(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/01 20060101AFI20220127BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20220127BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
H02J3/01
H02J3/00 170
H02J3/38 160
(21)【出願番号】P 2019549529
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2019091990
(87)【国際公開番号】W WO2019242666
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2019-09-06
(31)【優先権主張番号】201810635901.6
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519325061
【氏名又は名称】国网内蒙古▲東▼部▲電▼力有限公司▲電▼力科学研究院
(73)【特許権者】
【識別番号】519325072
【氏名又は名称】国家▲電▼网有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲衛▼明
(72)【発明者】
【氏名】任 正
(72)【発明者】
【氏名】王 建波
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 朋威
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 会斌
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 春▲暉▼
(72)【発明者】
【氏名】杜 智超
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-322498(JP,A)
【文献】特開2003-066082(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104883109(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102592026(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105429304(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/01
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重給電型風力発電機セットの数学的モデルに基づいて、二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルを構築することと、
前記二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルに従って、電力システムフルデジタル実時間シミュレーションシステムADPSSを用いてウィンドファームに対して電磁過渡シミュレーション計算を行い、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流及び高調波電圧を得ることと、
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流と高調波電流閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧と高調波電圧閾値とを比較し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流又は高調波電圧が規格を超えたか否かを判断することと、
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が規格を超えた場合、アクティブフィルタを設計し、アクティブフィルタを含むウィンドファーム電磁過渡モデルを構築するとともに、高調波電流に対する整備効果を検証することとを含
み、
前記二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルは、発電機コンバータモデルと、風力伝動軸制御モデルと、ピッチ角制御モデルと、電気制御モデルとを含み、
前記発電機コンバータモデルは、有効制御チャネルと無効制御チャネルとを含み、前記有効制御チャネルは、前記電気制御モデルにより算出された励磁電圧制御信号を入力信号として有効電流信号を出力し、前記無効制御チャネルは、前記電気制御モデルにより算出された有効電流制御信号を入力信号として無効電流信号を出力し、
前記風力伝動軸制御モデルは、羽根車慣性モーメントと発電機慣性モーメントとを含み、羽根車からの空気動力と発電機からの電磁トルクとを2つの入力として、且つピッチ角を調節することで羽根車と発電機回転子との速度偏差を得て、
前記ピッチ角制御モデルは、第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分は、発電機の回転速度ω
g
を入力信号として、比例・積分PI制御過程によってピッチ制御信号を与え、更に、発電機の電力P
ord
を入力信号として、補正過程によってピッチ補正信号を与え、第2の部分は、ピッチ制御信号とピッチ補正信号との和を入力として、PI制御・積分過程によって最後にピッチ角βを出力し、前記ピッチ角制御モデルにおいて、発電機の電力P
