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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】タンタル粉末およびそれに関する調製法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20220101AFI20220104BHJP
   B22F 9/20 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B22F1/00 R
B22F9/20 G
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020535612
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2017119324
(87)【国際公開番号】W WO2019127200
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】507313113
【氏名又は名称】ニンシア オリエント タンタル インダストリー カンパニー、 リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】マー,ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】リー,フイ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,グオチン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,チュンシア
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シュエチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チーダオ
(72)【発明者】
【氏名】リン,フークン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,グオチ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ニン
(72)【発明者】
【氏名】マー,インフイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤンジエ
(72)【発明者】
【氏名】リー,リウジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ホンガン
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-510260(JP,A)
【文献】特開2014-058712(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0183042(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1247575(CN,A)
【文献】特開昭60-149706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F1/00,9/20,9/24
C22C27/02
H01G9/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンタル粉末を調製するための方法であって、以下の工程:
1)フッ化タンタル塩を融解した希釈剤中で還元剤で還元して原料タンタル粉末を得て、前記の原料タンタル粉末が、30~300ppmの量のホウ素を含有し、5~13m/gの比表面積を有し;
2)前記のタンタル粉末を造粒して予備凝集粉末を得て、該予備凝集粉末が、1~1.5g/cmの嵩密度を有し、
ここで工程2)における造粒が、該原料タンタル粉末を水と混合して水と混合された粉末を得て、水と混合された粉末を乾燥させて乾燥粉末を得て、該乾燥粉末に対して粉砕およびふるい分け処理を施すことを含み、該ふるい分けのためのふるいが、120~170メッシュのメッシュ数を有し、該ふるいを通過する粉末が、予備凝集粉末であり;
3)前記の予備凝集粉末に対して以下の工程:熱処理、ふるい分け、酸素還元処理および窒素ドーピングの1以上を逐次的に施し;
4)前の工程で得られた粉末に対して以下の工程:酸洗浄、水洗、乾燥およびふるい分けの1以上を逐次的に施してタンタル粉末生成物を得る;
を含み、
前記のタンタル粉末生成物が、10000~31000ppmの酸素含有量を有し、2000~3300の窒素含有量を有し、10~50ppmのカリウム含有量を有し、20~150ppmのホウ素含有量を有し、200~400ppmのリン含有量を有し、
前記のタンタル粉末生成物が、5~12m/gの比表面積を有し、タンタル粉末生成物の比表面積に対するタンタル粉末生成物のホウ素含有量の比は、4~13であり、ホウ素含有量は、重量によるppmの単位で測定され、比表面積は、m/gの単位で測定され、
タンタル粉末生成物の総重量の85%より多くが、ρメッシュを通過することができ、ρ=150~170である方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
該原料タンタル粉末が、0.8α’~1.2α’ppmの酸素含有量を有し;α’ = -68.5x’ + 2197.3x’ - 18616.4x’ + 62307.8であり、x’が、m/gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積であり、
該原料タンタル粉末が、0.8β’~1.2β’ppmの窒素含有量を有し;β’ = 98.1x’ - 388.8であり、x’が、m/gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積であり、
前記の原料タンタル粉末が、0.8γ’~1.2γ’ppmのホウ素含有量を有し;γ’ = 0.28x’ - 4.72x’ + 35.11x’ - 42.02であり、x’が、m/gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積であり、
前記の原料タンタル粉末が、0.8ε’~1.2ε’ppmのカリウム含有量を有し;ε’ = -9.39E-02x + 3.13E+00x - 2.64E+01x + 9.40E+01であり、x’が、m/gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積であり、
前記の原料タンタル粉末が、1~10ppmのナトリウム含有量を有し、
α’、β’、γ’およびε’は、全て正の数である方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、以下:
該原料タンタル粉末が、0.9α’~1.1α’ppmの酸素含有量を有する;
該原料タンタル粉末が、0.9β’~1.1β’ppmの窒素含有量を有する;
前記の原料タンタル粉末が、0.9γ’~1.1γ’ppmのホウ素含有量を有する;
