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特許6991224多孔質ポリウレタン研磨パッドおよびその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】多孔質ポリウレタン研磨パッドおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20220104BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220104BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220104BHJP
   C08G 18/16 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B24B37/24 C
C08G18/10
C08G18/00 H
C08G18/16
H01L21/304 622F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019537816
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 KR2018000415
(87)【国際公開番号】W WO2018131868
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-07-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0005301
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521133816
【氏名又は名称】エスケイシー・ソルミックス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ヘヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ・チャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ハン・ヒョクヒ
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-539927(JP,A)
【文献】特開2009-117815(JP,A)
【文献】国際公開第95/030711(WO,A1)
【文献】特開2015-134402(JP,A)
【文献】特開2006-320980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
C08G 18/10
C08G 18/00
C08G 18/16
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤を含む多孔質ポリウレタン研磨パッドであって、厚さが1.5~2.5mmであり、平均空隙径が15~21.4μmであり、比重が0.7~0.9g/cmであり、25℃における表面硬度が50~65ショアDであり、引張強度が15~25N/mmであり、伸び率が80~250%であり、空隙の総面積が研磨パッド総面積を基準に30~60%であり、耐電圧が14~23kVであり、
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドが前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.5~10重量部の固相発泡剤を含み、かつ互いに大きさの異なる第1空隙および第2空隙を含み、前記固相発泡剤は平均粒径が10~50μmであり、前記第2空隙の総面積のうち5~45%を占める第2-1空隙の径が第1空隙の平均径よりも5μm以上分小さく、前記第2空隙の総面積のうち5~45%を占める第2-2空隙の径が第1空隙の平均径よりも5μm以下分大きい、多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項2】
記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、耐電圧が14~22kVである、請求項1に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項3】
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドが反応速度調整剤をさらに含む、請求項1に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項4】
前記第1空隙が固相発泡剤から形成され、
前記第2空隙が不活性気体から形成される、請求項1に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項5】
前記第1空隙が、第1固相発泡剤から形成され、
前記第2空隙が、前記第1固相発泡剤とは平均粒径が異なる第2固相発泡剤から形成される、請求項1に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項6】
前記反応速度調整剤が、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン(2-methyl-2-azanorbornane)、ジラウリン酸ジブチルスズ(dibutyltin dilaurate)、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(stannous octoate)、二酢酸ジブチルスズ(dibutyltin diacetate)、二酢酸ジオクチルスズ(diocthyltin diacetate)、ジブチルスズマレアート(dibutyltin maleate)、ジブチルスズジ(2-エチルヘキサノエート)(dibutyltin di-2-ethylhexanoate)、およびジブチルスズビス(ラウリルメルカプチド)( dibutyltin bis (lauryl mercaptide ))からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項3に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項7】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて作製され、
