(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】肺超音波のための目標プローブ配置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61B8/14 ZDM
(21)【出願番号】P 2019551729
(86)(22)【出願日】2017-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2017082054
(87)【国際公開番号】W WO2018108742
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ラジュ バラサンダー イヤヴ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ショウガン
(72)【発明者】
【氏名】シュリーニバサ ナイドゥ ラーガヴェーンドラ
(72)【発明者】
【氏名】キム スンス
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド マッキー ドゥーン
(72)【発明者】
【氏名】シュ チンピン
【審査官】宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0239959(US,A1)
【文献】国際公開第2016/046140(WO,A1)
【文献】特開2018-102736(JP,A)
【文献】特開2015-100506(JP,A)
【文献】特開2009-56125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者からの超音波エコーを受信して、前記被検者のある領域を撮像する超音波プローブと、
前記超音波プローブと通信するデータプロセッサとを備える超音波撮像システムであって、前記データプロセッサは、
1つ又は複数の候補胸膜ライン、及び前記候補胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインを識別し、
前記Aラインのうちの少なくとも1つのAラインのAライン強度を計算し、
計算された前記Aライン強度を適用して、胸膜ライン識別のための前記領域の撮像のための前記超音波プローブの目標配置を示す、超音波撮像システム。
【請求項2】
前記データプロセッサと通信するユーザインターフェースをさらに含み、前記ユーザインターフェースは、前記超音波プローブの前記目標配置
をユーザに知らせる、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項3】
前記目標配置が満たされるとき、計算された前記Aライン強度は所定の閾値を超える、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項4】
前記目標配置は、前記超音波プローブの位置又は向きを含む、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項5】
前記データプロセッサはさらに、1つ又は複数の候補胸膜ラインが所定の胸膜ライン強度閾値を満たすか否かを決定することによって、1つ又は複数の候補胸膜ラインを却下する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項6】
前記データプロセッサはさらに、1つ又は複数の候補胸膜ラインの推定深度に対応する超音波データフレームの1つ又は複数の部分領域を識別する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項7】
前記データプロセッサはさらに、1つ又は複数のAラインの推定深度に対応する超音波データフレームの1つ又は複数の部分領域を識別する、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項8】
前記データプロセッサはさらに、第1の時間に測定された第1のAライン強度と、第2の時間に測定された第2のAライン強度とを特定し、ここで、前記第1の時間は前記第2の時間とは異なる、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項9】
前記データプロセッサはさらにAライン強度変動を特定し、前記Aライン強度変動は、前記第1のAライン強度と前記第2のAライン強度との間の強度差に等しい、請求項8に記載の超音波撮像システム。
【請求項10】
前記ユーザインターフェースは、前記ユーザにインジケータを提供することによって前記ユーザに通知を行い、前記インジケータは、前記
超音波プローブが前記目標配置にあるときに「オン」状態であるか、又は前記
超音波プローブが前記目標配置にないときに「オフ」状態であるような絶対的信号を提供する、請求項2に記載の超音波撮像システム。
【請求項11】
前記ユーザインターフェースは、前記ユーザにインジケータを提供することによって前記ユーザに通知を行い、前記インジケータは、前記超音波プローブの位置変更又は向き変更に起因するAライン強度の変動に応じて変化する相対的信号を提供する、請求項2に記載の超音波撮像システム。
【請求項12】
前記1つ又は複数のAラインは、前記1つ又は複数の候補胸膜ラインの深さの整数倍の深さに現れる、請求項1に記載の超音波撮像システム。
【請求項13】
超音波プローブを介して肺組織の領域の画像データを取得するステップと、
前記画像データを使用して、1つ又は複数の候補胸膜ライン、及び前記候補胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインを識別するステップと、
前記Aラインのうちの少なくとも1つのAラインのAライン強度を計算するステップと、
前記領域の画像データ取得中に胸膜ラインを識別するために、計算された前記Aライン強度を適用して前記超音波プローブの目標配置を示すステップとを含む、方法。
【請求項14】
ユーザインターフェースを介して、前記超音波プローブの前記目標配置をユーザに通知するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記目標配置が満たされるとき、計算された前記Aライン強度は所定の閾値を超える、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記目標配置は、前記超音波プローブの位置又は向きを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記画像データを使用して1つ又は複数の候補胸膜ラインを検出するステップは、1つ又は複数の未識別ラインが所定の深度範囲内にあるか否かを決定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記画像データを使用して1つ又は複数の候補胸膜ラインを検出するステップは、1つ又は複数の未識別ラインが所定の胸膜ライン強度閾値を満たすか否かを決定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記画像データを使用して1つ又は複数のAラインを検出するステップは、前記
画像データにハフ変換を適用するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記画像データを使用して1つ又は複数のAラインを検出するステップは、前記肺組織の前記領域内の1つ又は複数の横方向位置において検出されたピーク強度レベルに対応する深度を決定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
実行されると、医療用撮像システムの1つ又は複数のプロセッサに請求項13
から20のいずれか一項に記載の方法を実行させる実行可能命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/433,330号の利益及び当該出願に基づく優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[001] 肺超音波は、超音波トランスデューサを肋間腔に沿って、肋骨に対して長手方向に垂直に及び斜めに配置することによって行うことができる。現在、肺超音波は様々な典型的疾患、例えば気胸(「PTX」)、肺炎、肺水腫などを診断するために使用されている。胸壁と肺との間の境界を示す胸膜ライン(pleural line)は、肺超音波スキャン中に特定される最初のかつ最重要な特徴のうちの1つであり得る。胸膜ラインの評価はしばしば、lung sliding、Bライン視覚化、及び/又は肺コンソリデーションなどの追加の肺特徴を特定するための出発点を提供する。そのため、胸膜ラインの不正確なイメージング及び/又はキャラクタライゼーションは、下流の医学的分析を妨害する可能性がある。従来の技術を用いた胸膜ラインの視覚化は、特に経験の浅い超音波使用者にとっては困難であり得る。胸膜ラインを検出及び/又は視覚化するためのより正確でユーザフレンドリな、そして場合によっては自動化されたアプローチのための技術が望まれ得る。
【発明の概要】
【0003】
