(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】有機前駆体を使用した遠隔のプラズマによる、シリコンと炭素とを含有する膜の表面処理
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20220127BHJP
H01L 21/314 20060101ALI20220127BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220127BHJP
H01L 21/205 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
H01L21/316 P
H01L21/314 A
H01L21/31 C
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2020519129
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 US2018051714
(87)【国際公開番号】W WO2019070404
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-05-27
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
(73)【特許権者】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エックス. ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホワ チュン
(72)【発明者】
【氏名】シンリアン ルー
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-277812(JP,A)
【文献】特開2009-158610(JP,A)
【文献】特開2016-042576(JP,A)
【文献】特開2012-009899(JP,A)
【文献】特開2013-157351(JP,A)
【文献】特開2003-332317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0111288(US,A1)
【文献】特開2011-253832(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0276134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/314
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を処理するための方法であって、
前記被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料とを含み、
当該方法は、
前記シリコンと炭素とを含有する膜材料にエッチングプロセスを施した後に、前記シリコンと炭素とを含有する膜材料に対して
、エッチング後の有機ラジカルベースの表面処理プロセスを実施するステップを含み、
前記有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、
第1のチャンバ内で1つまたは複数の種を生成するステップと、
1つまたは複数の有機ラジカルを含む混合物を生成するために、
前記第1のチャンバの下流で、1つまたは複数の炭化水素分子を前記種と混合するステップと、
第2のチャンバ内で前記被加工物上の前記シリコンと炭素とを含有する層を前記混合物に曝すステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、前記シリコンと炭素とを含有する膜材料上の少なくとも一部のメチル化を結果的に生じさせる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記シリコンと炭素とを含有する膜材料は、酸素を含む、請求項1
または2記載の方法。
【請求項4】
前記膜材料は
、1%
~50%の多孔度を有する、請求項1
から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコンと炭素とを含有する膜材料は、窒素を含む、請求項1
から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコンと炭素とを含有する膜材料は、基板工程用途において形成されるスペーサ構造の少なくとも一部として使用される、請求項1
から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコンと炭素とを含有する膜材料は、配線工程用途において形成される相互接続構造の少なくとも一部として使用される、請求項1
から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つまたは複数の炭化水素分子は、C
nH
2n+2の化学式を有し、
nは、1以上かつ10以下である、
請求項1
から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数の炭化水素分子は、C
nH
2nの化学式を有し、
nは、2以上かつ10以下である、
請求項1
から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つまたは複数の炭化水素分子を、前記第1のチャンバ内で前記種と混合する、請求項1
から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、
前記表面処理プロセスを実施した後、前記第1のチャンバ内でプラズマを生成するステップと、
前記第2のチャンバから前記被加工物を取り外すステップと、
を含む、請求項1
から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面処理プロセスを実施した後、前記第1のチャンバ内でプラズマを生成するステップは、1つまたは複数の酸素ラジカルを生成するステップを含む、請求項
11記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の有機ラジカルは、CH
3ラジカルを含む、請求項1
から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
当該方法は、前記第1のチャンバ内のプラズマから生成された1つまたは複数のラジカルを使用して、乾式ストリッププロセスを実施するステップを含む、請求項1
から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の種を、誘導結合プラズマ源を使用して、前記第1のチャンバ内のプロセスガスからのプラズマ中で生成する、請求項1
から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記プロセスガスは、不活性ガスである、請求項
15記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガスは、ヘリウムである、請求項
16記載の方法。
【請求項18】
前記プロセスガスは、水素ガスを含み、
前記種は、水素ラジカルを含む、
請求項
15記載の方法。
【請求項19】
前記種は、加熱されたフィラメントを使用して生成された1つまたは複数の水素ラジカルを含む、請求項1
から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の有機ラジカルを、分子の熱分解を使用して、またはUVアシストによる分子解離を使用して生成する、請求項1
から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のチャンバを前記第2のチャンバから分離する分離グリッドを使用して、フィルタリングされた混合物を生成するために、プラズマによって生成された1つまたは複数のイオンをフィルタリングするステップを含む、請求項
15記載の方法。
【請求項22】
被加工物を処理するための方法であって、
前記被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料を含み、
当該方法は、
前記シリコンと炭素とを含有する膜材料にエッチングプロセスを施した後に、エッチング後の有機ラジカルベースの表面処理プロセスによって前記被加工物を処理するステップを含み、
前記表面処理プロセスは、
プラズマ処理装置のプラズマチャンバ内で生成されたプラズマを使用して、プロセスガスから1つまたは複数の種を生成するステップと、
混合物を生成するために、
前記プラズマチャンバの下流で、1つまたは複数の炭化水素分子を前記種と混合するステップと、
前記プラズマチャンバから分離されている処理チャンバ内で前記被加工物を前記混合物に曝すステップと、
