(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ブレスレットを取り付けるデバイス
(51)【国際特許分類】
G04B 37/16 20060101AFI20220104BHJP
A44C 5/14 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G04B37/16 P
A44C5/14 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020101393
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2020-06-11
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ・プサンティ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-76704(JP,A)
【文献】特開2019-12069(JP,A)
【文献】独国実用新案第202010013569(DE,U1)
【文献】米国特許第6408490(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 37/00 - 37/22
A44C 5/14 - 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレスレット(2)を携行型時計ケース(1)に取り付けるための取り付けデバイスであって、
少なくとも1つのホーン(10)を用いて前記携行型時計ケース(1)に固定される棒体(4)と、及びブレスレットの端部と一体化されたインサート(21)とを備え、
前記棒体(4)と前記インサート(21)は互いに相補的であり、一方が他方の内側に嵌まることによって連係して取り外し可能な組み付け手段を形成して、前記ブレスレットを交換可能にし、
前記棒体(4)は、2つの引き込み可能なピボット(43)を備え少なくとも1つのハウジング(41)が形成されている円筒状の中空の本体(40)によって形成され、
前記ハウジングは、前記少なくとも1つのインサート(21)と相互ロックするように連係するように構成しており、
前記棒体は、前記少なくとも1つのインサートを保持するインサート保持手段を備え、
前記棒体(4)は、前記インサート(21)が前記棒体(4)上にポジショニングされることが可能な第1の位置Aから、前記インサート保持手段と連係するロック手段を用いて前記インサート(21)が前記棒体(4)上にてロックされる第2の位置Bまで、回転するように構成して
おり、
前記インサート保持手段は、ピボット(43)のピボット点(420、430)によって、そして、前記インサート(21)に形成される空欠部によって形成され、
前記ピボット点のそれぞれは、前記インサートが前記ハウジング内に挿入されるときに空欠部内に収容されるように構成している
ことを特徴とする取り付けデバイス。
【請求項2】
前記ピボット(43)のそれぞれには、前記棒体の前記本体(40)に形成される長手方向の溝(44)内にて摺動するように構成しているポスト(46)があり、
前記ピボットどうしは、ばね(15)によって分離される
ことを特徴とする請求項1に記載の取り付けデバイス。
【請求項3】
各ピボット(43)の前記ピボット点(420、430)は、ハウジング(21)内に少なくとも部分的に入り込む
ことを特徴とする請求項
1または2に記載の取り付けデバイス。
【請求項4】
前記ロック手段には、前記長手方向の溝(44)に対して実質的に垂直な方向に延在する前記長手方向の溝(44)の端部の1つから延在する少なくとも1つの付加的な溝(45)があり、
前記少なくとも1つの付加的な溝(45)は、前記棒体(4)が第1の位置Aから第2の位置Bまで回転するときに少なくとも1つのポスト(46)と連係するように構成している
ことを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの付加的な溝(45)は、前記
長手方向の溝(44)と91~95°の角度を形成するように、わずかに逸れながら延在している
ことを特徴とする請求項
4に記載の取り付けデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの付加的な溝(45)の長さは、前記長手方向の溝(44)の長さよりも短い
ことを特徴とする請求項
4又は5に記載の取り付けデバイス。
【請求項7】
前記棒体(4)の少なくとも1つの端部には、少なくとも1つのカラー(50)があり、
前記少なくとも1つのカラー(50)は、前記携行型時計ケース(1)の少なくとも1つの側方止め面と連係する軸方向の保持要素を形成する
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項8】
前記携行型時計ケース(1)は、前記棒体を適切な位置に保持する棒体保持手段を備え、