[002] 本明細書は、改良された胸膜ラインの識別及びイメージングのための超音波システム及び方法を提供する。様々な例が、超音波エコーを反響させることによって生成される視覚的アーチファクトを識別し処理する。「Aライン」と呼ばれることもあるこれらのアーチファクトは、特にエコー源性の特徴、例えば胸膜界面などを撮像する際に現れることがある。一部の例では、胸膜界面で反射する超音波エコーが最も強いときにAラインが特に明るくなり、これは、撮像を行っている超音波プローブが、超音波の強度を増強する特定の配置に位置決め及び/又は方向付けされたときに生じ得る。本明細書に開示されるシステムは、超音波エコーを受信する超音波プローブと、候補胸膜ライン及びAラインを処理し、少なくとも1つのAラインの強度を計算し、計算された強度を適用して胸膜ライン識別のためのプローブの目標配置を決定するように構成されたデータプロセッサとを含み得る。
【0004】
[003] 一部の例によれば、超音波撮像システムは、被検者からの超音波エコーを受信して、前記被検者のある領域を撮像する超音波プローブを含み得る。超音波撮像システムは、前記超音波プローブと通信するデータプロセッサをさらに含み得る。前記データプロセッサは、1つ又は複数の候補胸膜ライン、及び前記候補胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインを識別し、前記Aラインのうちの少なくとも1つのAラインのAライン強度を計算し、計算された前記Aライン強度を適用して、胸膜ライン識別のための前記領域の撮像のための前記超音波プローブの目標配置を示すよう構成され得る。一部の例では、超音波システムはさらに、前記データプロセッサと通信するユーザインターフェースを含み得る。前記ユーザインターフェースは、前記超音波プローブの前記目標配置をユーザに知らせるように構成され得る。
【0005】
[004] 一部の実施形態では、前記目標配置が満たされるとき、計算された前記Aライン強度は所定の閾値を超え得る。一部の例では、前記目標配置は、前記超音波プローブの位置又は向きを含み得る。
【0006】
[005] 一部の実施形態では、前記データプロセッサはさらに、1つ又は複数の候補胸膜ラインが所定の胸膜ライン強度閾値を満たすか否かを決定することによって、1つ又は複数の候補胸膜ラインを却下するように構成され得る。一部の実施形態では、前記データプロセッサはさらに、1つ又は複数の候補胸膜ラインの推定深度に対応する超音波データフレームの1つ又は複数の部分領域を識別するように構成され得る。一部の例では、前記データプロセッサはさらに、1つ又は複数のAラインの推定深度に対応する超音波データフレームの1つ又は複数の部分領域を識別するように構成され得る。一部の実施形態では、前記データプロセッサはさらに、第1の時間に測定された第1のAライン強度と、第2の時間に測定された第2のAライン強度とを特定するように構成され、ここで、前記第1の時間は前記第2の時間とは異なる。一部の実施形態では、前記データプロセッサはさらにAライン強度変動を特定するように構成され、前記Aライン強度変動は、前記第1のAライン強度と前記第2のAライン強度との間の強度差に等しい。
【0007】
[006] 一部の例では、前記ユーザインターフェースは、前記ユーザにインジケータを提供することによって前記ユーザに通知を行うように構成され、前記インジケータは、前記プローブが前記目標配置にあるときに「オン」状態であるか、又は前記プローブが前記目標配置にないときに「オフ」状態であるような絶対的信号を提供するように構成され得る。一部の実施形態では、前記ユーザインターフェースは、前記ユーザにインジケータを提供することによって前記ユーザに通知を行うように構成され、前記インジケータは、前記超音波プローブの位置変更又は向き変更に起因するAライン強度の変動に応じて変化する相対的信号を提供する。一部の実施形態では、前記1つ又は複数のAラインは、前記1つ又は複数の候補胸膜ラインの深さの約整数倍の深さに現れ得る。
【0008】
[007] 本開示に係る方法は、超音波プローブを介して肺組織の領域の画像データを取得するステップと、前記データを使用して、1つ又は複数の候補胸膜ライン、及び前記候補胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインを識別するステップと、前記Aラインのうちの少なくとも1つのAラインのAライン強度を計算するステップと、前記領域の画像データ取得中に胸膜ラインを識別するために、計算された前記Aライン強度を適用して前記超音波プローブの目標配置を示すステップとを含み得る。一部の例では、方法は、ユーザインターフェースを介して、前記超音波プローブの前記目標配置をユーザに通知するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、前記目標配置が満たされるとき、計算された前記Aライン強度は所定の閾値を超え得る。一部の実施形態では、前記目標配置は、前記超音波プローブの位置又は向きを含み得る。
【0009】
[008] 一部の実施形態では、前記データを使用して1つ又は複数の候補胸膜ラインを検出するステップは、1つ又は複数の未識別ラインが所定の深度範囲内にあるか否かを決定するステップ、又は、1つ又は複数の未識別ラインが所定の胸膜ライン強度閾値を満たすか否かを決定するステップを含み得る。一部の実施形態では、前記データを使用して1つ又は複数のAラインを検出するステップは、前記データにハフ変換を適用するステップを含み得る。一部の実施形態では、前記データを使用して1つ又は複数のAラインを検出するステップは、前記肺組織の前記領域内の1つ又は複数の横方向位置において検出されたピーク強度レベルに対応する深度を決定するステップを含み得る。
【0010】
[009] さらに、胸膜ラインを観察するための超音波プローブの目標配置を特定するための上記技術のうちのいずれも、非一時的コンピュータ可読媒体上に格納された実行可能命令として具現化され、前記実行可能命令は、実行されると、前記非一時的コンピュータ可読媒体内に具現化されたプロセスを実行するように、医療用撮像システムのプロセッサをプログラムし得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[010]
図1は、本開示の原理に係る超音波撮像システムのブロック図である。
【
図2】[011]
図2は、本開示の原理に係る超音波撮像装置のブロック図である。
【
図3】[012]
図3は、本開示の原理に係る超音波撮像方法のブロック図である。
【
図4】[013]
図4は、本開示の原理に係る超音波撮像システムのブロック図である。
【
図5】[014]
図5は、本開示の原理に係るプローブの準最適な向きで取得された肺超音波画像である。
【
図6】[015]
図6は、本開示の原理に係るプローブの目標配置で取得された肺超音波画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[016] 特定の例示的な実施形態に関する以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明又は本発明の適用若しくは用途を限定するものではない。本発明に係るシステム及び方法の実施形態に関する以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、添付図面には、説明されるシステム及び方法が実施され得る具体的実施形態が例示されている。これらの実施形態は、当業者が本開示のシステム及び方法を実施することを可能にするのに十分に詳細に記載されており、他の実施形態も利用可能であること、及び本発明に係るシステムの趣旨及び範囲を逸脱することなく構造的及び論理的変更がなされ得ることを理解されたい。さらに、明瞭さを目的として、当業者には明らかであると考えられる場合、本発明に係るシステムの説明を不明瞭にしないために、特定の特徴の詳細な説明は省かれる。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明に係るシステムの範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0013】
[017] 本技術はまた、本実施形態に係る方法、装置(システム)、及び/又はコンピュータプログラム製品のブロック図及び/又はフローチャート図を参照して以下に説明される。ブロック図及び/又はフローチャート図のブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図内のブロックの組み合わせは、コンピュータ実行可能命令によって実装され得ることを理解されたい。これらのコンピュータ実行可能命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、及び/又は又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサ、コントローラ、又は制御ユニットに提供されて、マシンを生成し得る。コンピュータのプロセッサ及び/又は他のプログラム可能データ処理装置を介して実行される命令は、ブロック図及び/又はフローチャートの1つ又は複数のブロックにおいて特定される機能/動作を実装するための手段を作成する。
【0014】
