(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】風力タービンへのエネルギー供給方法およびエネルギー供給装置、これを用いた風力タービン
(51)【国際特許分類】
F03D 9/11 20160101AFI20220104BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220104BHJP
H02P 9/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
F03D9/11
H02J3/38 160
H02P9/00 F
(21)【出願番号】P 2020516694
(86)(22)【出願日】2018-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2018076556
(87)【国際公開番号】W WO2019063835
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】102017122695.8
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516129275
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】ブスケル, カイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘーラー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトイェゲルデス, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マッケンゼン, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム, ユーリ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/108288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 9/11
H02J 3/38
H02P 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー供給装置(22)によって、風力タービン(100)の少なくとも1つの構成要素(56~72)にエネルギーを供給する方法であって、
前記風力タービンの動作中において、エネルギーは、前記エネルギー供給装置(22)によって、前記風力タービン(100)の発電機(10)で生成されたエネルギーから取得され、前記風力タービン(100)の構成要素(56~72)への供給に提供され、
前記発電機(10)で生成されたエネルギーの電圧は、整流器(12)で整流され、直流電圧中間回路(14)の中間ストレージに入れられ、前記構成要素(56~72)を供給するためのエネルギーは、前記エネルギー供給装置(22)によって前記直流電圧中間回路(14)から取得され、
前記直流電圧中間回路(14)から取り出されたエネルギーの電圧は、前記エネルギー供給装置(22)の変圧器(34)で、前記構成要素(56~72)に適した電圧に、変換され、
前記構成要素(56~72)または励起回路(39)に供給するための供給グリッド(20)からエネルギーを提供するために、前記変圧器(34)において、前記直流電圧中間回路(14)からエネルギーを取得し、出力(36)で前記構成要素(56~72)にエネルギーを供給し、前記変圧器(34)が、供給グリッド(20)へ付加的に接続される、
方法。
【請求項2】
前記構成要素(56~72)を供給するために前記直流電圧中間回路(14)から取り出されたエネルギーの電圧は、前記エネルギー供給装置(22)のインバータ(28)で交流電圧に変換され、前記エネルギー供給装置(22)の前記インバータ(28)は、供給グリッド(20)用の直流電圧中間回路(14)に供給されるエネルギーの電圧を交流電圧に変換するインバータ(16)とは異なる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エネルギー供給装置(22)の前記インバータ(28)で変換された前記交流電圧は、フィルタリングされる、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギー供給装置(22)は、エネルギー貯蔵手段(26)を有し、前記風力タービン(100)の少なくとも1つの構成要素(56~72)および/または前記風力タービン(100)の励起回路(39)は、前記エネルギー貯蔵手段(26)からエネルギーが供給される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