を含む、
方法。
【請求項23】
前記プロセスガスは、不活性ガスである、請求項
22記載の方法。
【請求項24】
前記プロセスガスは、水素を含む、請求項
22記載の方法。
【請求項25】
当該方法は、有機ラジカルを用いた第2の表面処理プロセスによって前記被加工物を処理するステップを含む、請求項
22から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の表面処理プロセスは、
プラズマ処理装置のプラズマチャンバ内で生成されたプラズマを使用して、プロセスガスから1つまたは複数の種を生成するステップと、
混合物を生成するために、1つまたは複数の炭化水素分子を前記種と混合するステップと、
前記プラズマチャンバから分離されている処理チャンバ内で前記被加工物を前記混合物に曝すステップと、
を含む、請求項
25記載の方法。
【請求項27】
前記第2の表面処理プロセスの前記1つまたは複数の炭化水素分子は、前記表面処理プロセスの前記1つまたは複数の炭化水素分子とは異なる、請求項
26記載の方法。
【請求項28】
前記第2の表面処理プロセスのプラズマを、前記表面処理プロセスにおいて誘導結合プラズマ源に供給される電力とは異なる電力を使用して生成する、請求項
26または27記載の方法。
【請求項29】
前記第2の表面処理プロセスを、前記表面処理プロセスとは異なる圧力または異なる温度で実施する、請求項
26から28までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2017年10月3日に出願された“Surface Treatment of Silicon and Carbon Containing Films by Remote Plasma with Organic Precursors”という表題の米国仮出願番号第62/567295号明細書の優先権を主張する、2018年4月20日に出願された“Surface Treatment Of Silicon And Carbon Containing Films By Remote Plasma With Organic Precursors”という表題の米国特許出願番号第15/958635号明細書の優先権を主張するものであり、同明細書は、あらゆる目的で参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、概して、半導体被加工物のような基板の表面処理に関する。
【0003】
背景
炭素を含有する低誘電率(low-k)誘電体材料は、半導体デバイスの製造においてますます使用されるようになっている。例えば、SiOCNは、高度な半導体デバイスの基板工程(front-end-of-line:FEOL)用途におけるスペーサ材料として使用され得る。SiOCは、配線工程(back-end-of-line:BEOL)用途における相互接続誘電体として使用され得る。
【0004】
多孔質のlow-k誘電体材料のような、炭素を含有するlow-k誘電体材料は、半導体製造プロセスのステップ(例えば、酸素含有プラズマ乾式エッチング、含有プラズマ乾式アッシング、湿式洗浄、化学機械研磨(CMP)など)による損傷を受けやすいことがある。このような損傷は、例えば、炭素膜の露出した表面領域(例えば、頂面、側壁など)の消耗に関連する誘電率(k)の増加と、Si-CH3(メチル)結合の、Si-OH(ヒドロキシル)結合への置換とを含むことができる。
【0005】
概要
本開示の実施形態の態様および利点は、部分的に以下の説明に記載されるか、または以下の説明から把握され得るか、もしくは実施形態の実施を通じて把握され得る。
【0006】
本開示の1つの例示的な態様は、被加工物を処理するための方法に関する。被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料を含むことができる。当該方法は、シリコンと炭素とを含有する膜材料に対して有機ラジカルベースの表面処理プロセスを実施することを含むことができる。表面処理プロセスは、第1のチャンバ内で1つまたは複数の種を生成することと、1つまたは複数の炭化水素分子を種と混合して、1つまたは複数の有機ラジカルを含む混合物を生成することと、第2のチャンバ内で被加工物上のシリコンと炭素とを含有する膜材料を混合物に曝すこととを含むことができる。
【0007】
本開示の他の例示的な態様は、被加工物の表面処理のためのシステム、方法、および装置に関する。
【0008】
種々の実施形態の上記およびその他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照することでより良好に理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を図示したものであり、明細書と併せて、関連する原理を説明するために役立つ。
【0009】
図面の簡単な説明
本明細書には、当業者に向けられた実施形態の詳細な説明が記載されており、本明細書は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示的な基板工程(FEOL)のスペーサ構造を示す図である。
【
図2】例示的な配線工程(BEOL)の相互接続構造を示す図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、例示的なプラズマ処理装置を示す図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、例示的な方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、例示的な表面処理プロセスのフローチャートである。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、例示的な表面処理プロセスのフローチャートである。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、表面処理プロセス中の例示的なイオンフィルタリング後のガス注入を示す図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、例示的な方法のフローチャートである。
【
図9】本開示の例示的な実施形態による、例示的な有機ラジカルの生成を示す図である。
【0011】
詳細な説明
以下では、複数の実施形態が詳細に参照され、これらの実施形態のうちの1つまたは複数の例が図面に図示されている。それぞれの例は、本開示を限定するものとして提供されているのではなく、実施形態を説明するものとして提供されている。実際に、当業者には、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、これらの実施形態に種々の修正および変更を加えることができることが明らかであろう。例えば、或る1つの実施形態の一部として図示または説明されている特徴を、別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変更を含むことが意図されている。
【0012】
本開示の例示的な態様は、半導体ウェハのような被加工物上の、シリコンと炭素とを含有するlow-k誘電体膜材料を処理するための、表面処理プロセスに関する。低誘電率(例えば、「low-k」)の誘電体材料は、高度な半導体デバイスの製造において使用され得る。low-k誘電体材料は、約3.0未満、例えば約2.5未満、例えば約2.2未満の誘電率を有することができる。本明細書で使用される場合、数値と併せて「約」という用語が使用される場合には、記載された数値の20%以内を指すことができる。
【0013】
low-k誘電体材料は、例えば、基板工程(FEOL)用途では、ゲートとソースとの間のスペーサとして、かつ/またはゲートとドレインとの間のスペーサとして使用され得る。
図1は、例示的なlow-kスペーサ構造を有する被加工物50を示す。より具体的には、被加工物50は、トランジスタ構造54(例えば、ゲート)を有する半導体基板52(例えば、シリコン)を含む。トランジスタ構造54と半導体基板52との間には、誘電体層55が配置され得る。スペーサ構造(例えば、ゲート側壁スペーサ構造)は、トランジスタ構造54を少なくとも部分的に取り囲むことができる。スペーサ構造は、シリコンと炭素とを含有する薄膜57を含むことができる。いくつかの実施形態では、膜57は、追加的に窒素を含むことができる。いくつかの実施形態では、膜57は、追加的に酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、膜57は、炭窒化シリコン(SiCN)膜であり得る。いくつかの実施形態では、膜57は、酸炭窒化シリコン(SiOCN)膜であり得る。酸素含有プラズマ乾式エッチング、プラズマ乾式アッシング、湿式洗浄などのような半導体製造プロセスは、FEOL用途におけるスペーサ構造の一部として使用される膜57に対して、損傷(例えば、k値の増加)を引き起こす可能性がある。
