(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】インラインカテーテルフラッシング用に改変された静脈内チュービングセット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20220104BHJP
A61M 5/162 20060101ALI20220104BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20220104BHJP
A61M 5/36 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61M5/14 500
A61M5/162 500Z
A61M5/168 500
A61M5/168 520
A61M5/36
(21)【出願番号】P 2019143167
(22)【出願日】2019-08-02
(62)【分割の表示】P 2016506367の分割
【原出願日】2014-04-01
【審査請求日】2019-08-15
(32)【優先日】2013-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャスリーン ウィースト
(72)【発明者】
【氏名】リンジー ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ ツァウンブレシャー
(72)【発明者】
【氏名】アン セーテルバク
(72)【発明者】
【氏名】ゼット.マリア オーデン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ガイスラー
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05242392(US,A)
【文献】特開昭50-044689(JP,A)
【文献】特開平10-028720(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01481427(GB,A)
【文献】米国特許第05330447(US,A)
【文献】実開平07-031059(JP,U)
【文献】特開2006-141827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
A61M 5/162
A61M 5/168
A61M 5/36
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈内
に輸液を行うためのチュービングセットであって、
フラッシュ溶液の供給源にアクセスするための結合構成要素と、
フラッシュ室であって、前記フラッシュ室および患者カテーテルを連結するIVチュービングを熱シールするフラッシュ室と、
前記フラッシュ溶液の供給源および前記フラッシュ室を連結する1または複数のIVチュービングと、
前記フラッシュ室に入るフラッシュ溶液の流れを制御するために、前記フラッシュ溶液の供給源と前記フラッシュ室の間の前記IVチュービング内に配設される1または複数の流れ制御デバイスと、
前記フラッシュ室と前記患者カテーテルの間の前記IVチュービング内に配設される1または複数の流れ制御デバイスと、
を備え、
前記フラッシュ室は、前記ユーザがIVライン内または患者の静脈内に閉塞が存在することを検出することを可能にするように、フラッシュが実施されるときに手動で押し込むことにより前記ユーザに対する触知性のフィードバックを生成するための可撓性
があることを特徴とする静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項2】
前記結合構成要素は、静脈内バッグスパイクを備えることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項3】
前記フラッシュ溶液の供給源は、静脈内バッグであることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項4】
前記フラッシュ溶液は、生理食塩水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項5】
前記フラッシュ室は、可撓性プラスチックフィルムの1または複数のシートを備えることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項6】
前記フラッシュ室は、可撓性ポリプロピレンの2枚の熱シールされたシートを備えることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項7】
前記フラッシュ室は、前記1または複数のIVチュービングの分岐された付属器として配置されることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項8】