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッド。
【請求項8】
(1)ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および固相発泡剤を含む混合物をモールド内に注入して混合物を成形する工程と、
(2)前記混合物を硬化させる工程とを含む多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法であって、
前記固相発泡剤が、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.5~10重量部の含有量で含まれ、
厚さが1.5~2.5mmであり、平均空隙径が15~21.4μmであり、比重が0.7~0.9g/cmであり、25℃における表面硬度が50~65ショアDであり、
引張強度が15~25N/mmであり、伸び率が80~250%であり、空隙の総面積が研磨パッドの総面積を基準に30~60%であり、耐電圧が14~23kVであり、
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドが前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.5~10重量部の固相発泡剤を含み、かつ互いに大きさの異なる第1空隙および第2空隙を含み、前記固相発泡剤は平均粒径が10~50μmであり、前記第2空隙の総面積のうち5~45%を占める第2-1空隙の径が第1空隙の平均径よりも5μm以上分小さく、前記第2空隙の総面積のうち5~45%を占める第2-2空隙の径が第1空隙の平均径よりも5μm以下分大きい、多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法。
【請求項9】
前記工程(1)において、前記混合物のモールド内注入の際、モールド内に不活性ガスを投入し、
前記不活性ガスが前記混合物の総体積を基準に20~35%の体積で投入される、請求項8に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法。
【請求項10】
前記混合物が、反応速度調整剤をさらに含み、
前記反応速度調整剤が3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選ばれる1種以上である、請求項9に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法。
【請求項11】
前記反応速度調整剤が、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルナン、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(stannous octoate)、二酢酸ジブチルスズ(dibutyltin diacetate)、二酢酸ジオクチルスズ(diocthyltin diacetate)、ジブチルスズマレアート(dibutyltin maleate)、ジブチルスズジ(2-エチルヘキサノエート)(dibutyltin di-2-ethylhexanoate)およびジブチルスズビス(ラウリルメルカプチド)( dibutyltin bis (lauryl mercaptide ))からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項10に記載の多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施態様は、半導体の化学機械的平坦化(chemical mechanical planarization、CMP)工程に使用される多孔質ポリウレタン研磨パッドおよびその作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体作製工程の中で、化学機械的平坦化(CMP)工程は、ウェーハ(wafer)をヘッドに取り付けてプラテン(platen)上に設けられた研磨パッドの表面に接触するようにした状態で、スラリーを供給して、ウェーハ表面を化学的に反応させながらプラテンとヘッドとを相対運動させて、ウェーハ表面の凹凸部分を機械的に平坦化する工程である。
【0003】
研磨パッドは、このようなCMP工程において重要な役割を担う不可欠な部材であり、一般的にポリウレタン系樹脂からなり、表面にスラリーの大きな流動のための溝(groove)と微細な流動をサポートするための空隙(又は細孔又は気孔;pore)を備える。
【0004】
研磨パッド内の空隙は、空隙を有する固相発泡剤、揮発性の液体が満たされている液状発泡剤、不活性ガス、繊維質などを利用して形成するか、または化学的反応によりガスを発生させて形成することができる。
【0005】
不活性ガスまたは揮発性液状発泡剤を使用して空隙を形成する技術は、CMP工程に影響を与え得る物質が排出されないというメリットを有する。しかしながら、制御が容易ではない気相をコントロールする必要があるため、空隙の径およびパッドの密度の正確な調節が難しく、特に50μm以下の均一な空隙の形成が難しい。また、研磨パッド用ポリウレタンマトリックスの組成を変更することなく、空隙の径とパッドの密度を調整することは非常に難しい問題がある。
【0006】
前記固相発泡剤としては、熱膨張によりサイズが調節されたマイクロカプセル(熱膨張されたマイクロカプセル)が使用される。前記熱膨張されたマイクロカプセルは、すでに膨張されているマイクロバルーンの構造体として均一な大きさの粒径を有することにより、空隙の径を均一に調節することが可能である。例えば、特許文献1は、固相発泡剤を使用して、均一な径を有する空隙を含む研磨パッドを開示している。しかし、前記熱膨張されたマイクロカプセルは、100℃以上の高温反応条件においてその形状が変化するため、形成される空隙の調節が難しいというデメリットがあった。
【0007】
