(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】試験ネットワークの構成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/08 20220101AFI20220104BHJP
【FI】
H04L41/08
(21)【出願番号】P 2019060579
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2020-12-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 力
(72)【発明者】
【氏名】黒木 圭介
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-193816(JP,A)
【文献】特開2014-154925(JP,A)
【文献】特開2002-063538(JP,A)
【文献】特開2002-063218(JP,A)
【文献】特開2010-213103(JP,A)
【文献】特開平11-340978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを構成するノード装置についてのノード情報と、前記ネットワークのノード装置に接続するリンクについてのリンク情報と、前記ネットワークにおけるパケットの転送経路についての経路情報と、前記ネットワークのリンクのトラフィックについてのトラフィック情報と、前記ネットワークに接続するサーバ装置についてのサーバ情報と、を含むネットワーク情報を保持する保持手段と、
ユーザの端末装置の設置予定場所を示す設置予定場所情報と、前記ネットワークに接続するサーバ装置の内の当該ユーザがアクセスするアクセスサーバ装置を示すアクセスサーバ情報と、
前記端末装置を特定する情報と、を取得する第1取得手段と、
前記ネットワーク情報と、前記設置予定場所情報と、前記アクセスサーバ情報と、前記トラフィック情報と、に基づき、模擬対象ネットワーク及び模擬動作条件を判定する判定手段と、
複数の試験端末装置と、試験サーバ装置と、前記複数の試験端末装置及び前記試験サーバ装置に接続される試験ネットワークと、を有するシステムを制御する制御手段と、
を備え、
前記模擬対象ネットワークは、前記ネットワークの前記ノード装置及び前記リンクのうち、前記設置予定場所に設置された前記端末装置と前記アクセスサーバ装置との間においてパケットが経由する模擬対象ノード装置及び模擬対象リンクで構成され、
前記模擬動作条件は、前記模擬対象ネットワークの前記模擬対象リンクに前記トラフィック情報に基づき判定されるトラフィックが流れている状態を模擬するとの条件であ
り、
前記判定手段は、前記ネットワーク情報に基づき、前記模擬対象ノード装置の内の前記設置予定場所に設置された前記端末装置に接続される第1模擬対象ノード装置と、前記アクセスサーバ装置に接続される第2模擬対象ノード装置と、を判定し、
前記制御手段は、前記複数の試験端末装置から前記端末装置の処理能力に最も近い処理能力を有する第1試験端末装置を選択し、ネットワーク仮想化技術により、前記第1試験端末装置が前記第1模擬対象ノード装置に接続され、前記試験サーバ装置が前記第2模擬対象ノード装置に接続され、前記模擬対象リンクに前記模擬動作条件が示すトラフィックが流れている前記模擬対象ネットワークの状態を模擬する様に、前記試験ネットワークを動作させることを特徴とする構成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記試験サーバ装置を、前記アクセスサーバ装置として動作させることを特徴とする請求項
1に記載の構成装置。
【請求項3】
前記ネットワークから前記トラフィック情報を取得する第2取得手段をさらに備えており、
前記制御手段は、前記第2取得手段が前記ネットワークから取得する前記トラフィック情報に基づき前記模擬動作条件を更新することを特徴とする請求項
1又は2に記載の構成装置。
【請求項4】
前記第1取得手段は、前記ユーザが前記ネットワークを利用するための契約内容を示す契約情報をさらに取得し、
前記制御手段は、前記契約情報に従い前記試験ネットワークを動作させることを特徴とする請求項
1から
3のいずれか1項に記載の構成装置。
【請求項5】
前記トラフィック情報は、時間帯及び/又は曜日別のトラフィックを示し、
前記第1取得手段は、時間帯及び/又は曜日を示す情報をさらに取得し、
前記模擬動作条件は、前記模擬対象ネットワークの前記模擬対象リンクに、前記トラフィック情報が示す、前記第1取得手段が取得した時間帯及び/又は曜日のトラフィックが流れている状態を模擬するとの条件であることを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の構成装置。
