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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】高密度ストッカ
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/127 20060101AFI20220104BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B65G1/127 Z
H01L21/68 T
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019556806
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018026674
(87)【国際公開番号】W WO2018194873
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2019-12-02
(31)【優先権主張番号】62/487,757
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519358047
【氏名又は名称】ダイフク アメリカ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】DAIFUKU AMERICA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6700 TUSSING ROAD, REYNOLDSBURG, OH 43068, UNITED STATES OF AMERICA
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岡本 章
(72)【発明者】
【氏名】大森 和哉
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第5284808(JP,B2)
【文献】特開2007-022677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/127
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定し、おおよそ水平に延びる底面と、前記底面から間隔を空け、おおよそ前記底面に平行な上面との間に延在する標準容器であって、前記上面および前記底面に垂直で、前記内部空間へのアクセスを可能にする開口側部と、前記開口側部に沿って、前記底面と反対側の前記上面を越えて延伸するドアフランジを含み、前記標準容器を持ち上げるための持ち上げ具を受け入れるために持ち上げフランジが前記上面に取り付けられている標準容器と、
前記標準容器の移動を可能にするアクセス空間と、
それぞれが標準容器のうちの1つを保持するように構成された複数の位置を含む、少なくとも1つの格納ラックと、
前記アクセス空間内で移動可能な格納回収輸送装置であって、前記持ち上げ具を前記少なくとも1つの格納ラック内で移動して前記位置のうちの1つに位置する標準容器に係合させ、それにより前記格納回収輸送装置が、標準容器を、前記位置へと、あるいは前記位置から、移動させることが可能なように構成されたアームを含む格納回収輸送装置と、
を含む物品格納装置であって、
前記標準容器は、それぞれ、前記少なくとも1つの格納ラックに、それぞれの開口側部が前記格納回収輸送装置から離れる方向を向くように配され、それにより前記ドアフランジが、アクセス空間および標準容器の前記持ち上げフランジの間の経路の外に位置し、前記格納回収輸送装置の前記持ち上げ具が、前記ドアフランジに邪魔されることなく、前記アクセス空間の間で略水平面内を移動し、前記標準容器のうちの1つの前記持ち上げフランジと係合可能であり、
前記格納回収輸送装置の前記アームは、複数のセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、前記アームは、前記少なくとも1つの格納ラックにおける他の前記標準容器のいずれとも接触することなく前記少なくとも1つの格納ラックにおける前記標準容器のいずれかと係合するように前記持ち上げ具を位置させるための少なくとも3つのジョイントを含む
ことを特徴とする物品格納装置。
【請求項2】
前記複数のセグメントは、前記持ち上げ具に接続された少なくとも1つの第1のセグメントと、前記持ち上げ具から離間した少なくとも1つの第2のセグメントとを含み、前記第1のセグメントは、前記第2のセグメントより長い
ことを特徴とする請求項に記載の物品格納装置。
【請求項3】
前記アームは4つのセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、前記格納回収輸送装置は、さらに、少なくとも2つのモータを含み、各モータは、前記ジョイントのうちの1つによって隔てられた2つのセグメントを、互いに対して移動させる
