(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】トラック上を走行するロボットの移動制御
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220104BHJP
G05D 1/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G05D1/02 G
G05D1/00 B
(21)【出願番号】P 2019522218
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2017077171
(87)【国際公開番号】W WO2018082971
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-22
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513044245
【氏名又は名称】オートストアー テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ホイナランド, イングヴァル
(72)【発明者】
【氏名】フィエルドハイム, イヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ヘゲベ, イェルゲン ジュヴェ
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/193278(WO,A1)
【文献】特開2012-173760(JP,A)
【文献】特開平08-324772(JP,A)
【文献】特開2014-006833(JP,A)
【文献】特開2004-157885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始位置から停止位置までのロボット(50)の移動を制御し、グリッド(40)を形成するフレーム構造上に敷設されたトラック(20)上を移動する間の進み角度からずれた前記ロボット(50)の移動を防止するための方法であって、前記ロボット(50)は、各車輪(60)に対して個々の駆動手段Drive
1、Drive
2、Drive
3、Drive
4に接続される、ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4によって制御される、車輪の対W
1-2およびW
3-4を有し、前記方法は、
a)前記車輪の各対W
1-2およびW
3-4を制御する前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4に接続される速度および角位置センサを用いて、各車輪(60)を監視するステップ
を含み、以下のステップ、すなわち、
b)前記ロボット(50)の開始位置および停止位置を受信するステップと、
c)前記車輪の対の各車輪(60)の現在の速度および角位置を前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4から受信するステップと、
d)前記フレーム構造に対する前記ロボット(50)の位置を受信するステップと
が、前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4のそれぞれと通信するマスタコントローラ内で実施され、
e)各車輪(60)の前記現在の速度および前記角位置と、前記ロボット(50)の前記受信された位置と、前記ロボット(50)の
前記開始位置および停止位置とに基づいて、
駆動方向に対して法線方向の同一軸に沿った車輪の各対W
1-2およびW
3-4に対して加速、一定速度、および減速を定義する速度データを含む速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4を設定するステップと、
f)車輪の各対W
1-2およびW
3-4の加速および減速を制御するために、前記速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4を前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4のそれぞれに伝送するステップであって、各ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4は、1つの車輪(60)の現在の速度が前記速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4によって設定された前記車輪の対W
1-2およびW
3-4の設定速度から逸脱する場合、前記車輪の対W
1-2およびW
3-4の前記1つの車輪(60)の速度を調節し、これにより、前記車輪の対W
1-2およびW
3-4を同期させる、ステップと、
g)前記開始位置から前記停止位置までの前記ロボット(50)の移動を制御するために、ステップc)~f)を繰り返すステップと
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ロボット(50)の位置は、トラックに対する前記ロボット(50)の外部追跡によって提供される前記ロボット(50)のグローバルx、y位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロボット(50)の位置は、前記トラックに対する前記ロボット(50)の絶対ローカル位置であり、前記
