み合わせのいずれかで含む、
プロセス。
【請求項2】
工程(i)が非極性溶媒中で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程(i)が極性非プロトン性溶媒中で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記フッ化物化シリカ被覆アルミナが、約20~約45重量%のシリカ及び約2~約15重量%のフッ素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記担持触媒が、約0.5~約7重量%のマグネシウムを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記マグネシウム化合物が還元剤ではない、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記担持触媒が、約0.5~約10重量%のチタンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記担持触媒が、Ti(III)を実質的に含まない、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
(A)担持触媒であって、
(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナと、
(b)マグネシウム化合物と、
(c)チタン(IV)及び/またはバナジウム(III)~(V)と、を含む、担持触媒と、
(B)メタロセン化合物と、
(C)共触媒と、を含む、オレフィンポリマーを生成するための触媒組成物であって、
前記メタロセン化合物がクロム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムを単独または組み合わせのいずれかで含む、
触媒組成物。
【請求項10】
前記フッ化物化シリカ被覆アルミナが、約20~約45重量%のシリカ及び約3~約12重量%のフッ素を含み、
前記担持触媒が、約0.5~約3重量%のマグネシウムを含み、前記マグネシウム化合物が還元剤ではなく、
前記担持触媒が、約0.5~約10重量%のチタンを含み、前記担持触媒が、実質的にTi(III)を含まない、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記担持触媒が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、ハロゲン化アルコキシチタン、またはこれらの組み合わせを含むチタン(IV)化合物を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記担持触媒が、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、ハロゲン化アルコキシマグネシウム、またはこれらの組み合わせを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記担持触媒が、約1~約50重量ppmのTHFを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記触媒組成物における前記メタロセン化合物のチタン(IV)に対するモル比が、約10:1~約1:10の範囲にある、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記メタロセン化合物が、シクロペンタジエニル基及びフルオレニル基を有し、かつ架橋基上及び/または前記シクロペンタジエニル基上にアルケニル置換基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記メタロセン化合物が、2つのシクロペンタジエニル基、2つのインデニル基、または1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
オレフィン重合プロセスであって、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、重合反応器システムにおいて請求項9に記載の触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマーと接触させることを含む、プロセス。
【請求項18】

前記重合反応器システムが、スラリー反応器、気相反応器、溶液反応器、またはこれらの組み合わせを含み、
前記オレフィンポリマーが、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、
前記エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーが、1000個の総炭素原子当たり約0.005未満の長鎖分枝を有し、かつ/または実質的に一定の短鎖分枝分布を有する、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
0~880ppmの水素の添加での前記オレフィンポリマーのメルトインデックスの上昇が、同じ重合条件下で、前記メタロセン化合物を有しない同じ触媒系を使用して得られたオレフィンポリマーのメルトインデックスの上昇よりも大きい、請求項17に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高密度ポリエチレン(HDPE)ホモポリマー及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)コポリマーなどのポリオレフィンは、触媒系及び重合プロセスの様々な組み合わせを使用して生成され得る。いくつかの最終使用用途では、チーグラー型触媒成分及びメタロセン触媒成分の両方を有する触媒系を使用して、高分子量及び広い分子量分布を有するポリマーを生成することが有益であり得る。したがって、本発明はこれらの目的を対象としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この概要は、詳細な説明で以下に更に説明する概念の選択を簡略化した形態で導入するために提供される。この概要は、特許請求される主題の必要とされるまたは必須の特徴を特定することを意図していない。この概要は、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0003】
本発明は、一般に、新規触媒組成物、触媒組成物を調製するための方法、触媒組成物を使用してオレフィンを重合するための方法、そのような触媒組成物を使用して生成されたポリマー樹脂、及びこれらのポリマー樹脂を使用して生成された物品に関する。特に、本発明の態様は、チーグラー・ナッタ触媒成分及びメタロセン触媒成分を含有する触媒組成物を対象とする。そのような1つの触媒組成物は、(A)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)及び/またはバナジウムを含む担持触媒と、(B)メタロセン化合物と、(C)共触媒と、を含み得る。いくつかの態様では、共触媒は、有機アルミニウム化合物を含み得る。これらの触媒組成物は、例えば、様々な最終使用用途のためのエチレン系ホモポリマー及びコポリマーを生成するために使用され得る。
【0004】
触媒組成物を生成するためのプロセスも本明細書に記載されている。例えば、そのプロセスは、(i)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物を接触させて担持触媒を生成することと、その担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を接触させて触媒組成物を形成することと、を含み得る。
【0005】
本発明はまた、オレフィン重合プロセスを企図し、包含する。そのようなプロセスは、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意にオレフィンコモノマーと接触させることを含み得る。一般に、採用される触媒組成物は、本明細書に開示された担持触媒(フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)及び/またはバナジウムを含有する)のいずれか、メタロセン化合物のいずれか、及び共触媒のいずれかを含み得る。
【0006】
ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどをもたらすオレフィンの重合から生成されたポリマーを使用して、様々な製造物品を生成し得る。本発明の態様に一致するオレフィンポリマー(例えば、エチレンホモポリマーまたはコポリマー)の代表的かつ非限定的な例は、以下の特性を有するものとして特徴付けされ得る:約10g/10分以下のメルトインデックス、約2~約15の範囲のMw/Mnの比、及び約0.90g/cm3/~約0.96g/cm3の範囲の密度。本発明のオレフィンポリマーの別の例示的かつ非限定的な例は、約2g/10分以下のメルトインデックス、約3~約10の範囲のMw/Mnの比、及び約0.91g/cm3~約0.945g/cm3の範囲の密度を有し得る。更なる態様では、これらのポリマーは、低レベルの長鎖分枝(LCB)によって、及び/または二峰性の分子量分布によって、及び/または実質的に一定の短鎖分枝分布(SCBD)によって特徴付けされ得る。
【0007】
前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例を提供し、説明的なものにすぎない。したがって、前述の概要及び以下の詳細な説明は、限定的であるとみなされるべきではない。更に、本明細書に記載されたものに加えて、特徴または類型が提供されてよい。例えば、所定の態様及び実施形態は、詳細な説明に記載された様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせを対象とし得る。
他の記載と重複するが、本発明を以下に示す。
[発明1]
触媒組成物の生成プロセスであって、
(i)
(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナと、
(b)マグネシウム化合物と、
(c)チタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物と、を接触させて、
担持触媒を形成することと、
(ii)前記担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を接触させて前記触媒組成物を形成することと、を含む、プロセス。
[発明2]
工程(i)が非極性溶媒中で行われる、発明1に記載のプロセス。
[発明3]
工程(i)が極性非プロトン性溶媒中で行われる、発明1に記載のプロセス。
[発明4]
前記フッ化物化シリカ被覆アルミナが、約20~約45重量%のシリカ及び約2~約15重量%のフッ素を含む、発明1に記載のプロセス。
[発明5]
前記担持触媒が、約0.5~約7重量%のマグネシウムを含む、発明1に記載のプロセス。
[発明6]
前記マグネシウム化合物が還元剤ではない、発明5に記載のプロセス。
[発明7]
前記担持触媒が、約0.5~約10重量%のチタンを含む、発明1に記載のプロセス。
[発明8]
前記担持触媒が、Ti(III)を実質的に含まない、発明7に記載のプロセス。
[発明9]
(A)担持触媒であって、
(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナと、
(b)マグネシウム化合物と、
(c)チタン(IV)及び/またはバナジウムと、を含む、担持触媒と、
(B)メタロセン化合物と、
(C)共触媒と、を含む、触媒組成物。
[発明10]
前記フッ化物化シリカ被覆アルミナが、約20~約45重量%のシリカ及び約3~約12重量%のフッ素を含み、
前記担持触媒が、約0.5~約3重量%のマグネシウムを含み、前記マグネシウム化合物が還元剤ではなく、
前記担持触媒が、約0.5~約10重量%のチタンを含み、前記担持触媒が、実質的にTi(III)を含まない、発明9に記載の組成物。
[発明11]
前記担持触媒が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、ハロゲン化アルコキシチタン、またはこれらの組み合わせを含むチタン(IV)化合物を含む、発明10に記載の組成物。
[発明12]
前記担持触媒が、ハロゲン化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、ハロゲン化アルコキシマグネシウム、またはこれらの組み合わせを含む、発明9に記載の組成物。
[発明13]
前記担持触媒が、約1~約50重量ppmのTHFを含む、発明9に記載の組成物。
[発明14]
前記触媒組成物における前記メタロセン化合物のチタン(IV)に対するモル比が、約10:1~約1:10の範囲にある、発明9に記載の組成物。
[発明15]
前記メタロセン化合物が、シクロペンタジエニル基及びフルオレニル基を有し、かつ架橋基上及び/または前記シクロペンタジエニル基上にアルケニル置換基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、発明14に記載の組成物。
[発明16]
前記メタロセン化合物が、2つのシクロペンタジエニル基、2つのインデニル基、または1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、発明14に記載の組成物。
[発明17]
前記触媒組成物が、90℃の重合温度及び400psigの反応器圧力で、希釈剤としてイソブタンを使用して、トリイソブチルアルミニウム共触媒と共に、スラリー重合条件下で、約10,000g/g/時を超える触媒活性を有する、発明9に記載の組成物。
[発明18]
オレフィン重合プロセスであって、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、重合反応器システムにおいて発明9に記載の触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマーと接触させることを含む、プロセス。
[発明19]
前記重合反応器システムが、スラリー反応器、気相反応器、溶液反応器、またはこれらの組み合わせを含み、
前記オレフィンポリマーが、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであり、
前記エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーが、1000個の総炭素原子当たり約0.005未満の長鎖分枝を有し、かつ/または実質的に一定の短鎖分枝分布を有する、発明18に記載のプロセス。
[発明20]
0~880ppmの水素の添加での前記オレフィンポリマーのメルトインデックスの上昇が、同じ重合条件下で、前記メタロセン化合物を有しない同じ触媒系を使用して得られたオレフィンポリマーのメルトインデックスの上昇よりも大きい、発明18に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例17~19のポリマーの分子量分布のプロットを示している。
図2】実施例31、36、及び40~41の触媒活性を要約する棒チャートを示している。
図3】実施例76、80、及び83のポリマーの分子量分布のプロットを示している。
図4】実施例84のポリマーの分子量分布のプロットを示している。
図5】実施例85~92のポリマーの分子量分布のプロットを示している。
【0009】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義を提供する。他に示されない限り、以下の定義は本開示に適用可能である。用語が本開示で使用されているが、本明細書で特に定義されていない場合、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義が、本明細書で適用される任意の他の開示または定義と対立しない限り、またはその定義が適用される任意の特許請求の範囲を曖昧なものにしないかまたは不可能なものとしない限り、その定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれる任意の文書によって提供される任意の定義または使用法が本明細書で提供された定義または使用法と対立する限りにおいて、本明細書で提供された定義または使用法が優先される。
【0010】
様々な成分または工程を「含む」という観点から本明細書において組成物及び方法が記載されているが、組成物及び方法はまた、他に述べられない限り、様々な成分または工程「から本質的になる」または「からなる」場合がある。例えば、本発明の態様に一致する触媒組成物は、(i)担持触媒、(ii)メタロセン化合物、及び(iii)共触媒を含み得るか、またはそれらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。
【0011】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」などの用語は、他に特定されない限り、複数の選択肢、例えば、少なくとも1つを含むものと意図されている。例えば、「共触媒」または「メタロセン化合物」の開示は、他に特定されない限り、それぞれ1つを超える共触媒またはメタロセン化合物の1つまたは混合物もしくは組み合わせを包含することを意味する。
【0012】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に公開された元素の周期表のバージョンに示された番号付けスキームを使用して示される。いくつかの場合では、族、例えば、1族元素のアルカリ金属、2族元素のアルカリ土類金属、3~12族元素の遷移金属、及び17族元素のハロゲンまたはハロゲン化物に割り当てられた共通名称を使用して示され得る。
【0013】
本明細書に開示される任意の特定の化合物について、提示される一般的構造または名称はまた、他に示されない限り、特定の置換基のセットに起因し得る全ての構造異性体、配座異性体、及び立体異性体を包含することが意図される。それ故、化合物に対する一般的言及は、他に明確に示されない限り、全ての構造異性体を含む。例えば、ペンタンに対する一般的言及には、n-ペンタン、2-メチル-ブタン、及び2,2-ジメチルプロパンが含まれる一方で、ブチル基に対する一般的言及には、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、及びtert-ブチル基が含まれる。また、一般的構造または名称に対する言及は、文脈が許可または必要とするように、鏡像異性形態であるかラセミ形態であるかにかかわらず、全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の任意の光学異性体、ならびに立体異性体の混合物を包含する。提示される任意の特定の式または名称の場合、提示される任意の一般式または名称はまた、特定の置換基のセットに起因し得る全ての配座異性体、位置異性体、及び立体異性体を包含する。
【0014】
基を記載するために使用される場合の「置換」という用語は、例えば、特定の基の置換類似体を指す場合、その基中の水素を正式に置換する任意の非水素部分を記載することが意図され、非限定的であることが意図される。1つの基または複数の基はまた、本明細書では、「非置換」と称され得、またはその基において非水素部分が水素を置換しない元々の基を指す「置換されていない」などの同等の用語によって称され得る。他に特定されない限り、「置換」は、非限定的であること、及び当業者によって理解されるように無機置換基または有機置換基を含むことが意図される。
【0015】
「炭化水素」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合はいつでも、炭素及び水素のみを含有する化合物を指す。他の識別子は、炭化水素中の特定の基の存在を示すために利用され得る(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。「ヒドロカルビル基」という用語は、本明細書においてIUPACによって特定された定義に従って使用される:炭化水素(すなわち、炭素及び水素のみを含有する基)から水素原子を除去することによって形成される一価の基。ヒドロカルビル基の非限定的な例には、他の基の中でも、アルキル、アルケニル、アリール、及びアラルキル基が含まれる。
【0016】
「ポリマー」という用語は、オレフィンホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを含めるために本明細書で総称的に使用される。コポリマーは、オレフィンモノマー及び1種のオレフィンコモノマーから誘導される一方で、ターポリマーは、オレフィンモノマー及び2種のオレフィンコモノマーから誘導される。したがって、「ポリマー」は、本明細書に開示される任意のオレフィンモノマー及びコモノマー(複数可)から誘導されるコポリマー、ターポリマーなどを包含する。同様に、エチレンポリマーは、エチレンホモポリマー、エチレンコポリマー、エチレンターポリマーなどを含むであろう。例として、エチレンコポリマーなどのオレフィンコポリマーは、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、または1-オクテンなどのコモノマーとから誘導され得る。モノマー及びコモノマーがそれぞれエチレン及び1-ヘキセンである場合、得られるポリマーはエチレン/1-ヘキセンコポリマーとして分類され得る。
【0017】
同様に、「重合」という用語の範囲には、単独重合、共重合、三元重合などが含まれる。それ故、共重合プロセスは、1種のオレフィンモノマー(例えば、エチレン)及び1種のオレフィンコモノマー(例えば、1-ヘキセン)を接触させてコポリマーを生成することを含み得る。
【0018】
「共触媒」という用語は、例えば、フッ化物化シリカ被覆アルミナに加えて使用される場合に、触媒組成物の1つの成分を構成し得る、アルミノキサン化合物、有機ホウ素または有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機マグネシウム化合物、有機リチウム化合物などの化合物を指すために本明細書で一般に使用される。「共触媒」という用語は、化合物の実際の機能、または化合物が作動し得る任意の化学的メカニズムにかかわらず使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「メタロセン」という用語は、少なくとも1つのη3~η5-シクロアルカジエニル型部分を含む化合物を記載しており、η3~η5-シクロアルカジエニル部分は、シクロペンタジエニルリガンド、インデニルリガンド、フルオレニルリガンドなど(これらの任意の部分的飽和または置換誘導体または類似体を含む)を含む。これらのリガンド上の可能な置換基にはHが含まれ得、そのため、本発明は、テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、部分的飽和インデニル、部分的飽和フルオレニル、置換部分的飽和インデニル、置換部分的飽和フルオレニルなどのリガンドを含む。いくつかの文脈では、メタロセンは、「共触媒」という用語が、例えば、有機アルミニウム化合物を指すのに本明細書で使用され得るのとほぼ同じように、単に「触媒」と称され得る。
【0020】
「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、開示されたまたは特許請求された触媒組成物/混合物/系の初期成分の接触または反応から生じる実際の生成物または組成物、活性触媒部位の特質、または共触媒、メタロセン化合物、チーグラー・ナッタ成分、またはフッ化シリカ被覆アルミナを組み合わせた後のこれらの成分の結末に依存しない。そのため、「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、組成物の初期出発成分、及び生成物(複数可)がこれらの初期出発成分と接触することに由来し得るものを包含し、これは、不均一及び均一触媒系または組成物の両方を含む。「触媒組成物」、「触媒混合物」、「触媒系」などの用語は、本開示を通して交換可能に使用され得る。
【0021】
「接触生成物」という用語は、本明細書では、他に特定されない限り、成分が任意の順序で、任意の手法で、及び任意の長さの時間で一緒に接触される組成物を記載するために使用される。例えば、成分は、ブレンドまたは混合によって接触され得る。更に、任意の成分の接触は、本明細書に記載の組成物の任意の他の成分の存在下または非存在下で起こり得る。追加の材料または成分を組み合わせることは、任意の好適な方法によって行われ得る。更に、「接触生成物」という用語には、混合物、ブレンド、溶液、スラリー、反応生成物など、またはこれらの組み合わせが含まれる。「接触生成物」は反応生成物を含み得るが、それぞれの成分が互いに反応することは必要とされない。同様に、「接触する」という用語は、ブレンドされ、混合され、スラリー化され、溶解され、反応され、処理され、またはいくつかの他の手法で接触され得る材料を指すために本明細書で使用される。
【0022】
本明細書に記載されているものと同様または同等な任意の方法、装置、及び材料は、本発明の実施または試験に使用され得るが、典型的な方法、装置、及び材料が本明細書に記載されている。
【0023】
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許は、例えば、目下記載されている発明に関連して使用されるかもしれない刊行物に記載されている構築物及び方法論を記載及び開示する目的で、参照により本明細書に組み込まれる。文書を通して議論された刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためにのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、発明者が、先行発明によりそのような開示に先行する資格がないことを認めるものとして解釈されるものではない。