ことを特徴とする請求項に記載の物品格納装置。
【請求項4】
前記持ち上げ具は、おおよそ平行な1対の部材を有するフォークとして配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の物品格納装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの格納ラックは、第1の格納ラックと第2の格納ラックを含み、前記アクセス空間は、前記第1の格納ラックと前記第2の格納ラックの間に画定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の物品格納装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの格納ラックは、前記標準容器を受け入れるための複数の位置を含み、前記位置は、垂直方向に互いに積み重ねられた複数の行を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の物品格納装置。
【請求項7】
前記位置は、さらに、互いに対し水平に配された複数の水平面を含む
ことを特徴とする請求項に記載の物品格納装置。
【請求項8】
ドアフランジを含む標準容器を物品格納装置内の宛先位置へと移動させるための方法であって、
格納回収輸送装置の持ち上げ具を、標準容器の上面に配された持ち上げフランジに係合させるステップと、
前記格納回収輸送装置により、前記物品格納装置内のアクセス空間内の前記標準容器を前記宛先位置に隣接する前記アクセス空間の一部に移動させるステップと、
前記格納回収輸送装置により、前記ドアフランジが前記宛先位置の方向を向くよう前記標準容器の向きを定めるステップと、
格納回収輸送装置のアームにより、標準容器を物品格納装置の宛先位置に移動させるステップと、
格納回収輸送装置の持ち上げ具を、標準容器の持ち上げフランジから係合解除するステップと、
格納回収輸送装置のアームをアクセス空間へと引っ込めるステップと、を含み、
前記格納回収輸送装置の前記アームは、複数のセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、前記アームは、格納ラックにおける他の標準容器のいずれとも接触することなく前記格納ラックにおける標準容器のいずれかと係合するように前記持ち上げ具を位置させるための少なくとも3つのジョイントを含む
ことを特徴とする標準容器を移動させるための方法。
【請求項9】
前記複数のセグメントは、前記持ち上げ具に接続された少なくとも1つの第1のセグメントと、前記持ち上げ具から離間した少なくとも1つの第2のセグメントとを含み、前記第1のセグメントは、前記第2のセグメントより長い
ことを特徴とする請求項に記載の標準容器を移動させるための方法。
【請求項10】
前記アームは4つのセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、前記格納回収輸送装置は、さらに、少なくとも2つのモータを含み、各モータは、前記ジョイントのうちの1つによって隔てられた2つのセグメントを、互いに対して移動させる
ことを特徴とする請求項8に記載の標準容器を移動させるための方法。
【請求項11】
前記持ち上げ具は、おおよそ平行な1対の部材を有するフォークとして配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の標準容器を移動させるための方法。
【請求項12】
標準容器を物品格納装置内のアクセス可能位置から宛先へと移動させるための方法であって、
前記物品格納装置内のアクセス空間内の格納回収輸送装置を、前記標準容器に隣接するよう移動させるステップと、
前記格納回収輸送装置のアームを延伸させて、前記標準容器の上面に配された持ち上げフランジを前記格納回収輸送装置の前記アームに配された持ち上げ具に係合させるステップと、
前記格納回収輸送装置の前記アームを引っ込めて、前記標準容器を前記アクセス空間へと移動させるステップと、
前記格納回収輸送装置により、前記アクセス空間内の前記標準容器を前記宛先へと移動させるステップと、を含み、
前記格納回収輸送装置の前記アームは、複数のセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、前記アームは、格納ラックにおける他の標準容器のいずれとも接触することなく前記格納ラックにおける標準容器のいずれかと係合するように前記持ち上げ具を位置させるための少なくとも3つのジョイントを含む
ことを特徴とする標準容器を移動させるための方法。
【請求項13】
前記複数のセグメントは、前記持ち上げ具に接続された少なくとも1つの第1のセグメントと、前記持ち上げ具から離間した少なくとも1つの第2のセグメントとを含み、前記第1のセグメントは、前記第2のセグメントより長い
ことを特徴とする請求項12に記載の標準容器を移動させるための方法。
【請求項14】
