(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】フローサイトメトリーシステム及び装置、該フローサイトメトリー装置を備えるインビトロ診断用分析装置、並びに、該フローサイトメトリーシステムを備える装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/14 20060101AFI20220104BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N15/14 C
G01N33/48 M
(21)【出願番号】P 2020009074
(22)【出願日】2020-01-23
(62)【分割の表示】P 2016575760の分割
【原出願日】2015-06-23
【審査請求日】2020-02-18
(32)【優先日】2014-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515124543
【氏名又は名称】アルテイオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルソー アラン
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-194444(JP,A)
【文献】特開2011-059046(JP,A)
【文献】特開2000-258334(JP,A)
【文献】実開平03-036944(JP,U)
【文献】特開2011-232033(JP,A)
【文献】実開昭63-137855(JP,U)
【文献】特開平05-232011(JP,A)
【文献】特開2010-164565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00-15/14
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローサイトメトリーシステム(4)であって、
測定チャンバ(11)を少なくとも部分的に画定する測定セル(9)と、
上記測定チャンバ(11)内に、分析対象の
血液細胞の粒子流を噴射する噴射装置(12)と、
上記測定チャンバ(11)内に噴射された上記粒子流を、上記フローサイトメトリーシステムの外部に排出する排出装置(13)と、
を備え、
上記噴射装置(12)は、
上記測定チャンバ(11)に流体的に接続された噴射口(16)を有しかつ内側チャンバ(15)を画定する噴射ノズル体(14)と、
上記内側チャンバ(15)内に開口し、上記
血液細胞を含有する液体サンプルを、該内側チャンバに供給するように構成された第1の供給導管(17)と、
上記内側チャンバ(15)内に開口し、第1のシース流体を該内側チャンバに供給するように構成された第2の供給導管(19)と、
を有し、
上記排出装置(13)は、
上記測定チャンバ(11)と流体的に接続され、該測定チャンバ内に噴射された上記粒子流を排出するように構成された排出導管(31)
を有し、
上記噴射ノズル体(14)及び上記第2の供給導管(19)は、上記内側チャンバに導入された上記第1のシース流体が、該内側チャンバに導入された上記液体サンプルを流体力学的に被覆可能なように構成され、
上記測定チャンバ(11)に流体的に接続され、第2のシース流体を上記測定チャンバに供給するように構成された第3の供給導管(33)と、
上記
血液細胞の少なくとも1つの光学的特性を測定する測定装置と、
を更に備え、
上記測定チャンバ(11)及び上記第3の供給導管(33)は、該測定チャンバ(11)に導入された上記第2のシース流体が、該測定チャンバ(11)内の上記粒子流を流体力学的に被覆可能なように構成され、
上記測定装置は、
上記測定チャンバ(11)の方向に向けられかつ上記粒子流を横断可能な光ビームを放射するように構成された発光装置であって、該光ビームを発生させるための光源(44)を有する少なくとも1つの発光装置(42)と、
上記測定チャンバ(11)からの光線を集光する少なくとも1つの集光装置(43a~43c)と、
を有し、
上記少なくとも1つの集光装置(43a~43c)は、上記測定セル(9)に関して互いに周方向にずれて配置された複数の集光装置(43a~43c)を有し、
上記噴射装置(12)、上記排出装置(13)、上記少なくとも1つの発光装置(42)、及び、上記複数の集光装置(43a~43c)が取り付けられた、一部品からなる基準支持部(6)を更に備え、
上記基準支持部(6)は、上記測定セル(9)を収容する収容ハウジング(7)を画定するものであり、
上記測定セル(9)は、上記収容ハウジング(7)に対して流体的に分離されていると共に上記噴射装置(12)と上記排出装置(13)との間に密に挟まれて
おり、
上記少なくとも1つの発光装置(42)より放射された上記光ビームの向きを調整する向き調整装置(61)を更に備え、
上記噴射ノズル体(14)は、ノズル本体(14a)と、噴射部材(14b)とを有し、
上記ノズル本体(14a)は、電気絶縁材料で構成され、その一部が上記基準支持部(6)の挿通開口(8a)を通って延びており、
上記噴射部材(14b)は、上記ノズル本体(14a)に取り付けられ、その内部に上記噴射口(16)が形成されており、
上記排出導管(31)は、上記測定チャンバ(11)内まで部分的に延びて上記測定チャンバ(11)内で開口する管状排出部を有し、当該管状排出部は上記噴射口(16)と対向していることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項2】
請求項1記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記少なくとも1つの発光装置(42)は、上記光ビームを、上記測定チャンバ(11)内で上記粒子流に集束させる集束装置(45)を有することを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項3】
請求項2記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記集束装置(45)は、
上記光ビームの光路に配置された光学集束エレメント(49)が設けられた第1の取付部(46)と、
上記光源(44)が取り付けられた第2の取付部(47)と、
を有し、
上記集束装置(45)の上記第1及び第2の取付部(46,47)は、上記光ビームの光路に対して実質的に平行な第1の変位方向(D1)に沿って、互いに相対的に変位可能に構成され、
上記集束装置(45)には、該集束装置(45)の上記第1及び第2の取付部(46,47)の相対位置を、上記第1の変位方向(D1)に沿って調整する第1の調整エレメント(57)が設けられていることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項4】
請求項3記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記集束装置(45)は、上記第1の取付部(46)を上記基準支持部(6)に対して固定するための少なくとも1つの固定エレメント(54)を更に有し、
上記集束装置(45)の上記第2の取付部(47)は、該集束装置(45)の上記第1の取付部(46)に対して可動に取り付けられていることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項5】
請求項
1記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記向き調整装置(61)は、
上記基準支持部(6)と上記少なくとも1つの発光装置(42)との間に配置され、少なくとも部分的に弾性変形可能な調整用クッション(62)と、
上記調整用クッション(62)を変形させることにより、上記少なくとも1つの発光装置(42)より放射された上記光ビームの向きを調整する変形手段と、
を有することを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項6】
請求項3記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記少なくとも1つの発光装置(42)より放射された上記光ビームの向きを調整する向き調整装置(61)を更に備え、
上記向き調整装置(61)は、
上記基準支持部(6)と上記少なくとも1つの発光装置(42)との間に配置され、少なくとも部分的に弾性変形可能な調整用クッション(62)と、
上記調整用クッション(62)を変形させることにより、上記少なくとも1つの発光装置(42)より放射された上記光ビームの向きを調整する変形手段と、
を有し、
上記集束装置(45)の上記第1の取付部(46)は、上記調整用クッション(62)を支持する支承部(52)を有することを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項7】
請求項4記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記少なくとも1つの発光装置(42)より放射された上記光ビームの向きを調整する向き調整装置(61)を更に備え、
上記向き調整装置(61)は、
上記基準支持部(6)と上記少なくとも1つの発光装置(42)との間に配置され、少なくとも部分的に弾性変形可能な調整用クッション(62)と、
上記調整用クッション(62)を変形させることにより、上記少なくとも1つの発光装置(42)より放射された上記光ビームの向きを調整する変形手段と、
を有し、