ord
がP
MX
よりも大きいか、又は発電機の回転速度ω
g
が回転速度の参照値よりも大きい場合、前記二重給電型風力発電機セットは、前記発電機の回転速度を減少するように快速可変ピッチの方法を用いてピッチ角を増加させ、
前記電気制御モデルは、風力発電管理システムWPMSモデルと、励磁コントローラと、力率コントローラとを含み、前記WPMSモデルは、ウィンドファーム電圧無効制御を模擬し、前記励磁コントローラは、コンバータ/励磁システムを模擬し、前記力率コントローラは、風力発電機系統連系点の力率を監視する、二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法。
【請求項2】
前記二重給電型風力発電機セットの数学的モデルは、以下の通りであり、
【数1】
ただし、固定子、回転子の磁束鎖交は、以下の通りに表し、
【数2】
発電機の電磁トルク及び回転子の運動方程式は、以下の通りであり、
【数3】
式中、pは、微分演算子を表し、添え字s及びrは、それぞれ発電機の固定子及び回転
子を表し、L
s、L
r、L
mは、それぞれ固定子の自己インダクタンス、回転子の自己インダクタンス及び固定子と回転子との間の相互インダクタンスを表し、添え字d、qは、それぞれdq0の座標でのd軸及びq軸上の量を表し、u、i、φ、Rは、それぞれ電圧、電流、磁束鎖交及び抵抗を表し、ωは、回転子角速度であり、sは、スリップ率であり、T
eは、電磁トルクであり、T
mは、発電機の機械トルクであり、T
Jは、回転子の慣性時定数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流を得ることは、
ウィンドファームに配電網が接続された後に配電網への注入を許容する高調波電流閾値を計算することと、
構築された前記二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルに従って、前記ADPS
Sを用いてシミュレーション計算を行い、ライン上のウィンドファームから系統連系点へ流れるシミュレーション電流波形を得ることと、
前記シミュレーション電流波形を離散フーリエ変換し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値を得ることと、
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値と高調波電流閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値が前記高調波電流閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値が前記高調波電流閾値以上である場合、規格を超えたとみなされることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧を得ることは、
電力品質-ユーティリティグリッド高調波規定規格に応じて、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が系統連系点で生じた毎回の高調波電圧含有率及び電圧全高調波歪み率を計算し、ただし、
配電網のh回目の高調波電圧含有率は、以下の通りであり、
【数4】
式中、U
Nは、配電網の公称電圧であり、S
kは、共通接続点の三相短絡容量であり、I
hは、h回目の高調波電流であり、
電圧全高調波歪み率は、以下の通りであり、
【数5】
式中、NRU
hは、h回目の高調波電圧含有率であることと、
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が共通点で誘起した配電網の毎回の高調波電圧含有率と配電網の毎回の高調波電圧含有率閾値と比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流は共通点で誘起した高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流は共通点で誘起した高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値以上である場合、規格を超えたとみなされることと、
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧が共通点で誘起した電圧全高調波歪み率と電圧全高調波歪み率閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値以上である場合、規格を超えたとみなされることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アクティブフィルタを設計し、アクティブフィルタを含むウィンドファームの電磁過渡モデルを構築することを更に含み、前記アクティブフィルタを設計し、アクティブフィルタを含むウィンドファームの電磁過渡モデルを構築することは、
風力発電機セットが生じた規格を超えた回数の高調波電流を除去し、風力発電機セットが生じた高調波電流に基づいて、アクティブフィルタを設計するとともに、前記アクティブフィルタをウィンドファームのブースターステーション側に装着し、アクティブフィルタを含むウィンドファームの電磁過渡モデルを構築することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年06月20日に中国専利局に出願された出願番号が第201810635901.6号の中国専利出願の優先権を主張し、当該出願の全部内容を参照によって本発明に援用される。
【0002】