【0014】
low-k誘電体は、配線工程(BEOL)用途では、相互接続構造(例えば、Cu相互接続構造)の一部として使用され得る。例えば、
図2は、BEOLにおける銅相互接続構造を製造するための例示的なプロセスフローを示す。図示のように、被加工物60は、レジスト層62を含むと共に、銅部分67を有する層65を覆うように形成された、シリコンと炭素とを含有するlow-k誘電体膜層64を含む。いくつかの実施形態では、low-k誘電体膜層64は、追加的に酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、low-k誘電体膜層64は、酸炭化シリコン(SiOC)層であり得る。いくつかの実施形態では、low-k誘電体膜層64は、多孔質であり得る。例えば、low-k誘電体膜層は、約1%~約50%の範囲の多孔度(porosity)を有することができる。本明細書で使用される場合、「多孔度」は、材料の総体積に対する、材料中のボイドまたは空スペースの体積の尺度であり得る。
【0015】
被加工物60は、low-k誘電体膜層64にトレンチ66および/またはビア構造を生成するために、プラズマエッチングプロセスを受けることができる。プラズマエッチングプロセスは、酸素含有乾式エッチングプロセスであり得る。プラズマエッチングプロセスの後、Cuシード堆積およびバルクめっき(図示せず)の前に、超薄Cu層を堆積させることができる。プラズマエッチングプロセスは、low-k誘電体膜層64の損傷、および/またはlow-k誘電体膜層64の誘電率の増加を引き起こす可能性がある。例えば、low-k誘電体膜層64は、露出した表面領域(例えば、側壁など)におけるメチル(CH3基)の消耗と、Si-C(炭素)結合(例えば、Si-CH3結合)の、Si-O(酸素)結合(例えば、Si-OH結合)への置換とによって、損傷を受ける可能性がある。この損傷は、low-k誘電体膜64の誘電率の増加を結果的に生じさせる可能性がある。
【0016】
low-k誘電体材料(例えば、スペーサ構造55における層57、相互接続構造60の一部として使用されるlow-k誘電体膜層64など)を復元するために、表面処理プロセスを実施することができる。さらに、(例えば、BEOL相互接続構造を製造する際に)表面処理プロセスを実施して、BEOL相互接続の用途において、Cuの堆積前にlow-k誘電体材料の細孔を封止することができる。
【0017】
BEOLプラズマエッチングの後にlow-k誘電体材料に対して実施することができる例示的な表面処理プロセスには、すなわち、紫外線(UV)アシストによる熱硬化と、炭化水素プラズマ処理と、ガスオンリーベースまたはプラズマベースのシリル化プロセスとがある。UV熱硬化は、low-k誘電体材料のプラズマエッチング中に形成されるヒドロキシル基を除去することができる。しかしながら、この熱硬化は、例示的な事例では、高温(例えば、600℃~1000℃)でのみ有効なことがあり、BEOL用途には適していない。メタン(CH4)または他の炭化水素を使用する炭化水素プラズマ処理は、low-k誘電体材料上に炭素リッチ層を構築することができるが、low-k誘電体材料の顕著な復元は伴わない。さらに、プラズマ処理は、被加工物デバイスを潜在的なプラズマ損傷に曝してしまうおそれがある。シリコンと炭化水素とを含有するシリル化前駆体は、低温(例えば、300℃未満)でSi-OH結合と反応することができ、損傷を受けたlow-k誘電体材料のk値の復元を実現することができる。しかしながら、シリル化前駆体は、BEOL相互接続構造60における露出した下にあるCu表面67と反応して、Cu線路抵抗に対して悪影響を与える可能性がある。結果として、シリル化プロセスの使用は、BEOL用途にとって実施可能な選択肢ではない場合がある。
【0018】
本開示の例示的な態様によれば、low-k誘電体材料に対して実施される、エッチング後の表面処理プロセスは、望ましい有機ラジカル前駆体(例えば、CH3ラジカル)を組み込むことができる。有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、low-k誘電体材料上の少なくとも一部における有機ラジカルの付着(例えば、気相中のCH3ラジカルに基づくメチル化)を結果的に生じさせることができる。望ましい有機ラジカル前駆体(例えば、CH3ラジカル)は、損傷を受けたlow-k誘電体材料を復元(例えば、k値を復元)するために、低温(例えば、300℃未満)で、Si-OH結合をSi-C(例えば、Si-CH3)結合へと置換することができる。
【0019】
望ましい有機ラジカル前駆体(例えば、CH3ラジカル)は、例えば、下にあるCu表面に対して悪影響を与えることなく、low-k誘電体材料を復元することができる。望ましい有機ラジカル前駆体(例えば、CH3ラジカル)は、low-k誘電体材料上への炭素層の堆積を低減させることもできる。
【0020】
有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、被加工物に曝すための中性ラジカルの通過を可能にしながら、イオンをフィルタリングすることを含む。例えば、分離グリッドを使用して、プラズマチャンバ内で生成されたイオンをフィルタリングすると共に、中性ラジカルが分離グリッドの孔を通過して処理チャンバに到達して、被加工物に曝されることを可能にすることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、有機ラジカルは、プラズマチャンバ内で1つまたは複数の炭化水素分子を解離させることによって生成され得る。例えば、プラズマは、プラズマチャンバ内で炭化水素前駆体を用いて(例えば、誘導プラズマ源、容量プラズマ源、または他のプラズマ源を使用して)生成されて、処理チャンバ内で、シリコンと炭素とを含有する膜を有する被加工物を処理することができる。プラズマチャンバは、処理チャンバから遠隔にあり得る。分離グリッドアセンブリは、プラズマチャンバを処理チャンバから分離させることができる。分離グリッドアセンブリは、被加工物に対する直接的なプラズマ損傷を低減させるために、イオンフィルタリングを実施することができる。さらに、ラジカルの選択(例えば、CH3ラジカル)は、(例えば、誘導結合プラズマ源にエネルギ供給するためにパルス電力を使用することにより)低減されたプラズマエネルギで実現され得る。ラジカルの選択は、イオンフィルタリング後に追加的なガスを注入する方式によっても実現され得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、炭化水素前駆体は、例えば、BEOL用途において下にあるCu表面との負の相互作用を行う可能性がある元素を回避するように選択され得る。例えば、炭化水素前駆体は、シリコンおよび酸素を回避することができる。炭化水素前駆体は、損傷を受けた誘電体層を通って効果的な拡散が行われるように調整され得、かつ/または多孔質のlow-k誘電体材料の細孔が封止されるように構成され得る。
【0023】
例示的な炭化水素分子は、例えば、非環状アルカンCnH2n+2を含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH4、エタンC2H6、プロパン、またはイソプロパンC3H8などのような非環状アルカンを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、環状アルカンCnH2nを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素前駆体は、シクロペンタンC5H10、シクロヘキサンC6H12、メチルシクロヘキサンC7H14、ジメチルシクロヘキサンC8H16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC9H18などのような環状アルカンを含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、炭化水素前駆体は、エチレンC2H4、プロペンC3H6などのようなアルケンCnH2nを含むことができ、なお、nは、2以上かつ10以下である。
【0026】
