(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】画像誘導ロボット収束アブレーション
(51)【国際特許分類】
A61B 34/32 20160101AFI20220104BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20220104BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20220104BHJP
A61B 18/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61B34/32
A61B34/20
A61B34/10
A61B18/00
(21)【出願番号】P 2018533734
(86)(22)【出願日】2016-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2016057762
(87)【国際公開番号】W WO2017115212
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-12-17
(32)【優先日】2015-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヌーナン デイビッド ポール
(72)【発明者】
【氏名】ポポヴィッチ アレクサンドラ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-506621(JP,A)
【文献】特表2014-502541(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185087(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0226145(US,A1)
【文献】特表2010-506600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/32
A61B 34/20
A61B 34/10
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的領域内の解剖学的構造に対して外科手術を実行するためのロボットシステムであって、前記ロボットシステムは、
前記解剖学的構造の異なる部分に対して外科手術を実行する複数の手術ロボットと、
前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御するための外科手術コントローラと、
を備え、
前記外科手術コントローラは、前記解剖学的構造に対して前記外科手術を実行するための手術計画
を生成し、これを修正するとともに、前記手術計画の生成及び修正に応じて、前記手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを指図し、
前記外科手術コントローラは更に、前記手術ロボットのうちの少なくとも1つが、前記手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることに応じて、前記手術計画
の修正
を自律的に指図する、
ロボットシステム。
【請求項2】
前記複数の手術ロボットが、前記解剖学的構造の外部に隣接した外科手術を実行する外部手術ロボット及び前記解剖学的構造の内部における外科手術を実行する内部手術ロボットを含み、
前記外科手術コントローラが、前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記外部手術ロボット及び前記内部手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御し、
前記外科手術コントローラは、前記解剖学的構造の外部に隣接した前記外科手術を実行するための外部手術計画
を生成し、これを修正するとともに、前記外部手術計画の生成に応じて、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記外部手術ロボットのナビゲーションを指図し、
前記外科手術コントローラは更に、前記解剖学的構造の内部における前記外科手術を実行するための内部手術計画
を生成し、これを修正するとともに、前記内部手術計画の生成に応じて、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記内部手術ロボットのナビゲーションを指図し、
前記外科手術コントローラは更に、
前記内部手術ロボットが、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記外部手術計画を修正すること、及び
前記外部手術ロボットが、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記内部手術計画を修正すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記解剖学的構造の解剖学的マップの生成を制御する解剖学的マッピングコントローラを更に備え、
前記解剖学的マッピングコントローラは更に、前記解剖学的構造の前記解剖学的マップを少なくとも2つの手術区域に区画する計画された境界付けから前記外部手術計画及び前記内部手術計画を導出する、
請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
解剖学的撮像コントローラを更に備え、前記解剖学的撮像コントローラは、
前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記外部手術ロボットのナビゲーションを示す外部手術解剖学的画像の生成を制御すること、及び
前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記内部手術ロボットのナビゲーションを示す内部手術解剖学的画像の生成を制御すること、
のうちの少なくとも1つを行い、
前記外科手術コントローラ及び前記解剖学的撮像コントローラのうちの少なくとも一方が更に、
前記外部手術解剖学的画像内で示されたように、前記外部手術ロボットが、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認すること、及び
前記内部手術解剖学的画像内で示されたように、前記内部手術ロボットが、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認すること、
を行う、
請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
外部手術コントローラ及び内部手術コントローラのうちの少なくとも一方を更に備え、
前記外部手術コントローラは、前記外科手術コントローラによって指図されるとおりに前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記外部手術ロボットの前記ナビゲーションを制御し、
前記外部手術コントローラは更に、前記外科手術コントローラに外部手術報告を通信し、前記外部手術報告は、前記外部手術ロボットが、前記外部手術コントローラによって、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることに関する情報を与え、
前記内部手術コントローラは、前記外科手術コントローラによって指図されるとおりに前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記内部手術ロボットの前記ナビゲーションを制御し、
前記内部手術コントローラは更に、前記外科手術コントローラに内部手術報告を通信し、前記内部手術報告は、前記内部手術ロボットが、前記内部手術コントローラによって、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることに関する情報を与える、
請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記外部手術ロボットが心外膜アブレーションロボットであり、
前記内部手術ロボットが心内膜アブレーションロボットであり、
前記外科手術コントローラは、心臓の外部を焼灼するように前記心外膜アブレーションロボットを動作させるための心外膜アブレーション計画
を生成し、これを修正するとともに、前記心外膜アブレーション計画の生成に応じて、前記心外膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対する胸部領域内における前記心外膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図し、
前記外科手術コントローラは更に、前記心臓の内部を焼灼するように前記心内膜アブレーションロボットを動作させるための心内膜アブレーション計画
を生成し、これを修正するとともに、前記心内膜アブレーション計画の生成に応じて、前記心内膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対する前記胸部領域内における前記心内膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図し、
前記外科手術コントローラは更に、
前記心内膜アブレーションロボットが、前記心内膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記心外膜アブレーション計画を修正すること、及び