[018] 肺超音波技術はしばしば、追加の肺特徴を特定するための基準点となり得る胸膜ラインの少なくとも一部を視覚化することによって胸膜界面を評価することを含む。特に、標準化及び自動化タスクは、正確な胸膜ラインの視覚化に依存し得る。正常な肺では、胸壁の組織と空気で満たされた肺との間の大きなコントラストのために、胸膜界面はエコー源性鏡面反射体である。しかし、表示される胸膜ラインの輝度レベルは、技術者によって保持されている超音波プローブの位置及び/又は向きに特に敏感であり得る。超音波プローブを胸膜界面に対して垂直に配置することで胸膜ラインの鮮明な画像が生成され得るが、プローブが他の位置及び/又は角度向きを有する場合、胸膜界面から反射される超音波エコーの少なくとも一部がプローブとは異なる方向に向かい、よって、画像内の胸膜ラインの強度が低下し得る。また、特に経験のないユーザの場合、解剖学的バリエーションにより、超音波ユーザが鮮明な胸膜ラインの画像を得るのに必要な向きに超音波プローブを向けることが妨げられ、それにより、肺超音波検査全体の質を妨げ得る。例えば、超音波ユーザが超音波プローブを胸膜界面に対して垂直に配置しようとしたとしても、呼吸中の患者の体内での胸膜の移動又は肺の容積の変動は、プロセスを複雑にし、また、超音波フィードバックを不明瞭にし得る。
【0015】
[019] 場合によっては、超音波画像において、胸膜ラインよりも奥に見える位置に追加の水平ラインが現れ得る。しばしば「Aライン」と呼ばれるこれらの水平ラインは、肺の構造的、解剖学的特徴を表すものではない。これらのラインは、超音波エコーが胸膜界面と超音波プローブとの間で反響することによって形成されるアーチファクトを表す。超音波エコーの各残響は、信号の発射、胸膜からの反射、及びプローブでの検出の間の初期時間間隔と同じ又は実質的に非常に近い時間量でプローブによって検出されるので、各Aラインは、胸膜ラインの実際の深さの倍数又はこれとほぼ等しい深さに現れ得る。例えば、第1のAラインは胸膜ラインの深さの2倍又は約2倍に現れ、第2のAラインは胸膜ラインの深さの3倍又は約3倍に現れ得る。本明細書に記載のシステム及び方法は、超音波撮像中に現れ得るAラインを検出することによって胸膜ラインの視覚化を向上させることができる。一部の例では、本明細書に記載のシステム及び方法は、高強度のAラインを検出することによって胸膜ライン画像を最適化又は向上させる超音波プローブの位置及び/又は向きを決定することができる。一部の例では、検出された胸膜及び/又はAラインに基づく可能性がある目標プローブ配置のフィードバックがユーザに提供されてもよい。
【0016】
[020]
図1は、本開示に係る、胸膜ラインの画像の品質を向上させるために、胸膜界面に対する超音波プローブの目標配置を特定するように構成された例示的な超音波システム100を示す。図示されるように、システム100は超音波データ取得ユニット110を含んでもよく、超音波データ取得ユニット110は一部の実施形態では、媒体から超音波エコー114を受信するように構成された超音波プローブ112、ビームフォーマ116、及び信号プロセッサ118を含む。上記システムはまた、プローブ112によって受信された超音波エコー114に基づいて胸膜ラインを検出するように構成されたデータプロセッサ120(例えば、計算モジュール又は回路)を含む。データプロセッサ120は、胸膜エコーを反響させることによって生成された1つ又は複数のAラインを特定するようにさらに構成されてもよい。一部の例では、データプロセッサ120は、Aラインのうちの少なくとも1つの強度値を計算し、この情報を使用して、胸膜界面に対するプローブ112の目標配置がいつ得られるかを特定するように構成されてもよい。システム100はまた、例えば、システム100と動作的に関連付けられたディスプレイ上の画像124(例えば、Bモード画像)、及び/又はプローブ向きインジケータ126などを提供するように構成されたユーザインターフェース122を含んでもよい。プローブ向きインジケータ126は、胸膜ラインを見るための目標位置及び/又は向きにプローブ112が方向付けられるときを示してもよく、データプロセッサ120からの信号に応じて生成されてもよい。一部の実施形態では、プローブ向きインジケータ126は、例えばディスプレイ上で画像124の上に又は画像124に隣接して視覚的に提供されてもよい。他の実施形態では、プローブ向きインジケータ126は、例えば光源の点灯を介してなど、他の箇所で視覚的に提供されてもよく、又は音を鳴らすなどして聴覚的に、又はプローブのわずかな振動を介してなど、触覚的に提供されてもよい。一部の実施形態では、システム100は、移動を可能にするために車輪が固定搭載されている又は車輪が取り付けられているスタンドアローン超音波診断撮像システムであってもよい。システム100は一部の例では、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどのような互換性のある携帯機器であってもよい。超音波プローブは、例えばUSBインターフェースを介して、任意の適切な携帯機器に接続可能であってもよい。
【0017】
[021] 超音波データ取得ユニット110は、ユーザによって選択可能な1つ又は複数の関心領域に関する超音波データを取得するように構成されてもよい。本開示の実施形態によれば、選択される領域は、胸膜界面を含む肺の少なくとも一部を包含する。関心領域における超音波データを生成するために、データ取得ユニット110は超音波プローブ112を含む。超音波プローブ112は、超音波検査中にユーザ(例えば超音波検査技師、臨床医、又は超音波技術者)によって保持及び操作されるコンポーネントである。超音波プローブ112は、肺の少なくとも一部を撮像することができるよう、超音波エネルギーを関心領域(例えば患者の胸部領域)に送り、対応する超音波エコーを受信するように構成されてもよい。超音波エコーを送受信するために、プローブ112は少なくとも1つのトランスデューサアレイを含む。様々なトランスデューサアレイ、例えばリニアアレイ、コンベックスアレイ、又はフェーズドアレイが当該技術分野において周知である。プローブ112に含まれるトランスデューサアレイは、例えば、2D及び/又は3Dイメージングのために仰角次元及び方位角度次元の両方で走査可能な複数のトランスデューサ素子からなる2次元アレイを含むことができる。
【0018】
[022]
図1にさらに示されるように、プローブ112は、ビームフォーマ114(例えば、マイクロビームフォーマ)に結合されてもよい。ビームフォーマ114は、プローブ112内に結合されてもよく、プローブ112内に配置されたトランスデューサ素子による超音波信号の送受信を制御する。特に、ビームフォーマ114は、コヒーレントエコー、例えば超音波生RFデータを生成するために超音波信号をビーム形成するように構成されてもよい。
【0019】
[023] 一部の実施形態では、ビーム形成された信号は信号プロセッサ116に伝達又は結合されてもよい。信号プロセッサ116は、受信されたエコー信号を、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、及び高調波信号分離などの様々な方法で処理するように構成されてもよい。信号プロセッサ116は、受信した超音波エコー信号から、超音波Bモードデータ、無線周波数(RF)データ、及び/又はドップラーデータなど、様々な超音波データを導出することができる。一部の例では、信号プロセッサ116は、体内の構造(例えば、肺、胸膜界面などの肺の構成要素、及び/又は肺の周囲の解剖学的構造)を撮像するために受信された超音波信号の振幅を検出することができる。信号プロセッサ116はさらに、エコー信号を、エコー信号が受信された空間的関係に配置して、少なくとも1つの超音波データフレームを形成することができる。信号プロセッサによって受信された複数の超音波データフレームは、それらの受信順序に従って配列されて、フレームの時系列を形成することができる。
【0020】
[024] 超音波取得ユニット110は、超音波プローブ112、ビームフォーマ114、及び/又は信号プロセッサ116を介して、胸膜界面又はその一部を含む少なくとも1つの関心領域に対応する超音波データを取得するように構成されてもよい。取得ユニット110を介してそのようなデータを取得するためにユーザによって採用される技術は様々であってもよい。一部の例では、プローブ112は、肋骨間の肋間腔に沿って、肋骨に対して垂直な向きに長手方向に、又は斜めに配置されてもよい。一部の実施形態では、プローブは扇がれたり、振られたり、又は他の態様で患者に対して再配置されてもよい。プローブ112の位置を変更することで、胸膜界面に対するプローブ112の角度向きが変えられる可能性がある。結果として、プローブ112によって受信される超音波エコーの品質及び/又は数は、胸膜ラインなどの特徴ごとに異なる可能性があり、これは、ユーザインターフェース上に表示される特徴の輝度強度レベル及び/又は解像度のばらつきによって示される。
【0021】
[025] 超音波取得ユニット110によって取得されるデータの例は、2D又は3Dデータセットを含んでもよい。データセットは、リアルタイム又は実質的にリアルタイムで取得された複数のデータフレームを含むことができ、各フレームが、胸膜界面の少なくとも一部を含む関心領域に対応する。データ取得ユニット110によって取得された超音波データは、撮像対象ボリューム内の任意の所与の点(又は座標位置)に関するエコー強度情報を含んでもよい。例えば、3Dデータセットは、当該データの各ボクセルにおけるエコー強度値と共に、各ボクセルのx、y、z座標を特定するボクセルデータを含んでもよい。