前記フラッシュ室は、前記1または複数のIVチュービングと直列に配置されることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項9】
前記フラッシュ室は、前記1または複数のIVチュービングの長さをいくらか下ったところに配設されて、生理食塩水の量をフラッシング前に測定することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項10】
前記フラッシュ室の容積は、所定のフラッシング量に相関付けることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項11】
前記フラッシュ室の容積は、3mL、5mL、または10mLフラッシュを前記患者カテーテルに送達することを可能にすることを特徴とする請求項10に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項12】
前記フラッシュ室の下方に配設された取り付けポートをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項13】
前記フラッシュ室の下流側において第2の溶液の供給源と連結するための短い長さのIVチュービングをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項14】
前記第2の溶液の供給源は、薬剤を備えることを特徴とする請求項13に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項15】
前記IVチュービング内に配設された泡トラップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項16】
前記流れ制御デバイスは、弁、クランプ、ゲート、止め栓、ダイバータ、またはプラグであることを特徴とする請求項1に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項17】
前記流れ制御デバイスは、ピンチ弁または一方向弁であることを特徴とする請求項16に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項18】
静脈内
に輸液を行うためのチュービングセットであって、
フラッシュ溶液の供給源にアクセスするための結合構成要素と、
真空にある可撓性フラッシュ室と、
前記フラッシュ溶液を前記フラッシュ溶液の供給源から前記結合構成要素を通じて前記フラッシュ室まで送達するために、前記フラッシュ溶液の供給源および前記フラッシュ室と一体的に連結され、1または複数の熱シールにより前記フラッシュ室と連結する第1のIVチュービングと、
前記フラッシュ室に入るフラッシュ溶液の流れを制御するために前記フラッシュ溶液の供給源と前記フラッシュ室の間の前記第1のチュービング内に配設され、前記フラッシュ溶液と接触しない第1の流れ制御デバイスと、
第2のIVチュービングであって、前記フラッシュ溶液を患者カテーテルに送達するために、1または複数の熱シールにより前記フラッシュ室および前記患者カテーテルと一体的に連結され、それによって、前記フラッシュ溶液の供給源、前記フラッシュ室、前記第1のIVチュービング、および前記第2のIVチュービングが密閉システムを形成する第2のIVチュービングと、
前記フラッシュ室と前記患者カテーテルの間の前記第2のチュービング内に配設され、前記フラッシュ溶液と接触しない第2の流れ制御デバイスと、
連続的なIV治療中に前記フラッシュ室を閉じるために、前記フラッシュ室から下流側に配設され、前記フラッシュ溶液と接触しない第3の流れ制御デバイスと
を備え、前記フラッシュ室は、前記ユーザがIVライン内または患者の静脈内に閉塞が存在することを検出することを可能にするように、フラッシュが実施されるときに手動で押し込むことにより前記ユーザに対する触知性のフィードバックを生成するための可撓性があることを特徴とする静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項19】
前記第2の流れ制御デバイスは、前記第2のIVチュービングを、前記フラッシュ溶液の供給源からのフラッシュ溶液が前記フラッシュ室を充填するときに閉じることを可能にすることを特徴とする請求項18に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項20】
前記第2の流れ制御デバイスは、その後開かれて、前記フラッシュ溶液を前記カテーテルに流入させることができることを特徴とする請求項19に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項21】
前記フラッシュ室は、前記第1のIVチュービングの分岐された付属器として配置されることを特徴とする請求項18に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項22】
