(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】結合された連続鋳造および金属ストリップ熱間圧延プラント
(51)【国際特許分類】
B21B 1/46 20060101AFI20220104BHJP
B21B 1/26 20060101ALI20220104BHJP
B21B 15/00 20060101ALI20220104BHJP
B21C 47/04 20060101ALI20220104BHJP
B21B 45/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B21B1/46
B21B1/26
B21B15/00 B
B21C47/04
B21B45/00 L
(21)【出願番号】P 2019549431
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(86)【国際出願番号】 IB2018051746
(87)【国際公開番号】W WO2018167711
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】102017000028732
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale,41-33042 Buttrio(UD),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョーロ ルチアーノ
(72)【発明者】
【氏名】グアニェッリ マウロ
【審査官】坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/055972(WO,A1)
【文献】特開2000-061530(JP,A)
【文献】特表2009-508691(JP,A)
【文献】特開平10-277601(JP,A)
【文献】特開2011-235353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00-11/00
B21B 15/00
B21C 45/00-49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブを鋳造する連続鋳造ライン(1)と、
前記スラブを粗仕上し、フィードバーを得る第1の圧延ミル(6)と、
前記フィードバーを仕上げしてストリップを得る第2の圧延ミル(11)と、
メガコイルという名前の、重量
が80乃至250メトリックトン
であるコイル、または、重量が80乃至250メトリックトンで直径
が最大6メートル
であるコイルを巻取り、および巻戻すよう
な寸法にされた少なくとも1つの第1のリール(37、37’)を備えた前記ストリップの集積手段(20)と、
を備えた、金属ストリップのための結合された連続鋳造およびエンドレス圧延プラントにおいて、
前記ストリップの厚みをさらに低減するための少なくとも2つの圧延スタンド(17)を備えた、第3の圧延ミル(18)と、
前記第3の圧延ミル(18)と前記集積手段(20)との間に配置され、前記メガコイルが前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)に巻取られた後に、前記ストリップを切断するように構成された、第1の切断手段(13)と、
前記集積手段(20)から巻戻されたストリップの部位を、所定の重量制限またはコイル直径制限まで、巻取るための少なくとも1つの第2のリール(48)と、
前記集積手段(20)と前記少なくとも1つの第2のリール(48)との間に配置され、前記少なくとも1つの第2のリール(48)に巻取られたストリップの部位が、前記所定の重量制限またはコイル直径制限に到達すると、前記ストリップを切断するように適合した第2の切断手段(47)と、
を備えたことを特徴とする、金属ストリップのための結合された連続鋳造およびエンドレス圧延プラント。
【請求項2】
第1の急速加熱装置(15)および/または第1の急速冷却装置(16)が、前記第2の圧延ミル(11)と前記第3の圧延ミル(18)との間に設けられ、
圧延がオーステナイトレンジに維持される場合、前記第1の急速加熱装置(15)がアクティブとなり、
圧延がオーステナイトレンジからフェライトレンジに変化する場合、前記第1の急速冷却装置(16)がアクティブとなるように適合され
る、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
前記集積手段(20)は、垂直軸の周りに回転するように適合された、回転可能プラットフォーム(38)と一体形成された2つの第1のリール(37、37’)を備え、それにより、二者択一的に、前記2つの第1のリールのうちの一方のリール(37)が、前記第3の圧延ミル(18)から来る前記ストリップの巻取リールとして使用され、前記2つの第1のリールの他方のリール(37’)は、前記ストリップを前記少なくとも1つの第2のリール(48)方向へ供給するために前記ストリップの巻戻しリールとして使用され
る、請求項1または2に記載のプラント。
【請求項4】
前記第3の圧延ミル(18)と前記第1の切断手段(13)との間に、第1のラミナー冷却装置(12)が設けられた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項5】
前記少なくとも2つの圧延スタンド(17)のワークロール間のギャップの自動調整装置が設けられ
、相互に異なる厚みのストリップのストレッチを生成する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプラント。
【請求項6】
前記調整装置は、前記ストリップの厚みの急激な上昇を検出するように適合された、少なくとも1つのストリップ厚みゲージと、前記少なくとも1つのストリップ厚みゲージと協働し、前記第2の切断手段(47)における厚みの急激な上昇を含むストリップの一部を停止するように構成された、自動制御システムと、を備えた、請求項5に記載のプラント。
【請求項7】
前記第1の切断手段(13)と前記集積手段(20)との間に配置された少なくとも2つの巻取システム(14)が設けられた、請求項1乃至6のいずれか一項に記載
のプラント。
【請求項8】
a)前記連続鋳造ライン(1)によりスラブを鋳造する工程と、
b)前記第1の圧延ミル(6)により前記スラブを粗仕上して、フィードバーを得る工程と、
c)前記第2の圧延ミル(11)により、前記フィードバーを仕上げて、ストリップを得る工程と、
d)前記第3の圧延ミル(18)の前記少なくとも2つの圧延スタンド(17)により、前記ストリップの厚みをさらに低減する工程と、