前記心外膜アブレーションロボットが、前記心外膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記心内膜アブレーション計画を修正すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記心臓の電気マップの生成を制御する電気マッピングコントローラを更に備え、前記電気マッピングコントローラは更に、
少なくとも2つの電気絶縁区域への前記心臓の前記電気マップの計画された境界付けから前記心外膜アブレーション計画及び前記心内膜アブレーション計画を導出すること、並びに
前記心臓の前記電気マップ内において、前記心外膜アブレーション計画に基づく前記心外膜アブレーションロボットの動作、及び前記心内膜アブレーション計画に基づく前記心内膜アブレーションロボットの動作のうちの少なくとも一方による、少なくとも2つの電気絶縁区域への前記心臓の少なくとも1つの焼灼による境界付けを評価すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項8】
アブレーション撮像コントローラを更に備え、前記アブレーション撮像コントローラは、
前記心臓に対する前記胸部領域内における前記心外膜アブレーションロボットのナビゲーションを示す心外膜アブレーション画像の生成を制御すること、及び
前記心臓に対する前記胸部領域内における前記心内膜アブレーションロボットのナビゲーションを示す心内膜アブレーション画像の生成を制御すること、
のうちの少なくとも1つを行い、
前記外科手術コントローラ及び前記アブレーション撮像コントローラのうちの少なくとも一方が更に、
前記心外膜アブレーション画像内で示されたように、前記心外膜アブレーションロボットが、前記心外膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認し、
前記心内膜アブレーション画像内で示されたように、前記心内膜アブレーションロボットが、前記心内膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認する、
請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項9】
心外膜アブレーションコントローラ及び心内膜アブレーションコントローラのうちの少なくとも一方を更に備え、
前記心外膜アブレーションコントローラは、前記外科手術コントローラによって指図されるとおりに前記心臓に対する前記胸部領域内における前記心外膜アブレーションロボットの前記ナビゲーションを制御し、
前記心外膜アブレーションコントローラは更に、前記外科手術コントローラに心外膜アブレーション報告を通信し、前記心外膜アブレーション報告は、前記心外膜アブレーションロボットが、前記心外膜アブレーションコントローラによって、前記心外膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが不可能であることに関する情報を与え、
前記心内膜アブレーションコントローラは、前記外科手術コントローラによって指図されるとおりに前記心臓に対する前記胸部領域内における前記心内膜アブレーションロボットの前記ナビゲーションを制御し、
前記心内膜アブレーションコントローラは更に、ロボットのコントローラに心内膜アブレーション報告を通信し、前記心内膜アブレーション報告は、前記心内膜アブレーションロボットが、前記心内膜アブレーションコントローラによって、前記心内膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが不可能であることに関する情報を与える、
請求項6に記載のロボットシステム。
【請求項10】
解剖学的領域内の解剖学的構造の異なる部分に対して外科手術を実行する複数の手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御するための外科手術コントローラであって、前記外科手術コントローラは、
前記解剖学的構造に対して前記外科手術を実行するための手術計画を生成し、これを修正する計画策定器と、
前記計画策定器による前記手術計画の生成及び修正に応じて、前記手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを指図するナビゲータと、
前記手術ロボットのうちの少なくとも1つが、前記手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることに応じて、前記計画策定器による前記手術計画の修正を自律的に指図する追跡器と、
を備える、外科手術コントローラ。
【請求項11】
前記複数の手術ロボットが、前記解剖学的構造の外部に隣接した外科手術を実行する外部手術ロボット及び前記解剖学的構造の内部における外科手術を実行する内部手術ロボットを含み、
前記手術計画の生成及び修正のために、前記計画策定器が、前記解剖学的構造の外部に隣接した前記外科手術を実行するための外部手術計画を生成し、これを修正するとともに、前記解剖学的構造の内部における前記外科手術を実行するための内部手術計画を生成し、これを修正し、
前記ナビゲータが、前記計画策定器による前記外部手術計画の生成に応じて、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記外部手術ロボットのナビゲーションを指図し、
前記ナビゲータが更に、前記計画策定器による前記内部手術計画の生成に応じて、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記内部手術ロボットのナビゲーションを指図し、
前記追跡器が、
前記内部手術ロボットが、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記外部手術計画の前記計画策定器による修正を指図すること、及び
前記外部手術ロボットが、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記内部手術計画の前記計画策定器による修正を指図すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項10に記載の外科手術コントローラ。
【請求項12】
前記計画策定器が、少なくとも2つの絶縁区域への前記解剖学的構造のマップの境界付けから前記外部手術計画及び前記内部手術計画を導出する、請求項11に記載の外科手術コントローラ。
【請求項13】
前記追跡器が、
前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記外部手術ロボットの前記ナビゲーションの外部手術画像内に示されたように、前記外部手術ロボットが、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認すること、及び
前記解剖学的構造に対する前記解剖学的領域内における前記内部手術ロボットの前記ナビゲーションの内部手術画像内に示されたように、前記内部手術ロボットが、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項11に記載の外科手術コントローラ。
【請求項14】
前記追跡器が、
前記外部手術ロボットが、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることに関する情報を与える外部手術報告に応じて、前記外部手術ロボットが、前記外部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認すること、及び
前記内部手術ロボットが、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることに関する情報を与える内部手術報告に応じて、前記内部手術ロボットが、前記内部手術計画に基づいて前記解剖学的構造に対して前記解剖学的領域内でナビゲートされることが不可能であることを確認すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項11に記載の外科手術コントローラ。
【請求項15】
前記複数の手術ロボットが心外膜アブレーションロボット及び心内膜アブレーションロボットを含み、
前記手術計画の生成及び修正のために、前記計画策定器が、心臓の外部を焼灼するための心外膜アブレーション計画を生成し、これを修正するとともに、前記心臓の内部を焼灼するための心内膜アブレーション計画を生成し、これを修正し、
前記ナビゲータが、前記計画策定器による前記心外膜アブレーション計画の生成に応じて、前記心外膜アブレーション計画に基づいて心臓に対する胸部領域内における前記心外膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図し、
前記ナビゲータが、前記計画策定器による前記心内膜アブレーション計画の生成に応じて、前記心内膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対する前記胸部領域内における前記心内膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図し、
前記追跡器が、
前記心内膜アブレーションロボットが、前記心内膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記心外膜アブレーション計画の前記計画策定器による修正を指図すること、及び
前記心外膜アブレーションロボットが、前記心外膜アブレーション計画に基づいて前記心臓に対して前記胸部領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、前記心内膜アブレーション計画の前記計画策定器による修正を指図すること、
のうちの少なくとも1つを行う、