前記の原料タンタル粉末が、0.9ε’~1.1ε’ppmのカリウム含有量を有する;及び
前記の原料タンタル粉末が、3~5ppmのナトリウム含有量を有する、の一以上を満たす方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって:
該原料タンタル粉末が、α’ppmの酸素含有量を有し;
該原料タンタル粉末が、β’ppmの窒素含有量を有し;
前記の原料タンタル粉末が、γ’ppmのホウ素含有量を有し;及び
前記の原料タンタル粉末が、ε’ppmのカリウム含有量を有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
該タンタル粉末生成物が、0.8α~1.2αppmの酸素含有量を有し、α=-26.7x+802.4x-4496.9x + 16038.2であり、
該タンタル粉末生成物が、0.8β~1.2βppmの窒素含有量を有し、β=197.1x + 995.0であり、
該タンタル粉末生成物が、0.8γ~1.2γppmのホウ素含有量を有し、γ=-0.48x+13.95x-108.84x + 277.20であり、
該タンタル粉末生成物の比表面積x(m/g単位)に対するタンタル粉末生成物のホウ素含有量の比が、0.8χ~1.2χであり、χ= -6.11E-02x +1.63E+00x - 1.25E+01x +3.39E + 01であり、
該タンタル粉末生成物が、0.8ε~1.2εppmのカリウム含有量を有し、ε=0.45x-10.48x+79.94x-173.43であり、
該タンタル粉末生成物が、0.8λ~1.2λの窒素含有量に対する酸素含有量の比を有し、λ= 0.62x + 2.04であり、
α、β、γ、ε、λが、全て正の数であり、xが、m/gでのタンタル粉末生成物の比表面積である方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
該タンタル粉末生成物が、0.9α~1.1αppmの酸素含有量を有し;
該タンタル粉末生成物が、0.9β~1.1βppmの窒素含有量を有し;
該タンタル粉末生成物が、0.9γ~1.1γppmのホウ素含有量を有し;
該タンタル粉末生成物の比表面積x(m /g単位)に対するタンタル粉末生成物のホウ素含有量の比が、0.9χ~1.1χであり;
該タンタル粉末生成物が、0.9ε~1.1εppmのカリウム含有量を有し;
該タンタル粉末生成物が、0.9λ~1.1λの窒素含有量に対する酸素含有量の比を有する、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
該タンタル粉末生成物が、αppmの酸素含有量を有し;
該タンタル粉末生成物が、βppmの窒素含有量を有し;
該タンタル粉末生成物が、γppmのホウ素含有量を有し;
該タンタル粉末生成物の比表面積x(m /g単位)に対するタンタル粉末生成物のホウ素含有量の比が、χであり;
該タンタル粉末生成物が、εppmのカリウム含有量を有し;
該タンタル粉末生成物が、λの窒素含有量に対する酸素含有量の比を有する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
該タンタル粉末生成物が、0.8τ~1.2τg/cm 嵩密度を有し、τは、以下のようにタンタル粉末生成物の比表面積x(m/g単位)に数学的に関連し:τ= -6.14E-03x + 2.53E-02x + 1.82E + 00、xは、m/gでのタンタル粉末生成物の比表面積である方法。
【請求項9】
該タンタル粉末生成物が、0.9τ~1.1τg/cm の嵩密度を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該タンタル粉末生成物が、τg/cm の嵩密度を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
該タンタル粉末生成物が、0.8Ψ~1.2ΨのFSSS粒径を有し、Ψは、以下のようにタンタル粉末生成物の比表面積x(m/g単位)に数学的に関連し:Ψ= -2.22E-03x + 4.39E-02x - 2.93E-01x + 1.64E+00、xは、m/gでのタンタル粉末生成物の比表面積である方法。
【請求項12】
該タンタル粉末生成物が、0.9Ψ~1.1ΨのFSSS粒径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該タンタル粉末生成物が、ΨのFSSS粒径を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
該予備凝集粉末は、0.8τ’~1.2τ’の比嵩密度を有し:τ’ = -1.39E-03x’ - 6.30E-03x’ + 1.39E+00、x’は、m/gの単位での原料タンタル粉末の比表面積である方法。
【請求項15】
該予備凝集粉末は、0.9τ’~1.1τ’の比嵩密度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該予備凝集粉末は、τ’の比嵩密度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
該タンタル粉末生成物中の170メッシュを通過できるが400メッシュは通過できない粉末は、該タンタル粉末生成物の総重量の62%~78%を占め、
該タンタル粉末生成物の総重量の8.84%~32.22%が、400メッシュスクリーンを通過できる方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、工程1)において
該希釈剤は、塩化カリウムおよびフッ化カリウムを含み、
該希釈剤において、フッ化カリウムに対する塩化カリウムの重量比は18~24:10~12であり、
該還元剤は、金属ナトリウムを含み、
該還元剤が、フッ化タンタル塩の全てを還元するのに実質的に十分な量で使用され、
フッ化タンタル塩は、フルオロタンタル酸カリウム(KTaF)を含み、
該希釈剤に対する該フッ化タンタル塩の重量比は、2~5:300~400である方法。
【請求項19】
工程1)において、該希釈剤に対する該フッ化タンタル塩の重量比は、2.5~5:300~340である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、工程1)において
該希釈剤は、添加剤KSOも含有し、希釈剤に対するKSOの重量比は、400~600:300000~400000であり、
該希釈剤が、さらにホウ素元素を含み、希釈剤に対する希釈剤中のホウ素の重量比は、1~5:300000~340000である方法。
【請求項21】
工程1)において、該希釈剤が、さらにホウ素元素を含み、希釈剤に対する希釈剤中のホウ素の重量比は、2~3:300000~340000である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
工程1)において、該希釈剤は、添加剤K SO も含有し、希釈剤に対するK SO の重量比は、500~550:300000~340000である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、工程2)において:
造粒が、原料タンタル粉末を水と混合して水と混合された粉末を得て、水と混合された粉末を乾燥させて乾燥粉末を得て、該乾燥粉末に対して粉砕およびふるい分け処理を施すことを含み、該ふるい分けのためのふるいが、120~170メッシュのメッシュ数を有し、該ふるいを通過する粉末が、予備凝集粉末であり、水が、100~1000ppmのリン酸を含有する方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、工程3)において:
該熱処理が、非酸化環境で1000~1500℃の温度で実施され、熱処理は、10~60分間の熱保存時間を有し、
該熱処理および該酸素還元処理の間に、熱処理後に得られた粉末は、粉砕され、80~120メッシュふるいを通してふるいにかけられ、ふるいを通過する粉末が、収集され、
該酸素還元処理が、熱処理後に得られた粉末中にマグネシウム粉末をドープし、次いで加熱する工程を含み、酸素還元処理の間にドープされるマグネシウム粉末の重量は、熱処理後の粉末の重量の4~6重量%であり、酸素還元は、700~800℃の温度で実施され、
酸素還元後、酸素還元された粉末の温度は、300~450℃まで下げられ、次いで窒素ドーピング処理が、実施され、窒素ドーピング処理は、窒素含有雰囲気中で酸素還元粉末を加熱する工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金の分野に関し、特にタンタル粉末及びその調製法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンタル電解コンデンサは、タンタル金属を陽極酸化してコンデンサの表面上で誘電体の役目を果たすタンタル酸化物を形成し、電解質を陰極として使用することにより形成されるコンデンサである。タンタル電解コンデンサは、複数の優秀な性能、例えば高い静電容量、長い運用寿命、高い信頼性、良好な温度および効率特徴、過酷な環境に適応可能であること等を有し、通信設備、コンピューター、自動車用エレクトロニクスおよび国防産業に広く適用されている。自動化、小型化、高速処理および低消費電力に向けた電子組立技術の発展により、タンタルコンデンサの品質に対するより高い要求が、前面に押し出されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一側面は、タンタル粉末を提供し、ここで、タンタル粉末は、ホウ素元素を含有し、タンタル粉末は、4m/g以上の比表面積を有し;
タンタル粉末の比表面積に対するタンタル粉末のホウ素含有量の比は、2~16であり、ホウ素含有量は、重量によるppmの単位で測定され、比表面積は、m/gの単位で測定され;
タンタル粉末の総重量の85%より多くが、ρメッシュを通過することができ、ρ=150~170である。
【0004】
一態様において、タンタル粉末は、4~20m/g、例えば5~15m/g、例えば5~12m/g、例えば6、7、8、9、10、11m/gの比表面積を有する。
一態様において、タンタル粉末の総重量の88%より多く、例えば90%以上、例えば95%以上が、ρメッシュを通過できる。
【0005】
一態様において、ρ=150、160または170である。
一態様において、タンタル粉末の比表面積に対するタンタル粉末のホウ素含有量の比は、2~16、例えば3~15、例えば4~14、例えば5、6、7、8、9、10、11、12または13である。
【0006】
一態様において、タンタル粉末は、酸素元素および窒素元素を含有し、タンタル粉末の窒素含有量に対するタンタル粉末の酸素含有量の比は、2~16、好ましくは2~12、好ましくは2~10、好ましくは2~8である。
【0007】
一態様において、タンタル粉末は、0.4~2.0μm、好ましくは0.4~1.6μm、より好ましくは0.6~1.2μm、例えば0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μm、1.0μmのFSSS粒径を有する。
【0008】
一態様において、タンタル粉末は、0.8~2.0g/cm、好ましくは0.8~1.8g/cm、好ましくは0.8~1.6g/cmの嵩密度を有する。
一態様において、タンタル粉末の実質的に全てが、100メッシュスクリーンを通過できる。例えば、タンタル粉末の98重量%より多くが、100メッシュスクリーンを通過でき、例えば99重量%より多くが、100メッシュスクリーンを通過でき、例えば100重量%より多くが、100メッシュスクリーンを通過できる。
【0009】
一態様において、タンタル粉末において、タンタル粉末の総重量の3%~15%、例えば4.85%~13.68%、例えば5.46%~7.22%は、170メッシュスクリーンを通過できない。
【0010】
一態様において、タンタル粉末中の170メッシュを通過できるが400メッシュは通過できない粉末は、タンタル粉末の総重量の60%~80%、例えば62%~78%、例えば66%~74%を占める。
【0011】
一態様において、タンタル粉末の総重量の40%未満、例えば35%未満、例えば30%未満、例えば25%未満、例えば20%未満、例えば15%未満、例えば10%未満、例えば5~40%、例えば8.84~32.22%、例えば19.68~28.46%が、400メッシュスクリーンを通過できる。
【0012】
一態様において、170メッシュを通過できない粉末は、タンタル粉末の総重量の0.8η~1.2η、例えば0.9η~1.1η、例えばηを占め;η= -4.55E-02x + 1.39E + 00x -1.45E +01x +5.70E +01であり、式中、xは、m/gでのタンタル粉末の比表面積である。
【0013】
一態様において、タンタル粉末中の170メッシュを通過できるが400メッシュは通過できない粉末は、タンタル粉末の総重量の0.8ζ~1.2ζ、例えば0.9ζ~1.1ζ、例えばζを占め;ζ= -0.11x - 0.40x + 82.33であり、式中、xは、m/gでのタンタル粉末の比表面積である。
【0014】
一態様において、タンタル粉末中の400メッシュを通過できる粉末は、タンタル粉末の総重量の0.8θ~1.2θ、例えば0.9θ~1.1θ、例えばθを占め;θ= -0.15x + 6.01x - 17.44であり、式中、xは、m/gでのタンタル粉末の比表面積である。
【0015】
一態様において、タンタル粉末は、0.8τ~1.2τg/cm、例えば0.9τ~1.1τg/cm、例えばτg/cmの嵩密度を有し、τは、以下のようにタンタル粉末の比表面積x(m/g単位)に数学的に関連し:τ= -6.14E-03x + 2.53E-02x + 1.82E + 00、xは、m/gでのタンタル粉末の比表面積である。
【0016】
一態様において、タンタル粉末は、0.8Ψ~1.2Ψ、例えば、0.9Ψ~1.1Ψ、例えばΨのFSSS粒径を有し、Ψは、以下のようにタンタル粉末の比表面積x(m/g単位)に数学的に関連し:Ψ= -2.22E-03x + 4.39E-02x - 2.93E-01x + 1.64E+00、xは、m/gでのタンタル粉末の比表面積である。
【0017】