【0022】
[026] データ取得ユニット110の構成要素、及び互いに対する具体的配置は、実施形態ごとに異なってもよい。例えば、ビームフォーマ114及び信号プロセッサ116は2つの別々のユニットとして示されているが、当業者は、これらが論理ユニット又は機能ユニットであること、及び、これらが単一のユニットで実装されてもよいし、あるいはそれぞれが2つ以上の別々のユニットによって実装されてもよいことを理解するであろう。さらに、超音波プローブ112は、ビームフォーマ114及び/又は信号プロセッサ116の1つ又は複数の機能を含む、超音波データ取得に従う追加機能を実行するように構成されてもよい。より多くの又はより少ない構成要素がデータ取得ユニット110の一部と考えられてもよい(例えば、
図4を参照されたい)。
【0023】
[027]
図1にさらに示されるように、システム100は、データ取得ユニット110の1つ又はすべての構成要素に動作的に、物理的に、及び/又は通信的に結合されたデータプロセッサ120を含んでもよい。動作中、データプロセッサ120は、超音波取得ユニット110によって取得された超音波データ(例えば、複数の超音波データフレーム)を受信して処理するように構成されてもよい。本開示の実施形態によれば、データプロセッサ120は特に、受信した超音波データを処理して、1つ又は複数の候補胸膜ライン及び候補胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインを識別するように構成され得る。この情報を使用して、データプロセッサ120はさらに、最良の、又は少なくとも鮮明な胸膜ライン画像を生成するプローブ112の位置及び/又は向き(以下、プローブの「目標配置」と称される)を特定するように構成されてもよい。目標配置は、胸膜ラインの輝度強度及び/又は解像度を最大にする、又は、他の態様で目視検査のためにラインの明瞭さを向上させるプローブ位置及び/又は向きを含むことができる。本明細書に開示されるように、プローブの目標配置は、1つ又は複数のAラインの強度レベルを評価することによって識別されてもよい。一部の実施形態では、任意の適切な既存の及び将来開発される検出アルゴリズムによって、1つ又は複数の候補胸膜ライン及び1つ又は複数のAラインの自動検出を実施することができる。一部の実施形態では、データプロセッサ120によるデータの受信及び/又は処理は、データの取得に伴いリアルタイムで又は実質的にリアルタイムで実行されてもよく、したがって、胸膜ラインに対するプローブ位置及び/又は向きの品質に関して継続的にユーザに知らせることができる。
【0024】
[028] 一部の実施形態では、データプロセッサ120は、取得ユニット110から受信された各超音波データフレーム内で、胸膜ラインの少なくとも一部及び1つ又は複数のAラインを含む1つ又は複数の部分領域を識別するように構成されてもよい。これらの部分領域から抽出されたデータは、多数の候補から胸膜ライン及び対応するAラインを特定するための追加処理を受けてもよい。これらの特徴はさらに、いずれのプローブ位置及び/又は向きが最良の胸膜ライン画像を生成するかを決定するためにデータプロセッサ120によって分析されてもよい。
【0025】
[029] 一部の例では、1つ又は複数の所定のパラメータに基づいて、1つ又は複数の部分領域がデータプロセッサ120によって識別されてもよい。パラメータは、所定の深度範囲を含んでもよい。一部の実施形態では、所定の深度範囲は、胸膜ラインの推定深度を包含してもよい。推定深度は、スキャン領域の上面、例えば皮膚表面から約1.5cmから約5cmの範囲内である可能性がある。胸膜ラインが部分領域に含まれることを確実にするために、超音波データに適用される所定の深度範囲はより広くてもよく、例えば、約0.5から約7cmの範囲であってもよい。一部の実施形態では、所定の深度範囲は、スキャンされる患者の特徴に応じて変わってもよい。例えば、胸膜界面深度は、BMI(body mass index)がより高い患者ではより大きくなり得る。このばらつきのために、一貫した深さを有する1つ又は複数のランドマーク、例えば肋骨が、データプロセッサ120によって基準点として使用されてもよい。
【0026】
[030] 追加の又は代替の部分領域は、胸膜ライン残響信号によって生成された1つ又は複数のAラインの所定の推定深度に対応してもよい。Aライン部分領域の深度は、胸膜界面から反射してプローブ112に戻り、再び反射してスキャン領域に戻され、胸膜界面で少なくとももう一度反射する超音波エコーによって、Aラインが生成されるという理解に基づいて推定することができる。二次反射は、一次反射と比較して、プローブ112によって受信されるのに約2倍の時間がかかり得るので、二次反射は、胸膜界面の2倍の深さから得られたかのように見える可能性がある。したがって、Aライン部分領域の深さは、推定胸膜ラインの深さの2倍の深さを包含するように定められてもよい。一部の例では、これは、約1~約14cm、約1~約12cm、又は約2~約11cmの深度範囲に対応し得る。
【0027】
[031] 一部の例では、超音波エコーは、胸膜界面とプローブ112との間で3回以上、反響し得る。例えば、超音波エコーは、プローブ112と胸膜ラインとの間で2回、3回、又は4回以上反響し、それに伴い、2本、3本、又は4本以上のAラインを生成することがある。結果として、超音波フレーム内の追加のAラインデータを捕捉するために、追加の部分領域がデータプロセッサ120によって指定されてもよい。複数のAラインは等間隔に配置される可能性があるので、各Aライン部分領域は、胸膜ライン深度の整数倍を包含してもよい。したがって、第2のAラインについて、深さは、推定胸膜線深さの3倍に対応し得る。一部の例では、これは、約1~約21cm、約1.5~約18cm、又は約2~約16.5cmの範囲に対応し得る。
【0028】
[032] 一部の実施形態では、各部分領域は、1つの胸膜ライン又は1つのAラインの予想深度に対応してもよい。他の例では、部分領域は、2つ以上のAライン及び/又は胸膜ラインを含むようにデータプロセッサ120によって定められてもよい。実施形態はまた、1つ又はすべてのAラインを含むように定められたAライン部分領域と、胸膜ライン部分領域とを含み、したがって、各部分領域に示される特徴が本物であるか単なるアーチファクトであるかに基づいて部分領域が区別されてもよい。実施形態はまた、胸膜ライン及び全てのAラインの両方を含む範囲をカバーするように定められた全包囲部分領域を含み得る。
【0029】
[033] 他の実施形態では、データプロセッサ120は、各超音波データフレーム内で部分領域を識別するように構成されていなくてもよい。そのような実施形態は、各超音波データフレームを全体として処理し、部分領域を指定することなく胸膜ライン及び1つ又は複数のAラインを探すことができる。一部の実施形態では、システム100は、自動的に又はユーザ入力128に応じて、部分領域パラメータを選択的に組み込むように構成され得る。
【0030】
[034] 胸膜ライン及び/又は1つ又は複数のAラインの深さを推定するために、追加又は代替の技術がデータプロセッサ120によって使用されてもよい。一部の例では、順に収集された1つ又は複数の超音波データフレームを使用して、データプロセッサ120によって深さが推定され得る。特に、実施形態は、超音波スキャンによって包含される複数の横方向位置における深さの関数として強度値を表す強度プロファイルを作成することを含んでもよい。複数の横方向位置は予め定められていてもよく、走査線に沿った中央横方向位置を含んでもよい。追加で又は代替的に、複数の横方向位置は、中央横方向位置から等距離にある複数の位置を含んでもよい。ある深さにおける強度値は、複数の超音波データフレームにおいて測定されたその深さにおける全ての超音波データ値の総和、平均、及び/又は加重平均であり得る。例えば、平均して最高測定強度ピーク値を生じる深さが、胸膜ライン及び/又はAラインを見つけるための初期サーチ深度とされてもよい。中央横方向位置は、一部の例では、胸膜/Aラインサーチを実行するための初期横方向位置として使用されてもよい。
【0031】
[035] 様々な実施形態において、胸膜ライン及び/又はAラインの深さは、1つ又は複数の追加の特徴を使用して推定することができる。例えば、胸膜ラインの深さは、まず、少なくとも1つの肋骨の深さを推定し、推定された肋骨の深さに所定の距離を加えることによって推定されてもよい。ここで、前記所定の距離は、肋骨と胸膜界面との間の平均分離を含む。予測深度を計算するために使用される超音波データフレームの数、空間的位置、及び/又は向きは異なり得る。胸膜ライン及び/又は1つ又は複数のAラインの推定深度の特定時、データプロセッサ120は、任意の適切な検出アルゴリズムに従って胸膜ライン及び/又はAラインを検出するように構成されてもよい。アルゴリズムは、初期推定値を出発点として用いて、胸膜及び/又はAラインのサーチエリアを徐々に拡大することができる。具体的には、最高ピーク振幅を特定することによって候補ピークが中心線上に配置された後、アルゴリズムは、中心線から両方向に外側に移動し、胸膜ライン又はAラインを表す水平線特徴をまとめるために相関を探すことができる。
【0032】