直流電圧中間回路(14)および/またはエネルギー貯蔵手段(26)でエネルギーが利用できない場合には、少なくとも1つの前記構成要素(56~72)および/または励起回路(39)には、前記風力タービン(100)に接続された供給グリッド(20)からエネルギーが供給される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法を実行するエネルギー供給装置。
【請求項7】
前記エネルギー供給装置(22)は、直流電圧中間回路(14)に接続可能な入力(25)を有しており、出力(36)において、前記構成要素(56~72)へ供給するための利用可能なエネルギーを生成し、および/または、別の出力(41)において、風力タービン(100)の励起回路(39)へ供給するための利用可能なエネルギーを生成する、
請求項6に記載のエネルギー供給装置。
【請求項8】
前記エネルギー供給装置(22)は、入力(25)において供給されるエネルギーの電圧を、前記構成要素(56~72)に適した交流電圧に変換するためのインバータ(28)を有している、
請求項6または7に記載のエネルギー供給装置。
【請求項9】
前記エネルギー供給装置(22)は、インバータ(28)で生成された交流電圧を平滑化するために、フィルタ(30)を有している、
請求項6から8のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置。
【請求項10】
前記エネルギー供給装置(22)は、インバータ(28)で生成された交流電圧を、前記構成要素(56~72)へ供給するために適した交流電圧に変換する変圧器(34)を有している、
請求項6から9のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置。
【請求項11】
前記エネルギー供給装置(22)は、エネルギー貯蔵手段(26)を有している、
請求項6から10のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置。
【請求項12】
別の出力(41)および/またはエネルギー貯蔵手段(26)および/または前記構成要素(56~72)において、前記供給グリッド(20)から前記励起回路(39)へ、前記エネルギー供給装置(22)によって供給されるエネルギーを提供するために、前記エネルギー供給装置(22)は、整流器(38)を備えている、
請求項6に記載のエネルギー供給装置。
【請求項13】
請求項6から12のいずれか1項に記載のエネルギー供給装置(22)を備えた風力タービン。
【請求項14】
前記エネルギー供給装置(22)の前記インバータ(28)で変換された前記交流電圧は、平滑化される、
請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記エネルギー供給装置(22)の前記インバータ(28)で変換された前記交流電圧は、インダクタンス、またはチョーク、および/または少なくとも1つのコンデンサで、フィルタリングされる、
請求項3に記載の方法。
【請求項16】
直流電圧中間回路(14)から取り出されたエネルギーの電圧は、前記エネルギー供給装置(22)の変圧器(34)で、400Vに変換される、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記エネルギー供給装置(22)は、前記エネルギー貯蔵手段(26)として蓄電池を有している、
請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記風力タービン(100)の少なくとも1つの構成要素(56~72)および/または前記風力タービン(100)の励起回路(39)は、前記発電機(10)がエネルギーを生成していない場合に、前記エネルギー貯蔵手段(26)からエネルギーが供給される、
請求項4に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー供給装置(22)は、インダクタンス、またはチョーク、および/または、少なくとも1つのコンデンサを有している、
請求項9に記載のエネルギー供給装置。
【請求項20】
前記変圧器(34)の一次側において、直流電圧中間回路(14)からエネルギーを取得し、二次側において、出力(36)で前記構成要素(56~72)にエネルギーを供給し、前記変圧器(34)の二次側において、供給グリッド(20)へ付加的に接続される、
請求項1に記載のエネルギー供給装置。
【請求項21】
前記エネルギー貯蔵手段(26)は、直流電圧中間回路(14)に接続可能である、
請求項11に記載のエネルギー供給装置。