本発明は、配電網の電力品質評価の技術分野に関し、例えば、二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内モンゴル自治区は地域が広がり、資源が豊富で、中国の重要なエネルギー源、重化学工業、冶金、建材などの原材料生産と輸出基地である。エネルギー資源の豊富と経済社会の発展の独特な特徴により、内モンゴル自治区は、資源の大規模開発とプロセス変換の急速な発展期にあり、風力発電、太陽光発電などの新エネルギーを主体とする重型化産業構造が短期間で根本的に変えにくいことに加えて、風力発電、太陽光発電などの新エネルギーの急速な発展により、風力発電、太陽光発電などの新エネルギーは、国家電網―内モンゴル東部電力有限公司(以下、蒙東電網と称する)の典型的な非線形高調波ソースとなっている。
【0004】
風力発電システムは、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換システムである。再生可能なエネルギーとして風力エネルギーの開発と利用が近年に注目を集め、既に大量の風力発電システムが稼動し、様々な風力発電技術がますます成熟している。内モンゴル東部地区は、中国が計画した8つの千万キロワットレベルの風力発電基地の1つとして、地域風力エネルギー資源の技術的に開発可能な量は、約1.1億キロワットである。2015年蒙東電網の電力供給区域内での風力発電量の累積は、30.16億キロワット時に達し、前年同期比で2.1%増加した。2015年までに、内モンゴル東部地区の風力発電設備容量は、815萬キロワットに達し、前年同期比で8.6%増加し、風力発電設備容量は、地域全設備容量の33%を占めた。
【0005】
蒙東電網は、クリーンエネルギーの発展を高度に重視し、配電網建設の加速促進、電力需要側管理の強化、熱供給設備の運転管理の強化、システムピーキング潜在力の十分な発掘などの従来の対策上に潜在力を持続的に掘り下げるとともに、一連の革新的な対策を推進し、風力発電の本地消耗を促進している。「十二五計画」期間、内モンゴル東部地区は、「大電源、小負荷」の特性及び自己配電網フレームの弱さといった不利な条件を克服し、様々な対策を講じ、風力発電の消耗を積極的に促進し、クリーンエネルギーの発展を推進した。
【0006】
蒙東電網の電力供給範囲内では、配電網構造は相対的に弱い。超高電圧交流・直流混合接続配電網の急速な建設に伴い、大量の新エネルギー(風力発電、太陽光発電など)が系統連系し、蒙東電網の電力品質問題がますます顕著になり、蒙東電網は「クリーンエネルギーを奉献し、調和社会を建設する」を使命とし、新エネルギー発展へのサービス提供を重要な政治責任と社会責任として、風力発電産業の発展を積極的に支援する。近年、内モンゴル東部地区の風力発電新エネルギーの発電は急速に発展し、多数のウィンドファームが配電網に接続されて稼働しており、現在、蒙東電網は全国で風力発電の消耗レベルが一番であり、発展が最も早い省級配電網となっていた。それと同時に、新エネルギー系統連系発電の出力電力は、ウィンドファームの風速の動的な変動により、大きなランダムな変動が存在し、間欠的な電力変動は、配電網の電力品質に悪影響を及ぼす。通常、新エネルギー発電システムは、大部分が電気電子装置系統連系を使用し、電気電子装置による電圧電流高調波は不可避であり、さらに、配電網の非対称故障による負シーケンス電圧及び配電網自体の電圧高調波は、新エネルギー発電所のコンバータと相互作用し、コンバータが追加高調波電流を発生させ、新エネルギー接続が配電網の電力品質に大きな影響を及ぼす。したがって、どのようにウィンドファーム系統連系が配電網の電力品質に及ぼす影響を分析し、システム内の高調波電圧及び高調波電流の分布状況を決定するかは、依然として直面している状況である。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本明細書で詳述されている主題概要である。本概要は、特許請求の保護範囲を限定することを意図しているものではない。
【0008】
本発明は、二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法を提供しており、可変速・可変ピッチ二重給電型風力発電機セットの数学的モデルに基づいて、二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルを構築し、電力システムフルデジタル実時間シミュレーションシステム(Advanced Digital Power System Simulator、ADPSS)のウィンドファームシミュレーション計算及び高調波分析、並びに高調波が規格を超えた場合に対して設計したアクティブフィルタの電磁過渡モデルに基づいて、内モンゴル東部地区の大規模なウィンドファームが配電網への接続による高調波影響に対する評価に重要な指導意義を有する。
【0009】