絶対ローカル位置は、前記ロボット(50)内に備えられる追跡センサによって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4は、前記ロボット(50)を前記開始位置から移動させるための加速と、前記ロボット(50)を前記停止位置に向かって移動させるための減速と、前記ロボット(50)を前記開始位置と停止位置との間で移動させるための一定速度とを定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記速度駆動シーケンスは、所定のレートで伝送される、
請求項1~4のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項6】
前記速度駆動シーケンスは、前記ロボット(50)が辿るルートに従って、異なる開始位置および停止位置を備える、
請求項1~5のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項7】
開始位置から停止位置までのロボット(50)の移動を制御し、グリッド(40)を形成するフレーム構造上に敷設されたトラック(20)上を移動する間の前記ロボット(50)の進み角度からずれた移動を防止するマスタコントローラであって、前記ロボット(50)は、各車輪(60)に対して個々の駆動手段Drive
1、Drive
2、Drive
3、Drive
4に接続されるローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4によって制御される、車輪の対W
1-2およびW
3-4を有し、
前記マスタコントローラは、前記車輪の各対W
1-2およびW
3-4を制御する前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4に接続され、前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4は、前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4に接続される速度および角度センサを用いて、各車輪(60)の速度および角位置を前記マスタコントローラに提供し、前記マスタコントローラは、
-前記ロボット(50)の開始位置および停止位置と、前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4によって提供される、前記車輪の対の各車輪(60)の現在の速度および角位置とを受信するように構成される入力手段と、
-前記フレーム構造に対する前記ロボット
(50
)の位置を受信するように構成される入力手段と
を備え、
-各車輪(60)の前記現在の速度および角位置と、前記ロボット(50)の前記受信された位置と、前記ロボット(50)の
前記開始位置および停止位置とに基づいて、
駆動方向に対して法線方向の同一軸に沿った車輪の各対W
1-2およびW
3-4に対して加速、一定速度、および減速を定義する速度データを含む速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4を設定するように構成される計算手段と、
-車輪の各対W
1-2およびW
3-4の加速および減速を制御するために、前記速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4を前記ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4のそれぞれに伝送するように構成される出力手段であって、各ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4は、1つの車輪(60)の現在の速度が前記速度駆動シーケンスV
seq1-2、V
seq3-4によって設定された前記車輪の対W
1-2およびW
3-4の設定速度から逸脱する場合、前記車輪の対W
1-2およびW
3-4の前記1つの車輪(60)の速度を調節し、これにより、前記車輪の対W
1-2およびW
3-4を同期させるように適合されている、出力手段と
をさらに備えることを特徴とする、マスタコントローラ。
【請求項8】
前記ロボット(50)内に備えられる追跡センサに接続されることを特徴とする、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記ロボット(50)内に具現化されることを特徴とする、請求項7または8に記載のコントローラ。
【請求項10】