請求項11に記載の外科手術コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、解剖学的構造の内部に対する内部外科手術、及び解剖学的構造の外部に対する外部外科手術を遂行するためのハイブリッド手術、具体的には、任意の種類の心不整脈(例えば、心房細動)を治療するための複合された心内膜アブレーション及び心外膜アブレーションを遂行するための収束アブレーションに関する。本開示は特に、内部外科手術計画及び外部外科手術計画に基づく画像誘導下におけるハイブリッド手術の実行のロボット制御に関する。
【背景技術】
【0002】
長期にわたる持続性の心房細動(atrial fibrillation、AF)がある患者における心内膜カテーテルアブレーションは、特に構造的心臓疾患が存在する場合には、制約された成功レベルを伴う。これは、心臓の内部でアブレーションカテーテルを用いて全ての必要な電気経路を絶縁することの複雑さに起因する。
【0003】
心外膜外科的アプローチ(例えば、Cox Maze手術)は、AFの治療に好結果をもたらすことが示されている。しかし、このようなアプローチの侵襲性のために、心外膜外科的アプローチの利用が制限されている。加えて、低侵襲的心外膜アプローチ(例えば、「mini-maze」手術)は開胸手術の成功率にはつながっていない。
【0004】
台頭しつつある技法は、心臓の内部及び外部の両方における包括的な病変パターンを作成するために、外科医の直視下で、複合された心内膜カテーテルアブレーション及び心外膜アブレーションを遂行するために開発された「ハイブリッド手術」である(Kiser AC, Landers MD, Boyce K, Sinkovec MO, Pernat A, Gersak B. Simultaneous catheter and epicardial ablations enable a comprehensive atrial fibrillation procedure. Innovations (Phila) 2011;6:243-247)。より具体的には、ハイブリッド手術時には、集学的チームが、2つの異なるアブレーションアプローチの相対的な「強み及び弱み」を考慮して、アブレーションパターンを計画する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複雑な収束アブレーション計画を実行することは、特に、異なるストラテジによって焼灼された領域が相補的になり、影響を受ける領域の電気絶縁の目標を達成することを保証しつつ実行することは、困難であることが分っている。困難は、手動アブレーション(即ち、手動カテーテル操作及び手動手術道具操作)並びにロボット支援アブレーションのどちらについても存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、解剖学的構造に対する解剖学的領域内における複数の手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御し、これにより、計画された外科手術を解剖学的構造に対して実行するための発明のシステム、コントローラ、及び方法を提供する。例えば、心臓に対する胸部領域内における心外膜アブレーションロボット及び心内膜アブレーションロボットのナビゲーションの自律的制御であり、これにより、心臓の計画された収束アブレーションを実行する。
【0007】
本開示の発明の1つの形態は、解剖学的領域(例えば、胸部領域)内における解剖学的構造(例えば、心臓)に対する外科手術を実行するための複数の手術ロボット及び外科手術コントローラを用いるロボットシステムである。動作時、外科手術コントローラは、解剖学的構造に対して外科手術を実行するための手術計画(例えば、心臓の外部を焼灼するための心外膜アブレーション計画、及び心臓の内部を焼灼するための心内膜アブレーション計画からなる収束アブレーション計画)に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを指図することによって、更に、手術ロボットのうちの1つ又は複数が、手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、手術計画を修正することによって、解剖学的構造に対する解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御する。
【0008】
本開示の発明の第2の形態は、外部手術ロボット(例えば、心外膜アブレーションロボット)と、内部手術ロボット(例えば、心内膜アブレーションロボット)と、ハイブリッド手術コントローラ(例えば、収束アブレーションコントローラ)とを用いるロボットシステムである。
【0009】
動作時、ハイブリッド手術コントローラは、解剖学的構造の外部に隣接した外科手術を実行するための外部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における外部手術ロボットのナビゲーションを指図し、解剖学的構造の内部における外科手術を実行するための内部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における内部手術ロボットのナビゲーションを指図する。
【0010】
更に、動作時、ハイブリッド手術コントローラは、内部手術ロボットが、内部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、外部外科手術計画を修正し、並びに/或いは外部手術ロボットが、外部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、内部外科手術計画を修正する。
【0011】
特に、心臓の収束アブレーションについては、収束アブレーションコントローラが、心臓の外部を焼灼するように心外膜アブレーションロボットを動作させるための心外膜アブレーション計画に基づいて、心臓に対する胸部領域内における心外膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図し、心臓の内部を焼灼するように心内膜アブレーションロボットを動作させるための心内膜アブレーション計画に基づいて、心臓に対する胸部領域内における心内膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図する。
【0012】
更に動作時、収束アブレーションコントローラは、心内膜アブレーションロボットが、心内膜アブレーション計画に基づいて心臓に対して胸部領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、心外膜アブレーション計画を修正し、及び/或いは心外膜アブレーションロボットが、心外膜アブレーション計画に基づいて心臓に対して胸部領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、心内膜アブレーション計画を修正する。
【0013】
本開示の発明の第3の形態は、計画策定器、ナビゲータ及び追跡器を含む外科手術コントローラのモジュラーネットワークである。
【0014】
動作時、計画策定器は、解剖学的構造に対して外科手術を実行するための手術計画を生成し、これを修正する(適用可能な場合)。
【0015】
ナビゲータは、手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを指図する。
【0016】
追跡器は、手術ロボットのうちの1つ又は複数が、手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、計画策定器による手術計画の修正を指図する。
【0017】
本開示の発明の第4の形態は、計画策定器、ナビゲータ及び追跡器を含むハイブリッド手術コントローラのモジュラーネットワークである。
【0018】
動作時、計画策定器は、解剖学的構造の外部に隣接した外科手術を実行するための外部外科手術計画を生成するとともに、解剖学的構造の内部における外科手術を実行するための内部外科手術計画を生成する。
【0019】
ナビゲータは、外部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における外部手術ロボットのナビゲーションを指図し、内部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における内部手術ロボットのナビゲーションを指図する。
【0020】
追跡器は、内部手術ロボットが、内部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、外部外科手術計画の計画策定器による修正を指図し、及び/或いは外部手術ロボットが、外部外科手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、内部外科手術計画の計画策定器による修正を指図する。
【0021】
特に、心臓の収束アブレーションについては、計画策定器は、心臓の外部を焼灼するように心外膜ロボットを動作させるための心外膜アブレーション計画を生成するとともに、心臓の内部を焼灼するように心内膜ロボットを動作させるための心内膜アブレーション計画を生成する。
【0022】
ナビゲータは、心外膜アブレーション計画に基づいて心臓に対する胸部領域内における心外膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図し、心内膜アブレーション計画に基づいて心臓に対する胸部領域内における心内膜アブレーションロボットのナビゲーションを指図する。
【0023】