本発明で使用される技術案は、二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法であり、当該方法は、二重給電型風力発電機セットの数学的モデルに基づいて、二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルを構築することと、ADPSSシミュレーションシステムを用いて、前記二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルに基づいて、ウィンドファームに対して電磁過渡シミュレーション計算を行い、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流及び高調波電圧を得ることと、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流と高調波電流閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧と高調波電圧閾値とを比較し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流又は高調波電圧が規格を超えたか否かを判断することと、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が規格を超えた場合、アクティブフィルタを設計し、アクティブフィルタを含むウィンドファームの電磁過渡モデルを構築するとともに、高調波電流に対する整備効果を検証することとを含む。
【0010】
一実施例において、前記二重給電型風力発電機セットの数学的モデルは、以下の通りである。
【0011】
【0012】
ただし、固定子、回転子の磁束鎖交は、以下の通りに表す。
【0013】
【0014】
発電機の電磁トルク及び回転子の運動方程式は、以下の通りである。
【0015】
【0016】
式中、pは、微分演算子を表し、添え字s及びrは、それぞれ発電機の固定子及び回転子を表し、Ls、Lr、Lmは、それぞれ固定子の自己インダクタンス、回転子の自己インダクタンス及び固定子と回転子との間の相互インダクタンスを表し、添え字d、qは、それぞれdq0の座標でのd軸及びq軸上の量を表し、u、i、φ、Rは、それぞれ電圧、電流、磁束鎖交及び抵抗を表し、ωは、回転子角速度であり、sは、スリップ率であり、Teは、電磁トルクであり、Tmは、発電機の機械トルクであり、TJは、回転子の慣性時定数である。
【0017】
一実施例において、前記二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルは、発電機コンバータモデルと、風力伝動軸制御モデルと、ピッチ角制御モデルと、電気制御モデルとを含み、前記発電機コンバータモデルは、有効制御チャネルと無効制御チャネルとを含み、有効制御チャネルは、電気制御モデルにより算出された励磁電圧制御信号を入力信号として有効電流信号を出力し、無効制御チャネルは、電気制御モデルにより算出された有効電流制御信号を入力信号として無効電流信号を出力し、前記風力伝動軸制御モデルは、羽根車慣性モーメントと発電機慣性モーメントとの2部分を含み、羽根車と発電機との間にばねを用いて連結し、羽根車からの空気動力と発電機からの電磁電力を2つの入力として、且つピッチ角を調節することで、羽根車と発電機回転子との速度偏差を得て、前記ピッチ角制御モデルは、第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分は、発電機の回転速度ωgを入力信号として、比例・積分(Proportion Integration、PI)制御過程によってピッチ制御信号を与え、更に、発電機の電力Pordを入力信号として、補正過程によってピッチ補正信号を与え、第2の部分は、ピッチ制御信号とピッチ補正信号との和を入力として、PI制御・積分過程によって最後にピッチ角βを出力し、前記ピッチ角制御モデルにおいて、発電機に伝送された電力PordがPMXよりも大きいか、又は発電機の回転速度ωgが回転速度の参照値よりも大きい場合、風力発電機セットは、発電機の回転速度を減少するように快速可変ピッチの方法を用いてピッチ角を増加させ、前記電気制御モデルは、風力発電管理システム(Wind Power Management System、WPMS)モデルと、励磁コントローラと、力率コントローラとを含み、WPMSモデルは、ウィンドファーム電圧無効制御を模擬し、励磁コントローラは、コンバータ/励磁システムを模擬し、力率コントローラは、風力発電機系統連系点の力率を監視する。
【0018】
一実施例において、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流の計算方法は以下の通りである。ウィンドファームが接続された後に配電網への注入を許容する高調波電流閾値を計算し、構築された二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルに従って、ADPSSシミュレーションプラットフォームを用いてシミュレーション計算を行い、ライン上のウィンドファームから系統連系点へ流れる電流波形を得て、シミュレーションで得られた電流波形を離散フーリエ変換し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値を得て、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値と高調波電流閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値が前記高調波電流閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値が前記高調波電流閾値以上である場合、規格を超えたとみなされる。
【0019】
一実施例において、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧の計算方法は以下の通りである。電力品質―ユーティリティグリッド高調波規定規格に応じて、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が系統連系点で生じた配電網の毎回の高調波電圧含有率及び電圧全高調波歪み率を計算する。ただし、
配電網のh回目の高調波電圧含有率は、以下の通りである。