命令を備えるソフトウェアプログラム製品であって、前記命令は、前記プログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1-6に記載の方法を前記プロセッサに実行させる、ソフトウェアプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーム構造上に敷設されたトラック上を移動する遠隔操作式ロボットに関し、より具体的には、フレーム構造に対して開始位置から停止位置までそれを平滑に移動させるために、各車輪を制御し、ロボットの車輪の対を同期させるための方法およびコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵容器を貯蔵システムから取り上げるための遠隔操作式車両またはロボットは、既知である。関連先行技術貯蔵システムの詳細な説明は、第EP1037828B1号に提示され、そのような貯蔵システムのために好適な先行技術車両の詳細は、ノルウェー特許第NO317366B1号および第WO2015193278A1号に詳細に開示される。そのような先行技術貯蔵システムは、ある高さまで相互の上にスタックされた貯蔵容器を含有する、3次元貯蔵グリッドを備える。貯蔵グリッドは、通常、その上を複数の遠隔操作式車両またはロボットが側方に移動するように配列される上部レールまたはトラックによって相互接続される、アルミニウム製の列として構築される。各車両は、車両を1つの位置から別の位置に移動させるためと、貯蔵グリッド内に貯蔵される容器を取り上げ、搬送し、設置するために適合される、昇降デバイスを駆動するためとのモータを装備する。電力供給源は、電力を車両内に備えられるモータおよび駆動部に供給し、例えば、再充電可能バッテリである。車両は、典型的には、無線リンクを介して、制御システムと通信し、必要に応じて、充電ステーションにおいて再充電されることができる。
【0003】
車輪の回転は、車輪に接続されるベルトによって、または車輪にまたは少なくとも部分的にその中に位置する個々の駆動手段によって、駆動されてもよい。最後の実施例は、開始位置と停止位置との間の加速および減速の高度な制御を伴う、応答性ロボットを提供するであろう。
【0004】
直線トラック上を移動するロボットの車輪が、個々に制御および操作されるとき、それらは、ロボットを進み角度からずれて駆動せずに、ロボットを定常移動で移動させるために、1つのエンティティであるかのように制御されなければならない。
【0005】
理想的には、類似サイズの車輪が、ロボットが移動するとき、同一速度で回転するであろう。しかしながら、各車輪が、別個に駆動されるとき、車輪に関する異なる回転速度に寄与し得る、いくつかの要因が存在する。そのような要因は、スピン、滑動、および車輪への異なる荷重であり得る。これが生じる場合、ロボットの移動は、平滑ではなくなり、進み角度からずれて駆動され得る。
【0006】
したがって、本発明の目的は、トラック上で回転するときに車輪に関して生じ得る任意の擾乱に関係なく、トラック上で開始位置から停止位置までそれを平滑に移動させるために、ロボットの移動の最適制御のための方法およびデバイスを提供することである。これは、ロボットの各車輪を制御するコントローラのための速度駆動シーケンスを設定することによって達成され、コントローラは、ロボットを平滑に開始位置から停止位置まで移動させるための速度駆動シーケンスに従って車輪の対を同期させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第1037828号明細書
【文献】ノルウェー国特許第317366号明細書
【文献】国際公開第2015193278号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、開始位置から停止位置までのロボットの移動を制御するための方法によって定義され、ロボットは、グリッドを形成するフレーム構造上に敷設されたトラック上を移動し、ロボットは、各車輪に対して個々の駆動手段に接続されるローカルコントローラによって制御される、車輪の対を有する。
【0009】
本方法は、車輪の対を制御するローカルコントローラに接続される速度および角位置センサを用いて、各車輪を監視することを特徴とし、以下のステップ、すなわち、
-ロボットの開始位置および停止位置を受信するステップと、
-各車輪の現在の速度および角位置をローカルコントローラから受信するステップと、
-フレーム構造に対するロボットのグローバル位置を受信するステップと、
-各車輪の現在の速度および角位置と、ロボットの現在のグローバル位置と、ロボットの開始位置および停止位置とに基づいて、車輪の各対に対して個々の速度駆動シーケンスを設定するステップと、
-車輪の各対の加速および減速を制御するために、速度駆動シーケンスをローカルコントローラのそれぞれに伝送するステップと、
-開始位置から停止位置までのロボットの移動を制御するために、上記のステップを繰り返すステップと、
が、ローカルコントローラのそれぞれと通信するマスタコントローラ内で実施される。
【0010】
本方法のさらなる特徴は、従属請求項に定義される。
【0011】
本発明はさらに、開始位置から停止位置までのロボットの移動を制御するためのマスタコントローラによって定義され、ロボットは、グリッドを形成するフレーム構造上に敷設されたトラック上を移動し、ロボットは、各車輪に対して個々の駆動手段に接続されるローカルコントローラによって制御される、車輪の対を有する。マスタコントローラは、車輪の各対を制御するローカルコントローラに接続され、ローカルコントローラは、ローカルコントローラに接続される速度および角度センサを用いて、各車輪の速度および角位置をマスタコントローラに提供し、マスタコントローラは、
-ロボットの開始位置および停止位置と、ローカルコントローラによって提供される、各車輪の現在の速度および角位置とを受信するための入力手段と、
-フレーム構造に対するロボットのグローバル位置を受信するための入力手段と、