したがって、従来のように、単一方式を利用して微細な空隙を実現する場合、設計されている空隙の大きさと分布に適するように空隙を形成することができるが、空隙の設計自由度が低く、空隙分布を調節することには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-1608901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本実施形態の目的は、空隙の大きさおよび分布が調節された多孔質ポリウレタン研磨パッドおよびその作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために一実施形態は、ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤を含む多孔質ポリウレタン研磨パッドであって、厚さが1.5~2.5mmであり、平均空隙径が10~40μmであり、比重が0.7~0.9g/cmであり、25℃における表面硬度が50~65ショアDであり、引張強度が15~25N/mmであり、伸び率が80~250%であり、空隙の総面積が研磨パッドの総面積を基準に30~60%であり、耐電圧が14~23kVである、多孔質ポリウレタン研磨パッドを提供する。
【0011】
前記他の目的を達成するために一実施形態は、(1)ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および固相発泡剤を含む混合物をモールド内に注入して混合物を成形する工程と、(2)前記混合物を硬化させる工程とを含む多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法であって、前記固相発泡剤がウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.5~10重量部の含有量で含まれ、厚さが1.5~2.5mmであり、平均空隙径が10~40μmであり、比重が0.7~0.9g/cmであり、25℃における表面硬度が、50~65ショアDであり、引張強度が15~25N/mmであり、伸び率が80~250%であり、空隙の総面積が研磨パッドの総面積を基準に30~60%であり、耐電圧が14~23kVである、多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
一実施形態に係る多孔質ポリウレタン研磨パッドは、研磨パッドの空隙のサイズおよび分布を調節することにより、前記研磨パッドの研磨性能(研磨率)を調節することができる。特に、相対的に径が大きい空隙が研磨パッド全体に均一に配置され、前記大きい空隙の間に小さな空隙が配置されることにより、前記研磨パッドは、空隙による空き(又はボイド;void)スペースとポリウレタンマトリックスとが均一に分布されている構造を有する。これにより、前記研磨パッドは、空隙が多い部分と空隙がほとんどない部分がほとんどない。これにより、前記研磨パッドは、ウェーハなどのような研磨対象に発生するスクラッチなどを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1における研磨パッドのSEM写真である。
図2図2は、実施例2における研磨パッドのSEM写真である。
図3図3は、比較例1における研磨パッドのSEM写真である。
図4図4は、実施例1および2、並びに比較例1それぞれにおける研磨パッドの空隙径分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態は、(1)ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および固相発泡剤を含む混合物をモールド内に注入して成形する工程と、(2)前記混合物を硬化させる工程とを含む多孔質ポリウレタンパッドの作製方法であって、前記固相発泡剤がウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.5~10重量部の含有量で含まれ、厚さが1.5~2.5mmであり、平均空隙径が10~40μmであり、比重が0.7~0.9g/cmであり、25℃における表面硬度が50~65ショアDであり、引張強度が15~25N/mmであり、伸び率が80~250%であり、空隙の総面積が研磨パッドの総面積を基準に30~60%であり、耐電圧が14~23kVである、多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法を提供する。
【0015】
-原料投入-
プレポリマー(prepolymer)とは、作製プロセスにて最終成形品を成形しやすいように重合度を中間レベルで停止させた、比較的低い分子量を有する高分子のことを概して意味する。プレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物と反応させた後に成形することができ、例えば、イソシアネート化合物とポリオールを反応させてプレポリマーを作製することができる。
【0016】
前記ウレタン系プレポリマーの作製に用いられるイソシアネート化合物は、例えば、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(naphthalene-1,5-diisocyanate)、パラ-フェニレンジイソシアネート(p-phenylene diisocyanate)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate、TODI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-diphenyl methane diisocyanate)、ヘキサメチレンジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexyl methane diisocyanate)、およびイソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)からなる群より選ばれる1種以上のイソシアネートであり得る。
【0017】