【0024】
出願人は、本発明においていくつかの種類の範囲を開示する。出願人が任意の種類の範囲を開示または特許請求する場合、出願人の意図は、範囲の終点ならびに本明細書に包含される任意の部分範囲及び部分範囲の組み合わせを含む、そのような範囲が合理的に包含し得る個別の各々の可能な数を開示または特許請求することが意図される。例えば、出願人が所定の数の炭素原子を有する化学的部分を開示または特許請求する場合、出願人の意図は、本明細書の開示と一致して、そのような範囲が包含し得る個別の全ての可能な数を開示または特許請求することである。例えば、本開示は、部分が、C1~C18ヒドロカルビル基、または代替的な言葉では、1~18個の炭素原子を有するヒドロカルビル基は、本明細書で使用される場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個の炭素原子、及びこれらの2つの数の間の任意の範囲(例えば、C1~C8ヒドロカルビル基)を有し得、また、これらの2つの数の間の範囲の任意の組み合わせ(例えば、C2~C4及びC12~C16ヒドロカルビル基)を含む部分を指す。
【0025】
同様に、本発明の態様において生成されるオレフィンポリマーのMw/Mnの比のために別の代表的な例が続く。Mw/Mnが約3~約12の範囲にあり得るという開示によって、出願人は、Mw/Mnが、その範囲内の任意の比であり得ること、及び、例えば、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、または約12と同等であり得ることを記述することを意図している。また、そのMw/Mnは、約3~約12(例えば、約3.5~約10.5)の任意の範囲内であり得、これはまた、約3~約12の範囲の任意の組み合わせを含む(例えば、Mw/Mnは、約3~約8、または約9~約12の範囲内であり得る)。同様に、本明細書に開示される全ての他の範囲は、これらの例と同様の手法で解釈されるべきである。
【0026】
あらゆる理由のため、出願人が、例えば、出願人が本出願の出願時に気づいていないかもしれない参考文献を説明するため、開示の十分な程度未満で特許請求することを選択する場合、出願人は、範囲に従ってまたは任意の同様の手法で特許請求され得る、群の範囲内の任意の副次的範囲または副次的範囲の組み合わせを含む、任意のそのような群の任意の個々の要素を除外または排除する権利を保有する。更に、あらゆる理由のため、出願人が、例えば、出願人が本出願の出願時に気づいていないかもしれない参考文献を説明するため、開示の十分な程度未満で特許請求することを選択する場合、出願人は、任意の個々の置換基、類似体、化合物、リガンド、構造、もしくはそれらの群、または特許請求された群の任意の要素を除外または排除する権利を保有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、一般に、新規触媒組成物、触媒組成物を調製するための方法、触媒組成物を使用してオレフィンを重合するための方法、そのような触媒組成物を使用して生成されたポリマー樹脂、及びこれらのポリマー樹脂を使用して生成された物品を対象とする。特に、本発明は、チーグラー触媒及びメタロセン触媒を含有する触媒組成物、そのような触媒組成物を利用する重合プロセス、及びその重合プロセスから生成された得られたオレフィンポリマーに関する。
【0028】
フッ化物化シリカ被覆アルミナ
本発明における使用に好適なフッ化物化シリカ被覆アルミナには、様々なフッ素含有化合物またはフッ化物化源で処理したシリカ被覆アルミナが含まれ得る。フッ化物化シリカ被覆アルミナ、シリカ被覆アルミナ、及びフッ素含有化合物の例示的かつ非限定的な例には、米国特許第7,884,163号、同第8,703,886号、同第8,916,494号、及び同第9,023,959号に記載されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
使用され得るシリカ被覆アルミナ固体酸化物材料は、約5~約95重量%のシリカ含有量を有し得る。一態様では、これらの固体酸化物のシリカ含有量は、約10~約80重量%、または約20重量%~約70重量%のシリカであり得る。別の態様では、そのような材料は、約15重量%~約60重量%、または約25重量%~約50重量%のシリカの範囲のシリカ含有量を有し得る。本発明における使用に好適なシリカ被覆アルミナ材料の例示的かつ非限定的な例には、Sasol SIRAL28(28%のシリカ)及びSIRAL40(40%のシリカ)ならびに以下の例に記載されているものが含まれる。本明細書で企図されるシリカ被覆アルミナ固体酸化物及びフッ化物化シリカ被覆アルミナは、当業者に認識されるように、任意の好適な表面積、細孔容積、及び粒子サイズを有し得る。
【0030】
フッ化物化シリカ被覆アルミナは、シリカ被覆アルミナをフッ素含有化合物と接触させ、焼成することによって調製され得る。いくつかの態様では、シリカ被覆アルミナ及びフッ素含有化合物は、蒸気相で接触され得る一方で、他の態様では、シリカ被覆アルミナ及びフッ素含有化合物の接触は、液相中で行われ得る。その上、焼成は、シリカ被覆アルミナ及びフッ素含有化合物が接触した後に行われ得、または、焼成は、シリカ被覆アルミナ及びフッ素含有化合物の接触と同時に行われ得る(例えば、気相中で)。
【0031】
焼成操作は、本明細書に記載の参考文献に記載されているように、様々な温度及び時間で行われ得る。また、焼成操作は、周囲雰囲気(例えば、酸化雰囲気)で、還元性雰囲気(例えば、水素分子及び/または一酸化炭素を個別にまたは不活性ガスとの混合物のいずれかで含有する)、または不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴンなどの不活性ガス)で実施され得る。
【0032】
フッ化物源またはフッ素含有化合物は、所定の態様では、フロン(Freon)またはフッ化炭素化合物を含み得る。例えば、好適なフッ素含有化合物には、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロジメチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ビス(ジフルオロメチル)エーテル、1,1,2-トリフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエタン、メチルトリフルオロメチルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチルメチルエーテル、1,2-ジフルオロエタン、1,1-ジフルオロエタン、フルオロエタン、オクタフルオロプロパン、1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、トリフルオロメチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、トリフルオロメチル1,2,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,2,2,2-テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル、ヘキサフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、メチルペンタフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル1,1,2-トリフルオロエチルエーテル、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、メチル1,1,2,2-テトラフルオロエチルエーテル、トリフルオロプロパン、ジフルオロプロパン、フルオロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、デカフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタン、1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロブタン、パーフルオロプロピルメチルエーテル、パーフルオロイソプロピルメチルエーテル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、パーフルオロヘキサン(テトラデカフルオロヘキサン)、テトラフルオロエチレン、1,1-ジフルオロエチレン、フルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペントリマーなど、及びこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0033】
別の態様では、フッ素含有化合物は、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、トリフルオロエタン、ジフルオロエタン、オクタフルオロプロパン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロジメチルエーテル、ビス(ジフルオロメチル)エーテル、メチルトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロエチルメチルエーテル、パーフルオロ無水酢酸、トリフルオロエタノール、四フッ化ケイ素(SiF4)、フッ化水素(HF)、フッ素ガス(F2)、三フッ化ホウ素(BF3)、トリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)、テトラフルオロホウ酸、五フッ化アンチモン、五フッ化リン、四フッ化スズ、フッ化チオニル、または六フッ化硫黄など、及びこれらの混合物もしくは組み合わせを含み得る(またはそれから本質的になり得るか、もしくはそれからなり得る)。例えば、フッ素含有化合物は、テトラフルオロメタン、あるいは、トリフルオロメタン、あるいは、ジフルオロメタン、あるいは、フルオロメタン、あるいは、ヘキサフルオロエタン、あるいは、ペンタフルオロエタン、あるいは、テトラフルオロエタン、あるいは、トリフルオロエタン、あるいは、ジフルオレタン、あるいは、オクタフルオロプロパン、あるいは、パーフルオロヘキサン、あるいは、パーフルオロベンゼン、あるいは、ペンタフルオロジメチルエーテル、あるいは、ビス(ジフルオロメチル)エーテル、あるいは、メチルトリフルオロメチルエーテル、あるいは、トリフルオロエチルメチルエーテル、あるいは、パーフルオロ無水酢酸、あるいは、トリフルオロエタノール、あるいは、四フッ化ケイ素、あるいは、フッ化水素、またはあるいは、フッ素ガスを含み得る(またはそれから本質的になり得るか、もしくはそれからなり得る)。
【0034】
更に別の態様では、フッ素含有化合物は、テトラフルオロエタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロ無水酢酸など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。一層別の態様では、フッ素含有化合物は、テトラフルオロエタンを含み得、またはあるいは、フッ素含有化合物は、パーフルオロヘキサンを含み得る。
【0035】
他の態様では、フッ素含有化合物は、フッ化水素(HF)、フッ化アンモニウム(NH4F)、酸性フッ化アンモニウム(NH4HF2)、アンモニウムテトラフルオロボレート(NH4BF4)、ケイフッ化アンモニウム(ヘキサフルオロシリケート)((NH4)2SiF6)、アンモニウムヘキサフルオロホスフェート(NH4PF6)、ヘキサフルオロチタン酸(H2TiF6)、アンモニウムヘキサフルオロチタン酸((NH4)2TiF6)、ヘキサフルオロジルコニウム酸(H2ZrF6)、AlF3、NH4AlF4、トリフルオロメタンスルホン酸、アンモニウムトリフレートなど、及びこれらの混合物または組み合わせを含み得る。したがって、フッ素含有化合物は、フッ化水素(HF)、あるいは、フッ化アンモニウム(NH4F)、あるいは、酸性フッ化アンモニウム(NH4HF2)、あるいは、アンモニウムテトラフルオロボレート(NH4BF4)、あるいは、ケイフッ化アンモニウム(ヘキサフルオロシリケート)((NH4)2SiF6)、あるいは、アンモニウムヘキサフルオロホスフェート(NH4PF6)、あるいは、ヘキサフルオロチタン酸(H2TiF6)、あるいは、アンモニウムヘキサフルオロチタン酸((NH4)2TiF6)、あるいは、ヘキサフルオロジルコニウム酸(H2ZrF6)、あるいは、AlF3、あるいは、NH4AlF4、あるいは、トリフルオロメタンスルホン酸、またはあるいは、アンモニウムトリフレートを含み得る(またはそれから本質的になるか、またはそれからなる)。
【0036】
「蒸気」相調製では、これらのフッ素含有化合物のうちの1種以上は、焼成操作の間にシリカ被覆アルミナと接触され得る。例えば、好適なフッ素含有化合物は、焼成の間にシリカ被覆アルミナを流動化するために使用されるガス流に気化され得る。別の「蒸気」相調製では、シリカ被覆アルミナを室温またはそれよりもわずかに高い温度で反応性フッ化物化剤蒸気に暴露し(例えば、好適なフッ素含有化合物には、HF、BF3、SiF4、フッ化チオニルなどが含まれる)、続いてその後に焼成され得る。更に別の「蒸気」相調製では、好適なフッ素含有化合物(例えば、アンモニウムテトラフルオロボレート、アンモニウムヘキサフルオロシリケートなど)をシリカ被覆アルミナと乾燥混合し、次いで加熱してフッ素含有化合物を分解し、担体と反応するフッ素含有蒸気を放出し得る。分解及び同時/その後の焼成は、しばしば、100℃~700℃の範囲、150℃~700℃の範囲などで起こり得る。「液体」相調製では、これらのフッ素含有化合物(例えば、アンモニウムテトラフルオロボレート、アンモニウムヘキサフルオロシリケート、二フッ化アンモニウム、フッ化水素酸、トリフルオロメタンスルホン酸など)のうちの1種以上を好適な溶媒(例えば、水、C1~C3アルコールなど)中でシリカ被覆アルミナのスラリーと混合し、続いて(所望により乾燥し)その後焼成し得る。他の好適な手順は当業者によく知られている。
【0037】
フッ化物化シリカ被覆アルミナは、一般に、フッ化物化シリカ被覆アルミナの重量を基準として、約1~約25重量%のフッ素(F)を含有し得る。本明細書に提供される特定の態様では、フッ化物化シリカ被覆アルミナは、フッ化物化シリカ被覆アルミナの重量を基準として、約1~約20重量%、約2~約20重量%、約3~約20重量%、約2~約15重量%、約3~約15重量%、約3~約12重量%、または約4~約10重量%のフッ素を含有し得る。
【0038】
本発明において使用するためのフッ化物化シリカ被覆アルミナを調製するために適用し得る他の好適なプロセス及び手順は、米国特許第7,294,599号、同第7,601,665号、同第7,884,163号、同第8,309,485号、同第8,623,973号、同第8,703,886号、及び同第8,916,494号、ならびに米国特許公開第2015/0018503号において見つけることができ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
マグネシウム化合物
好適なマグネシウム化合物には、無機マグネシウム化合物、マグネシウムハライド、マグネシウムアルコキシド、アルコキシマグネシウムハライドなど、及びこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。例えば、マグネシウム化合物は、MgCl2、MgBr2、MgI2、MgSO4、またはMg(NO3)2を単独または組み合わせのいずれかで含み得る。
【0040】
一態様では、マグネシウム化合物は、マグネシウムアルコキシド化合物を含み得、マグネシウムアルコキシドは、式Mg(ORZ)2を有し得る。この式において、各RZは、独立して、本明細書に開示された任意のC1~C36アルキル基、C1~C18アルキル基、C1~C12アルキル基、C1~C10アルキル基、またはC1~C6アルキル基であり得る。そのため、いくつかの態様では、RZであり得るアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、またはオクタデシル基、またはあるいは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基であり得る。いくつかの態様では、RZであり得るアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、またはネオペンチル基、あるいは、メチル基、エチル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、またはネオペンチル基、あるいは、メチル基、あるいは、エチル基、あるいは、n-プロピル基、あるいは、iso-プロピル基、あるいは、tert-ブチル基、またはあるいは、ネオペンチル基であり得る。本発明の一態様によれば、各RZは異なる一方で、別の態様では両方のRZ基は同じである。更に別の態様では、マグネシウム化合物は、マグネシウムメトキシド及び/またはマグネシウムエトキシド、あるいは、マグネシウムメトキシド、またはあるいは、マグネシウムエトキシドを含む。
【0041】
他のマグネシウム化合物が使用され得るが、本発明の特定の態様では、マグネシウム化合物は、還元剤ではなく、その非限定的な例には、ジブチルマグネシウム、シクロペンタジエニルマグネシウムなどのヒドロカルビルマグネシウム化合物、及びブチルブロモマグネシウムなどのグリニャール試薬が含まれる。したがって、そのような化合物(例えば、ヒドロカルビルマグネシウム化合物)は、本発明の態様におけるマグネシウム化合物としての使用には好適ではない。
【0042】
チタン(IV)及びバナジウム化合物
本明細書に開示された触媒を生成するためのプロセスにおいて使用される好適なチタン(IV)化合物(または担持触媒上に存在する好適なチタン(IV)種)は、チタンハライド、チタンアルコキシド、アルコキシチタンハライドなど、及びこれらの組み合わせを含み得る。例えば、四価チタン化合物または種は、TiCl4、TiBr4、TiI4、またはTiF4を単独または組み合わせのいずれかで含み得る。
【0043】
一態様では、四価チタン化合物または種は、式Ti(ORZ)nXZ4-nを有し得る。この式において、各RZは、独立して、本明細書に開示された任意のC1~C36アルキル基、C1~C18アルキル基、C1~C12アルキル基、C1~C10アルキル基、またはC1~C6アルキル基であり得、XZは、任意の好適なハロゲンであり得、nは、0、1、2、3、または4であり得る。それ故、好適なチタン(IV)化合物には、TiCl4、Ti(ORZ)Cl3、Ti(ORZ)2Cl2、Ti(ORZ)3Clが含まれ得るがこれらに限定されず、式中、各RZは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、またはオクタデシル基、またはあるいは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基であり得る。本発明の一態様によれば、各RZは異なる一方で、別の態様では、各RZ基は同じである。更に別の態様では、四価チタン化合物は、TiCl4を含む。
【0044】
本明細書に開示された触媒を生成するためのプロセスにおいて使用される好適なバナジウム化合物(または担持触媒上に存在する好適なバナジウム種)は、バナジウムハライド、バナジウムアルコキシド、アルコキシバナジウムハライドなど、及びこれらの組み合わせを含み得る。例えば、バナジウム化合物または種は、VCl3、VCl4、またはVOCl3を単独または組み合わせのいずれかで含み得る。バナジウム化合物または種は、V(+3)、V(+4)、またはV(+5)などの任意の好適な酸化状態を有し得る。
【0045】
一態様では、バナジウム化合物または種は、式V(ORZ)nXZ4-nを有し得る。この式において、各RZは、独立して、本明細書に開示された任意のC1~C36アルキル基、C1~C18アルキル基、C1~C12アルキル基、C1~C10アルキル基、またはC1~C6アルキル基であり得、XZは任意の好適なハロゲンであり得、nは0、1、2、3、または4であり得る。それ故、好適なバナジウム化合物には、VCl4、V(ORZ)Cl3、V(ORZ)2Cl2、V(ORZ)3Clが含まれ得るがこれらに限定されず、式中、各RZは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、またはオクタデシル基、またはあるいは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基であり得る。本発明の一態様によれば、各RZは異なる一方で、別の態様では、各RZ基は同じである。更に別の態様では、バナジウム化合物は、VCl3、あるいは、VCl4、またはあるいは、VOCl3を含む。
【0046】
担持触媒
本発明における使用のための担持触媒を調製するための様々なプロセスが本明細書に開示及び記載されている。そのような1つのプロセスは、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)及び/またはバナジウム化合物を接触させて担持触媒を形成することを含み得る(またはそれから本質的になり得るか、もしくはそれからなり得る)。一般に、本明細書に開示されたプロセスのいずれかの特徴(例えば、とりわけ、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、四価チタン化合物、バナジウム化合物、接触の順序)は、独立して本明細書に開示されており、これらの特徴は、開示されたプロセスを更に記載するために任意の組み合わせで組み合わせられ得る。その上、他に述べられない限り、開示されたプロセスに列挙された工程のいずれかの前、間、及び/または後に、他のプロセス工程が行われ得る。また、開示されたプロセスに従って生成された任意の担持触媒は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0047】
これらのプロセスでは、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)化合物、及び/またはバナジウム化合物を任意の順序で及び任意の好適な条件下で接触または組み合わせて、担持触媒を形成し得る。それ故、様々な温度及び時間が採用され得る。例えば、触媒成分は、約0℃~約100℃、あるいは、約0℃~約75℃、あるいは、約10℃~約90℃、あるいは、約20℃~約60℃、あるいは、約20℃~約50℃、あるいは、約15℃~約45℃、またはあるいは、約20℃~約40℃の範囲の温度で接触され得る。これら及び他の態様では、これらの温度範囲はまた、成分が、単一の固定温度の代わりに、それぞれの範囲内に入る一連の異なる温度で接触される状況を包含することを意味する。一例として、担持触媒の成分の初期接触は高温で行われ得、続いて最終担持触媒のより長い期間の保存のためのより低い温度に冷却される。
【0048】
担持触媒を形成するための成分の接触の継続時間は、任意の特定の期間に限定されない。したがって、この期間は、例えば、1~10秒程度の短いものから24~48時間程度の長いもの、またはそれ以上までであり得る。適切な期間は、他の可変要素の中でも、例えば、接触温度、接触または組み合わされるフッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、四価チタン化合物(及び/またはバナジウム化合物)のそれぞれの量、希釈剤の存在、混合の程度、長期保存の考慮に依存し得る。しかしながら、一般に、接触のための期間は、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分などであり得る。担持触媒が、数日または数週間に及び得る長期間の保存を意図していないと仮定すると、接触時間の典型的な範囲には、約1秒~約48時間、約5秒~約48時間、約30秒~約24時間、約1分~約18時間、約1分~約6時間、約5分~約24時間、または約10分~約8時間が含まれ得るがこれらに限定されない。
【0049】
本発明の一態様では、担持チタン触媒が生成され得、この態様では、チタン(IV)化合物(1種以上)が使用され得る。別の態様では、担持バナジウム触媒が生成され得、この態様では、バナジウム化合物(1種以上)が使用され得る。更に別の態様では、担持チタン及びバナジウム触媒が生成され得、この態様では、チタン(IV)化合物(1種以上)及びバナジウム化合物(1種以上)が使用され得る。
【0050】
しばしば、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物は溶媒中で接触され得る。溶媒は、例えば、任意の好適な非極性脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、または塩素化炭化水素など、またはこれらの組み合わせを含み得る。非極性脂肪族炭化水素の例示的な例には、シクロヘキサン、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタンなどのアルカン、またはこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。芳香族炭化水素の例示的な例には、トルエン、ベンゼン、キシレンなど、またはこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。塩素化炭化水素の例示的な例には、クロロベンゼンなどが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0051】