[036] 胸膜及び/又はAライン部分領域が確立されるか否か、又はいずれかの特徴の深さが推定されるか否かにかかわらず、データプロセッサ120は、超音波データ取得ユニット110から受信した1つ又は複数のデータフレーム内の胸膜ラインを特定するように構成されてもよい。胸膜ラインを特定するためにデータプロセッサ120によって実施される技術は、実施形態ごとに異なり得る。例えば、データプロセッサ120は、1つ又は複数のAラインの特定に少なくとも部分的に基づいて胸膜ラインを特定するように構成されてもよい。そのようなアプローチは、胸膜界面から直接超音波エネルギーを反射するときに、Aラインが現れる可能性が高いという理解を反映している。他の実施形態では、胸膜ライン候補は、取得ユニット110によって検出された様々な特徴の強度レベルに基づいて特定され得る。一部の実施形態では、胸膜線の特定は、1つ又は複数のアルゴリズムを使用して自動的に又は半自動的にデータプロセッサ120によって実行され得る。
【0033】
[037] 上記したように、一部の実施形態では、データプロセッサ120は、残響アーチファクトを生成するライン特徴、又はAラインを識別することによって胸膜ラインを識別するように構成されてもよい。このアプローチによれば、胸膜ライン候補は、Aラインを生成するライン特徴を含む。したがって、取得ユニット110によって検出された、正しい近傍、及び/又は特徴的胸膜ライン強度レベルに現れ得る未識別のラインは、対応するAラインを伴わない場合、胸膜ライン候補のリストから除外されてもよい。データプロセッサ120は、潜在的なAラインを識別するために1つ又は複数のAライン部分領域をサーチするように構成されてもよい。さらに、例えば、Aライン候補が互いに等距離に現れていない場合、及び/又は候補胸膜ラインの整数倍の深さに現れていない場合、当該Aライン候補は却下されてもよい。一部の実施形態では、データプロセッサ120は、複数の等間隔のラインを識別すると、最も浅いラインを胸部ラインの可能性が高いものとして選択し、より深いラインをAラインとして指定するように構成されてもよい。
【0034】
[038] 一部の実施形態では、データプロセッサ120は、データ取得ユニット110によって検出された様々な特徴によって生成された戻り信号の強度レベル(例えば輝度)を決定及び/又は処理することによって候補胸膜ラインを識別するように構成されてもよい。胸膜ラインは強いエコー信号を生成し、したがって、関心領域内の他の特徴と比較して高い強度レベルを生じ得るので、データプロセッサ120は、指定された(例えば所定の)胸膜ライン強度閾値を下回る強度レベルを生成するライン特徴を除去するように構成されてもよい。閾値技術は様々であり得る。一部の例では、所定の強度閾値は、経験的に導出された超音波データに基づいて計算されてもよい。そのような統計データは、ある期間にわたって取得された胸膜ライン強度レベル測定結果の平均を含み得る。一部の例では、平均強度レベルは、特定の患者の特徴に従って階層化されてもよい。例えば、平均強度レベルは、BMI及び/又は肋骨深さ/位置に基づいてグループ化されてもよい。一部の実施形態では、受信された超音波データに適用される所定の強度閾値は、計算された平均強度レベルより下に設定されてもよい。これは、通常よりも低い強度レベルを生じる胸膜ラインがさらなる分析から除外されないことを確実にし得る。一部の実施形態では、所定の強度閾値は患者固有のものであってもよい。そのような例によれば、特定の患者について以前に測定された強度レベルがメモリ内に格納され、後に超音波スキャンを実行するときに胸膜ラインを迅速に識別するためにデータプロセッサ120によって使用され得る。
【0035】
[039] 一部の例では、データプロセッサ120は、スキャンされた超音波画像内の1つ又は複数の境界線における強度レベルを識別することによって候補胸膜及び/又はAラインを識別するように構成されてもよい。特に、プロセッサ120は、複数の走査線の強度値が特定の強度閾値を超えて増加する点を決定するように構成されてもよい。プロセッサ120は、この点を胸膜ライン又はAラインの始点として指定することができる。プロセッサはまた、ラインの輝度値が所定の閾値を下回る位置を、ラインの終点として指定してもよい。一部の実施形態では、(例えば、始点における)強度レベルの増加、及び(例えば、終点における)強度レベルの減少に基づいて強度閾値が確立されるように、強度レベルの変化に基づいて始点及び終点が決定されてもよい。一部の例では前記変化は絶対的であり、他の例では計算された勾配に基づいてもよい。
【0036】
[040] 一部の実施形態では、データプロセッサ120は、強度閾値処理に基づいて1つ又は複数の候補胸膜ラインを最初に識別し、そしてその後、例えば、そのような候補に対応する1つ又は複数のAラインを探すように構成されてもよい。一部の例では、データプロセッサ120はAラインに関して同様の強度閾値を適用し、所定の強度閾値を満たす又は超えるリターンエコーを生成しないラインをAライン候補のリストから除くように構成されてもよい。対応するAラインがデータプロセッサ120によって識別されない場合、強度レベルに基づいて先に識別された胸膜ライン候補は却下されてもよい。リアルタイム処理又は実質的リアルタイム処理を確実にするために、データプロセッサ120は、候補胸膜ライン及び対応する候補Aラインを迅速に、ほぼ同時に連続して識別するように構成されてもよい。本明細書に開示されるように、データプロセッサ120はまた、胸膜ライン候補及びAラインを同時に識別するように構成されてもよく、又は、最初に1つ又は複数のAラインを識別することによって胸膜ライン又は胸膜ライン候補を識別するように構成されてもよい。
【0037】
[041] 一部の実施形態では、データプロセッサ120は、胸膜ライン及び/又は1つ又は複数のAラインを識別するためにハフ変換を実施することができる。ハフ変換プロセスは、胸膜ライン及び/又はAラインを識別するための上記技術のいずれにも組み込まれ得る。
【0038】
[042] 一部の例では、データプロセッサ120又はデータプロセッサ120に通信結合されたコンポーネントによって導出された超音波データマップが、胸膜/Aライン識別プロセスに組み込まれてもよい。データマップは、フィルタリングされてもされなくてもよく、データ取得ユニット110によって取得された超音波データの任意の2つ以上のフレームから導出されてもよい。一部の例では、さらに1つ又は複数の相関マップが、3つ以上の超音波データフレームを利用することによってプロセッサ120によって導出されてもよい。一部の例では、相関マップは、超音波RFデータから抽出された振幅データを使用して導出されてもよい。
【0039】
[043] 胸膜ライン及び1つ又は複数の対応するAラインを識別した後、データプロセッサ120は、胸膜ラインを撮像するためのプローブの目標配置を決定するように構成されてもよい。一部の実施形態では、プローブの目標配置は、1つ又は複数の識別されたAラインの強度値を最大化又は増強するプローブ112の位置及び/又は向きに対応してもよい。そのような実施形態によれば、データプロセッサ120は、先に識別されたAラインの強度値を続けて受信し処理することができる。ユーザが胸膜界面に対するプローブ112の位置及び/又は向きを変えると、対応するAラインの数及び/又は強度が変化し得る。データプロセッサ120は、プローブ112が動かされるのに伴うAライン強度の変動を監視し、Aライン強度が最大化又は増加する正確な瞬間又は超音波データフレームを決定するように構成されてもよい。動作中、データプロセッサ120は、1つ又は複数のAラインの存在及びその強度レベルを検出する1つ又は複数のアルゴリズムを実装することによって、プローブの目標配置を特定するように構成され得る。加えて又はその代わりに、データプロセッサ120は、Aラインが検出されるか否かを問わず、胸膜ラインを囲む領域の平均強度を決定し、プローブ位置及び/又は向きが調整されるのに伴う前記領域の強度の増加又は減少を特定するように構成され得る。
【0040】
[044] 一部の実施形態では、Aラインの数は、胸膜ラインのエコー源性が増すにつれて増加する可能性がある。例えば、Aラインの数及び/又は強度は、プローブ112が胸膜界面に直接、例えば垂直に向けられているときに増加し得る。したがって、データプロセッサ120はまた、識別された胸膜ラインから反射するエコー信号から生成されたAラインの数を監視するように構成されてもよい。Aラインの数が最大化又は増加すると、データプロセッサは、プローブの目標配置が達成されたことをユーザに通知するようにユーザインターフェース122を促してもよい。
【0041】
[045] 一部の例では、データプロセッサ120は、強度閾値プロセスを実行することによってプローブの目標配置を特定するように構成されてもよい。具体的には、データプロセッサは、識別されたAラインのうちの1つ又は複数の強度値を、所定の強度閾値と連続的に比較するように構成されてもよい。所定の閾値を超える強度レベルは、プローブの目標配置が達成されたことを示し得る。閾値は、Aライン強度と、胸膜ラインの強度及び/又は解像度との間の相関関係に関する実験的に得られたデータに基づいて決定されてもよい。具体的には、Aライン強度閾値は、そのような強度値の平均が、検査のために十分に明瞭な胸膜ライン画像と関連付けられているか否かに基づいて決定され得る。
【0042】