一態様において、タンタル粉末は、5000~50000ppm、例えば10000~40000ppm、例えば10000~31000ppm、例えば16500~25700ppmの酸素含有量を有する。
【0018】
一態様において、タンタル粉末は、1000~5000ppm、例えば2000~4000ppm、例えば2400~3300ppm、例えば3000~3300ppmの窒素含有量を有する。
【0019】
一態様において、タンタル粉末は、10~50ppm、例えば20~40ppm、例えば28~34ppmのカリウム含有量を有する。
一態様において、タンタル粉末は、20~200ppm、例えば20~150ppm、例えば20~120ppm、例えば40~120ppmのホウ素含有量を有する。
【0020】
一態様において、タンタル粉末は、100~600ppm、例えば200~400ppmのリン含有量を有する。
一態様において、タンタル粉末は、0.8α~1.2αppm(例えば0.9α~1.1αppm、例えばαppm)の酸素含有量を有し、α=-26.7x+802.4x-4496.9x + 16038.2である。
【0021】
一態様において、タンタル粉末は、0.8β~1.2βppm(例えば0.9β~1.1βppm、例えばβppm)の窒素含有量を有し、β=197.1x + 995.0である。
【0022】
一態様において、タンタル粉末は、0.8γ~1.2γppm(例えば0.9γ~1.1γppm、例えばγppm)のホウ素含有量を有し、γ=-0.48x+13.95x-108.84x + 277.20である。
【0023】
一態様において、タンタル粉末の比表面積x(m/g単位)に対するタンタル粉末のホウ素含有量の比は、0.8χ~1.2χ、例えば0.9χ~1.1χ、例えばχであり、χ= -6.11E-02x +1.63E+00x - 1.25E+01x +3.39E + 01である。
【0024】
一態様において、タンタル粉末は、0.8ε~1.2εppm(例えば0.9ε~1.1εppm、例えばεppm)のカリウム含有量を有し、ε=0.45x-10.48x+79.94x-173.43である。
【0025】
一態様において、タンタル粉末は、0.8λ~1.2λ(例えば0.9λ~1.1λ、例えばλ)の窒素含有量に対する酸素含有量の比を有し、λ= 0.62x + 2.04である。
【0026】
一態様において、α、β、γ、ε、λは、全て正の数である。
一態様において、xは、m/gでのタンタル粉末の比表面積である。
一態様において、xは、4~20であり、例えばxは、4~12であり、例えばxは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19である。
【0027】
一態様において、タンタル粉末の比静電容量は、200000μFV/g以上、例えば200000~580000μFV/gである。
一態様において、タンタル粉末(例えば30mgのタンタル粉末)は、5g/cmの圧縮密度で圧縮されてタンタル粉末成形体(例えば2mmの直径を有する円筒状タンタル粉末成形体)になり、次いでタンタル粉末成形体は、タンタル粉末焼結体を得るために1000~1150℃で10~20分間焼結され(好ましくは焼結された後の成形体の収縮は、5~10%の範囲である)、次いでタンタル粉末焼結体は、6~10V(例えば8~10V)で荷電され(例えば0.01重量%リン酸中で荷電され)、200000~580000μFV/g、好ましくは220000~450000μFV/g、好ましくは300000~400000μFV/gの比静電容量を有するタンタル陽極が、得られる。
【0028】
一態様において、タンタル粉末は、5g/cmの圧縮密度で圧縮されてタンタル粉末成形体になり、次いでタンタル粉末成形体は、1000~1150℃で10~20分間焼結されてタンタル粉末焼結体が得られ、次いでタンタル粉末焼結体は、6~10V(例えば8~10V)で荷電され、<9nA/μFV、好ましくは<6nA/μFV、好ましくは<3nA/μFV、好ましくは<2nA/μFV、好ましくは<1nA/μFV、好ましくは<0.5nA/μFVの漏れ電流を有するタンタル陽極が、得られる。
【0029】
一態様において、タンタル粉末は、5g/cmの圧縮密度で圧縮されてタンタル粉末成形体になり、次いでタンタル粉末成形体は、1000~1150℃で10~20分間焼結されてタンタル粉末焼結体が得られ、次いでタンタル粉末焼結体は、6~10V(例えば8~10V)で荷電され、<100%、好ましくは<80%、好ましくは<60%、好ましくは<40%の誘電損(tanδ)を有するタンタル陽極が、得られる。
【0030】
一態様において、タンタル粉末が1100~1150℃で20分間焼結され、10Vで荷電される場合、200000~350000μFV/gの比静電容量を有するタンタル陽極が、得られる。
【0031】
一態様において、タンタル粉末が1100~1150℃で20分間焼結され、10Vで荷電される場合、0.3~0.5nA/μFVの漏れ電流を有するタンタル陽極が、得られる。
【0032】
一態様において、タンタル粉末が1100~1150℃で20分間焼結され、10Vで荷電される場合、30~55%の誘電損(tanδ)を有するタンタル陽極が、得られる。
【0033】
一態様において、タンタル粉末が1100~1150℃で10分間焼結され、8Vで荷電される場合、400000~580000μFV/gの比静電容量を有するタンタル陽極が、得られる。
【0034】
一態様において、タンタル粉末が1100~1150℃で10分間焼結され、8Vで荷電される場合、0.7~2.8nA/μFVの漏れ電流を有するタンタル陽極が、得られる。
【0035】
一態様において、タンタル粉末が1100~1150℃で10分間焼結され、8Vで荷電される場合、55~61%の誘電損(tanδ)を有するタンタル陽極が、得られる。
本開示のさらに別の側面は、本開示のタンタル粉末を圧縮することによって、例えば4~6g/cmの圧縮密度で圧縮することによって得られるタンタル粉末成形体を提供する。
【0036】
本開示のさらに別の側面は、本開示のタンタル粉末成形体の焼結によって得られるタンタル粉末焼結体を提供する。
一態様において、焼結は、タンタル粉末成形体を1000~1200℃で10~20分間焼結することを含む。
【0037】
本開示のさらに別の側面は、タンタル粉末焼結体を荷電することによって得られるタンタル陽極を提供する。
一態様において、荷電は、タンタル粉末焼結体を陽極酸化のための酸溶液中に入れることを含む。
【0038】
一態様において、荷電は、タンタル粉末焼結体を電解質(例えばリン酸、例えば0.01~0.1重量%の濃度を有するリン酸)中に入れることによってタンタル粉末焼結体を陽極酸化することを含む。
【0039】
一態様において、荷電は、タンタル粉末焼結体を6~10V(例えば8~10V)で荷電することを含む。
本開示のさらに別の側面は、本開示のタンタル陽極を含む電解コンデンサを提供する。
【0040】
本開示のさらに別の側面は、以下の工程を含む、タンタル粉末を調製する方法を提供する:
1)原料タンタル粉末を得て、ここで、原料タンタル粉末は、30~300ppmの量のホウ素を含有し、1~20m/gの比表面積を有し;