上記集束装置(45)の上記第1の取付部(46)は、上記調整用クッション(62)を支持する支承部(52)を有し、
上記変形手段は、上記少なくとも1つの固定エレメント(54)と上記第1の取付部(46)の上記支承部(52)とにより構成されていることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記複数の集光装置(43a~43c)は、
第1の光学集光エレメント(78)を有する第1の取付部(75)と、
少なくとも1つの第2の光学集光エレメント(86)を有する第2の取付部(76)と、
を有し、
上記複数の集光装置(43a~43c)の上記第1及び第2の取付部(75,76)は、第2の変位方向に沿って、互いに相対的に変位可能に構成され、
上記複数の集光装置(43a~43c)には、該複数の集光装置(43a~43c)の上記第1及び第2の取付部(75,76)の相対位置を、上記第2の変位方向に沿って調整する第2の調整エレメント(87)が設けられていることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項9】
請求項
8記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記複数の集光装置(43a~43c)は、該集光装置の上記第1の取付部(75)を上記基準支持部(6)に対して固定するための少なくとも1つの固定エレメント(83)を更に有し、該集光装置の上記第2の取付部(76)が、該集光装置の上記第1の取付部に対して可動に取り付けられていることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項10】
請求項
8又は
9記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記少なくとも1つの第2の光学集光エレメント(86)は、少なくとも1つの集光用光ファイバを有することを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか1つに記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記
血液細胞が上記噴射口(16)を通過することにより生じる、電気インピーダンスの変動を測定する電気インピーダンス変動測定手段を備え、
上記電気インピーダンス変動測定手段は、上記噴射口(16)の両側にそれぞれ配置された第1及び第2電極(91,92)を有し、
上記第1及び第2電極(91,92)は、上記粒子流と電気的に接触するように構成されていることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1つに記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記少なくとも1つの発光装置(42)は、上記噴射口(16)と上記光ビームとの間の距離が、実質的に、上記排出導管(31)と上記噴射口(16)との間の距離の1/3以下になるように配置されることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか1つに記載のフローサイトメトリーシステム(4)において、
上記基準支持部(6)は、金属製であり、
上記測定セル(9)、上記噴射装置(12)及び上記排出装置(13)は、電気絶縁材料で構成されることを特徴とするフローサイトメトリーシステム(4)。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1つに記載のフローサイトメトリーシステム(4)を少なくとも1つ備えることを特徴とするフローサイトメトリー装置(2)。
【請求項15】
請求項
14記載のフローサイトメトリー装置(2)を備えることを特徴とするインビトロ診断用分析装置(97)。
【請求項16】
請求項1~
13のいずれか1つに記載のフローサイトメトリーシステム(4)と、該フローサイトメトリーシステムが取り付けられる調整台(3)とを備えた装置であって、
上記調整台(3)は、上記基準支持部(6)に対する上記発光装置(42)の位置を、平行移動によって調整する少なくとも1つの第1の平行移動調整装置(64)を有することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的粒子を分析するためのフローサイトメトリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているフローサイトメトリーシステムは、
測定チャンバを少なくとも部分的に画定する測定セルと、
上記測定チャンバ内に、分析対象の生物学的粒子の粒子流を噴射する噴射装置と、
上記測定チャンバ内に噴射された上記粒子流を、上記フローサイトメトリーシステムの外部に排出する排出装置と、
上記生物学的粒子の少なくとも1つの光学的特性を測定する測定装置と、
を備える。
【0003】
上記噴射装置は、
上記測定チャンバに流体的に接続された噴射口を有しかつ内側チャンバを画定する噴射ノズル体と、
上記内側チャンバ内に開口し、上記生物学的粒子を懸濁状態で含有する液体サンプルを、該内側チャンバに供給するように構成された第1の供給導管と、
上記内側チャンバ内に開口し、第1のシース流体を該内側チャンバに供給するように構成された第2の供給導管と、
を有し、上記噴射ノズル体及び上記第2の供給導管は、上記内側チャンバに導入された上記第1のシース流体が、該内側チャンバに導入された上記液体サンプルを流体力学的に被覆可能(シース可能)なように構成されている。
【0004】
上記測定装置は、
上記測定チャンバの方向に向けられかつ上記粒子流を横断可能な光ビームを放射するように構成された発光装置であって、該光ビームを発生させるための光源を有する発光装置と、
上記測定チャンバからの光線、具体的には、測定チャンバに導入されて上記光ビームを横切る生物学的粒子のそれぞれが拡散又は回折した光線を集光する集光装置と、
を有する。
【0005】
分析対象の生物学的粒子を含有する液体サンプルを流体力学的に被覆することにより、該液体サンプルの広がりを噴射口の通過前に抑制することができ、したがって、生物学的粒子の位置を制限することができて、粒子流を測定チャンバ内の中央に位置させるように最適化することができる。これにより、入射光ビームと生物学的粒子流との相対的な位置合わせが容易になり、この結果、分析対象である生物学的粒子の光学的特性測定の質を向上させることができる。
【0006】
また、特許文献1に記載のフローサイトメトリーシステムは、測定セルによって画定された測定チャンバの容積が小さいので、反応液の消費を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のようなフローサイトメトリーシステムでは、入射光ビームを生物学的粒子流に位置合わせするために、複雑かつ面倒な調整装置を使用しなければならない。
【0009】
また、上記のようなフローサイトメトリーシステムに使用される調整装置の精度は十分なものではない。したがって、上記のようなフローサイトメトリーシステムを使用して行われる測定には、改善の余地があるといえる。
【0010】
本発明は、上記欠点の一部又は全てを克服することを目的とする。
【0011】
具体的には、本発明の基礎をなす技術的課題は、簡単で経済的な構造を有しかつ信頼できる光学的測定を行い得るフローサイトメトリーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明では、生物学的粒子を分析するための、以下のようなフローサイトメトリーシステムが提供される。
【0013】
すなわち、本発明のフローサイトメトリーシステムは、
測定チャンバを少なくとも部分的に画定する測定セルと、
上記測定チャンバ内に、分析対象の生物学的粒子の粒子流を噴射する噴射装置と、
上記測定チャンバ内に噴射された上記粒子流を、上記フローサイトメトリーシステムの外部に排出する排出装置と、
を備え、
上記噴射装置は、
上記測定チャンバに流体的に接続された噴射口を有しかつ内側チャンバを画定する噴射ノズル体と、
上記内側チャンバ内に開口し、上記生物学的粒子を懸濁状態で含有する液体サンプルを、該内側チャンバに供給するように構成された第1の供給導管と、
上記内側チャンバ内に開口し、第1のシース流体を該内側チャンバに供給するように構成された第2の供給導管と、
を有し、
上記排出装置は、
上記測定チャンバと流体的に接続され、該測定チャンバ内に噴射された上記粒子流を排出するように構成された排出導管
を有し、
上記噴射ノズル体及び上記第2の供給導管は、上記内側チャンバに導入された上記第1のシース流体が、該内側チャンバに導入された上記液体サンプルを流体力学的に被覆可能なように構成され、
上記測定チャンバに流体的に接続され、第2のシース流体を上記測定チャンバに供給するように構成された第3の供給導管と、
上記生物学的粒子の少なくとも1つの光学的特性を測定する測定装置と、
を更に備え、
上記測定チャンバ及び上記第3の供給導管は、該測定チャンバに導入された上記第2のシース流体が、該測定チャンバ内の上記粒子流を流体力学的に被覆可能なように構成され、
上記測定装置は、
上記測定チャンバの方向に向けられかつ上記粒子流を横断可能な光ビームを放射するように構成された発光装置であって、該光ビームを発生させるための光源を有する少なくとも1つの発光装置と、
上記測定チャンバからの光線を集光する少なくとも1つの集光装置と、
を有し、
上記少なくとも1つの集光装置は、上記測定セルに関して互いに周方向にずれて配置された複数の集光装置を有し、