e)前記集積手段(20)の前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)により、前記ストリップを巻取り、メガコイルという名前の、重量が80乃至250メトリックトン
であるコイル、または、重量が80乃至250メトリックトンで直径が最大6メートルであるコイルを形成する工程と、
f)メガコイルが前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)に巻取られた後、前記第1の切断手段(13)により前記ストリップを切断する工程と、
g)前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)に前記ストリップを巻戻し、前記少なくとも1つの第2のリール(48)に前記ストリップの一部を所定の重量制限またはコイル直径制限まで巻取り、それにより第1のコイルを定義する工程と、
h)前記第1のコイルの形成後、前記第2の切断手段(47)により前記ストリップを切断する工程と、
i)前記少なくとも1つの第2のリール(48)に、ストリップの部位を、前記所定の重量制限までまたはコイル直径制限まで巻取り、それにより
さらなるコイルを定義し、前記さらなるコイルの各々を形成後、前記第2の切断手段(47)により
圧延された前記ストリップを切断する工程と、
を備えた、請求項1に記載のプラントに
よる金属ストリップの連続鋳造およびエンドレス圧延プロセス。
【請求項9】
工程c)と工程d)の間に、オーステナイトレンジにおい
て圧延を維持するために第1の急速加熱装置により急速加熱が供給されるか、または、オーステナイトレンジの圧延からフェライトレンジの圧延へ移行させるため
に第1の急速冷却装置により急速冷却が供給される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
工程b)と工程c)との間に、第2の急速加熱装置(8)により急速加熱が供給される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
工程d)の後、ラミナー冷却装置(12)によりラミナー冷却が供給され
、圧延が前記オーステナイトレンジに維持される場合、工程d)と前記ラミナー冷却との間に、第2の急速冷却装置(19)により急速冷却が供給され得る、請求項9または10に記載のプロセス。
【請求項12】
垂直軸の周りに回転するように適合された回転可能プラットフォーム(38)に一体形成された2つの第1のリール(37、37’)が供給される場合、第1のメガコイルが、前記
2つの第1のリール(37、37’)のうちの一方のリール(37’)に巻取られた後、前記回転可
能プラットフォーム(38)が回転し、それにより、前記
2つの第1のリール(37、37’)の他方が、前記ストリップの巻取リールとして使用さて第2のメガコイルを作り、一方前記リール(37’)は、前記第1のメガコイルの巻戻しリールとして使用され、前記少なくとも1つの第2のリール(48)を供給する等、請求項8乃至11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記2つの第1のリール(37、37’)の巻戻し/巻取速度、および前記少なくとも1つの第2のリール(48)上のストリップの切断および巻取速度は、集積手段(20)、第2の切断手段(47)および前記少なくとも1つの第2のリール(48)が、前記第1(6)、第2(11)および第3(18)圧延ミルにおいて、下流の圧延を供給する連続鋳造マシン(1)の時間当たりの速度以上の時間当たりの速度を有するように、ディメンションが設定されている、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記所定の重量制限は、35メトリックトンの最大重量であり
、前記所定のコイル直径制限は2.1メートルに等しいコイルの最大直径である、請求項8乃至13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
相互に異なる厚みを有するストリップのストレッチを作る工程が工程d)に設けられている、請求項8乃至14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
工程d)において、前記プロセスは、前記第1の切断手段(13)と前記集積手段(20)との間に配置された巻取システム(14)に最初に巻取られる1mm以上の厚みを有するストリップを圧延することにより開始し、
次に、前記ストリップは、前記第1の切断手段(13)により切断され、前記切断されたストリップ
の尾端は、巻取システム(14)に巻取られ、一方、前記切断により得られるストリップ
の先端は、前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)の方向に転送され、
前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)が前記ストリップを引っ張った後で、前記少なくとも1つの第1のリール(37、37’)にシームレスに巻取られた異なる厚みのストリップのストレッチを生成する、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
第2の急速加熱装置(8)が、前記第1の圧延ミル(6)と前記第2の圧延ミル(11)との間に設けられる、請求項2に記載のプラント。
【請求項18】
第2の急速冷却装置(19)が、前記第3の圧延ミル(18)の下流直下に設けられ、前記第3の圧延ミル(18)とラミナー冷却装置(12)との間に配置される、請求項2に記載のプラント。
【請求項19】
前記集積手段は、前記2つの第1のリール(37、37’)の1つに巻取られるストリップの先端をより良く受け取るための少なくとも1つの金属ベルトラッパー(46)を備える、請求項3に記載のプラント。
【請求項20】
前記自動調整装置が設けられ、第1のストレッチから連続する第1のストレッチにかけて減少する厚みを有するストリップの複数の第1のストレッチと、第2のストレッチから連続する第2のストレッチにかけて増加する厚みを有する、前記第1のストレッチに連続する、ストリップの複数の第2のストレッチと、を生成する、請求項5に記載のプラント。
【請求項21】
前記第1の急速加熱装置(15)と前記第1の急速冷却装置(16)を二者択一的に、インラインで介挿する、またはオフラインでリトラクトするためのハンドリング装置が設けられる、請求項2に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧延されたストリップを、コイル形状に生成することができる、オーステナイトレンジまたはフェライトレンジの結合された連続鋳造および金属ストリップ熱間圧延プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