代わりの態様では、溶媒は、任意の好適な極性非プロトン性溶媒及び/または任意の好適なルイス塩基を含み得る。そのような溶媒の例示的な例には、エーテル、ピリジン、THF、置換THF、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサンなど、及びこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0052】
一態様では、担持触媒は、まず、フッ化物化シリカ被覆アルミナ及びマグネシウム化合物を溶媒中で接触させて混合物(例えば、スラリー)を形成し、次いでその混合物をチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物と接触させることによって調製され得る。別の態様では、担持触媒は、まず、マグネシウム化合物ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物の混合物(例えば、溶液)を溶媒中で接触させ、次いでその混合物をフッ化物化シリカ被覆アルミナと接触させることによって調製され得る。更に別の態様では、担持触媒は、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物を実質的に同時に組み合わせ、混合して全ての成分の十分な接触を確保することによって調製され得る。これらの添加順序の各々について、フッ化物化シリカ被覆アルミナは、スラリーとして存在し得、または、あるいは、フッ化物化シリカ被覆アルミナは、乾燥固体として存在し得る。同様に、マグネシウム化合物ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物は、任意の好適な形態、例えば、溶液、スラリーなどであり得る。
【0053】
所望の場合、担持触媒を生成するために使用されるプロセスは、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物の接触の結果生じる生成物を濾過する工程、及び/または洗浄する工程、及び/または乾燥させる工程(例えば、減圧下で)を更に含み得る。それ故、担持触媒を形成するために、濾過工程が使用され得、または洗浄工程が使用され得、または乾燥工程が使用され得る。あるいは、濾過工程、洗浄工程、及び乾燥工程が担持触媒を形成するために使用され得る。当業者に知られている他の好適な分離または単離技術を使用して、所望の場合には、自由流動性固体などの様々な形態で担持触媒を調製し得る。
【0054】
関連の態様では、本発明に一致する担持触媒は、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)及び/またはバナジウムを、あるいは、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、及び(c)チタン(IV)を、またはあるいは、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、及び(c)バナジウムを含み得る(またはそれらから本質的になり得るか、もしくはそれらからなり得る)。更なる態様では、本発明に一致する担持触媒は、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)及び/またはバナジウム化合物を、あるいは、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、及び(c)チタン(IV)化合物を、またはあるいは、(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、及び(c)バナジウム化合物を含み得る(またはそれらから本質的になり得るか、もしくはそれらからなり得る)。
【0055】
本発明の態様に一致して、マグネシウムの重量百分率は、担持触媒の重量を基準として、しばしば、約0.1~約10重量%の範囲であり得る。例えば、その重量百分率は、約0.25~約10重量%のマグネシウム、約0.25~約8重量%のマグネシウム、または約0.25~約5重量%のマグネシウムの範囲であり得る。特定の態様では、マグネシウムの重量百分率は、担持触媒の重量を基準として、約0.5~約7重量%、約0.5~約5重量%、約0.5~約3重量%、約0.75~約3重量%、または約0.75~約2重量%のマグネシウムの範囲であり得る。
【0056】
またまたはあるいは、四価チタン化合物の(またはバナジウム化合物の)チタン(またはバナジウム)の重量百分率は、担持触媒の重量を基準として、しばしば、約0.1~約10重量%の範囲であり得る。例えば、その重量百分率は、約0.1~約8重量%、約0.1~約5重量%、または約0.1~約2重量%のチタン(またはバナジウム)の範囲であり得る。チタン及びバナジウムの両方が存在する場合、この重量百分率は、チタン及びバナジウムの合計に基づく。特定の態様では、チタン(またはバナジウム)の重量百分率は、担持触媒の重量を基準として、約0.2~約7重量%、約0.2~約5重量%、約0.2~約2重量%、約0.3~約2重量%、または約0.5~約2重量%のチタン(またはバナジウム)の範囲であり得る。
【0057】
更に、担持触媒は、Ti(III)または三価チタンを実質的に含まない場合がある。すなわち、担持触媒は、500重量ppm未満のTi(III)を含有する。典型的には、本発明によれば、担持触媒を加工するプロセスにおいてTi(III)は生成されない。Ti(III)は、本発明の特定の態様における担持触媒において、250ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、または10ppm未満(重量)の量で存在し得ることが企図される。
【0058】
別の態様では、担持触媒は、極性非プロトン性溶媒を更に含み得、その非限定的な例には、エーテル、ピリジン、THF、置換THF、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサンなど、及びこれらの組み合わせが含まれ得る。この溶媒は、触媒担体中のチタン(及び/またはバナジウム)金属に配位することができ、遊離溶媒ではない。しばしば、溶媒は、担持触媒の重量を基準として、約1~約500ppm、または約1~約50ppmの範囲の量で存在し得る。一例として、担持触媒は、約1~約100ppm、約1~約50ppm、または約1~約10ppmの範囲の量のTHFを更に含み得る。
【0059】
メタロセン化合物
本発明と調和する触媒組成物は、架橋メタロセン化合物または非架橋メタロセン化合物を含有し得る。メタロセン化合物は、例えば、元素の周期表のIIIB~VIIIB族からの遷移金属(1種または1種を超える)を含み得る。一態様では、メタロセン化合物は、III、IV、V、またはVI族の遷移金属、または2種以上の遷移金属の組み合わせを含み得る。メタロセン化合物は、クロム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、またはこれらの組み合わせを含み得、または、他の態様では、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、またはこれらの組み合わせを含み得る。したがって、メタロセン化合物は、チタンまたはジルコニウムまたはハフニウムを単独または組み合わせのいずれかで含み得る。
【0060】
本発明のいくつかの態様では、メタロセン化合物は、非架橋メタロセン化合物、例えば、非架橋ジルコニウムもしくはハフニウム系メタロセン化合物ならびに/または非架橋ジルコニウム及び/もしくはハフニウム系二核メタロセン化合物を含み得る。一態様では、メタロセン化合物は、2つのシクロペンタジエニル基、2つのインデニル基、または1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する、非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。別の態様では、メタロセン化合物は、2つのシクロペンタジエニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。更に別の態様では、メタロセン化合物は、2つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。一層別の態様では、メタロセン化合物は、1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。
【0061】
いくつかの態様では、メタロセン化合物は、2つのシクロペンタジエニル基、2つのインデニル基、または1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウム系メタロセン化合物を含み得る一方で、他の態様では、メタロセン化合物は、アルケニル連結基を有する二核非架橋メタロセン化合物を含み得る。
【0062】
メタロセン化合物は、本発明の特定の態様では、式(I)を有する非架橋メタロセン化合物を含み得る。
【化1】
【0063】
式(I)中、M、CpA、CpB、及び各Xは、非架橋メタロセン化合物の独立成分である。したがって、式(I)を有する非架橋メタロセン化合物は、本明細書に開示されるM、CpA、CpB、及びXの任意の組み合わせを使用して記載され得る。
【0064】
特に特定されない限り、上記の式(I)、本明細書に開示された任意の他の構造式、及び本明細書に開示された任意のメタロセン錯体、化合物、または種は、異なる部分の立体化学または異性体配置を示すようには設計されていない(例えば、シスもしくはトランス異性体、またはRもしくはSジアステレオ異性体を示すことは意図されていない)が、そのような化合物は、これらの式及び/または構造によって企図され、包含される。
【0065】
本発明の態様によれば、式(I)中の金属、Mは、Ti、Zr、またはHfであり得る。一態様によれば、例えば、Mは、ZrまたはHfであり得る一方で、別の態様では、MはTiであり得、あるいは、MはZrであり得るか、またはあるいは、MはHfであり得る。
【0066】
式(I)における各Xは、独立して、モノアニオン性リガンドであり得る。いくつかの態様では、好適なモノアニオン性リガンドには、H(水素化物)、BH4、ハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、C1~C36ヒドロカルビルアミニル基、C1~C36ヒドロカルビルシリル基、C1~C36ヒドロカルビルアミニルシリル基、-OBR12、または-OSO2R1(式中、R1はC1~C36ヒドロカルビル基である)が含まれるがこれらに限定されない。各Xは同一のまたは異なるモノアニオン性リガンドのいずれかであり得ることが企図される。
【0067】
一態様では、各Xは、独立して、H、BH4、ハロゲン化物(例えば、F、Cl、Brなど)、C1~C18ヒドロカルビル基、C1~C18ヒドロカルボキシ基、C1~C18ヒドロカルビルアミニル基、C1~C18ヒドロカルビルシリル基、またはC1~C18ヒドロカルビルアミニルシリル基であり得る。あるいは、各Xは、独立して、H、BH4、ハロゲン化物、OBR12、またはOSO2R1(式中、R1は、C1~C18ヒドロカルビル基である)であり得る。別の態様では、各Xは、独立して、H、BH4、ハロゲン化物、C1~C12ヒドロカルビル基、C1~C12ヒドロカルボキシ基、C1~C12ヒドロカルビルアミニル基、C1~C12ヒドロカルビルシリル基、C1~C12ヒドロカルビルアミニルシリル基、OBR12、またはOSO2R1(式中、R1は、C1~C12ヒドロカルビル基である)であり得る。別の態様では、各Xは、独立して、H、BH4、ハロゲン化物、C1~C10ヒドロカルビル基、C1~C10ヒドロカルボキシ基、C1~C10ヒドロカルビルアミニル基、C1~C10ヒドロカルビルシリル基、C1~C10ヒドロカルビルアミニルシリル基、OBR12、またはOSO2R1(式中、R1は、C1~C10ヒドロカルビル基である)であり得る。更に別の態様では、各Xは、独立して、H、BH4、ハロゲン化物、C1~C8ヒドロカルビル基、C1~C8ヒドロカルボキシ基、C1~C8ヒドロカルビルアミニル基、C1~C8ヒドロカルビルシリル基、C1~C8ヒドロカルビルアミニルシリル基、OBR12、またはOSO2R1(式中、R1は、C1~C8ヒドロカルビル基である)であり得る。一層別の態様では、各Xは、独立して、ハロゲン化物またはC1~C18ヒドロカルビル基であり得る。例えば、各XはClであり得る。
【0068】
式(I)におけるXであり得るヒドロカルビル基は、C1~C36アルキル基、C2~C36アルケニル基、C4~C36シクロアルキル基、C6~C36アリール基、またはC7~C36アラルキル基を含むがこれらに限定されないC1~C36ヒドロカルビル基であり得る。例えば、各Xは、独立して、C1~C18アルキル基、C2~C18アルケニル基、C4~C18シクロアルキル基、C6~C18アリール基、またはC7~C18アラルキル基であり得、あるいは、各Xは、独立して、C1~C12アルキル基、C2~C12アルケニル基、C4~C12シクロアルキル基、C6~C12アリール基、またはC7~C12アラルキル基であり得、あるいは、各Xは、独立して、C1~C10アルキル基、C2~C10アルケニル基、C4~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基、またはC7~C10アラルキル基であり得、またはあるいは、各Xは、独立して、C1~C5アルキル基、C2~C5アルケニル基、C5~C8シクロアルキル基、C6~C8アリール基、またはC7~C8アラルキル基であり得る。
【0069】
したがって、いくつかの態様では、式(I)におけるXであり得るアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、またはオクタデシル基、またはあるいは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基であり得る。いくつかの態様では、式(I)におけるXであり得るアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、sec-ペンチル基、またはネオペンチル基、あるいは、メチル基、エチル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、またはネオペンチル基、あるいは、メチル基、あるいは、エチル基、あるいは、n-プロピル基、あるいは、iso-プロピル基、あるいは、tert-ブチル基、またはあるいは、ネオペンチル基であり得る。
【0070】
式(I)におけるXであり得る好適なアルケニル基には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、またはオクタデセニル基が含まれ得るがこれらに限定されない。そのようなアルケニル基は、線状または分枝状であり得、二重結合がその鎖のどこにでも位置し得る。一態様では、式(I)における各Xは、独立して、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、またはデセニル基であり得る一方で、別の態様では、式(I)における各Xは、独立して、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、またはヘキセニル基であり得る。例えば、Xは、エテニル基、あるいは、プロペニル基、あるいは、ブテニル基、あるいは、ペンテニル基、またはあるいは、ヘキセニル基であり得る。更に別の態様では、Xは、末端アルケニル基、例えば、C3~C18末端アルケニル基、C3~C12末端アルケニル基、またはC3~C8末端アルケニル基であり得る。例示的な末端アルケニル基には、プロプ-2-エン-1-イル基、ブテ-3-エン-1-イル基、ペント-4-エン-1-イル基、ヘキス-5-エン-1-イル基、ヘプト-6-エン-1-イル基、オクテ-7-エン-1-イル基、ノン-8-エン-1-イル基、デセ-9-エン-1-イル基などが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0071】
式(I)における各Xは、シクロブチル基、置換シクロブチル基、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、置換シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、置換シクロヘプチル基、シクロオクチル基、または置換シクロオクチル基を含むがこれらに限定されないシクロアルキル基であり得る。例えば、式(I)におけるXは、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または置換シクロヘキシル基であり得る。その上、式(I)における各Xは、独立して、シクロブチル基もしくは置換シクロブチル基、あるいは、シクロペンチル基もしくは置換シクロペンチル基、あるいは、シクロヘキシル基もしくは置換シクロヘキシル基、あるいは、シクロヘプチル基もしくは置換シクロヘプチル基、あるいは、シクロオクチル基もしくは置換シクロオクチル基、あるいは、シクロペンチル基、あるいは、置換シクロペンチル基、あるいは、シクロヘキシル基、またはあるいは、置換シクロヘキシル基であり得る。置換シクロアルキル基に利用され得る置換基は、独立して、本明細書に開示されており、式(I)においてXであり得る置換シクロアルキル基を更に記載するために制限されることなく利用され得る。
【0072】
いくつかの態様では、式(I)におけるXであり得るアリール基は、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、または置換ナフチル基であり得る。一態様では、アリール基は、フェニル基もしくは置換フェニル基、あるいは、ナフチル基もしくは置換ナフチル基、あるいは、フェニル基もしくはナフチル基、あるいは、置換フェニル基もしくは置換ナフチル基、あるいは、フェニル基、またはあるいは、ナフチル基であり得る。置換フェニル基または置換ナフチル基に利用され得る置換基は、独立して、本明細書に開示されており、式(I)においてXであり得る置換フェニル基または置換ナフチル基を更に記載するために制限されることなく利用され得る。
【0073】
一態様では、式(I)におけるXであり得る置換フェニル基は、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、2,6-二置換フェニル基、3,5-二置換フェニル基、または2,4,6-三置換フェニル基であり得る。他の態様では、置換フェニル基は、2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-二置換フェニル基、もしくは2,6-二置換フェニル基、あるいは、3-置換フェニル基もしくは3,5-二置換フェニル基、あるいは、2-置換フェニル基もしくは4-置換フェニル基、あるいは、2,4-二置換フェニル基もしくは2,6-二置換フェニル基、あるいは、2-置換フェニル基、あるいは、3-置換フェニル基、あるいは、4-置換フェニル基、あるいは、2,4-二置換フェニル基、あるいは、2,6-二置換フェニル基、あるいは、3,5-二置換フェニル基、またはあるいは、2,4,6-三置換フェニル基であり得る。これらの特定の置換シクロアルキル基に利用され得る置換基は、独立して、本明細書に開示されており、式(I)においてX基(複数可)であり得るこれらの置換フェニル基を更に記載するために制限されることなく利用され得る。
【0074】
いくつかの態様では、式(I)におけるX基であり得るアラルキル基は、ベンジル基または置換ベンジル基であり得る。一態様では、アラルキル基は、ベンジル基または、あるいは、置換ベンジル基であり得る。置換アラルキル基に利用され得る置換基は、独立して、本明細書に開示されており、式(I)においてX基(複数可)であり得る置換アラルキル基を更に記載するために制限されることなく利用され得る。
【0075】
一態様では、式(I)におけるXであり得る置換シクロアルキル基、置換アリール基、または置換アラルキル基のための各非水素置換基(複数可)は、独立して、C1~C18ヒドロカルビル基、あるいは、C1~C8ヒドロカルビル基、またはあるいは、C1~C5ヒドロカルビル基であり得る。特定のヒドロカルビル基は、独立して、本明細書に開示されており、式(I)においてXであり得る置換シクロアルキル基、置換アリール基、または置換アラルキル基の置換基を更に記載するために制限されることなく利用され得る。例えば、ヒドロカルビル置換基は、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、tert-ペンチル基、3-メチル-1-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、またはネオ-ペンチル基などであり得る。更に、ヒドロカルビル置換基は、ベンジル基、フェニル基、トリル基、またはキシリル基などであり得る。
【0076】
ヒドロカルボキシ基は、一般に、本明細書において、例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、-(アルキル、アリール、またはアラルキル)-O-(アルキル、アリール、またはアラルキル)基、及び-O(CO)-(水素またはヒドロカルビル)基を含めるために使用され、これらの基は、最大で約36個の炭素原子(例えば、C1~C36、C1~C18、C1~C10、またはC1~C8ヒドロカルボキシ基)を含み得る。式(I)におけるXであり得るヒドロカルボキシ基の例示的かつ非限定的な例には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、2-ペントキシ基、3-ペントキシ基、2-メチル-1-ブトキシ基、tert-ペントキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、ネオ-ペントキシ基、フェノキシ基、トロキシ基、キシロキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、ベンゾキシ基、アセチルアセトネート基(acac)、ホルメート基、アセテート基、ステアレート基、オレエート基、ベンゾエート基などが含まれ得るがこれらに限定されない。一態様では、式(I)におけるXであり得るヒドロカルボキシ基は、メトキシ基、あるいは、エトキシ基、あるいは、n-プロポキシ基、あるいは、イソプロポキシ基、あるいは、n-ブトキシ基、あるいは、sec-ブトキシ基、あるいは、イソブトキシ基、あるいは、tert-ブトキシ基、あるいは、n-ペントキシ基、あるいは、2-ペントキシ基、あるいは、3-ペントキシ基、あるいは、2-メチル-1-ブトキシ基、あるいは、tert-ペントキシ基、あるいは、3-メチル-1-ブトキシ基、あるいは、3-メチル-2-ブトキシ基、あるいは、ネオ-ペントキシ基、あるいは、フェノキシ基、あるいは、トロキシ基、あるいは、キシロキシ基、あるいは、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、あるいは、ベンゾキシ基、あるいは、アセチルアセトネート基、あるいは、ホルメート基、あるいは、アセテート基、あるいは、ステアレート基、あるいは、オレエート基、またはあるいは、ベンゾエート基であり得る。
【0077】
ヒドロカルビルアミニル基という用語は、一般に、本明細書において、例えば、アルキルアミニル、アリールアミニル、アラルキルアミニル、ジアルキルアミニル、ジアリールアミニル、ジアラルキルアミニル、及び-(アルキル、アリール、またはアラルキル)-N-(アルキル、アリール、またはアラルキル)基を集合的に指すために使用され、他に特定されない限り、式(I)におけるXであり得るヒドロカルビルアミニル基は、最大で約36個の炭素原子(例えば、C1~C36、C1~C18、C1~C10、またはC1~C8ヒドロカルビルアミニル基)を含み得る。したがって、ヒドロカルビルアミニルは、(モノ)ヒドロカルビルアミニル及びジヒドロカルビルアミニル基の両方を網羅することが意図される。いくつかの態様では、式(I)におけるXであり得るヒドロカルビルアミニル基は、例えば、メチルアミニル基(-NHCH3)、エチルアミニル基(-NHCH2CH3)、n-プロピルアミニル基(-NHCH2CH2CH3)、iso-プロピルアミニル基(-NHCH(CH3)2)、n-ブチルアミニル基(-NHCH2CH2CH2CH3)、t-ブチルアミニル基(-NHC(CH3)3)、n-ペンチルアミニル基(-NHCH2CH2CH2CH2CH3)、ネオ-ペンチルアミニル基(-NHCH2C(CH3)3)、フェニルアミニル基(-NHC6H5)、トリルアミニル基(-NHC6H4CH3)、もしくはキシリルアミニル基(-NHC6H3(CH3)2)、あるいは、メチルアミニル基、あるいは、エチルアミニル基、あるいは、プロピルアミニル基、またはあるいは、フェニルアミニル基であり得る。他の態様では、式(I)におけるXであり得るヒドロカルビルアミニル基は、例えば、ジメチルアミニル基(-N(CH3)2)、ジエチルアミニル基(-N(CH2CH3)2)、ジ-n-プロピルアミニル基(-N(CH2CH2CH3)2)、ジ-iso-プロピルアミニル基(-N(CH(CH3)2)2)、ジ-n-ブチルアミニル基(-N(CH2CH2CH2CH3)2)、ジ-t-ブチルアミニル基(-N(C(CH3)3)2)、ジ-n-ペンチルアミニル基(-N(CH2CH2CH2CH2CH3)2)、ジ-ネオ-ペンチルアミニル基(-N(CH2C(CH3)3)2)、ジ-フェニルアミニル基(-N(C6H5)2)、ジ-トリルアミニル基(-N(C6H4CH3)2)、またはジ-キシリルアミニル基(-N(C6H3(CH3)2)2)、あるいは、ジメチルアミニル基、あるいは、ジ-エチルアミニル基、あるいは、ジ-n-プロピルアミニル基、またはあるいは、ジ-フェニルアミニル基であり得る。
【0078】