-各車輪の現在の速度および角位置と、ロボットの現在のグローバル位置と、ロボットの開始位置および停止位置とに基づいて、車輪の各対に対して個々の速度駆動シーケンスを設定するための計算手段と、
-速度駆動シーケンスを車輪の各対の加速および減速を制御するローカルコントローラのそれぞれに伝送するための出力手段と、
を備える。
【0012】
マスタコントローラのさらなる特徴は、従属請求項に定義される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
開始位置から停止位置までのロボット50の移動を制御するための方法であって、上記ロボット50は、グリッド40を形成するフレーム構造上に敷設されたトラック20上を移動し、上記ロボット50は、各車輪60に対して個々の駆動手段Drive
1
、Drive
2
、Drive
3
、Drive
4
に接続される、ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
によって制御される、車輪の対W
1-2
およびW
3-4
を有し、
車輪の対W
1-2
およびW
3-4
を制御する上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
に接続される速度および角位置センサを用いて、各車輪60を監視することを特徴とし、以下のステップ、すなわち、
-上記ロボット50の開始位置および停止位置を受信するステップと、
-各車輪60の現在の速度および角位置を上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
から受信するステップと、
-上記フレーム構造に対する上記ロボット50の位置を受信するステップと、
-各車輪60の現在の速度および角位置と、上記ロボット50の現在の位置と、上記ロボット50の開始位置および停止位置とに基づいて、車輪の各対W
1-2
およびW
3-4
に対して速度駆動シーケンスV
seq1-2
、V
seq3-4
を設定するステップと、
-車輪の各対W
1-2
およびW
3-4
の加速および減速を制御するために、上記速度駆動シーケンスV
seq1-2
、V
seq3-4
を上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
のそれぞれに伝送するステップと、
-上記開始位置から上記停止位置までの上記ロボット50の移動を制御するために、上記のステップを繰り返すステップと
が、上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
のそれぞれと通信するマスタコントローラ内で実施される、方法。
(項目2)
上記ロボット50の位置は、トラックに対する上記ロボット50の外部追跡によって提供される上記ロボット50のグローバルx、y位置である、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記ロボット50の位置は、上記トラックに対する上記ロボット50の絶対ローカル位置であって、上記ローカル位置は、上記ロボット50内に備えられる追跡センサによって提供される、項目1に記載の方法。
(項目4)
速度駆動シーケンスは、上記ロボット50を開始位置から移動させるための加速と、上記ロボット50を停止位置に向かって移動させるための減速と、上記ロボット50を上記開始位置と停止位置との間で移動させるための一定速度とを定義する、項目1に記載の方法。
(項目5)
各ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
は、1つの車輪50の現在の速度が上記速度駆動シーケンスによって設定された上記車輪の対の設定速度から逸脱する場合、車輪の対W
1-2
およびW
3-4
の1つの車輪60の速度を調節する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
上記速度駆動シーケンスは、所定のレートで伝送される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
上記速度駆動シーケンスは、上記ロボット50が辿るルートに従って、異なる開始位置および停止位置を備える、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
開始位置から停止位置までのロボット50の移動を制御するためのマスタコントローラであって、上記ロボット50は、グリッド40を形成するフレーム構造上に敷設されたトラック20上を移動し、上記ロボット50は、各車輪60に対して個々の駆動手段Drive
1
、Drive
2
、Drive
3
、Drive
4
に接続されるローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
によって制御される、車輪の対W
1-2
およびW
3-4
を有し、
上記マスタコントローラは、車輪の各対W
1-2
およびW
3-4
を制御する上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
に接続されることを特徴とし、上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
は、上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