薄いスラブの連続鋳造プラント技術の発展は、鋳造が熱間圧延と結合された結合プラントの著しい発展へと導いた。そのようなプラントの一例は、文献EP0980723A2に記載されている。プラントの構成およびインストールされた補助プラントに関連して、異なるディメンション(dimensional)および冶金性能(後者は、プラント出側で得ることができる製品を意味する)により特徴づけられる、3つのタイプの圧延プラントと方法が従来技術で知られている。すなわち、巻取りリールに巻取られた所望のサイズのストリップのコイルが、圧延プロセスの終端でスラブピース毎に得られるようなサイズに、連続鋳造スラブが、スラブピースに切断されるコイル・トゥ・コイル(coil to coil)と、所望のサイズの複数のコイル、例えば、3乃至7コイルに対応するストリップの長さが圧延プロセスの終端でスラブピース毎に得られるようなサイズに、連続鋳造スラブが、スラブピースに切断され、フライングシヤーが連続的に用いられ、巻取リールに巻取られた所望のサイズのコイルを得る、セミエンドレスと、連続鋳造スラブがシームレスに圧延ミルを横断し、フライングシヤーは連続的に用いられて巻取りリールに巻取られた所望のサイズのストリップのコイルを得る、エンドレスと、である。
【0003】
従前の構成の各々の制限を克服するために、製造の柔軟性を高め各製造方法により得られる利点を最大化するように、上記3つの方法に従って製造することを可能にするように構成されたプラントが作られた。
【0004】
この技術の発展にもかかわらず、低炭素鋼の場合には、冷間圧延製品を熱間圧延製品に完全に置換えることを妨げる制限が依然として残る。これは、高品質製品を得るためには、低炭素鋼スラブは、冷間圧延しなければならず、それゆえ、連続鋳造の後すぐに、熱間圧延のみを行うことができないことを意味する。これは、従来技術では、一度製品が熱間圧延の工程を完了すると、残余スケーリングを除去するために酸洗いし、次に冷間圧延しなければならないことを意味する。表面を仕上げるために、アニール処理および、場合によりさらに、焼き戻し圧延が次に行われる。すなわち、製品表面に所望の粗仕上げを与え、弾性から可塑性へ移行するときの不安定さを除去し、ストリッププラナリティ(planarity)を改善することが行われる。最後に、製品は、例えば亜鉛または錫によりコーティングされ、場合により塗料が塗られる(
図7)。1つの工程と次の工程との間で、各処理の終わりで巻取られる製品は、数日間も倉庫に放置されることがある。スラブが、鋳造されてからストリップが、販売準備されるまで約2ヶ月経過することがある。したがって、熱間圧延のための専用圧延ラインと冷間圧延のための専用圧延ラインの、2つの専用圧延ラインが必要であり、製品処理完了時間は、非常に長いというデメリットがある。
【0005】
さらに、冷間圧延ストリップの許容範囲に相当する許容範囲で、0.6-0.8mmのオーダーの最小厚みを得ることができるので、ディメンションの制約は、もはや制限ではないけれども、機械的特性に関連した制限は残る。
【0006】
不都合なことに、ディメンションの観点からは、鋳造と圧延処理の全体が結果的に阻止された状態で、ストリップの先端を操作して導く間のハイリスクのジャミング(jamming)のために、0.6-0.8mmより薄いストリップを切断および巻取る可能性もまた、極めて複雑である。
【0007】
さらに、オーステナイトレンジで圧延しているとき、製品の機械的特性に関連した制限がある。この限定的制約は、変形異方性係数「r」に関連し、この係数は、発現する(develop)特性が異なる結果、冷間圧延の後の焼きなましにより通常得られるものよりも、かなり低い。さらに、最終厚みが減少するにつれ、強度の増加と延性の減少をもたらす、微細構造の精製(refinement of microstructure)がある。これは、熱間圧延ストリップの使用を、曲げ加工の使用のみに制限し、一般的にはモールディング(moulding)の間、非常に低い変形を伴う使用に制限する。従って、冷間圧延製品を熱間圧製品と交換する可能性は、上述した問題により制限される。
【0008】
最後に、周知のプラントにより得ることができる高高強度鋼(AHSS)の現在のレンジは限られており、それによりこれらのプラントで得ることのできる混合タイプの鉄鋼生産を減少させる。それゆえ、上述した欠点を克服することのできる革新的な結合された連続鋳造および金属ストリップ熱間圧延を提供する必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
この発明の主たる目的は、より広範囲の製品を圧延することを可能にし、0.8mmよりもさらに薄い出力厚みを得、それにより従来技術の解決法に対して薄いストリップを操作することの困難性を回避することを可能にさせる結合された連続鋳造および金属ストリップ熱間圧延プラントを提供することである。
【0010】
この発明の他の目的は、従来技術によれば、良好な機械的特性を得るために、冷間圧延をしなければならない製品も連続的な熱間圧延を可能にし、それにより、熱間圧延の後で、冷間圧延サイクルを用いて作られたこれらの製品を交換することができる新製品のためのプラントの全体を通して、そのプロセスから同じ特性が得られるので、処理コストと横断時間(crossing time)を劇的に低減することを可能にするプラントを提供することである。
【0011】
したがって、この発明は、スラブを鋳造する連続鋳造ラインと、スラブを粗仕上し、フィードバー(transfer bar)を得るための第1の圧延ミルと、フィードバーを仕上げ、ストリップを得るための第2の圧延ミルと、前記ストリップの厚みをさらに低減するための、少なくとも2つの圧延スタンドを備えた、第3の圧延ミルと、メガコイルという名前の、重さが80乃至250メトリックトン(metric ton)および/または最大直径が6メートルのコイルを巻取りおよび巻戻すようにディメンションが設定された(dimensioned)少なくとも1つの第1のリールを備えた、前記ストリップの集積手段と、前記第3圧延ミルと前記集積手段との間に配置され、前記メガコイルが少なくとも1つの第1のリールに巻取られた後に、前記ストリップを切断するように構成された第1の切断手段と、前記集積手段から巻戻されたストリップの部位を、所定の重量制限またはコイル直径制限に、巻取る少なくとも1つの第2のリールと、前記集積手段と、前記少なくとも1つの第2のリールとの間に配置され、前記少なくとも1つの第2のリールに巻取られたストリップの部位が、所定の重量制限またはコイル直径制限に到達すると、前記ストリップを切断するように適合された、第2の切断手段と、を備えた、結合された連続鋳造および金属ストリップエンドレス圧延プラントにより、上述した目的に到達することを目的とする。