前記ウレタン系プレポリマーの作製に用いることができるポリオールは、例えば、ポリエーテル系ポリオール(polyether polyol)、ポリエステル系ポリオール(polyester polyol)、ポリカーボネート系ポリオール(polycarbonate polyol)、およびアクリル系ポリオール(acryl polyol)からなる群より選択される1種以上のポリオールであり得る。前記ポリオールは、300~3000g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0018】
前記ウレタン系プレポリマーは、500~3000g/molの重量平均分子量を有し得る。具体的には、前記ウレタン系プレポリマーは、600~2000g/mol、または800~1500g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0019】
一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物としてトルエンジイソシアネートを用い、ポリオールとしてポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いて重合された500~3000g/molの重量平均分子量(Mw)を有するポリマーであり得る。
【0020】
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物からなる群より選択される1種以上を含むことができる。具体的には、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1種以上の化合物であり得る。
【0021】
例えば、前記硬化剤は、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)、ジエチルトルエンジアミン(diethyltoluenediamine)、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenyl methane)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenyl sulphone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylene diamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、エチレングリコール(ethyleneglycol)、ジエチレングリコール(diethyleneglycol)、ジプロピレングリコール(dipropyleneglycol)、ブタンジオール(butanediol)、ヘキサンジオール(hexanediol)、グリセリン(glycerine)、トリメチロールプロパン(trimethylolpropane)、およびビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane)からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0022】
前記固相発泡剤は、熱膨張されているマイクロカプセルであり、5~200μmの平均粒径を有するマイクロバルーン構造体であり得る。具体的には、前記固相発泡剤は平均粒径が10~50μmであり得る。より具体的には、前記固相発泡剤は平均粒径が15~45μmであり得る。また、前記熱膨張されたマイクロカプセルは、熱膨張性マイクロカプセルを加熱膨張させて得られたものであり得る。
【0023】
前記熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂を含むシェルと、前記シェルの内部に封入されている発泡剤とを含むことができる。前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上であり得る。さらに、前記内部に封入されている発泡剤は、炭素数1~7個の炭化水素からなる群より選択される1種以上であり得る。具体的には、前記内部に封入されている発泡剤は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutene)、ブテン(butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)
などの低分子量炭化水素と;
トリクロロフルオロメタン(trichlorofluoromethane、CClF)、ジクロロジフルオロメタン(dichlorodifluoromethane、CCl)、クロロトリフルオロメタン(chlorotrifluoromethane、CClF)、テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene、CClF-CClF)などのクロロフルオロ炭化水素と;テトラメチルシラン(tetramethylsilane)、トリメチルエチルシラン(trimethylethylsilane)、トリメチルイソプロピルシラン(trimethylisopropylsilane)、トリメチル-n-プロピルシラン(trimethyl-n-propylsilane)などのテトラアルキルシランとからなる群より選択され得る。
【0024】
前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、前記固相発泡剤を0.5~10重量部、1~3重量部、1.3~2.7重量部、または1.3~2.6重量部の量で用いることができる。
【0025】
前記工程(1)において、前記混合物をモールド内に注入する際、モールド内に不活性ガスを投入することができる。前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および固相発泡剤が混合されて反応する過程に投入され、研磨パッドの空隙を形成することができる。
【0026】
前記不活性ガスは、プレポリマーと硬化剤との間の反応に関与しないガスであれば、その種類は特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)、アルゴンガス(Ar)、およびヘリウム(He)からなる群より選択される1種以上であり得る。具体的には、前記不活性ガスは、窒素ガス(N)またはアルゴンガス(Ar)であり得る。
【0027】