[046] Aライン強度が最大化されている、及び/又は指定された強度閾値を超えているとデータプロセッサ120が判断したとき、データプロセッサ120は、この情報をユーザインターフェース122に伝達し、ユーザインターフェース122は、プローブの目標配置が達成されたことをユーザに知らせるプローブ向きインジケータ126を伝達する。
【0043】
[047] データプロセッサ120に動作的、物理的、及び/又は通信的に結合されてもよいユーザインターフェース122は、リアルタイム又は実質的にリアルタイムでプローブ向きインジケータ126をユーザに伝達するように構成されてもよい。インジケータ126は、様々な方法で伝達され得る。例えば、インジケータ126は、ユーザインターフェース122上に表示される様々なグラフィック、アイコン、又は視覚的補助を含むことができる。そのような信号は、ユーザインターフェース122上に表示された超音波Bモード画像上に重ねられてもよいし、又は画像から離れていてもよい。一部の例では、インジケータ126は、フォーマットの変更(例えば点滅)、又はユーザインターフェース122に表示される特徴の色の変更によって表され得る。他の実施形態では、インジケータ126は、プローブの目標配置が達成されたときに鳴る音響合図(例えばビープ音)を含むことができる。
【0044】
[048] 様々な実施形態において、プローブ向きインジケータ126の特性は、少なくとも部分的には、データプロセッサ120からユーザインターフェース122に伝達されるデータの量及び/又は性質に依存し得る。例えば、インジケータ126は、プローブの目標配置が得られたときにのみ現れる絶対的なオールオアナッシング信号を含むことができる。そのような絶対的インジケータ126は、プローブ112が最適プローブ位置から離れたときに消えてもよく、よって、プローブが目標配置にあるときには信号は「オン」状態になり、プローブが目標配置にないときには信号は「オフ」状態になる。そのような実施形態によれば、データプロセッサ120は、Aライン強度値が最大化されたとき、及び/又はAライン強度値が所定の閾値を超えたとき、プローブの目標配置が得られたという指標を送り得る。
【0045】
[049] 他の例では、プローブ向きインジケータ126は、プローブ112の向きがプローブの目標配置に対して改善しているのか又は悪化しているかを示す漸進的かつ相対的な信号であり得る。そのような実施形態によれば、データプロセッサ120は、現在の超音波データフレームを先行するフレームから得られたデータと比較し、比較結果をユーザインターフェース122に自動的に伝達し、インジケータ126の形式で表示するように構成され得る。具体的には、データプロセッサ120は、取得ユニット110から受信した全てのデータフレームが少なくとも1つの以前に取得したデータフレームと自動的に比較されるように、データ取得ユニット110から受信した超音波データフレームをコンスタントかつ連続的な態様で比較し得る。データプロセッサ120は、受信した各データフレームのAライン強度値を比較し、プローブ112の現在位置から得られた強度レベルが、先行するプローブ位置から得られた強度レベルより多かれ少なかれ強いか否かを評価し得る。一部の実施形態では、Aライン強度レベルの増加は、ユーザインターフェース122上に表示されたインジケータ126の変化によって示されてもよい。同様に、強度レベルの減少もインジケータ126によって示されてもよい。一部の例では、Aライン強度レベルの変化は、インジケータ126の色を変えることによって伝達され、例えば、現在のプローブ位置及び/又は向きにおいて強度レベルが前のプローブ位置及び/又は向きより高い場合、信号は緑色に見え、現在のプローブ位置及び/又は向きによって生成される強度レベルが前のフレームから測定されたものより低い場合、信号は赤色に見え得る。例えば、プローブを目標配置に配置され又は方向付けられると、色が青色に変わり得る。さらなる実施形態では、インジケータ126は、胸膜ライン及び/又は対応するAラインの色及び/又は表示の変化を含み得る。例えば、ユーザインターフェース122は、識別された胸膜ラインをグラフィックでラベル付けし、例えば、胸膜ラインをトレースするラインが付され得る。データプロセッサ120から目標配置が得られたという指標をユーザインターフェース122が受信したとき、ユーザインターフェース122は、グラフィックの色及び/又はフォーマットの変化という形でインジケータ126を伝達し得る。
【0046】
[050] 一部の実施形態では、ユーザインターフェース122は、ユーザ入力128の指示を受けるように、及び/又は様々な出力を表示するように構成され得る。例えば、ユーザインターフェース122は、胸膜ライン及び1つ又は複数のAラインの超音波画像(例えばBモード画像)を表示するように構成されてもよい。一部の実施形態では、検出された胸膜ラインは、走査領域又はその部分領域の画像上にオーバーレイされ得る。一部の例では、ユーザインターフェース122は、本明細書で説明されている1つ又は複数のプロセスを開始するようシステム100に指示する入力128を受け取るように構成され得る。ユーザインターフェース122はまた、1つ又は複数のシステム設定及び/又はパラメータを変更する入力128を受け取るように構成されてもよい。そのような変更は、ユーザインターフェース122で入力128を受信したときに、例えばリアルタイムで実施されてもよく、又は本明細書で説明されている方法の開始前に実施されてもよい。具体的実施形態では、ユーザインターフェース122は、例えば、1つ又は複数の設定及び/又はパラメータを調整するための1つ又は複数の調整可能なスライドバーを表示することができる。スライドバーのうちの少なくとも1つは、胸膜ライン、1つ又は複数の候補胸膜ライン、及び/又は1つ又は複数のAラインを識別するために使用される強度閾値を変更するために使用され得る。一部の例では、ユーザインターフェース122は、データ取得ユニット110によって取得され、データプロセッサ120によって処理されたデータの識別情報又は特性を示す情報を表示するように構成され得る。例えば、ユーザインターフェース122は、データプロセッサ120によって識別された様々な特徴、例えば胸膜ライン、Aライン、肋骨などにラベル付けすることができる。
【0047】
[051] プローブの目標配置が達成されたというプローブ向きインジケータ126をユーザが受信すると、ユーザはさらなる検査のために、プローブ112をこの位置及び/又は向きに保持し得る。本明細書に記載の実施形態に係る目標配置の識別は、ユーザが、追加の肺の特徴を適切に分析し、及び/又は胸膜ライン自体の特徴を詳しく検査して、例えばlung slidingを特定することを可能にする。一部の例では、ユーザは、プローブを目標配置に保持しながら、システム100が自動又は半自動的にさらなる分析、例えば特徴検出補助プロトコルを実行することを可能にし得る。典型的な臨床用途の例は、気胸及び肺炎を含み得るが、本明細書の開示は広範囲の検査技術及び/又は健康状態に適用され得る。
【0048】
[052] 一部の例では、データプロセッサ120はさらに、記憶装置に結合されてもよい。記憶装置は別個の装置(例えば病院情報システム)に含まれてもよく、データ取得ユニット110及び/又はデータプロセッサ120から超音波データを取り出すように構成されてもよい。一部の実施形態では、データプロセッサ120は、例えばメモリの形態で記憶装置を含み得る。記憶装置を含む実施形態では、プローブの目標配置をメモリに記憶し、後の超音波スキャン中に適用するために抽出することができ、この場合、ある期間にかけて反復される超音波モニタリングが容易になる。具体的実施形態では、プローブの目標配置は、撮像されている患者に特有の基準点又はゼロ点として記憶されてもよい。基準点に対する追加の肺特徴を撮像するための目標配置も同様に記憶され得る。超音波撮像システム100は、以前に得られた記憶された向きを使用して、患者の胸部上の異なる箇所にプローブ112をどのように適切に位置決め及び/又は方向付けるかについて、後のユーザに指示することができる。そのような実施形態によれば、プローブ112は、1つ又は複数のセンサ、例えばジャイロスコープを含み得る。
【0049】
[053]
図2は、本開示の原理に係る超音波撮像装置のブロック図である。図示されるように、装置は、第1の部分領域識別器210a及び第2の部分領域識別器210bと共に部分領域識別器210、ユーザインターフェース220、胸膜ライン検出器230、及びAライン検出器240を含む。当業者であれば、
図2の構成要素は本発明を限定することを意図するものではなく、単に本発明の具体的実施形態を示すものであり、様々な実施形態において、構成要素の一部が任意選択的に省略又は変更され得ることを理解するであろう。
【0050】
[054] 装置200は、胸膜ライン及び1つ又は複数の対応するAラインを識別及び処理することによってプローブの目標配置を特定するように構成される。一部の例では、装置200は、超音波システムの構成要素、例えばシステム100のデータプロセッサ120であり得る。装置200はまた、超音波データ(例えば、プローブの目標配置の座標)を一時的又は恒久的に記憶するための1つ又は複数の記憶装置に接続可能であり得る。記憶装置は、超音波システム、超音波プローブ、PACSシステム、又は他の病院情報システムの記憶装置を含み得る。
【0051】