2)タンタル粉末を造粒して予備凝集(pre-agglomerated)粉末を得て、ここで、予備凝集粉末は、1~1.5g/cmの嵩密度を有し;
3)予備凝集粉末に対して以下の工程:熱処理、ふるい分け、酸素還元処理および窒素ドーピングの1以上を(例えば逐次的に)施し;
4)前の工程で得られた粉末に対して以下の工程:酸洗浄、水洗、乾燥およびふるい分けの1以上を(例えば逐次的に)施してタンタル粉末生成物を得る。
【0041】
一態様において、原料タンタル粉末は、4~20m/g、例えば5~15m/g、例えば5~13m/g、例えば6m/g、7m/g、8m/g、9m/g、10m/g、11m/gまたは12m/gの比表面積を有する。
【0042】
一態様において、工程1)は、フッ化タンタル塩を融解した希釈剤中で還元剤で還元して原料タンタル粉末を得ることを含む。
一態様において、希釈剤は、塩化カリウムおよびフッ化カリウムを含む。
【0043】
一態様において、希釈剤において、KCl:KF = 18~24:10~12(重量比)である。
一態様において、還元剤は、金属ナトリウムを含む。
【0044】
一態様において、還元剤は、フッ化タンタル塩の全てを還元するのに実質的に十分な量で使用される。
一態様において、フッ化タンタル塩は、フルオロタンタル酸カリウム(KTaF)を含む。
【0045】
一態様において、フッ化タンタル塩(例えばKTaF)対希釈剤の質量比は、2~5:300~400、例えば2.5~5:300~340である。
一態様において、希釈剤は、添加剤KSOも含有する。
【0046】
一態様において、KSO対希釈剤の重量比は、400~600:300000~400000、または500~550:300000~340000である。
一態様において、希釈剤は、さらにホウ素元素を含む。
【0047】
一態様において、希釈剤中のホウ素元素対希釈剤の重量比は、1~5:300000~340000、例えば2~3:300000~340000である。
一態様において、希釈剤は、さらにホウ酸を含有し、ホウ酸対希釈剤の重量比は、18~22:300000~400000、例えば20:300000~340000である。
【0048】
一態様において、方法は、さらに還元された生成物に対して以下の工程:粉砕、酸洗浄、水洗、乾燥、およびふるい分けの1以上を施すことを含む。
一態様において、工程2)における造粒は、以下の工程を含む:
原料タンタル粉末を揮発可能な液体と混合して揮発可能な液体と混合された粉末を得て;
揮発可能な液体と混合された粉末を乾燥させ、乾燥粉末を得て;
乾燥粉末を粉砕およびふるい分けし、ここで、ふるい分けに関するふるいのメッシュ数は、120~170メッシュであり、ふるいを通過する粉末は、予備凝集粉末である。
【0049】
一態様において、予備凝集粉末は、0.8τ’~1.2τ’、例えば0.9τ’~1.1τ’、さらに例えばτ’の比嵩密度を有し、ここで、τ’は、以下のように原料タンタル粉末の比表面積x(m/g単位)に数学的に関連する:
τ’ = -1.39E-03x’ - 6.30E-03x’ + 1.39E+00、 R = 0.993。
【0050】
一態様において、揮発可能な液体は、水を含む。
一態様において、工程2)において、原料タンタル粉末は、水と4~6:1(例えば5:1)の重量比で混合される。
【0051】
一態様において、水は、純水またはドーピング元素を含有する水溶液であることができる。
一態様において、工程2)において、水は、リン元素を含有する。
【0052】
一態様において、工程2)において、水は、100~1000ppmのリン酸、例えば300~500ppmのリン酸を含有する。
一態様において、工程2)において、原料タンタル粉末および水が、混合され、次いで均一に撹拌される。
【0053】
一態様において、工程2)において、原料タンタル粉末および水が、撹拌バッフルを備えた水タンク中に添加され、撹拌される。
一態様において、工程2)において、撹拌バッフルは、100~300r/分の速度で回転し、20~50分間の撹拌後、タンタル粉末は、取り出されて含水タンタル粉末を得る。
【0054】
一態様において、工程2)において、乾燥は、80~120℃の温度の下で実施される。
一態様において、工程2)において、揮発可能な液体と混合された粉末は、真空オーブン中で乾燥される。
【0055】
一態様において、工程2)において、乾燥は、10~20時間実施される。
一態様において、工程2)において、予備凝集粉末は、1g/cm、例えば1~2g/cm、例えば1~1.5g/cmより大きい嵩密度を有する。
【0056】
一態様において、工程2)において、乾燥粉末は、振動ふるい分けによって造粒される。
一態様において、工程2)において、乾燥粉末は、回転振動およびふるい分けによって造粒される。
【0057】
一態様において、工程2)において、乾燥粉末は、タンブラー振動およびふるい分けによって造粒される。
一態様において、工程2)において、ふるい分けは、100~200メッシュ(例えば150メッシュ)ふるいを用いて実施される。
【0058】
一態様において、工程3)において、予備凝集粉末は、熱処理、酸素還元処理および窒素ドーピングの工程を逐次的に施される。
一態様において、工程3)において、熱処理は、1000~1500℃、例えば1000~1200℃の温度で実施される。
【0059】
一態様において、工程3)において、熱処理は、10~60分間、例えば10~30分間の熱保存時間を有する。
一態様において、工程3)において、熱処理は、非酸化環境で実施される。
【0060】
一態様において、非酸化環境は、真空環境または不活性ガスおよび/もしくは還元ガスを含有する環境である。
一態様において、還元ガスは、金属酸化物を還元することができるガス、例えばタンタル酸化物を還元することができるガスである。
【0061】
一態様において、工程3)において、熱処理は、真空環境で実施される。
一態様において、熱処理および酸素還元処理の間に、熱処理後に得られた粉末は、粉砕され、80~120メッシュ(例えば100メッシュ)ふるいを通してふるいにかけられ、ふるいを通過する粉末が、収集される。
【0062】
一態様において、工程3)における酸素還元処理は、熱処理後に得られた粉末中にマグネシウム粉末をドープし、次いで加熱する工程を含む。
一態様において、工程3)において、酸素還元処理の間にドープされるマグネシウム粉末の重量は、熱処理後の粉末の重量の4~6重量%である。
【0063】
一態様において、工程3)において、酸素還元は、700~800℃の温度で実施される。
一態様において、工程3)において、酸素還元は、アルゴン雰囲気中で実施される。
【0064】
一態様において、工程3)において、酸素還元後、酸素還元された粉末の温度は、300~450℃まで下げられ、次いで窒素ドーピング処理が、実施される。
一態様において、工程3)において、窒素ドーピング処理は、窒素含有雰囲気中で酸素還元粉末を加熱する工程を含む。
【0065】
一態様において、工程3)において、窒素ドーピング処理は、窒素の0.1~0.12MPaの圧力の下で実施される。