本明細書に開示されるいくつかの態様によれば、各Xは、独立して、C1~C36ヒドロカルビルシリル基、あるいは、C1~C24ヒドロカルビルシリル基、あるいは、C1~C18ヒドロカルビルシリル基、またはあるいは、C1~C8ヒドロカルビルシリル基であり得る。一態様では、ヒドロカルビルシリル基の各ヒドロカルビル(1つ以上)は、本明細書に開示された任意のヒドロカルビル基(例えば、C1~C5アルキル基、C2~C5アルケニル基、C5~C8シクロアルキル基、C6~C8アリール基、C7~C8アラルキル基など)であり得る。本明細書で使用される場合、ヒドロカルビルシリルは、(モノ)ヒドロカルビルシリル(-SiH2R)、ジヒドロカルビルシリル(-SiHR2)、及びトリヒドロカルビルシリル(-SiR3)基(Rはヒドロカルビル基である)を網羅することが意図される。一態様では、ヒドロカルビルシリル基は、C3~C36またはC3~C18トリヒドロカルビルシリル基、例えば、トリアルキルシリル基またはトリフェニルシリル基であり得る。式(I)におけるX基(複数可)であり得るヒドロカルビルシリル基の例示的かつ非限定的な例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル(例えば、トリイソプロピルシリル)、トリブチルシリル、トリペンチルシリル、トリフェニルシリル、アリルジメチルシリルなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0079】
ヒドロカルビルアミニルシリル基は、本明細書において、少なくとも1つの炭化水素部分、少なくとも1つのN原子、及び少なくとも1つのSi原子を含有する基を指すために使用される。Xであり得るヒドロカルビルアミニルシリル基の例示的かつ非限定的な例には、-N(SiMe3)2、-N(SiEt3)2などが含まれるがこれらに限定されない。他に特定されない限り、Xであり得るヒドロカルビルアミニルシリル基は、最大で約36個の炭素原子(例えば、C1~C36、C1~C18、C1~C12、またはC1~C8ヒドロカルビルアミニルシリル基)を含み得る。一態様では、ヒドロカルビルアミニルシリル基の各ヒドロカルビル(1つ以上)は、本明細書に開示された任意のヒドロカルビル基(例えば、C1~C5アルキル基、C2~C5アルケニル基、C5~C8シクロアルキル基、C6~C8アリール基、C7~C8アラルキル基など)であり得る。その上、ヒドロカルビルアミニルシリルは、とりわけ、-NH(SiH2R)、-NH(SiHR2)、-NH(SiR3)、-N(SiH2R)2、-N(SiHR2)2、及び-N(SiR3)2基(Rはヒドロカルビル基である)を網羅することが意図される。
【0080】
一態様では、各Xは、独立して、-OBR12または-OSO2R1(式中、R1は、C1~C36ヒドロカルビル基、またはあるいは、C1~C18ヒドロカルビル基である)であり得る。OBR12及び/またはOSO2R1におけるヒドロカルビル基は、独立して、本明細書に開示された任意のヒドロカルビル基は、例えば、C1~C18アルキル基、C2~C18アルケニル基、C4~C18シクロアルキル基、C6~C18アリール基、もしくはC7~C18アラルキル基、あるいは、C1~C12アルキル基、C2~C12アルケニル基、C4~C12シクロアルキル基、C6~C12アリール基、もしくはC7~C12アラルキル基、またはあるいは、C1~C8アルキル基、C2~C8アルケニル基、C5~C8シクロアルキル基、C6~C8アリール基、もしくはC7~C8アラルキル基であり得る。
【0081】
一態様では、各Xは、独立して、H、BH4、ハロゲン化物、またはC1~C36ヒドロカルビル基、ヒドロカルボキシ基、ヒドロカルビルアミニル基、ヒドロカルビルシリル基、もしくはヒドロカルビルアミニルシリル基であり得る一方で、別の態様では、各Xは、独立して、H、BH4、またはC1~C18ヒドロカルボキシ基、ヒドロカルビルアミニル基、ヒドロカルビルシリル基、もしくはヒドロカルビルアミニルシリル基であり得る。更に別の態様では、各Xは、独立して、ハロゲン化物、あるいは、C1~C18ヒドロカルビル基、あるいは、C1~C18ヒドロカルボキシ基、あるいは、C1~C18ヒドロカルビルアミニル基、あるいは、C1~C18ヒドロカルビルシリル基、またはあるいは、C1~C18ヒドロカルビルアミニルシリル基であり得る。一層別の態様では、各Xは、H、あるいは、F、あるいは、Cl、あるいは、Br、あるいは、I、あるいは、BH4、あるいは、C1~C18ヒドロカルビル基、あるいは、C1~C18ヒドロカルボキシ基、あるいは、C1~C18ヒドロカルビルアミニル基、あるいは、C1~C18ヒドロカルビルシリル基、またはあるいは、C1~C18ヒドロカルビルアミニルシリル基であり得る。
【0082】
各Xは、独立して、いくつかの態様では、H、ハロゲン化物、メチル、フェニル、ベンジル、アルコキシ、アリールオキシ、アセチルアセトネート、ホルメート、アセテート、ステアレート、オレエート、ベンゾエート、アルキルアミニル、ジアルキルアミニル、トリヒドロカルビルシリル、またはヒドロカルビルアミニルシリル、あるいは、H、ハロゲン化物、メチル、フェニル、またはベンジル、あるいは、アルコキシ、アリールオキシ、またはアセチルアセトネート、あるいは、アルキルアミニルまたはジアルキルアミニル、あるいは、トリヒドロカルビルシリルまたはヒドロカルビルアミニルシリル、あるいは、Hまたはハロゲン化物、あるいは、メチル、フェニル、ベンジル、アルコキシ、アリールオキシ、アセチルアセトネート、アルキルアミニル、またはジアルキルアミニル、あるいは、H、あるいは、ハロゲン化物、あるいは、メチル、あるいは、フェニル、あるいは、ベンジル、あるいは、アルコキシ、あるいは、アリールオキシ、あるいは、アセチルアセトネート、あるいは、アルキルアミニル、あるいは、ジアルキルアミニル、あるいは、トリヒドロカルビルシリル、またはあるいは、ヒドロカルビルアミニルシリルであり得る。これらの及び他の態様では、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミニル、ジアルキルアミニル、トリヒドロカルビルシリル、及びヒドロカルビルアミニルシリルは、C1~C36、C1~C18、C1~C12、またはC1~C8アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミニル、ジアルキルアミニル、トリヒドロカルビルシリル、及びヒドロカルビルアミニルシリルであり得る。
【0083】
その上、各Xは、独立して、所定の態様では、ハロゲン化物またはC1~C18ヒドロカルビル基、あるいは、ハロゲン化物またはC1~C8ヒドロカルビル基、あるいは、F、Cl、Br、I、メチル、ベンジル、またはフェニル、あるいは、Cl、メチル、ベンジル、またはフェニル、あるいは、C1~C18アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミニル、ジアルキルアミニル、トリヒドロカルビルシリル、またはヒドロカルビルアミニルシリル基、あるいは、C1~C8アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアミニル、ジアルキルアミニル、トリヒドロカルビルシリル、またはヒドロカルビルアミニルシリル基、またはあるいは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、フェニル、トリル、ベンジル、ナフチル、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、トリフェニルシリル、またはアリルジメチルシリルであり得る。
【0084】
式(I)において、CpA及びCpBは、独立して、置換または非置換シクロペンタジエニルまたはインデニル基であり得る。一態様では、CpA及びCpBは、独立して、非置換シクロペンタジエニルまたはインデニル基であり得る。あるいは、CpA及びCpBは、独立して、置換インデニルまたはシクロペンタジエニル基、例えば、最大で5個の置換基を有するものであり得る。
【0085】
存在する場合、CpA及びCpB上の各置換基は、独立して、H、ハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ハロゲン化ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、またはC1~C36ヒドロカルビルシリル基であり得る。重要なことに、CpA及び/またはCpB上の各置換基は、同一のまたは異なる置換基のいずれかであり得る。その上、各置換基は、化学原子価の規則に準拠するそれぞれのシクロペンタジエニルまたはインデニル環構造上の任意の位置にあり得る。一態様では、CpA上及び/もしくはCpB上の置換基の数ならびに/またはCpA上及び/もしくはCpB上の各置換基の位置は互いに独立している。例えば、CpA上の2つ以上の置換基は異なり得るか、またはあるいは、CpA上の各置換基は同じであり得る。またまたはあるいは、CpB上の2つ以上の置換基は異なり得るか、またはあるいは、CpB上の全ての置換基は同じであり得る。別の態様では、CpA上の置換基の1つ以上は、CpB上の置換基の1つ以上と異なり得るか、またはあるいは、CpA上及び/またはCpB上の両方の全ての置換基は同じであり得る。これらの及び他の態様では、各置換基は、それぞれのシクロペンタジエニルまたはインデニル環構造上の任意の位置にあり得る。置換される場合、CpA及び/またはCpBは、独立して、1つの置換基、2つの置換基、3つの置換基、4つの置換基などを有し得る。
【0086】
式(I)において、CpA上及びCpB上の各置換基は、独立して、H、ハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ハロゲン化ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、またはC1~C36ヒドロカルビルシリル基であり得る。いくつかの態様では、各置換基は、独立して、H、あるいは、ハロゲン化物、あるいは、C1~C18ヒドロカルビル基、あるいは、C1~C18ハロゲン化ヒドロカルビル基、あるいは、C1~C18ヒドロカルボキシ基、あるいは、C1~C18ヒドロカルビルシリル基、あるいは、C1~C12ヒドロカルビル基もしくはC1~C12ヒドロカルビルシリル基、またはあるいは、C1~C8アルキル基もしくはC3~C8アルケニル基であり得る。式(I)におけるCpA上及び/またはCpB上の置換基であり得るハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、及びC1~C36ヒドロカルビルシリル基は、本明細書に記載の(例えば、式(I)におけるXに関係する)任意のハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、及びC1~C36ヒドロカルビルシリル基であり得る。式(I)中のCpA上及び/または上CpB上の置換基は、所定の態様では、C1~C36ハロゲン化ヒドロカルビル基であり得、そのハロゲン化ヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基中の同等の数の水素原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す。ハロゲン化ヒドロカルビル基は、しばしば、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン化アリール基、またはハロゲン化アラルキル基であり得る。代表的かつ非限定的なハロゲン化ヒドロカルビル基には、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロメチル(CF3)などが含まれる。
【0087】
非限定的な例として、存在する場合、CpA及び/またはCpB上の各置換基は、独立して、H、Cl、CF3、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基(例えば、t-Bu)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、フェニル基、トリル基(または他の置換アリール基)、ベンジル基、ナフチル基、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、またはアリルジメチルシリル基、あるいは、H、あるいは、Cl、あるいは、CF3、あるいは、メチル基、あるいは、エチル基、あるいは、プロピル基、あるいは、ブチル基、あるいは、ペンチル基、あるいは、ヘキシル基、あるいは、ヘプチル基、あるいは、オクチル基、ノニル基、あるいは、デシル基、あるいは、エテニル基、あるいは、プロペニル基、あるいは、ブテニル基、あるいは、ペンテニル基、あるいは、ヘキセニル基、あるいは、ヘプテニル基、あるいは、オクテニル基、あるいは、ノネニル基、あるいは、デセニル基、あるいは、フェニル基、あるいは、トリル基、あるいは、ベンジル基、あるいは、ナフチル基、あるいは、トリメチルシリル基、あるいは、トリイソプロピルシリル基、あるいは、トリフェニルシリル基、またはあるいは、アリルジメチルシリル基であり得る。
【0088】
式(I)を有しかつ/または本発明の触媒組成物において使用するのに好適な非架橋メタロセン化合物の例示的かつ非限定的な例には、以下の化合物(Ph=フェニル)など、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【化2】
【0089】
メタロセン化合物は、上記のような非架橋メタロセン化合物のみに、または米国特許第7,199,073号、同第7,226,886号、同第7,312,283号、及び同第7,619,047号(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に開示された好適な非架橋メタロセン化合物(例えば、ジルコニウムまたはハフニウムを有する)のみに限定されない。例えば、メタロセン化合物は、非架橋ジルコニウム及び/またはハフニウム系二核メタロセン化合物を含み得る。一態様では、メタロセン化合物は、非架橋ジルコニウム系ホモ二核メタロセン化合物を含み得る。別の態様では、メタロセン化合物は、非架橋ハフニウム系ホモ二核メタロセン化合物を含み得る。更に別の態様では、メタロセン化合物は、非架橋ジルコニウム及び/またはハフニウム系ヘテロ二核メタロセン化合物(すなわち、2つのハフニウム、または2つのジルコニウム、または1つのジルコニウム及び1つのハフニウムを有する二核化合物)を含み得る。メタロセン化合物は、米国特許第7,919,639号及び同第8,080,681号(これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されたものなどの非架橋二核メタロセンを含み得る。本発明の触媒組成物において使用するのに好適な二核メタロセン化合物の例示的かつ非限定的な例には、以下の化合物など、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【化3】
【0090】
本発明のいくつかの態様では、メタロセン化合物は、架橋メタロセン化合物を含み得る。一態様では、例えば、メタロセン化合物は、架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。別の態様では、メタロセン化合物は、アルケニル置換基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。更に別の態様では、メタロセン化合物は、アルケニル置換基及びフルオレニル基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。一層別の態様では、メタロセン化合物は、シクロペンタジエニル基及びフルオレニル基を有し、かつ架橋基上及び/またはシクロペンタジエニル基上にアルケニル置換基(例えば、末端アルケニル)を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。
【0091】
いくつかの態様では、メタロセン化合物は、架橋基上にアリール基置換基を有する架橋メタロセン化合物を含み得る一方で、他の態様では、メタロセン化合物は、アルケニル連結基を有する二核架橋メタロセン化合物を含み得る。例えば、メタロセン化合物は、フルオレニル基、及び架橋基上のアリール基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物、あるいは、シクロペンタジエニル基及びフルオレニル基、ならびに架橋基上のアリール基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物、あるいは、フルオレニル基、及び架橋基上のアリール基を有する架橋ジルコニウム系メタロセン化合物、あるいは、フルオレニル基、及び架橋基上のアリール基を有する架橋ハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。これらの及び他の態様では、架橋基上のアリール基はフェニル基であり得る。任意に、これらの架橋メタロセンは、架橋基上及び/またはシクロペンタジエニル型基上にアルケニル置換基(例えば、末端アルケニル)を含有し得る。
【0092】
いくつかの態様では、メタロセン化合物は、2つのインデニル基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物(例えば、ビス-インデニルメタロセン化合物)を含み得る。したがって、メタロセン化合物は、2つのインデニル基を有する架橋ジルコニウム系メタロセン化合物、またはあるいは、2つのインデニル基を有する架橋ハフニウム系メタロセン化合物を含み得る。いくつかの態様では、アリール基が架橋基上に存在し得る一方で、他の態様では、架橋基上に存在するアリール基はない。任意に、これらの架橋インデニルメタロセンは、架橋基上及び/またはインデニル基(一方または両方のインデニル基)上にアルケニル置換基(例えば、末端アルケニル)を含有し得る。架橋基の架橋原子は、例えば、炭素原子またはケイ素原子であり得、あるいは、架橋は、2つの炭素原子の鎖、2つのケイ素原子の鎖などを含有し得る。
【0093】
メタロセン化合物は、本発明の特定の態様では、式(II)を有する架橋メタロセン化合物を含み得る。
【化4】
【0094】
式(II)中、M、Cp、RX、RY、E、及び各Xは、架橋メタロセン化合物の独立成分である。したがって、式(II)を有する架橋メタロセン化合物は、本明細書に開示されたM、Cp、RX、RY、E、及びXの任意の組み合わせを使用して記載され得る。
【0095】
式(II)におけるM及び各Xの選択は、式(I)について本明細書で上述したものと同じである。式(II)において、Cpは、置換シクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニル基であり得る。一態様では、Cpは、置換シクロペンタジエニル基であり得る一方で、別の態様では、Cpは置換インデニル基であり得る。
【0096】
いくつかの態様では、Cpは追加の置換基、例えば、本明細書において下記で更に論じる架橋基E以外のものを含有しなくてよい。他の態様では、Cpは、1つの置換基、2つの置換基、3つの置換基、4つの置換基などで更に置換され得る。存在する場合、Cp上の各置換基は、独立して、H、ハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ハロゲン化ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、またはC1~C36ヒドロカルビルシリル基であり得る。重要なことに、Cp上の各置換基は、同一のまたは異なる置換基のいずれかであり得る。その上、各置換基は、化学原子価の規則に準拠するそれぞれのシクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニル環構造上の任意の位置にあり得る。一般に、Cp上の任意の置換基は、独立して、Hまたは本明細書に記載の(例えば、式(I)におけるCpA及びCpB上の置換基に関係する)任意のハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ハロゲン化ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、またはC1~C36ヒドロカルビルシリル基であり得る。
【0097】
一態様では、例えば、Cp上の各置換基は、独立して、C1~C12ヒドロカルビル基またはC1~C12ヒドロカルビルシリル基であり得る。別の態様では、Cp上の各置換基は、独立して、C1~C8アルキル基またはC3~C8アルケニル基であり得る。更に別の態様では、CpC上の各置換基は、独立して、H、Cl、CF3、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ナフチル基、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、またはアリルジメチルシリル基であり得る。
【0098】
同様に、式(II)におけるRX及びRYは、独立して、Hまたは本明細書に開示された(例えば、式(I)におけるCpA及びCpB上の置換基に関係する)任意のハロゲン化物、C1~C36ヒドロカルビル基、C1~C36ハロゲン化ヒドロカルビル基、C1~C36ヒドロカルボキシ基、またはC1~C36ヒドロカルビルシリル基であり得る。一態様では、例えば、RX及びRYは、独立して、HまたはC1~C12ヒドロカルビル基であり得る。別の態様では、RX及びRYは、独立して、C1~C10ヒドロカルビル基であり得る。更に別の態様では、RX及びRYは、独立して、H、Cl、CF3、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基(例えば、t-Bu)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、ナフチル基、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、またはアリルジメチルシリル基などであり得る。一層別の態様では、RX及びRYは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、フェニル基、トリル基、またはベンジル基であり得る。
【0099】
式(II)における架橋基Eは、(i)式>EARARB(式中、EAは、C、Si、またはGeであり得、RA及びRBは、独立して、HまたはC1~C18ヒドロカルビル基であり得る)を有する架橋基、(ii)式-CRCRD-CRERF-(式中、RC、RD、RE、及びRFは、独立して、HまたはC1~C18ヒドロカルビル基であり得る)を有する架橋基、または(iii)式-SiRGRH-E5RIRJ-(式中、E5は、CまたはSiであり得、RG、RH、RI、及びRJは、独立して、HまたはC1~C18ヒドロカルビル基であり得る)を有する架橋基であり得る。
【0100】
第1の選択において、架橋基Eは、式>EARARB(式中、EAは、C、SiまたはGeであり得、RA及びRBは、独立して、Hまたは本明細書に開示された任意のC1~C18ヒドロカルビル基であり得る)を有し得る。本発明のいくつかの態様では、RA及びRBは、独立して、C1~C12ヒドロカルビル基であり得、あるいは、RA及びRBは、独立して、C1~C8ヒドロカルビル基であり得、あるいは、RA及びRBは、独立して、フェニル基、C1~C8アルキル基、またはC3~C8アルケニル基であり得、あるいは、RA及びRBは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、フェニル基、シクロヘキシルフェニル基、ナフチル基、トリル基、またはベンジル基であり得、またはあるいは、RA及びRBは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、フェニル基、またはベンジル基であり得る。これらの及び他の態様では、RA及びRBは、同一かまたは異なるかのいずれかであり得る。
【0101】
第2の選択において、架橋基Eは、式-CRCRD-CRERF-(式中、RC、RD、RE、及びRFは、独立して、Hまたは本明細書に開示された任意のC1~C18ヒドロカルビル基であり得る)を有し得る。例えば、RC、RD、RE、及びRFは、独立して、Hまたはメチル基であり得る。
【0102】
第3の選択では、架橋基Eは、式-SiRGRH-E5RIRJ-(式中、E5は、CまたはSiであり得、RG、RH、RI、及びRJは、独立して、Hまたは本明細書に開示された任意のC1~C18ヒドロカルビル基であり得る)を有し得る。例えば、E5はSiであり得、RG、RH、RI、及びRJは、独立して、Hまたはメチル基であり得る。
【0103】
式(II)を有しかつ/または本発明の触媒組成物において使用するのに好適な架橋メタロセン化合物の例示的かつ非限定的な例には、以下の化合物(Me=メチル、Ph=フェニル、t-Bu=tert-ブチル)など、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。
【化5】
【0104】
式(II)を有しかつ/または本発明の触媒組成物において使用するのに好適な架橋メタロセン化合物の更なる例には、以下の化合物など、及びそれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【化6】
【0105】
好適なメタロセン化合物は、上述のような架橋メタロセン化合物のみに限定されない。他の好適な架橋メタロセン化合物(例えば、ジルコニウムまたはハフニウムを有する)が、米国特許第7,026,494号、同第7,041,617号、同第7,226,886号、及び同第7,312,283号、同第7,517,939号、及び同第7,619,047号(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0106】
共触媒