いくつかの実施形態では、損傷を受けたlow-k誘電体材料中の望ましくないSi-OH結合を、Si-CH3結合へと置換してk値を復元するために、炭化水素前駆体を他の反応性ガスと組み合わせることができる。例えば、炭化水素前駆体は、水素H2のような反応性ガスと組み合わせられ得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、分離グリッドによって処理チャンバから分離されたプラズマチャンバ内で1つまたは複数の種を生成することを含むことができる。種は、例えば、プロセスガス中でプラズマを誘導することによって生成され得る。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノンなどのような不活性ガスであり得る。不活性ガス中で誘導プラズマ源を使用して生成された誘導プラズマは、1つまたは複数の励起された不活性ガス分子(例えば、励起されたヘリウム原子)を生成することができる。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、水素ガスであり得る。プロセスガス中で誘導プラズマ源を使用して生成された誘導プラズマは、1つまたは複数の水素ラジカルを生成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、望ましいラジカル(例えば、CH3ラジカル)は、プラズマ後の混合物にガスを注入することによって生成され得る。例えば、プラズマ(例えば、H2プラズマ、またはHeプラズマのような不活性ガスプラズマ)は、遠隔のプラズマチャンバ内で生成され得る。混合物は、イオンをフィルタリングするための分離グリッドアセンブリを通過することができる。イオンフィルタリングの後、選択されたラジカル(例えば、CH3ラジカル)を生成するために、フィルタリングされた混合物に炭化水素(例えば、CH4)を注入することができる。
【0029】
有機ラジカルは、他のアプローチを使用して生成され得る。例えば、有機ラジカルは、分子の熱分解(熱による分解)(例えば、アゾメタンCH3-N=N-CH3)を使用して、またはUVアシストによる分子解離(例えば、アセトンCH3COCH3)を使用して生成され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の例示的な実施形態による複数の表面処理プロセスが実施され得る。複数の表面処理プロセスは、シーケンシャルに実施され得る。それぞれの表面処理プロセスは、それぞれ異なる特性を有することができる。例えば、第1の表面処理プロセスでは、損傷を受けたlow-k材料中に効果的に拡散させてk値を復元するために、比較的小さなサイズの炭化水素分子を使用することができる。第2の表面処理プロセスでは、多孔質のlow-k材料の効果的な細孔封止のために、比較的大きなおよび/または環状の炭化水素分子を使用することができる。別の例として、複数の表面処理プロセスの各々に対して、遠隔のプラズマチャンバ内でプラズマを生成するための誘導結合プラズマ源にエネルギ供給するために、それぞれ異なる電力量が使用され得る。別の例として、複数の表面処理プロセスの各々に対して、それぞれ異なる圧力が使用され得る。
【0031】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、「ウェハ」または半導体ウェハを参照しながら説明される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の例示的な態様が、任意の半導体基板または他の適切な基板に関連して使用され得ることを理解するであろう。さらに、数値と併せて「約」という用語が使用される場合には、記載された数値の10パーセント(10%)以内を指すことが意図されている。「ペデスタル」は、被加工物を支持するために使用され得る任意の構造を指す。
【0032】
本開示の1つの例示的な実施形態は、被加工物を処理するための方法に関する。被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料とを含む。当該方法は、シリコンと炭素とを含有する膜材料に対して有機ラジカルベースの表面処理プロセスを実施することを含む。表面処理プロセスは、第1のチャンバ内で1つまたは複数の種を生成することと、1つまたは複数の炭化水素分子を種と混合して、1つまたは複数の有機ラジカルを含む混合物を生成することと、第2のチャンバ内で被加工物上のシリコンと炭素とを含有する層を混合物に曝すこととを含むことができる。いくつかの実施形態では、有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、シリコンと炭素とを含有する膜材料上の少なくとも一部におけるメチル化を結果的に生じさせることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、酸素を含む。いくつかの実施形態では、膜材料は、約1%~約50%の多孔度を有する。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、窒素を含む。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、基板工程用途において形成されるスペーサ構造の少なくとも一部として使用される。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、配線工程用途において形成される相互接続構造の少なくとも一部として使用される。
【0034】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の炭化水素分子は、CnH2n+2の化学式を有し、なお、nは、1以上かつ10以下である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の炭化水素分子は、CnH2nの化学式を有し、なお、nは、2以上かつ10以下である。
【0035】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の炭化水素分子は、第1のチャンバ内で種と混合される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の炭化水素分子は、第1のチャンバ内で種と混合される。
【0036】
いくつかの実施形態では、本方法は、表面処理プロセスを実施した後、第1のチャンバ内でプラズマを生成することと、第2のチャンバから被加工物を取り外すこととを含む。いくつかの実施形態では、表面処理プロセスを実施した後、第1のチャンバ内でプラズマを生成することは、1つまたは複数の酸素ラジカルを生成することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のチャンバ内のプラズマから生成された1つまたは複数のラジカルを使用して、乾式ストリッププロセスを実施することを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の種は、誘導結合プラズマ源を使用して、第1のチャンバ内のプロセスガスからのプラズマ中で生成される。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、ヘリウムのような不活性ガスである。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、水素ガスを含み、種は、水素ラジカルを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、種は、加熱されたフィラメントを使用して生成された1つまたは複数の水素ラジカルを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の有機ラジカルは、分子の熱分解を使用して、またはUVアシストによる分子解離を使用して生成される。
【0039】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のチャンバを第2のチャンバから分離する分離グリッドを使用して、プラズマによって生成された1つまたは複数のイオンをフィルタリングして、フィルタリングされた混合物を生成することを含む。
【0040】
本開示の別の例示的な実施形態は、被加工物を処理するための方法に関する。被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料を含む。本方法は、有機ラジカルベースの表面処理プロセスによって被加工物を処理することを含む。表面処理プロセスは、プラズマ処理装置のプラズマチャンバ内で生成されたプラズマを使用して、プロセスガスから1つまたは複数の種を生成することと、1つまたは複数の炭化水素分子を種と混合して、混合物を生成することと、プラズマチャンバから分離されている処理チャンバ内で被加工物を混合物に曝すこととを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、プロセスガスは、ヘリウムのような不活性ガスである。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、水素を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本方法は、有機ラジカルを用いた第2の表面処理プロセスによって被加工物を処理することを含む。第2の表面処理プロセスは、プラズマ処理装置のプラズマチャンバ内で生成されたプラズマを使用して、プロセスガスから1つまたは複数の種を生成することと、1つまたは複数の炭化水素分子を種と混合して、混合物を生成することと、プラズマチャンバから分離されている処理チャンバ内で被加工物を混合物に曝すこととを含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第2の表面処理プロセスの1つまたは複数の炭化水素分子は、前述の表面処理プロセスの1つまたは複数の炭化水素分子とは異なる。いくつかの実施形態では、第2の表面処理プロセスのプラズマは、前述の表面処理プロセスにおいて誘導結合プラズマ源に供給される電力とは異なる電力を使用して生成される。いくつかの実施形態では、第2の表面処理プロセスは、前述の表面処理プロセスとは異なる圧力または異なる温度で実施される。