一態様において、酸洗浄は、熱処理、酸素還元処理および/または窒素ドーピング処理後に得られた粉末を、塩酸および過酸化水素を含有する(例えば10重量%の塩酸および0.5重量%の過酸化水素を含有する)溶液中に添加し、撹拌および洗浄することを指す。
【0066】
一態様において、水洗は、酸洗浄後に得られた粉末に脱イオン水を添加し、撹拌し、静置し、次いで液体の上部の層を除去することを指す。上記の操作を1回以上繰り返し、最後に濾過および洗浄のために濾過槽中に粉末を装填し、濾過および洗浄が、流出液の導電率が5μs/cm未満になるまで実施され、洗浄された粉末が、濾過の後に得られる。
【0067】
一態様において、工程4において、乾燥は、真空乾燥を指し、第2の乾燥したタンタル粉末が、乾燥後に得られる。
一態様において、工程4)において、ふるい分けは、80~120メッシュ(例えば100メッシュ)のメッシュ数を有するふるいを用いて実施される。
【0068】
一態様において、製品の電気的特性に実質的に影響を及ぼす本開示において記載された工程以外の工程またはそれらの組み合わせは、開示された方法の工程の間に含まれない。
一態様において、本発明の方法の工程は、逐次的に実施される。
【0069】
一態様において、ふるいを通過する粉末は、ふるい分け後に収集される。
一態様において、原料タンタル粉末の酸素含有量は、0.8α’~1.2α’ppm、例えば0.9α’~1.1α’ppm、例えばα’ppmであり;式中、α’ = -68.5x’ + 2197.3x’ - 18616.4x’ + 62307.8であり、x’は、m/gの単位でのタンタル原料粉末の比表面積である。
【0070】
一態様において、原料タンタル粉末は、0.8β’~1.2β’ppm、例えば0.9β’~1.1β’ppm、例えばβ’ppmの窒素含有量を有し;式中、β’ = 98.1x’ - 388.8であり、x’は、m/gの単位での原料タンタル粉末の比表面積である。
【0071】
一態様において、原料タンタル粉末は、0.8γ’~1.2γ’ppm、例えば0.9γ’~1.1γ’ppm、例えばγ’ppmのホウ素含有量を有し;式中、γ’ = 0.28x’ - 4.72x’ + 35.11x’ - 42.02であり、x’は、m/gの単位での原料タンタル粉末の比表面積である。
【0072】
一態様において、原料タンタル粉末は、0.8ε’~1.2ε’ppm、例えば0.9ε’~1.1、例えばε’ppmのカリウム含有量を有し;式中、ε’ = -9.39E-02x + 3.13E+00x - 2.64E+01x + 9.40E+01であり、x’は、m/gの単位での原料タンタル粉末の比表面積である。
【0073】
一態様において、タンタル原料粉末は、1~10ppm、例えば3~5ppmのナトリウム含有量を有する。
一態様において、α’、β’、γ’およびε’は、全て正の数である。
【0074】
一態様において、x’は、m/gの単位での原料タンタル粉末の比表面積であり、ここで、x’=4~20、例えば5~13、例えば6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0075】
一態様において、タンタル粉末は、5g/cmの圧縮密度で圧縮されてタンタル粉末成形体になり、次いでタンタル粉末成形体は、1000~1150℃で10~20分焼結されてタンタル粉末焼結体が得られ、次いでタンタル粉末焼結体は、8~10Vで荷電され、<9nA/μFV、好ましくは<6nA/μFV、好ましくは<3nA/μFV、好ましくは<2nA/μFV、好ましくは<1nA/μFV、好ましくは<0.5nA/μFVの漏れ電流を有する陽極が、得られる。
【0076】
一態様において、タンタル粉末は、5g/cmの圧縮密度で圧縮されてタンタル粉末成形体になり、次いでタンタル粉末成形体は、1000~1150℃で10~20分間焼結されてタンタル粉末焼結体が得られ、次いでタンタル粉末焼結体は、8~10Vで荷電され、<100%、好ましくは<60%、好ましくは<40%の誘電損(tanδ)を有する陽極が、得られる。
【0077】
一態様において、荷電は、陽極成形体を0.01重量%の濃度でHPO溶液中に入れ、陽極成形体を8V~10Vの電圧で荷電して荷電された陽極成形体を形成することを指す。
【0078】
一態様において、タンタル粉末は、5g/cmの圧縮密度で圧縮されて2.2mm×1.0mm×1.7mmのタンタル粉末成形体になり、タンタル粉末成形体の表面上には、それが拡大鏡で10倍の倍率により調べられた際に、亀裂が存在しない。
【0079】
一態様において、本開示のタンタル粉末は、本開示のタンタル粉末に関する調製法によって調製される。
一態様において、本開示のタンタル粉末に関する調製法は、本開示のタンタル粉末を生成する。
【0080】
別途明記されない限り、タンタル粉末は、最終タンタル粉末生成物である。
用語の解釈:
明細書全体を通して、単位ppmは、別途具体的に記載されない限り、重量比に関して表わされる“百万分率”を意味する。
【0081】
一態様において、FSSS粒径(FSSS/μm)は、“金属粉末および関連する化合物のフィッシャー数(fisher number)に関する試験法”(標準番号GB/T3249-2009)において明記されている方法に従って決定される。
【0082】
一態様において、嵩密度(SBD)は、標準“金属粉末。見かけ密度の決定。第1部:ファンネル法”(標準番号GB/T1479.1-2011)において明記されている方法に従って決定される。
【0083】
一態様において、粒径分布は、標準“金属粉末-乾燥ふるい分けによる粒径の決定”(標準番号GB/T1480-2012)において明記されている方法に従って決定され、試料を採取するプロセスは、標準“粉末冶金目的のための粉末-試料採取”(標準番号GB/T5314-2011)において明記されている方法に従って実施される。
【0084】
一態様において、タンタル粉末中の元素の検出法は、全て中国国家標準に従って決定され、それは、“GB/T15076.8-2008 タンタルおよびニオブの化学分析のための方法。銅および硫黄含有量の決定”、“GB/T15076.9-2008 タンタルおよびニオブの化学分析のための方法。タンタル中の鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、アルミニウム、銅、スズ、鉛およびジルコニウム含有量の決定”“GB/T15076.12-2008 タンタルおよびニオブの化学分析のための方法。タンタル中のリン含有量の決定”“GB/T15076.14-2008 タンタルおよびニオブの化学分析のための方法。酸素含有量の決定”“GB/T15076.15-2008 タンタルおよびニオブの化学分析のための方法。水素含有量の決定”および“GB/T15076.16-2008 タンタルおよびニオブの化学分析のための方法。ナトリウムおよびカリウム含有量の決定”を含む。
【0085】
一態様において、タンタル粉末中の不純物の含有量の分析は、中国標準GB/T15076.1~15076.15に従って決定される。
一態様において、タンタル粉末の物理的特性は、業界標準YS/T573-2007において明記されている通りである。
【0086】