追跡器は、心内膜アブレーションロボットが、心内膜アブレーション計画に基づいて心臓に対して胸部領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、心外膜アブレーション計画の計画策定器による修正を指図し、及び/又は心外膜アブレーションロボットが、心外膜アブレーション計画に基づいて心臓に対して胸部領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、心内膜アブレーション計画の計画策定器による修正を指図する。
【0024】
本開示の発明の第5の形態は、外科手術コントローラを、解剖学的構造に対する解剖学的領域内における複数の手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御するように動作させるための方法である。
【0025】
本方法は、外科手術コントローラが、解剖学的構造に対して外科手術を実行するための手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における各手術ロボットのナビゲーションを指図するステップを有する。
【0026】
本方法は、外科手術コントローラが、手術ロボットのうちの1つ又は複数が、手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが部分的又は完全に不可能であることに応じて、手術計画を修正するステップを更に有する。
【0027】
本開示の発明の第6の形態は、外科手術コントローラを、解剖学的構造(例えば、胸部領域)に対する解剖学的領域(例えば、心臓)内における外部手術ロボット及び内部手術ロボットのナビゲーションを自律的に制御するように動作させる方法である。
【0028】
本方法は、外科手術コントローラが、解剖学的構造の外部に隣接した外科手術(例えば、外部手術ロボットによる心臓の外部の焼灼)を実行するための外部手術計画を生成し、解剖学的構造の内部における外科手術(例えば、内部手術ロボットによる心臓の内部の焼灼)を実行するための内部手術計画を生成するステップを有する。
【0029】
本方法は、外科手術コントローラが、外部手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における外部手術ロボットのナビゲーションを指図し、内部手術計画に基づいて解剖学的構造に対する解剖学的領域内における内部手術ロボットのナビゲーションを指図するステップを有する。
【0030】
本方法は、外科手術コントローラが、内部手術ロボットが、内部手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、外部手術計画を修正し、外部手術ロボットが、外部手術計画に基づいて解剖学的構造に対して解剖学的領域内でナビゲートされることが少なくとも部分的に不可能であることに応じて、内部手術計画を修正するステップを更に有する。
【0031】
本開示の目的のために、
(1)用語「解剖学的構造」及び「解剖学的領域」は、本明細書において例示的に説明されるとおりの本開示の技術分野の用語である。解剖学的構造の例としては、限定するものではないが、臓器及び骨が挙げられる。解剖学的領域の例としては、限定するものではないが、頭部領域、鼻部領域、胸部領域、腹部領域、背部領域、腰部領域、及び頸部領域が挙げられる。
(2)用語「外科手術」、「ハイブリッド手術」及び「収束アブレーション手術」は、本開示の技術分野の用語である。
(3)用語「手術ロボット」は、解剖学的領域内における任意の種類の外科手術を遂行するための手術道具/器具(例えば、鋸、レーザ、はさみ、アブレーションカテーテルなど)を装備する、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの構造構成を有する任意のロボットを広く包含する。
(4)用語「外部手術ロボット」は、解剖学的構造の外部に隣接した任意の種類の外科手術を遂行するための、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの構造構成を有する任意のロボットを広く包含し、用語「心外膜アブレーションロボット」は、心外膜アブレーション手術を遂行するための、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの構造構成を有する任意のロボットを広く包含する。
(5)用語「内部手術ロボット」は、解剖学的構造の内部における任意の種類の外科手術を遂行するための、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの構造構成を有する任意のロボットを広く包含し、用語「心内膜アブレーションロボット」は、心内膜アブレーション手術を遂行するための、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの構造構成を有する任意のロボットを広く包含する。
(6)用語「コントローラ」は、本明細書において後述されるとおりの本開示の様々な発明の原理の適用を制御するための特定用途向けメインボード又は特定用途向け集積回路の、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの全ての構造構成を広く包含する。コントローラの構造構成は、限定するものではないが、プロセッサ(単数若しくは複数)、コンピュータ可用/コンピュータ可読記憶媒体(単数若しくは複数)、オペレーティングシステム、アプリケーションモジュール(単数若しくは複数)、周辺デバイスコントローラ(単数若しくは複数)、スロット(単数若しくは複数)、及びポート(単数若しくは複数)を含む。コントローラはワークステーションに収容されるか、又は連結され得る。ワークステーションの例は、限定するものではないが、1つ又は複数のコンピューティングデバイス(例えば、クライアントコンピュータ、デスクトップ及びタブレット)、ディスプレイ/モニタ、並びに1つ又は複数の入力デバイス(例えば、キーボード、ジョイスティック及びマウス)の組立体を含み得る。本明細書におけるコントローラの任意の記述的標識(例えば、「外科手術」コントローラ、「ハイブリッド手術」コントローラ、「収束アブレーション」コントローラなど)は、用語「コントローラ」に対するいかなる追加の限定をも特定又は示唆せず、本明細書において説明され、クレームされるとおりの特定のコントローラを識別する役割を果たす。
(7)用語「モジュール」は、特定のアプリケーションを実行するための電子回路及び/又は実行可能プログラム(例えば、実行可能ソフトウェア及び/ファームウェア)からなるコントローラの構成要素を広く包含する。本明細書におけるアプリケーションモジュールの任意の記述的標識(例えば、「計画策定器」モジュール、「ナビゲータ」モジュール、「追跡器」モジュール、「検証器」モジュールなど)は、用語「アプリケーションモジュール」に対するいかなる追加の限定をも特定又は示唆せず、本明細書において説明され、クレームされているとおりの特定のアプリケーションモジュールを識別する役割を果たす。
(8)用語「解剖学的マッピングシステム」は、任意の種類のマッピング解剖学的構造を生成するための、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの任意のシステムを広く包含し、用語「電気マッピングシステム」は、電気生理技法に基づいて解剖学的構造の電気マップを生成するための、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの任意のシステムを広く包含する。電気マッピングシステムの一例として、限定するものではないが、Carto(登録商標)3システムが挙げられる。
(9)用語「医療撮像システム」は、任意の種類の医療/外科手術の間における撮像目的のために利用される、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの任意のシステムを広く包含し、用語「アブレーション撮像システム」は、アブレーション手術の間における撮像目的のために適した、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの任意のシステムを広く包含する。撮像システムの例としては、限定するものではないが、X線撮像システム、コンピュータ断層撮像システム、磁気共鳴撮像システム、超音波撮像システム、及び内視鏡撮像システムが挙げられる。
(10)限定するものではないが、「アブレーションカテーテル」、「関節ロボット」、「ナビゲーション」、「画像」、「報告」及び「計画」、並びにこれらの任意の時制を含む、本技術分野の追加の用語は、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりのこのような用語を広く包含する。
(11)当技術分野の追加の用語の任意の記述的標識は、その用語に対するいかなる追加の限定をも特定又は示唆することなく、本明細書において説明され、クレームされているとおりの当技術分野のその特定の用語を識別する役割を果たす。
(12)用語「修正する」又はその任意の時制は、本開示の技術分野において理解され、本明細書において例示的に説明されるとおりの変更、適応及び置換を広く包含する。
【0032】
本開示の上述の形態及びその他の形態、並びに本開示の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて読まれる本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明から更に明らかになるであろう。詳細な説明及び図面は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される本開示の範囲を限定するものでなく、本開示の単なる例示にすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本開示の発明の原理に係る外科手術システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】本開示の発明の原理に係るハイブリッド手術システムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3A】本開示の発明の原理に係る収束アブレーションシステムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3B】本開示の発明の原理に係る収束アブレーションシステムのコントローラ間の例示的なデータ/画像フローを示す図である。