上記噴射装置、上記排出装置、上記少なくとも1つの発光装置、及び、上記複数の集光装置が取り付けられた、一部品からなる基準支持部を更に備え、
上記基準支持部は、上記測定セル収容する収容ハウジングを画定するものであり、
上記測定セルは、上記収容ハウジングに対して流体的に分離されていると共に上記噴射装置と上記排出装置との間に密に挟まれている。
【0014】
発光装置と集光装置とを、基準支持部と呼ばれる同じ支持部に取り付けることにより、発光装置及び集光装置の安定性と相対位置決め精度とが向上し、その結果、実施される光学的測定の信頼度が高まる。
【0015】
また、噴射装置と排出装置とを1つの基準支持部に取り付けることにより、低精度で成型又はオーバーモールドされた部品によって、噴射装置及び排出装置を構成することができる。その結果、本発明のフローサイトメトリーシステムの製造コストを低減することができる。
【0016】
尚、測定チャンバ内で粒子流を被覆することで、測定チャンバ内を通過する間、この粒子流を安定的に中央に位置(集中)させることができる。
【0017】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの発光装置は、レーザー光線を放射するように設けられる。
【0018】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの発光装置は、上記光ビームを、上記測定チャンバ内で上記粒子流に集束させる集束装置を有する。
【0019】
本発明の一実施形態によると、上記集束装置は、
上記光ビームの光路に配置された光学集束エレメントが設けられた第1の取付部と、
上記光源が取り付けられた第2の取付部と、
を有し、上記集束装置の第1及び第2の取付部は、上記光ビームの光路に対して実質的に平行な第1の変位方向に沿って、互いに相対的に変位可能に構成され、上記集束装置には、該集束装置の上記第1及び第2の取付部の相対位置を、上記第1の変位方向に沿って調整する、微動ネジのような第1の調整エレメントが設けられている。
【0020】
本発明の一実施形態によると、上記光学集束エレメントは、集束レンズを含む。
【0021】
本発明の一実施形態によると、上記集束装置は、上記第1の取付部を上記基準支持部に対して固定するための少なくとも1つの固定エレメントを更に有し、該集束装置の上記第2の取付部が、該集束装置の上記第1の取付部に対して可動に取り付けられている。
【0022】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの固定エレメントは、少なくとも1本の固定ネジを含む。
【0023】
本発明の一実施形態によると、上記集束装置の上記第1の取付部がガイド導管を画定し、このガイド導管内に、該集束装置の上記第2の取付部の少なくとも一部が摺動可能に取り付けられる。
【0024】
本発明の一実施形態によると、上記第1の調整エレメントは、上記集束装置の上記第1の取付部に形成された第1のネジ穴と協働するよう設けられた第1のネジ部と、該集束装置の上記第2の取付部に形成された第2のネジ穴と協働するよう設けられた第2のネジ部とを有する。第1及び第2のネジ部には、ピッチが互いに異なるネジ山が設けられる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記少なくとも1つの発光装置より放射された上記光ビームの向きを調整する向き調整装置を更に備える。この向き調整装置は、角度調整装置とも呼ばれる。
【0026】
本発明の一実施形態によると、上記向き調整装置は、上記光ビームの光路が上記粒子流の流動方向に対して実質的に垂直に延びるように、上記少なくとも1つの発光装置より放射された光ビームの向きを調整する。
【0027】
本発明の一実施形態によると、上記向き調整装置は、
上記基準支持部と上記少なくとも1つの発光装置との間に配置され、少なくとも部分的に弾性変形可能な調整用クッションと、
上記調整用クッションを変形させることにより、上記少なくとも1つの発光装置より放射された上記光ビームの向きを調整する変形手段と、
を有する。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記調整用クッションは環状のものである。例えば、上記調整用クッションは、上記発光装置の少なくとも一部が通って延びる中央経路を画定する。
【0029】
本発明の一実施形態によると、上記集束装置の上記第1の取付部は、上記調整用クッションを支持する支承部を有する。
【0030】
本発明の一実施形態によると、上記第1の取付部の上記支承部は、上記少なくとも1つの固定エレメントが挿通される挿通孔を有する。
【0031】
本発明の一実施形態によると、上記変形手段は、上記少なくとも1つの固定エレメントと上記第1の取付部の上記支承部とにより構成されている。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記調整用クッションは、上記少なくとも1つの固定エレメントが挿通される挿通孔を有する。
【0033】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの集光装置は、
第1の光学集光エレメントを有する第1の取付部と、
少なくとも1つの第2の光学集光エレメントを有する第2の取付部と、
を有し、上記少なくとも1つの集光装置の上記第1及び第2の取付部は、第2の変位方向に沿って、互いに相対的に変位可能に構成され、上記少なくとも1つの集光装置には、該少なくとも1つの集光装置の上記第1及び第2の取付部の相対位置を、上記第2の変位方向に沿って調整する、微動ネジのような第2の調整エレメントが設けられている。
【0034】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの集光装置は、該集光装置の上記第1の取付部を上記基準支持部に対して固定するための少なくとも1つの固定エレメントを更に有し、該集光装置の上記第2の取付部が、該集光装置の上記第1の取付部に対して可動に取り付けられている。
【0035】
本発明の一実施形態によると、上記集光装置の上記第1の取付部は、ガイド導管を画定し、このガイド導管内に、該集光装置の上記第2の取付部の少なくとも一部が摺動可能に取り付けられている。
【0036】
本発明の一実施形態によると、上記第2の調整エレメントは、上記集光装置の上記第1の取付部に形成された第1のネジ穴と協働するよう設けられた第1のネジ部と、該集光装置の上記第2の取付部に形成された第2のネジ穴と協働するよう設けられた第2のネジ部とを有する。第1及び第2のネジ部には、ピッチが互いに異なるネジ山が設けられる。
【0037】
本発明の一実施形態によると、上記第1の光学集光エレメントは、例えばコリメータを形成する光学レンズを含む。
【0038】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの第2の光学集光エレメントは、少なくとも1つの集光用光ファイバを含む。
【0039】
本発明の一実施形態によると、上記集光装置の上記第2の取付部は、複数の集光用光ファイバを有する。本発明の一実施形態によると、上記集光装置の上記第2の取付部は、1つの集光用中央光ファイバと、複数の集光用周辺光ファイバとを有する。例えば、上記集光用中央光ファイバは、入射光ビームの光路に沿って測定チャンバから出射された光線、すなわち、0°の角度の光線を集光するように構成され、上記複数の集光用周辺光ファイバは、例えば15°よりも小さい角度で測定チャンバから出射された光線を集光するように構成されている。例えば、上記集光装置の上記第2の取付部は、4°の範囲内の角度で測定チャンバから出射された光線を集光するように構成された集光用周辺光ファイバを少なくとも1つ有していてもよく、9°の範囲内の角度で測定チャンバから出射された光線を集光するように構成された集光用周辺光ファイバを少なくとも1つ有していてもよい。
【0040】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記生物学的粒子が上記噴射口を通過することにより生じる、電気インピーダンスの変動を測定する電気インピーダンス変動測定手段を更に備え、該電気インピーダンス変動測定手段は、上記噴射口の両側にそれぞれ配置された第1及び第2電極を有し、該第1及び第2電極は、上記粒子流と電気的に接触して、上記噴射口を通る電界を発生させるように構成されている。このような電気インピーダンス変動測定手段により、上記噴射口を通過する生物学的粒子の数をカウントすることができるとともに、生物学的粒子の大きさ、具体的には体積を測定することができる。
【0041】
本発明の一実施形態によると、上記測定装置は、上記測定セルに関して、具体的には、上記粒子流の軸の周囲で、互いに周方向にずれて配置された複数の集光装置を有する。
【0042】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの集光装置は、上記測定セルを挟んで、実質的に上記発光装置とは反対側に配置されている。
【0043】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記測定セルに関して、具体的には、上記粒子流の軸の周囲で、互いに周方向にずれて配置された複数の発光装置を備える。
【0044】