【請求項6】
前記第1取得手段は、模擬対象日を示す情報をさらに取得し、
前記判定手段は、前記模擬対象日における前記模擬対象リンクのトラフィックを前記模擬対象リンクのトラフィック情報に基づき推定し、
前記模擬動作条件は、前記模擬対象ネットワークの前記模擬対象リンクに前記判定手段が推定したトラフィックが流れている状態を模擬するとの条件であることを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の構成装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の構成装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置の設置予定場所からの通信品質を事前に判定するための試験ネットワークの構成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭やオフィス等に設置したパーソナルコンピュータを端末装置とし、光アクセス等の有線接続を利用してインターネット等のネットワークに接続することが行われている。また、ネットワークを介した通信の通信品質、例えば、スループットを測定する測定サイトがネットワークには設けられており、ユーザは、端末装置から測定サイトにアクセスして、通信品質を判定することができる。しかしながら、引っ越し等により、その端末装置の設置場所を変更する場合、変更後の設置場所からの通信品質を、ユーザは事前に判定できない。
【0003】
特許文献1は、インターネットとアクセスポイントとの間にネットワークエミュレータを設け、ネットワークエミュレータにおいて、遅延を与えたり、帯域幅を調整したり、パケットドロップを生じさせたりすることで、アプリケーションプログラムを開発する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、通信品質を模擬する構成を開示するものであるが、アクセスポイントとインターネットとの間にネットワークエミュレータを設ける必要がある。つまり、特許文献1の構成は、端末装置の設置予定場所を利用できることを前提とするものであり、未だ利用できない設置予定場所からの通信品質の判定に特許文献1の構成を適用することはできない。
【0006】
本発明は、端末装置の設置予定場所からの通信品質を事前に判定するための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によると、構成装置は、ネットワークを構成するノード装置についてのノード情報と、前記ネットワークのノード装置に接続するリンクについてのリンク情報と、前記ネットワークにおけるパケットの転送経路についての経路情報と、前記ネットワークのリンクのトラフィックについてのトラフィック情報と、前記ネットワークに接続するサーバ装置についてのサーバ情報と、を含むネットワーク情報を保持する保持手段と、ユーザの端末装置の設置予定場所を示す設置予定場所情報と、前記ネットワークに接続するサーバ装置の内の当該ユーザがアクセスするアクセスサーバ装置を示すアクセスサーバ情報と、前記端末装置を特定する情報と、を取得する第1取得手段と、前記ネットワーク情報と、前記設置予定場所情報と、前記アクセスサーバ情報と、前記トラフィック情報と、に基づき、模擬対象ネットワーク及び模擬動作条件を判定する判定手段と、複数の試験端末装置と、試験サーバ装置と、前記複数の試験端末装置及び前記試験サーバ装置に接続される試験ネットワークと、を有するシステムを制御する制御手段と、を備え、前記模擬対象ネットワークは、前記ネットワークの前記ノード装置及び前記リンクのうち、前記設置予定場所に設置された前記端末装置と前記アクセスサーバ装置との間においてパケットが経由する模擬対象ノード装置及び模擬対象リンクで構成され、前記模擬動作条件は、前記模擬対象ネットワークの前記模擬対象リンクに前記トラフィック情報に基づき判定されるトラフィックが流れている状態を模擬するとの条件であり、前記判定手段は、前記ネットワーク情報に基づき、前記模擬対象ノード装置の内の前記設置予定場所に設置された前記端末装置に接続される第1模擬対象ノード装置と、前記アクセスサーバ装置に接続される第2模擬対象ノード装置と、を判定し、前記制御手段は、前記複数の試験端末装置から前記端末装置の処理能力に最も近い処理能力を有する第1試験端末装置を選択し、ネットワーク仮想化技術により、前記第1試験端末装置が前記第1模擬対象ノード装置に接続され、前記試験サーバ装置が前記第2模擬対象ノード装置に接続され、前記模擬対象リンクに前記模擬動作条件が示すトラフィックが流れている前記模擬対象ネットワークの状態を模擬する様に、前記試験ネットワークを動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、端末装置の設置予定場所からの通信品質を事前に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】一実施形態による品質判定システムの構成図。