[055] 装置200は、第1の関心領域に対応する超音波データフレームを受信するように構成されてもよく、ここで第1の関心領域は、胸膜界面の少なくとも一部を含む。一部の例では、装置200は、超音波データフレームが受信されるに伴い、胸膜ライン及び1つ又は複数のAラインを検出し得る。したがって、超音波データフレームは、装置200によってリアルタイムデータストリームにおいてフレームごとに順次受信され得る。
【0052】
[056] 装置200は、1つ又は複数の部分領域識別器210を含み得る。一部の例では、部分領域識別器210は、超音波データフレームごとに、胸膜ライン及び/又はAラインの少なくとも一部を含むフレームの部分領域を識別するように構成されてもよい。一部の例では、装置200は、2つの異なる部分領域識別器、すなわち、胸膜ラインの少なくとも一部を含む各データフレームの部分領域を識別するように構成された第1の部分領域識別器210aと、胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインの少なくとも一部を含む各データフレームの部分領域を識別するように構成された第2の部分領域識別器210bとを含み得る。一部の例は、追加の部分領域識別器、例えば210c、210d、210eなどを含み、それぞれが、Aラインの少なくとも一部を含む各データフレームの追加の部分領域を識別するように構成される。各部分領域は、胸膜ラインの少なくとも一部を含む部分領域の真下のおおよそ1以上の整数倍の深さの領域に配置されてもよい。他の実施形態では、部分領域識別器210等の単一の部分領域識別器が、各超音波データフレームの複数の部分領域を識別するように構成されてもよく、各部分領域は、胸膜ライン又はAラインの少なくとも一部を含む。
【0053】
[057]
図2にさらに示されるように、装置200は、部分領域識別器210と通信結合された胸膜ライン検出器230を含み得る。胸膜ライン検出器230は、部分領域識別器210によって識別された部分領域内の胸膜ラインの少なくとも一部を識別するように構成されてもよい。一部の例では、胸膜ライン検出器230は、最終的に、1つ又は複数の所定の基準(例えば、強度閾値)を満たさない候補を最終的に却下する前に、まず、候補胸膜ライン又は関連付けられたAラインのリストを識別し得る。胸膜ライン検出器230は、超音波データフレームの部分領域内の胸膜ラインを識別するための任意の適切な既存の及び将来開発される検出アルゴリズムを実施し得る。
【0054】
[058] 一部の例では、胸膜ライン検出器230はAライン検出器240と通信結合され、Aライン検出器240はさらに部分領域識別器210と結合され得る。Aライン検出器240は、胸膜ライン検出器230と同時に動作してもよい。一部の実施形態では、胸膜ライン検出器230は、Aライン検出器240によって生成されたデータに完全に又は部分的に基づいて動作し得る。そのような実施形態によれば、胸膜ライン検出器230は、Aライン検出器240から、胸膜ライン検出器230によって前に識別された1つ又は複数の候補胸膜ラインが超音波データフレーム内の対応するAラインに関連付けられているか否かに関するデータを受信し得る。他の例では、胸膜ライン検出器230は、Aライン検出器240から1つ又は複数のAラインの識別に関するデータを受信した後に、1つ又は複数の候補胸膜ラインを識別するように構成され得る。一部の例では、胸膜ライン検出器230は、識別された胸膜ラインに関するデータをAライン検出器240に送信するように構成され得る。様々な実施形態において、胸膜ライン検出器230及び/又はAライン検出器240はそれぞれ、1つ又は複数の候補胸膜ライン及びAラインの強度レベルを決定及び/又は処理するように構成され得る。胸膜ライン検出器230及びAライン検出器240は、超音波データフレームの部分領域内の1つ又は複数の胸膜ライン及びAラインをそれぞれ識別するための任意の適切な既存の及び将来開発される検出アルゴリズムを実施し得る。
【0055】
[059] 一部の実施形態では、Aライン検出器240は、1つ又は複数のAラインの強度レベルを評価することによってプローブの目標配置が達成されたか否かを識別するように構成され得る。Aライン検出器240は、目標配置を識別するための任意の適切な既存の及び将来開発される検出アルゴリズムを実施し得る。一部の実施形態は、1つ又は複数のAラインに強度閾値を適用すること、及び/又は、連続する超音波データフレームにおいて受信されたAライン強度値を互いに比較してAライン強度の変動を測定することを含み得る。
【0056】
[060] 胸膜ライン検出器230及び/又はAライン検出器240は、胸膜ライン及びAラインに関するデータをそれぞれユーザインターフェース220に送信するように構成され得る。このデータは、目標配置が達成されたという指標を含み得る。上述のように、ユーザインターフェース220は、この指標をユーザに伝える信号を表示するように構成され得る。一部の実施形態では、ユーザインターフェース220は、部分領域識別器210、胸膜ライン検出器230、及び/又はAライン検出器240の動作を変更し得る1つ又は複数のユーザ入力を受け取るように構成され得る。
【0057】
[061]
図3は、本開示の原理に係る超音波撮像方法のブロック図である。
図3の例示的な方法300は、胸膜界面に対する超音波プローブの位置及び/又は角度向きを最適化又は改善するために本明細書に記載のシステム及び/又は装置によって任意の順序で利用可能なステップを示す。例えば、方法300は、システム100等の超音波撮像システム、又は、例えばKoninklijke Philips N.V.(「Philips」)によるVISIQのようなモバイルシステムを含む他のシステムによって実行され得る。他の例示的なシステムは、やはりPhilipsによって製造されたSPARQ及び/又はEPIQを含み得る。
【0058】
[062] 図示の実施形態では、方法300は、「超音波プローブを介して肺組織の領域の画像データを取得する」ことによってブロック310で開始する。一部の例では、画像データは、ユーザの制御下で取得され得る。様々な種類及びサイズの超音波プローブを使用することができる。一部の実施形態では、プローブは線形、曲線-線形、セクター、又はマトリックスプローブであり得る。一部の例では、画像データは、2Dデータセット又は3Dデータセットを含み得る。データは複数のデータフレームに編成されてもよく、その持続時間は様々であり得る。
【0059】
[063] ブロック312において、方法300は、「データを使用して、1つ又は複数の候補胸膜ライン及び候補胸膜ラインに対応する1つ又は複数のAラインを検出する」ことを含む。候補胸膜ラインを識別するために使用される技術は、強度閾値化、ハフ変換、ピーク強度値対深度の評価、及び/又は胸膜ラインサーチを狭めるために使用される1つ又は複数の所定のパラメータ(例えば、推定深度範囲)の適用を含み得る。候補胸膜ラインを識別するために使用されるのと同じ又は類似の技術が、Aラインを識別するために実施され得る。ブロック312は、データプロセッサ、例えばデータプロセッサ120によって実施され得るプロセスを包含し得る。
【0060】
[064] ブロック314において、方法300は、「Aラインのうちの少なくとも1つのAラインのAライン強度を計算する」ことを含む。ブロック314において実施される技術は、1つ又は複数の候補胸膜ライン及びAラインを検出するためにステップ312において適用される技術と同じ又は類似のものを含み得る。ブロック314は、信号プロセッサ(例えば、信号プロセッサ116)単独で、又はデータプロセッサ(例えば、データプロセッサ120)との組み合わせによって実施され得る。一部の例では、データプロセッサは、前に識別されたAライン座標と整列しない、信号プロセッサから受信された強度値を除外し得る。
【0061】
[065] 方法300は、ブロック316において、「前記領域の画像データ取得中に胸膜ラインを識別するために、計算されたAライン強度を適用して、超音波プローブの目標配置を示すこと」を含む。ブロック316は、例えば各超音波データフレームがデータプロセッサによって受信されるに伴いリアルタイムで、又は実質的にリアルタイムで実行され得る。一部の実施形態では、ブロック316は、Aライン強度閾値処理によって、及び/又は、連続的に受信されたデータフレーム中のAライン強度値を比較することによって実施され得る。
【0062】
[066] フローチャートの各ブロック、及びフローチャート内の複数のブロックの組み合わせは様々な手段によって、例えばハードウェア、ファームウェア、1つ又は複数のプロセッサ、回路、及び/又は1つ又は複数のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアの実行に関連付けられた他のデバイスなどによって実施され得ることを理解されたい。例えば、上記手順のうちの1つ又は複数は、コンピュータプログラム命令によって具現化され得る。これに関して、上記手順を具現化するコンピュータプログラム命令は、メモリによって格納され、プロセッサによって実行されてもよい。理解されるように、任意のそのようなコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能装置(例えば、ハードウェア)上にロードされてマシンを提供し、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令は、フローチャートのブロック内に指定される機能を実施するための手段を作成する。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能装置を特定の態様で機能させることが可能なコンピュータ可読媒体に保存されてもよい。コンピュータ可読媒体に保存された命令は、フローチャートのブロックにおいて指定される機能を実施する製品を提供する。