に接続される速度および角度センサを用いて、各車輪60の速度および角位置を上記マスタコントローラに提供し、上記マスタコントローラは、
-上記ロボット50の開始位置および停止位置と、上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
によって提供される、各車輪60の現在の速度および角位置とを受信するための入力手段と、
-上記フレーム構造に対する上記ロボット50の位置を受信するための入力手段と、
-各車輪60の現在の速度および角位置と、上記ロボット50の現在の位置と、上記ロボット50の開始位置および停止位置とに基づいて、車輪60の各対W
1-2
およびW
3-4
に対して速度駆動シーケンスV
seq1-2
、V
seq3-4
を設定するための計算手段と、
-車輪60の各対W
1-2
およびW
3-4
の加速および減速を制御するために、上記速度駆動シーケンスV
seq1-2
、V
seq3-4
を上記ローカルコントローラController
1-2
、Controller
3-4
のそれぞれに伝送するための出力手段と
を備える、マスタコントローラ。
(項目9)
上記ロボット50内に備えられる追跡センサに接続されることを特徴とする、項目8に記載のコントローラ。
(項目10)
上記ロボット50内に具現化されることを特徴とする、項目8または9に記載のコントローラ。
(項目11)
プロセッサによって実行されると、項目1-7に記載の方法を実施する、ソフトウェアプログラム製品。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、ここで、図を参照して説明されるであろう。
【
図1】
図1は、いくつかのロボットが個別の貯蔵列の直上に配列される、貯蔵システムのあるセクションを示す。
【
図2】
図2は、個々に駆動される車輪のセットを伴う、遠隔操作式ロボットの実施例を示す。
【
図3】
図3は、ロボットの車輪の対を制御するためのマスタコントローラおよびローカルコントローラの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、開始位置から停止位置まで平滑に移動させるために、各車輪を制御し、ロボットの車輪の対を同期させるための方法およびコントローラによって定義される。ロボットの制御された平滑移動は、特に、進み角度からずれた移動を回避しながら、1つの点から別の点に効率的に移動させるために、ロボットがトラック上を移動するときに重要である。
図1および2は、貯蔵システムの上部のトラック上を移動するロボットを図示する。
【0015】
図1は、いくつかの遠隔操作式ロボット50が容器貯蔵グリッド40を作製するフレーム構造によって作製される個別の貯蔵列30の直上に配列される、貯蔵システム10のあるセクションを示す。容器貯蔵グリッド40の上側部分は、ロボット50がその上を走行するための専用支持トラック20を具備する。ロボット50は、xおよびy方向にトラック20上で移動し、貯蔵容器を容器貯蔵グリッド40内の貯蔵列30から受容するように構成される。
【0016】
図2は、遠隔操作式ロボット50の実施例を示す。ロボット50は、貯蔵容器を下層貯蔵システム10から取り上げるために適合される。ロボット50の本体は、貯蔵容器を受容するための空洞を備える。本実施例では、空洞は、ロボット50内の中心に配列され、ロボット50の本体によって囲繞される。ロボット50の本体はさらに、貯蔵容器を上昇および下降させるための昇降デバイスを備える。しかしながら、本発明は、車輪を伴う任意のタイプのロボットに適用可能である。
【0017】
ロボット50はさらに、下層貯蔵システム10上で第1および第2の方向x、yに沿ってロボット50の移動を可能にする、車輪60を備える。車輪60は、駆動力をロボット50に提供するために、車輪60にまたは少なくとも部分的にその中に位置する駆動手段に接続される。本構成は、ロボット50内の最小空間を占有し、それによって、ロボット50内への他の据付のための空間を空けるであろう。
【0018】
ロボット50はさらに、ロボット50の移動を制御するように構成される、制御手段を備える。各車輪60に対する制御手段は、駆動手段に接続され、これは、各車輪60に接続される。ロボット50はさらに、信号を受信および伝送するための無線通信を具備する。
【0019】
図3は、本発明による、マスタコントローラの概要を示す。マスタコントローラは、開始位置から停止位置までのロボット50の移動を制御するために適合され、ロボット50は、グリッドを形成するフレーム構造上に敷設されたトラック上を移動し、ロボット50は、図に図示されるように、ローカルコントローラController
1-2、Controller
3-4によって制御される、車輪の対W
1およびW
2、W
3およびW
4と、個々の駆動手段Drive
1、Drive
2、Drive
3、Drive
4と有する。各個々の駆動手段は、接続された車輪に適用される速度および力を制御する。
【0020】
ロボット50の各車輪を制御し、車輪の対を同期させるための本発明の方法は、マスタコントローラによって実施されるいくつかのステップを含む。マスタコントローラは、好ましくは、ロボット50の内側に格納されるが、また、これの外部に位置してもよい。しかしながら、これは、ロボット50内に格納される個々のローカル制御手段とマスタコントローラとの間のより多くの無線通信を要求する。