前記アームは4つのセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、前記格納回収輸送装置は、さらに、少なくとも2つのモータを含み、各モータは、前記ジョイントのうちの1つによって隔てられた2つのセグメントを、互いに対して移動させる
ことを特徴とする請求項12に記載の標準容器を移動させるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本PCT国際特許出願は、2017年4月20日付で出願された「高密度ストッカ」と題する米国特許仮出願第62/487,757号に対して優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体が本出願の開示の一部とみなされ、参照により組み込まれる。
【0002】
複数の標準容器を格納するための物品格納装置のためのシステムおよび方法。より具体的には、標準容器を格納するための格納ラックと、標準容器を格納ラックに出し入れするための格納回収輸送装置と、を含む物品格納装置。
【背景技術】
【0003】
ストッカ(STK)とも呼ばれる物品格納装置は、数多くの業界において、製品またはその部品の標準容器を保持するために使用されている。ある分野に特化した物品格納装置は、特定の利用目的のための特別な特徴を有し得る。例えば、半導体製造工場において前面開閉式一体型ポッド(FOUP:front opening unified pod)を保持するのに用いられるストッカには、制御下雰囲気を維持するための筐体と、天井シャトル(OHS:overhead shuttle)、および/または、天井トラック(OHT:overhead track)車両を含み得る自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS:automated material handling system)と対話するための特殊なインターフェイスとが含まれる場合がある。一般に、AMHSシステムでは宛先のマシンに対して開口部を向けてFOUPを配送するのが標準的である。図1に示すように、従来技術の物品格納装置1は、一般に、アクセス空間3内を移動する格納回収輸送装置2を含み、アクセス空間3に対向する開口5を有するFOUP4を格納する。
【0004】
工場の床面積、特にAMHSがアクセス可能な床面積はコストが高いため、より多くの標準容器を所与のスペースに格納できる物品格納装置は、大幅にコストを削減できる可能性がある。さらには、標準容器を互いに近接させて格納することにより、それらをより短い時間で取り出したり格納したりできるため、関連付けられた1つまたは複数のシステムの効率が向上する。
【0005】
上記に鑑み、依然として、物品格納装置を改良し、所与の空間内により多くの標準容器を保持する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
複数の標準容器を保持するための物品格納装置が提供される。標準容器は、複数の半導体ウエハーを保持するための内部空間を画定してもよい。各標準容器は、おおよそ水平に延びる底面と、底面から間隔を空け、おおよそ底面と平行な、上面との間に延在していてもよい。標準容器は、上面および底面に垂直で内部空間へのアクセスを可能にする開口側部を含んでいてもよく、また、開口側部に沿って延伸し上面を越えるドアフランジを含んでいてもよい。標準容器はさらに、標準容器を持ち上げるためのチャックとも呼ばれる持ち上げ具を受け入れるために上面に取り付けられた、持ち上げフランジを含んでいてもよい。
【0007】
標準容器の移動を可能にするために、アクセス空間が提供されてもよい。物品格納装置は、アクセス空間に隣接し、かつ、それぞれが標準容器のうちの1つを保持するように構成された複数の位置を含む、第1の格納ラックを含んでいてもよい。ラックマスター(RM:Rack Master)とも呼ばれる格納回収輸送装置は、アクセス空間内で移動可能であってもよく、また、チャックを格納ラック内に移動して標準容器に係合させ、それにより標準容器を格納ラック内の位置へと、あるいは当該位置から、移動させるよう構成されたアームを含んでいてもよい。
【0008】
本発明の一態様によれば、標準容器は、それぞれ、格納ラック内に、それぞれの開口側部がアクセス空間から離れる方向を向くように配され、回収輸送装置のチャックが、ドアフランジに邪魔されることなく、アクセス空間の間で略水平面内を移動し、当該標準容器のうちの1つの持ち上げフランジに係合可能であってもよい。
【0009】
本発明の別の態様によれば、格納回収輸送装置のアームは、複数のセグメントを含み、各セグメント間にジョイントを有し、ラックにおいて、当該ラックにおける他の標準容器のいずれとも接触することなく標準容器のいずれかと係合するように持ち上げ具を位置させるための少なくとも計3つのジョイントを有していてもよい。
【0010】