本発明の一実施形態によると、上記排出装置は、上記第3の供給導管に加えて、上記測定チャンバと流体的に接続された排出導管を有する。この排出導管は、該測定チャンバ内に噴射された上記粒子流を排出するように構成される。この構成により、複数の流体入口と複数の流体出口とを基準支持部に対して実質的に対称に配置することができ、この結果、本発明のフローサイトメトリーシステムの組立てを容易なものとし、さらには上記複数の流体入口及び流体出口へのアクセスをより容易にすることができる。また、上記構成により、噴射装置及び排出装置の製造が容易になる。なぜなら、排出装置を構成する部品を、同じ金型、又は、その形状に適合可能なインサート又は部品を備える金型から、製造することができるからである。
【0045】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記測定チャンバ内に噴射された第2のシース流体の圧力が、上記内側チャンバ内に噴射された第1のシース流体の圧力よりも低くなるように構成される。
【0046】
本発明の一実施形態によると、上記噴射装置は、上記内側チャンバに流体的に接続された第1の吐出導管を有する。この第1の吐出導管は、該内側チャンバ内の内容物を上記フローサイトメトリーシステムの外部に吐出するように構成される。具体的に、この第1の吐出導管は、上記第2の供給導管を介して上記内側チャンバに導入された第1の洗浄流体を、上記フローサイトメトリーシステムの外部に吐出するように構成される。
【0047】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記第1の吐出導管に流体的に接続された第1の吐出弁を更に備える。この第1の吐出弁は、上記内側チャンバから上記第1の吐出導管を介して上記フローサイトメトリーシステムの外部へと向かう流体の流れを止める閉鎖位置と、上記内側チャンバから上記第1の吐出導管を介して上記フローサイトメトリーシステムの外部へと流体を流す開放位置との間で可動に構成される。
【0048】
本発明の一実施形態によると、少なくとも1つの上記排出装置が、上記測定チャンバに流体的に接続された第2の排出導管を有する。この第2の排出導管は、該測定チャンバ内の内容物を上記フローサイトメトリーシステムの外部に排出するように構成される。具体的に、この第2の排出導管は、上記第3の供給導管を介して上記測定チャンバに導入された第2の洗浄用流体、及び、該内側チャンバを出て上記噴射口を通過する測定対象の上記粒子流を、上記フローサイトメトリーシステムの外部に排出するように構成される。
【0049】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、第2の吐出導管に流体的に接続された第2の吐出弁を更に備える。この第2の吐出弁は、上記測定チャンバから上記第2の吐出導管を介して上記フローサイトメトリーシステムの外部へと向かう流体の流れを止める閉鎖位置と、上記測定チャンバから上記第2の吐出導管を介して上記フローサイトメトリーシステムの外部へと流体を流す開放位置との間で可動に構成される。
【0050】
本発明の一実施形態によると、上記第1の吐出弁及び/又は上記第2の吐出弁は、電磁弁である。
【0051】
本発明の一実施形態によると、上記基準支持部は、少なくとも1つの第1の挿通開口と、第2の挿通開口と、第3の挿通開口と、少なくとも1つの第4の挿通開口とを有する。上記少なくとも1つの第1の挿通開口を通って上記発光装置の少なくとも一部が延び、上記第2の挿通開口を通って上記少なくとも1つの集光装置の少なくとも一部が延び、上記第3の挿通開口を通って上記噴射装置の少なくとも一部が延び、上記少なくとも1つの第4の挿通開口を通って上記排出装置の少なくとも一部が延びる。これら第1乃至第4の挿通開口は、上記収容ハウジング内に開口している。
【0052】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2の供給導管は、上記内側チャンバ内に開口する第1及び第2の端部をそれぞれ有し、該第2の端部は、該第1の端部よりも、上記噴射口から離れている。
【0053】
本発明の一実施形態によると、上記第1の供給導管は、上記内側チャンバ内に開口する第1の管状供給部を有し、上記第2の供給導管は、上記内側チャンバ内に開口する第2の管状供給部を有する。該第2の管状供給部は、該第1の管状供給部を囲むように延びている。例えば、これら第1及び第2の管状供給部は、互いに同軸状に延びていてもよい。
【0054】
本発明の一実施形態によると、上記第3の供給導管の測定チャンバ側の端部は、上記排出導管の測定チャンバ側の端部よりも、上記噴射口から離れている。
【0055】
本発明の一実施形態によると、上記排出導管は、上記測定チャンバ内に開口する管状排出部を有し、上記第3の供給導管は、上記測定チャンバに流体的に接続された第3の管状供給部を有する。この第3の管状供給部は、上記管状排出部を囲むように延びている。例えば、上記管状排出部と上記第3の管状供給部とは、同軸状に延びていてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態によると、上記第1の供給導管は、上記噴射口に対向して開口している。
【0057】
本発明の一実施形態によると、上記測定セルは、上記収容ハウジングに対して流体的に分離されている。
【0058】
本発明の一実施形態によると、上記測定セルは、上記噴射装置と上記排出装置との間に密に挟まれている。
【0059】
本発明の一実施形態によると、上記測定セルは、上記発光装置から放射された光ビームを、少なくとも部分的に透過させる。
【0060】
本発明の一実施形態によると、上記測定セルは、電気絶縁材料で構成される。
【0061】
本発明の一実施形態によると、上記噴射装置及び上記排出装置は、電気絶縁材料で構成される。
【0062】
本発明の一実施形態によると、上記発光装置は、上記光ビームの光路が、上記粒子流の流動方向に対して実質的に垂直になるように配置される。
【0063】
本発明の一実施形態によると、上記排出装置は、上記測定セルを挟んで上記噴射装置とは反対側に位置するように、上記基準支持部に取り付けられる。
【0064】
本発明の一実施形態によると、上記少なくとも1つの発光装置及び上記少なくとも1つの集光装置は、上記粒子流の流動方向に対して実質的に垂直な平面内で延びる。
【0065】
本発明の一実施形態によると、上記測定装置は、上記少なくとも1つの集光装置に対応しかつ該少なくとも1つの集光装置により集光された光線によって決定される測定信号を出力部から出力する少なくとも1つの検出エレメントを有する。例えば、上記少なくとも1つの検出エレメントは、フォトダイオードや光電子増倍管のような光検出器により構成される。
【0066】
本発明の一実施形態によると、上記分析対象の生物学的粒子は、生物学的細胞、特に、白血球や赤血球のような血液細胞、又は、血小板や、酵母、菌類、胞子、微生物、バクテリア等からなる。上記生物学的粒子は、結晶のようなエレメントからなっていてもよい。
【0067】
本発明の一実施形態によると、上記噴射ノズル体は、ルビー又は合成サファイアといった噴射部材を有し、この噴射部材に上記噴射口が形成される。尚、上記噴射口は、上記噴射ノズル体に直接的に形成されてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によると、上記発光装置は、上記噴射口と上記光ビームとの間の距離が、実質的に、上記排出導管と上記噴射口との間の距離の1/3以下になるように配置される。
【0069】
本発明の一実施形態によると、上記発光装置は、上記噴射口と上記光ビームとの間の距離が、実質的に、上記排出導管と上記噴射口との間の距離の1/2以下になるように配置される。
【0070】
本発明の一実施形態によると、上記第1のシース流体及び/又は上記第2のシース流体は、生理学的液体のような希釈液である。
【0071】
本発明の一実施形態によると、上記第1の洗浄流体及び/又は上記第2の洗浄流体は、生理学的液体のような希釈液である。
【0072】
また、本発明は、上記フローサイトメトリーシステムを少なくとも1つ備えるフローサイトメトリー装置に関する。
【0073】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリー装置は、少なくとも1つの検出エレメントの出力部から出力された上記測定信号をフィルタにかけて前置増幅する前置増幅ユニットを備える。例えば、このような前置増幅ユニットは、信号入力電子基板を有し、この信号入力電子基板上に、上記少なくとも1つの検出エレメントが固定される。
【0074】
本発明の一実施形態によると、上記前置増幅ユニットは、筐体内に取り付けられる。
【0075】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリー装置は、上記第1の吐出弁及び/又は上記第2の吐出弁の開閉を制御するために設けられた制御装置を備える。
【0076】
さらに、本発明は、上記少なくとも1つのフローサイトメトリー装置を備えたインビトロ診断用分析装置に関する。例えば、このようなインビトロ診断用分析装置は、仏国特許出願公開第2998057号明細書に記載の装置に類似するものであってもよい。
【0077】
本発明の一実施形態によると、上記インビトロ診断用分析装置は、上記少なくとも1つの検出エレメントにより供給された上記測定信号を分析する処理ユニットを備える。この処理ユニットは、例えば、上記生物学的粒子を識別及び/又は特定するために、具体的には、上記生物学的粒子の構造及び/又は形状を判定するために設けられる。上記処理ユニットは、例えば、上記生物学的粒子の濃度及び/又は分布を判定するために設けられるとともに、例えば、白血球中のリンパ球、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球の濃度及び/又は分布を判定するために設けられてもよい。