【0012】
少なくとも1つのリールに巻取られる、前記コイルの第1の重量および/または直径センサーが設けられ、前記メガコイルが、前記少なくとも1つの第1のリールに巻取られると、コマンド信号を前記第1の切断手段に送信する。少なくとも1つの第2のリールに巻取られるコイルの、第2の重量及び/又は直径センサーが設けられ、前記少なくとも第2のリールに巻かれたストリップの一部が、前記所定の重量制限または直径制限に到達すると、前記第2の切断手段にコマンド信号を送信する。
【0013】
この発明の第2の観点は、a)前記連続鋳造ラインによりスラブを鋳造する工程と、b)前記スラブを粗仕上げして、前記第1の圧延ミルによりフィードバーを得る工程と、c)前記フィードバーを仕上げて、前記第2の圧延ミルによりストリップを得る工程と、d)前記第3圧延ミルの前記少なくとも2つの圧延スタンドにより前記ストリップの前記厚みをさらに低減する工程と、e)前記集積手段の少なくとも1つの第1のリールにより、80乃至250メトリックトンの重量および/または直径が最大6メートルのコイルを形成するために、前記ストリップを巻取る工程と、f)前記メガコイルが、前記少なくとも1つの第1のリールに巻取られた後に、前記第1の切断手段により、前記ストリップを切断する工程と、g)前記少なくとも1つの第1のリールに、前記ストリップを巻戻し、所定の重量制限またはコイル直径制限まで、前記少なくとも1つの第2のリールに、ストリップの一部を巻取る工程と、h)前記第1のコイルを形成後、前記第2の切断手段により、前記ストリップを切断する工程と、i)前記所定の重量制限またはコイル直径制限まで、ストリップのさらなる部位を前記少なくとも1つの第2のリールに巻取り、それにより、さらなるコイルの各々を形成した後、前記第2の切断手段により、前記圧延されたストリップを切断することにより、前記さらなるコイル定義する工程と、を備え、上述したプラントにより行われた、金属ストリップの連続鋳造およびエンドレス圧延プロセスを提供する。
【0014】
この記述において、メガコイルは、80乃至250メトリックトンの重みを有し、および/または最大直径が6メートル、望ましくは、3乃至6メートルの、ストリップのコイルを意味する。
【0015】
有利なことに、この発明に従う、メガコイル巻取コンセプトを適用することにより、0.8mm、望ましくは、0.7mmより薄い部分を有するストリップの導入によるジャミング(jamming)のリスクは、ストリップの高速前進(advancement)にもかかわらず、ゼロである。実際、熱間圧延プロセスに関連づけられた鋳造プロセスを有するエンドレス圧延ミルにおいて、熱間圧延ミルからストリップの出力スピードを決定することが、鋳造速度になる。例えば、厚みが110mmのスラブで、6m/minの鋳造速度の場合、1.0mmの厚みのストリップを得るための仕上げミルの出力速度は、660m/minに等しい。さらに、出力ストリップの厚みを、例えば、0.5mmに低減することにより、ストリップの速度は、1320m/minに達する。従って、所望のストリップ厚みを持たせることにより、圧延ミルの出側におけるストリップの巻取り速度もまた2倍になるはずである。そのような前進および巻取速度の場合、ジャミングを回避するために、ストリップの先端を制御し、オンザフライで(on the fly)切断することは、通常の案内装置では、実際には不可能である。それゆえ、この発明のプラントにおいて、メガコイルを巻取る大容量集積手段を提供することは、連続圧延プロセスの信頼度を高めるために極めて有利である。
【0016】
さらなる利点は、より一層コンパクトで多用途のラインを得ることができ、従来技術(
図7)のプロセスを簡単化することができ、それにより、製品処理完了時間を、およそ2か月から1か月に短縮できることにある。特に、販売の準備をするために、3つの熱間圧延ミルを備えるこの発明のプラントの単一圧延レイアウトを横断させると、ストリップは、連続的に酸洗いし、場合により、焼き戻し圧延により表面処理をし、コーティングし、塗料を塗るだけでよい(
図8)。実際、残りの熱処理および圧延処理は、すべて単一の圧延レイアウトに乗って(aboard)行われる。これは、販売を考慮すると、製品の鋳造とその最終仕上げ(finalization)との間の時間を1ヶ月未満に短くすることができる。さらに、この発明の目的であるレイアウトにより、現在もっぱら、冷間圧延プラントで形成されている、DQ(ドローイング品質(Drawing Quality))、DDQ(ディープドローイング品質(Deep-Drawing Quality))、およびEDDQ(エクストラディープドローイング品質(Extra-Deep-Drawing Quality))製品を作ることができ、従来技術のプラントで作られたものと少なくとも同等の特性を有する。
【0017】
有利なことに、この発明のプラントは、仕上げミルの下流に、少なくとも2つのさらなる圧延スタンドを有する第3の圧延ミルを提供し、さらに、この発明の変形例において、この圧延スタンドは、ストリップの厚みをさらに低減することが可能であり、オーステナイトレンジで作動させたいか、それともフェライトレンジで作動させたいかに応じて、急速加熱装置または急速冷却装置を、圧延スタンドより前に、先行させることができる。オーステナイトレンジでの圧延を維持するために、さらなる急速加熱装置を、仕上げミルの上流に、設けることができる。
【0018】
0.8mmよりさらに薄くするために、製品がこれら2つのさらなる圧延スタンドで圧延されるとき、切断と圧延の期間にこの製品を管理する必要性が生じる。実際には、ストリップは、少なくとも1mmの厚みを有したストリップを巻取るのに適した、一般的な巻取リールには送られず、ラミナー冷却ラインにより冷却された後、メガコイルタイプの集積ステーションに送られ、次に、最終巻取りリールに送られる。
【0019】
最終巻取リール上の最終コイルの重さは、重み制限を設定し、任意で、直径制限を設定することにより、自動レベルに固定される。最終コイルが、重量および/または直径センサーにより検出された、2つの上限の1つに達すると、シヤー(shears)を用いて切断を開始する。
【0020】
この発明のプラントの好適実施形態において、メガコイルタイプの集積ステーションは、少なくとも1つのリールと、前記少なくとも1つのリールの上流にある切断手段を備えた切断および巻取り手段に結合される。前記リール上に、例えば、重量が35メトリックトン、望ましくは8乃至35メトリックトンまでのコイルを得るような、10乃至20kg/mmの特定重量を有したストリップのコイルが生成されると、すぐに、切断手段によりストリップが切断される。プラントは、例えば、場合により、異なる厚みと重量の5乃至8のコイルが得られる、メガコイルを完全に巻戻すまで、この作業方法を継続する。このような実施形態は、0.5乃至1.0mmの最終ストリップ厚みを提供する。