【0044】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、表面処理プロセスを実施するために使用され得る例示的なプラズマ処理装置100を示す。図示のように、プラズマ処理装置100は、処理チャンバ110と、処理チャンバ110から分離されたプラズマチャンバ120とを含む。処理チャンバ110は、基板ホルダまたはペデスタル112を含み、この基板ホルダまたはペデスタル112は、半導体ウェハのような処理されるべき被加工物114を保持するように動作可能である。この例示的な図では、プラズマは、誘導結合プラズマ源135によってプラズマチャンバ120(すなわち、プラズマ生成領域)内で生成され、望ましい種は、プラズマチャンバ120から分離グリッドアセンブリ200を通って被加工物114の表面へと送られる。
【0045】
プラズマチャンバ120は、誘電体側壁122と、天井124とを含む。誘電体側壁122と、天井124と、分離グリッドアセンブリ200とが、プラズマチャンバ室内125を画定する。誘電体側壁122は、石英および/またはアルミナのような誘電体材料から形成され得る。誘導結合プラズマ源135は、誘導コイル130を含むことができ、この誘導コイル130は、プラズマチャンバ120の周りの誘電体側壁122に隣接して配置されている。誘導コイル130は、適切なマッチングネットワーク132を介してRF電力発生器134に結合されている。反応体および/またはキャリアガスは、ガス供給部150および環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構からチャンバ室内に供給され得る。RF電力発生器134からのRF電力によって誘導コイル130にエネルギ供給されると、プラズマチャンバ120内でプラズマが生成され得る。特定の実施形態では、プラズマ処理装置100は、誘導コイル130とプラズマとの容量結合を低減させるために、オプションのファラデーシールド128を含むことができる。
【0046】
図3に示されるように、分離グリッドアセンブリ200は、プラズマチャンバ120を処理チャンバ110から分離する。分離グリッドアセンブリ200を使用して、プラズマチャンバ120内のプラズマによって生成された混合物からイオンフィルタリングを実施して、フィルタリングされた混合物を生成することができる。フィルタリングされた混合物は、処理チャンバ110内の被加工物114に曝され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、分離グリッドアセンブリ200は、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。例えば、分離グリッドアセンブリ200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含むことができ、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、相互に平行な関係で離間されている。第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレートとは、所定の距離だけ分離され得る。
【0048】
第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子は、分離グリッド200のそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。孔の寸法と、それぞれのグリッドプレート210および220の厚さとは、荷電種および中性種の両方の透過性に対して影響を与えることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210は、金属(例えば、アルミニウム)または他の導電性材料から形成され得、かつ/または第2のグリッドプレート220は、導電性材料または誘電性材料(例えば、石英、セラミックなど)から形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のグリッドプレート210および/または第2のグリッドプレート220は、シリコンまたは炭化シリコンのような他の材料から形成され得る。グリッドプレートが金属または他の導電性材料から形成されている場合には、グリッドプレートは、接地され得る。
【0050】
図4は、本開示の例示的な態様による、半導体デバイスを製造するための1つの例示的な方法(300)のフローチャートを示す。方法(300)は、例として、
図3のプラズマ処理装置100を参照しながら説明される。方法(300)は、処理チャンバから分離されたプラズマチャンバを有する任意のプラズマ処理装置において実施され得る。
図4は、例示および説明の目的で、特定の順序で実施されるステップを示す。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される任意の方法の種々のステップが、種々のやり方で省略、拡張、同時実施、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のステップ(図示せず)が実施され得る。
【0051】
(302)において、本方法は、本開示の例示的な実施形態による表面処理プロセスを実施するためのプラズマ処理装置を調整することを含むことができる。例えば、本方法は、表面処理プロセスを実施するために、プラズマチャンバ120および/または処理チャンバ110を調整することを含むことができる。いくつかの実施形態では、プラズマ処理装置100を調整することは、被加工物を処理チャンバ110に導入する前に、プラズマチャンバ120内で酸素ベースのプラズマを生成することを含むことができる。本開示の範囲から逸脱することなく、プラズマ処理装置を調整するために、他の酸化ベースの化学プロセスが実施され得る。
【0052】
(304)において、本方法は、プラズマ処理装置の処理チャンバ内に被加工物を配置することを含むことができる。処理チャンバは、プラズマチャンバから分離され得る(例えば、分離グリッドアセンブリによって分離され得る)。例えば、本方法は、処理チャンバ110内のペデスタル112上に被加工物114を配置することを含むことができる。
【0053】
被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料のような、low-k誘電体材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、窒素を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、約1%~約50%の範囲の多孔度を有することができる。
【0054】
一例では、膜材料は、FEOL用途におけるスペーサ構造の一部であり得る。例えば、膜材料は、
図1に示される膜57であり得る。別の例では、膜材料は、BEOL用途における相互接続構造の一部であり得る。例えば、膜材料は、
図2に示される層64であり得る。
【0055】
図4を参照すると、本方法は、本開示の例示的な態様による表面処理プロセス(306)を実施することを含むことができる。損傷を受けたlow-k誘電体材料(例えば、先行するエッチングプロセスによって損傷を受けたlow-k誘電体材料)を復元するために、被加工物に対して表面処理プロセスを実施することができる。表面処理プロセスは、多孔質のlow-k誘電体材料のための細孔封止を実現することができる。例示的な表面処理プロセスは、
図5および6を参照しながらより詳細に説明される。表面処理プロセスは、有機ラジカルベースの表面処理プロセスであり得る。有機ラジカルベースの表面処理プロセスは、low-k誘電体材料の表面の少なくとも一部のメチル化を結果的に生じさせるメチルラジカル(CH
3)ベースのプロセスであり得る。
【0056】
図4の(308)において、本方法は、処理チャンバから被加工物を取り外すことを含むことができる。例えば、処理チャンバ110内のペデスタル112から被加工物114を取り外すことができる。次に、プラズマ処理装置は、追加的な被加工物の将来の処理のために調整され得る。