前記不活性ガスは、前記混合物の総体積を基準に20~35%の体積で投入され得る。具体的には、前記不活性ガスは、前記混合物の総体積を基準に、20~30%の体積で投入され得る。
【0028】
前記混合物は反応速度調整剤をさらに含み、3級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択される1種以上であり得る。具体的には、前記反応速度調整剤は、反応促進剤または反応遅延剤であり得る。より具体的には、前記反応速度調整剤は反応促進剤であり得る。
【0029】
前記反応速度調整剤は、例えば、トリエチレンジアミン(triethylene diamine、TEDA(登録商標))、ジメチルエタノールアミン(dimethyl ethanol amine、DMEA)、テトラメチルブタンジアミン(tetramethyl butane diamine、TMBDA)、2-メチル-トリエチレンジアミン(2-methyl-triethylene diamine)、ジメチルシクロヘキシルアミン(dimethyl cyclohexyl amine、DMCHA)、トリエチルアミン(triethyl amine、TEA)、トリイソプロパノールアミン(triisopropanol amine、TIPA)、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル(bis(2-methylaminoethyl)ether)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン(trimethylaminoethylethanol amine)、N,N,N,N,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(N,N,N,N,N’’-pentamethyl diethylene triamine)、ジメチルアミノエチルアミン(dimethylaminoethyl amine)、ジメチルアミノプロピルアミン(dimethylaminopropyl amine)、ベンジルジメチルアミン(benzyldimethyl amine)、N-エチルモルホリン(N-ethylmorpholine)、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン(N,N-dimethylaminoethylmorpholine)、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(N,N-dimethylcyclohexyl amine)、2-メチル-2-アザノルボルナン(2-methyl-2-azanorbornane)、ジラウリン酸ジブチルスズ(dibutyltin dilaurate)、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(stannous octoate)、二酢酸ジブチルスズ(dibutyltin diacetate)、二酢酸ジオクチルスズ(diocthyltin diacetate)、ジブチルスズマレアート(dibutyltin maleate)、ジブチルスズジ(2-エチルヘキサノエート)(dibutyltin di-2-ethylhexanoate)、およびジブチルスズビス(ラウリルメルカプチド)(dibutyltin bis (lauryl mercaptide ))からなる群より選択される1種以上を含むことができる。具体的には、前記反応速度調整剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される1種以上であり得る。
【0030】
前記反応速度調整剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.1~2重量部の量で用いることができる。具体的には、前記反応速度調整剤は、ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.2~1.8重量部、0.2~1.7重量部、0.2~1.6重量部、または0.2~1.5重量部の量で用いることができる。前記範囲内の含有量で反応速度調整剤を含む場合、混合物(ウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、およびシリコーン界面活性剤の混合物)の反応速度(混合物が固相化されている時間)を適切に調節することにより、所望のサイズの空隙を有する研磨パッドを作製することができる。
【0031】
前記混合物は、界面活性剤をさらに含むことができる。前記界面活性剤は、形成される空隙の重なりおよび合わさる現象を防止する役割を有し得る。具体的には、前記界面活性剤はシリコーン系非イオン性界面活性剤が適しているが、これ以外に研磨パッドに要求される物性に応じて他の界面活性剤を種々選択することができる。
【0032】
前記シリコーン系非イオン性界面活性剤としては、水酸基を有するシリコーン系非イオン性界面活性剤を単独で使用するか、水酸基を有しないシリコーン系非イオン性界面活性剤と一緒に用いることができる。
【0033】
前記水酸基を有するシリコーン系非イオン性界面活性剤は、イソシアネート含有化合物および活性水素化合物との相溶性に優れ、ポリウレタンの技術分野に広く使われているものであれば特に制限されない。前記水酸基を有する市販のシリコーン系非イオン性界面活性剤としては、例えば、ダウコーニング社のDOW CORNING193(シリコーングリコール共重合体(液状;25℃における比重:1.07;20℃における粘度:465mm/s;引火点:92℃))(以下、DC-193と言う)などがある。
【0034】
前記水酸基を有しない市販のシリコーン系非イオン性界面活性剤としては、例えば、ダウコーニング社のDOW CORNING190(シリコングリコール共重合体(ガードナー色数:2;25℃における比重:1.037;25℃における粘度:2000mm/s;引火点:63℃以上;逆溶解点(Inverse solubility Point)(1.0%水溶液):36℃))(以下、DC-190と言う)などがある。