【0078】
さらに、本発明は、本発明に係る上記フローサイトメトリーシステムと、このフローサイトメトリーシステムを取り付けられる調整台とを備えた装置に関する。この調整台は、上記基準支持部に対する上記発光装置の位置を、平行移動によって調整する少なくとも1つの第1の平行移動調整装置を有する。
【0079】
本発明の一実施形態によると、上記第1の平行移動調整装置は、上記基準支持部に対する上記発光装置の位置を、上記粒子流の流動方向に対して垂直な少なくとも1つの第1の平行移動調整方向に沿って、平行移動によって調整する。
【0080】
本発明の一実施形態によると、上記第1の平行移動調整装置は、上記基準支持部に対する上記発光装置の位置を、上記粒子流の流動方向に対して平行な第2の平行移動調整方向に沿って、平行移動によって調整する。
【0081】
本発明の一実施形態によると、上記第1の平行移動調整装置は、
上記調整台の支持部分に固定された、支持トレーのような第1の固定部と、
上記第1の平行移動調整方向に沿って、上記第1の固定部に対して平行移動可能に取り付けられた支持エレメントと、
上記発光装置に接続されるとともに、上記第2の平行移動調整方向に沿って、上記支持エレメントに対して平行移動可能に取り付けられた第2の固定部と、
を有する。
【0082】
このような第1の平行移動調整装置によって、上記発光装置の位置調整が容易かつ正確にでき、したがって、上記粒子流に対する上記光ビームの最適な位置合わせを確実に行うことができる。
【0083】
本発明の一実施形態によると、上記支持エレメントは、第1の支持分岐部と第2の支持分岐部とを有する支持ブラケットである。該第1の支持分岐部は、上記第1の平行移動調整方向に沿って、上記第1の固定部に対して平行移動可能に取り付けられ、上記第2の固定部は、上記第2の平行移動調整方向に沿って、上記第2の支持分岐部に対して平行移動可能に取り付けられる。
【0084】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記基準支持部に取り付けられかつ上記発光装置が取り付けられた第1の固定分岐部と、上記第2固定部に固定された第2の固定分岐部とを有する固定ブラケットを備える。
【0085】
本発明の一実施形態によると、上記調整用クッションは、上記集束装置の上記第1の取付部と上記固定ブラケットの一部との間に位置している。
【0086】
本発明の一実施形態によると、上記第1の平行移動調整装置は、微動平行移動調整装置である。
【0087】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記第1の固定分岐部を上記基準支持部に固定するための少なくとも1本の固定ネジを有し、上記第1の固定分岐部は、上記少なくとも1本の固定ネジを挿通可能な少なくとも1つの挿通孔を有する。本発明の一実施形態によると、この挿通孔は楕円形であるか、又は、該挿通孔の寸法が固定ネジの本体の寸法よりも大きい。
【0088】
本発明の一実施形態によると、上記調整台は、上記基準支持部に対する上記少なくとも1つの集光装置の位置を平行移動によって調整する少なくとも1つの第2の平行移動調整装置を更に有する。
【0089】
本発明の一実施形態によると、上記第2の平行移動調整装置は、上記基準支持部に対する上記集光装置の位置を、上記粒子流の流動方向に対して垂直な少なくとも1つの第1の平行移動調整方向に沿って、平行移動によって調整する。
【0090】
本発明の一実施形態によると、上記第2の平行移動調整装置は、上記基準支持部に対する上記集光装置の位置を、上記粒子流の流動方向に対して平行な第2の平行移動調整方向に沿って、平行移動によって調整する。
【0091】
本発明の一実施形態によると、上記第2の平行移動調整装置は、
上記調整台の支持部分に固定された第1の固定部と、
上記第1の平行移動調整方向に沿って、上記第1の固定部に対して平行移動可能に取り付けられた支持エレメントと、
上記集光装置に接続されるとともに、上記第2の平行移動調整方向に沿って、上記支持エレメントに対して平行移動可能に取り付けられた第2の固定部と、
を有する。
【0092】
本発明の一実施形態によると、上記第2の平行移動調整装置における上記支持エレメントは、第1の支持分岐部と第2の支持分岐部とを有する支持ブラケットである。該第1の支持分岐部は、上記第1の平行移動調整方向に沿って、上記第1の固定部に対して平行移動可能に取り付けられ、上記第2の固定部は、上記第2の平行移動調整方向に沿って、上記第2の支持分岐部に対して平行移動可能に取り付けられる。
【0093】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、少なくとも1つの集光装置に対応する少なくとも1つの固定ブラケットを備える。この固定ブラケットは、上記基準支持部に取り付けられかつ上記集光装置が取り付けられた第1の固定分岐部と、上記第2の固定部に固定された第2の固定分岐部とを有する。
【0094】
本発明の一実施形態によると、上記第2の平行移動調整装置は、微動平行移動調整装置である。
【0095】
本発明の一実施形態によると、上記フローサイトメトリーシステムは、上記集光装置が固定された上記第1の固定分岐部を上記基準支持部に固定するための少なくとも1本の固定ネジを有し、この第1の固定分岐部は、上記少なくとも1本の固定ネジを挿通可能な少なくとも1つの挿通孔を有する。本発明の一実施形態によると、この挿通孔は楕円形であるか、又は、該挿通孔の寸法が、対応する固定ネジの本体の寸法よりも大きい。
【0096】
いずれの場合も、添付の概略図を参照しての以下の説明により、本発明がより理解されるであろう。添付の図面には、本発明のフローサイトメトリーシステムの2つの実施形態が非限定的な例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るフローサイトメトリーシステムを2つ備えたフローサイトメトリー装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すフローサイトメトリーシステムの斜視図である。
【
図3】
図2に示すフローサイトメトリーシステムの一部を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示すフローサイトメトリーシステムの平面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図12】
図2に示すフローサイトメトリーシステムに属する集光装置の一部を示す正面図である。
【
図13】調整台に配設されたフローサイトメトリーシステムの一部を示す斜視図である。
【
図14】調整台に配設されたフローサイトメトリーシステムの一部を示す斜視図である。
【
図15】調整台に配設されたフローサイトメトリーシステムの一部を示す斜視図である。
【
図16】本発明に係るインビトロ診断用分析装置の前面を示す斜視図である。
【
図17】本発明に係るインビトロ診断用分析装置の背面を示す斜視図である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係るフローサイトメトリーシステムを示す断面図である。
【
図19】本発明の第2実施形態に係るフローサイトメトリーシステムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1~
図15は、生物学的粒子、及び血液細胞のような生物学的細胞の分析のための、サイトメトリック測定装置とも呼ばれるフローサイトメトリー装置2の第1実施形態を示す図である。
【0099】
図1に示すように、フローサイトメトリー装置2は、少なくとも1つのフローサイトメトリーシステム4を備える。このフローサイトメトリーシステム4は、サイトメトリック測定ヘッドとも呼ばれる。
図1に示す実施形態では、フローサイトメトリー装置2は、2つのフローサイトメトリーシステム4を備える。尚、フローサイトメトリー装置2は、フローサイトメトリーシステム4を1つだけ備えていてもよく、2つよりも多く備えていてもよい。
【0100】
フローサイトメトリーシステム4は、例えば金属製の一部品からなる支持部6(基準支持部に相当)を有する。この支持部6は、平行六面体であって、収容ハウジング7を画定する。支持部6の6つの外側面には、6つの挿通開口8a~8fがそれぞれ形成されている。
【0101】
フローサイトメトリーシステム4は、測定チャンバ11を少なくとも部分的に画定する測定セル9と、生物学的粒子流Fを測定チャンバ11内に噴射する噴射装置12と、測定チャンバ11内に噴射された生物学的粒子流Fをフローサイトメトリーシステム4の外部に排出する排出装置13とを更に備える。
【0102】
図5及び
図8に示すように、測定セル9は環状のものであって、噴射装置12と排出装置13との間に密に挟まれている。測定セル9は、支持部6により画定された収容ハウジング7内に収容されているとともに、収容ハウジング7に対して流体的に分離されている。測定セル9は、好適には、透光性の電気絶縁材料、例えば、ポリメチルメタクリル樹脂のようなプラスチック材料で構成される。
【0103】
噴射装置12及び排出装置13は、それぞれ、支持部6における相対向する2つの外側面、例えば上側の外側面及び下側の外側面に固定される。
【0104】
図6及び