【0020】
【0021】
式中、UNは、配電網の公称電圧であり、Skは、共通接続点の三相短絡容量であり、Ihは、h回目の高調波電流であり、
電圧全高調波歪み率は、以下の通りである。
【0022】
【0023】
式中、NRUhは、h回目の高調波電圧含有率である。
【0024】
ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が共通点で誘起した配電網の毎回の高調波電圧含有率と配電網の毎回の高調波電圧含有率閾値とを比較し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流は共通点で誘起した高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値よりも小さい場合、合格を示し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流は共通点で誘起した高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値以上である場合、規格を超えたとみなされ、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧が共通点で誘起した電圧全高調波歪み率と電圧全高調波歪み率閾値とを比較し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値よりも小さい場合、合格を示し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値以上である場合、規格を超えたとみなされる。
【0025】
一実施例において、前記アクティブフィルタを設計し、アクティブフィルタを含むウィンドファームの電磁過渡モデルを構築する方法は、風力発電機セットが生じた規格を超えた回数の高調波電流を除去し、風力発電機セットが生じた高調波電流に基づいて、アクティブフィルタを設計するとともに、当該アクティブフィルタをウィンドファームのブースターステーション側に装着し、アクティブフィルタが装着されたウィンドファームの電磁過渡モデルを構築することである。
【0026】
本発明は、図面及び詳細な説明を閲読し理解することで、他の態様も理解できる。
【0027】
本発明の一部を構成する添付図面は、本発明に対するさらなる理解を提供するために提供されたものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明を説明するためのものであり、本発明を不適当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法のフロー図である。
【
図2】二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルの全体ブロック図である。
【
図3】発電機コンバータ制御モデルのブロック図である。
【
図6】
アクティブフィルタが装着されていないウィンドファームの電磁過渡モデルの模
式図である。
【
図7】
烏套海ウィンドファームの共通接続点(PCC)での電流波形の模式図である。
【
図8】
アクティブフィルタが装着されたウィンドファームの電磁過渡モデルの模式図で
ある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明について更に説明する。
【0030】
以下の詳細な説明は、例示的なものであり、本願に対するさらなる説明を提供することを意図していることは明らかである。特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0031】
本明細書で使用される用語は、単に具体的な実施形態を説明するためのものであり、本発明による例示的な実施形態を限定することを意図していないことを注意すべきである。本明細書で使用される単数形は、文脈が明確に指示しない限り、複数形を含むことを意図し、また、本明細書において、用語「含まれる」及び/又は「含む」を使用する場合、特徴、ステップ、操作、部品、アセンブリ及び/又はそれらの組み合わせが存在することを示すことを更に理解すべきである。
【0032】
背景技術で紹介されたように、関連技術における風力発電機セットの配電網に対する高調波影響について、モデリング、シミュレーション、評価及び整備の系統的分析及び検証を全面的に行う研究は、相対的に少ないが、本発明は、内モンゴル東部地区の二重給電型風力発電機セットの配電網に対する高調波影響を把握し、系統的にモデリング、シミュレーション、評価及び整備の検証を研究するために、二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法を提出する。
【0033】
図1に示すように、本発明の実施例は、二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法を提供しており、当該方法は以下のステップを含む。
【0034】
ステップ1は、二重給電型風力発電機セットの数学的モデルに基づいて、二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルを構築することである。
【0035】
前記二重給電型風力発電機セットの数学的モデルは、以下の通りである。
【0036】
【0037】
ただし、固定子、回転子の磁束鎖交は、以下の通りに表す。
【0038】
【0039】
発電機の電磁トルク及び回転子の運動方程式は、以下の通りである。
【0040】
【0041】