【
図3】一実施形態による試験ネットワークの構成処理のシーケンス図。
【
図4】一実施形態による試験ネットワークが模擬する模擬対象ネットワークの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。さらに、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0011】
図1は、通信品質の判定が行われる実ネットワークを示している。
図1において、N#1~N#12は、実ネットワーク内のノード装置を示している。なお、ノード装置とは、ルータ、スイッチ、端末装置を収容するOLT(光回線終端装置)、eNodeB/gNodeBといった無線基地局装置等、実ネットワークを構成する様々な種類の装置の総称である。また、
図1において、S#1~S#3は、実ネットワークに接続されるサーバ装置を示している。なお、
図1は、実ネットワークの一部を示すものである。また、
図1において、ノード装置N#1に接続される点線の四角形は、あるユーザの端末装置の設置予定場所を示している。例えば、実際に端末装置を
図1の点線の位置に設置してノード装置N#1に接続することで、当該端末装置のユーザは、実ネットワークの品質を判定することができる。本実施形態では、端末装置を
図1の点線の位置に設置してノード装置N#1に実際に接続することなく、端末装置を
図1の点線の位置に配置してノード装置N#1に接続した場合の通信品質を当該ユーザに判定させる。
【0012】
図2は、本実施形態による品質判定システムの構成図である。品質判定システムは、例えば、
図1に示す実ネットワークのオペレータが、所定の場所に設置して運用する。品質判定システムの試験ネットワーク2は、ネットワーク仮想化技術により、
図1に示す実ネットワークを模擬することができる。試験ネットワーク2は、実際には、複数のサーバ装置等で構成される。試験サーバ装置3は、実ネットワークに接続されているサーバ装置S#1~S#3を含むサーバ装置を模擬する。なお、試験サーバ装置3は、試験ネットワーク2に接続され、試験ネットワーク2には、試験端末装置1が接続される。
【0013】
品質判定システムの構成装置4は、実ネットワークを構成する総てのノード装置及びその設置場所を示すノード情報、ノード装置に接続される総てのリンク及びその接続先を示すリンク情報、総てのリンクのトラフィックを示すトラフィック情報、実ネットワークにおけるパケットの転送経路を示す経路情報、実ネットワークに接続する総てのサーバ装置を示すサーバ情報を含む、実ネットワーク情報を保持している。なお、本実施形態において、リンクのトラフィック情報は、時間により変動するトラフィックの任意の統計値とする。構成装置4は、実ネットワークを管理している管理装置から実ネットワーク情報を取得することができる。また、構成装置4は、試験ネットワーク2が実ネットワークの一部(模擬対象ネットワーク)を模擬し、試験サーバ装置3が実ネットワークに接続するサーバ装置として動作する様に、試験ネットワーク2及び試験サーバ装置3を構成する。
【0014】
図3は、本実施形態による試験ネットワークの構成処理のシーケンス図である。S1において、ユーザの端末装置の設置予定場所を示す設置予定場所情報と、当該ユーザが端末装置を使用してアクセスする実ネットワークのサーバ装置を示すアクセスサーバ情報と、を構成装置4は取得する。本例において、設置予定場所情報は、
図1の点線の位置を示す情報である。なお、以下の説明においては、アクセスサーバ情報として、サーバ装置S#1及びS#3を示す情報が入力されたものとする。S1における設置予定場所情報及びアクセスサーバ情報の入力は、ユーザが、ネットワークを介して構成装置4に入力する構成であっても、
図1の品質判定システムを運用するオペレータの担当者が、ユーザから取得した情報に基づき入力する構成であっても良い。
【0015】
S2において、構成装置4は、実ネットワーク情報と、設置予定場所情報と、アクセスサーバ情報と、に基づき模擬対象ネットワークを判定する。例えば、本例において、設置予定場所情報は、
図1の点線の位置を示す情報であるため、ノード情報に基づき、端末装置は、ノード装置N#1に接続されると判定することができる。また、ノード装置N#1からサーバ装置S#1には、ノード装置N#4及びN#7を経由してパケットが転送され、ノード装置N#1からサーバ装置S#3には、ノード装置N#4、N#5、N#8及びN#12を経由してパケットが転送されることが、経路情報に示されているものとする。なお、サーバ装置S#1及びS#3とは、アクセスサーバ情報で指定されたサーバ装置である。