前記フラッシュ室は、前記第1のIVチュービングと直列に配設されることを特徴とする請求項18に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【請求項23】
前記フラッシュ室は、前記第1のIVチュービングの長さをいくらか下ったところに配設されて、生理食塩水の量をフラッシング前に測定することを可能にすることを特徴とする請求項18に記載の静脈内
に輸液を行うためのチュービングセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、フラッシュ溶液の供給源、たとえば生理食塩水IVバッグから直接的に得られたフラッシュ溶液を使用してIVカテーテルの反復される、殺菌フラッシングを可能にする静脈内(IV)チュービングセットに関する。
【背景技術】
【0002】
最善の臨床業務(best clinical practice)は、患者のIVカテーテルが、カテーテル機能を評価し、残留薬剤を取り除き、使用していない期間、カテーテルを固定するために生理食塩水で日常的にフラッシング(洗浄)されなければならないことを示している。臨床業務がボーラスフラッシングを指示する場合、使い捨ての事前充填されたシリンジが好まれる。他の部分では、生理食塩水IVバッグは、カテーテルの手入れのために診療所において日常的に使用されている。カテーテル保全のために生理食塩水IVバッグを使用するプラクティスは、「受動的」技術であり、重力だけに頼ってフラッシュ溶液をカテーテルを通して送達する。これを達成するために、IVバッグ生理食塩水を用いた、改良されたIVチュービングセットは、使い捨て品への依存を低減し、カテーテルフラッシングをより多くの臨床的状況において利用可能にするものである。
【0003】
カテーテルフラッシングは、日常的なカテーテル保全の重要な構成要素であり、低頻度または非殺菌のフラッシュは、重大なカテーテル感染を招く恐れがある(非特許文献1)。しかし、IVバッグがカテーテルの手入れに日常的に使用されるところでは、事前充填されたシリンジ以外の手法が考慮され得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、IVバッグから直接的に生理食塩水を使用するIVカテーテルの反復される殺菌フラッシングに対する臨床医による能動的なフラッシング処置を可能にする、IVチュービングセットに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、静脈内チュービングセットであって、フラッシュ溶液の供給源にアクセスするための結合構成要素と、フラッシュ室と、フラッシュ溶液の供給源、フラッシュ室、および患者カテーテルを連結する1または複数のIVチュービングと、フラッシュ溶液の供給源とフラッシュ室の間のチュービング内に配設された、フラッシュ室に入るフラッシュ溶液の流れを制御するための1または複数の流れ制御デバイスとを備える、静脈内チュービングセットに関する。結合構成要素は、静脈内バッグスパイクを備えることができる。
【0007】
1または複数の実施形態では、フラッシュ溶液の供給源は、静脈内バッグでよい。フラッシュ溶液は、生理食塩水溶液でよい。
【0008】
1または複数の実施形態では、フラッシュ室は、可撓性プラスチックフィルムの1または複数のシートを備えることができる。可撓性プラスチックフィルムの1または複数のシートは、フラッシュ室を形成するように熱シールされ得る。1または複数の実施形態では、フラッシュ室は、可撓性ポリプロピレンの2枚の熱シールされたシートを備えることができる。
【0009】
1または複数の実施形態では、フラッシュ室は、1または複数のIVチュービングの分岐された付属器として配置されてよく、またはフラッシュ室は、1または複数のIVチュービングと直列に配置されてよい。さらに別の実施形態では、フラッシュ室は、1または複数のIVチュービングの長さをいくらか下ったところに配設されて、生理食塩水の量をフラッシング前に測定することが可能となる。フラッシュ室の容積は、所定のフラッシング量に相関付けることができる。1または複数の実施形態では、フラッシュ室の容積は、3mL、5mL、または10mLフラッシュを患者カテーテルに通して送達することを可能にすることができる。
【0010】
1または複数の実施形態では、静脈内チュービングセットは、フラッシュ室の下方に配設された取り付けポートをさらに備えることができる。短い長さのIVチュービングが、フラッシュ室の下流側において溶液の第2の供給源と連結することができる。溶液の第2の供給源は、薬剤を備えることができる。1または複数の実施形態では、第2のIVチュービングは、フラッシュ溶液をフラッシュ室から患者カテーテルまで送達することができる。
【0011】