一態様において、粉体の粒径がメッシュ数で表わされる場合、メッシュ数の前の記号“+”または“-”は、それぞれ対応するメッシュ数を有するふるいを“通過しないこと”または“通過すること”を意味する。例えば、“-100メッシュ”は、100メッシュふるいを通過することを意味し、“+150メッシュ”は、150メッシュふるいを通過しないことを意味する。従って、“-100~+150メッシュ”は、粉末が100メッシュふるいを通過できたが150メッシュふるいは通過できなかったことを示す。
【0087】
本開示において、一部の数は、科学的記数法を用いて表され、E+00は、10を示し、E+01は、10を示し、E-01は、10-1を示し、以下同様である。
本発明の有益な作用
本発明の1以上の態様は、以下の有益な作用の1以上を有することができる:
1)タンタル粉末は、より高い比静電容量を有する;
2)タンタル粉末は、より低い漏れ電流を有する;
3)タンタル粉末は、より低い誘電損(tanδ)を有する;
4)タンタル粉末は、良好な成形性を有する;
5)タンタル粉末の調製法は、単純である;
6)タンタル粉末の調製法は、低いコストを有する。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本発明の態様は、以下で実施例への参照により詳細に記載されるであろうが、当業者には、以下の実施例が本発明を説明するだけのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、理解されるであろう。具体的な条件が明記されていない実施例は、従来の条件または製造業者によって推奨される条件に従って実施される。特定の製造業者が明記されていない試薬または機器は、商業的に入手可能である全ての従来の製品である。
【実施例
【0089】
実施例1
S1)以下の工程S1a)~S1c)を含む原料タンタル粉末の調製
S1a)Akgの塩化カリウム(KCl)、Bkgのフッ化カリウム(KF)、Cgの硫酸カリウム(KSO)およびDgのホウ酸(HBO)を反応容器中に入れ、温度をE℃に上げ、撹拌しながら30分間保持した。
【0090】
S1b)Fkgのフルオロタンタル酸カリウム(KTaF)を反応容器中に添加した。温度がG℃に戻った後、化学量論比(すなわち、1:5のモル比)の金属ナトリウムをKTaF+5Na = Ta +5NaF+2KFの化学反応に従って添加し、混合物をある期間の間反応させた。
【0091】
S1c)工程1b)を、フルオロタンタル酸カリウムの累積量がIkgになるまでH回繰り返した。反応が完了した後、生成物を、それが冷えた後排出し、排出された生成物を粉砕機により粉砕して小片にして、酸洗浄、水洗、乾燥およびふるい分けを施して原料タンタル粉末を得た。原料タンタル粉末の特性が、表2において示されている。
【0092】
S2)原料タンタル粉末およびJppmのリン酸を含有する脱イオン水を、200r/分の速度で回転する撹拌バッフルを備えた水タンク中に入れた。30分間撹拌した後、水を含有する粉末が得られた。水を含有する粉末を真空乾燥オーブンにより80℃の温度で16時間の期間の間乾燥させ、乾燥した粉末は、本質的に水を含有していなかった。乾燥した粉末を粉砕し、粉砕された粉末を150メッシュのメッシュ数を有する振動ふるいによりふるい分け、ふるい分けの間に余分な水を添加しなかった。ふるい分けられた粉末は、予備凝集粉末であり、予備凝集粉末の嵩密度-SBDは、1.0~1.5g/cmであった。明細が、表2において示されている。
【0093】
S3)予備凝集粉末をるつぼ中に入れ、るつぼを真空熱処理炉中に入れ、1.33Pa未満の真空度の下でK℃に加熱し、温度をL分間保持した。熱処理から得られた粉末を、100メッシュふるいでふるい分け、-100メッシュの粒径を有する粉末を回収し、そうして熱処理された粉末が得られた。
【0094】
S4)マグネシウム粉末をM重量%の量で熱処理された粉末中に添加し、次いでそれらをるつぼ中に入れ、るつぼをアルゴンにより保護された反応容器中に入れ、N℃の温度で3時間維持した。
【0095】
S5)前工程における反応容器の温度がN℃からO℃に低下した後、容器中のガスを、容器中の圧力が0MPaに近づくまで排気した。容器中の圧力が0.105MPaに達するまで窒素(N)を容器中に充填し、これを4時間維持し、その後、容器を室温まで冷却し、酸素含有ガスを数回断続的に充填することにより不動態化処理を実施し、それにより酸素還元され窒素ドープされた粉末を得た。
【0096】
S6)生成物中の不純物、例えば残留するマグネシウム、酸化マグネシウム等を除去するために、酸素還元され窒素ドープされた粉末を、10重量%塩酸および0.5重量%過酸化水素の混合物中に添加し、2時間撹拌および洗浄し、15分間静置し、その後、酸を含有する溶液を注ぎ出した。上記の脱イオン水の添加-10分間撹拌-15分間静置をもう1回実施し、酸で洗浄された粉末を得た。酸で洗浄された粉末を、濾過および洗浄のためにフィルタータンク中に入れ、ここで、濾液の電気伝導度が5μs/cm未満になるまで脱イオン水を使用した。濾過後、水で洗浄された粉末が得られた。水で洗浄された粉末を乾燥させ、100メッシュふるいによりふるい分け、タンタル粉末生成物である-100メッシュの粉末を収集した。
【0097】
比較例1
比較例1の手順は、以下の工程を除いて、実施例1における手順に類似していた。
S2)10:1の重量比の原料タンタル粉末およびJppmリン酸を含有する脱イオン水を、撹拌バッフルを備えたタンク中に入れた。撹拌バッフルを、300r/分の速度で回転させた。30分間撹拌した後、水を含有するタンタル粉末をタンクから取り出し、次いで脱イオン水をタンタル粉末の重量により12%の量で噴霧により添加し、噴霧された水を含有する粉末を振動ふるいによりふるい分け、ふるい分けられた湿った粉末を真空乾燥オーブン中で90℃の温度で18時間乾燥させ、それにより予備凝集粉末が得られた。
【0098】
比較例2
比較例2の手順は、以下の工程を除いて、実施例1の手順に類似していた。
S2)10:1の重量比の原料タンタル粉末およびJppmリン酸を含有する脱イオン水を、撹拌バッフルを備えたタンク中に入れた。撹拌バッフルを、300r/分の速度で回転させた。30分間撹拌した後、水を含有するタンタル粉末をタンクから取り出し、次いで脱イオン水をタンタル粉末の重量により12%の量で噴霧により添加し、噴霧された水を含有する粉末を振動ふるいによりふるい分け、ふるい分けられた湿った粉末を真空乾燥オーブン中で90℃の温度で18時間乾燥させ、それにより予備凝集粉末が得られた。
【0099】
実施例および比較例のタンタル粉末を調製するためのプロセスパラメーターが、表1において示されている。
原料タンタル粉末および予備凝集粉末の化学的および物理的特性が、表2において示されている。
【0100】
予備凝集粉末およびタンタル粉末生成物の化学的および物理的特性が、表3において示されている。
タンタル粉末生成物の電気的特性が、表4において示されている。
【0101】
タンタル粉末の不純物含有量の分析を、中国標準GB/T15076.1~15076.15の規則に従って実施した。
タンタル粉末の物理的性質を、業界標準YS/T573-2007の規則に従って試験した。