【0016】
この場合、構成装置4が判定する模擬対象ネットワークは
図4に示す通りとなる。
図4に示す模擬対象ネットワークは、
図1に示す実ネットワークの内、設置予定場所情報が示す場所に端末装置を設置し、アクセスサーバ情報で指定されたサーバ装置に当該端末装置がアクセスする場合に、パケットが経由するリンク(模擬対象リンク)及びノード装置(模擬対象ノード装置)で構成されるネットワークである。また、構成装置4は、S2で、模擬動作条件を判定する。模擬動作条件とは、模擬対象ネットワークのリンクに、トラフィック情報が示すトラフィックが流れている状態を模擬するとの条件である。構成装置4は、S2で判定した模擬対象ネットワークとなる様に、S3で、試験ネットワーク2を構成する。なお、このとき、構成装置4は、試験ネットワーク2が、S2で判定した模擬動作条件で動作する様に、S3において試験ネットワーク2を構成する。これにより、試験ネットワーク2は、トラフィック情報が示すトラフィックが模擬対象ネットワークの各リンクに流れている状態を模擬する。なお、構成装置4は、試験ネットワーク2が模擬するノード装置N#1に試験端末装置1が接続される様に、試験ネットワーク2を構成する。
【0017】
また、構成装置4は、2つの試験サーバ装置3が実ネットワークのサーバ装置S#1及びS#3の動作を模擬する様に、S4で、2つのサーバ装置3を構成する。なお、
図4に示す様に、1つの試験サーバ装置3は、試験ネットワーク2が模擬するノード装置N#7に接続され、他の試験サーバ装置3は、試験ネットワーク2が模擬するノード装置N#12に接続される様に、構成装置4は、試験ネットワーク2を構成する。
【0018】
ユーザは、品質判定システムが設置された場所において、試験端末装置1を操作して、サーバ装置S#1及びS#3として動作する試験サーバ装置3にアクセスすることで、その通信品質を体感することができる。例えば、サーバ装置S#1及びS#3が、動画配信サイト等であると、ユーザは、試験端末装置1を操作して、スムーズに動画の受信が行えるかを判定することができる。この構成により、端末装置の設置予定場所からの通信品質を、実際に設置予定場所に端末装置を設置することなく判定することができる。なお、アクセスサーバ情報で示されるサーバ装置S#1及びS#3が、スループットの測定サイトである場合には、ユーザは、品質判定システムが設置された場所に出向くことなく、通信品質を判定することができる。具体的には、試験端末装置1を実ネットワークに接続しておく。そして、ユーザは、自身が使用する端末装置から遠隔で試験端末装置1を操作して、サーバ装置S#1及びS#3を模擬する試験サーバ装置3にアクセスして、スループットの情報を取得することができる。
【0019】
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態において、トラフィック情報は、時間により変動するトラフィックの任意の統計値としていた。しかしながら、構成装置4が、トラフィック情報を繰り返し実ネットワークから取得し、構成装置4が動的にトラフィック情報、つまり、模擬動作条件を更新して試験ネットワーク2に通知することで、ユーザは、現在の通信品質を体感することができる。また、構成装置4が、曜日及び/又は時間帯別にトラフィック情報を管理する場合、S1において、構成装置4に、模擬する曜日及び/又は時間帯を示す模擬期間情報を入力する構成とすることができる。この場合、構成装置4は、模擬期間情報で指定された曜日及び/又は時間帯のトラフィックに基づき模擬動作条件を生成して試験ネットワーク2に通知する。この構成により、ユーザは、自身がよく利用する曜日及び/又は時間帯の通信品質を体感することができる。なお、この場合、構成装置4が管理する曜日及び/又は時間帯別のトラフィックは、統計的な単一の値であっても、時系列データであっても良い。後者の場合、構成装置4は、模擬期間情報で指定された曜日及び/又は時間帯のトラフィックの時系列データに応じて、模擬動作条件を更新して試験ネットワーク2に通知する構成とすることができる。
【0020】
また、構成装置4は、模擬対象リンクのトラフィックの履歴から、設置予定場所においてユーザが端末装置を利用開始できる利用開始日付近における模擬対象リンクのトラフィックを予測・推定し、予測・推定した模擬対象リンクのトラフィックに基づき模擬動作条件を設定することができる。例えば、ユーザが品質判定システムにより品質を判定するときから、ユーザがその端末装置を実際に設置予定場所に設置して実ネットワークにアクセスできるまでの期間が長い場合、品質判定システムにより判定される通信品質と、実際に端末装置を設置予定場所に設置して実ネットワークにアクセスした際の通信品質とに乖離が生じ得る。しかしながら、予測・推定した模擬対象リンクのトラフィックに基づき模擬動作条件を設定することで、この様な乖離を抑えることができる。例えば、構成装置4は、年毎のトラフィックの増加率と、端末装置の設置予定日とに基づき調整係数を求め、実ネットワークから動的に取得したトラフィック情報が示すトラフィックにこの調整係数を乗じることで、利用開始日におけるトラフィックを推定することができる。例えば、年毎のトラフィック増加率がx倍であり、利用開始日が半年後であると、調整係数を√xとすることができる。この場合、S1において、構成装置4に、例えば、模擬対象日を示す模擬対象日情報を入力する構成とすることができる。そして、構成装置4は、模擬対象日における模擬対象リンクのトラフィックを予測・推定して模擬動作条件を設定する。