【0063】
[067]
図4を参照すると、本発明の原理に従って構成された超音波イメージングシステム400がブロック図形式で示されている。超音波撮像システム400は、
図1には示されていないが、超音波プローブの目標配置を識別するように構成されたシステム内に含まれ得る追加の構成要素を含む。例えば、データプロセッサ120の上記機能のうちのいずれかが、システム400の既存のプロセッサ内に(例えば、コンピュータ実行可能命令を介して)プログラムされてもよい。一部の実施形態では、データプロセッサ120の機能は、
図4に示される処理コンポーネントのうちの1つ又は複数の中に実装され、かつ/又は処理コンポーネントのうちの1つ又は複数によって制御され、かかる処理コンポーネントは、例えば、Bモードプロセッサ428、スキャンコンバータ430、多断面(multiplanar)リフォーマッタ432、ボリュームレンダラー434、及び/又は画像プロセッサ436を含む。
【0064】
[068]
図4の超音波撮像システムにおいて、超音波プローブ412は、超音波を送信し、胸膜ライン及び1つ又は複数の対応するAラインに関するエコー情報を受信するためのトランスデューサアレイ414を含む。トランスデューサアレイ414は、アレイ内のトランスデューサ素子による信号の送受信を制御するプローブ412内のマイクロビームフォーマ416に結合される。この例では、マイクロビームフォーマ416は、送受信の切り替えを行い、メインビームフォーマ422を高エネルギー送信信号から保護する送信/受信(T/R)スイッチ418にプローブケーブルによって結合される。一部の実施形態では、システム内のT/Rスイッチ418及び他の要素は、別個の超音波システムベース内ではなく、トランスデューサプローブ内に含まれ得る。マイクロビームフォーマ416によって制御されるトランスデューサアレイ414からの超音波ビームの送信は、T/Rスイッチ418及びビームフォーマ422に結合される送信コントローラ420によって管理され、送信コントローラ420は、ユーザのユーザインターフェース又はコントロールパネル424の操作から入力を受け取る。送信コントローラ420によって制御される機能の1つは、ビームがステアリングされる方向である。ビームは、トランスデューサアレイから直進する(アレイに対して直交する)よう方向づけられてもよいし、又は、より大きな視野のために異なる角度に方向づけられてもよい。マイクロビームフォーマ416によって生成された部分的にビーム成形された信号は、メインビームフォーマ422に送られ、各トランスデューサ素子パッチからの部分的にビーム成形された信号が結合され、完全にビーム成形された信号が生成される。
【0065】
[069] ビーム成形された信号は、信号プロセッサ426に結合される。信号プロセッサ118と同様に、信号プロセッサ426は、受信されたエコー信号を、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、及び高調波信号分離などの様々なやり方で処理することができる。信号プロセッサ426はまた、スペックル低減、信号合成、及びノイズ除去などの追加の信号エンハンスメントを実行してもよい。処理された信号は、Bモードプロセッサ428に結合され、胸膜界面等の体内の構造のイメージングのために振幅検出が使用され得る。Bモードプロセッサによって生成された信号は、スキャンコンバータ430及び多断面(multiplanar)リフォーマッタ432に結合される。スキャンコンバータ430は、所望の画像フォーマットで、エコー信号が受信された空間的関係にエコー信号を配置する。例えば、スキャンコンバータ430は、エコー信号を2次元(2D)扇形フォーマット又はピラミッド3次元(3D)画像に配置し得る。多断面リフォーマッタ432は、米国特許第6,443,896号(Detmer)に記載されているように、人体の立体領域内の共通平面内の複数の点から受信されたエコーを、その平面の超音波画像に変換し得る。ボリュームレンダラー434は、例えば、米国特許第6,530,885号(Entrekinら)に記載されているようにして、3Dデータセットのエコー信号を、所与の基準点から見た投影3D画像に変換する。2D又は3D画像は、スキャンコンバータ430、多断面リフォーマッタ432、及びボリュームレンダラー434から画像プロセッサ436に結合され、画像ディスプレイ438上に表示するために、さらなるエンハンスメント、バッファリング、及び一時的保存が行われる。グラフィックスプロセッサ436は、超音波画像と共に表示されるグラフィックオーバーレイを生成し得る。グラフィックオーバーレイは、例えば、患者の名前、画像の日時、イメージングパラメータなどの標準的な識別情報を含み得る。グラフィックオーバーレイはまた、Aライン強度の測定された変動に基づき、プローブの目標配置が得られたこと、及び/又は、現在のプローブ位置及び/又は向きが目標配置に近づいて又は遠ざかったことを示す1つ又は複数の信号を含み得る。これらの目的のために、グラフィックプロセッサは、タイピングされた患者の名前などの入力をユーザインターフェース424から受け取る。ユーザインターフェース424はまた、システム400によって使用される設定及び/又はパラメータの調整を促す入力を受け取ることができる。ユーザインターフェースはまた、複数のMPR(multiplanar reformatted)画像の表示の選択及び制御のために多断面リフォーマッタ432に結合され得る。
【0066】
[070]
図5は、超音波プローブの準最適な位置及び/又は向きから得られた肺超音波画像500を示す。
図5は、Bモード画像において表示された肺510及び胸膜ライン512を示す。図示されるように、胸膜ライン512は不明瞭であり、肺組織と空気との間の境界面は不明確でぼやけて見える。この画像の明瞭さの欠如のために、胸膜ラインの自動検出は困難であり、これは、自動胸膜ライン検出に依拠し得る1つ又は複数の補助機能を妨害し、又は場合によっては動作不能にし得る。
図5に示されるような不明瞭な胸膜ラインはまた、胸膜ラインの検査を困難にし得る。例えば、
図5を調べる臨床医は、胸膜界面の厚さ及び/又はlung slidingの発生などの肺の特徴を識別することができない可能性がある。
【0067】
[071]
図6は、本明細書に記載の実施形態に係る、目標配置に位置決め及び/又は方向付けられた超音波プローブを介して取得された肺超音波画像600を示す。
図6は、胸膜ライン612及びAライン614を含む肺610を示す。
図6はまた、プローブ位置/向きインジケータ616の例を示す。
図5に対して、胸膜ライン612は著しく明るく、明瞭で、他の態様でも目視可能である。Aライン614は、胸膜ライン612の約2倍の深さに現れる。
図6に表示されているプローブ位置/向きインジケータ616は、画像600に示されている胸膜ライン612が、プローブの目標配置によって生成された胸膜ライン画像を表していることをユーザに示し得る。図示の実施形態では、プローブ位置/向きインジケータ616は緑色の三角形の図形である。他の実施形態では、インジケータ616は、他の任意の形状、色、及び/又はサイズであり得る。ユーザインターフェース上のインジケータ616の位置もまた異なり得る。図示されるように、インジケータ616は左上隅に配置されるが、他の例では、インジケータ616は他の場所に配置されてもよい。一部の実施形態では、インジケータ616は表示されるグラフィックを全く含まずともよく、代わりに、例えば音響による合図及び/又は触覚による刺激が含まれてもよい。
図6に示される画像600を使用して、臨床医は、胸膜ラインの様々な特徴及び/又はその他の特徴を識別することができる。また、画像600を使用することで、胸膜ライン検出に依拠する自動識別プロセスをより容易かつ正確に実行することができる。
【0068】
[072] 当然のことながら、本明細書に記載される例、実施形態、又はプロセスのいずれか1つが、1つ又は複数の他の例、実施形態、及び/又はプロセスと組み合わせられてもよく、又は、本発明に係るシステム、装置、及び方法にしたがって別の装置又は装置の部分の間で分離及び/又は実行されてもよい。上記の議論は、本発明に係るシステムの単なる例示であり、添付の特許請求の範囲をいずれかの特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施形態を参照して特に詳細に本発明に係るシステムを説明したが、以下の特許請求の範囲に示される本発明に係るシステムの意図される広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、多様な変更及び代替的実施形態が当業者によって考案され得ることも理解されたい。したがって、明細書及び図面は例示的であると解釈されるべきであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。