式中、pは、微分演算子を表し、添え字s及びrは、それぞれ発電機の固定子及び回転子を表し、Ls、Lr、Lmは、それぞれ固定子、回転子の自己インダクタンス及び固定子と回転子との間の相互インダクタンスを表し、添え字d、qは、それぞれdq0の座標でのd軸及びq軸上の量を表し、u、i、φ、Rは、それぞれ電圧、電流、磁束鎖交及び抵抗を表し、ωは、回転子角速度であり、sは、スリップ率であり、Teは、電磁トルクであり、Tmは、発電機の機械トルクであり、TJは、回転子の慣性時定数である。
【0042】
ADPSSプラットフォームを用いて前記二重給電型風力発電機セットに対して電磁過渡モデリングを行うステップは、エンジニアリングデータの入力、ネットワークの分割、タスクの割り当てと提出、計算の実行と結果の出力という複数の部分である。電磁過渡モデリングでは、グラフィカルな方法を用いてシステムモデルの回路図を作成し、システムグラフィックスを制御し、ダイアログ方法でパラメータを入力する。素子は単線図又は複数線図で表示でき、素子の表示スタイルはユーザによりカスタマイズできる。回路図は階層的に表示でき、且つ明確な構造を持つ「多層嵌着」構造を有する。
【0043】
図2に示すように、前記二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルは、発電機コンバータモデルと、風力伝動軸制御モデルと、ピッチ角制御モデルと、電気制御モデルとを含む。
【0044】
図3に示すように、前記発電機コンバータモデルは、有効制御チャネルと無効制御チャネルとを含み、有効制御チャネルは、電気制御モデルにより算出された有効電流制御信号を入力信号として有効信号を出力し、無効制御チャネルは、電気制御モデルにより算出された励磁電圧制御信号を入力信号として無効信号を出力する。
【0045】
前記風力伝動軸制御モデルは、羽根車慣性モーメントと発電機慣性モーメントとの2部分を含み、羽根車と発電機との間にばねを用いて連結し、羽根車からの空気動力と発電機からの電磁電力を2つの入力として、且つピッチ角を調節することで、羽根車と発電機回転子との速度偏差を得る。
【0046】
図4に示すように、前記ピッチ角制御モデルは、第1の部分と第2の部分とを含み、第1の部分は、発電機回転速度ωgを入力信号として、PI制御過程によってピッチ制御信号を与え、更に、発電機の電力Pordを入力信号として、補正過程によってピッチ補正信号を与え、第2の部分は、ピッチ制御信号とピッチ補正信号との和を入力として、PI制御・積分過程によって最後にピッチ角βを出力する。
【0047】
前記ピッチ角制御モデルにおいて、発電機に伝送された電力PordがPMXよりも大きいか、又は発電機回転速度ωgが回転速度の参照値よりも大きい場合、風力発電機セットは、発電機の回転速度を減少するように快速可変ピッチの方法を用いてピッチ角を増加させる。
【0048】
図5に示すように、前記電気制御モデルは、WPMSモデルと、励磁コントローラと、力率コントローラとを含み、WPMSモデルは、ウィンドファーム電圧無効制御を模擬し、励磁コントローラは、コンバータ/励磁システムを模擬し、力率コントローラは、風力発電機系統連系点の力率を監視する。
【0049】
ステップ2は、ADPSSシミュレーションシステムを用いてウィンドファームに対して電磁過渡シミュレーション計算を行い、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流及び生じた高調波電圧を得る。
【0050】
前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流の計算方法は以下の通りである。中国規格GB/T14549-1993《電力品質―ユーティリティグリッド高調波》に基づいて、共通接続点PCCでの高調波電流の割り当て原則について、同一の共通接続点での各ユーザから配電網に注入される高調波電流許容値は、このユーザが当該点での契約容量とその共通接続点での電力供給設備の容量との割合で割り当られ、ウィンドファームが接続された後に配電網への注入を許容する高調波電流閾値を計算し、構築された二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルに従って、ADPSSシミュレーションプラットフォームを用いて計算し、ライン上のウィンドファームから系統連系点に流れる電流波形を得て、ラインは、ウィンドファームと前記ウィンドファームが接続した変電所との間のラインであり、シミュレーションで得られた電流波形を離散フーリエ変換(DFT)し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値を得て、N点列について、その離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform、DFT)は以下の通りである。
【0051】
【0052】
前記ウィンドファームに配電網が接続された後に生じた高調波電圧の計算方法は以下の通りである。中国規格GB/T14549-1993《電力品質―ユーティリティグリッド高調波》に基づいて、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が系統連系点で生じた配電網のh回目の高調波電圧含有率を計算し、その結果は以下の通りである。
【0053】
【0054】
式中、UNは、配電網の公称電圧であり、Skは、共通接続点の三相短絡容量であり、Ihは、h回目の高調波電流である。
電圧全高調波歪み率は、以下の通りである。
【0055】
【0056】