【請求項22】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の方法を実行する前記エネルギー供給装置(22)を備えた、
請求項13に記載の風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンのエネルギー供給、特に、風力タービンのエネルギー供給装置を備えた風力タービンの構成要素、およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、長い間知られている。風力タービンでは、空力ロータが発電機の発電機ロータ部材を駆動し、発電機が風から得られた運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。その電気エネルギーは、発電機によって変圧器を介して風力タービンに接続された供給グリッドに供給される。その目的のために、風力タービンは、グリッド接続ポイントを介して供給グリッドに接続される。
【0003】
電気供給グリッドは知られており、電気エネルギーはエネルギー貯蔵システムとエネルギー消費者の間で分配される。このような電力供給グリッドは、現在ではほとんどが50Hzまたは60Hzの所定のグリッド周波数の交流電圧で動作する。貯蔵システムと消費者の両方が、その周波数に設定されている。
したがって、このような供給グリッドは、風力タービン自体に電力を供給するのにも適している。よって、風力タービン自体、特に、その構成要素、すなわち電気的構成要素には、供給グリッドから電気エネルギーが供給されるのが普通である。エネルギー供給を必要とする構成要素は、例えば、風力タービン、冷却装置、機械式アクチュエータ、制御システム自体の構成要素である。構成要素の例として、例えば、風力タービンのヨー調整のための駆動、ロータブレード調整のための調整モータ、または発電機および/またはインバータを冷却するための様々な冷却装置について言及することができる。別の構成要素は、風力タービンの動作のために風力タービンの機械的構成要素を作動させる電気的な開ループおよび閉ループ制御装置である。
【0004】
風力タービン自体に既知の方法でエネルギーが供給される供給グリッドは、その場合、10%程度の電圧変動の影響を受ける。これらのグリッド電圧変動は、規制要件によって制限されているため、適切な調整メカニズムにより、指定されたグリッド電圧変動は10%未満に保たれる。しかし、エネルギー供給グリッドがますます複雑になっているため、調整メカニズムは非常に高いレベルの労力と費用で10%の制限しか観察できないため、グリッド電圧の変動に関する制限を増やすことについての議論がある。
【0005】
現時点では一般的であり、規制緩和後に、おそらくさらに増加するであろうグリッド電圧変動のために、これらのグリッド電圧変動で風力タービンの信頼できる動作を保証するために、風力タービンまたはその構成要素に対してますます高まる要求がなされている。その目的のために、構成要素の敏感な部分の動作に適切な電圧を利用できるようにする一方で、過度の高電圧による構成要素への損傷を防止するように動作している間はいつでも、風力タービンの個々の構成要素に対してそれぞれ平滑回路と補償回路が提供される。
【0006】
よって、これらの追加の平滑化および補償回路は、特に、このような補償回路を標準として含まない標準構成要素を使用することがもはやできないため、風力タービンの生産において追加のコスト要因を伴う。
したがって、本発明の目的は、最新技術における上述の問題の1つを解決することである。特に、本発明は、風力タービンにエネルギー供給を提供する可能な方法を見出すことを目指しており、供給グリッドのグリッド電圧よりも比較的小さな電圧変動でエネルギーを提供する。いずれにしても、本発明の目的は、最新技術から知られているものの代替物を提供することである。
【0007】
本願の優先権主張出願について、ドイツ特許商標庁は、以下の先行技術文献をサーチした:米国特許出願公開第2011/0140534号明細書、米国特許出願公開第2012/0056425号明細書。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2011/0140534号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0056425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