1または複数の実施形態では、フラッシュ室は、フラッシュ処置中のユーザへの触知性フィードバックを可能にして、ユーザがIVラインまたは患者の静脈内の閉塞の存在を検出できるようにする。1または複数の実施形態では、泡トラップもまた、IVチュービング内に配設されてよい。
【0012】
1または複数の実施形態では、流れ制御デバイスは、弁、クランプ、ゲート、止め栓、ダイバータ、またはプラグである。弁は、ピンチ弁または一方向弁でよい。
【0013】
本発明の別の態様は、静脈内チュービングセットであって、フラッシュ溶液の供給源にアクセスするための結合構成要素と、フラッシュ室と、フラッシュ溶液をフラッシュ溶液の供給源からフラッシュ室まで送達するための第1のIVチュービングと、フラッシュ溶液の供給源とフラッシュ室の間のチュービング内に配設された、フラッシュ室に入るフラッシュ溶液の流れを制御するための第1の流れ制御デバイスと、フラッシュ溶液を患者カテーテルに送達するための第2のIVチュービングと、フラッシュ室と患者カテーテルの間の第2のIVチュービング内に配設された第2の流れ制御デバイスとを備える、静脈内チュービングセットに関する。第2の流れ制御デバイスは、第2のIVチュービングを、フラッシュ溶液の供給源からのフラッシュ溶液がフラッシュ室を充填するときに閉じることを可能にすることができる。第2の流れ制御デバイスは、その後開かれて、フラッシュ溶液をカテーテルに流入させることができる。
【0014】
1または複数の実施形態では、静脈内チュービングセットは、フラッシュ室から下流側に配設された、連続的なIV治療中にフラッシュ室を閉じるための第3の流れ制御デバイスをさらに備えることができる。
【0015】
1または複数の実施形態では、フラッシュ室は、第1のIVチュービングの分岐された付属器として配置されてよく、またはフラッシュ室は、第1のIVチュービングと直列に配設されてよい。さらに別の実施形態では、フラッシュ室は、第1のIVチュービングの長さをいくらか下ったところに配設されて、生理食塩水の量をフラッシング前に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の静脈内(IV)チュービングセットの1つの実施形態を示す図である。
【
図2】フラッシュ室がIVチュービングと直列に配置される、本発明の1つの実施形態を示す図である。
【
図3】フラッシュ室が、IVチュービングの分岐された付属器として配置される、本発明の1つの実施形態を示す図である。
【
図4】ローラを備える補助デバイスを有する、本発明の1つの実施形態を示す図である。
【
図5】シリンジ様デバイスを備える補助デバイスを有する、本発明の別の実施形態を示す図である。
【
図6】ヒンジ式プレートを備える補助デバイスを有する、本発明のさらに別の実施形態を示す図である。
【
図7】溶液の第2の供給源との連結のための分岐を有する、本発明の実施形態を示す図である。
【
図8】単一の分岐されないラインを有する、本発明の実施形態を示す図である。
【
図9】フラッシュ室が、フラッシュ溶液の供給源のすぐ下流側に、かつ取り付けポートの上流側に配設される、本発明の実施形態を示す図である。
【
図10】フラッシュ室が、フラッシュ溶液の供給源および取り付けポート両方の下流側からさらに遠くに配設される、本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明において記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態を可能にし、さまざまな方法で実践されまたは実施されることが可能なものである。
【0018】
本開示では、デバイスの遠位端部は、患者に最も近い端部であり、デバイスの近位端部は、患者から離れ、かつ施術者に最も近い端部であるという慣例に従っている。
【0019】
本発明は、フラッシュ溶液の供給源から直接的にフラッシュ溶液を使用して、IVカテーテルの反復される殺菌フラッシングを可能にする静脈内(IV)チュービングセットに関する。本発明の実施形態は、カテーテルフラッシングをIVチュービングセットに一体化する低コストの、再使用可能な代替策を提供する。カテーテルフラッシングをIVチュービングセットに一体化することにより、本発明は、先進国および発展途上国両方の病院におけるあらゆる臨床的状況においてカテーテルフラッシングを制限する、財政の垣根を低くすることができる。
【0020】