【0021】
周知のように、特定重量は、プラントにより処理されるコイルの重量を定義するために、鉄鋼業界で使用される方法である。たとえば、18kg/mmは、コイルの重さ(kg)を計算するために、ストリップの幅(mm)を特定重量(kg/mm)で乗算するのに十分であることを意味する。
【0022】
異なる厚みを有するメガコイルを形成するストリップのストレッチの場合、第3の圧延ミルの圧延スタンドは、最終製品要件および製品バッチ(batch)の所望の厚みに従って、ストリップのすべてのストレッチが等しくてもよいし、又は、異なってもよい、特定の厚みに圧延するようにプログラムされる。
【0023】
作業方法は、極薄ストリップキャンペーンが開始されると、ジャミングのリスクを最小にするような厚み、例えば、1mm以上の厚みのストリップが最初に圧延され、当初は、一般的巻取システムに巻取られる。厚みを1mm未満に減少させることを開始し、異なる厚みのストリップのストレッチを得ることを所望するとき、ストリップは、フライング切断シヤー(flying cutting shear)により切断される。切断されたストリップの尾端は、一般的なリールにすでに巻取られたコイルの周りに巻かれ、一方切断により得られたストリップの先端は、例えば、メガコイルのための2つのリールからなる集積手段方向へ転送される。これらのメガコイルリールの一方への巻取りは、一巻目の巻取を促すベルトラッパー(belt wrapper)により促される。巻取リールがストリップを引っ張ると、ラッパーが開き、徐々に、第3圧延ミルのスタンドが、異なる厚みで圧延を開始し、それにより、少なくとも1mmの初期厚みに対して、厚みを減少させ、次に増加させたストリップのストレッチを製造し、メガコイル巻取リールにシームレスに巻取られる。
【0024】
有利に、プラントの中心ラインからのベルトの偏位は、適当な光学センサーにより測定することができ、低摩擦で移動を可能にするために、スライドに取り付けられたメガコイル巻取リールを、センタリングシステムが移動させ、この移動は、油圧アクチュエータにより制御される。従属請求項はこの発明の好適実施形態を記載する。
【0025】
この発明のさらなる特徴と利点は、添付した図面を用いて非限定的例により説明される、結合された鋳造および金属ストリップ圧延プラントの、好適ではあるが、これに限定されない実施形態の詳細な記述の観点からより明らかになるであろう。図中における同じ参照符号は同じエレメントまたはコンポーネントを指す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、この発明によるプラントの一実施形態の概略図である。
【
図3】
図3は、デュアルストリップ巻取および巻戻しシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、上述したデュアルストリップ巻取および巻戻しシステムの作業工程である。
【
図5】
図5は、エンドレス圧延が常にオーステナイトレンジで行われるプラントの一部の温度傾向の一例である。
【
図6】
図6は、エンドレス圧延が、最初にオーステナイトレンジで行われ、次に、フェライトレンジで行われるプラントの一部の温度傾向の一例である。
【
図7】
図7は、従来技術に従うプラントのブロックチャートである。
【
図8】
図8は、この発明に従うプラントのブロックチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至6は、ストリップのコイルを得るためにエンドレスモードでストリップを得るために薄いスラブの連続鋳造と圧延が結合されたプラントの好適実施形態を示す。ストリップの素材は、望ましくは鋼鉄である。
【0028】
すべての実施形態においてこの発明の目的であるプラントは、スラブ、望ましくは、30乃至140mmの間の厚みを有するスラブを鋳造するための連続鋳造マシン1と、スラブの熱仕上げを行い、ブランク(blank)、すなわち、いわゆる転送バー(transfer bar)を得るように、望ましくは、1乃至4つの圧延スタンドを備えた、第1の圧延ミル6または粗仕上げミルと、フィードバーの熱仕上げを行い、ストリップを得るために、望ましくは、3つ乃至7つの圧延スタンドを備えた第2の圧延ミル1または仕上げミルと、少なくとも2つの圧延スタンド17を備え、前記ストリップの厚みをさらに低減するための第3の圧延ミル18であって、前記少なくとも2つの圧延スタンド17は、望ましくは4つのハイスタンドまたは、さらに望ましくは、6つのハイスタンドである、第3の圧延ミル18と、メガコイルという名前の、重量が、80乃至250メトリックトンおよび/または直径が、6メートル、望ましくは、3乃至6メートルのコイルを巻取りおよび巻戻すように、ディメンションが設定された、少なくとも1つの第1の大容量リール37、37’を備えたストリップの集積手段20と、所定の重量制限またはコイル直径制限までストリップの一部を巻取るための少なくとも1つのリール48と、前記集積手段20と前記少なくとも1つのリール48との間に配置され、前記少なくとも1つのリール48に巻取られたストリップの一部が、前記所定の重量制限またはコイル直径制限に到達すると、前記ストリップを切断するように適合された、切断手段47と、を備えた切断および巻取ライン21を、連続して備える。
【0029】
有利には、第3の圧延ミル18および特定の集積手段20を設けることにより、プロセスから派生するジャミングのリスクを回避しながら、場合により、異なる厚みと品質、さらには、非常に薄い製品さえも得ることが可能である。
【0030】
この発明のプラントのすべての実施形態に共通である好適変形例において、集積手段20は、例えば、回転可能なプラットフォームの対向端に固定された、回転可能なプラットフォーム38に一体形成された2つの大容量リール37、37’を備える。このプラットフォーム38は、メガコイルが、2つの大容量リール37、37’に巻取られる所定の時間期間の後、垂直軸に関して、例えば180度回転することができるので、二者択一的に、リール37は、第3の圧延ミル18から来る連続ストリップの巻取リールとして使用され、リール37’は、前記少なくとも1つのリール48の方へ供給するための連続ストリップの巻戻しリールとして使用される。リール37、37’は望ましくは、重量250メトリックトン、あるいは直径6メートルまでの大きなサイズのコイルの重量を支持することができる厚い管または金属棒で形成される。
【0031】