その目的のために、本発明は、エネルギー供給装置によって風力タービンの少なくとも1つの構成要素、すなわち電気的な構成要素にエネルギーを供給する方法に関する。風力タービンの動作中の方法によれば、エネルギーは、エネルギー供給装置によって風力タービンの発電機で生成されたエネルギーから取得され、風力タービンの構成要素に供給される。したがって、本明細書で説明する事例は、風力タービンの動作を特定するものであり、これは、例えば、風力タービンが高速になっている風力タービンの開始段階と区別されるべきである。したがって、この動作は、風の運動エネルギーが風力タービンの発電機で電気エネルギーに変換され、風力タービンに接続された電力供給グリッドに供給される風力タービンの状態を示す。
【0010】
したがって、本発明によれば、全ての電気エネルギーが供給グリッドに供給されるわけではない。むしろ、発電機で生成される電気エネルギーの一部は、供給グリッドに供給されず、風力タービンの構成要素にそのエネルギーを供給する。したがって、構成要素に電力を供給するために、例えば、電圧に関して大きな変動の影響を受ける供給グリッドからエネルギーを取り出す必要がなくなる。ここで、構成要素は、例えば、風力タービンの制御システム、インバータの制御システム、ポッドの制御システム、冷却剤ポンプ、ピッチ駆動、ヨー駆動、タワー内の機器の電気部品、照明や換気などのポッドである。
【0011】
したがって、本発明により、風力タービンの動作中、風力タービンの構成要素に供給するための風力タービンの電気エネルギーは、風力タービンの発電機で生成された電気エネルギーから直接取り出される。そのエネルギーは、特に、その電圧に関して、グリッド電圧よりも変動が少ないため、風力タービンの個々の構成要素の補償構成要素を省くことが可能である。
さらに、本発明は、好ましくは上述の方法が実行されるエネルギー供給装置に関する。エネルギー供給装置は、一方では風力タービンの発電機に電気的に接続された入力を有し、他方では風力タービンの構成要素に接続された出力を有する。エネルギー供給装置は、発電機によって生成されたエネルギーを構成要素に供給する。
【0012】
第1実施形態によれば、発電機で生成されたエネルギーは整流器で整流され、直流電圧中間回路の中間ストレージに入れられる。風力タービンの構成要素に供給するエネルギーは、エネルギー供給装置によって直流電圧中間回路から取得される。したがって、エネルギー供給装置は、直流電圧中間回路に接続されているか、接続できる入力を備えている。発電機で生成されたエネルギーを直流電圧中間回路に供給することにより、風力タービンの構成要素に最初に実質的に変動しないか、わずかな変動のみを含む安定した直流電圧が提供される。安定した実質的に変動のない直流電圧は、風力タービンの構成要素への供給用に定義された電圧に簡単に変換されるため、実質的にそれ以上の電圧変動は発生しない。したがって、変動補償のために追加の構成要素を省くことができる。
【0013】
したがって、エネルギー供給装置の他の実施形態によれば、風力タービンの構成要素に供給するためのエネルギーを直流電圧中間回路から取り出すために、直流電圧中間回路に接続される。
他の実施形態によれば、構成要素にエネルギーを供給するために直流電圧中間回路から取り出されたエネルギーの電圧は、エネルギー供給装置のインバータに供給され、インバータで交流電圧に変換される。エネルギー供給装置のそのインバータは、中間回路の電圧を供給グリッドに供給するための交流電圧に変換するインバータとは異なる。したがって、エネルギー供給装置は、直流電圧中間回路から取られたエネルギーの電圧を、構成要素に供給するのに役立つ交流電圧に変換するためのインバータを含む。
【0014】
したがって、発電機によって提供されるエネルギーを供給グリッドに適した周波数の交流電圧に変換するインバータに加えて、構成要素に適した周波数の交流電圧を提供するために、エネルギー供給装置に特定のインバータがある。そのようにして、エネルギー供給装置のインバータは、例えば、特に、変動のない構成要素に適した周波数を提供できるように製造することが可能である。
【0015】
その点で、構成要素は、グリッドとは異なる交流電圧の周波数に対する要求を含む可能性があることも考慮される。例えば、グリッドをサポートするために、供給グリッドに供給される発電機によって提供されるエネルギーが、その交流電圧周波数に関して特に適合している場合には、それから、それとは独立して、エネルギー供給装置のインバータによって、構成要素に適合された交流電圧周波数を依然として提供することができる。したがって、構成要素へのエネルギー供給は、グリッドの需要に適合している可能性のある周波数とは無関係に行われる。
【0016】
他の実施形態によれば、エネルギー供給装置のインバータによって変換された交流電圧は、フィルタでフィルタリングされる。そのフィルタは、好ましくは、インダクタンスまたはチョークおよび/または少なくとも1つのコンデンサを有する。したがって、一実施形態によるエネルギー供給装置は、エネルギー供給装置の交流電圧をフィルタリングするために、インバータで変換されるフィルタ、より具体的には、インダクタンスまたはチョークおよび/または少なくとも1つのコンデンサを含むことが好ましい。