【0035】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.2~2重量部の量で含まれ得る。具体的には、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に0.2~1.9重量部、0.2~1.8重量部、0.2~1.7重量部、0.2~1.6重量部、または0.2~1.5重量部の量で含まれ得る。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含む場合、気相発泡剤由来の空隙がモールド内で安定して形成および維持することができる。
【0036】
一例として、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、界面活性剤、および不活性ガスは、実質的にほぼ同時に混合過程にて投入され得る。
【0037】
他の例として、ウレタン系プレポリマー、固相発泡剤、および界面活性剤を、予め混合し、その後硬化剤、反応速度調整剤、および不活性ガスを投入することもできる。
【0038】
前記混合は、ウレタン系プレポリマーと硬化剤とを混合して反応を開始させ、固相発泡剤および不活性ガスを原料内に均一に分散させる。この時、反応速度調整剤は、反応初期からウレタン系プレポリマーと硬化剤との反応に介入して反応の速度を調節することができる。具体的には、前記混合は1000~10000rpm、または4000~7000rpmの速度で行われ得る。前記速度範囲にあるとき、不活性ガスおよび固相発泡剤が原料内に均等に分散されるためにより有利であり得る。
【0039】
前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤は、それぞれの分子内の反応性基(reactive group)のモル数基準で、1:0.8~1.2のモル当量比、または1:0.9~1.1のモル当量比で混合され得る。ここで、「それぞれの分子内の反応性基のモル数基準」とは、例えば、ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基のモル数と硬化剤の反応性基(アミン基、アルコール基など)のモル数とを基準とすることを意味する。したがって、前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤は、先に例示されたモル当量比を満足する量で単位時間当たりに投入されるように投入速度が調節され、混合過程の間に一定の速度で投入され得る。
【0040】
-反応および空隙形成-
前記ウレタン系プレポリマーと硬化剤とは混合時に相互に反応し、固相のポリウレタンが形成され、次いでシート等に作製される。具体的に、前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基は、前記硬化剤のアミン基、アルコール基等と反応することができる。この時、不活性ガスおよび固相発泡剤は、ウレタン系プレポリマーと硬化剤との反応に関与せず、原料内に均一に分散されて空隙を形成する。
【0041】
また、前記反応速度調整剤は、ウレタン系プレポリマーと硬化剤との間の反応を促進したり、遅延させたりすることで空隙の径を調節する。例えば、前記反応速度調整剤が反応を遅延させる反応遅延剤の場合は、前記原料内に微細に分散されている不活性ガスが互いに合わさる時間が増え、空隙の平均径を増大させることができる。これに対して、前記反応速度調整剤が反応を促進させる反応促進剤の場合は、前記原料内に微細に分散されている不活性ガスが互いに合わさる時間が減り、空隙の平均径を減少させることができる。
【0042】
-成形-
前記成形は、モールド(mold)を用いて行われる。具体的には、ミキシングヘッドなどで十分に撹拌された原料(ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および固相発泡剤を含む混合物)をモールドに注入してモールド内部を満たす。
【0043】
前記混合物を硬化させて、固相化されたケーキ状の成形体が得られる。具体的に、ウレタン系プレポリマーと硬化剤との間の反応はモールド内で完了され、モールドの形状どおりに固相化されたケーキ状の成形体が得られる。
【0044】
その後、得られた成形体を適切にスライスまたは切削して、研磨パッドの作製のためのシートに加工することができる。一例として、最終的に作製される研磨パッド厚さの5~50倍高さのモールドで成形体を成形した後、成形体を同一厚の間隔でスライスして多数の研磨パッド用シートを一度に作製する。この場合、十分な固相化時間を確保するために、反応速度調整剤として反応遅延剤を使用することができ、これにより、モールドの高さを最終的に作製される研磨パッド厚さの約5倍~約50倍に設定してから研磨パッド用シートを作製することができる。しかしながら、スライスされたシートは、モールド内の成形された位置により、異なる径の空隙を有し得る。すなわち、モールドの下部で成形されたシートは微細な径の空隙を有するのに対し、モールドの上部で成形されたシートは下部で成形されたシートに比べて径が大きい空隙を有し得る。
【0045】
したがって、各シート別に均一な径の空隙を有するようにするために、1回の成形で1枚のシートの作製が可能なモールドを用いることが好ましい。このため、前記モールドの高さは、最終的に作製される多孔質ポリウレタン研磨パッドの厚さと大きく差がなくて良い。例えば、前記成形は、最終的に作製される多孔質ポリウレタン研磨パッドの厚さの1~3倍の高さを有するモールドを用いて行われる。より具体的には、前記モールドは、最終的に作製される研磨パッドの厚さの1.1~2.5倍、または1.2~2倍の高さを有し得る。この時、より均一な径の空隙を形成するために、反応速度調整剤として反応促進剤を用いることができる。
【0046】
その後、前記モールドから得られた成形体の上端および下端のそれぞれを切削することができる。例えば、前記成形体の上端および下端のそれぞれを成形体の総厚さの1/3以下、1/22~3/10、または1/12~1/4分ずつ切削することができる。
【0047】
具体的な一例として、前記成形が、最終的に作製される多孔質ポリウレタン研磨パッド厚さの1.2~2倍に相当する高さを有するモールドを用いて行われ、次いで前記成形時に前記モールドから得られた成形体の上端および下端をそれぞれ成形体の総厚さの1/12~1/4分ずつ切削する工程をさらに含むことができる。
【0048】