【0057】
図5は、本開示の例示的な態様による、例示的な表面処理プロセス(400)のフローチャートを示す。方法(400)は、例として、
図3のプラズマ処理装置100を参照しながら説明される。プロセス(400)は、処理チャンバから分離されたプラズマチャンバを有する任意のプラズマ処理装置において実施され得る。
図5は、例示および説明の目的で、特定の順序で実施されるステップを示す。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される任意の方法の種々のステップが、種々のやり方で省略、拡張、同時実施、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のステップ(図示せず)が実施され得る。
【0058】
(402)において、表面処理プロセスは、被加工物を加熱することを含むことができる。例えば、被加工物114は、処理チャンバ110内でプロセス温度まで加熱され得る。被加工物114は、例えば、ペデスタル112に関連する1つまたは複数の加熱システムを使用して加熱され得る。いくつかの実施形態では、被加工物は、約20℃~約400℃の範囲のプロセス温度まで加熱され得る。
【0059】
(404)において、表面処理プロセスは、プロセスガスをプラズマチャンバに入れることを含むことができる。例えば、プロセスガスは、ガス源150から環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構を介してプラズマチャンバ室内125に入れられ得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、プロセスガスは、1つまたは複数の炭化水素分子を含むことができる。例示的な炭化水素分子は、例えば、非環状アルカンCnH2n+2を含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH4、エタンC2H6、プロパン、またはイソプロパンC3H8などを含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、環状アルカンCnH2nを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素前駆体は、シクロペンタンC5H10、シクロヘキサンC6H12、メチルシクロヘキサンC7H14、ジメチルシクロヘキサンC8H16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC9H18などのような環状アルカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化水素前駆体は、エチレンC2H4、プロペンC3H6などのようなアルケンCnH2nを含むことができ、なお、nは、2以上かつ10以下である。
【0062】
(406)において、表面処理プロセスは、水素ガス(H2)のような反応性ガスのような第2のガスをプラズマチャンバに入れることを含む(例えば、オプションで含む)ことができる。例えば、第2のガスは、プロセスガスの一部としてプラズマチャンバに入れられ得る。プロセスガスは、H2と窒素(N2)とを含む混合物、および/またはH2とヘリウム(He)とを含む混合物、および/またはH2とアルゴン(Ar)とを含む混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、またはキセノンのような不活性ガスである。プラズマ中のプロセスガスと第2のガスとの混合物から生成されるラジカルは、損傷を受けたlow-k誘電体材料におけるSi-OH結合の、Si-C(例えば、Si-CH3)結合への置換を支援して、k値を復元することができる。
【0063】
(408)において、表面処理プロセスは、プラズマチャンバ内でプラズマを生成するために、誘導結合プラズマ源にエネルギ供給することを含むことができる。例えば、誘導コイル130は、プラズマチャンバ室内125でプラズマを生成するために、RF電力発生器134からのRFエネルギによってエネルギ供給され得る。いくつかの実施形態では、誘導結合プラズマ源は、低減されたプラズマエネルギを有する望ましいラジカルを得るために、パルス電力によってエネルギ供給され得る。
【0064】
(410)において、表面処理プロセスは、プラズマを使用して、プラズマチャンバ室内で混合物中の1つまたは複数の炭化水素分子を解離させることを含むことができる。例えば、誘導結合プラズマ源135を使用してプラズマチャンバ室内125で誘導されたプラズマは、プロセスガス中の炭化水素分子と他の分子とを解離させて、ラジカルおよびイオンを生成することができる。例えば、1つまたは複数の炭化水素分子は、プラズマ中で解離されて、CH3ラジカルを生成することができる。
【0065】
(412)において、表面処理プロセスは、混合物中のプラズマによって生成された1つまたは複数のイオンをフィルタリングして、フィルタリングされた混合物を生成することを含むことができる。フィルタリングされた混合物は、CH3ラジカルのような、炭化水素分子の解離によって生成されたラジカルを含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のイオンは、被加工物が配置されている処理チャンバからプラズマチャンバを分離する分離グリッドアセンブリを使用してフィルタリングされ得る。例えば、分離グリッドアセンブリ200は、プラズマによって生成されたイオンをフィルタリングするために使用され得る。
【0067】
分離グリッドアセンブリ200は、複数の孔を有することができる。荷電粒子(例えば、イオン)は、複数の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性粒子(例えば、CH3ラジカルのようなラジカル)は、孔を通過することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、分離グリッドアセンブリ200は、約90%以上の、例えば約95%以上の効率でイオンをフィルタリングするように構成され得る。イオンフィルタリングに関するパーセント効率は、混合物中のイオンの総数に対する、混合物から除去されたイオンの量を指す。例えば、約90%の効率は、イオンの約90%がフィルタリング中に除去されることを示す。約95%の効率は、イオンの約95%がフィルタリング中に除去されることを示す。
【0069】
いくつかの実施形態では、分離グリッドアセンブリは、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。マルチプレート式の分離グリッドは、複数の平行な分離グリッドプレートを有することができる。グリッドプレートにおける孔の配置および配列は、イオンフィルタリングに関する望ましい効率、例えば約95%以上の効率を提供するように選択され得る。
【0070】
例えば、分離グリッドアセンブリ200は、相互に平行な関係の、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を有することができる。第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。
【0071】
図5の(414)において、表面処理プロセスは、被加工物を、フィルタリングされた混合物に曝すことを含むことができる。より具体的には、被加工物は、プラズマ中で生成されて分離グリッドアセンブリを通過したラジカル(例えば、CH
3ラジカル)に曝され得る。一例として、ラジカル(例えば、CH
3ラジカル)は、分離グリッドアセンブリ200を通過することができ、被加工物114上に曝され得る。いくつかの実施形態では、被加工物を有機ラジカルに曝すことよって、low-k誘電体材料上の少なくとも一部における有機ラジカルの付着を結果的に生じさせることができる。
【0072】
上述したように、ラジカル(例えば、CH3ラジカル)は、low-k材料のk値の復元を提供することができる。例えば、ラジカルを使用して、損傷を受けたlow-k誘電体材料におけるSi-OH結合をSi-CH3結合へと置換することができ、これによってk値の復元がもたらされる。さらに、ラジカルは、多孔質のlow-k材料の細孔封止を提供することができる。さらに、CH3ラジカルは、他の材料(例えば、BEOL相互接続構造60の露出した下にあるCu層67)に対して悪影響を与えない。
【0073】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、例示的な表面処理プロセス(500)のフローチャートを示す。プロセス(500)は、例として、
図3のプラズマ処理装置100を参照しながら説明される。プロセス(500)は、処理チャンバから遠隔にあるプラズマチャンバを有する任意のプラズマ処理装置において実施され得る。