前記棒体保持手段は、前記棒体の前記本体(40)に形成される少なくとも1つの空洞(42、42’)と連係するように構成している少なくとも1つのボールキャッチ(14)を備える
ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項9】
前記携行型時計ケースは、前記棒体の本体の直径に対応する直径を有する通路が形成された中間位置ホーンを備える
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか一項に記載の取り付けデバイス。
【請求項10】
前記棒体(4)には、その各端部の近傍であって前記長手方向の溝(44)の両側にハウジング(41)が形成されている
ことを特徴とする請求項
9に記載の取り付けデバイス。
【請求項11】
前記中間位置ホーン(10)は、ねじによって前記ケース(1)に保持される取り外し可能なカバー(12)を備える
ことを特徴とする請求項
9又は
10に記載の取り付けデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器又は宝飾品の分野に関する。本発明は、具体的には、物体、特に、携行型時計ケース、にブレスレットを取り付けるための取り付けデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、皮革や金属で作られたブレスレットは、管によって形成される棒体を用いて携行型時計ケースのホーンに取り付けられ、この管の内部には、並進運動する2つのピストンと弾性メンバーが取り付けられ、この弾性メンバーは、前記ピストンの間に配置され前記ピストンを管の外側の方に動かすように意図されている。前記棒体は、ハウジング内に取り付けられ、このハウジングは、前記目的のためにブレスレットの一端に設けられ、ピストンは、それらに対向するケースのホーン内の非貫通ボア内にて係合する。
【0003】
このようにしてケースに取り付けられたブレスレットを取り外すためには、弾性メンバーが与える応力に対抗するようにピストンを管内に押し戻してこれらのピストンをボアから取り外すように設計された道具が必要である。携行型時計の着用者は、このような道具を常時携行しているわけではなく、また、このような道具を用いることが不便であるような場合がある。このために、一般的には、このような取り付けデバイスを備えたブレスレットがケースに恒久的に固定される。
【0004】
また、道具を使用せずにブレスレットをケースから取り外すことができる取り付けデバイスがある。このようなデバイスには、通常、上記タイプの棒体があり、この棒体に、管を介してピストンを発動するための発動メンバーが取り付けられている。この発動メンバーは、例えば、スイス特許327838に記載されているようなピストンの1つと一体化された半径方向のフィンガーである。このフィンガーは、管内に形成された軸方向の溝内を摺動するように取り付けられ、溝に沿ったこのフィンガーの運動が管内のピストンの1つを押す。
【0005】
スイス特許614589は、ブレスレットをケースに取り付けるためのデバイスを備えた携行型時計ケースを開示しており、中間位置ホーンには、ホーンの全長にわたって長手方向にスリットが形成された円筒状の通路が形成されており、ブレスレットを取り付けるための棒体を挿入することができるようにしている。棒体は、その全長に沿って円筒の形態であり、平坦な部分があり、これによって、棒体が通路内に挿入されたときに棒体が通過し、また、棒体が所定の角度位置を占めるときに棒体を適切な位置に保持することが可能になる。
【0006】
このような記載されている取り付けデバイスは、一般的には、要望に応じてユーザーが変えることができる交換可能なブレスレットのために利用される。しかし、このような取り付けデバイスに課題がないわけではない。具体的には、このような取り付けデバイスは、棒体に対する大きな構造的な改変を必要とする。例えば、管内に開口を形成したり、ピストンの形態を改変したりすることが必要となる。このような改変を行うと、製造コストが大幅に増加してしまう。また、このような取り付けデバイスには、突出要素、すなわち、発動メンバーがあり、携行型時計の着用者をつまんだり傷つけたりしてしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するような携行型時計ケースにブレスレットを取り付けるための取り付けデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一方で、少なくとも1つのホーンを用いて携行型時計ケースに固定される棒体を備え、他方で、ブレスレットの端部と一体化されたインサートを備えるような携行型時計ケースにブレスレットを取り付けるための取り付けデバイスを提案することによって、上記の課題を解決することを可能にする。この棒体とインサートは相補的であり、これによって、一方を他方の内側に嵌めて、棒体を交換可能にするような取り外し可能な組み付け手段を形成する。
【0009】