前記作製方法は、前記切削後、成形体の表面に溝(groove)を加工する工程、下層部との接着工程、検査工程、包装工程等をさらに含むことができる。これらの工程は、通常の研磨パッドの作製方法にて行うことができる。
【0049】
一実施形態に係る多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製方法は、研磨パッドの空隙のサイズおよび分布を調節することにより、作製される前記研磨パッドの研磨性能(研磨率)を調節することができる。
【0050】
また、本発明は、前述のような方法によって作製された多孔質ポリウレタン研磨パッドを提供する。具体的に、前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤を含む研磨パッドであって、厚さが1.5~2.5mmであり、平均空隙径が10~40μmであり、比重が0.7~0.9g/cmであり、25℃における表面硬度が、50~65ショアDであり、引張強度が15~25N/mmであり、伸び率が80~250%であり、空隙の総面積が研磨パッドの総面積を基準に30~60%であり、耐電圧が14~23kVである。
【0051】
具体的には、前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、耐電圧が14~22kVであり得る。
【0052】
前記ウレタン系プレポリマーおよび硬化剤の種類と含有量は、前記作製方法において説明した通りである。
【0053】
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、さまざまな種類の空隙を含むことができ、具体的には互いにサイズが異なる第1空隙および第2空隙を含むことができる。また、前記第1空隙および前記第2空隙はそれぞれ固相発泡剤または不活性ガスを用いて形成され得る。具体的には、前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、反応速度調整剤をさらに含み、互いに大きさが異なる第1空隙および第2空隙を含むことができる。
【0054】
一実施形態において、前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、固相発泡剤から形成された第1空隙、および不活性ガスから形成された第2空隙を含むことができる。前記第1空隙の平均径は、前記固相発泡剤の平均粒径と実質的に同一であり得る。
【0055】
別の実施形態において、前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、第1固相発泡剤から形成された第1空隙、および前記第1固相発泡剤とは平均粒径が異なる第2固相発泡剤から形成された第2空隙を含むことができる。
【0056】
前記第2空隙の総面積のうち5~45%を占める第2-1空隙の径は、第1空隙の平均径よりも5μm以上分小さくてもよく、前記第2空隙の総面積のうち5~45%を占める第2-2空隙の径は、第1空隙の平均径よりも5μm以下分大きくて良い。
【0057】
前記反応速度調整剤の種類および含有量は、前記作製方法で説明した通りである。
【0058】
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドはポリウレタン樹脂からなり、前記ポリウレタン樹脂は、イソシアネート末端基を有するウレタン系プレポリマーに由来するものであり得る。この場合、前記ポリウレタン樹脂は、前記ウレタン系プレポリマーを構成するモノマー単位を含む。
【0059】
前記ポリウレタン樹脂は、500~3000g/molの重量平均分子量を有し得る。具体的には、前記ポリウレタン樹脂は、600~2000g/mol、または700~1500g/molの重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0060】
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、1.5~2.5mmの厚さを有する。具体的には、前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、1.8~2.5mmの厚さを有し得る。研磨パッドの厚さが前記範囲内である時、研磨パッドとしての基本物性を十分に発揮することができる。
【0061】
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、表面に機械的研磨のための溝(groove)を有し得る。前記溝は、機械的研磨のための適切な深さ、幅、および間隔を有することができ、特に限定されない。
【0062】
前記多孔質ポリウレタン研磨パッドは、適切なサイズ分布の空隙を有し、前記空隙は前記研磨パッド全体に均一に配置されることにより、前述したような平均空隙径、比重、表面硬度、引張強度、伸び率、および耐電圧特性を有し得る。つまり、相対的に大きな空隙が均一に配置され、前記大きい空隙の間に小さい空隙が配置されることにより、前記研磨パッドは全体的に、空隙による空きスペースとポリウレタンマトリックスとが均一に分布される構造を有し得る。したがって、前記研磨パッドは、空隙が多い部分および空隙がほぼない部分がほとんどない。これにより、前記研磨パッドは、ウェーハなどのような研磨対象に発生するスクラッチなどを防止することができる。
【0063】
一実施形態に係る多孔質ポリウレタン研磨パッドは、空隙の大きさおよび分布が調節され研磨性能(研磨率)が調整されたものであり得る。
【実施例
【0064】
以下、本発明を下記の実施例によりさらに詳細に説明する。しかしながら、下記実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
-多孔質ポリウレタン研磨パッドの作製-
<1-1:装置の構成>