共触媒を含有する触媒組成物を対象とする所定の態様では、共触媒は、金属ヒドロカルビル化合物を含み得、その例には、非ハライド金属ヒドロカルビル化合物、金属ヒドロカルビルハライド化合物、非ハライド金属アルキル化合物、金属アルキルハライド化合物などが含まれる。ヒドロカルビル基(またはアルキル基)は、本明細書に開示された任意のヒドロカルビル(またはアルキル)基であり得る。その上、いくつかの態様では、金属ヒドロカルビルの金属は、1、2、11、12、13、もしくは14族の金属、あるいは、13もしくは14族の金属、またはあるいは、13族の金属であり得る。したがって、いくつかの態様では、金属ヒドロカルビル(非ハライド金属ヒドロカルビルまたは金属ヒドロカルビルハライド)の金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、またはスズ、あるいは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、またはスズ、あるいは、リチウム、ナトリウム、またはカリウム、あるいは、マグネシウムまたはカルシウム、あるいは、リチウム、あるいは、ナトリウム、あるいは、カリウム、あるいは、マグネシウム、あるいは、カルシウム、あるいは、亜鉛、あるいは、ホウ素、あるいは、アルミニウム、またはあるいは、スズであり得る。いくつかの態様では、ハライドを有するかまたは有しない金属ヒドロカルビルまたは金属アルキルは、リチウムヒドロカルビルもしくはアルキル、マグネシウムヒドロカルビルもしくはアルキル、ホウ素ヒドロカルビルもしくはアルキル、亜鉛ヒドロカルビルもしくはアルキル、またはアルミニウムヒドロカルビルもしくはアルキルを含み得る。
【0107】
共触媒を含有する触媒組成物を対象とする特定の態様では(その触媒組成物はフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有する)、その共触媒は、アルミノキサン化合物、有機ホウ素もしくは有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機マグネシウム化合物、または有機リチウム化合物を含み得、これにはこれらの材料の任意の組み合わせが含まれる。一態様では、共触媒は、有機アルミニウム化合物を含み得る。別の態様では、共触媒は、アルミノキサン化合物、有機ホウ素もしくは有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、有機亜鉛化合物、有機マグネシウム化合物、有機リチウム化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。更に別の態様では、共触媒は、アルミノキサン化合物、あるいは、有機ホウ素もしくは有機ホウ酸塩化合物、あるいは、イオン化イオン性化合物、あるいは、有機亜鉛化合物、あるいは、有機マグネシウム化合物、またはあるいは、有機リチウム化合物を含み得る。
【0108】
好適な有機アルミニウム化合物の特定の非限定的な例には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリ-n-プロピルアルミニウム(TNPA)、トリ-n-ブチルアルミニウム(TNBA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、塩化ジエチルアルミニウムなど、またはこれらの組み合わせが含まれ得る。アルミノキサンの代表的かつ非限定な例には、メチルアルミノキサン、変性メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、n-プロピルアルミノキサン、iso-プロピルアルミノキサン、n-ブチルアルミノキサン、t-ブチルアルミノキサン、sec-ブチルアルミノキサン、iso-ブチルアルミノキサン、1-ペンチルアルミノキサン、2-ペンチルアルミノキサン、3-ペンチルアルミノキサン、イソペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサンなど、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。有機ホウ素/有機ホウ酸塩化合物の代表的かつ非限定的な例には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボロンなど、またはこれらの混合物が含まれる。
【0109】
イオン化イオン性化合物の例には以下の化合物が含まれ得るがこれらに限定されない:トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(m-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(p-トリル)ボレート、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(m-トリル)ボレート、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(m-トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス(m-トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラフェニルボレート、リチウムテトラキス(p-トリル)ボレート、リチウムテトラキス(m-トリル)ボレート、リチウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラフルオロボレート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ナトリウムテトラフェニルボレート、ナトリウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ナトリウムテトラキス(m-トリル)ボレート、ナトリウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ナトリウムテトラフルオロボレート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、カリウムテトラフェニルボレート、カリウムテトラキス(p-トリル)ボレート、カリウムテトラキス(m-トリル)ボレート、カリウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、カリウムテトラフルオロボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、リチウムテトラフェニルアルミネート、リチウムテトラキス(p-トリル)アルミネート、リチウムテトラキス(m-トリル)アルミネート、リチウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)アルミネート、リチウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)アルミネート、リチウムテトラフルオロアルミネート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ナトリウムテトラフェニルアルミネート、ナトリウムテトラキス(p-トリル)アルミネート、ナトリウムテトラキス(m-トリル)アルミネート、ナトリウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)アルミネート、ナトリウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)アルミネート、ナトリウムテトラフルオロアルミネート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、カリウムテトラフェニルアルミネート、カリウムテトラキス(p-トリル)アルミネート、カリウムテトラキス(m-トリル)アルミネート、カリウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)アルミネート、カリウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)アルミネート、カリウムテトラフルオロアルミネートなど、またはこれらの組み合わせ。
【0110】
共触媒として使用され得る例示的な有機亜鉛化合物には、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジブチル亜鉛、ジネオペンチル亜鉛、ジ(トリメチルシリル)亜鉛、ジ(トリエチルシリル)亜鉛、ジ(トリイソプロピルシリル)亜鉛、ジ(トリフェニルシリル)亜鉛、ジ(アリルジメチルシリル)亜鉛、ジ(トリメチルシリルメチル)亜鉛など、またはこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0111】
同様に、例示的な有機マグネシウム化合物には、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジネオペンチルマグネシウム、ジ(トリメチルシリルメチル)マグネシウム、塩化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、塩化プロピルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、塩化ネオペンチルマグネシウム、塩化トリメチルシリルメチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化プロピルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、臭化ネオペンチルマグネシウム、臭化トリメチルシリルメチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、ヨウ化エチルマグネシウム、ヨウ化プロピルマグネシウム、ヨウ化ブチルマグネシウム、ヨウ化ネオペンチルマグネシウム、ヨウ化トリメチルシリルメチルマグネシウム、メチルマグネシウムエトキシド、エチルマグネシウムエトキシド、プロピルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、ネオペンチルマグネシウムエトキシド、トリメチルシリルメチルマグネシウムエトキシド、メチルマグネシウムプロポキシド、エチルマグネシウムプロポキシド、プロピルマグネシウムプロポキシド、ブチルマグネシウムプロポキシド、ネオペンチルマグネシウムプロポキシド、トリメチルシリルメチルマグネシウムプロポキシド、メチルマグネシウムフェノキシド、エチルマグネシウムフェノキシド、プロピルマグネシウムフェノキシド、ブチルマグネシウムフェノキシド、ネオペンチルマグネシウムフェノキシド、トリメチルシリルメチルマグネシウムフェノキシドなど、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0112】
同様に、例示的な有機リチウム化合物には、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム(例えば、t-ブチルリチウム)、ネオペンチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、キシリルリチウム、ベンジルリチウム、(ジメチルフェニル)メチルリチウム、アリルリチウムなど、またはこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0113】
本発明の触媒組成物に使用され得る共触媒は、上述の共触媒に限定されない。他の好適な共触媒は、当業者によく知られており、例えば、米国特許第3,242,099号、同第4,794,096号、同第4,808,561号、同第5,576,259号、同第5,807,938号、同第5,919,983号、同第7,294,599号、同第7,601,665号、同第7,884,163号、同第8,114,946号、及び同第8,309,485号(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものを含む。
【0114】
触媒組成物
チーグラー成分(1種以上)及びメタロセン成分(1種以上)を含有する触媒組成物を調製するための様々なプロセスが本明細書に開示及び記載されている。触媒組成物を生成するためのそのような1つのプロセスは、
(i)(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物を接触させて担持触媒を形成することと、
(ii)担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を接触させて触媒組成物を形成することと、を含み得る(またはそれらから本質的になり得るか、もしくはそれらからなり得る)。
【0115】
一般に、本明細書に開示されたプロセスのいずれかの特徴(例えば、とりわけ、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、チタン(IV)化合物、及び/またはバナジウム化合物、担持触媒、メタロセン化合物、ならびに共触媒)は、独立して本明細書に開示されており、これらの特徴は、開示されたプロセスを更に記載するために任意の組み合わせで組み合わせられ得る。好適なフッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、チタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物、担持触媒、メタロセン化合物、ならびに共触媒は、本明細書の上記で論じられている。その上、他に述べられない限り、開示されたプロセスに列挙された工程のいずれかの前、間、及び/または後に、他のプロセス工程が行われ得る。また、開示されたプロセスに従って生成された任意の触媒組成物は、本開示の範囲内であり、本明細書に包含される。
【0116】
工程(ii)では、担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を接触させて触媒組成物を形成する。これらの成分は、任意の順序または順番で接触され得る。それ故、一態様では、工程(ii)は、担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を任意の好適な希釈剤中で任意の順序で接触させることを含み得る。あるいは、工程(ii)は、担持触媒及び共触媒を好適な希釈剤中で接触させて混合物(例えば、スラリー)を形成することを含み得、次いでその混合物はメタロセン化合物と接触され得る。希釈剤の非限定的な例には、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、またはこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。
【0117】
プロセスの工程(ii)では、担持触媒を共触媒及びメタロセン化合物と接触させて触媒組成物を形成し得る。工程(ii)は様々な温度及び時間で行われ得る。例えば、工程(ii)は、約0℃~約100℃、あるいは、約10℃~約90℃、あるいは、約20℃~約90℃、あるいは、約15℃~約45℃、またはあるいは、約20℃~約40℃の範囲の温度で行われ得る。これら及び他の態様では、これらの温度範囲はまた、工程(ii)が、単一の固定温度の代わりに、それぞれの範囲内に入る一連の異なる温度で行われる状況を包含することを意味する。一例として、担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を高温で接触させ、続いて、最終触媒組成物のより長い期間の保存のためのより低い温度に冷却し得る。
【0118】
工程(ii)の継続時間は、任意の特定の期間に限定されない。したがって、工程(ii)継続時間は、1~10秒程度の短いものから24~48時間程度の長いもの、またはそれ以上までの範囲であり得る。適切な期間は、他の可変要素の中でも、例えば、温度、担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒の量、工程(ii)における希釈剤または溶媒の存在、混合の程度、長期保存の考慮に依存し得る。しかしながら、一般に、その期間は、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分などであり得る。触媒組成物が、数日または数週間に及び得る長期間の保存を意図していないと仮定すると、工程(ii)の継続時間の典型的な範囲には、約1秒~約48時間、約5秒~約48時間、約30秒~約24時間、約30秒~約6時間、約1分~約18時間、約5分~約24時間、または約10分~約8時間が含まれ得るがこれらに限定されない。
【0119】
関連の態様では、本発明に一致する触媒組成物は、(A)(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)及び/またはバナジウムを含む担持触媒と、(B)メタロセン化合物と、(C)共触媒と、を含み得る。更なる態様では、本発明に一致する触媒組成物は、(A)(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物を含む担持触媒と、(B)メタロセン化合物と、(C)共触媒と、を含み得る。これらの触媒組成物は、様々な最終使用用途のためのポリオレフィン-ホモポリマー、コポリマーなどを生成するために使用され得る。
【0120】
これらの方法及び触媒組成物において、共触媒の担持触媒に対する重量比は、約10:1~約1:1000の範囲であり得る。1種を超える共触媒及び/または1種を超える担持触媒が採用される場合、この比は各それぞれの成分の全重量に基づく。別の態様では、共触媒の担持触媒に対する重量比は、約5:1~約1:500、約3:1~約1:100、約1:1~約1:100、または約1:1~約1:50の範囲であり得る。
【0121】
触媒組成物は、本発明の所定の態様では、アルミノキサン、有機ホウ素または有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、及び/または他の同様の材料を実質的に含まず、あるいは、アルミノキサンを実質的に含まず、あるいは、有機ホウ素または有機ホウ酸塩化合物を実質的に含まず、またはあるいは、イオン化イオン性化合物を実質的に含まない。これらの態様では、触媒組成物は、これらの追加の材料の非存在下で触媒活性を有する。例えば、本発明の触媒組成物は、本質的に、(A)(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)及び/またはバナジウムを含む担持触媒と、(B)メタロセン化合物と、(C)共触媒とからなり得、他の材料は触媒組成物に存在せず、その材料とは、その材料の非存在下で触媒組成物の触媒活性から約10%を超えて触媒組成物の活性を増加/減少させ得るものである。
【0122】
しかしながら、本発明の他の態様では、これらの共触媒が採用され得る。例えば、触媒組成物に使用される共触媒は、アルミノキサン化合物、有機ホウ素もしくは有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、有機アルミニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機マグネシウム化合物、有機リチウム化合物など、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0123】
一般に、触媒組成物におけるメタロセン成分のチーグラー成分に対するモル比は、任意の特定の範囲に限定されない。しかしながら、いくつかの態様では、触媒組成物におけるメタロセン化合物のTi(IV)(及び/またはバナジウム)に対するモル比は、約10:1~約1:10、約8:1~約1:8、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約1.5:1~約1:1.5、約1.25:1~約1:1.25、または約1.1:1~約1:1.1の範囲であり得る。1種を超えるメタロセン化合物が採用される場合、及び/またはTi(IV)及びバナジウムの両方が採用される場合、この比はそれぞれの成分の合計モルに基づく。
【0124】
本発明の触媒組成物は予想外にも高い触媒活性を有する。一般に、触媒組成物は、1時間当たりの担持チーグラー型触媒(フッ化物化シリカ被覆アルミナを含む)及びメタロセン化合物の合計1グラム当たり約8,000グラムを超えるエチレンポリマー(その文脈が必要とするようなホモポリマー、コポリマーなど)の触媒活性(g/g/時と略される)を有する。別の態様では、触媒活性は、約10,000g/g/時を超え、約12,000g/g/時を超え、または約15,000g/g/時を超え得る。更に別の態様では、本発明の触媒組成物は、約20,000g/g/時を超え、約30,000g/g/時を超え、または約40,000g/g/時を超える触媒活性を有することによって特徴付けされ得、しばしば、最大で50,000~100,000g/g/時の範囲であり得る。これらの活性は、90℃の重合温度及び約400psigの反応器圧力で、希釈剤としてイソブタンを使用して、トリイソブチルアルミニウム共触媒と共に、スラリー重合条件下で、測定され得る。
【0125】
オレフィンモノマー
本発明の触媒組成物及び重合プロセスで採用し得る不飽和反応物には、典型的には、1分子当たり2~30個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1つのオレフィン性二重結合を有するオレフィン化合物が含まれ得る。本発明は、エチレンまたはプロピレンなどの単一のオレフィンを使用する単独重合プロセス、及びオレフィンモノマーを少なくとも1種の異なるオレフィン性化合物と共に使用する共重合、三元共重合などの反応を包含する。例えば、得られるエチレンコポリマー、ターポリマーなどは、一般に、主要量のエチレン(>50モルパーセント)及びより少ない量のコモノマー(<50モルパーセント)を含有し得るが、これは必須要件ではない。エチレンと共重合可能なコモノマーは、しばしば、それらの分子鎖中に3~20個の炭素原子、または3~10個の炭素原子を有し得る。
【0126】
非環式、環式、多環式、末端(α)、内部、線状、分枝状、置換、非置換、官能化、及び非官能化オレフィンが本発明において採用され得る。例えば、本発明の触媒組成物を用いて重合され得る典型的な不飽和化合物には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、3-メチル-1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、2-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、4つのノルマルオクテン(例えば、1-オクテン)、4つのノルマルノネン、5つのノルマルデセンなど、またはこれらの化合物の2種以上の混合物が含まれ得るがこれらに限定されない。シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどを含むがこれらに限定されない環式オレフィン及び二環式オレフィンもまた、本明細書に記載されているように重合され得る。スチレンもまた、本発明においてモノマーとして採用され得る。一態様では、オレフィンモノマーは、C2~C20オレフィン、あるいは、C2~C20アルファ-オレフィン、あるいは、C2~C10オレフィン、あるいは、C2~C10アルファ-オレフィンを含み得、あるいは、オレフィンモノマーはエチレンを含み得、またはあるいは、オレフィンモノマーはプロピレンを含み得る。
【0127】
コポリマー(またはあるいは、ターポリマー)が所望される場合、オレフィンモノマー及びオレフィンコモノマーは、独立して、例えば、C2~C20アルファ-オレフィンを含み得る。いくつかの態様では、オレフィンモノマーは、少なくとも1種のコモノマー(例えば、C2~C20アルファ-オレフィン、C3~C20アルファ-オレフィンなど)と共重合されるエチレンまたはプロピレンを含み得る。本発明の一態様によれば、重合プロセスで使用されるオレフィンモノマーはエチレンを含み得る。この態様では、好適なオレフィンコモノマーの例には、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、3-メチル-1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、2-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、スチレンなど、またはこれらの組み合わせが含まれ得るがこれらに限定されない。本発明の別の態様によれば、オレフィンモノマーはエチレンを含み得、コモノマーはC3~C10アルファ-オレフィンを含み得、あるいは、コモノマーは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、スチレン、またはこれらの任意の組み合わせを含み得、あるいは、コモノマーは、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、またはこれらの任意の組み合わせを含み得、あるいは、コモノマーは1-ブテンを含み得、あるいは、コモノマーは1-ヘキセンを含み得、またはあるいは、コモノマーは1-オクテンを含み得る。
【0128】
一般に、コポリマーを製造するための重合反応器システムに導入されるコモノマーの量は、モノマー及びコモノマーの総重量を基準として約0.01~約50重量パーセントのコモノマーであり得る。本発明の別の態様によれば、重合反応器システムに導入されるコモノマーの量は、モノマー及びコモノマーの総重量を基準として約0.01~約40重量パーセントのコモノマーであり得る。更に別の態様では、重合反応器システムに導入されるコモノマーの量は、モノマー及びコモノマーの総重量を基準として約0.1~約35重量パーセントのコモノマーであり得る。また、別の態様では、重合反応器システムに導入されるコモノマーの量は、モノマー及びコモノマーの総重量を基準として約0.5~約20重量パーセントのコモノマーであり得る。