開口側部と、関連付けられたドアフランジとを、アクセス空間から離れる方向を向くように配置することにより、標準容器の上方に最小限のクリアランスしか必要とせずにチャックが標準容器の持ち上げフランジと係合する位置へと水平にスライドしてもよく、その結果、ラックがより小さな垂直格納ピッチで構成可能となり、またそれにより所与の数の標準容器を保持するのに必要なラックの垂直方向の高さを低くしてもよい。図4図5に示されるように、垂直格納ピッチは、例えば、453mmから380mmへと短縮してもよい。
【0011】
格納回収輸送装置のアームを、各セグメント間にジョイントを備え、計3つ以上のヒンジジョイントを備えた複数のセグメントを含むように構成することにより、本発明のアームは、3層以上の深さを有し、従来技術よりも横方向の格納ピッチが短いラックを実現し、それにより、所与の設置面積により多くの標準容器を保持できるラックを実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の他の利点は、添付の図面と結びつけて考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってより深く理解されるため、容易に認識されるであろう。
図1図1は、従来技術の物品格納装置の側断面図である。
図2図2は、本開示の一態様による物品格納装置の側断面図である。
図3図3は標準容器の側断面図である。
図4図4は、従来技術の物品格納装置の側断面図である。
図5図5は、本開示の一態様による物品格納装置の側断面図である。
図6図6は、本開示の他の態様による物品格納装置の側断面図である。
図7A図7Aは、本開示の他の態様による格納回収輸送装置のアームの上面図である。
図7B図7Bは、図7Aの格納回収輸送装置のアームの側面図である。
図7C図7Cは、別の構成とした図7Aの格納回収輸送装置のアームの上面図である。
図7D図7Dは、図7Cの構成とした格納回収輸送装置のアームの側面図である。
図8A図8Aは、部分的に伸長した位置にあって格納ラック内の標準容器と干渉するアームを含む、従来技術の格納回収輸送装置の上面概略図である。
図8B図8Bは、アームが完全に伸びた位置にある、図8Aの格納回収輸送装置の別の上面概略図である。
図9A図9Aは、部分的に伸長した位置にあるアームを含む、本開示の別の態様による格納回収輸送装置の上面概略図である。
図9B図9Bは、アームが完全に伸びた位置にある、図9Aの格納回収輸送装置の別の上面概略図である。
図10図10は、標準容器を物品格納装置内の宛先位置に移動する方法のフローチャートである。
図11図11は、標準容器を物品格納装置内のアクセス可能位置から宛先位置へと移動する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照すると、いくつかの図を通して、同様の数字は対応する部分を示しており、複数の標準容器22を保持するための物品格納装置20が提供されている。標準容器22は、半導体ウエハーを保持および輸送するための半導体製造工場で一般的に使用される前面開閉式一体型ポッド(FOUP:front opening unified pod)であってもよく、複数の半導体ウエハーを保持する内部空間を画定してもよい。図3に最もよく示されるように、各標準容器22は、おおよそ水平な底面24と、底面24から間隔を空け、おおよそ底面24と平行な、上面26との間に延在していてもよい。標準容器22は、内部空間へのアクセスが可能なように、上面26および底面24に垂直な開口側部27を含んでいてもよく、また、開口側部27に沿って、底面24と反対側の上面26を越えて延伸するドアフランジ28を含んでいてもよい。言い換えれば、ドアフランジ28は、上面26の上方に延伸していてもよい。標準容器22はさらに、標準容器22を持ち上げるための持ち上げ具32を受け入れるために、おおよそ上面26と平行に延伸し、上面26から離間して取り付けられた、持ち上げフランジ30を含んでいてもよい。
【0014】
図4および図5に最もよく示されるように、標準コンテナ22の移動を可能にするために、アクセス空間34が提供されてもよい。アクセス空間34は、物品格納装置20内に囲われていてもよい。物品格納装置20は、それぞれが標準容器22のうちの1つを受け入れて保持するように構成された複数の位置38を含む、第1の格納ラック36を含んでいてもよい。各位置は、容器22を保持するための1つまたは複数の棚39を含んでいてもよい。
【0015】