本発明によれば、前記棒体は、2つの引き込み可能なピボットを備え少なくとも1つのハウジングが形成されている円筒状の中空の本体によって形成され、前記ハウジングは、前記少なくとも1つのインサートと相互ロックするように連係するように構成しており、前記棒体は、前記インサートを保持するインサート保持手段を備え、前記棒体は、前記インサートが前記棒体上にポジショニングされることが可能な第1の位置Aから、前記インサート保持手段と連係するロック手段を用いて前記インサートが前記棒体上にてロックされる第2の位置Bまで、回転するように構成している。
【0010】
本発明の他の有利な代替実施形態においては、以下の特徴を有する。
- 前記ピボットのそれぞれには、前記棒体の前記本体に形成される長手方向の溝内にて摺動するように構成しているポストがあり、前記ピボットどうしは、ばねによって分離される。
- 前記インサート保持手段は、ピボットのピボット点によって、そして、前記インサートに形成される空欠部によって形成され、前記ピボット点のそれぞれは、前記インサートが前記ハウジング内に挿入されるときに空欠部内に収容されるように構成している。
- 各ピボットの前記ピボット点は、ハウジング内に少なくとも部分的に入り込む。
- 前記ロック手段には、前記長手方向の溝に対して実質的に垂直な方向に延在する前記長手方向の溝の端部の1つから延在する少なくとも1つの付加的な溝があり、前記少なくとも1つの付加的な溝は、前記棒体が第1の位置Aから第2の位置Bまで回転するときに少なくとも1つのポストと連係するように構成している。
- 前記少なくとも1つの付加的な溝は、前記長手方向の溝と90°よりもわずかに大きい角度、好ましくは、91~95°の角度、を形成するように、わずかに逸れながら延在している。
- 前記少なくとも1つの付加的な溝の長さは、前記長手方向の溝の長さよりも短い。
- 前記棒体の少なくとも1つの端部には、少なくとも1つのカラーがあり、
前記少なくとも1つのカラーは、前記携行型時計ケースの少なくとも1つの側方止め面と連係する軸方向の保持要素を形成する。
- 前記携行型時計ケースは、前記棒体を適切な位置に保持する棒体保持手段を備え、
前記棒体保持手段は、前記棒体の前記本体に形成される少なくとも1つの空洞と連係するように構成している少なくとも1つのボールキャッチを備える。
- 前記携行型時計ケースは、前記棒体の本体の直径に対応する直径を有する通路が形成された中間位置ホーンを備える。
- 前記棒体には、その各端部の近傍であって前記長手方向の溝の両側にハウジングが形成されている。
- 前記中間位置ホーンは、ねじによって前記ケースに保持される取り外し可能なカバーを備える。
【0011】
添付の図面を参照しながら本発明に係るブレスレットのための取り付けデバイスの例示的な一実施形態についての以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴及び利点が明確になるであろう。この例は、説明の目的のみのために提供されるものであり、本発明の範囲を限定することを意図しているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ロック位置にある本発明に係る取り付けデバイスを備える携行型時計ケースの斜視図である。
【
図2】非ロック位置にある本発明に係る取り付けデバイスを備える携行型時計ケースの斜視図である。
【
図3】
図3a~3cは、携行型時計ケースを備える本発明に係る取り付けデバイスの棒体の部分透明斜視図である。
【
図4】本発明に係る取り付けデバイスの棒体とロック手段を示している。
【
図5】本発明に係る取り付けデバイスの断面図である。
【
図6】本発明に係る取り付けデバイスと連係するように構成している接続リンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~6は、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)、及び本発明の好ましい実施形態に係る携行型時計ケース1にブレスレットを取り付けるための取り付けデバイスの詳細な図を示している。ブレスレット2を携行型時計ケース1に取り付けるための取り付けデバイスは、一方で、携行型時計ケースと一体化された少なくとも1つのホーンを用いて携行型時計ケースに固定される棒体4を備え、他方で、ブレスレット2の端部と一体化されたインサートを備え、この棒体4とインサート21は互いに相補的になっており、これによって、一方が他方の内側に嵌まることによって連係して取り外し可能な取り付け手段を形成し、ブレスレットを交換可能にすることができる。
【0014】
図3a~3bに示しているように、携行型時計ケースは、棒体4のシャフトの直径に対応する直径を有する通路が形成されている中間位置ホーンを備え、これによって、棒体4がハウジング内で自由に回転することができる。中間位置ホーン10には、第1の部分11と第2の部分である2つの部分があり、この第1の部分11は、携行型時計ケースとともに形成されており、この第1の部分11には、棒体4を受けるように構成している溝110があり、第2の部分は、ねじ13を用いて、第1の部分11上に、そして、暗黙的に携行型時計ケース1上に、保持される取り外し可能なカバー12によって形成される。このような構成によって、棒体4を損傷したりねじったりしてしまうリスクがなく、棒体4を迅速かつ容易に組み付けたり分解したりすることができる。