図6は、例示および説明の目的で、特定の順序で実施されるステップを示す。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される任意の方法の種々のステップが、種々のやり方で省略、拡張、同時実施、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のステップ(図示せず)が実施され得る。
【0074】
(502)において、表面処理プロセスは、被加工物を加熱することを含むことができる。例えば、被加工物114は、処理チャンバ内でプロセス温度まで加熱され得る。被加工物114は、例えば、ペデスタル112に関連する1つまたは複数の加熱システムを使用して加熱され得る。いくつかの実施形態では、被加工物は、約50℃~約400℃の範囲の温度まで加熱され得る。
【0075】
(504)において、表面処理プロセスは、プロセスガス混合物をプラズマチャンバに入れることを含むことができる。例えば、プロセスガスは、ガス源150から環型ガス分配チャネル151または他の適切なガス導入機構を介してプラズマチャンバ室内125に入れられ得る。いくつかの実施形態では、プロセスガスは、水素ガス(H2)のような反応性ガスを含むことができる。プロセスガスは、N2、Ar、および/またはHeのようなキャリアガスを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスガスは、H2とN2とを含む混合物であり得る。いくつかの他の実施形態では、プロセスガスは、H2とHeとを含む混合物であり得る。さらにいくつかの他の実施形態では、プロセスガスは、H2とArとを含む混合物であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、プロセスガスは、不活性ガスであり得る。例えば、プロセスガスは、反応性ガスを含まない不活性ガスであり得る。特定の実施形態では、プロセスガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノン、または他の不活性ガスであり得る。
【0077】
(506)において、表面処理プロセスは、プラズマチャンバ内でプラズマを生成するために、誘導結合プラズマ源にエネルギ供給することを含むことができる。例えば、誘導コイル130は、プラズマチャンバ室内125でプラズマを生成するために、RF電力発生器134からのRFエネルギによってエネルギ供給され得る。いくつかの実施形態では、誘導結合プラズマ源は、低減されたプラズマエネルギを有する望ましい種を得るために、パルス電力によってエネルギ供給され得る。
【0078】
(508)において、表面処理プロセスは、プラズマガスからのプラズマ中で1つまたは複数の種を生成することを含むことができる。例えば、誘導結合プラズマ源135を使用してプラズマチャンバ室内125で反応性のプロセスガス(例えば、H2)から誘導されたプラズマは、プロセスガス混合物中の分子を解離させて、ラジカル(例えば、Hラジカル)およびイオンを生成することができる。別の例として、誘導結合プラズマ源135を使用してプラズマチャンバ室内125で不活性のプロセスガス(例えば、He)から誘導されたプラズマは、1つまたは複数の励起された不活性ガス分子(例えば、励起されたHe分子)を生成することができる。
【0079】
(510)において、表面処理プロセスは、混合物中のプラズマによって生成された1つまたは複数のイオンをフィルタリングして、フィルタリングされた混合物を生成することを含むことができる。フィルタリングされた混合物は、プロセスガスからのプラズマ中で生成された種を含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のイオンは、被加工物が配置されている処理チャンバからプラズマチャンバを分離する分離グリッドアセンブリを使用してフィルタリングされ得る。例えば、分離グリッドアセンブリ200は、プラズマによって生成されたイオンをフィルタリングするために使用され得る。
【0081】
分離グリッドアセンブリ200は、複数の孔を有することができる。荷電粒子(例えば、イオン)は、複数の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性物質(例えば、ラジカル)は、孔を通過することができる。いくつかの実施形態では、分離グリッドアセンブリ200は、約90%以上の、例えば約95%以上の効率でイオンをフィルタリングするように構成され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、分離グリッドアセンブリは、マルチプレート式の分離グリッドであり得る。マルチプレート式の分離グリッドは、複数の平行な分離グリッドプレートを有することができる。グリッドプレートにおける孔の配置および配列は、イオンフィルタリングに関する望ましい効率、例えば約95%以上の効率を提供するように選択され得る。
【0083】
(512)において、本方法は、フィルタリング後に炭化水素分子を、フィルタリングされた混合物に注入することを含むことができる。炭化水素分子は、フィルタリングされた混合物と反応して、望ましい有機ラジカル(例えば、CH3ラジカル)を生成することができる。
【0084】
例示的な炭化水素分子は、例えば、非環状アルカンCnH2n+2を含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH4、エタンC2H6、プロパン、またはイソプロパンC3H8などを含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、環状アルカンCnH2nを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素前駆体は、シクロペンタンC5H10、シクロヘキサンC6H12、メチルシクロヘキサンC7H14、ジメチルシクロヘキサンC8H16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC9H18などのような環状アルカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化水素前駆体は、エチレンC2H4、プロペンC3H6などのようなアルケンCnH2nを含むことができ、なお、nは、2以上かつ10以下である。
【0086】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、イオンフィルタリング後に炭化水素分子を注入するための例示的な分離グリッドアセンブリ200を示す。より具体的には、分離グリッドアセンブリ200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレートを含み、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレートとは、イオン/UVフィルタリングのために平行な関係で配置されている。
【0087】
第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220は、相互に平行な関係であり得る。第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子(例えば、イオン)は、分離グリッド200のそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種(例えば、ラジカル)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。
【0088】
第2のグリッドプレート220に続いて、フィルタリングされた混合物に炭化水素ガスを入れるために、ガス注入源230が構成され得る。炭化水素ガスの注入から結果的に生じるラジカル(例えば、CH3ラジカル)は、第3のグリッドプレート235を通過して、被加工物に曝され得る。
【0089】
図6の(514)において、表面処理プロセスは、被加工物を、フィルタリングされた混合物に曝すことを含むことができる。より具体的には、被加工物は、炭化水素分子の注入後のラジカル(例えば、CH
3ラジカル)に曝され得る。一例として、ラジカル(例えば、CH
3ラジカル)は、第3のグリッドプレート235(
図7)を通過することができ、被加工物114上に曝され得る。いくつかの実施形態では、被加工物を有機ラジカルに曝すことによって、low-k誘電体材料の少なくとも一部のメチル化を結果的に生じさせることができる。
【0090】
図8は、本開示の例示的な態様による、半導体デバイスを製造するための1つの例示的な方法(600)のフローチャートを示す。方法(600)は、例として、
図3のプラズマ処理装置100を参照しながら説明される。方法(600)は、処理チャンバから遠隔にあるプラズマチャンバを有する任意のプラズマ処理装置において実施され得る。