ステップ3は、高調波電流と高調波電流閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧と高調波電圧閾値とを比較し、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流又は高調波電圧が規格を超えたか否かを判断することである。
【0057】
得られた高調波電流と閾値とを比較するステップは、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値と高調波電流閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値が前記高調波電流閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値が前記高調波電流閾値以上である場合、規格を超えたとみなされることを含む。
【0058】
得られた高調波電圧と閾値とを比較するステップは、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が系統連系点で生じた配電網の毎回の高調波電圧含有率と毎回の高調波電圧含有率閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流は共通点で誘起した高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流は共通点で誘起した高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値以上である場合、規格を超えたとみなされ、ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率と電圧全高調波歪み率閾値とを比較し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値よりも小さい場合、合格を示し、前記ウィンドファームから配電網に注入される高調波電圧は共通点で誘起した電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値以上である場合、規格を超えたとみなされる。
【0059】
ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が規格を超えた場合、アクティブフィルタを設計し、アクティブフィルタを含むウィンドファーム電磁過渡モデルを構築するとともに、高調波電流に対する整備効果を検証する。
【0060】
風力発電機セットが生じた規格を超えた回数の高調波電流を除去し、風力発電機セットが生じた高調波電流に基づいて、アクティブフィルタを設計するとともに、当該アクティブフィルタをウィンドファームのブースターステーション側に装着し、アクティブフィルタが装着されたウィンドファームの電磁過渡モデルを構築し、そして再度シミュレーション計算を行い、アクティブフィルタが装着された後にウィンドファームから配電網に注入される高調波電流を得て、アクティブフィルタが装着された前後のウィンドファームから配電網に注入される高調波電流を比較し、アクティブフィルタが装着されたウィンドファームの電磁過渡モデルの有効性を検証する。
【0061】
関連技術における風力発電機セットの配電網に対する高調波影響について、モデリング、シミュレーション、評価及び整備の系統的分析及び検証を全面的に行う研究は、相対的に少ない。これに対し、本発明に係る二重給電型風力発電機セット系統連系の高調波分析及び整備方法は、可変速・可変ピッチ二重給電型風力発電機セットの数学的モデルに基づいて、二重給電型風力発電機セットの電磁過渡モデルを構築し、ADPSSのウィンドファームシミュレーション計算及び高調波分析、並びに高調波が規格を超えた場合に設計したアクティブフィルタの電磁過渡モデルに基づいて、内モンゴル東部地区の大規模なウィンドファームが配電網への接続による高調波影響に対する評価に重要な指導意義を有する。
【0062】
当業者が本発明をよりよく理解するために、具体的な実施例を以下に例示し、内モンゴル華電克旗烏套海ウィンドファームを例としてモデリング分析し、内モンゴル華電克旗烏套海ウィンドファームの計画設備容量は、350MWであり、2階段で建設され、第1の段階の設備容量は49.5MWであり、第2の段階は、第1の段階の南側に位置し、設備容量は300MWである。内モンゴル華電克旗烏套海ウィンドファームの2階段工事の占有面積は98km3であり、300MWの設備容量を持つ1500kWの風力発電機セットを200台取り付けた。
【0063】
ADPSSプログラムに構築された電磁過渡モデルを、図6に示す。
【0064】
1、高調波計算分析
(1)高調波電流計算及び結論
ウィンドファームは、1500kWの二重給電型非同期モータを234台選択し、220kVの電圧レベルでシステムに接続した。
短絡容量がSk1である時に、h回目の高調波電流許容値は、以下の通りである。
【0065】
【0066】
式中、Sk1は、共通接続点での最小短絡容量であり、Sk2は、基準短絡容量であり、Ihpは、中国規格GB/T14549-1993《電力品質―ユーティリティグリッド高調波》規定に応じたh回目の高調波電流許容値であり、Ihは、短絡容量がSk1である時のh回目の高調波電流許容値である。
【0067】
中国規格GB/T14549-1993《電力品質―ユーティリティグリッド高調波》に基づいて、共通接続点PCCでの高調波電流の割り当て原則について、同一の共通接続点での各ユーザから配電網に注入される高調波電流許容値は、このユーザが当該点での契約容量とその共通接続点での電力供給設備の容量との割合で割り当られる。
【0068】