【0129】
分枝状、置換、または官能化オレフィンが反応物として使用される場合、この理論によって拘束されることを意図するものではないが、立体障害が重合プロセスを妨げ得る及び/または遅らせ得ると考えられる。それ故、炭素-炭素二重結合から幾らか離れたオレフィンの分枝及び/または環式部分(複数可)は、炭素-炭素二重結合により接近して位置する同じオレフィン置換基が妨げ得る手法で反応を妨げることは予測されないであろう。
【0130】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのモノマー/反応物はエチレン(またはプロピレン)であり得るので、重合反応はエチレン(またはプロピレン)のみを含む単独重合、または異なる非環式、環式、末端、内部、線状、分枝、置換、または非置換のオレフィンとの共重合であり得る。また、本発明の触媒組成物は、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、及び1,5-ヘキサジエンを含むがこれらに限定されないジオレフィン化合物の重合において使用され得る。
【0131】
重合プロセス
本発明の触媒組成物は、オレフィンを重合してホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを形成するために使用され得る。本発明の触媒組成物の存在下でオレフィンを重合するためのそのような1つのプロセスは、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で重合反応器システムにおいて触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマー(1種以上)と接触させることを含み得、その触媒組成物は、本明細書に記載された触媒組成物のいずれかを含み得、及び/またはその触媒組成物は、本明細書に記載された触媒組成物を調製するためのプロセスのいずれかによって調製され得る。例えば、触媒組成物は、(A)(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナ、(b)マグネシウム化合物、ならびに(c)チタン(IV)及び/またはバナジウム(またはチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物)を含む担持触媒、(B)メタロセン化合物、及び(C)共触媒を含み得る。触媒組成物の成分は本明細書に記載されている。
【0132】
本発明の触媒組成物は、様々な種類の重合反応器システム及び反応器を使用する任意のオレフィン重合方法を意図している。重合反応器システムは、オレフィンモノマー及びコモノマー(1種または1種を超えるコモノマー)を重合してホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを生成することが可能な任意の重合反応器を含み得る。様々な種類の反応器には、バッチ式反応器、スラリー反応器、気相反応器、溶液反応器、高圧反応器、管状反応器、オートクレーブ反応器などと称され得るもの、またはこれらの組み合わせが含まれる。好適な重合条件が様々な反応器の種類に使用される。気相反応器は、流動床反応器または段階的水平反応器を含み得る。スラリー反応器は垂直または水平ループを含み得る。高圧反応器は、オートクレーブまたは管状反応器を含み得る。反応器の種類には、バッチプロセスまたは連続プロセスが含まれ得る。連続プロセスは、間欠的または連続的な生成物排出を使用し得る。プロセスはまた、未反応モノマー、未反応コモノマー、及び/または希釈剤の部分的または完全な直接再循環を含み得る。
【0133】
本発明の重合反応器システムは、システムにおいて1種類の反応器、または同一のもしくは異なる種類の複数の反応器(例えば、単一の反応器、二重の反応器、2つを超える反応器)を含み得る。複数の反応器におけるポリマーの生成は、第1の重合反応器から得られたポリマーを第2の反応器に移すことを可能にする移送装置によって相互接続された少なくとも2つの別個の重合反応器におけるいくつかの段階を含み得る。反応器の1つにおける所望の重合条件は、他の反応器(複数可)の操作条件と異なり得る。あるいは、複数の反応器での重合は、継続した重合のために、1つの反応器から次の反応器へのポリマーの手作業での移送を含み得る。複数の反応器システムは、複数のループ反応器、複数の気相反応器、ループ反応器と気相反応器との組み合わせ、複数の高圧反応器、または高圧反応器とループ反応器及び/または気相反応器との組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の組み合わせが含まれ得る。複数の反応器は、直列、並列、またはその両方で操作され得る。したがって、本発明は、単一の反応器を含む重合反応器システム、2つの反応器を含む重合反応器システム、及び2つを超える反応器を含む重合反応器システムを包含する。本発明の所定の態様では、重合反応器システムは、スラリー反応器、気相反応器、溶液反応器、及びこれらの複数の反応器の組み合わせを含み得る。
【0134】
本発明の一態様によれば、重合反応器システムは、垂直または水平ループを含む少なくとも1つのループスラリー反応器を含み得る。モノマー、希釈剤、触媒、及びコモノマーは、重合が起こるループ反応器に連続的に供給され得る。一般に、連続プロセスは、モノマー/コモノマー、触媒、及び希釈剤の重合反応器への連続的導入、及びこの反応器からポリマー粒子及び希釈剤を含む懸濁液の連続的除去を含み得る。反応器流出物をフラッシュして、希釈剤、モノマー、及び/またはコモノマーを含む液体から固体ポリマーを除去し得る。様々な技術がこの分離工程に使用され得、それには、加熱及び減圧の任意の組み合わせを含み得るフラッシング、サイクロンまたはハイドロサイクロンのいずれかにおけるサイクロン作用による分離、または遠心分離による分離が含まれるがこれらに限定されない。
【0135】
典型的なスラリー重合プロセス(粒子形成プロセスとしても知られる)は、例えば、米国特許第3,248,179号、同第4,501,885号、同第5,565,175号、同第5,575,979号、同第6,239,235号、同第6,262,191号、及び同第6,833,415号に開示されており、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
スラリー重合において使用される好適な希釈剤には、重合されるモノマー及び重合条件下で液体である炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。好適な希釈剤の例には、プロパン、シクロヘキサン、イソブタン、n-ブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、及びn-ヘキサンなどの炭化水素が含まれるがこれらに限定されない。いくつかのループ重合反応は、希釈剤を使用しないバルク条件下で起こり得る。1つの例は、米国特許第5,455,314号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているプロピレンモノマーの重合である。
【0137】
本発明の更に別の態様によれば、重合反応器システムは、少なくとも1つの気相反応器を含み得る。そのようなシステムは、重合条件下で触媒の存在下で流動床を介して連続的に循環される1種以上のモノマーを含有する連続的再循環流を採用し得る。再循環流は、流動床から回収され得、反応器に再循環され得る。同時に、ポリマー生成物が反応器から回収され得、重合されたモノマーを置換するために新規または新鮮なモノマーが添加され得る。そのような気相反応器は、少なくとも2つの独立した気相重合ゾーンにおいてオレフィンが気相中で重合され、第1の重合ゾーンにおいて形成された触媒含有ポリマーを第2の重合ゾーンに供給する多段階気相重合のためのプロセスを含み得る。気相反応器の1つの種類は、米国特許第5,352,749号、同第4,588,790号、及び同第5,436,304号(これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0138】
本発明の一層別の態様によれば、高圧重合反応器は、管状反応器またはオートクレーブ反応器を含み得る。管状反応器は、新鮮なモノマー、開始剤、または触媒が添加されるいくつかのゾーンを有し得る。モノマーは、不活性気体流中に同伴され、反応器の1つのゾーンに導入され得る。開始剤、触媒、及び/または触媒成分は、ガス流中に同伴され、反応器の別のゾーンに導入され得る。ガス流は重合のために混合され得る。最適な重合反応条件を得るために熱及び圧力が適切に採用され得る。
【0139】
本発明の更に別の態様によれば、重合反応器システムは、モノマー(及び使用される場合はコモノマー)を好適な攪拌または他の手段によって触媒組成物と接触させる溶液重合反応器を含み得る。不活性有機希釈剤または過剰モノマーを含む担体が採用され得る。所望の場合、モノマー/コモノマーは、液体材料の存在下または非存在下で、気相において触媒反応生成物と接触され得る。重合ゾーンは、反応媒体中でポリマーの溶液の形成をもたらす温度及び圧力で維持される。より良好な温度制御を得るために及び重合ゾーン全体にわたって均一な重合混合物を維持するために攪拌が採用され得る。重合の発熱の熱を散逸させるために適正な手段が利用される。
【0140】
本発明に好適な重合反応器システムは、少なくとも1つの原材料供給システム、少なくとも1つの触媒または触媒成分用供給システム、及び/または少なくとも1つのポリマー回収システムを更に含み得る。本発明に好適な反応器システムは、原料の精製、触媒の保存及び調製、押出、反応器の冷却、ポリマーの回収、分画、再循環、保存、ロードアウト、実験室分析、及びプロセス制御のためのシステムを更に含み得る。
【0141】
効率のため及び所望のポリマー特性を提供するために制御される重合条件には、温度、圧力、及び様々な反応物の濃度が含まれ得る。重合温度は、触媒生産性、ポリマー分子量、及び分子量分布に影響を及ぼし得る。好適な重合温度は、ギブス自由エネルギー方程式に従う脱重合温度未満の任意の温度であり得る。典型的には、これは、重合反応器(複数可)の種類に応じて、約60℃~約280℃、例えば、または約60℃~約120℃を含む。いくつかの反応器システムでは、重合温度は、一般に、約70℃~約100℃、または約75℃~約95℃の範囲に入り得る。様々な重合条件は、例えば、特定の等級のオレフィンポリマーの生成のために、実質的に一定に保持され得る。
【0142】
好適な圧力はまた、反応器及び重合の種類に応じて変動し得る。ループ反応器における液相重合のための圧力は、典型的には1000psig(6.9MPa)未満である。気相反応器のための圧力は、通常、約200~500psig(1.4MPa~3.4MPa)である。管状またはオートクレーブ反応器における高圧重合は、一般に、約20,000~75,000psig(138~517MPa)で稼働する。重合反応器はまた、一般により高い温度及び圧力で起こる超臨界領域で操作され得る。圧力/温度ダイアグラムの臨界点(超臨界相)を超える操作は利点をもたらし得る。
【0143】
本発明の態様は、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマーと接触させることを含むオレフィン重合プロセスを対象とする。そのプロセスによって生成されるオレフィンポリマー(例えば、エチレンホモポリマーまたはコポリマー)は、本明細書に開示されたポリマー特性のいずれか、例えば、約2g/10分以下のメルトインデックス、及び/または約3~約10の範囲のMw/Mnの比、及び/または約0.91g/cm3~約0.945g/cm3の範囲の密度、及び/または実質的に一定の短鎖分枝分布(SCBD)、及び/または長鎖分枝(LCB)の低いレベル、及び/または二峰性の分子量分布を有し得る。
【0144】
本発明の態様はまた、添加水素の非存在下で行われるオレフィン重合プロセスを対象とする。本発明のオレフィン重合プロセスは、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、重合反応器システムにおいて触媒組成物(すなわち、本明細書に開示された任意の触媒組成物)をオレフィンモノマー及び任意にオレフィンコモノマーと接触させることを含み得、その重合プロセスは、添加水素の非存在下で行われる(重合反応器システムに水素が添加されない)。当業者は認識するであろうが、様々なオレフィン重合プロセスでは触媒組成物によって水素がその場で発生し得、発生量は、採用される特定の触媒成分、使用される重合プロセスの種類、利用される重合反応条件などに依存して変動し得る。
【0145】
他の態様では、所定の量の添加水素の存在下で重合プロセスを行うことが望ましい場合がある。したがって、本発明のオレフィン重合プロセスは、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、重合反応器システムにおいて触媒組成物(すなわち、本明細書に開示された任意の触媒組成物)をオレフィンモノマー及び任意にオレフィンコモノマーと接触させることを含み得、その重合プロセスは、添加水素の存在下で行われる(重合反応器システムに水素が添加される)。例えば、重合プロセスにおける水素のオレフィンモノマーに対する比は、しばしば、水素の、反応器に入るオレフィンモノマーに対する供給比によって制御され得る。プロセスにおける添加水素のオレフィンモノマーに対する比は、約25ppm~約1500ppm、約50~約1000ppm、または約100ppm~約750ppmの範囲内に入る重量比で制御され得る。
【0146】
本発明のいくつかの態様では、水素のオレフィンモノマーに対する供給物または反応物の比は、特定のポリマー等級についての重合操作中に実質的に一定に維持され得る。すなわち、水素:オレフィンモノマー比は、約5ppmから最大で約1000ppmなどの範囲内の特定比で選択され得、重合操作中に約+/-25%の範囲内までの比で維持され得る。例えば、目標比が100ppmの場合、水素:オレフィンモノマーの比を実質的に一定に維持することは、約75ppm~約125ppmの供給比を維持することを必然的に伴うであろう。更に、コモノマー(複数可)の添加は、特定のポリマー等級のために重合操作を通して実質的に一定であり得、また一般的にもそうである。
【0147】
しかしながら、他の態様では、モノマー、コモノマー(複数可)、及び/または水素は、例えば、米国特許第5,739,220号及び米国特許公開第2004/0059070号(これらの開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)において採用されたものと同様の手法で周期的に反応器にパルスされ得る。
【0148】
予想外にも、本発明の触媒組成物(チーグラー成分及びメタロセン成分を有する)及び重合プロセスは、メタロセン成分を含有しない同等の触媒系及びプロセスよりもはるかに水素に対して感受性があり得る。一態様では、例えば、本明細書に開示された触媒組成物及び重合プロセスを使用して、880ppmの水素(エチレンなどのオレフィンモノマーを基準として0~880重量ppm)の添加を用いるオレフィンポリマーのメルトインデックス(または高荷重メルトインデックス)の増加(及び/またはオレフィンポリマーのMwの減少)は、同じ重合条件下で、メタロセン化合物を有しない同じ触媒系を使用して得られたオレフィンポリマーのメルトインデックス(または高荷重メルトインデックス)の増加(及び/またはオレフィンポリマーのMwの減少)よりも大きくすることができる。重合条件には、90℃の重合温度及び約400psigの反応器圧力で、希釈剤としてイソブタンを使用して、トリイソブチルアルミニウム共触媒を用いるスラリー重合条件が含まれ得る。
【0149】
重合反応器系に入る反応物の濃度は、所定の物理的及び機械的特性を有する樹脂を生成するように制御され得る。ポリマー樹脂によって形成される提案された最終使用生成物及びその生成物を形成する方法は、究極的には、所望のポリマー特性及び特質を決定し得る。機械的特性には、引張り、曲げ、衝撃、クリープ、応力緩和、及び硬度試験が含まれる。物理的特性には、密度、分子量、分子量分布、溶融温度、ガラス転移温度、結晶の温度溶融、密度、立体規則性、亀裂成長、長鎖分枝、及びレオロジー測定が含まれる。
【0150】
本発明はまた、本明細書に開示された重合プロセスのいずれかによって生成されたポリマー(例えば、エチレンホモポリマー及びエチレン/α-オレフィンコポリマー)を対象とし、包含する。製造物品は、本発明に従って生成されたポリマーから形成され得、及び/またはそれを含み得る。
【0151】
ポリマー及び物品
本発明の所定の態様は、実質的に一定の短鎖分枝分布(SCBD)を有するエチレンコポリマーなどのオレフィンポリマーを対象とする。この特徴は、しばしば、平坦なSCBDと称され得るか、あるいは、均一または均質なコモノマー分布と称され得る。均一なコモノマー分布を有するエチレンコポリマーは、例えば、不均質で不均一なコモノマー分布を有するコポリマーよりも少ないポリマー膨潤及び少ない溶媒/希釈剤への溶解性を有し得、これは、スラリー重合プロセスにおいて、特により低い密度のコポリマーのために有利であり得る。本明細書に記載されたオレフィンポリマーは、所定の態様では、平坦なSCBDと比較的広い及び/または二峰性の分子量分布との独特な組み合わせを有し得、そのようなポリマーは、本明細書に開示された二元触媒系を使用して生成され得る。
【0152】
一般に、本明細書に包含されるオレフィンポリマーには、本明細書に記載された任意のオレフィンモノマー及びコモノマー(複数可)から生成された任意のポリマーが含まれ得る。例えば、オレフィンポリマーは、エチレンホモポリマー、プロピレンホモポリマー、エチレンコポリマー(例えば、エチレン/α-オレフィン、エチレン/1-ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテンなど)、プロピレンコポリマー、エチレンターポリマー、プロピレンターポリマーなど(これらの組み合わせを含む)を含み得る。一態様では、オレフィンポリマーは、エチレン/1-ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、またはエチレン/1-オクテンコポリマーであり得る一方で、別の態様では、オレフィンポリマーは、エチレン/1-ヘキセンコポリマーであり得る。
【0153】
本発明に従って生成される得られるポリマーが、例えば、エチレンポリマーである場合、その特性は、ポリオレフィン産業において知られており使用される様々な分析技術によって特徴付けされ得る。製造物品は、本発明のエチレンポリマーから形成され得、及び/またはそれを含み得、その典型的な特性は以下に提供される。
【0154】
本発明のオレフィンポリマー(例えば、エチレンポリマー)の例示的かつ非限定的な例は、約10g/10分以下のメルトインデックス、約2~約15の範囲のMw/Mnの比、及び約0.90g/cm3~約0.96g/cm3の範囲の密度、及び任意に、実質的に一定の短鎖分枝分布(SCBD)を有し得る。本発明のオレフィンポリマー(例えば、エチレンポリマー)の別の例示的かつ非限定的な例は、約2g/10分以下のメルトインデックス、約3~約10の範囲のMw/Mnの比、及び約0.91g/cm3~約0.945g/cm3の範囲の密度、及び任意に、実質的に一定の短鎖分枝分布(SCBD)を有し得る。本発明に一致するオレフィンポリマーのこれらの例示的かつ非限定的な例はまた、以下に列挙されたポリマー特性のいずれか及び任意の組み合わせを有し得る。
【0155】
本発明のいくつかの態様に従って生成されるエチレンのポリマー(ホモポリマー、コポリマーなど)は、一般に、0~約10g/10分のメルトインデックス(MI)を有し得る。0~約2、0~約1.5、0~約1、または0~約0.25g/10分の範囲のメルトインデックスが本発明の他の態様で企図される。例えば、本発明のポリマーは、0~約5、または0~約0.5g/10分の範囲のMIを有し得る。
【0156】
本発明の所定の態様と一致して、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、0~約150、0~約50、0~約35、または0~約25g/10分の高荷重メルトインデックス(HLMI)を有し得る。更なる態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、0~約100、0~約10、または0~約5g/10分の範囲のHLMIを有し得る。
【0157】
本明細書に開示された触媒系及びプロセスを使用して生成されたエチレン系ポリマー(例えば、エチレンホモポリマー、エチレンコポリマー)の密度は、しばしば、約0.96g/cm3以下、例えば、約0.945g/cm3以下であり、しばしば、約0.895g/cm3まで下がった範囲であり得る。また、特定の態様では、密度は、約0.90~約0.96、例えば、約0.90~約0.95、約0.91~約0.945、約0.91~約0.94、約0.92~約0.95、または約0.915~約0.935g/cm3の範囲であり得る。
【0158】
一般に、本発明の態様で生成されるポリマーは、本質的に線状であるか、または非常に低いレベルの長鎖分枝を有し、典型的には1000個の総炭素原子当たり約0.01未満の長鎖分枝(LCB)を有し、LCB含有量は、例えば、米国特許第7,517,939号、同第8,114,946号、及び同第8,383,754号(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に示されたポリマーと同様である。他の態様では、1000個の総炭素原子当たりのLCBの数は、1000個の総炭素原子当たり約0.008未満、約0.007未満、約0.005未満、または約0.003未満のLCBであり得る。
【0159】
一態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約2~約15、約2~約10、約3~約15、約3~約10、または約2.5~約8の範囲のMw/Mnの比、即ち、多分散指数を有し得る。別の態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約2.2~約12、約3~約12、約3.5~約9、または約4~約8の範囲のMw/Mnの比を有し得る。
【0160】
一態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約2~約5、約2~約4、約2~約3.8、または約2~約3.6の範囲のMz/Mwの比を有し得る。別の態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約2.2~約4.5、約2.2~約4、約2.2~約3.6、または約2.5~約3.5の範囲のMz/Mwを有し得る。
【0161】
一態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約180,000~約2,500,000、約180,000~約2,000,000、約180,000~約1,500,000、約180,000~約1,000,000、または約180,000~約900,000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。別の態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約200,000~約1,500,000、約200,000~約1,000,000、約200,000~約750,000、約200,000~約600,000、約180,000~約800,000、または約180,000~約600,000g/molの範囲のMwを有し得る。
【0162】
一態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約20,000~約1,000,000、約25,000~約500,000、約40,000~約250,000、または約50,000~約180,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し得る。別の態様では、本明細書に記載されたエチレンポリマーは、約400,000~約4,500,000、約400,000~約3,500,000、約400,000~約2,500,000、または約600,000~約3,300,000g/molの範囲のz平均分子量(Mz)を有し得る。
【0163】
本発明の所定の態様に一致するエチレンポリマーは、しばしば、(ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)または他の好適な分析技術を使用して決定される)二峰性の分子量分布を有し得る。典型的には、二峰性の分子量分布は、特定可能な高分子量成分(または分布)及び特定可能な低分子量成分(または分布)を有するものとして特徴付けされ得る。
【0164】