図9に具体的に示すように、噴射装置12は、内側チャンバ15を画定する噴射ノズル体14を有する。この噴射ノズル体14の上端は、噴射口16に嵌合されている。噴射口16は、測定チャンバ11内に開口するとともに、内側チャンバ15と測定チャンバ11とを流体的に接続するように設けられている。
【0105】
図1~
図15に示す実施形態では、噴射ノズル体14はノズル本体14aを有し、このノズル本体14aは、プラスチック材料のような電気絶縁材料で構成され、その一部が支持部6の挿通開口8aを通って延びている。噴射ノズル体14は、ノズル本体14aに取り付けられた、内部に上記噴射口16が形成された噴射部材14bを更に有する。例えば、噴射部材14bは、ルビー又は合成サファイアで構成されていてもよく、プラスチック材料で構成されていてもよい。本発明の変形例では、噴射口16は、ノズル本体14に直接形成されていてもよい。
【0106】
噴射装置12は、分析対象の生物学的粒子を懸濁状態で含有する液体サンプルを内側チャンバ15に供給するように構成された管状の供給導管17を更に有する。供給導管17は、部分的に内側チャンバ15内で延び、その上端18が、噴射口16の近傍において当該噴射口16と対向するように、内側チャンバ15内に開口している。
【0107】
噴射装置12は、シース流体を内側チャンバ15に供給するように構成された供給導管19を更に有する。噴射ノズル体14と供給導管19とは、内側チャンバ15に導入された液体サンプルが、噴射口16を通過する前に、供給導管19を介して内側チャンバ15に導入されたシース流体によって流体力学的に被覆(シース)され得るように構成されている。このような流体力学的被覆は、液体サンプルの液圧的又は流体力学的な集束とも呼べるものである。
【0108】
図1~
図15に示す実施形態では、噴射装置12は、ノズル本体14aの下面にしっかりと取り付けられた供給部材21を有する。供給導管19は、供給部材21に取り付けられた管状インサートにより構成された第1の導管部19aと、第1の導管部19aに流体的に接続された管状の第2の導管部19bとを有する。例えば、供給部材21は、電気絶縁材料、具体的にはプラスチック材料で構成されていてもよい。例えば、第2の導管部19bは、供給部材21に形成されていてもよく、或いは、供給部材21に取り付けられた管状インサートにより形成されていてもよい。例えば、第1の導管部19aを形成する管状インサートは、オーバーモールドされていてもよい。
【0109】
図1~
図15に示す実施形態では、第1の導管部19aは、供給部材21から突出しかつシース流体の第1供給源(図示せず)と接続される端部を有する。第2の導管部19bは、内側チャンバ15内で、供給導管17を囲むように延びている。供給導管17と第2の導管部19bとは、互いに同軸状に延びている。第2の導管部19bの上端22は、内側チャンバ15内に開口している。第2の導管部19bの上端22は、供給導管17の上端18よりも、噴射口16から離れている。
【0110】
図1~
図15に示す実施形態では、供給導管17は、供給部材21に形成された挿通孔を通って延びる端部を有する。供給導管17の該端部は、供給部材21から突出し、液体サンプルの供給源(図示せず)と接続されるように構成されている。
【0111】
図5及び
図6に示すように、噴射装置12は、内側チャンバ15に流体的に接続された吐出導管26を更に有する。この吐出導管26は、内側チャンバ15内の内容物をフローサイトメトリーシステム4の外部に吐出するように構成されている。具体的には、吐出導管26は、供給導管19を介して内側チャンバ15に導入された洗浄流体を、フローサイトメトリーシステム4の外部に吐出するように構成されている。
【0112】
図1~
図15に示す実施形態では、吐出導管26の一方の端部は、例えば内側チャンバ15の基底部において内側チャンバ15内に開口する。吐出導管26は、ノズル本体14aに取り付けられた管状インサートにより構成されている。吐出導管26の他方の端部は、ノズル本体14aから突出している。
【0113】
フローサイトメトリー装置2は、吐出導管26に流体的に接続された第1の吐出弁(図示せず)を更に備える。この第1の吐出弁は、内側チャンバ15から吐出導管26を介してフローサイトメトリーシステム4の外部へと向かう流体の流れを止める閉鎖位置と、内側チャンバ15から吐出導管26を介してフローサイトメトリーシステム4の外部へと流体を流す開放位置との間で可動に構成されている。
【0114】
排出装置13は、支持部6を支持しかつ内側チャンバ29を画定する排出部材28を有する。内側チャンバ29は、測定チャンバ11内に開口する。排出部材28の一部は、支持部6の挿通開口8bを通って延びている。例えば、排出部材28は、電気絶縁材料、具体的には、プラスチック材料で構成されていてもよい。
【0115】
排出装置13は、測定チャンバ11に流体的に接続された管状の排出導管31を更に有する。この排出導管31は、測定チャンバ11内に噴射された生物学的粒子流Fをフローサイトメトリーシステム4の外部に排出するように構成されている。排出導管31は、部分的に内側チャンバ29内で延び、その下端32が、噴射口16と対向するように、測定チャンバ11内に開口している。
【0116】
排出装置13は、測定チャンバ11に流体的に接続されかつ測定チャンバ11にシース流体を供給するように構成された供給導管33を更に有する。測定チャンバ11と供給導管33とは、測定チャンバ11を流れる生物学的粒子流Fが、供給導管33を介して測定チャンバ11に導入されたシース流体によって流体力学的に被覆(シース)され得るように構成されている。
【0117】
図1~
図15に示す実施形態では、排出装置13は、排出部材28の上面にしっかりと取り付けられた供給部材34を有する。供給導管33は、供給部材34に取り付けられた管状インサートにより構成された第1の導管部33aと、該第1の導管部33aに流体的に接続された第2の管状導管部33bとを有する。例えば、供給部材34は、電気絶縁材料、具体的にはプラスチック材料で構成されていてもよい。例えば、第2の導管部33bは、供給部材34に形成されていてもよく、或いは、供給部材34に取り付けられた管状インサートにより形成されていてもよい。例えば、第1の導管部33aを形成する管状インサートは、オーバーモールドされていてもよい。
【0118】
図1~
図15に示す実施形態では、第1の導管部33aは、供給部材34から突出しかつシース流体の第2供給源(図示せず)と接続される端部を有する。第2の導管部33bの一部は、内側チャンバ29内で、排出導管31を囲むように延びている。排出導管31と第2の導管部33bとは、互いに同軸状に延びている。第2の導管部33bの下端35は、内側チャンバ29内に開口している。第2の導管部33bの下端35は、排出導管31の下端32よりも、噴射口16から離れている。
【0119】
本発明の或る実施形態では、フローサイトメトリーシステム4は、供給導管33を介して測定チャンバ11内に噴射されたシース流体の圧力が、供給導管19を介して内側チャンバ15内に噴射されたシース流体の圧力よりも低くなるように構成されている。
【0120】
図1~
図15に示す実施形態では、排出導管31は、供給部材34に形成された挿通孔を通って延びかつ供給部材34から突出する端部を有する。
【0121】
本発明の或る実施形態では、ノズル本体14a、供給部材21、排出部材28及び供給部材34のそれぞれが、成型により製造される。
【0122】
図5及び
図7に示すように、排出装置13は、測定チャンバ11に流体的に接続された吐出導管40を更に有する。この吐出導管40は、測定チャンバ11の内容物をフローサイトメトリーシステム4の外部に吐出するように構成されている。具体的には、吐出導管40は、供給導管33を介して測定チャンバ11に導入された洗浄流体を、フローサイトメトリーシステム4の外部に吐出するように構成されている。
【0123】
図1~
図15に示す実施形態では、吐出導管40は、内側チャンバ29内に開口するとともに、排出部材28に取り付けられた管状インサートにより構成されている。吐出導管40は、内側チャンバ29を介して、測定チャンバ11に流体的に接続されている。
【0124】
フローサイトメトリー装置2は、吐出導管40に流体的に接続された第2の吐出弁(図示せず)を更に備える。この第2の吐出弁は、測定チャンバ11から吐出導管40を介してフローサイトメトリーシステム4の外部へと向かう流体の流れを止める閉鎖位置と、測定チャンバ11から吐出導管40を介してフローサイトメトリーシステム4の外部へと流体を流す開放位置との間で可動に構成されている。
【0125】
フローサイトメトリーシステム4は、分析対象の生物学的粒子の少なくとも1つの光学的特性を測定する測定装置を備える。
【0126】
図1~
図15に示す実施形態では、測定装置は、測定チャンバ11の方向に向けられる光ビームを放射する発光装置42を有する。上記光ビームは、測定チャンバ11に導入された生物学的粒子流を横断可能な、すなわち、生物学的粒子流と交差可能な光ビームである。測定装置は、生物学的粒子流の周囲で、互いに周方向にずれて配置された複数の集光装置43a,43b,43cを更に有する。これら複数の集光装置43a,43b,43cは、測定チャンバ11から出射された光線を集光する。尚、測定装置は、例えば、生物学的粒子流の周囲で互いに周方向にずれて配置された複数の発光装置と、1つのみ又は複数の集光装置とを有するものであってもよい。
【0127】