共通接続点でのi個目のユーザのh回目の高調波電流許容値は以下の通りである。
【0069】
【0070】
ただし、Siは、i個目のユーザの電力使用契約容量であり、Stは、共通接続点での電力供給設備容量であり、αは、位相重畳係数であり、Si=350MVA(第2の階段の風力発電容量)であり、St=1524MVAである。
【0071】
構築されたウィンドファーム電磁過渡モデルに従って、烏套海ウィンドファームの実際状況を参照しながら、ADPSSプログラムを用いて高調波分析シミュレーション計算を行うことで得られた烏套海ウィンドファームの共通接続点(Point of Common Coupling、PCC)での電流波形を、図7に示す。
【0072】
シミュレーションで得られた時間領域の波形をDFTし、烏套海ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流値を得る。中国規格に基づいて共通点で烏套海ウィンドファームから注入されることを許容する高調波電流閾値を計算し、ウィンドファームの電磁過渡モデルにより算出されたウィンドファームで生じた高調波電流値と閾値とを比較し、ウィンドファームで生じた高調波電流値が閾値よりも小さいと、合格を示し、ウィンドファームで生じた高調波電流値が閾値以上であると、規格を超えたとみなされ、具体的な比較結果を、表1に示す。
【0073】
【0074】
計算結果によると、今回計算されたウィンドファームから共通点に注入される毎回の高調波電流は、3、5、7回目で大きく、高調波電流閾値を超え、対応するアクティブフィルタを取り付ける必要がある。
【0075】
(2)高調波電圧の計算及び結論
配電網のh回目の高調波電圧含有率は、以下の通りである。
【0076】
【0077】
式中、UNは、配電網の公称電圧であり、UN=220kVであり、Skは、共通接続点の三相短絡容量であり、Sk=1987MVAであり、Ihは、h回目の高調波電流である。
【0078】
電圧全高調波歪み率は、以下の通りである。
【0079】
【0080】
式中、NRUhは、h回目の高調波電圧含有率である。
【0081】
以上に計算されたウィンドファームで生じた高調波電流が共通点で誘起した配電網の毎回の高調波含有率及び電圧全高調波歪み率と、中国規格に規定される220kVのユーティリティグリッドの毎回の高調波電圧含有率及び電圧全高調波歪み率閾値とを比較し、高調波電圧含有率が高調波電圧含有率閾値よりも小さく、電圧全高調波歪み率が電圧全高調波歪み率閾値よりも小さいと、合格を示し、そうでなければ、規格を超えたとみなされ、具体的な比較結果を、表2に示す。
【0082】
【0083】
ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流が共通点で誘起した電圧全高調波歪み率と、中国規格に規定される220kVのユーティリティグリッドの電圧全高調波歪み率閾値との比較結果を次表に示す。
【0084】
【0085】
計算結果によると、烏套海ウィンドファームの共通点で誘起した配電網の毎回の高調波電圧含有率は、いずれも合格であり、規格を超えず、220kVの電圧全高調波歪み率も合格であり、中国規格の要求を満たす。
【0086】
2、ウィンドファームの高調波整備
(1)ウィンドファームのアクティブフィルタ設計及びそのモデル
烏套海ウィンドファームは、共通接続点で一定の高調波成分が存在し、相対的に大きな高調波成分は、3、5、7回目であり、そのうち、最も大きな高調波電流は、3回目の高調波である。配電網に接続される時に、各レベルのバスバーは、一定の電圧歪みが発生したが、許容範囲内にある。
【0087】
烏套海ウィンドファームから共通接続点(楊樹溝門ステーション、220kVバスバー)に注入される3、5、7回目の高調波電流は相対的に大きく、いずれも許容値を超えており、そのうち、3回目の高調波電流が最も大きい。必要に応じて、3、5、7回目の高調波電流を除去することを目標とするアクティブフィルタを設計し、ウィンドファームのブースターステーションの35kV側に装着するとともに、アクティブフィルタが装着されたウィンドファームの電磁過渡モデルを構築し、図8に示すように、そのうちの赤色の枠内にはアクティブフィルタがある。当該アクティブフィルタが装着されたウィンドファームの電磁過渡モデルを用いてウィンドファームで生じた高調波電流を補正し、高調波ソースの共通接続点への高調波電流の注入及び誘起した高調波電圧歪みを除去又は減少することで、電力品質を向上する。
【0088】
(2)アクティブフィルタが装着された後の高調波分析
アクティブフィルタが装着された後に、再度烏套海ウィンドファームの高調波分析計算を行う。アクティブフィルタが装着された後に、烏套海ウィンドファームから共通接続点(楊樹溝門ステーション、220kVバスバー)に注入される毎回の高調波電流をシミュレーションで計算し、閾値と比較し、比較結果を、表4に示す。
【0089】
【0090】
アクティブフィルタが装着された後の烏套海ウィンドファームから共通接続点(楊樹溝門ステーション、220kVバスバー)に注入される毎回の高調波電流を比較し、アクティブフィルタが装着される前に比較して、いずれも低減し、いずれも許容範囲内にある。そのうち、3回目の高調波電流は、元の5.7Aから1.7Aに低減した。
【0091】
上記のシミュレーション計算分析によると、本発明に設計されるアクティブフィルタは、烏套海ウィンドファームから配電網に注入される高調波電流成分を効果的に低減し、毎回の高調波電圧含有率及び全高調波電圧歪み率を低減することにより、ウィンドファームのシステムへの接続による高調波影響は、中国規格高調波標準を満たす。