例えば、本明細書に記載された重合プロセス及び触媒系を使用して生成されたエチレンコポリマーは、いくつかの態様では、実質的に一定のSCBDを有し得る。上記のように、この特性はまた、平坦または均一なSCBDまたはコモノマー分布と称され得る。一態様では、実質的に一定のSCBDは、オレフィンポリマーの分子量の対数に対する1000個の総炭素原子当たりの短鎖分枝の数のプロットの傾きによって記載され得(D15~D85の範囲にわたって線形回帰を介して決定される)、その傾きは、約-0.6~約0.6の範囲であり得る。更なる態様では、傾斜は、約-0.5~約0.5、あるいは、約-0.4~約0.4、あるいは、約-0.3~約0.3、またはあるいは約-0.2~約0.2であり得る。別の態様では、実質的に一定のSCBDは、1000個の総炭素原子当たり0.5を超える短鎖分枝だけポリマーの平均短鎖分枝含有量から逸脱するデータ点の百分率によって記載され得(D15~D85の範囲にわたって決定される)、その百分率は20%以下であり得る。更なる態様では、この百分率は、15%以下、あるいは、10%以下、またはあるいは、5%以下である。更に別の態様では、実質的に一定のSCBDは、1000個の総炭素原子当たり1を超える短鎖分枝だけポリマーの平均短鎖分枝含有量から逸脱するデータ点の百分率によって記載され得(D15~D85の範囲にわたって決定される)、その百分率は15%以下であり得る。更なる態様では、この百分率は、10%以下、あるいは、3%以下、またはあるいは、1%以下である。
【0165】
D85は、ポリマーの85重量%がより高い分子量を有する分子量であり、D15は、ポリマーの15重量%がより高い分子量を有する分子量である。したがって、実質的に一定の、または平坦な、SCBDは、D85~D15の分子量範囲にわたって決定される。
【0166】
一態様では、本明細書に記載されたオレフィンポリマーは、例えば、異なる分子量の特徴を有する2種のポリマーの後反応ブレンドではなく、反応生成物(例えば、単一の反応器生成物)であり得る。当業者が容易に認識するように、2種の異なるポリマー樹脂の物理的ブレンドが作製され得るが、これは、反応器生成物に必要とされない追加の加工及び複雑さを必要とする。
【0167】
オレフィンポリマーは、ホモポリマーであろうと、コポリマーなどであろうと、様々な製造物品に形成され得る。本発明のポリマーを含み得る物品には、農業用フィルム、自動車部品、ボトル、化学薬品用容器、ドラム、繊維もしくは布地、食品包装用フィルムもしくは容器、食品サービス物品、燃料タンク、ジオメンブレン、家庭用容器、ライナー、成形品、医療機器もしくは材料、屋外保存製品、屋外遊具、パイプ、シートもしくはテープ、玩具、または交通障壁などが含まれるがこれらに限定されない。これらの物品を形成するために様々なプロセスが採用され得る。これらのプロセスの非限定的な例には、射出成形、ブロー成形、回転成形、フィルム押出、シート押出、異形押出、熱成形などが含まれる。また、有益なポリマー加工または最終使用製品の特質を提供するために、添加剤及び改質剤がしばしばこれらのポリマーに添加される。そのようなプロセス及び材料は、Modern Plastics Encyclopedia,Mid-November 1995 Issue,Vol.72,No.12、及びFilm Extrusion Manual-Process,Materials,Properties,TAPPI Press,1992に記載されており、これらの開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明のいくつかの態様では、製造物品は、本明細書に記載されたエチレンコポリマーのいずれかを含み得、製造物品は、フィルム製品または成形製品であり得る。
【0168】
出願人はまた、本明細書に開示された重合プロセスのいずれかによって生成されたポリマーを含む製造物品を形成または調製する方法を企図している。例えば、方法は、(i)オレフィンポリマーを生成する重合反応器システムにおいて、重合条件下で、触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマーと接触させることであって、その触媒組成物が、担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒(例えば、有機アルミニウム化合物)を含み得る、接触させることと、(ii)そのオレフィンポリマーを含む製造物品を形成することと、を含み得る。形成工程は、ブレンド、溶融加工、押出、成形(molding)、または熱成形など(これらの組み合わせを含む)を含み得る。
【実施例
【0169】
本発明を以下の実施例によって更に説明するが、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後に、本発明の趣旨または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆し得る様々な他の態様、実施形態、改変、及びそれらの同等物。
【0170】
ASTM D1238に従って190℃で2,160グラムの重量でメルトインデックス(MI、g/10分)を決定し、ASTM D1238に従って190℃で21,600グラムの重量で高負荷メルトインデックス(HLMI、g/10分)を決定した。ポリマー密度は、ASTM D1505及びASTM D4703に従って、1時間当たり約15℃で冷却され、かつ室温で約40時間コンディショニングされた圧縮成形サンプルについて1立方センチメートル当たりのグラム(g/cm3)で決定した。
【0171】
IR4検出器(Polymer Char、Spain)及び3つのStyragel HMW-6E GPCカラム(Waters、MA)を備えた145℃で稼働するPL-GPC220(Polymer Labs、Agilent Company)システムを使用して、分子量及び分子量分布を得た。0.5g/Lの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する移動相1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)の流速を1mL/分に設定し、ポリマー溶液濃度は、分子量に依存して、1.0~1.5mg/mLの範囲であった。サンプルの調製は、溶液を注入用サンプルバイアルに移す前に、150℃で名目上4時間、時折穏やかに掻き混ぜて行った。約400μLの注入容量を使用した。Chevron Phillips Chemical CompanyのHDPEポリエチレン樹脂、MARLEX(登録商標)BHB5003を広い標準として使用して、積分較正法を使用して分子量及び分子量分布を推定した。SEC-MALSを用いた別の実験において、広範な標準の積分表が予め決定された。Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mzはz平均分子量である。
【0172】
1000個の総炭素原子当たりの長鎖分枝(LCB)は、ゼロのせん断粘度ηoの値(Carreau-Yasudaモデルから決定)、及びDawn EOS多角度光散乱検出器(Wyatt)を使用して得られるMwの測定された値から、Janzen and Colby(J.Mol.Struct.,485/486,569-584(1999))の方法を使用して算出され得る。また、米国特許第8,114,946号、J.Phys.Chem.1980,84,649、及びY.Yu,D.C.Rohlfing,G.R Hawley,及びP.J.DesLauriers,Polymer Preprint,44,50,(2003)を参照。これらの参考文献は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0173】
その分子量分布にわたる短鎖分枝(SCB)含有量及び短鎖分枝分布(SCBD)は、IR5-検出GPCシステム(IR5-GPC)を介して決定することができ、そのGPCシステムは、ポリマー分離のための3つのStyragel HMW-6Eカラム(Waters、MA)を備えたPL220GPC/SECシステム(Polymer Labs、Agilent社)である。熱電冷却IR5MCT検出器(IR5)(Polymer Char、Spain)は高温移送ラインを介してGPCカラムに接続することができる。クロマトグラフィデータは、IR5検出器の2つの出力ポートから得られる。まず、Cirrusソフトウエア(Polymer Labs,現在はAgilent Company)及び広い分子量分布の標準として広いMWD HDPE Marlex(商標)BHB5003樹脂(Chevron Phillips Chemical)を使用して積分較正法により、分子量分布決定用コンピュータ「A」に接続する前に、アナログ信号がアナログ出力ポートからデジタイザーに移動する。一方、デジタル信号は、USBケーブルを介して直接、コンピュータ「B」に移動し、そこで、それらは、Polymer Charによって提供されるLabViewデータ収集ソフトウエアによって収集される。クロマトグラフィ条件は以下のように設定する:145℃のカラムオーブン温度、1mL/分の流速、0.4mLの注入容量、サンプルの分子量分布に依存して約2mg/mLのポリマー濃度。高温移送ライン及びIR5検出器サンプルセルの両方の温度は150℃に設定される一方で、IR5検出器の電子機器の温度は60℃に設定される。短鎖分枝含有量は、較正曲線と連動したCH3(ICH3)~CH2(ICH2)の強度比を使用して社内法により決定し得る。較正曲線は、ICH3/ICH2の強度比の関数に応じたSCB含有量(xSCB)のプロットである。較正曲線を得るために、0~約32SCB/1,000総炭素の範囲のSCBレベル(SCB標準)のポリエチレン樹脂の群(5以上)を使用する。全てのこれらのSCB標準は、NMR及びNMRに連動した溶媒勾配分画(SGF-NMR)法によって別個に予め決定された既知のSCBレベル及び平坦なSCBDプロファイルを有する。このように確立されたSCB較正曲線を使用して、その分子量分布にわたる短鎖分枝分布のプロファイルが、これらのSCB標準用のものと全く同じクロマトグラフィ条件下でのIR5-GPCシステムによって分画された樹脂について得られ得る。強度比と溶離液体積との間の関係を、予め決定されたSCB較正曲線(すなわち、ICH3/ICH2の強度比対SCB含有量)及びMW較正曲線(すなわち、分子量対溶離時間)を使用してMWDの関数に応じてSCB分布に変換し、ICH3/ICH2の強度比及び溶離時間をSCB含有量及び分子量にそれぞれ変換する。
【0174】
フッ化物化シリカ被覆アルミナ活性化剤-担体を以下のように調製した。約300m2/gの表面積、約1.3mL/gの細孔容積、及び約100ミクロンの平均粒子サイズを有する、W.R.Grace&Companyからの「Alumina A」の名称のベーマイトを得た。そのアルミナを、まず、約600℃でおよそ6時間、乾燥空気中で焼成し、周囲温度に冷却し、次いで、イソプロパノール中でテトラエチルオルトシリケートと接触させて、25重量%のSiO2と同等にした。乾燥後、シリカ被覆アルミナを600℃で3時間焼成した。焼成したシリカ被覆アルミナに、メタノール中の二フッ化アンモニウム溶液を含浸させ、乾燥させ、次いで、乾燥空気中で600℃で3時間焼成することによって、フッ化物化シリカ被覆アルミナ(7重量%のF)を調製した。その後、フッ化物化シリカ被覆アルミナ(FSCA)を収集し、乾燥窒素下で保存し、大気に曝すことなく使用した。
【0175】
硫酸化アルミナ活性化剤-担体を以下のように調製した。上記のように、W.R.Grace&Companyから「Alumina A」の名称でベーマイトを得た。この材料に硫酸アンモニウムの水溶液を初期湿潤まで含侵し、約15%のスルフェートと同等にした。次いでこの混合物を平らなパンに置き、およそ110℃で約16時間真空下で乾燥させた。得られた粉末混合物を焼成するために、その材料を約550℃で約6時間、乾燥空気流中で流動化させた。その後、硫酸化アルミナ(SA)を収集し、乾燥窒素下で保存し、大気に曝すことなく使用した。
【0176】
メタロセンMET1、MET2、及びMET3の構造を以下に示す。
【化7】
【0177】
実施例1~19
まず、フッ化物化シリカ被覆アルミナのサンプルを30mLのトルエン中でスラリー化し、続いて約12%(w/w)のジブチルマグネシウムを添加し、攪拌しながら3時間90℃に加熱することによって担持チーグラー型触媒を調製した。次いで、その白色スラリーをまず21℃に冷却し、更に8時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。過剰のTiCl4を徐々に添加するとスラリーが褐色になり、続いて90℃で3時間撹拌した。スラリーを濾過し、得られた赤色/褐色固体をヘプタンで数回洗浄し、減圧下で乾燥させた。得られた担持触媒は、およそ1重量%のMg及び6.2重量%のTiを有するフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有していた。
【0178】
実施例1~19は、以下の重合手順を使用して生成した(表Iは、実施例1~19の重合実験に関する所定の情報を要約している)。重合操作は、1ガロンのステンレススチール反応器内で行い、全ての操作でイソブタン(1.8L)を使用した。MET1のメタロセン溶液をトルエン中約1mg/mLで調製した。有機アルミニウム(トリイソブチルアルミニウム、TIBA、0.4mmol)、担持チーグラー型触媒、及びメタロセン溶液(二元触媒系に使用される場合、担持触媒における使用されるメタロセンのチタンに対するモル比はおよそ3:10であった)をその順序でチャージポートを介して添加しながら、イソブタン蒸気を徐々に排気した。チャージポートを閉じ、イソブタンを添加した。反応器の内容物を撹拌し、約90℃の所望の操作温度に加熱し、次いでエチレン及び1-ヘキセン(使用される場合)を反応器に導入した。水素(使用される場合)を325ccの補助容器から添加し、エチレン添加に基づいて340psigの開始圧力からの圧力低下が認められた。30分の長さの重合操作の間、390または450psigの圧力の目標圧力を維持するためにエチレンを必要に応じて供給した。操作中、自動加熱冷却システムによって反応器を所望の温度で維持した。反応器の排気、パージ、及び冷却の後、得られたポリマー生成物を減圧下で乾燥させた。
【0179】
表Iにおいて、触媒重量は、担持触媒(及び使用される場合にはメタロセン化合物)の重量であり、生産性は、生成したポリマーの量を触媒重量で除したものであり、活性は、生産性を反応時間で除したものである。実施例1~10は、水素の添加が担持触媒の活性に悪影響を及ぼすことを実証したが、実施例11~16は、コモノマー(1-ヘキセン)の添加が触媒活性に影響を及ぼさないことを実証した。担持触媒は、触媒活性を低下させるかなりの量の水素を導入しても、非常に高い分子量のポリマーを生成したが、分子量を明らかに低下させなかった。
【0180】
担持チーグラー型担持触媒(すなわち、二元触媒系)へのMET1の添加は、触媒挙動の驚くべき変化を生成し、水素に対する分子量のより高い応答性(MIまたはHLMIの増加)を有し、触媒活性を約2倍増加させた。図1は、実施例17~19のポリマーの分子量分布(ポリマーの量対分子量)を示している。水素の存在下で二元触媒系(チーグラー成分及びメタロセン成分)を使用して生成された実施例19のポリマーは、担持触媒それ自体(実施例17)よりも低い分子量へのより実質的なシフトを示しつつ、同じ広い分子量分布を維持した。水素を添加していない二元触媒系を使用して生成された実施例18のポリマーは、分布の高分子量側に肩部を示し、これは恐らく、担持チーグラー様触媒成分の結果であった。一般に、メタロセン成分が水素添加に反応した一方で、チーグラー成分は反応しなかった。
【0181】
試験していないが、実施例1~19のポリマーは、低レベルの長鎖分枝(LCB)、典型的には1000個の総炭素原子当たり0.005未満のLCBを有するであろうと予想された。
【0182】
実施例20~26
およそ1重量%のMg及び6.2重量%のTiを有するフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有する実施例20~26用の担持チーグラー型触媒を実施例1~19に記載されているように調製した。実施例20~26は、実施例1~19に記載されたものと実質的に同じ重合手順を使用して生成した(表IIは、実施例20~26の重合実験に関する所定の情報を要約している)。TEAはトリエチルアルミニウムである。
【0183】
表IIにおいて、触媒重量は、担持触媒及びメタロセン化合物の合計重量であり、生産性は、生成したポリマーの量を触媒重量で除したものであり、活性は、生産性を反応時間で除したものである。担持触媒におけるメタロセンのチタンに対するモル比は、およそ3:10であった。実施例20~22は、水素の添加が二元触媒系の活性に悪影響を及ぼすことを実証した。
【0184】
表IIIは、実施例20~23の分子量特徴付けを要約している。水素添加の分子量に対する影響は、実施例20~22から明らかであった。
【0185】
実施例27~41
担持チーグラー型触媒を以下のように調製した。THF中の遷移金属化合物(TiCl4、ZrCl4、CpTiCl3、IndTiCl3、V(O)Cl3など)の溶液を、THF中MgCl2の溶液に室温で添加した。室温で3時間攪拌した後、ヘプタン中の硫酸化アルミナ(SA)またはフッ化物化シリカ被覆アルミナ(FSCA)のスラリーを室温で添加した。得られた混合物を室温で更に3時間攪拌した。固体触媒を遠心分離によって単離し、最終的な担持触媒をヘプタンで3回洗浄し、室温で減圧下で乾燥させた。得られた担持触媒は、およそ1重量%のMg及び0.7重量%のTi(またはVもしくはZr)を有するフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有していた。Ti(III)は存在していなかった。遷移金属化合物(例えば、TiCl4、V(O)Cl3など)は、担持触媒上に存在していた。担持触媒はまた、約2~4ppm(重量)のTHFを含有していた。
【0186】
実施例27~41のポリマーは、実施例1~19に記載されたものと実質的に同じ重合手順を使用して生成した(表IVは、実施例27~41の重合実験に関する所定の情報を要約している)。重合温度は90℃であり、反応圧力は402psigであり、重合実験は30分間または60分間行われた。
【0187】
表IVにおいて、触媒重量は、担持触媒及びメタロセン化合物(使用される場合)の重量であり、触媒活性は、生成したポリマーを合計の触媒重量及び反応時間で除したものである。重要なことは、表IVは、Mg及びTi(またはV)を有するFSCAを含有する担持触媒が、優れた触媒活性を有する(例えば、実施例29及び31の場合は5000g/g/時を超え、実施例35の場合は2600g/g/時を超える)一方で、Mg及びTi(またはV)を有するFSCAを含有しない担持触媒は、比較的低い触媒活性を有し、実施例27は、1885g/g/時の活性を有し(フッ化物化シリカ被覆アルミナの代わりに硫酸化アルミナ)、実施例30及び34は、200g/g/時未満の活性を有し(TiまたはVの代わりにZrまたはCrを利用した)、実施例36、37、及び39は、1000g/g/時未満の活性を有し(マグネシウム化合物が存在しない)、そして実施例38は、活性を少しも有さなかった(TiまたはVが存在しない)ことを示している。実施例41は、担持チーグラー型触媒がメタロセン成分を活性化することができ、実施例40と比較して驚くべき活性上昇を示すことを実証している。図2は、実施例36及び40とそれぞれ比較して、実施例31及び41の触媒活性が予想外に高いことを示している。
【0188】
実施例42~54
およそ1重量%のMg及び0.6~0.8重量%のTiを有するフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有する実施例42~54用の担持チーグラー型触媒を実施例27~41に記載されているように調製した。Ti(III)は存在していなかった。遷移金属化合物、例えば、TiCl4は、担持触媒上に存在していた。担持触媒はまた、約2~4ppm(重量)のTHFを含有していた。
【0189】
実施例42~54は、実施例1~19に記載されたものと実質的に同じ重合手順を使用して生成したが、1-ヘキセンコモノマー及び水素添加のレベルを変更し、一般に高分子量及び広い分子量分布を有するポリマーを生成した。表Vは、実施例42~54の分子量特徴付けを要約している。試験していないが、担持チーグラー触媒を使用して生成されたポリマーは、実質的に平坦な短鎖分枝分布を有するであろうと予想された。
【0190】
実施例55~83
およそ1.1重量%のMg及び0.7重量%のTiを有するフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有する実施例55~82用の担持チーグラー型触媒を実施例27~41に記載されているように調製した。Ti(III)は存在していなかった。遷移金属化合物(例えば、TiCl4、V(O)Cl3など)は、担持触媒上に存在していた。担持触媒はまた、約2~4ppm(重量)のTHFを含有していた。
【0191】
二元触媒の実施例55~82は、実施例1~19に記載されたものと実質的に同じ重合手順を使用して生成したが、1-ヘキセンコモノマーならびに90℃及び400psigでの水素添加のレベルを変更した。担持触媒におけるメタロセンのチタンに対するモル比は、およそ1:10であった。
【0192】
表VIは、実施例55~83の分子量特徴付けを要約しており、異なるメタロセン化合物及び二元触媒系を用いて生成され得る広い範囲のポリマー重量(一般に高分子量及び広い分子量分布)を実証している。図3は、実施例76、80、及び83のポリマーの分子量分布を示している。試験していないが、実施例55~82のポリマーは、低レベルの長鎖分枝(LCB)、典型的には1000個の総炭素原子当たり0.005未満のLCB、及び実質的に平坦な短鎖分枝分布を有するであろうと予想された。
【0193】
実施例84
担持チーグラー型触媒は、まずMg(OEt)2(マグネシウムエトキシド)を調製することによって調製した。MgCl2(0.146g)をクロロベンゼン(100mL)と混合し、次いで無水エタノール(0.4563g)を添加し、混合物を145℃で1.5時間還流して、Mg(OEt)2(マグネシウムエトキシド)を得た。その溶液から熱を除去し、還流温度未満に冷却し、続いてフッ化物化シリカ被覆アルミナのトルエンスラリー(1.81g)を添加した。反応混合物を還流に戻し、20分間撹拌し、次いで0℃に冷却し、TiCl4(4.046g)を添加した。混合物を2時間加熱して還流に戻し、8時間撹拌しながら21℃まで徐々に冷却した。スラリーを濾過し、得られた灰色/褐色固体をヘプタンで数回洗浄し、減圧下で乾燥させた。得られた担持触媒は、およそ2重量%のMg及び7重量%のTi(Ti(III)ではなかった)を有するフッ化物化シリカ被覆アルミナを含有していた。
【0194】
実施例1~19に記載されたものと実質的に同じ手順を使用して、水素及びコモノマーを用いずに、特に90℃及び390psigで30分間で実施例84を生成した。担持触媒の重量は4mgであった。図4は、実施例84のポリマーの分子量分布(ポリマーの量対分子量)を示しており、Mnは528,000g/molであり、Mwは2,142,000g/molであり、Mzは3,635,000g/molであり、Mpは3,195,000g/molであり、Mw/Mnの比は4.06であった。
【0195】
実施例85~92
およそ2重量%のMg及び7重量%のTiを有する(かつTi(III)は有しない)フッ化物化シリカ被覆アルミナを含有する実施例85~92用の担持チーグラー型触媒を実施例84に記載されているように調製した。実施例85~92は、実施例1~19に記載されたものと実質的に同じ重合手順を使用して生成した(表VIIは、実施例85~92の重合実験に関する所定の情報を要約している)。
【0196】
表VIIにおいて、触媒重量は、担持触媒及びメタロセン化合物(及び使用される場合はFSCA)の合計重量であり、生産性は、生成したポリマーの量を触媒重量で除したものであり、活性は、生産性を反応時間で除したものである。担持触媒におけるメタロセンのチタンに対するモル比は、およそ3:10であった。実施例89~90は、担持チーグラー型触媒、メタロセン、及びフッ化物化シリカ被覆アルミナ(FSCA)を含有する触媒系を利用した。
【0197】
一般に、広いMWDを有する高分子量ポリマーが生成され、触媒系は水素に対してあまり反応しなかった。予想外にも、実施例90のポリマーは、注目すべき二峰性のMWDを有していた。その触媒系は、MET3メタロセン化合物及び担持チーグラー触媒に加えて、FSCAを含有していた。表VIIIは、実施例85~92の分子量特徴付けを要約しており、異なるメタロセン化合物及び二元触媒系を用いて生成され得る広い範囲のポリマー重量(一般に高分子量及び広い分子量分布)を実証している。図5は、実施例85~92のポリマーの分子量分布を示している。試験していないが、実施例85~92のポリマーは、低レベルの長鎖分枝(LCB)、典型的には1000個の総炭素原子当たり0.005未満のLCB、及び実質的に平坦な短鎖分枝分布を有するであろうと予想された。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】
【0198】
本発明は、多数の態様及び実施形態、ならびに特定の実施例を参照して上記に記載されている。上記の詳細な説明に照らして、多くの類型がそれら自体を当業者に示唆する。全てのそのような明らかな類型は、添付の特許請求の範囲の十分な意図された範囲内にある。本発明の他の実施形態は、以下のものを含み得るがこれらに限定されない(実施形態は、「含む」と記載されるが、あるいは「から本質的になる」または「からなる」場合がある)。
【0199】
実施形態1.触媒組成物を生成するプロセスであって、
(I)
(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナと、
(b)マグネシウム化合物と、
(c)チタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物と、を接触させて、
担持触媒を形成することと、
(ii)担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を接触させて触媒組成物を形成することと、を含む、プロセス。
【0200】