【0017】
そのフィルタリング動作は、特に、インバータの出力で「チョップアップ」される交流電圧を平滑化するのに役立つ。このようにして、実質的に安定した正弦波構成を含む平滑化された交流電圧が得られる。その結果、非定常交流電圧に関連する堅牢性に関する風力タービンの構成要素に関する要求が軽減される。
他の実施形態では、直流電圧中間回路から取り出され、交流電圧に変換されるエネルギーの電圧を構成要素に適した電圧に変換するために、エネルギー供給装置に変圧器が提供される。その点において、好ましくは、交流電圧は400Vの電圧に変換される。このようにして、構成要素に適した電圧振幅が提供される。
【0018】
他の実施形態によれば、エネルギー供給装置は、エネルギー供給装置の入力を介して直流電圧中間回路に接続することができるエネルギー貯蔵手段を含む。エネルギー貯蔵手段は、特に、蓄電池、または、いわゆる「パワーキャップ」である。したがって、発電機がエネルギーを生成していないときに風力タービンの構成要素にエネルギー貯蔵手段からエネルギーを供給することができ、エネルギー貯蔵手段は.直流電圧中間回路から充電することができる。
【0019】
この方法の他の実施形態では、直流電圧中間回路またはおそらく備えられているエネルギー貯蔵手段でエネルギーが利用できない状況では、少なくとも1つの構成要素に風力タービンに接続された供給グリッドからエネルギーが供給される。好ましくは、その目的のために、エネルギー供給装置の変圧器、例えば、構成要素にエネルギーも供給される二次側において、エネルギー供給装置の別の入力として、風力タービンのグリッド給電変圧器に同時に接続される。例えば、風力タービンが緊急モードにあるときにエネルギー供給装置のエネルギー貯蔵手段からのエネルギーが使い果たされる場合には、風力タービンの更新された始動は、供給グリッドからエネルギーを取得することによって達成され得る。
【0020】
他の実施形態によれば、エネルギー供給装置は、特に充電目的で、別の出力での発電機の励起回路および/またはエネルギー貯蔵手段の供給グリッドからエネルギー供給装置に供給されるエネルギーを提供するために整流器を有する。
他の実施形態では、構成要素の基本的な電気インフラストラクチャ、例えば、照明システム、電源コンセント等の外部電源への切り替えスイッチが用意されている。その目的のために、エネルギー供給装置は、例えば、外部電源アセンブリである外部電源の接続のための別の入力を含む。そのようにして、他の全てのインストール構成要素をグリッドから分離しながら、基本インフラストラクチャを運用することができる。この例は、例えば、風力タービンの建設、供給グリッドの故障、または変圧器またはエネルギー供給装置の修理または保守作業中に供給グリッドがないことである。
【0021】
他の構成は、図面を参照してより詳細に説明される例としての実施形態から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】風力タービンのエネルギー供給システムを示す図。
【
図3】風力タービンの動作中に風力タービンの少なくとも1つの構成要素にエネルギーを供給する方法の実施を示す図。
【
図4】エネルギー供給装置のエネルギー貯蔵手段なしで風力タービンを始動する手順を示す図。
【
図5】エネルギー貯蔵手段を備えた風力タービンを起動する手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る風力タービン100の概略図を示す。風力タービン100は、タワー102と、タワー102上のポッド104とを備えている。3つのロータブレード108を有する空力ロータ106とスピナ110とは、ポッド104に設けられている。空力ロータ106は、風により風力タービンの動作中に回転させられ、したがって、空力ロータ106に直接または間接的に結合された発電機の動電ロータまたはロータ部材も回転させる。発電機は、ポッド104に配置され、電気エネルギーを生成する。ロータブレード108のピッチ角は、それぞれのロータブレード108のロータブレード根元部108bにあるピッチモータによって変えることができる。
【0024】
図2は、風力タービン100のエネルギー供給システムを示す。風力タービン100は、電気的なエネルギーを生成する発電機10を有している。電気的なエネルギーは、整流器12によって整流され、直流電圧中間回路14に供給される。図面をより明確にするために、ここでは1つの整流器12のみが示されている。複数のモジュール、すなわち複数の整流器12から成る、あるいは、それらを含む。直流電圧中間回路14からのエネルギーは、整流された電圧と共にインバータ16に供給され、インバータ16は整流された電圧を、グリッド要件に適合した周波数で交流電圧に変換する。次に、交流電圧のエネルギーは、閉じたスイッチ17およびグリッド変圧器18によって、風力タービン100に接続された供給グリッド20に適した電圧に変換され、供給グリッド20に供給される。