【
図4】本開示の発明の原理に係るワークステーションの4つの例示的な実施形態を示す図である。
【
図5】本開示の発明の原理に係る収束アブレーション方法の例示的な実施形態を表すフローチャートである。
【
図6A】本開示の発明の原理に係る例示的な電位マッピングを示す図である。
【
図6B】本開示の発明の原理に係る例示的な電気絶縁区域の境界付けを示す図である。
【
図7A】本開示の発明の原理に係る例示的な心内膜アブレーション計画策定を示す図である。
【
図7B】本開示の発明の原理に係る例示的な心外膜アブレーション計画策定を示す図である。
【
図8】本開示の発明の原理に係る例示的な収束手術を示す図である。
【
図9】本開示の発明の原理に係る例示的な収束アブレーションを示す図である。
【
図10】本開示の発明の原理に係る例示的な電気絶縁区域の検証を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の理解を容易にするために、
図1の以下の説明は、患者10の患者10の任意の解剖学的領域(例えば、頭部領域、鼻部領域、胸部領域、腹部領域、背部領域、腰部領域、及び頸部領域)内における任意の解剖学的構造(例えば、解剖学的構造11として象徴された臓器又は骨構造)に対する外科手術の画像誘導ベースの自律的ロボット制御の基本的な発明の原理を教示する。この説明から、当業者は、本開示の発明の原理を、2つ以上の相補的手術ロボットの画像誘導ベースの自律的ロボット制御を組み込む様々な外科手術にどのように適用するべきであるかを理解するであろう。
【0035】
図1を参照すると、ハイブリッド手術は、2つ以上の手術ロボット20(そのうち手術ロボット20a及び20bが示されている)、各手術ロボット20のための手術ロボットコントローラ21(そのうち手術ロボットコントローラ21a及び21bが示されている)、並びにハイブリッド手術の自律的制御のためのハイブリッド手術コントローラ22を包含する。ハイブリッド手術は、患者10の解剖学的領域内への単孔式切開又は多孔式切開を含み、これにより、各手術ロボットコントローラ21は、本開示の様々な実施形態について本明細書において更に説明されるように、対象の解剖学的構造に対してハイブリッド手術を実行するためのハイブリッド手術コントローラ60によって生成された手術計画に従って対象の解剖学的構造に対する患者10の解剖学的領域内における対応する手術ロボット20のナビゲーションを制御する。
【0036】
各手術計画は、対象の解剖学的構造に対する解剖学的領域内における対応する手術ロボット20の1つ又は複数の手術適用を特定する。例えば、手術計画は、本開示の様々な実施形態について本明細書において更に説明されるように、手術適用(例えば、アブレーション、切開など)を含む対象の解剖学的構造の内部又は外部にわたる手術ロボット20の横断を指定する。
【0037】
ハイブリッド手術の実行の最中に、ハイブリッド手術コントローラ60は、各手術ロボット20の制御されたナビゲーションを監視し、これにより、ハイブリッド手術コントローラ60は、本開示の様々な実施形態について本明細書において更に説明されるように、1つ又は複数の手術ロボット20が、理由のいかんにかかわらず対象の解剖学的構造に対して解剖学的構造内においてナビゲートされることが部分的又は完全にできない場合には、必要に応じて手術計画を修正する。
【0038】
本開示の理解を容易にするために、
図2の以下の説明は、患者10の患者10の任意の解剖学的領域(例えば、頭部領域、鼻部領域、胸部領域、腹部領域、背部領域、腰部領域、及び頸部領域)内における任意の解剖学的構造(例えば、解剖学的構造11として象徴された臓器又は骨構造)に対するハイブリッド手術の画像誘導ベースの自律的ロボット制御の基本的な発明の原理を教示する。この説明から、当業者は、本開示の発明の原理を、外部手術ロボット及び内部手術ロボットの画像誘導ベースの自律的ロボット制御を組み込む様々なハイブリッド手術にどのように適用するべきであるかを理解するであろう。
【0039】
図2を参照すると、ハイブリッド手術の計画策定/検証局面は、解剖学的マッピングデバイス80、解剖学的マッピングコントローラ82、及びモニタ83を用いる解剖学的マッピングシステムを包含する。概して、解剖学的マッピングコントローラ82は、解剖学的マッピングデバイス80による、患者10の任意の解剖学的領域内における任意の解剖学的構造11の解剖学的マップ81の生成を制御し、外部手術ロボット40を解剖学的構造11の外部にわたって横断させるための外部外科手術計画、及び内部手術ロボット50を解剖学的構造11の内部にわたって横断させるための内部外科手術計画を計画し、検証するべく、解剖学的マップ81を手術区域マップ84に区画するためにモニタ83上における解剖学的構造11の解剖学的マップ81の表示を当技術分野において知られているとおり更に制御する。
【0040】
図2をなおも参照すると、ハイブリッド手術のハイブリッド局面は、撮像モダリティ30(例えば、X線Cアーム、経食道心エコー検査プローブ、磁気共鳴撮像モダリティ、コンピュータ断層撮像モダリティなど)、手術撮像コントローラ32、及びモニタ33を用いる医療撮像システムを包含する。ハイブリッド手術は、外部手術ロボット40、外部手術ロボットコントローラ41、内部手術ロボット50、内部手術ロボットコントローラ51、及びハイブリッド手術コントローラ60を更に包含する。外部手術ロボット40及び/又は内部手術ロボット50はカテーテルカメラ70を用いてもよい。
【0041】
ハイブリッド手術は、患者10の解剖学的領域内への単孔式切開又は多孔式切開を含み、これにより、外部手術ロボットコントローラ41は、外部手術ロボット40を解剖学的構造11の外部にわたって横断させるためのハイブリッド手術コントローラ60によって生成された外部外科手術経路に従って患者10の解剖学的領域内における外部手術ロボット40のナビゲーションを自律的に制御する。実際には、外部手術ロボット40が解剖学的構造11の実況撮像のためのカメラカテーテル70のナビゲーションを支援する。
【0042】
ハイブリッド手術は、患者10内への単孔式切開又は多孔式切開を更に含み、これにより、内部手術ロボットコントローラ51は、内部手術ロボット50を解剖学的構造11の内部にわたって横断させるためのハイブリッド手術コントローラ60によって生成された内部外科手術経路に従って患者10の解剖学的領域内における内部手術ロボット50のナビゲーションを自律的に制御する。実際には、同様に、内部手術ロボット50が解剖学的構造11の実況撮像のためのカメラカテーテル70のナビゲーションを支援する。
【0043】
解剖学的構造11のハイブリッド手術を計画どおりに実行するために、外部手術ロボット40及び内部手術ロボット50は解剖学的マップ81に位置合わせされなければならない。
【0044】
ハイブリッド手術の一実施形態では、外部手術ロボット40(及び任意選択的にカメラカテーテル70)は、外部手術ロボットコントローラ41を介して患者10の解剖学的領域内に解剖学的構造11に隣接して、手動で、又はロボットにより挿入され、これにより、医療撮像コントローラ32は、患者10の解剖学的領域内における解剖学的構造11に対する解剖学的画像31を示す外部手術ロボット40の医療撮像モダリティ30による生成を制御する。カメラカテーテル70が外部手術ロボット40を介して展開された場合には、このとき、カメラカテーテルコントローラ(図示されていない)が、患者10の解剖学的構造11に対する外部手術ロボット40の位置付けの目的のため、並びに/或いは解剖学的マップ81及び解剖学的画像31への位置合わせの目的のために、当技術分野において知られているとおりに、カメラカテーテル70を介したモニタ33又は追加のモニタ上における解剖学的構造11の内視鏡ビデオ視像の表示を制御する。
【0045】
解剖学的マップ81への関節ロボット40cの位置合わせはハイブリッド手術コントローラ60によって以下の式[1a]に従って達成される:
MTR=ITR*MTI [1a]
ここで、ITRは解剖学的画像31への外部手術ロボット40の変換であり、
ここで、MTIは解剖学的マップ81へのロボット画像21の変換であり、
ここで、MTRは解剖学的マップ81への外部手術ロボット40の変換である。
【0046】
図2をなおも参照すると、位置合わせされると、外部手術ロボットコントローラ41は、ハイブリッド手術コントローラ60によって計画されたとおりに解剖学的構造11の外部を横断する経路に従って患者10の解剖学的領域内における外部手術ロボット40のナビゲーションを自律的に制御できるようになる。外部手術ロボット40の経路横断の間に、医療撮像コントローラ32は、視覚フィードバックの目的のために当技術分野において知られているとおりに解剖学的領域内における外部手術ロボット40のナビゲーションの表示を制御する。
【0047】