図1に示されるように、本発明の1つの実施形態は、閉システムの静脈内チュービングセット10であって、フラッシュ溶液の供給源30にアクセスするための結合構成要素20と、フラッシュ室40と、生理食塩水溶液をフラッシュ溶液の供給源30からフラッシュ室40まで送達するための第1のIVチュービング50と、フラッシュ溶液の供給源30とフラッシュ室40の間のチュービング50内に配設された、フラッシュ室40に入るフラッシュ溶液の流れを制御するための第1の流れ制御デバイス60と、フラッシュ溶液を患者カテーテル80に送達するための第2のIVチュービング70と、フラッシュ室40と患者カテーテル80の間の第2のチュービング70内に配設された第2の流れ制御デバイス90とを備える、閉システムの静脈内チュービングセット10を提供する。本発明の1または複数の実施形態では、フラッシュ溶液の供給源は、IVバッグである。本発明の1または複数の実施形態では、フラッシュ溶液は、生理食塩水溶液である。可撓性のフラッシュ室は、ポリエチレン、ポリプロピレン、他のポリオレフィン、PVC、または別の材料から作製される。本発明の1または複数の実施形態では、可撓性フラッシュ室は、IVチュービングの長さにおいていくらか下ったところに位置して、フラッシュ溶液の量をフラッシング前にチュービングシステム内で測定することを可能にする。フラッシュ室の容積は、所望のフラッシング量に相関付けられ得る。通常のフラッシング量は、3mL、5mL、およびlOmLでカテーテルを通る。
図1および
図3に示されるように、1または複数の実施形態では、フラッシュ室40は、IVラインの分岐された付属器であり、それによって、フラッシュ溶液を、注入の間殺菌閉システム内に保管することを可能にする。
図2に示されるように、1つまたは複数の実施形態では、フラッシュ室40は、瞬間的なフラッシングのためにIVチュービングと直列に配置され得る。
図7に示されるように、1または複数の実施形態では、取り付けポート100は、短い長さの使い捨てIVチュービングを取り付けて薬剤ドリップなどの取り付けポートを連続的生理食塩水フラッシュドリップラインに連結させ、それによって薬剤投与および生理食塩水またはフラッシュの流れの両方を含む閉システムを作り出すことが臨床的に適切である状況で使用するために、フラッシュ室40の下流に位置することができる。
【0021】
流れ制御デバイス(60、90、95)は、それだけに限定されないが、弁、クランプ、ゲート、止め栓、ダイバータ、およびプラグを含み、システム内の、IVチュービングとフラッシュ室の間のフラッシュ溶液の流れを制御することができる。弁は、ピンチ弁または一方向弁を含むことができる。1または複数の実施形態では、3方向止め栓または他の3方向分岐合流点もまた、流れ制御デバイスとして使用されて、フラッシュ溶液の供給源、IVチュービング、およびカテーテル内の流体の流れを制御することができる。
【0022】
1または複数の実施形態では、第1の流れ制御デバイスは、フラッシュ溶液の供給源とフラッシュ室の間に配置されて、チュービングを、フラッシュ溶液が室を充填するときに開き、次いで、これがカテーテルに流入するときに閉じることを可能にする。1または複数の実施形態では、第2の流れ制御デバイスは、フラッシュ室とカテーテルの間に配置されて、チュービングを、フラッシュ溶液が室を充填するときに閉じ、次いで、これがカテーテルに流入するときに開くことを可能にする。さらに別の実施形態では、
図1に示されるように、フラッシュ室40が分岐された付属器である場合、第3の流れ制御デバイス95が、連続的IV治療中、フラッシュ室を閉じるために配置される。本発明では、フラッシュ溶液の供給源、たとえばIVバッグおよびチュービング内のフラッシュ溶液は、フラッシュ室およびIVチュービングが閉システムを形成することから、フラッシングプロセス全体にわたって殺菌されたままである。1または複数の流れ制御デバイスの使用はまた、流れ制御デバイスが流体と接触しないため、殺菌性を確実にする。
【0023】
フラッシュ室は、フラッシュが実施されるときにユーザに対する触知性のフィードバックを可能にするために可撓性である。したがって、フラッシュ室は、ユーザが、IVライン内または患者の静脈内に閉塞が存在するかどうかを検出することを可能にする。
【0024】
本発明のIVチュービングセットは、患者カテーテル、末梢および中心の両方のカテーテルをフラッシュ溶液で日常的にフラッシングするために使用され得る。
【0025】
図1を参照すると、一部の実施形態のIVチュービングセットの使用が記載されている。第1に、第1の流れ制御デバイス60が開かれて、フラッシュ溶液がフラッシュ溶液の供給源30からフラッシュ室40内に流れることを可能にする。第2に、所望の量が測定され、第1の流れ制御デバイス60が、次いで、閉じられて、それ以上のフラッシュ溶液がフラッシュ室40内に流れることを防止する。最後は、第2の流れ制御デバイス90が開かれて、フラッシュ溶液をフラッシュ室40から患者カテーテル80内に手動で押し込むことを可能にする。1または複数の実施形態では、ユーザは、自身の手を使用することによって、フラッシュ溶液をフラッシュ室から絞り出す。ユーザがフラッシュ溶液をフラッシュ室40から患者カテーテル80内に押し入れるとき、ユーザは、ラインが閉塞されているか、または流体の流れが制限されているかを、フラッシュ室からの触知性フィードバックによって検出することができる。閉塞がライン内で存在するかどうかをユーザが感じることができることは重要であり、それにより、カテーテルは、連続的薬剤送達の増大される圧力によって破裂することはない。