【0025】
さらに、図面は、その入力25におけるスイッチ24によって、直流電圧中間回路14へ接続可能なエネルギー供給装置22を示す。
したがって、発電機10によって生成されたエネルギーは、入力25を介して、整流器12による整流の後、エネルギー供給装置22に供給される。スイッチ24が閉じられると、エネルギーが蓄積されるエネルギー蓄積手段26が直流電圧中間回路14に接続される。そのエネルギー蓄積手段26に加えて、直流電圧中間回路14は、エネルギー蓄積手段26が任意の構成部品を表すように、エネルギーを蓄積するための複数のコンデンサ(図示せず)も有する。
【0026】
ここで例示される有利な実施形態によれば、直流電圧中間回路14に含まれるコンデンサに加えてエネルギー蓄積手段26を備え、エネルギー蓄積手段なしよりも実質的により大きなエネルギー蓄積が可能である。したがって、緊急事態または発電機10自体によってエネルギーが生成されない始動モードでは、エネルギー貯蔵手段26は、直流電圧中間回路14とは無関係にエネルギー供給装置22にエネルギーを提供する役割を果たす。
【0027】
さらに、エネルギー供給装置22には、発電機10で生成されたエネルギーの直流電圧を直流電圧中間回路14から交流電圧に変換するインバータ28が設けられている。グリッドへの供給に適した電圧の周波数を生成するインバータ16とは対照的に、インバータ28は、風力タービン100の構成要素の供給に適した周波数の電圧を生成するように適合されている。インバータ28の出力には、フィルタ30、すなわちチョークおよび/または1つまたは複数のコンデンサが配置され、これらはインバータ28で生成された交流電圧を平滑化する。
【0028】
さらに、スイッチ32が設けられており、その閉状態では、平滑化された交流電圧が変圧器34の一次側に供給される。変圧器34は、電圧を風力タービン100の構成要素への供給に適した電圧に変換する。それは、変圧器34の二次側の出力36で出力される。好ましくは、一例として、550Vまたは500Vの交流電圧がその一次側で変圧器34に供給され、部品に供給するために400V出力36で出力される。したがって、風力タービン100の動作中、スイッチ24,32は閉じられる。
【0029】
エネルギー供給装置22の変圧器34の二次側は、スイッチ37,43を介してグリッド側変圧器18に接続することができる。エネルギー貯蔵手段26が設けられていない状況、またはエネルギー貯蔵手段26が放電され、風力タービン100が停止し、したがってエネルギーを生成していない状況では、これらのスイッチ37,43を閉じることができる。したがって、電圧を供給グリッド20から取得し、変圧器34の二次側を介して構成要素に供給するための供給電圧に変換することができる。その後、それは、出力36に出力される。
【0030】
エネルギー貯蔵手段26がない、またはエネルギー貯蔵手段26が放電され、風力タービン100が停止する状況では、エネルギーは、閉じられたスイッチ37およびさらに閉じられたスイッチ42によって、供給グリッド20からエネルギー供給装置22の整流器38に供給することもできる。次に、そのエネルギーは、励起回路39のバックコンバータ40を介した発電機10の励起が風力タービン100の起動を可能にするように、励起回路39の他の出力41で提供される。
【0031】
したがって、供給グリッド20によって提供されるエネルギーは、グリッドからのエネルギーを整流し、バックコンバータ40を介して発電機10の別個の励起を生成する整流器38に供給され得る。このため、供給グリッド20は、スイッチ42を介して整流器38に接続されている。したがって、風力タービン100の通常の動作では、十分なエネルギーが発電機10によって直流電圧中間回路14に供給され、そこに供給されると、バックコンバータ40は、直流電圧中間回路14から直接供給され、次にスイッチ42が開かれる。ここでは、起動手順では、起動が不可能になるため、一時的に変動するグリッド電圧に頼らなければならないことを受け入れている。
【0032】
例示されたエネルギー貯蔵手段26が存在し、充電され、風力タービン100がシャットダウンされる場合、始動手順のためにスイッチ42,43が開かれ、スイッチ24,32が閉じられる。したがって、バックコンバータ40は、エネルギー貯蔵手段26から供給され、したがって、別個に励起された発電機10が直流電圧中間回路14に供給されるエネルギーを生成し始めるように、発電機10で励起が生成される。直流電圧中間回路14に十分なエネルギーがあるとすぐに、エネルギー蓄積手段26が再び充電される。