発光装置42及び集光装置43a~43cは、支持部6の側面に取り付けられていて、生物学的粒子流Fの流動方向に対して実質的に垂直な面内で延びている。例えば、集光装置43aは、測定セル9を挟んで、発光装置42と対向するように配置されている。集光装置43b,43cは、測定セル9を挟んで、発光装置42に対して垂直に配置されている。発光装置42及び収集装置43a~43cは、それぞれ部分的に、支持部6の挿通開口8c~8fを通って延びている。
【0128】
発光装置42は、上記光ビームを発生させるための光源44を有する。例えば、光源44は、レーザー光線を発生させるためのレーザー源により構成されていてもよい。
【0129】
発光装置42は、光源44が放射した光ビームを、測定チャンバ11内で生物学的粒子流Fに集束させる集束装置45を有する。
【0130】
図1~
図15に示した実施形態では、集束装置45は、支持部6に対して固定されるように構成された第1の取付部46と、光源44が取り付けられた第2の取付部47とを有する。第2の取付部47は、上記光ビームの光路に対して平行な変位方向D1に沿って、第1の取付部46に対して平行移動可能に取り付けられている。
【0131】
図8に示すように、第1の取付部46は、ガイド導管を画定する管状のガイド部48を有する。ガイド部48には、上記光ビームの光路に配置された光学集束エレメント49が設けられている。例えば、この光学集束エレメント49は、集束レンズ51を有する。
【0132】
第1の取付部46は、ガイド部48から径方向に延びる環状の支承部52を更に有する。この支承部52は、第1の取付部46を支持部6に固定するための固定ネジ54が挿通される複数の挿通孔53を有する。例えば、複数の挿通孔53は、第1の取付部46の延設方向に延びる軸の周囲で互いに周方向にずれて配置される。
図1~
図15に示す実施形態では、第1の取付部46は、互いに周方向に等角度でずれて配置された3つの挿通孔53(3本の固定ネジ54)を有する。
【0133】
第2の取付部47は、第1の取付部46が画定する上記ガイド導管内に摺動可能に取り付けられた管状の被ガイド部55を有する。この被ガイド部55はハウジングを画定し、このハウジング内に光源44が取り付けられている。例えば、被ガイド部55は、光学集束エレメント49に対向するように配置された開口を有し、光源44の発光部が、この開口を通って延びる。
【0134】
第2の取付部47は、被ガイド部55から径方向に延びる環状部56を更に有する。
【0135】
集束装置45は、第1の取付部と第2の取付部との相対位置を変位方向D1に沿って調整する微動調整エレメント57を更に有する。
図1~
図15に示す実施形態では、この微動調整エレメント57は、集束装置45の第1の取付部46に形成された第1のネジ穴58と協働するよう設けられた第1のネジ部57aと、集束装置45の第2の取付部47に形成された第2のネジ穴59と協働するよう設けられた第2のネジ部57bとを有する。第1及び第2のネジ部57a,57bには、ピッチが互いに異なるネジ山が設けられている。
【0136】
フローサイトメトリーシステム4は、角度調整装置とも呼ばれる向き調整装置61を更に備える。この配き調整装置61は、発光装置が放射する光ビームの向き又は角度を調整して、光ビームの光路が生物学的粒子流Fの流動方向に対して実質的に垂直に延びるようにするために設けられている。
【0137】
向き調整装置61は、集束装置45における第1の取付部46の支承部52と支持部6との間に配置された環状の調整用クッション62を有する。この調整用クッション62は、少なくとも部分的に弾性変形可能である。
【0138】
図1~
図15に示す実施形態では、調整用クッション62は、第1の取付部46のガイド部48が通って延びる中央経路を画定する。また、調整用クッション62は、上記複数の固定ネジ54がそれぞれ挿通される複数の挿通孔63を有する。
【0139】
このような調整用クッション62の配置及び構成により、オペレータは、調整用クッション62を弾性変形させる複数の固定ネジ54を締める及び/又は緩めるだけで、光源44が放射する光ビームの向きを容易に調整することができる。
【0140】
図13及び
図15に具体的に示すように、フローサイトメトリーシステム4は、発光装置42の位置調整を行う目的で、ベース部材5を介して調整台3に固定されていてもよい。この調整台3は、支持部6に対する発光装置42の位置を平行移動によって調整する第1の平行移動調整装置64を有する。この位置調整は、生物学的粒子流Fの流動方向に対して垂直な第1の平行移動調整方向D2と、生物学的粒子流Fの流動方向に対して平行な第2の平行移動調整方向D3とに沿って行われる。
【0141】
第1の平行移動調整装置64は、調整台3のトレーに固定された第1の固定部材65を有する。第1の平行移動調整装置64は、互いに垂直な第1の支持分岐部66a及び第2の支持分岐部66bを含む支持ブラケット66を更に有する。第1の支持分岐部66aは、第1の平行移動調整方向D2に沿って平行移動可能に、第1の固定部材65に取り付けられている。
【0142】
第1の平行移動調整装置64は、発光装置42が取り付けられる第2の固定部材67を更に有する。第2の固定部材67は、固定部68を有し、この固定部68が、第2の平行移動調整方向D3に沿って平行移動可能に、支持ブラケット66の第2の支持分岐部66bに取り付けられている。
【0143】
第1の平行移動調整装置64は、第1の固定部材65に対する支持ブラケット66の位置を調整するために設けられた微動ネジ71と、支持ブラケット66に対する固定部68の位置を調整するために設けられた微動ネジ72とを更に有する。
【0144】
フローサイトメトリーシステム4は、支持部6に固定されかつ発光装置42が取り付けられる第1の固定分岐部69aと、上記固定部68に固定される第2の固定分岐部69bとを有する固定ブラケット69を更に備える。
【0145】
フローサイトメトリーシステム4は、固定ブラケット69の第1の固定分岐部69aを支持部6に固定するために設けられた複数の固定ネジ73を更に有し、第1の固定分岐部69aは、複数の固定ネジ73がそれぞれ挿通される複数の挿通孔74を有する。
図1~
図15に示す実施形態では、各挿通孔74の寸法は、対応する固定ネジ73の本体の寸法よりも大きい。
【0146】
支持部6に対する発光装置42の位置を正確に調整するためには、すなわち、測定チャンバ11内で光ビームが生物学的粒子流Fを確実にかつ最適に横断するようにするためには、オペレータは、まず、フローサイトメトリーシステム4を調整台3上に配設し、第2の固定分岐部69bを固定部68に固定してから、固定ネジ74を緩める。次いで、微動ネジ71を操作して光ビームの位置を水平方向に調整するとともに、微動ネジ72を操作して光ビームの位置を垂直方向に調整し、最後に、固定ネジ74を締めることにより、固定ブラケット69を支持部6に対して固定する。このように、第1の平行移動調整装置64によって、発光装置42の位置の平行移動調整を容易に行うことができる。
【0147】
図1~
図15に示す実施形態では、調整用クッション62は、固定ブラケット69の第1の固定分岐部69aと集束装置45の第1の取付部46との間に介在している。
【0148】
図5及び
図8に示すように、集光装置43a,43b,43cは、それぞれ、支持部6に対して固定された第1の取付部75と、上記変位方向に沿って第1の取付部75に対して平行移動可能に取り付けられた第2の取付部76とを有する。
【0149】
図1~
図15に示す実施形態では、各集光装置の第1の取付部75は、ガイド導管を画定する管状のガイド部77を有する。このガイド部77には、測定セル9の近傍に配置された光学集光エレメント78が設けられている。例えば、この光学集光エレメント78は、光学レンズ79を有する。
【0150】
各集光装置の第1の取付部75は、対応するガイド部から径方向に延びる環状の支承部81を更に有する。各支承部81は、対応する第1の取付部75を支持部6に対して固定するために設けられた固定ネジ83を挿通させるための複数の挿通孔82を有する。例えば、各支承部81に設けられた複数の挿通孔82は、対応する第1の取付部75が延びる方向に延びる軸の周囲で、互いに周方向にずれて配置されている。
図1~
図15に示す実施形態では、各第1の取付部75は、互いに周方向に等角度でずれて配置された3つの挿通孔83(3本の固定ネジ83)を有する。
【0151】
第2の取付部76は、第1の取付部75が画定するガイド導管内に摺動可能に取り付けられた管状の被ガイド部84と、この被ガイド部84から径方向に延びる環状部85とを有する。被ガイド部84には、その測定セル9側に端壁84aが設けられている。この端壁84aには、集光用光ファイバ86が取り付られた取付用開口84bが少なくとも1つ形成されている。
【0152】
集光装置43a~43cのそれぞれは、対応する集光装置の第1の取付部75と第2の取付部76との相対位置を、対応する上記変位方向に沿って調整する微動調整要素87を更に備える。
図1~
図15に示す実施形態では、各微動調整要素87は、対応する第1の取付部75に形成された第1のネジ穴88と協働するよう設けられた第1のネジ部87aと、対応する第2の取付部76に形成された第2のネジ穴89と協働するよう設けられた第2のネジ部87bとを有する。第1及び第2のネジ部87a,87bには、ピッチが互いに異なるネジ山が設けられている。
【0153】
図1~
図15に示す実施形態では、