【0026】
カテーテル保全に加えて、本発明は、IVライン内の流体の殺菌貯蔵および移動のための閉システムを提供する。その結果、本発明の実施形態は、少量の殺菌液体が、IVラインに取り付けられたより大きいバッグから分離されてラインを通して送達される、いくつかの他の臨床的シナリオにおいて使用され得る。
【0027】
1または複数の実施形態では、フラッシュ室のサイズは、異なる所望の量を収容するために調整されて、本発明の静脈内(IV)チュービングセットをいくつかの臨床的必要性に適用可能にすることができる。したがって、本発明の静脈内(IV)チュービングセットは、より大きいIVバッグから薬剤、栄養剤、または流体をボーラス送達すること、または正常にサイズ設定されたIVバッグ内に含有された全量と切り離した投与のために、これらの液体の1つをより大きいバッグから分画化することを含むことができる。
【0028】
本発明の利点は、これが一体型閉システムであることである。カテーテルフラッシングをIVチュービングセットに組み込むことにより、本発明の実施形態は、医療従事者に、患者のベッドのすぐそばで殺菌フラッシュを実行するのに必要とされる供給品のすべてを提供し、このとき事前充填されたシリンジなどのいかなる追加の供給品も有さない。本発明の一体化されたIVチュービングセットは、フラッシュ溶液の供給源として臨床的状況にすでに存在するIVバッグおよび生理食塩水IVバッグを利用するため、本発明は、使い捨て品に頼ることを低減することが可能となる。たとえば、多くの医療提供者は、IVチュービングセットを3~4日おきから1週間に1回取り換えることを推奨するため、本発明の単一のIVチュービングセットは、3~4日のフラッシングから1週間までの間、反復的に使用され得ることが企図され、それによって3~4日から1週間までに値する使い捨てフラッシングデバイスの必要性を解消する。
【0029】
本発明の実施形態はまた、知られているフラッシング方法の殺菌性に関して改良する。特に、本発明の閉システムは、内側IVチュービングまたは患者カテーテルを空気にさらさず、それによって各々のフラッシュ中、IVセットの殺菌性を失わないようにする。対照的に、現在知られている事前充填されたデバイスを使用して実行されるフラッシュ中のIVセットの殺菌性は、ユーザが、患者カテーテルをアルコール消毒綿で、手動で殺菌することを経なければ損なわれる恐れがある。前述されたシナリオは、閉システムを提供する本発明によって回避される。
【0030】
本発明のIVチュービングセットの実施形態はまた、臨床医が、フラッシュを実行する前にシリンジまたはアルコール消毒綿などのいかなる追加の材料も位置させる必要がないため、カテーテルフラッシュを実行するために必要とされる時間量を低減する。
【0031】
本発明のフラッシュ室は、加熱された金属スタンプを使用して、可撓性のポリエチレンまたはポリプロピレンの2枚のシートを一緒に熱シールすることによって製造され得るものである。フラッシュ室は、次いで、第2の熱シールを用いて主要IVチュービングラインに連結され得る。その後、真空を作り出し、フラッシング中、気泡が患者のIVラインに導入されることを防止するために、空気がフラッシュ室から除去される。IVチュービングは、包装される前に1または複数の流れ制御デバイスに通される。接着剤、プラスチックボンダ、熱シール作用または射出成形を使用してフラッシュ室を作り出すことを含む、当業者に知られている他の可能な製造方法もまた、考慮される。1または複数の実施形態では、フラッシュ室は、接着剤、プラスチックボンダ、または熱シール作用を使用してIVラインに取り付けられて、完全な閉システムを作り出すことができる。さらに別の実施形態では、フラッシュ室およびIVラインは、熱シール作用または射出成形を使用して同時に製造され得る。
【0032】
ほとんどの場合、現在確立されている臨床業務は、予防的な気泡対策を含み、したがって気泡をフラッシュ室と患者カテーテルの間のIVチュービング内に導入することを可能にし得る不適切なプライミング技術を回避するものである。また、本発明の1または複数の実施形態が、さらに、IVチュービングに付加され得るバブルトラップを含んで、患者のIVチュービング内の気泡を防止することも考慮される。
【0033】
図2に示されるように、本発明の1または複数の実施形態のフラッシュ室40は、IVチュービングと直列に配置されるものである。フラッシュ室を直列に配置することは、フラッシュ溶液ライン内でボーラス量をフラッシングすることを可能にする。
図3に示されるように、本発明の1または複数の実施形態のフラッシュ室40はまた、IVチュービング(50、70)の分岐された付属器として配置されてもよい。フラッシュ室を付属器として配置することは、IVチュービングが、連続注入治療中、遮断されないラインとして機能することを可能にする。
【0034】