図5に最もよく示されるように、第1の格納ラック36は、垂直方向に互いに積み重ねられ、互いに隣接し、第1の行46および第2の行48に配置された複数の位置38であって、第1の行46に配置された標準容器22のうちの1つの底面24と、垂直に隣接するその次の行の、標準容器22の他の1つの底面24との間の垂直距離として、垂直格納ピッチを定義する、位置38を含んでいてもよい。第1の格納ラック36はまた、アクセス空間34から第1の水平奥行きだけ離間した第1の水平面50およびアクセス空間34から第1の奥行きよりも大きい第2の水平奥行きだけ離間した第2の水平面52を含む、少なくとも2つの異なる水平面50および52に配置された複数の位置38を含んでいてもよい。さらに、複数の位置38は、行46、48および水平面50、52の方向に垂直な方向の、ある幅で、層状に配置されていてもよい。図6に示されるように、格納ラック36、38は、3つの水平面50、52、および53が存在するように、追加の水平面55を含んでいてもよい。なお、行、水平面、および幅の数は、任意である。図9Aおよび図9Bに最もよく示されるように、第1の格納ラック36は、第1の列40、およびそれに横方向に隣接する第2の列42に配置された複数の位置38であって、第1の列40に配された標準容器22のうちの1つの所与の位置、例えばその中心と、第2の列42に配された標準容器22のうちの他の1つの上記と同じ所与の位置との間の横方向の距離として、横方向の格納ピッチを定義する、位置38を含んでいてもよい。
【0016】
図2図5、および図6に示されるように、本開示の物品格納装置20は、第1の格納ラック36と実質的に同一の第2の格納ラック54を含んでいてもよく、第1の格納ラック36と第2の格納ラック54との間にアクセス空間34が延在するように、鏡像関係となる向きに配置されていてもよい。一態様によれば、関連付けられた格納ラックおよび列および行を有する、位置38のうちの所与の1つは、その位置38が同じ所与のラックおよび列および行内かつその位置38とアクセス空間34との間の水平面内における標準容器22の1つによって邪魔されることがない場合、アクセス可能位置として指定されてもよい。
【0017】
ラックマスター(RM:Rack Master)とも呼ばれる格納回収輸送装置56は、アクセス空間34内を移動可能であってもよく、また格納ラック36、54のうちのいずれか1つの中に持ち上げ具32を移動させて標準容器22に係合させ、それにより、回収輸送装置が、格納ラック36、54内の位置38とアクセス空間34との間で標準容器22を移動可能となるよう構成された1つまたは複数のアーム58を含んでいてもよい。一態様によれば、格納回収輸送装置56の持ち上げ具32は、チャック型の装置であってもよく、これはチャック32と呼ばれ得る。格納回収輸送装置56はまた、標準容器22を、格納ラック36、54のうちの1つにおける異なる位置38のような別の宛先、あるいは、格納回収輸送装置56から運び出される、例えばドックのような、別の場所へと移動してもよい。図6に示されるように、物品格納装置20は、2つ以上の格納回収輸送装置56を含んでいてもよい。
【0018】
本開示の一態様によれば、標準容器22は、回収輸送装置のチャック32がアクセス空間34の間において実質的に水平面内を移動して、ドアフランジ28に邪魔されることなく当該標準容器22のうちの1つの持ち上げフランジ30に係合できるように、格納ラック36、54内において、それぞれの開口側部27がアクセス空間34から離れる方向に向くよう配置されていてもよい。例えば、図2および図6に最もよく示されるように、標準容器22を、それぞれの開口側部27がアクセス空間34から最も遠くなるように収納ラック36、54内に配し、それにより格納回収輸送装置56と反対側にドアフランジ28を配置してもよい。標準容器22はまた、それぞれの開口側部27がアクセス空間34に対して垂直方向または側方を向くように配置されてもよく、これによっても、妨害されることのない持ち上げフランジ30への水平アクセスを提供し得る。一態様によれば、回収輸送装置のチャック32は、おおよそ平行な一対の部材を含むフォークとして構成されてもよく、標準容器22の水平方向の係合は、「フォーキング」または「チャッキング」と呼ばれ得る。図3の右上に示すように、標準容器22が、ドアフランジ28がアクセス空間34に対向するように配されている場合、ドアフランジ28が、機械的干渉を引き起こし、チャック32が持ち上げフランジ30へと水平に移動するのを妨害してしまうことがある。
【0019】
ドアフランジ28が、妨害されることなく持ち上げフランジ30に対して水平アクセス可能な向きに配されているため、本開示の物品格納装置20では、標準容器22を、一般に従来技術で行われ図4に示されるように底面24から持ち上げる必要がなく、その代わりに、図5に示すような持ち上げフランジを用いて格納ラック36、54に対して出し入れすることができる。このように、格納回収輸送装置56のアーム58は、移動される標準容器22と実質的に同じ列内に配置されてもよく、それにより、図4図5に示すように、垂直格納ピッチを、例えば、453mmから380mmへと短縮してもよい。
【0020】