メガコイルを得るために、熱間圧延ストリップの先端を受け入れる準備がされたリール37または37’の周りに巻取る、金属ベルトラッパー46が、有利に備えられている。重量が、80乃至250メトリックトンおよび/または直径が、最大6メートル、望ましくは3乃至6メートルのコイルが2つのリール37、37’の一方に巻取られると、ストリップを切断するように構成された、切断手段13が、回転可能なプラットフォーム38の上流に設けられる。専用の重量及び/または直径センサーは、コイルの、重量制限、例えば、250メトリックトン、または直径制限、例えば6メートルに到達すると、コマンド信号を切断手段13に送る。回転可能なプラットフォーム38の180度の回転は、この切断の後に生じる。
【0032】
これらの切断手段13は、望ましくは、例えば、最大約25m/sのストリップの前進速度で、オンザフライで(on the fly)切断するように形成されたフライング切断シヤー(flying cutting shears)から構成される。代わりに、切断手段47は、望ましくは、据付けのシヤー(static shear)で構成される。
【0033】
ストリップのデュアル巻取/巻戻しシステムを定義する回転可能なプラットフォーム38は、例えば、ラックシステム(rack system)により駆動することができる。その回転は、制御ユニットにより制御され、例えば、電気または油圧モーター45、および回転可能なプラットフォーム38上に取り付けられたラックと噛み合わされたギアボックスとピニオンにより構成される。
【0034】
それぞれのリール37、37の回転制御44、43、および41、40は、第3圧延ミル18から来るストリップの巻取回転と、前記少なくとも1のリール48方向へ前記ストリップを巻戻す回転を、別個に制御するように、相互に独立している。回転可能なプラットフォーム38の180度の回転の間、回転制御44、43および41、40は、リトラクト(retract)されるそれぞれの可動ジョイント39、42により、それぞれのリール37、37’から結合が解除される。リール37、37’に巻取られおよび巻戻されるストリップは、位置が正しく保たれ、対応する油圧シリンダー33、33’により制御されるそれぞれの心棒(mandrel)34、34の軸方向運動により中心に据えられる。
【0035】
さらに、この場合も先と同様に、この発明のすべての実施形態に共通して、連続鋳造マシン1の下流に、例えば、緊急の場合にスラブを切断するための、オシレーティング(oscillating)シヤーのような任意のシヤー2と、スラブの温度を維持するか、同じにするか、または増加させる任意のトンネル炉3と、無駄を少なくし、歩留まりを改善するために、スラブの幅を低減し、得たいと思うストリップの幅に近づけるための少なくとも1つのオプションの垂直圧延スタンド4(エッジャー)、または少なくとも1つのオプションのプレス(press)と、粗仕上ミル6の直近の上流に設けられた、任意の第1のディスケーリング装置5と、緊急の場合または不規則な形状を有する可能性がある端部を除去するために、フィードバーを切断し、それにより仕上げミル11のワークロールの破損を回避するとともに、破損により生じる消耗の発生に伴うジャミングの可能性を低減する、任意のシヤー7と、電力が調節され、粗仕上の期間に製品が失う温度を回復し、それによりオーステナイトレンジに残る仕上げミルに入るように適切に活性化され得る、例えば、誘導加熱装置のような任意の急速加熱装置8と、仕上げミル11の直近の上流にある任意の第2のディスケーリング装置10と、第3の圧延ミル18の少なくとも2つの圧延スタンド17の下流および切断手段13の直近の上流に位置する、例えば、ローラーテーブルの形状の、任意のラミナー冷却装置12であって、前記ローラーテーブルは圧延されるストリップの上面および下面に、ラミナー冷却システムを備える、ラミナー冷却装置12と、例えば、切断手段13の下流に配置され、ピンチローラーおよびデフレクター(deflector)、巻取リール、および巻取ロールおよびコイルアンロード(unload)システムを備えた、少なくとも2つの任意の巻取システム14であって、前記巻取システムは極薄の厚みのために2つの圧延スタンド17を使用せずに1乃至25mmの一般的な厚みに圧延されたストリップを巻取るのに使用される、巻取システム14と、を連続して備える。
【0036】
有利なことに、例えば、誘導加熱装置のような急速加熱装置15および/または、例えば、ストリップの上面および下面の両方に、冷却液のスプレーまたはブレード(blade)を生成する装置のような急速冷却装置16が、仕上げミル11と第3の圧延ミル18との間に設けられる。
【0037】
急速加熱装置15は、圧延が、少なくとも圧延スタンド17においても、オーステナイトレンジに維持される場合、活性化されるように適合され、一方、第1の急速冷却装置16は、圧延がオーステナイトレンジからフェライトレンジに変化する場合に活性化されるように適合される。
【0038】
第3の圧延ミル18の直近の下流およびラミナー冷却装置12の上流には、新しく圧延された製品の温度を低減し、高駆動力の結果として微細構造の精製を達成する目的のために、さらなる急速冷却装置19が設けられる。
【0039】
この発明の好適実施形態において、
図1および2に示されるように、回転可能なプラットフォーム38および2つのリール37、37’を備えた集積手段20の下流において、切断および巻取ライン22は、据付切断シヤー47と少なくとも2つのリール48を備え、有利には、所定の重量制限、例えば、10乃至20kg/mmの特定重量まで、ストリップの部位を巻取るように形成され、それにより最大35メトリックトン、望ましくは重量が8乃至35メトリックトンで、望ましくは、最大直径が2.1メートルまでのコイルを得る。例えば、2つだけのリール48、もしくは3つ以上のリール48を設けることができる。
【0040】
変形例は、据え付け切断シヤーの代わりに、フライングカッティングシヤー(flying cutting shears)の使用を提供し、2つの別個のリール48の代替として、リールのカローゼル(carousels of reels)の使用を提供する。カローゼルは、一般に、各々が互いに正反対の2つのリールを有し、回転トラムにヒンジ(hinged)され、圧延されたストリップを二者択一的に巻取る。2つのリールの一方が最終コイルを巻取っているとき、他方が従前に巻取った最終コイルを解放する。この発明のプラントのこの実施形態の動作のいくつかの有利な方法は、以下(
図1~4)に記載される。
【0041】