【0033】
さらに、変圧器34の出力36は、風力タービン100の構成要素にエネルギーを分配するための主分配システム44に接続されている。次いで、変圧器34の出力36でのエネルギー出力は、スイッチ46~54を介して風力タービン100の構成要素に供給することができる。第1の構成要素は、例えば、コンバータを冷却するために冷却液を圧送する冷却剤ポンプ56である。他の構成要素は、ピッチドライブ58とヨードライブ60である。加えて、他の構成要素は、冷却剤ポンプで運ばれる冷却液を冷却するための熱交換器ユニット62である。さらに、構成要素は、いわゆるEモジュール64であり、これは、例えば、インバータ16を制御してグリッド適合交流電流を生成するための制御手段を含む。さらに、構成要素には、ポッド104の電気機器だけでなく、タワー66の電気機器も含まれる。タワー66の電気機器およびポッド104の電気機器は、例えば、タワー102およびポッド104内の照明および換気設備を含む。
【0034】
変圧器34の出力36に接続された他の構成要素は、例えば、Eモジュール70の制御手段およびポッド72の制御手段である。それらの構成要素70,72は、特定の電圧を必要とするため、さらなるトランス74,76がそれぞれ構成要素70,72の上流に接続される。
図3は、通常動作時、すなわち、発電機10がエネルギーを生成し、整流器12を介して直流電圧中間回路14に供給しているときの風力タービン100のエネルギー供給を示す。この場合、ステップ80で、エネルギーは、直流電圧中間回路14から取得され、ステップ82で、エネルギーの直流電圧は、交流電圧に変換される。ステップ84では、フィルタ30、特に、チョークおよび/または少なくとも1つのコンデンサで交流電圧が平滑化され、ステップ86では、平滑化された交流電圧が変圧器34により構成要素適合電圧に変換される。ステップ88では、同じものを供給するために、電圧が構成要素56~72に供給される。
【0035】
図4は、エネルギー貯蔵手段26なしで風力タービン100を始動するためのステップを示す。この場合、好ましくはスイッチ37,42,43が閉じられ、スイッチ32が開かれるステップ90において、エネルギーは変圧器18を介して供給グリッド20から取り出され、ステップ91で変圧器34に供給される。変圧器34は、ステップ92でグリッド20から取得した電圧を、風力タービン100の構成要素56~72に供給するための電圧に変換する。さらに、ステップ92において、発電機10の別個の励起を生成するために、供給グリッド20からのエネルギーが整流器38およびバックコンバータ40に提供される。発電機10の回転により、発電機10は、ステップ94でエネルギーを生成し、整流器12を介して直流電圧中間回路14にエネルギーを供給する。直流電圧中間回路14の電圧が特定のレベルに達した後、ステップ96で、スイッチ37,42,43が開かれ、スイッチ17,32が閉じられることが好ましい。ここで、エネルギーは、直流電圧中間回路14から供給グリッド20に供給され、構成要素56~72およびバックコンバータ40は、直流電圧中間回路14から発電機10のための励起を生成するために供給される。それは、ステップ98で発生する。
【0036】
ステップ90の代替案によれば、スイッチ17,32,42が閉じられ、スイッチ43が開かれる。ステップ91で、エネルギーが供給グリッド20から取り出され、整流器38を介して変圧器34および励起回路39に供給される。変圧器34は、ステップ92でグリッド20からの電圧を風力タービン100の構成要素56~72に供給するための電圧に変換する。
【0037】
これらの方法により、メンテナンスまたは修理の状況でも、直流電圧中間回路を充電することなく、タービンの構成要素に電源を供給することができる。したがって、他の構成要素が電圧から安全に分離されている間、いくつかの所定のタービンの構成要素だけに電圧を供給する可能性がある。
図5は、エネルギー貯蔵手段26がある状況で風力タービン100を始動するための他の方法を示す。その場合、構成要素56~72に給電するために、変圧器34の出力でインバータ28、フィルタ30および変圧器34を介して、エネルギー貯蔵手段26によって電圧が供給される。さらに、励起回路39は、エネルギー貯蔵手段26からエネルギーを提供する。これは、ステップ100において実行される。次に、ステップ102において、発電機10がエネルギーを生成し、それを中間回路14に供給する。次に、ステップ104において、直流電圧中間回路14は、
図3を参照して説明した方法で、励起回路39および構成要素56~72に供給するのに役立つ。エネルギー貯蔵手段26も、そのステップで充電される。