図8は、例示および説明の目的で、特定の順序で実施されるステップを示す。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される任意の方法の種々のステップが、種々のやり方で省略、拡張、同時実施、再配置、および/または変更され得ることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、種々のステップ(図示せず)が実施され得る。
【0091】
(602)において、本方法は、本開示の例示的な実施形態による表面処理プロセスを実施するためのプラズマ処理装置を調整することを含むことができる。例えば、本方法は、表面処理プロセスを実施するために、プラズマチャンバ120および/または処理チャンバ110を調整することを含むことができる。いくつかの実施形態では、プラズマ処理装置100を調整することは、被加工物を処理チャンバ110に導入する前に、プラズマチャンバ120内で酸素ベースのプラズマを生成することを含むことができる。本開示の範囲から逸脱することなく、プラズマ処理装置を調整するために、他の酸化ベースの化学プロセスが実施され得る。
【0092】
(604)において、本方法は、プラズマ処理装置の処理チャンバ内に被加工物を配置することを含むことができる。処理チャンバは、プラズマチャンバから分離され得る(例えば、分離グリッドアセンブリによって分離され得る)。例えば、本方法は、処理チャンバ110内のペデスタル112上に被加工物114を配置することを含むことができる。
【0093】
被加工物は、シリコンと炭素とを含有する膜材料のような、low-k誘電体材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、酸素を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、窒素を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンと炭素とを含有する膜材料は、約1%~約50%の範囲の多孔度を有することができる。
【0094】
一例では、膜材料は、FEOL用途におけるスペーサ構造の一部であり得る。例えば、膜材料は、
図1に示される膜57であり得る。別の例では、膜材料は、BEOL用途における相互接続構造の一部であり得る。例えば、膜材料は、
図2に示される層64であり得る。
【0095】
図8を参照すると、本方法は、本開示の例示的な態様による表面処理プロセス(606)を実施することを含むことができる。損傷を受けたlow-k誘電体材料(例えば、先行するエッチングプロセスによって損傷を受けたlow-k誘電体材料)を復元するために、被加工物に対して表面処理プロセスを実施することができる。表面処理プロセスは、多孔質のlow-k誘電体材料のための細孔封止を実現することができる。例示的な表面処理プロセスは、
図5および6を参照しながらより詳細に説明される。
【0096】
図8の(608)において、本方法は、本開示の例示的な態様による1つまたは複数の追加的な表面処理プロセスを実施することを含むことができる。損傷を受けたlow-k誘電体材料(例えば、先行するエッチングプロセスによって損傷を受けたlow-k誘電体材料)を復元するために、被加工物に対して1つまたは複数の追加的な表面処理プロセスを実施することができる。1つまたは複数の追加的な表面処理プロセスは、多孔質のlow-k誘電体材料のための細孔封止を実現することができる。例示的な表面処理プロセスは、
図5および6を参照しながらより詳細に説明される。
【0097】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加的な表面処理プロセスは、先行して実施された表面処理プロセスとは異なるプロセス特性を有することができる。例えば、第1の表面処理プロセスでは、損傷を受けたlow-k材料中に効果的に拡散させてk値を復元するために、比較的小さなサイズの炭化水素分子を使用することができる。第2の表面処理プロセスでは、多孔質のlow-k材料の効果的な細孔封止のために、比較的大きなおよび/または環状の炭化水素分子を使用することができる。別の例として、複数の表面処理プロセスの各々に対して、遠隔のプラズマチャンバ内でプラズマを生成するための誘導結合プラズマ源にエネルギ供給するために、それぞれ異なる電力量が使用され得る。別の例として、複数の表面処理プロセスの各々に対して、それぞれ異なる圧力が使用され得る。
【0098】
図8の(610)において、本方法は、処理チャンバから被加工物を取り外すことを含むことができる。例えば、処理チャンバ110内のペデスタル112から被加工物114を取り外すことができる。次に、プラズマ処理装置は、追加的な被加工物の将来の処理のために調整され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、有機ラジカルは、異なる水素ラジカル源を使用して生成され得る。例えば、
図9に示されるように、水素ガスH
2は、加熱されたフィラメント(例えば、タングステンフィラメント)を通過して、第1のチャンバ内で水素ラジカルを生成することができる。水素ラジカルは、分離グリッド200を通過することができる。
【0100】
分離グリッド200は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220を含み、第1のグリッドプレート210と第2のグリッドプレート220とは、平行な関係で配置されている。第1のグリッドプレート210は、複数の孔を有する第1のグリッドパターンを有することができる。第2のグリッドプレート220は、複数の孔を有する第2のグリッドパターンを有することができる。第1のグリッドパターンは、第2のグリッドパターンと同じでもよいし、または異なっていてもよい。荷電粒子(例えば、イオン)は、分離グリッド200のそれぞれのグリッドプレート210,220の孔を通って荷電粒子の経路上の壁で再結合することができる。中性種(例えば、Hラジカル)は、第1のグリッドプレート210および第2のグリッドプレート220の孔を通って比較的自由に流れることができる。
【0101】
第1のグリッドプレート210に続いて、フィルタリングされた混合物に炭化水素ガスを入れるために、ガス注入源230が構成され得る。炭化水素ガスの注入から結果的に生じるラジカル(例えば、CH3ラジカル)264は、第2のグリッドプレート220を通過して、被加工物に曝され得る。
【0102】
炭化水素ガスは、1つまたは複数の炭化水素分子を含むことができる。例示的な炭化水素分子は、例えば、非環状アルカンCnH2n+2を含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、メタンCH4、エタンC2H6、プロパン、またはイソプロパンC3H8などのような非環状アルカンを含むことができる。炭化水素分子は、環状アルカンCnH2nを含むことができ、なお、nは、5以上かつ10以下である。例えば、炭化水素分子は、シクロペンタンC5H10、シクロヘキサンC6H12、メチルシクロヘキサンC7H14、ジメチルシクロヘキサンC8H16、1,3,5-トリメチルシクロヘキサンC9H18などのような環状アルカンを含むことができる。いくつかの実施形態では、炭化水素分子は、エチレンC2H4、プロペンC3H6などのようなアルケンCnH2nを含むことができ、なお、nは、1以上かつ10以下である。
【0103】
本例は、例示の目的で、2つのグリッドプレートを有する分離グリッドを参照しながら説明される。本明細書で提供される開示を使用する当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、より多いまたはより少ないグリッドプレートが使用され得ることを理解するであろう。
【0104】
有機ラジカル(例えば、CH3ラジカル)は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のアプローチを使用して生成され得る。一例として、有機ラジカル(例えば、CH3ラジカル)は、分子の熱分解(熱による分解)(例えば、アゾメタンCH3-N=N-CH3)を使用して生成され得る。別の例として、有機ラジカルは、UVアシストによる分子解離(例えば、アセトンCH3COCH3)を使用して生成され得る。
【0105】
本主題を、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明してきたが、当業者は、前述したことを理解すれば、そのような実施形態の代替形態、変形形態、および等価形態を容易に生成し得ることが理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例としてのものであり、本主題の開示は、当業者には容易に明らかであるように、本主題に対するそのような修正、変形、および/または追加を包含することを排除するものではない。