第1の有利な動作方法において、圧延は、常にオーステナイトレンジ6、11、18にある圧延トレーン(train)6、11、18に設けられる。この第1の方法で行われるプロセスは、例えば、30と140mmの間にあり、望ましくは80mmと140mmの間の厚みを有する薄いスラブを連続鋳造マシン1により鋳造するステップと、トンネル加熱炉3により、スラブの温度を、任意に、維持するか、同じにするか、または高くするステップと、スラブの幅を任意に低減し、少なくとも1つの垂直圧延スタンド4が設けられている場合には、それにより、得られるストリップの幅に近づけるステップと、粗仕上の前に、第1のディスケーリング装置5により、スラブのスケール除去を任意に行ステップと、粗仕上ミル6によりスラブの熱粗仕上を行い、望ましくは、約5-50mmの厚みのフィードバーを生成するステップと、フィードバーを切断するシヤー7が設けられている場合には、緊急時に、または不規則な形状を有する可能性がある端部を除去するためにシヤー7を任意でアクティブにするステップと、急速加熱装置8、例えば、誘導加熱装置によりフィードバーを任意に加熱し、粗仕上の間に製品が失った温度を回復し、オーステナイトレンジに残っている仕上げトレーン11に入る、第2のディスケーリング装置10が設けられている場合には、仕上げの前に、フィードスラブ(transfer slab)を任意にディスケールする、仕上げミル11によりフィードスラブの熱仕上げを行い、望ましくは約1-25mmの厚みのストリップを得る、急速加熱装置15により、ストリップを任意に加熱し、仕上げの間に、製品が失った温度を回復し、オーステナイトレンジに残る圧延ミル18に入るステップと、第3の圧延トレーン18により、ストリップの厚みを、望ましくは、0.5-1mmにさらに低減するステップと、さらなる急速冷却装置19によりストリップを任意に冷却して、ストリップの温度を低減し、微細構造の精製を得るステップと、ラミナー冷却装置12によりストリップを任意に冷却するステップと、を連続して備える。
【0042】
この第1の動作方法において、ストリップは、まだオーステナイトレンジにある連続圧延のための適切な温度を維持するように、仕上げミル11の出側で、急速加熱装置15、例えば、インダクターにより加熱されることができる。この方法は、仕上げミル11と少なくとも2つの圧延スタンド17との間のフェーズ(phase)の移行を防止する。温度傾向の一例は、
図5に示され、この図において、番号は、
図1に示されるコンポーネントを指す。
【0043】
ストリップは、少なくとも2つの圧延スタンド17で圧延され、0.8mmより薄い厚み、例えば0.7mmより薄い厚みを得る。高速圧延速度および極薄厚みを考慮すると、スタンド17は、よりよいプラナリティ(planarity)制御を達成するために6つのハイスタンドタイプであることが望ましい。
【0044】
少なくとも2つ、望ましくは2つの圧延スタンド17の出側で、ストリップは、さらなる急速冷却装置19により加速された冷却を受けることができる。後者は、ラミナーの冷却装置12と組み合わせて、適当な冷却サイクルを適用することにより、AHSSスチール(DP、TRP、CP、MS)を得ることを可能にする。これらのスチールは、グレードに依存する最小の圧延厚みを有する。2つのスタンド17は、急速加熱装置15により、これらのスタンドに先行する誘導加熱と共に、最小圧延厚みを低減することを可能にする。この2つのスタンド17は、また、超微細粒の、したがって、含有率が低い化学成分を有した高強度のストリップを得ることを可能にする、いわゆる変形誘導フェライト変態(DIFT)圧延を得るように非対象圧延プロセスを適用することができるような方法で設計される。冷却装置12におけるラミナー冷却の後、連続ストリップは、集積手段20に入り、例えば、回転可能なプラットフォーム38(
図3)の大容量リール37に巻取られる。
【0045】
図4は、回転可能なプラットフォーム38のフルレート(at full rate)における作業シーケンスを図式的に示す。第1の工程(
図4a)において、リール37は、ストリップのメガコイルの巻取を開始し、一方、リール37’は、従前に巻取られた他方のメガコイルを、リール48方向へ巻戻しを開始する。第2の工程(
図4b)において、リール37’が他方のメガコイルの巻戻しを完了し、空のままの状態の間、リール37は、ストリップのメガコイルの巻取を完了し、巻取は、中断され、ストリップは、回転可能なプラットフォーム38の上流で、切断手段13により切断されるので、切断されたストリップの尾端は、巻取られ、メガコイルの形成を完了する。したがって、回転可能なプラットフォーム38は、前記リール37が、リール48へ向かうストリップの巻戻し位置を取るように、回転し始める。リール37へのメガコイルの巻取を完了したとき、リール37’がまだ空でない場合、切断手段13による切断で得られたストリップの先端は、一般的な巻取システム14に便宜的に巻取ることができるような厚みのストリップを生成できるように、プラントを調整した、一般的な巻取システム14に転送される。リール37’からのメガコイルの巻戻しを完了すると、回転可能なプラットフォーム38は、リール37が巻戻し位置を取るように、回転し始める。
【0046】
第3の工程(
図4c)において、リール37が巻戻し位置にある状態で、ストリップは、リール37からリール48へ向けて巻戻され、一方、リール37’は、ストリップの新しいメガコイルを巻取り始める。2つのリール37、37’の1つからストリップを巻戻している間、ストリップは、切断および巻取ライン21に導かれる。リール48が、20kg/mmを超えない特定重量、望ましくは10乃至20kg/mmを有し、35メトリックトンを超えない最大重量を有する第1のコイルを巻取るとき、巻戻しリール37または37’は、停止し、専用センサーがコマンド信号を据付切断シヤー(static cutting shears)47に送信し、据付切断シヤー47は、リール48に巻取られるストリップを切断し、第1のコイルがリール48からアンロードされる。シヤー47の切断により得られたストリップの先端は、さらなるリール48に導かれ、上述した、コイルの特定重量、重さまたは最大直径を有するさらなるリール48に第2のコイルが得られるまで、巻戻しリール37または37’からの巻戻しが再開する。
【0047】
この作業方法を用いたプロセスは、5乃至8コイルが得られるメガコイルのリール48への巻戻しが完了するまで継続する。第3の圧延ミル18を用いることなく、プラントに作業を行わせることが望ましい場合には、1乃至25mmの一般的な厚みに圧延されたストリップを巻取システム14に巻取らせることができる。代わりに、第2の有利な動作方法において、圧延が、フェライトレンジで圧延ミル18に提供される。
【0048】
この第2の方法で行われたプロセスは、ストリップが、急速加熱装置15によるストリップの加熱の代わりに、急速冷却装置16により冷却されることを除いて、第1の方法で行われたものと同じである。これは、粗仕上ミル6および仕上げミル11の両方で生じる、オーステナイトレンジでの圧延から、第3の圧延ミル18における、フェライトレンジでの圧延に移行することを可能にする。さらに、フェライトレンジでの圧延に移行する場合に、圧延ミル18の下流で、さらに、急速冷却装置19を使用することはない。