ハイブリッド手術の一実施形態では、内部手術ロボット50(及び任意選択的にカメラカテーテル70)は、内部手術ロボットコントローラ51を介して患者10の解剖学的領域内に解剖学的構造11に隣接して、手動で、又はロボットにより挿入され、これにより、医療撮像コントローラ32は、患者10の解剖学的領域内における解剖学的構造11に対する内部手術ロボット50を示す解剖学的画像31の医療撮像モダリティ30による生成を制御する。カメラカテーテル70が関節ロボット50cを介して展開される場合には、このとき、カメラカテーテルコントローラ(図示されていない)が、患者10の解剖学的構造11に対する内部手術ロボット50の位置付けの目的のため、並びに/或いは解剖学的マップ81及び解剖学的画像31への位置合わせの目的のために、当技術分野において知られているとおりに、カメラカテーテル70を介したモニタ33又は追加のモニタ上における解剖学的構造11の内視鏡ビデオ視像の表示を制御する。
【0048】
解剖学的マップ81への関節ロボット50cの位置合わせはハイブリッド手術コントローラ60によって以下の式[1b]に従って達成される:
MTR=ITR*MTI [1b]
ここで、ITRは解剖学的画像31への内部手術ロボット50の変換であり、
ここで、MTIは解剖学的マップ81へのロボット画像21の変換であり、
ここで、MTRは解剖学的マップ81への内部手術ロボット50の変換である。
【0049】
図2をなおも参照すると、位置合わせされると、内部手術ロボットコントローラ51は、ハイブリッド手術コントローラ60によって計画されたとおりに解剖学的構造11の内部を横断する経路に従って患者10の解剖学的領域内における内部手術ロボット50のナビゲーションを自律的に制御できるようになる。内部手術ロボット50の経路横断の間に、医療撮像コントローラ32は、視覚フィードバックの目的のために当技術分野において知られているとおりに解剖学的領域内における内部手術ロボット50のナビゲーションの表示を制御する。
【0050】
本開示の理解を容易にするために、
図3A~
図4Dの以下の説明は、患者10の胸部領域内における心臓12に対する収束アブレーション手術の画像誘導ベースの自律的ロボット制御の基本的な発明の原理を教示する。この説明から、当業者は、本開示の発明の原理を、相補的な心外膜アブレーションロボット及び心内膜アブレーションロボットの画像誘導ベースの自律的ロボット制御を組み込む様々なハイブリッド手術にどのように適用するべきであるかを更に理解するであろう。
【0051】
図3Aを参照すると、収束アブレーション手術の計画策定/検証局面は、電気マッピングデバイス180、電気マッピングコントローラ182、及びモニタ183を用いる電気マッピングシステムを包含する。概して、電気マッピングコントローラ182は、患者10の胸部領域内における心臓12の電気マップ181の電気マッピングデバイス180による生成を制御し、本明細書において更に説明されるとおりの計画策定及び検証の目的、特に、電気マップ181を電気絶縁区域マップ184に区画するために、当技術分野において知られているとおりにモニタ183上における心臓12の電気マップ181の表示を更に制御する。
【0052】
図3Aをなおも参照すると、収束アブレーション手術の収束アブレーション局面は、アブレーション撮像モダリティ130(例えば、X線Cアーム又は経食道心エコー検査プローブ)、アブレーション撮像コントローラ132、並びにモニタ133を用いるアブレーション撮像システムを包含する。収束アブレーション手術は、アブレーションカテーテル140c及び関節ロボット140rを用いる心外膜アブレーションロボット、心外膜アブレーションコントローラ141、アブレーションカテーテル150c及び関節ロボット150rを用いる心内膜アブレーションロボット、心内膜アブレーションコントローラ151、並びに収束アブレーションコントローラ160を更に包含する。心外膜アブレーションロボット及び/又は心内膜アブレーションロボットはカテーテルカメラ70を更に用いてもよい。
【0053】
収束アブレーション手術は、患者10の胸部領域内への(例えば、肋骨の間又は剣状突起下における)単孔式切開13を含み、これにより、心外膜アブレーションコントローラ141は、本明細書において更に説明されるとおりの収束アブレーションコントローラ160によって生成された心外膜アブレーション経路に従う患者10の胸部領域内におけるアブレーションカテーテル140cの関節ロボット140rによるナビゲーションを自律的に制御する。実際には、関節ロボット140cがカメラカテーテル70のナビゲーションを、代替的に、又はアブレーションカテーテル140rと同時に支援してもよい。
【0054】
収束アブレーション手術は、患者10の大腿内への大腿切開14を更に含み、これにより、心内膜アブレーションコントローラ151は、本明細書において更に説明されるとおりの収束アブレーションコントローラ160によって生成された心内膜アブレーション経路に従う患者10の胸部領域内におけるアブレーションカテーテル150cの関節ロボット150rによるナビゲーションを自律的に制御する。実際には、同様に、関節ロボット150cがカメラカテーテル70のナビゲーションを、代替的に、又はアブレーションカテーテル150rと同時に支援してもよい。
【0055】
心臓12の収束アブレーションを計画どおり実行するために、心外膜アブレーションロボット及び心内膜アブレーションロボットは電気マップ181に位置合わせされなければならない。
【0056】
心外膜ロボットのための一実施形態では、アブレーションカテーテル140c(及び任意選択的に、カメラカテーテル70)を支援する関節ロボット140rは、心外膜アブレーションコントローラ141を介して患者10の胸部領域内に心臓12に隣接して、手動で、又はロボットにより挿入され、これにより、アブレーション撮像コントローラ132は、患者10の胸部領域内における心臓12に対する関節ロボット140cを示すアブレーション画像131のアブレーション撮像モダリティ130による生成を制御する。カメラカテーテル70が関節ロボット140cを介して展開される場合には、このとき、カメラカテーテルコントローラ(図示されていない)が、患者10の心臓12に対する関節ロボット140cの位置付けの目的のため、並びに/或いは電気マップ181及びアブレーション画像131への位置合わせの目的のために、当技術分野において知られているとおりに、カメラカテーテル70を介したモニタ133又は追加のモニタ上における心臓12の内視鏡ビデオ視像の表示を制御する。
【0057】
電気マップ181への関節ロボット140cの位置合わせは収束アブレーションコントローラ160によって以下の式[2a]に従って達成される:
MTR=ITR*MTI [2a]
ここで、ITRはアブレーション画像131への関節ロボット140rの変換であり、
ここで、MTIは電気マップ181への解剖学的画像121の変換であり、
ここで、MTRは電気マップ181への関節ロボット140rの変換である。
【0058】
図2Aをなおも参照すると、位置合わせされると、心外膜アブレーションコントローラ141は、本明細書において更に説明されるように収束アブレーションカテーテル160によって計画されたとおりに心臓12の外部を横断するアブレーション経路に従う患者10の胸部領域内におけるアブレーションカテーテル140cの関節ロボット140rによるナビゲーションを自律的に制御できるようになる。実際には、アブレーションカテーテル140cは冷凍アブレーションカテーテル又は熱アブレーションカテーテルであり得、これにより、適切なエネルギー源(図示されていない)が心外膜アブレーションコントローラ141によって、アブレーションカテーテル140cが外部11にわたって横断させられるのに従い、心臓12の所望のアブレーションを遂行するために、指定された程度のエネルギーをアブレーションカテーテル140cに提供するように制御される。アブレーションの間に、アブレーション撮像コントローラ132は、視覚フィードバックの目的のために当技術分野において知られているとおりに胸部領域内におけるアブレーションカテーテル140cのナビゲーションの表示を制御する。
【0059】
心内膜ロボットのための一実施形態では、アブレーションカテーテル150c(及び任意選択的に、カメラカテーテル70)を支援する関節ロボット150rは、心内膜アブレーションコントローラ151を介して患者10の胸部領域内に心臓12に隣接して、手動で、又はロボットにより挿入され、これにより、アブレーション撮像コントローラ132は、患者10の胸部領域内における心臓12に対する関節ロボット150cを示すアブレーション画像131のアブレーション撮像モダリティ130による生成を制御する。カメラカテーテル70が関節ロボット150cを介して展開される場合には、このとき、カメラカテーテルコントローラ(図示されていない)が、患者10の心臓12に対する関節ロボット150cの位置付けの目的のため、並びに/又は電気マップ181及びアブレーション画像131への位置合わせの目的のために、当技術分野において知られているとおりに、カメラカテーテル70を介したモニタ133又は追加のモニタ上における心臓12の表示内視鏡ビデオ視像を制御する。
【0060】
電気マップ181への関節ロボット150cの位置合わせは収束アブレーションコントローラ160によって以下の式[2b]に従って達成される:
MTR=ITR*MTI [2b]
ここで、ITRはアブレーション画像131への関節ロボット150rの変換であり、
ここで、MTIは電気マップ181への解剖学的画像121の変換であり、
ここで、MTRは電気マップ181への関節ロボット150rの変換である。
【0061】
図2Aをなおも参照すると、位置合わせされると、心内膜アブレーションコントローラ151は、本明細書において更に説明されるように収束アブレーションカテーテル160によって計画されたとおりに心臓12の内部を横断するアブレーション経路に従う患者10の胸部領域内におけるアブレーションカテーテル150cの関節ロボット150rによるナビゲーションを自律的に制御できるようになる。実際には、アブレーションカテーテル150cは冷凍アブレーションカテーテル又は熱アブレーションカテーテルであり得、これにより、適切なエネルギー源(図示されていない)が心内膜アブレーションコントローラ151によって、アブレーションカテーテル150cが内部11にわたって横断させられるのに従い、心臓12の所望のアブレーションを遂行するために、指定された程度のエネルギーをアブレーションカテーテル150cに提供するように制御される。アブレーションの間に、アブレーション撮像コントローラ132は、視覚フィードバックの目的のために当技術分野において知られているとおりに胸部領域内におけるアブレーションカテーテル150cのナビゲーションの表示を制御する。