【0021】
第1のステップは、ロボット50に関する開始位置および停止位置を受信する。
【0022】
開始位置および停止位置は、ボックスを貯蔵列30から取り上げ、それを別の貯蔵列30内に設置することに先立って、ロボット50に関して設定されたルートに依存するであろう。具体的ロボット50に関するルートは、全ての貯蔵容器およびその内容物の制御を有する、監督システムによって設定されるであろう。
【0023】
ロボット50の開始位置は、それが静止している位置となるであろう。ロボット50は、本位置を常時追跡するであろう。本位置は、異なる方法において入手されることができる。1つの方法は、フレーム構造の上部のトラックに対するロボット50のx、y位置を追跡することである。これは、ロボット50のグローバル位置となるであろう。本位置は、ロボット50の外部に位置する追跡デバイスを用いて、またはロボット50内に統合されるデバイスによって、入手されることができる。外部および統合された追跡デバイスの組み合わせは、位置決定の正確度を増加させるであろう。
【0024】
統合された追跡デバイスを使用することによって、ロボット50は、フレーム構造の上部にグリッドとして敷設されるトラック上を移動するとき、既知の開始位置からxおよびy-方向に通過した横断数、すなわち、スプレッドシート内のセルの間のような移動を検出することによって、その位置を追跡可能となるであろう。
【0025】
開始位置に加え、マスタコントローラはまた、ロボット50の移動を制御するために、停止場所の情報を受信しなければならない。
【0026】
ロボット50が、貯蔵容器を1つの貯蔵列から取り上げ、それを別の貯蔵列内に降下させるための完全動作を実施するために、ルートに従って1つの方向のみに移動すべき場合、完全動作のために、1つの開始位置および停止位置のみが存在するであろう。しかしながら、ロボット50は、最終目的地に到達するために、ルートに従って異なるxおよびy-方向に移動する可能性がより高い。これは、完全ルートが異なる方向に沿って延設されている場合、または開始位置から停止位置までの最短ルートを遮断する他のロボットに起因する場合に該当し得る。この場合、第1の開始位置は、ロボット50が、貯蔵容器を取り上げる、または降下させる位置となるであろう。第1の停止位置は、次いで、ルートを辿るためにロボット50が方向を変化させなければならないルートの位置となるであろう。本停止位置は、次いで、次の開始位置となる等と続くであろう。ロボット50が、3回方向を変化させる必要がある場合、3つの開始位置および停止位置、すなわち、ルートの第1、第2、および第3の区間が存在するであろう。
【0027】
ロボット50のルートの第1の区間の開始位置および停止位置が、確立された後、次のステップは、マスタコントローラに、ロボット50の各車輪の現在の速度V1、V2、V3、V4と、角位置pos1、pos2、pos3、pos4とを受信させる。本情報は、各車輪上のこれらのパラメータを測定する速度および角位置センサを用いて提供される。
【0028】
車輪の各対に対する現在の速度および角位置は、ローカルコントローラController1-2、Controller3-4に入力され、これは、それぞれ、車輪の対W1およびW2、W3およびW4の同期を制御する。
【0029】
ロボット50が、ルートに沿って移動すると、フレーム構造に対するロボット50の位置が、持続的に追跡され、マスタコントローラに提供される。
【0030】
一実施形態では、ロボット50の位置は、トラックに対するロボット50を追跡する外部追跡デバイスによって提供される、グローバルx、y位置である。
【0031】
本発明の別の実施形態では、ロボット50はさらに、現在駆動しているトラックに対する絶対位置を検出するための追跡センサを備える。ロボット50の絶対位置とグローバル位置の組み合わせは、決定された位置の正確度を改良するであろう。
【0032】
マスタコントローラが、開始位置および停止位置と、各車輪W1、W2、W3、およびW4の現在の速度および角位置と、ロボット50の現在の位置との情報を受信すると、マスタコントローラは、車輪の各対W1-2およびW3-4に対して個々の速度駆動シーケンスVseq1-2、Vseq3-4を設定するために、本情報を使用するであろう。
【0033】
各速度駆動シーケンスVseq1-2、Vseq3-4は、設定開始位置および停止位置と、ロボット50の現在の位置とに照らして、車輪の各対に対して速度および角位置データに基づいて確立される。
【0034】
これらの速度駆動シーケンスVseq1-2、Vseq3-4は、ローカルコントローラController1-2、Controller3-4のそれぞれに伝送され、これは、ひいては、車輪の各対に対する駆動部Drive1、Drive2、Drive3、Drive4を制御する。
【0035】
各駆動シーケンスは、開始位置から停止位置までの移動の間の車輪の各対に対する加速、一定速度、および減速を定義する、一連の速度データを定義するであろう。車輪の各対に対するローカルコントローラController1-2、Controller3-4は、車輪に関する個々の駆動手段Drive1、Drive2、Drive3、Drive4を制御するために、速度駆動シーケンスVseq1-2、Vseq3-4を使用するであろう。
【0036】