一態様によれば、図7A図7Dに最もよく示されるように、格納回収輸送装置56のアーム58は、4つ以上の複数のセグメント60であって各セグメント60間にヒンジジョイント62を有するセグメント60を備えた水平多関節ロボットアーム58(SCARA:Selective Compliance Articulated Robot Arm)を含んでいてもよい。言い換えると、アーム58は、セグメント60間に3つ以上のジョイント62を含んでいてもよい。一態様によると、アーム58は2つ以上のモータ64によって作動され、各モータ64は、ジョイント62によって隔てられた2つのセグメント60を互いに対して移動させてもよい。このように、アーム58は、チャック32を、ラック36、54内の標準容器22のいずれかに対し、ラック36、54内の他の標準容器22のいずれとも接触することなく係合させることができる。図7A図7Bに最もよく示されるように、セグメント60は対で配置され、各対がモータ64によって作動されてもよい。図7Bに最もよく示されるように、チャックアクチュエータ33を設けて、チャック32を標準容器22の持ち上げフランジ30に対して係合または係合解除させてもよい。
【0021】
また、図7Aに示すように、格納回収輸送装置56のチャック32に最も近い1対の第1のセグメント60は、チャック32から最も遠い第2のセグメント60よりも長くてもよい。例えば、チャック32に最も近いセグメント60は、セグメント60の両端それぞれのジョイント取り付け具の中心間について、中心間長さが320mmであってもよく、一方、チャック32から遠いセグメント60では、中心間長さが270mmであってもよい。図9A~9Bに示されるように、3つ以上の複数のセグメント60を含むアーム58は、必要とする横方向の設置面積が小さくなり、それにより、標準容器22を、機械的な干渉を防ぐために図8Aに示すように行間に追加で横方向の空間を必要とする従来技術のアーム58の場合よりも小さな横方向ピッチでラック36、54に配置することができる。3つ以上のジョイントを備えたそのようなアーム58の配置は、3つ以上の水平面を有する格納ラック36、54も実現可能であるが、従来技術の格納ラック36、54では、図8Aに示すように、機械的干渉なしに作動アーム58を収容するために必要な横方向の格納ピッチを増大させることができないため、2つの水平面に制限される可能性があった。
【0022】
標準容器22を物品保管装置20内の宛先位置38に移動させるための方法100が提供される。図10のフローチャートに記載されているように、方法100は、以下のステップのうち1つまたは複数を含んでも良い:格納回収輸送装置56のチャック32に、標準容器22の上面26に配された持ち上げフランジ30を係合させるステップ102;格納回収輸送装置56により、物品格納装置20内のアクセス空間34内の標準容器22を宛先位置38に隣接するアクセス空間34の一部に移動させるステップ104;格納回収輸送装置56により、ドアフランジ28が、回収輸送装置56から離れる方向、例えば、それと垂直な方向、または格納回収輸送装置56と反対側であって宛先位置38の方向を向くよう標準容器22の向きを定めるステップ106;格納回収輸送装置56のアーム58により、標準容器22を物品格納装置20の宛先位置38へと移動させるステップ108。ステップ108は、例えば、図7A図7Dに示されるアーム58のような格納回収輸送装置56のアーム58によって行われても良い。方法100は、格納回収輸送装置56のチャック32を、標準容器22の持ち上げフランジ30から係合解除するステップ110;および、格納回収輸送装置56のアーム58をアクセス空間34に引っ込めるステップ112を進めてもよい。
【0023】
また、標準容器22を物品保管装置20内のアクセス可能位置38から宛先位置38に移動させるための方法200も提供される。図11のフローチャートに記載されているように、方法200は、以下のステップのうち1つまたは複数を含んでも良い:物品格納装置20内のアクセス空間34内の格納回収輸送装置56を標準容器22と隣接するように移動させるステップ202;格納回収輸送装置56のアーム58を延伸させるステップ204;標準容器22の上面26に配された持ち上げフランジ30を格納回収輸送装置56のアーム58に配されたチャック32に係合させるステップ206;格納回収輸送装置56のアーム58を引っ込めて標準容器22をアクセス空間34に移動させるステップ208;および、格納回収輸送装置56により、アクセス空間34内の標準容器22を宛先に移動させるステップ210。宛先は、格納ラック36、54のうちの1つの中の位置38であってもよい。宛先は、例えば、物品保管装置20から出すための別の格納場所あるいはドックを含む、別の場所であってもよい。
【0024】
明らかに、上記の教示に照らして本発明を様々に修正および変形することが可能であり、添付の特許請求の範囲内で具体的に説明した以外の方法で実施してもよい。これらの先行する記載は、本発明の新規性がその有用性を発揮するような、あらゆる組み合わせを網羅するものと解釈されるべきである。装置クレームにおける「said」という語の使用は、請求項の範囲に含まれることを意図した積極的な記述である先行語に言及するものであり、一方、「the」は、請求項の範囲に含まれることを意図しない語に対して先行するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11