【0049】
特に、第1の変形例において、急速加熱装置15は、オフラインでリトラクトされ、一方急速冷却装置16は、インラインで介挿されるので、圧延ミル18の圧延スタンド17に入る前のストリップは、すでに所望のサイクルを達成するのに最も適した温度でフェライトレンジにすでに存在する。実際、直接使用(それゆえ、変形および巻取温度が十分に高い)のための巻取の後、再結晶化された微細構造を得ることを望むのか、それとも、再結晶化するために下流の焼きなまし処理を必要とする生の微細構造を得ることを望むのかによって、フェライト圧延のいくつかのタイプがある。変形と巻取温度を制御することによる、異なるサイクル間の違いは、再結晶化後、それゆえ、多かれ少なかれ、延性と成形性特性(一般的な言い方では、延性特性は、低い圧延温度により促進される)における強制改良後のフェライト粒子の異なる特性(texture)にある。温度傾向の一例は、
図6に示され、番号は、
図1に示すコンポーネントを指す。
【0050】
操作装置は、望ましくは、二者択一的に、急速加熱装置15および第1の急速冷却装置16を、インラインで介挿するかまたはオフラインでリトラクトするために設けられる。有利なことに、この発明のプラントのすべての実施形態において、圧延ミル18の少なくとも2つの圧延スタンド17のワークロール間のギャップを自動的に調整するための装置を設けることができる。
【0051】
前記調整装置は、例えば、厚みおよびストリップスピードゲージと協働する調整コントローラを備え、その測定値は、コントローラにより使用され、圧延スタンド17のメインアクチュエータのパラメータを変更し、特に、ワークロールの回転モーターの速度およびトルクを変更すると共に、ワークロール間のギャップを制御する油圧カプセルの位置を変更する。
【0052】
これらの調整装置は、ワーキングロール間で異なる厚みのストリップのストレッチを生成することを可能にし、望ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、ストリップの初期ストレッチの場合には、第1の初期ストレッチから、中央ストレッチまでの連続する次のストレッチにかけて減少する厚みを有し、前記中央ストレッチに連続する、ストリップの最終ストレッチの場合、前記中央ストレッチに対して厚みを増加し、第1の最終ストレッチから最後の最終ストレッチまで増加した厚みを有する。異なる厚みのストリップのストレッチのシーケンスは、例えば、以下であり得る。1.0mmの厚みで、20メトリックトンの重さの第1のストレッチ、0.8mmの厚みで、20メトリックトンの重さの第2のストレッチ、0.6mmの厚みで、20メトリックトンの重さの第3のストレッチ、0.5mmの厚みで、100メトリックトンの重さの第4のストレッチ、0.6mmの厚みで、10メトリックトンの重さの第5のストレッチ、0.8mmの厚みで、10メトリックトンの重さの第6のストレッチ、そして、1.0mmの厚みである、ストリップの最後のストレッチに戻る。
【0053】
有利なことに、第1のストレッチは、0.8mmより大きい厚みに圧延されるので、切断手段13、望ましくはフライングシヤーで切断し、オンザフライで、集積手段20で得られたストリップの先端を、例えば、リール37に導くことが容易である。
【0054】
この時点で、圧延スタンド17の出側における厚みは、集積手段20の異なる厚みのストリップの長さから構成される、直径が、3乃至6メートルで、重みが、80乃至250メトリックトンのメガコイルを、シームレスに巻取ることにより、漸次低減することができる。
ストリップの最後のストレッチは、ストリップの先端をフライングシヤー13で、オンザフライで切断し、ストリップの先端を臨機応変に、一般的な巻取システム14に導くように、0.8mmを超える厚みに再び圧延される。
【0055】
上述した例では、異なる厚みのストレッチを有したストリップの180メトリックトンのメガコイルが、集積手段に巻取られる。尾端は、巻取リール37の前に配置されたピンチローラーおよびデフレクター51によりロックされる。0.8mmより厚いストリップの第1のストレッチと最後のストレッチを有する場合、メガコイルは、リール37に完全に巻取られ、0.8mm以下の厚みを有するストリップの中間ストレッチを有する場合、メガコイルは、回転可能なプラットフォーム38の回転により変位される。この位置に到達すると、リール37から巻戻される準備ができたメガコイルと新しい巻取シーケンスを開始する準備ができた、巻取位置にある巻取リール37’がある。
【0056】
この時点で、メガコイルは、リール37から巻戻しが開始され、切断および巻取ライン22に導かれ、異なる厚みのストリップのストレッチが、10乃至20kg/mmの特定重量のコイルに分割され、それにより最大35メトリックトン、望ましくは、8乃至35メトリックトンの重さのコイルを得る。この発明のプラントの実施形態において、異なる厚みのストリップのストレッチは、据付シヤー(static shear)47により識別されて分離され、ストリップの対応するコイルは、リール48をそなえる適当な巻取およびアンローディングステーションに巻取られる。ストリップの厚みの急激な上昇を検出する厚みゲージが有利に設けられ、自動コマンドがシヤー47における厚みの大幅な伸びを含むストリップの部位を停止させるので、等しい厚みのストリップの部位が、コイルを形成するためにリール48に巻取られる。
【0057】
集積手段20の巻戻し/巻取速度と、切断サイクルと、リール48への巻取は、下流の圧延プロセスを供給する連続鋳造マシンの時間当たりの製造レートに等しいかそれよりも高い時間当たりの製造レートを、切断および巻取ライン22が有するようにディメンションが設定される。
【0058】
結合された連続鋳造および金属ストリップ熱間圧延プラントのさらなる変形例は、代わりに、「コイル・トゥ・コイル」動作を提供する。この動作では、圧延の処理の終わりで、圧延ミル6および11においてのみ、厚みの減少により、巻取リール14に直接巻取られた所望のサイズのストリップのコイルが、スラブのピース毎に得られるようなサイズに、連続鋳造スラブが、シヤー2または7により、スラブのピースに切断される。この変形例において、非再結晶化温度より低い温度で仕上げミルに入るために、加熱がオーステナイトレンジにとどまる必要がないとき、アクティブになることができる、急速冷却装置9が設けられる。
【0059】
この記述において、急速冷却装置9、16、19は、例えば、ノズルにより、または搬送穴だけにより、圧縮された液体を使用することができる、ストリップの上面および下面の両方に液体のブレード(blades)またはスプレーを生成するための装置である。