【0015】
好ましくは、携行型時計ケース1は、適切な位置に棒体4を保持する手段を備える。図示しているように、この保持手段は、一対のボールキャッチ14の形態となっており、この各ボールキャッチ14は、棒体4の本体40上に形成される第1の空洞対42及び第2の空洞対42’と連係するように構成している。
【0016】
本発明によれば、棒体4は、少なくとも1つのハウジング41が形成された中空の円筒状の本体40によって形成され、このハウジング41は、ブレスレットストランド2の接続リンク20に設けられた又はリンクの少なくとも1つのインサート21と相互ロックすることによって連係するように構成している。棒体4には、さらに、中空の本体40内に第1及び第2のピボット43があり、これらの2つのピボットは、これらの2つのピボットの端部に当接するように保持されるばね15によって分離される。
図4に示しているように、ばね15は、例えば、渦巻きばねである。
【0017】
第1及び第2のピボット43はそれぞれ、中空の本体40内を摺動可能である。中空の本体40には、棒体の中央部に長手方向の溝44があり、この長手方向は、中空の本体40が延在する最も長い方向である。長手方向の溝44は、中空の本体40の表面に開口を形成する。中空の本体40には、さらに、長手方向の溝44の端部から延在する2つの付加的な溝45がある。
図3a~3cに示している実施態様において、付加的な溝45は、長手方向の溝44に対して垂直ないし90°に近い角度を形成するように延在する。また、付加的な溝45は、中空の本体40の表面に開口を形成する。付加的な溝45のそれぞれの長さは、長手方向の溝44の長さよりも短い。
【0018】
ピボット43のそれぞれには、さらに、それと一体化されたポスト46がある。ポスト46は、ピボットの外面から、ピボットが延在する長手方向に対して実質的に垂直に延在する。各ポスト46は、ピボット43と一体化されており、棒体4の中空の本体の長手方向の溝44を通り抜けるように延在し、この溝44に沿って摺動可能である。また、
図4に示しているように、ピボット43とポスト46は、好ましくは、互いに一体化されており一体的に形成されている。
【0019】
好ましいことに、取り外し可能なカバー12には、その内面に、少なくとも1つのオブロング状のマシニング形状16があり、これはポスト46と連係する。このマシニング形状の長さはピボット43のトラベルの長さを定める。
【0020】
図示しているように、棒体4には、2つのハウジング41があり、これらのハウジング41は、長手方向の溝44の両側にあり、これらのハウジング41には、ブレスレットストランド2のインサート21を受ける実質的に長方形の開口410があり、この開口410の高さと長さは、ブレスレットストランドのインサート21の高さと長さに対応している。
【0021】
ハウジング41のそれぞれは、ピボット43のピボット点420、430がこれらのハウジング41内へと入り込むことができるように貫通しており、長手方向の溝44の端部は、ピボット43のポスト20のためのバンキングを形成する。好ましいことに、各ピボットのピボット点420、430と各ポスト46の間の距離は、ハウジング21を溝44から分離する距離よりもわずかに大きいようにされる。
【0022】
図示している本発明の好ましい実施形態において、ブレスレットストランド2は、中間位置ホーン10のどちらの側にも1つのインサート21があるように2つのインサート41を備え、各インサート21は、ハウジング41と相互ロックするように連係する。
【0023】
図5及び6に示しているように、各インサート21には、ピボットと対向する側の面に、ピボット43のピボット点と連係するように構成している空欠部22がある。この構成によって、インサート21がハウジング41の内側に配置されているときに、ブレスレットストランド又は接続リンク20を携行型時計ケース1にクリップすることができる。
【0024】
好ましいことに、棒体4は、棒体4の一又は複数の開口41が一又は複数のインサート21を受けることができる第1の位置Aから、これらのインサート21が棒体4に当接するようにロックされる第2の位置Bまで回転するように構成している。
【0025】
本発明によれば、インサート21がハウジング41内に配置された後に、ブレスレットストランド2を用いて棒体4が第1の位置Aから第2の位置Bまで回転し、したがって、ポスト46は溝45内に配置される。好ましくは、溝45は、長手方向の溝44と90°よりもわずかに大きい角度、例えば、91°から95°の範囲にある角度を形成するように、わずかに発散しながら延在する。このような構成によって、ピボット43(したがって、ブレスレットストランド)をロック位置にしっかりと保持し、ピボットとブレスレットストランドのインサートの間に存在する遊びをなくすことができる。