【0062】
位置合わせとともに、コントローラは、
図3Bに大まかに示されるとおりの収束アブレーション方法を実施する。
【0063】
図3Bを参照すると、計画策定局面の間に、収束アブレーションコントローラ160は、電気マッピングコントローラ182によって生成された心臓の電気マップ181の2つ以上の電気絶縁区域を境界付けすることによって、心外膜アブレーション計画161及び心内膜アブレーション計画162を生成する。
【0064】
心外膜アブレーション計画161は、心臓12(
図3A)の外部を焼灼するための心外膜アブレーションロボット140の動作を指定し、これにより、心外膜アブレーションコントローラ141は、アブレーション画像131の画像誘導下で心外膜アブレーション計画161によって指図されるとおりに心臓12に対する胸部領域内における心外膜アブレーションロボット140のナビゲーションを制御する。
【0065】
同様に、心内膜アブレーション計画162は、心臓12の内部を焼灼するための心内膜アブレーションロボット150の動作を指定し、これにより、心内膜アブレーションコントローラ151は、アブレーション画像131の画像誘導下で心内膜アブレーション計画162によって指図されるとおりに心臓12に対する胸部領域内における心内膜アブレーションロボット150のナビゲーションを制御する。
【0066】
アブレーション局面の間に、収束アブレーションコントローラ160は、心外膜アブレーションコントローラ141への心外膜アブレーション計画161の通信を介して心臓12の心外膜アブレーションを選択的に開始し、それに続き、心内膜アブレーションコントローラ151への心内膜アブレーション計画162の通信を介して心臓12の心内膜アブレーションを行うか、又はその逆を行う。更に、収束アブレーションの間に、収束アブレーションコントローラ160は、心外膜アブレーション計画161の単一の実行又は複数の実行、並びに心内膜アブレーション計画162の単一の実行又は複数の実行を指図する。
【0067】
収束アブレーションコントローラ160は、アブレーション画像131並びに/又は心外膜アブレーション報告142及び心内膜アブレーション報告152を介して心臓12の胸部領域内における心外膜アブレーションロボット140及び心内膜アブレーションロボット150のナビゲーションを追跡し、計画どおりの心臓12の完全なアブレーションを確実にするために必要に応じて心外膜アブレーション計画161及び/又は心内膜アブレーション計画162を修正する。
【0068】
より具体的には、心外膜アブレーションロボット140が、何らかの理由で、心外膜アブレーションコントローラ141によって報告されたように、及び/又はアブレーション画像131内で示されたように、心外膜アブレーションコントローラ141によって、心外膜アブレーション計画161を完全に実行するように制御されることが不可能である場合には、このとき、収束アブレーションコントローラ160は、心内膜アブレーションコントローラ151によって制御される心内膜アブレーションロボット150のための心内膜アブレーション計画162を、本明細書において更に説明されるように心外膜アブレーションロボット140によって実行されない心外膜アブレーション計画161の任意の部分の相補的アブレーションを遂行するように修正することになる。
【0069】
逆に、心内膜アブレーションロボット150が、何らかの理由で、心内膜アブレーションコントローラ151によって報告されたように、及び/又はアブレーション画像131内で示されたように、心内膜アブレーションコントローラ151によって、心内膜アブレーション計画162を完全に実行するように制御されることが不可能である場合には、このとき、収束アブレーションコントローラ160は、心外膜アブレーションコントローラ141によって制御される心外膜アブレーションロボット140のための心外膜アブレーション計画161を、本明細書において更に説明されるように心内膜アブレーションロボット150によって実行されない心内膜アブレーション計画162の任意の部分の相補的アブレーションを遂行するように修正することになる。
【0070】
検証局面の間に、収束アブレーションコントローラ160は、心臓12の新しい電気マップ181内で計画されたとおりの心臓12の2つ以上の電気絶縁区域の境界付けを検証する。
【0071】
完了すると、
図3Bに示されるとおりの収束アブレーション手術の実行は、心臓12の心不整脈(例えば、心房細動)の将来の発生を妨げる、計画されたとおりの心臓12の完全なアブレーションをもたらす。
【0072】
実際には、
図3Aのコントローラは単一のワークステーション内に実装されるか、又は複数のワークステーションにわたって分散され得る。
【0073】
例えば、
図4Aは、内部に実装された心外膜アブレーションコントローラ141を有する心外膜アブレーションワークステーション90、内部に実装された心内膜アブレーションコントローラ151を有する心内膜アブレーションワークステーション91、並びにコントローラ141及び151の制御のための、内部に実装された収束アブレーションコントローラ160を有し、ワークステーション90及び91に連結された収束アブレーション制御パッド92を示す。適用可能な場合には、このとき、カメラカテーテルコントローラ71がワークステーション90及び/又は91上に実装されている。
【0074】
同じく例として、
図4Bは、内部に実装された電気マッピングコントローラ182を有する電気マッピングワークステーション93、及び内部に実装されたアブレーション撮像コントローラ132を有するアブレーション撮像ワークステーション94を示す。
図4Bは、心外膜アブレーションコントローラ141、内部に実装された、心内膜アブレーションコントローラ151、収束アブレーションコントローラ160、及びカメラカテーテルコントローラ71(適用可能な場合)を有する収束アブレーションワークステーション95を更に示す。
【0075】
更なる例として、
図4Cは、電気マッピングコントローラ182及びアブレーション撮像コントローラ132の両方が内部に実装されたワークステーション96を示す。
図4Cはアブレーションロボットワークステーション95を更に示す。
【0076】
なお更なる例として、
図4Dは、
図3Aの全てのコントローラが内部に実装されたワークステーション97を示す。
【0077】
本開示の更なる理解を容易にするために、
図5の以下の説明は、フローチャート100によって表されるとおりの本開示の収束アブレーション方法の基本的な発明の原理を教示する。この説明から、当業者は、本開示の発明の原理を任意の種類のハイブリッド手術にどのように適用するべきであるかを理解するであろう。
【0078】
図5を参照すると、フローチャート100の段階S102は、電気マッピングコントローラ182(
図3A)によって制御される心臓12(
図3A)の電位のマッピングを包含する。
【0079】
一実施形態では、電気マッピングコントローラ182は、当技術分野において知られている電気生理技法を用いて心臓12の色分けされた電気解剖学的電圧マップを生成する。例えば、
図6Aは、異なる電位185a~185eを有する色分けされた電気解剖学的電圧マップ181の電気マッピングコントローラ182の電気マッパーモジュール182aによる生成を示す。
【0080】
図5を再び参照すると、フローチャート100の段階S104は、電気マッピングコントローラ182又は代替的に収束アブレーションコントローラ160によって提供されるインターフェース介した心臓12の電気マップ181内における電気絶縁区域の操作者による境界付けを包含する。例えば、
図6Bに示されるように、電気マッピングコントローラ182の区域分割器モジュール182bが、操作者が電気マップ181内の電気絶縁区域186a~186gを境界付けし、電気絶縁区域マップ184aをレンダリングするインターフェースを提供した。
【0081】
図5を再び参照すると、フローチャート100の段階S106は、心外膜アブレーション及び心内膜アブレーションを含む心臓12のアブレーション治療の経路計画策定を包含する。
【0082】
実際には、収束アブレーションコントローラ160がそれぞれのロボットのための軌道を、絶縁区域に合うように特定する。段階S106の経路計画策定は、異なるアブレーションアプローチ及びロボットアーキテクチャの相対的な「強み及び弱み」を考慮し、両方のロボットの最適なアクセス点を更に考慮してもよい。
【0083】
心内膜アブレーションのために、
図7Aに示されるように、収束アブレーションコントローラ160の収束アブレーション計画策定器モジュール160aが心臓12の計画モデル112に対する軌道163を特定し、収束アブレーションナビゲータ160bが軌道163を、画像/ロボットの位置合わせを表す座標系200内で心内膜ロボットをナビゲートするための心内膜計画162に変換する。
【0084】
心外膜アブレーションのために、
図7Bに示されるように、収束アブレーションコントローラ160の収束アブレーション計画策定器モジュール160aが心臓12の計画モデル112に対する軌道164を特定し、収束アブレーションナビゲータ160bが軌道164を、画像/ロボットの位置合わせを表す座標系200内で心外膜ロボットをナビゲートするための心内膜計画161に変換する。
【0085】