実施形態2.工程(i)が、フッ化物化シリカ被覆アルミナ、マグネシウム化合物、ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物を溶媒中で接触させることを含む、実施形態1に定義されたプロセス。
【0201】
実施形態3.工程(i)が、フッ化物化シリカ被覆アルミナ及びマグネシウム化合物を溶媒中で接触させて混合物(例えば、スラリー)を形成すること、及び次いでその混合物をチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物と接触させることを含む、実施形態1に定義されたプロセス。
【0202】
実施形態4.工程(i)が、溶媒中のマグネシウム化合物ならびにチタン(IV)化合物及び/またはバナジウム化合物の混合物(例えば、溶液)をフッ化物化シリカ被覆アルミナと接触させることを含む、実施形態1に定義されたプロセス。
【0203】
実施形態5.その溶媒が、任意の好適な非極性溶媒または本明細書に開示された任意の非極性溶媒、例えば、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、アルカン(例えば、ヘプタン)、塩素化炭化水素(例えば、クロロベンゼン)など、及びこれらの組み合わせである、実施形態2~4のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0204】
実施形態6.その溶媒が、任意の好適な極性非プロトン性溶媒または本明細書に開示された任意の極性非プロトン性溶媒、例えば、エーテル、ピリジン、THF、置換THF、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサンなど、及びこれらの組み合わせである、実施形態2~4のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0205】
実施形態7.その溶媒が、任意の好適なルイス塩基または本明細書に開示された任意のルイス塩基、例えば、エーテル、ピリジン、THF、置換THF、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサンなど、及びこれらの組み合わせである、実施形態2~4のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0206】
実施形態8.成分(a)、(b)、及び(c)が、任意の好適な期間または本明細書に開示された任意の範囲の期間、例えば、約5秒~約48時間、約1分~約18時間などの間、接触される、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0207】
実施形態9.成分(a)、(b)、及び(c)が、任意の好適な温度または本明細書に開示された任意の温度範囲、例えば、約0℃~約100℃、約10℃~約90℃などで接触される、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0208】
実施形態10.担持触媒を形成することが、成分(a)、(b)、及び(c)の接触から生じた生成物を濾過及び/または洗浄することを含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0209】
実施形態11.担持触媒を形成することが、例えば、減圧下で、成分(a)、(b)、及び(c)の接触から生じた生成物を乾燥させることを含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0210】
実施形態12.工程(ii)が、担持触媒、メタロセン化合物、及び共触媒を希釈剤中で任意の順序で接触させることを含む、実施形態1~11のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0211】
実施形態13.工程(ii)が、担持触媒及び共触媒を希釈剤中で接触させて混合物(例えば、スラリー)を形成すること、及び次いでその混合物をメタロセン化合物と接触させることを含む、実施形態1~11のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0212】
実施形態14.希釈剤が、任意の好適な希釈剤または本明細書に開示された任意の希釈剤、例えば、イソブタン、トルエン、ヘプタンなど、及びこれらの組み合わせである、実施形態12または13に定義されたプロセス。
【0213】
実施形態15.工程(ii)が、任意の好適な期間または本明細書に開示された任意の範囲の期間、例えば、約5秒~約48時間、約1分~約18時間などの間、行われる、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0214】
実施形態16.工程(ii)が、任意の好適な温度または本明細書に開示された任意の温度範囲、例えば、約0℃~約100℃、約10℃~約90℃などで行われる、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0215】
実施形態17.先行する実施態様のいずれか1つに定義されたプロセスによって生成された触媒組成物。
【0216】
実施形態18.
(A)担持触媒であって、
(a)フッ化物化シリカ被覆アルミナと、
(b)マグネシウム化合物と、
(c)チタン(IV)及び/またはバナジウムと、を含む、担持触媒と、
(B)メタロセン化合物と、
(C)共触媒と、を含む、触媒組成物。
【0217】
実施形態19.フッ化物化シリカ被覆アルミナが、シリカを任意の好適な量でまたは本明細書に開示された任意の範囲の重量百分率で、例えば、フッ化物化シリカ被覆アルミナの重量を基準として、約10~約80重量%のシリカ、約20~約70重量%のシリカ、約20~約45重量%のシリカなどを含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物触媒。
【0218】
実施形態20.フッ化物化シリカ被覆アルミナの重量を基準とするFの重量百分率が、任意の好適な量または本明細書に開示された任意の範囲の重量百分率、例えば、約1~約20重量%、約2~約15重量%、約3~約12重量%などである、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0219】
実施形態21.担持触媒の重量を基準とするマグネシウムの重量百分率が、任意の好適な量または本明細書に開示された任意の重量百分率範囲、例えば、約0.1~約10重量%、約0.25~約8重量%、約0.5~約7重量%、約0.5~約3重量%などである、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0220】
実施形態22.担持触媒の重量を基準とするチタン(またはバナジウム)の重量百分率が、任意の好適な量または本明細書に開示された任意の重量百分率範囲、例えば、約0.1~約10重量%、約0.2~約5重量%、約0.3~約2重量%などである、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0221】
実施形態23.マグネシウム化合物が、任意の好適な無機マグネシウム化合物または本明細書に開示された任意の無機マグネシウム化合物、例えば、MgCl2、MgBr2、MgI2、 MgSO4、Mg(NO3)2など、及びこれらの組み合わせを含む、実施形態1~22のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0222】
実施形態24.マグネシウム化合物が、任意の好適なマグネシウムアルコキシド化合物または本明細書に開示された任意のマグネシウムアルコキシド化合物、例えば、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシドなど、及びこれらの組み合わせを含む、実施形態1~22のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0223】
実施形態25.マグネシウム化合物が、還元剤ではない任意の好適なマグネシウム化合物(例えば、グリニャール試薬、例えば、臭化ブチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、シクロペンタジエニルマグネシウムなど)を含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0224】
実施形態26.プロセスに使用されるチタン(IV)化合物(または担持触媒上のチタン(IV)種)が、本明細書に開示された任意の好適なチタン化合物、例えば、TiCl4、TiBr4、TiI4、TiF4、チタンアルコキシドなど、及びこれらの組み合わせを含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0225】
実施形態27.プロセスに使用されるバナジウム化合物(または担持触媒上のバナジウム種)が、任意の好適なバナジウム化合物(例えば、V(III)、V(IV)、V(V))または本明細書に開示された任意のバナジウム化合物、例えば、バナジウムハライド、VCl3、VCl4、VOCl3、バナジウムアルコキシドなど、及びこれらの組み合わせを含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0226】
実施形態28.担持触媒が、Ti(III)を実質的に含まない、例えば、500重量ppm未満、100重量ppm未満、10重量ppm未満などである、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0227】
実施形態29.担持触媒が、任意の好適な極性非プロトン性溶媒または本明細書に開示された任意の極性非プロトン性溶媒、例えば、エーテル、ピリジン、THF、置換THF、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサンなど、及びこれらの組み合わせを、本明細書に開示された任意の範囲の量、例えば、担持触媒の重量を基準として、約1~500ppm、約1~約50ppm、約1~約10ppmなどで更に含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0228】
実施形態30.共触媒が、任意の好適な共触媒または本明細書に開示された任意の共触媒を含む、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0229】
実施形態31.共触媒が、有機アルミニウム化合物を含む、実施形態1~30のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0230】
実施形態32.有機アルミニウム化合物が、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、塩化ジエチルアルミニウム、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態31に定義されたプロセスまたは組成物。
【0231】
実施形態33.触媒組成物が、アルミノキサン化合物、有機ホウ素もしくは有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、またはこれらの組み合わせを実質的に含まない、実施形態1~32のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0232】
実施形態34.共触媒が、アルミノキサン化合物、有機ホウ素もしくは有機ホウ酸塩化合物、イオン化イオン性化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1~30のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0233】
実施形態35.共触媒の担持触媒に対する重量比が、任意の好適な重量比または本明細書に開示された任意の範囲、例えば、約10:1~約1:1000、約3:1~約1:100、約1:1~約1:50などである、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0234】
実施形態36.触媒組成物におけるメタロセン化合物のTi(IV)(及び/またはV(IV))が、任意の好適なモル比または本明細書に開示された任意の範囲、例えば、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、約1.5:1~約1:1.5などである、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0235】
実施形態37.触媒組成物が、任意の好適なメタロセン化合物または本明細書に開示された任意のメタロセン化合物を含む、実施形態1~36のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0236】
実施形態38.メタロセン化合物が、架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0237】
実施形態39.メタロセン化合物が、アルケニル置換基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0238】
実施形態40.メタロセン化合物が、アルケニル置換基及びフルオレニル基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0239】
実施形態41.メタロセン化合物が、シクロペンタジエニル基及びフルオレニル基を有し、かつ架橋基上及び/またはシクロペンタジエニル基上にアルケニル置換基を有する架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0240】
実施形態42.メタロセン化合物が、架橋基上にアリール基置換基を有する架橋メタロセン化合物を含む、実施形態1~41のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0241】
実施形態43.メタロセン化合物が、アルケニル連結基を有する二核架橋メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0242】
実施形態44.メタロセン化合物が、式(II)を有する架橋メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【化8】

(式中、Mは、本明細書に開示された任意のIV族の遷移金属であり、Cpは、本明細書に開示された任意のシクロペンタジエニル、インデニル、またはフルオレニル基であり、各Xは、独立して、本明細書に開示された任意のモノアニオン性リガンドであり、RX及びRYは、独立して、本明細書に開示された任意の置換基であり、Eは、本明細書に開示された任意の架橋基である。)
【0243】
実施形態45.メタロセン化合物が、2つのシクロペンタジエニル基、2つのインデニル基、または1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0244】
実施形態46.メタロセン化合物が、2つのシクロペンタジエニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0245】
実施形態47.メタロセン化合物が、2つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0246】
実施形態48.メタロセン化合物が、1つのシクロペンタジエニル及び1つのインデニル基を含有する非架橋ジルコニウムまたはハフニウム系メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0247】
実施形態49.メタロセン化合物が、アルケニル連結基を有する二核非架橋メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0248】
実施形態50.メタロセン化合物が、式(I)を有する非架橋メタロセン化合物を含む、実施形態1~37のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【化9】

(式中、Mは、本明細書に開示された任意のIV族の遷移金属であり、CpA及びCpBは、独立して、本明細書に開示された任意のシクロペンタジエニルまたはインデニル基であり、各Xは、独立して、本明細書に開示された任意のモノアニオン性リガンドである。)
【0249】
実施形態51.触媒組成物が、本明細書に開示された任意の範囲の触媒活性、例えば、約8,000g/g/時を超え、約10,000g/g/時を超え、約20,000g/g/時を超え、約30,000g/g/時を超えるなどの触媒活性を有する、先行する実施形態のいずれか1つに定義されたプロセスまたは組成物。
【0250】
実施形態52.オレフィン重合プロセスであって、オレフィンポリマーを生成する重合条件下で、重合反応器システムにおいて実施形態17~51のいずれか1つに定義された触媒組成物をオレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマーと接触させることを含む、プロセス。
【0251】
実施形態53.オレフィンモノマーが、本明細書に開示された任意のオレフィンモノマー、例えば、任意のC2~C20オレフィンを含む、実施形態52に定義されたプロセス。
【0252】
実施形態54.オレフィンモノマー及び任意のオレフィンコモノマーが、独立して、C2~C20アルファ-オレフィンを含む、実施形態52または53に定義されたプロセス。
【0253】
実施形態55.オレフィンモノマーがエチレンを含む、実施形態52~54のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0254】
実施形態56.触媒組成物が、エチレン及びC3~C10アルファ-オレフィンを含むオレフィンコモノマーと接触される、実施形態52~55のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0255】
実施形態57.触媒組成物が、エチレン及び1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、またはこれらの混合物を含むオレフィンコモノマーと接触される、実施形態52~56のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0256】
実施形態58.オレフィンモノマーがプロピレンを含む、実施形態52~54のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0257】
実施形態59.重合反応器システムが、バッチ式反応器、スラリー反応器、気相反応器、溶液反応器、高圧反応器、管状反応器、オートクレーブ反応器、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態52~58のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0258】
実施形態60.重合反応器システムが、スラリー反応器、気相反応器、溶液反応器、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態52~59のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0259】
実施形態61.重合反応器システムが、ループスラリー反応器を含む、実施形態52~60のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0260】
実施形態62.重合反応器システムが、単一の反応器を含む、実施形態52~61のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0261】
実施形態63.重合反応器システムが、2つの反応器を含む、実施形態52~61のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0262】
実施形態64.重合反応器システムが、2つを超える反応器を含む、実施形態52~61のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0263】
実施形態65.オレフィンポリマーが、本明細書に開示された任意のオレフィンポリマーを含む、実施形態52~64のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0264】
実施形態66.オレフィンポリマーが、エチレン/1-ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、またはエチレン/1-オクテンコポリマーである、実施形態52~57及び59~65のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0265】
実施形態67.オレフィンポリマーが、エチレン/1-ヘキセンコポリマーである、実施形態52~57及び59~66のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0266】
実施形態68.オレフィンポリマーが、ポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレン系コポリマーである、実施形態52~54及び58~66のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0267】
実施形態69.重合条件が、約60℃~約120℃の範囲の重合反応温度及び約200~約1000psig(約1.4~約6.9MPa)の範囲の反応圧力を含む、実施形態52~68のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0268】
実施形態70.重合条件が、例えば、特定のポリマー等級のため、実質的に一定である、実施形態52~69のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0269】
実施形態71.重合反応器システムに水素が添加されない、実施形態52~70のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0270】
実施形態72.重合反応器システムに水素が添加される、実施形態52~70のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0271】
実施形態73.0~880ppmの水素(エチレンなどのオレフィンモノマーを基準とする重量)の添加を用いるオレフィンポリマーのメルトインデックス(または高荷重メルトインデックス)の増加が、同じ重合条件下で、メタロセン化合物を有しない同じ触媒系を使用して得られたオレフィンポリマーのメルトインデックス(または高荷重メルトインデックス)の増加よりも大きい、実施形態52~70のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0272】
実施形態74.0~880ppmの水素(エチレンなどのオレフィンモノマーを基準とする重量)の添加を用いるオレフィンポリマーのMwの減少が、同じ重合条件下で、メタロセン化合物を有しない同じ触媒系を使用して得られたオレフィンポリマーのMwの減少よりも大きい、実施形態52~70のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0273】
実施形態75.オレフィンポリマーが、本明細書に開示された任意のMI、及び/または本明細書に開示された任意のHLMI、及び/または本明細書に開示された任意の密度、及び/または本明細書に開示された任意のMn、及び/または本明細書に開示された任意のMw、及び/または本明細書に開示された任意のMz、及び/または本明細書に開示された任意のMw/Mn、及び/または本明細書に開示された任意のMz/Mwによって特徴付けされる、実施形態52~74のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0274】
実施形態76.オレフィンポリマーが、1000個の総炭素原子当たり約0.01未満の長鎖分枝(LCB)、例えば、約0.008未満のLCB、約0.005未満のLCBなどを有する、実施形態52~75のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0275】
実施形態77.オレフィンポリマーが、本明細書に開示された任意の手順によって決定される、実質的に一定の短鎖分枝分布(SCBD)を有する、実施形態52~76のいずれか1つに定義されたプロセス。
【0276】
実施形態78.実施態様52~77のいずれか1つに定義された重合プロセスによって生成されたオレフィンポリマー。
【0277】
実施形態79.実施形態78に定義されたオレフィンポリマーを含む物品。
【0278】
実施形態80.オレフィンポリマーを含む製造物品を形成または調製する方法であって、(i)実施形態52~77のいずれか1つに定義されたオレフィン重合プロセスを実施することと、(ii)例えば、本明細書に開示された任意の技術を介して、オレフィンポリマーを含む製造物品を形成することと、を含む、方法。
【0279】
実施形態81.物品が、農業用フィルム、自動車部品、ボトル、ドラム、繊維もしくは布地、食品包装用フィルムもしくは容器、食品サービス物品、燃料タンク、ジオメンブレン、家庭用容器、ライナー、成形品、医療機器もしくは材料、パイプ、シートもしくはテープ、または玩具である、実施形態79または80に定義された物品。
図1
図2
図3
図4
図5