ウレタン系プレポリマー、硬化剤、不活性ガス注入、および反応速度調整剤のための注入ラインが備えられているキャスティング装置において、プレポリマータンクに未反応NCOの含有量が9.1重量%であるPUGL-550D(SKC社製、重量平均分子量:1200g/mol)を充填し、硬化剤タンクにビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(bis(4-amino-3-chlorophenyl)methane、イシハラ社製)を充填し、不活性ガスとして窒素(N)を、反応速度調整剤として反応促進剤(メーカー:Airproduct、製品名:A1、3級アミン系化合物)を準備した。また、前記ウレタン系プレポリマー100重量部に対して、2重量部の固相発泡剤(メーカー:Akzonobel社、製品名:Expancel-461 DET20 d40、平均粒径:20μm)、および1重量部のシリコーン界面活性剤(メーカー:Evonik社、製品名:B8462)を予め混合してからプレポリマータンクに注入した。
【0066】
<1-2:シートの作製>
それぞれの投入ラインを介してウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、および不活性ガスをミキシングヘッドに一定の速度で投入しながら撹拌した。このとき、ウレタン系プレポリマーのNCO基のモル当量と硬化剤の反応性基のモル当量を1:1に合わせ、合計投入量を10kg/分の速度に維持した。また、不活性ガスは、ウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、およびシリコーン界面活性剤の合計体積の30%の体積で一定に投入し、反応速度調整剤はウレタン系プレポリマー100重量部を基準に1重量部の量で投入した。
【0067】
撹拌された原料をモールド(横1000mm、縦1000mm、高さ3mm)に注入し、固相化させてシートを得た。その後、シート表面は研削盤を使用して研削し、チップを使用して溝を形成する(groove)過程を経て、平均厚さ2mmの多孔質ポリウレタン研磨パッドを作製した。
【0068】
(実施例2)
不活性ガスをウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、およびシリコーン界面活性剤の合計体積の25%の体積で一定に投入したことを除いては、実施例1と同様の方法により、平均厚さ2mmの多孔質ポリウレタン研磨パッドを作製した。
【0069】
(比較例1)
固相発泡剤を使用せず、不活性ガスをウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、およびシリコーン界面活性剤の合計体積の35%の体積で一定に投入したことを除いては、実施例1と同様の方法により、多孔質ポリウレタン研磨パッドを作製した。
【0070】
(比較例2)
不活性ガスをウレタン系プレポリマー、硬化剤、固相発泡剤、反応速度調整剤、およびシリコーン界面活性剤の合計体積の17%の体積で一定に投入したことを除いては、実施例1と同様の方法により、多孔質ポリウレタン研磨パッドを作製した。
【0071】
(試験例)
前記実施例および比較例において作製した研磨パッドについて、下記のような条件および手順により、それぞれの物性を測定し、その結果を下記の表1、および図1図4に示した。
【0072】
(1)硬度
ショアD硬度を測定し、研磨パッドを2cm×2cm(厚さ:約2mm)の大きさに切った後、温度23℃、30℃、50℃、および70℃、湿度50±5%の環境で16時間静置した。その後、硬度計(D型硬度計)を用いて研磨パッドの硬度を測定した。
【0073】
(2)比重
研磨パッドを4cm×8.5cmの長方形(厚さ:2mm)に切った後、温度23±2℃、湿度50±5%の環境で16時間静置した。比重計を用いて研磨パッドの比重を測定した。
【0074】
(3)引張強さ
万能試験機(UTM)を用いて、50mm/分の速度で研磨パッドをテストしながら破断直前の最高強度(又は終局又は極限強度;ultimate strength)値を測定した。
【0075】
(4)伸び率
引張強度の測定方法と同様にテストして、破断直前の最大変形量を測定した後、初期長さに対する最大変形量の比をパーセント(%)で示した。
【0076】
(5)空隙平均径、空隙の面積率、および空隙数
研磨パッドを2cm×2cmの正方形(厚さ:2mm)に切った後、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して100倍で観察した。画像解析ソフトウェアを使用して得られた画像から、全空隙の径を測定し、空隙平均径、単位面積当たりの空隙数、空隙面積率、および空隙径分布図を算出した。実施例1のSEM写真を図1に、実施例2のSEM写真を図2に、比較例1のSEM写真を図3に示した。また、算出された空隙径分布図を図4に示した。
【0077】
(6)耐電圧(break down voltage)
SMEM Instruments社のSM-100BDV(モデル名)、100kV Brake Down Voltage Tester(装置名)を使用して、10ポイントの耐電圧を測定して、その平均値を求めた。
【0078】
具体的には、2cm×2cmの正方形(厚さ:2mm)の研磨パッドを対象に、横4mmおよび縦4mm間隔で前記10ポイントをポイントとして選定した。
【0079】
(7)酸化ケイ素(SiOx)の研磨率
CMP研磨機器にてプラテン上に設けた前記多孔質ポリウレタン研磨パッドに、TEOS-プラズマCVD法で作製した酸化ケイ素膜が形成された直径300mmのシリコンウェーハを、シリコンウェーハの酸化ケイ素膜面を下に方向づけて設置した。その後、121rpmの速度でシリコンウェーハを回転させ、115rpmの速度で60秒間プラテンを回転させ、190ml/分の速度で研磨パッド上にか焼シリカスラリーを投入しながら,1.4psiの研磨荷重で酸化ケイ素膜を研磨した。研磨後、シリコンウェーハをキャリアから外して、スピンドライヤーに装着して精製水(DIW)で洗浄した後、空気により15秒間乾燥した。乾燥されたシリコンウェーハを、光干渉式膜厚測定装置を使用して研磨前後の膜厚変化を測定し、研磨率を計算した。実施例2の研磨率を100%に基準して、実施例および比較例の研磨率を測定した。
【0080】
[表1]
【0081】
表1に示すように、実施例1および2の研磨パッドは、比較例1の研磨パッドに比べて、平均空隙サイズが小さく、同じ面積に対して空隙の数が多く、耐電圧および酸化ケイ素の研磨率が高いことが分かった。また、実施例1および2の研磨パッドは、比較例2の研磨パッドに比べて高い伸び率および適正耐電圧を有しており、酸化ケイ素の研磨率が高いことが分かった。
図1
図2
図3
図4