ロボット50が、そのルートに沿って移動するとき、速度駆動シーケンスを定義するデータは、ロボット50の加速、一定速度、および減速に従って持続的に更新されるであろう。これは、車輪の対に関する速度を定義する駆動シーケンスがルートに沿って変化し得ることを意味する。速度駆動シーケンスの更新レートは、設定され、所定のレートで伝送されることができる。また、開始位置から停止位置まで移動するときのロボット50のルートに沿って変化してもよい。
【0037】
上記に定義された異なるステップは、ロボット50がその目的地に到達するまで、または方向を変化させるべきとき、繰り返される、すなわち、ステップは、ロボット50に関する開始位置と停止位置との間で繰り返されるであろう。
【0038】
本発明の一実施形態では、車輪の対を制御するローカルコントローラは、1つの車輪50の現在の速度が速度駆動シーケンスによって設定された車輪の対の設定速度から逸脱する場合、車輪の駆動を制御し、車輪60の速度を調節するであろう。これは、駆動方向に対して法線方向の同一軸に沿った車輪の対が、車輪の速度の減速、例えば、スピン、滑動、障害物等の可能性として考えられる要因に関係なく、常時、速度駆動シーケンスによって設定された速度に同期されるであろうことを意味する。
【0039】
ローカルコントローラは、したがって、設定速度駆動シーケンスに従って、車輪の対を同期されたままにする。これは、1つまたはいくつかの車輪の速度が、何らかの理由から、速度駆動シーケンスによって設定された速度から逸脱する場合でも、ロボット50の移動の精密な制御を提供するであろう。
【0040】
同期は、車輪の対が全体的に同期されることを確実にするために、高速レートで実施されることができる。典型的には、各車輪の速度および角位置は、車輪の対が速度駆動シーケンスによって設定された速度に同期されたままにするために、毎秒60,000回測定され、対応する連続計算が、各車輪の駆動を制御するために実施される。
【0041】
上記に説明される方法は、トラック上で回転するときに車輪に関して生じ得る任意の擾乱に関係なく、開始位置から停止位置まで進み角度からずれずに平滑に移動するために、ロボット50の移動の最適制御を提供する。
【0042】
本発明はまた、上記に説明される方法を実施するプロセッサによって実行されると、ソフトウェアプログラム製品によって定義される。プロセッサは、マスタコントローラの一部である、またはそれに接続される。
【0043】
本発明はまた、開始位置から停止位置まで移動するときの上記に説明されるロボット50の移動を制御するためのコントローラによって定義される。これは、ロボット50の移動のためのマスタコントローラとして作用するであろう。
【0044】
マスタコントローラは、車輪の対W1-2およびW3-4を制御する、ローカルコントローラController1-2、Controller3-4に接続される。ローカルコントローラController1-2、Controller3-4は、ローカルコントローラに接続される速度および角度センサを用いて、各車輪60の速度および角位置データをマスタコントローラに提供する。
【0045】
マスタコントローラは、ロボット50の開始位置および停止位置と、ローカルコントローラController1-2、Controller3-4によって提供される、各車輪60の現在の速度および角位置とを受信するための入力手段を備える。さらに、フレーム構造に対するロボット50の位置を受信するための入力手段を備える。
【0046】
マスタコントローラはさらに、各車輪60の現在の速度および角位置と、ロボット50の現在の位置と、ロボット50の開始位置および停止位置とに基づいて、車輪の各対60、すなわちW1-2およびW3-4に対して速度駆動シーケンスVseq1-2、Vseq3-4を設定するための計算手段を備える。
【0047】
マスタコントローラはさらに、速度駆動シーケンスVseq1-2、Vseq3-4をローカルコントローラController1-2、Controller3-4のそれぞれに伝送するための出力手段を備え、それによって、車輪60の各対、すなわちW1-2およびW3-4の加速および減速を制御する。速度データは、したがって、マスタコントローラによって制御され、好ましくは、5ms毎に更新される。
【0048】
マスタコントローラは、一実施形態では、ロボット50の内側に格納される。これは、次いで、車輪の対W1-2およびW3-4を制御し、速度および角位置データを各車輪から読み取る、ローカルコントローラController1-2、Controller3-4に接続される。
【0049】
マスタコントローラは、一実施形態では、フレーム構造に対するグローバル位置を提供する、デバイスに接続されてもよい。別の実施形態では、本情報は、ロボット50の位置データをマスタコントローラに伝送する、外部手段によって提供されてもよい。ロボット50のグローバル位置を提供するためのオンボードおよび外部手段の組み合わせもまた、実行可能である。
【0050】
ロボット50の位置を決定するための正確度は、ロボット50内に備えられる追跡センサによって提供されるローカル位置データを提供することによって、改良されることができる。
【0051】
本発明は、移動しているロボット50の制御された平滑移動を提供するであろう。ロボットは、常時、トラックに沿って均一に移動する、すなわち、歪み荷重、滑動、または摩擦問題に起因する、進み角度からずれたロボット50の移動を防止するであろう。