【0021】
また、
図1では、1つの試験端末装置1のみを示しているが、複数の様々な種類の試験端末装置1を設ける構成とすることができる。この場合、S1で、ユーザが使用する端末装置を示す端末情報を構成装置4に入力する。構成装置4は、端末情報に基づき、ユーザが使用する端末装置と最も処理能力が近い試験端末装置1を判定し、試験ネットワーク2が模擬するノード装置N#1に判定した試験端末装置1が接続される様に、試験ネットワーク2を構成する。この構成により、ユーザは、自身の環境により近い状態で通信品質を体感できる。
【0022】
さらに、S1で、ユーザが実ネットワークのオペレータと契約する契約内容を示す契約情報を構成装置4に入力する構成とすることができる。例えば、契約情報に応じて、実ネットワークにおけるトラフィック制御や、ノード装置N#1と端末装置との間の物理速度が変わることがある。しかしながら、契約情報に応じたトラフィック制御や、ノード装置N#1と端末装置との物理速度を模擬することで、ユーザは、自身の環境により近い状態で通信品質を体感することができる。
【0023】
<構成装置4の構成>
図5は、構成装置4の構成図である。第2取得部42は、実ネットワークから実ネットワーク情報を取得し、保持部44に保持させる。第1取得部40は、設置予定場所情報及びアクセスサーバ情報を取得する。判定部41は、設置予定場所情報、アクセスサーバ情報及び実ネットワーク情報に基づき模擬対象ネットワークを判定する。さらに、判定部41は、模擬対象ネットワークの模擬動作条件を判定する。模擬動作条件は、試験ネットワーク2の動作条件であり、模擬対象ネットワークにトラフィック情報に基づき判定されるトラフィックが流れている状態を模擬させるとの条件である。なお、トラフィック情報が示すトラフィックは、実際のトラフィックの統計値とすることができる。或いは、トラフィックの履歴情報とすることができる。さらに、トラフィックは、曜日や時間帯毎の統計値、履歴情報とすることができる。また、第2取得部42が、周期的に実ネットワーク2からトラフィック情報を取得し、実際のトラフィックに従い模擬動作条件を動的に更新することができる。さらに、第1取得部40が、模擬を行う時間帯や曜日を示す情報を取得する場合、当該情報が示す時間帯や曜日のトラフィックに基づき模擬動作条件を設定することができる。さらに、第1取得部40が、模擬対象日を示す情報を取得する場合、当該情報が示す日におけるトラフィックを予測し、予測トラフィックに基づき模擬動作条件を設定することができる。
【0024】
さらに、判定部41は、実ネットワーク情報に基づき、設置予定場所に設置された端末装置に接続されるノード装置N#1と、アクセスサーバ装置に接続されるノード装置#N7及びN#12を判定する。制御部43は、ネットワーク仮想化技術により、試験端末装置1がノード装置N#1に接続され、2つの試験サーバ装置3がノード装置#N7及びN#12に接続された状態を試験ネットワーク2に模擬させ、かつ、模擬動作条件に従い試験ネットワーク2を動作させる。なお、処理能力の異なる複数の試験端末装置1を設ける場合、第1取得部40は、ユーザの端末装置を特定する情報を取得することができる。この場合、制御部43は、複数の試験端末装置1から端末装置の処理能力に最も近い処理能力を有する試験端末装置1を選択し、選択した試験端末装置1がノード装置N#1に接続された状態を模擬する様に、試験ネットワーク2を動作させる。また、第1取得部40は、ユーザの契約情報を取得する構成とすることができる。この場合、制御部43は、契約情報に従い試験ネットワーク2を動作させる。
【0025】
なお、構成装置4は、コンピュータの1つ以上のプロセッサで実行されると、当該コンピュータを上記構成装置4として機能・動作させるプログラムにより実現することができる。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0026】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
40:第1取得部、41:判定部、42:第2取得部、43:制御部、44:保持部