さまざまなデバイスが、フラッシュ溶液をフラッシュ室から患者カテーテル内に分注することを支援するために使用され得ることが、考慮される。
図1~
図3に示されるように、フラッシュ室は、補助デバイスの支援無しで手動で絞り出すことによって空にされ得る。しかし、
図4~
図6に示されるように、補助デバイス130の追加が、閉塞検出、有用性、および量の一貫性を改良するために使用され得る。各々の補助デバイスは、
図4~
図6に示されるように、各々のIVチュービングセットに恒久的に追加されてよく、または複数のセットのIVチュービングの中で共有されてよい。
図4は、2つのロールを備える補助デバイス130の1つの実施形態を示し、これらの2つのローラは、フラッシュ室と一体的に連結されその上に置かれ、下方向におよび互いに対して押さえられてフラッシュ室を空にすることができる。
図4に示される補助デバイスは、フラッシュ室40が
図2に示されるようにIVチュービングと直列に配置される、IVチュービングセットと共に、利用されてよく、または、フラッシュ室40が
図3に示されるようにIVチュービングの分岐された付属器として配置される、IVチュービングセットと共に、利用されてよい。
図5は、フラッシュ室40に取り付けられ得るシリンジ様の押し込み棒デバイスを備える補助デバイスの別の実施形態を示す。1または複数の実施形態では、押し込み棒はまた、フラッシュ室の一部として形成されてもよい。
図5に示される補助デバイスは、フラッシュ室40が、
図3に示されるようにIVチュービングの分岐された付属器として配置されるIVチュービングセットと共に利用されてよい。
図6は、フラッシュ室40に一体的に連結されこれを取り囲むヒンジ式プレートを備える補助デバイスのさらに別の実施形態を示しており、この場合、ヒンジプレートは、フラッシュ室を押さえ付けるために使用され得る。
図6に示される補助デバイスは、フラッシュ室40が
図2に示されるようにIVチュービングと直列に配置される、IVチュービングセットと共に、利用されてよく、または、フラッシュ室40が
図3に示されるようにIVチュービングの分岐された付属器として配置される、IVチュービングセットと共に、利用されてよい。
【0035】
図7に示されるように、本発明のIVチュービングセットの1または複数の実施形態は、取り付けポート100、たとえば薬剤バッグとの連結のための分岐を含んで、ユーザが間欠的な生理食塩水のフラッシュおよび薬剤注入を実行することを可能にする。あるいは、
図8に示されるように、本発明のIVチュービングセットの1または複数の実施形態は、単一の分岐されないラインを有することができる。
【0036】
図9および
図10に示されるように、フラッシュ室40の位置は、他の注入治療装置を収容するために変更され得る。
図9に示されるように、フラッシュ室40は、フラッシュ溶液の供給源30のすぐ下流側かつ取り付けポート100の上流側に配設され得る。
図10に示されるように、フラッシュ室40は、フラッシュ溶液の供給源30、たとえば生理食塩水IVバッグおよび取り付けポート100の両方の下流側のさらに遠くに配設され得る。
【0037】
1または複数の実施形態では、フラッシュ室の外形形状は、IVライン内の乱流を防止するように構成されてよく、これは、それだけに限定されないが、円筒状、台形の分岐されたラインおよび矩形の単一ラインを含む。
【0038】
本明細書を通じて、「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「1または複数の実施形態」または「一実施形態」は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態において含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じてさまざまな場所における「1または複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」または「一実施形態では」などの語句の出現は、本発明の同じ実施形態を必ずしも指してはいない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1または複数の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わせられてよい。
【0039】
本発明が、本明細書において特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態が、本発明の原理および用途を示すにすぎないことを理解されたい。さまざまな改変形態および変形形態が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明の方法および装置に加えられ得ることが当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内である改変形態および変形形態を含むよう意図される。