図2に具体的に示すように、集光装置43aは、複数の集光用光ファイバ、具体的には、集光用中央光ファイバ86aと、集光用周辺光ファイバ86b,86cとを有する。例えば、集光用中央光ファイバ86aは、入射光ビームの光路に沿って測定チャンバ11から出射された光線、すなわち、0°の角度の光線を集光するように構成され、少なくとも1つの集光用周辺光ファイバ86bは、4°の範囲内の角度で測定チャンバ11から出射された光線を集光するように構成され、少なくとも1つの集光用周辺光ファイバ86cは、9°の範囲内の角度で測定チャンバ11から出射された光線を集光するように構成されている。例えば、集光装置43aは、4°の範囲内の角度で測定チャンバ11から出射された光線を集光するように構成された集光用周辺光ファイバ86bを複数有していてもよく、9°の範囲内の角度で測定チャンバ11から出射された光線を集光するように構成された集光用周辺光ファイバ86cを複数有していてもよい。
【0154】
図1~
図15に示す実施形態では、集光装置43b,43cのそれぞれは、集光用中央光ファイバを1つだけ有する。
【0155】
調整台3は、それぞれが集光装置43a~43cのうちの1つに対応するように構成された3つの平行移動調整装置64’を更に有する。
図1~
図15に示す実施形態では、これら平行移動調整装置64’は、発光装置42に対応するように構成された平行移動調整装置64と同じものである。
【0156】
各平行移動調整装置64’は、調整台3のトレーに固定された第1の固定部材65’と、互いに垂直な第1の支持分岐部66a’及び第2の支持分岐部66b’を含む支持ブラケット66’とを有する。各支持ブラケット66’の第1の支持分岐部66a’は、生物学的粒子流Fの流動方向に対して垂直な第1の平行移動調整方向に沿って平行移動可能に、対応する第1の固定部材65’に取り付けられている。
【0157】
各平行移動調整装置64’は、対応する集光装置を取り付けるように構成された第2の固定部材67’を更に有する。各平行移動調整装置64’の第2の固定部材67’は固定部68’を有し、この固定部68’が、生物学的粒子流Fの流動方向に対して平行な第2の平行移動調整方向に沿って平行移動可能に、対応する支持ブラケット66’の第2の支持分岐部66b’に取り付けられている。
【0158】
各平行移動調整装置64’は、対応する第1の固定部材65’に対する当該平行移動調整装置64’の支持ブラケット66’の位置を調整するために設けられた微動ネジ71’と、対応する支持ブラケット66’に対する当該平行移動調整装置64’の固定部68’の位置を調整するために設けられた微動ネジ72’とを更に有する。
【0159】
フローサイトメトリーシステム4は、各集光装置に対応する固定ブラケット69’を更に備える。各固定ブラケット69’は、支持部6に固定されかつ対応する集光装置が取り付けられた第1の固定分岐部69a’と、対応する固定部68’に固定された第2の固定分岐部69b’とを有する。
【0160】
フローサイトメトリーシステム4は、各固定ブラケット69’の第1の固定分岐部69a’を支持部6に固定するために設けられた複数の固定ネジ73’を更に有し、各第1の固定分岐部69a’は、複数の固定ネジ73’がそれぞれ挿通される複数の挿通孔74’を有する。
図1~
図15に示す実施形態では、各挿通孔74’の寸法は、対応する固定ネジ73’の本体の寸法よりも大きい。
【0161】
支持部6に対する集光装置43a~43cの各々の位置を正確に調整するためには、すなわち、測定チャンバ11から出射された光線を確実にかつ最適に集光するためには、オペレータは、まず、フローサイトメトリーシステム4を調整台3上に配設し、第2の固定分岐部69b’をそれぞれ、固定部68’に固定してから、各平行移動調整装置64’に対応する固定ネジ74’を緩める。次いで、微動ネジ71’を操作して複数の集光装置の位置を水平方向に調整するとともに、微動ネジ72’を操作して複数の集光装置の位置を垂直方向に調整し、最後に、固定ネジ74’を締めることにより、複数の固定ブラケット69’を支持部6に対して固定する。このように、平行移動調整装置64’によって、集光装置43a~43cの位置の平行移動調整を容易に行うことができる。
【0162】
上記測定装置は、それぞれが集光装置43a~43cに対応する複数の検出エレメント90を更に有する。各検出エレメント90は、対応する集光装置により集光された光線によって決定される測定信号を出力部から出力するように構成されている。生物学的粒子の一つ一つが入射光ビームを通過する際、各検出エレメント90により出力部から出力される測定信号は、例えば、当該生物学的粒子に吸収された光の量、又は、当該生物学的粒子により再放射された光の量に比例する。例えば、各検出エレメント90は、フォトダイオードや光電子増倍管のような光検出器により構成される。
【0163】
フローサイトメトリー装置2は、複数の検出エレメント90の出力部から出力された測定信号をフィルタにかけて前置増幅する前置増幅ユニット94を更に備える。具体的に、前置増幅ユニット94は、信号入力電子基板95を有し、この信号入力電子基板95上に、検出エレメント90が固定されている。
【0164】
フローサイトメトリー装置2は、特にフローサイトメトリーシステム4、検出エレメント90及び前置増幅ユニット94を収容する筐体96を更に備える。
【0165】
フローサイトメトリーシステム4は、生物学的粒子が噴射口16を通過することにより生じる、電気インピーダンスの変動を測定する電気インピーダンス変動測定装置を更に備える。例えば、この電気インピーダンス変動測定装置は、噴射口16の両側にそれぞれ配置された第1及び第2の電極91,92を有する。これら第1及び第2の電極91,92は、生物学的粒子流Fと電気的に接触して、噴射口16を通る電界を発生させるように構成されている。このような電気インピーダンス変動測定装置により、噴射口16を通過する生物学的粒子数をカウントすることができるとともに、生物学的粒子の大きさ、具体的には、生物学的粒子の体積を測定することができる。このような電気インピーダンス変動測定装置の作用は、当業者に公知であるので、詳細には説明しない。しかし、生物学的粒子の一つ一つが噴射口16を通過することにより、当該生物学的粒子の大きさ又は体積に比例しかつ生物学的粒子数の電気的カウントを可能にする電気パルスが発生することは、指摘しておく。
【0166】
図16及び
図17は、例えば全血検査のような血液検査を実施するためのインビトロ診断用分析装置97を示す。具体的に、このような分析装置97は、フローサイトメトリー装置2と、各検出エレメント90からの測定信号を分析する処理ユニット98とを備える。
【0167】
例えば、処理ユニット98は、検出エレメント90から供給された測定信号から、生物学的粒子を識別及び/又は特定するために、具体的には、生物学的粒子の構造及び/又は形状を判定するために設けられている。処理ユニット98は、生物学的粒子の濃度及び/又は分布を判定する目的でも設けられ得る。このような処理ユニット98は、当業者に公知であるので、詳細には説明しない。
【0168】
図18及び
図19は、本発明の第2実施形態に係るフローサイトメトリーシステム4を示す。このフローサイトメトリーシステム4と、
図1~
図15に示したフローサイトメトリーシステム4との主な相違点は、供給部材21が、互いに異なる第1及び第2の供給部材21a,21bにより構成されている点、供給部材34が、互いに異なる第1及び第2の供給部材34a,34bにより構成されている点、第1の導管部19aが、第1の供給部材21aに形成されている点、吐出導管26が、ノズル本体14aに形成されている点、第1の導管部33aが、第1の供給部材34aに形成されている点、及び、吐出導管40が、排出部材28に形成されている点である。
【0169】
この第2実施形態では、噴射装置12は、第1の導管部19aに流体的に接続されかつ第1の供給部材21aに取り付けられた第1の端部装着部材23と、液体サンプルの供給源に接続されるように構成されかつ第2の供給部材21bに取り付けられた第2の端部装着部材25と、吐出導管26に流体的に接続されかつノズル本体14aに取り付けられた第3の端部装着部材27とを有する。この第2実施形態では、排出装置13は、シース流体の第2の供給源に接続されるように構成されかつ第1の供給部材34aに取り付けられた第1の端部装着部材36と、排出導管31に流体的に接続されかつ第2の供給部材34bに取り付けられた第2の端部装着部材38と、吐出導管40に流体的に接続されかつ排出部材28に取り付けられた第3の端部装着部材41を備える。
【0170】
本発明の図示しない別の実施形態では、上記電気インピーダンス変動測定装置の上記第1及び第2の電極が、供給導管17及び排出導管31により構成されていてもよく、或いは、第2の導管部19b及び第2の導管部33bにより構成されていてもよい。
【0171】
本発明の図示しない別の実施形態では、測定装置は、生物学的粒子流の周囲で互いに周方向にずれて配置された2つの発光装置42と、これら発光装置42にそれぞれ対応して設けられた2組の集光装置とを有していてもよい。これら2組のそれぞれは、例えば、互いに周方向にずれて配置された3つの集光装置43a~43cを含む。このような実施形態では、支持部6の形状は、例えば、八角形であってもよい。このような実施形態では、2つ発光装置42が、互いに異なる光源を有していてもよい。例えば、2つの発光装置42のうちの一方が、青色レーザービームを放射し、他方が赤色レーザービームを放射するように構成されていてもよい。
【0172】
本発明は、上記フローサイトメトリーシステムの上記例示した単独の実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態のすべての変形例を包含することは言うまでもない。