【0026】
図示しているように、棒体4には、棒体4の各端部と一体化されたカラー50があり、したがって、棒体4とカラー50は単一の要素を形成する。また、棒体4の空欠部に取り付けられる挿入点を介してカラー50を棒体4の端部に組み付けることもできる。このようにして、棒体4の端部に内側バルジが形成されて挿入点と連係し、これによって、棒体4の内側にカラー50をクリップする。カラー50を取り付けるための他のモードを考えることができ、例えば、ボンディング、溶接、さらには圧入も考えることができる。カラー50は、棒体4とインサート21のための軸方向の保持要素としてはたらく。
【0027】
したがって、棒体4は3つの部分によって構成していることができ、あるいは1つの部分のみを形成することもでき、ここで、カラー50は、アーバー40の端部で予め鋳造され、この場合に、ハウジング41、空洞42、42’及び溝44及び45は、本体40内で直接ミリングされる。また、棒体4とカラー50の断面は、それらが好ましくは円筒状であってそのA-A軸のまわりの回転自由度を享受するように選択される。
【0028】
好ましいことに、中間位置ホーン10は、溝110に対して相補的な半径方向の保持要素としてはたらき、その形と深さは、棒体4が配置されているときに棒体4が溝110から出ることができないように本体40の形と深さに対して相補的である。
図3a~3bでは、中間位置ホーン10に、ボールキャッチ14を受ける2つのハウジングがあることがわかり、このボールキャッチ14は、棒体4の空洞42、42’と連係するように構成していており、その大きさと深さはそれぞれ、キャッチ14が棒体4の空洞42又は42’内にて係合しているときに溝110内にて棒体4に自由度がないように構成している。
【0029】
図1に示している好ましい実施形態において、携行型時計ケース1には、第1の側方鉛直壁100があり、その反対側にて、棒体4のカラー50を収容するためにケースのミドル部に側方クリアランス101が設けられている。この場合、カラー50は円筒状であり、側方クリアリング101は、携行型時計ケース1にて掘られた対応する円筒状の形となっている。
【0030】
図3a~3bに示しているようにブレスレット2をケース1に取り付けるために、インサート21、例えば、ストランド又は接続リンク20の端部に対応するもの、を棒体4に形成されたハウジング41の開口410の前にインサート21を持ってくることによって棒体4内に挿入する。棒体4は、その第1の位置Aにおいて、ハウジング41へのアクセス、そして、底部からのインサート21の配置を可能にし、開口410は携行型時計ケース1に対して下方を向いている。「クリック」によって、インサート21がピボット43によって係合しているときにブレスレットをポジショニングすることを可能にし、これによって、ブレスレットが落下することを防ぎ、ブレスレットに圧力をかけることなく回転ロックを容易にする。
【0031】
一又は複数のインサート21が棒体4上にて適切な位置に配置されると、棒体がその位置Aに対してA-A軸のまわりに少なくとも45°、より好ましくは90°、の回転をするまで、ユーザーはブレスレットストランドを利用してA-A軸のまわりに棒体4を回転させて位置Bにし、これによって、
図3cに示しているようにブレスレットストランドが外れることを防ぐ。
【0032】
位置Bでは、ボールキャッチ14は、棒体4の本体40の第1の空洞42と連係して、位置Bで棒体をロックする。
【0033】
ブレスレットを分解するための操作は、ブレスレットに小さい力を加えながら単純に逆の順序で操作をしなければならず、これによって、インサート21をピボット43から外す。
【0034】
組み付けの間に遊びを制限し、高品質の組み付けを行うように、インサート20の形状は中間位置ホーン10の形状に合致している。
【0035】
上述の実施形態において、インサートは、接続リンク上に配置され、この接続リンクは、皮革、合成織物、プラスチック、金属、セラミックス、又はさらには複合材料によって作られたブレスレットに接続される。同様に、棒体4は、好ましくは、金属によって作られるが、プラスチック、セラミックス、又は複合材料で作ることもできる。
【0036】
本発明のこれらの異なる態様の結果として、確実なブレスレット取り付けデバイスが得られ、ブレスレットを迅速かつ容易に交換することができる。
【0037】
当然、本発明はここで示した実施形態に限定されるものではなく、当業者に明らかな様々な選択肢及び改変が可能であることは当然である。
【符号の説明】
【0038】
1 携行型時計ケース
2 ブレスレット
4 棒体
10 ホーン
12 取り外し可能なカバー
14 ボールキャッチ
15 ばね
21 インサート
40 本体
41 ハウジング
42、42’ 空洞
43 ピボット
44 長手方向の溝
45 付加的な溝
46 ポスト
50 カラー
420,430 ピボット点