図5を再び参照すると、フローチャート100の段階S108は、実況画像誘導下における心内膜アブレーション、及びそれに続く実況画像誘導下における心外膜アブレーション、或いはその逆を包含する。
【0086】
例えば、
図8に示されるように、CアームのX線源110及びX線検出器111が心内膜アブレーション及び心外膜アブレーションのための実況画像誘導を提供する。
【0087】
図5を再び参照すると、フローチャート100の段階S110は、心外膜アブレーション計画161及び心内膜アブレーション計画162が完全に実行されたかどうかの収束アブレーションコントローラ160による判定を包含する。この目的を達成するために、
図9に示されるように、収束アブレーションコントローラ160の収束アブレーション追跡器160cが、本明細書において先に説明されたとおりのアブレーションの画像及び/又はアブレーションの報告を介して心外膜アブレーション計画161及び心内膜アブレーション計画162が完全に実行されたかどうかを確認する。
【0088】
より具体的には、心外膜アブレーションロボット140が、何らかの理由で、心外膜アブレーションコントローラ141によって報告されたとおりに、及び/又はアブレーション画像131内で示されたとおりに、心外膜アブレーションコントローラ141によって、心外膜アブレーション計画161を完全に実行するように制御されることが不可能である場合には、このとき、収束アブレーションコントローラ160は段階S106へ戻り、心内膜アブレーションコントローラ151によって制御される心内膜アブレーションロボット150のための心内膜アブレーション計画162を、心外膜アブレーションロボット140によって実行されない心外膜アブレーション計画161の任意の部分のための心臓12の相補的な内部アブレーションを遂行するように修正することになる。
【0089】
逆に、心内膜アブレーションロボット150が、何らかの理由で、心内膜アブレーションコントローラ151によって報告されたとおりに、及び/又はアブレーション画像131内で図解されたとおりに、心内膜アブレーションコントローラ151によって、心内膜アブレーション計画162を完全に実行するように制御されることが不可能である場合には、このとき、収束アブレーションコントローラ160は段階S106へ戻り、心外膜アブレーションコントローラ141によって制御される心外膜アブレーションロボット140のための心外膜アブレーション計画161を、心内膜アブレーションロボット150によって実行されない心内膜アブレーション計画162の任意の部分の心臓12の相補的な外部アブレーションを遂行するように修正することになる。
【0090】
収束アブレーションコントローラ160は、完全なアブレーションが計画どおり完了されるまで段階S106~S110をループする。
【0091】
計画どおりに完全に焼灼されると、フローチャート100の段階S112は、心臓12の新しい電気マッピングの生成によるアブレーションの評価を包含する。
図10に示されるように、アブレーションを介して計画どおり電気絶縁区域186a~186gが心臓12に境界付けされたことを確実にするために、収束アブレーション検証器モジュール160dが新しい電気マップ184bを吟味する。
【0092】
図5を再び参照すると、フローチャート100は、満足に評価されると終了されるか、又は必要に応じて任意の程度まで繰り返されてもよい。
【0093】
図1~
図10を参照すると、当業者は、限定するものではないが、任意の解剖学的構造(例えば、心臓、肝臓、腎臓、及び骨構造)に対する2つ以上の相補的外科手術の画像誘導ベースの自律的ロボット制御を組み込む任意の種類のハイブリッド手術のための新規且つ独自のロボット制御を含む、本開示の数多くの利点を理解するであろう。
【0094】
更に、本明細書において提供される教示に鑑みて当業者が理解するように、本開示/明細書に記載されており、及び/又は
図1~
図10に示されている特徴、要素、構成要素などは、電子構成要素/回路機構、ハードウェア、実行可能ソフトウェア及び実行可能ファームウェアの様々な組み合わせで実施され、単一の要素又は複数の要素に組み合わせられ得る機能を提供する。例えば、
図1~
図10に示されている/図解されている/図示されている様々な特徴、要素、構成要素などの機能は、専用ハードウェア、及び適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアの使用を通じて提供され得る。プロセッサによって提供される場合には、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、或いは一部が共有及び/又は多重化され得る、複数の個々のプロセッサによって提供され得る。更に、用語「プロセッサ」の明示的な使用は、もっぱら、ソフトウェアを実行する能力を有するハードウェアのみを指すと解釈されるべきでなく、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(「DSP(digital signal processor )」)ハードウェア、メモリ(例えば、ソフトウェアを記憶するためのリードオンリーメモリ(「ROM(read only memory)」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM(random access memory)」)、不揮発性記憶装置など)、並びにプロセスを遂行及び/又は制御する能力を有する(及び/又はそのように構成可能な)事実上任意の手段及び/又はマシン(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、回路機構、これらの組み合わせなどを含む)を暗黙的に含むことができる。
【0095】
更に、本発明の原理、態様、及び実施形態、並びにそれらの具体例を記載する本明細書における全ての陳述は、それらの構造的同等物及び機能的同等物の両方を包含することが意図されている。追加的に、このような同等物は、現在知られている同等物、及び将来開発される同等物(例えば、構造にかかわらず、同じ若しくは実質的に同様の機能を遂行することができる、開発される任意の要素)の両方を含むことが意図されている。それゆえ、例えば、本明細書において提供される教示を考慮すると、本明細書において提示されている任意のブロック図は、本発明の原理を具体化する例示的なシステム構成要素及び/又は回路機構の概念図を表すことができることが当業者によって理解されるであろう。同様に、当業者は、本明細書において提供される教示を考慮すると、任意のフローチャート、フロー図及び同様のものは、コンピュータ可読記憶媒体内に実質的に表され、そのため、コンピュータ、プロセッサ、又は処理能力を有する他のデバイスによって、このようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、実行され得る、様々なプロセスを表すことができることを理解するはずである。
【0096】
更に、本開示の例示的な実施形態は、例えば、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又はそれと関連して使用されるためのプログラムコード及び/又は命令を提供するコンピュータ可用及び/又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品又はアプリケーションモジュールの形態を取ることができる。本開示によれば、コンピュータ可用又はコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、命令実行システム、装置又はデバイスによって、又はそれと関連して使用されるためのプログラムを含む、記憶する、通信する、伝搬する、又は輸送することができる任意の装置であることができる。このような例示的な媒体は、例えば、電子、磁気、光学、電磁、赤外線若しくは半導体システム(又は装置若しくはデバイス)或いは伝搬媒体であることができる。コンピュータ可読媒体の例としては、例えば、半導体若しくはソリッドステートメモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュ(ドライブ)、剛性磁気ディスク、及び光学ディスクが挙げられる。光学ディスクの現在の例としては、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(compact disk - read only memory、CD-ROM)、コンパクトディスク・リード/ライト(compact disk - read/write、CD-R/W)、及びDVDが挙げられる。更に、将来開発され得る任意の新しいコンピュータ可読媒体もまた、本開示の例示的な実施形態に従って用いられるか、又は言及され得るとおりのコンピュータ可読媒体と見なされ得ることを理解されたい。
【0097】
外科手術の新規で進歩性のあるロボット制御の好ましい例示的な実施形態(これらの実施形態は例示を意図されており、限定を意図されていない)を説明したが、当業者によって、
図1~
図10を含む、本明細書において提供される教示に鑑みて、変更及び変形が行われ得ることに留意されたい。したがって、本開示の好ましい例示的な実施形態内に/に変更を行うことができ、これらは本明細書において開示される実施形態の範囲に含まれることを理解されたい。
【0098】
更に、デバイスを組み込み、及び/又は実装する、或いは本開示に係るデバイスにおいて用いられ得る/実装され得るものなどの、対応する、及び/又は関連するシステムもまた企図され、本開示の範囲に含まれると見なされることが企図されている。更に、本開示に係るデバイス及び/又はシステムを製造し、及び/又は用いるための対応する、及び/又は関連する方法もまた企図され、本開示の範囲に含まれると見なされる。