【0102】
タンタル粉末の電気的特性試験は、30mgのタンタル粉末生成物を5.0g/cmの圧縮密度で圧縮して2mmの直径を有する円筒状タンタル粉末成形体にすることを含んでおり、リード線の役目を果たすタンタル線をタンタル粉末中に予めセットした後、プレスした。タンタル粉末成形体に対して1100~1150℃で10~20分間の真空焼結を施し、陽極成形体(すなわちタンタル粉末焼結体)を形成した。焼結成形体の収縮率は、5~10%以内であった。焼結条件が、表4において示されている。
【0103】
陽極成形体を0.01重量%の濃度を有するHPO溶液中に入れ、8V~10Vの電圧で荷電して陽極成形体を形成し、荷電電圧は、表4において示されている。比静電容量および誘電損を、120Hzの周波数で、室温において30重量%のHSO溶液中にある陽極成形体を用いて測定し、漏れ電流を、0.1重量%のHPO溶液中にある陽極成形体を用いて測定した。
【0104】
完全に記載されていないタンタル粉末の電気的性能試験に関連する事柄は、中国標準GB/T 3137-2007(タンタル粉末の電気的特性に関する試験法)において見られる。
【0105】
高静電容量タンタル粉末の成形性をより直感的に特性付けるため、タンタル粉末を2.2mm×1.0mm×1.7mmの大きさを有するタンタル粉末成形体に圧縮し、タンタル粉末成形体を10倍の倍率を有する電子拡大鏡の下に置き、その表面上に明らかな亀裂が存在するかどうかをチェックするために観察した。亀裂が表面上に存在する場合、タンタル粉末の成形性は不十分であり;そうではなく亀裂が表面上に存在しない場合、タンタル粉末の成形性は良好である。
【0106】
【表1】
【0107】
表1において示されているように、実施例1~4に関して、KClおよびKFが、還元反応プロセスにおける希釈剤であった。ホウ酸対希釈剤の重量比は、20:300000~340000であった。KSO対希釈剤の重量比は、500~550:300000~340000であった。KTaF対希釈剤の重量比は、2.5~5:300~340であった。希釈剤において、KCl:KF = 18~24:10~12(重量比)であった。
【0108】
【表2】
【0109】
表2において示されているように、実施例1~4の原料タンタル粉末および予備凝集粉末は、以下の関係に従う。
原料タンタル粉末のO含有量α’(ppm単位)および比表面積x’(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
α’ = -68.5x’ + 2197.3x’ - 18616.4x’ + 62307.8、R = 1。
【0110】
原料タンタル粉末のN含有量β’(ppm単位)および比表面積x’(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
β’ = 98.1x’ - 388.8、R = 0.9。
【0111】
原料タンタル粉末のB含有量ε’(ppm単位)および比表面積x’(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
γ’ = 0.28x’ - 4.72x’ + 35.11x’ - 42.02、R = 1。
【0112】
原料タンタル粉末のK含有量γ’(ppm単位)および比表面積x’(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
ε’ = -9.39E-02x + 3.13E+00x - 2.64E+01x + 9.40E+01、R = 1。
【0113】
Naの含有量は、5ppm未満である。
予備凝集粉末の嵩密度τ’および原料タンタル粉末の比表面積x’(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
τ’ = -1.39E-03x’ - 6.30E-03x’ + 1.39E+00、R = 0.993。
【0114】
【表3】
【0115】
表3において示されている実施例1~4のタンタル粉末生成物は、以下の規則に従う:
タンタル粉末のO含有量α(ppm単位)および比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
α = -26.7x + 802.4x - 4496.9x + 16038.2、R = 1;
タンタル粉末のN含有量β(ppm単位)および比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
β =197.1x +995.0、R = 1.0;
タンタル粉末のB含有量γ(ppm単位)および比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
γ = -0.48x + 13.95x - 108.84x + 277.20、R = 1;
タンタル粉末のK含有量ε(ppm単位)および比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
ε = 0.45x - 10.48x + 79.94x - 173.43、R = 1;
タンタル粉末のN含有量に対するO含有量の比および比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
λ = 0.62x + 2.04、R = 1.00;
タンタル粉末の比表面積xに対するB含有量の比χおよびタンタル粉末の比表面積x(m2/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
χ = -6.11E-02x + 1.63E+00x - 1.25E+01x + 3.39E+01、R = 1.00;
タンタル粉末の総重量における170メッシュを通過しない粉末の百分率ηおよびタンタル粉末の比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
η = -4.55E-02x + 1.39E+00x - 1.45E+01x + 5.70E+01、R = 1.00;
タンタル粉末の総重量における170メッシュを通過できるが400メッシュは通過できない粉末の百分率ζおよびタンタル粉末の比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
ζ = -0.11x-0.40x + 82.33、R = 1.00;
タンタル粉末の総重量における400メッシュを通過できる粉末の百分率θおよびタンタル粉末の比表面積x(m2/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
θ = -0.15x + 6.01x - 17.44、R = 1.00;
タンタル粉末の嵩密度τおよび比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
τ = -6.14E-03x + 2.53E-02x + 1.82E+00、R = 1.00;
タンタル粉末のFSSS粒径Ψおよび比表面積x(m/g単位)の間の数学的関係は、次の式に従う:
Ψ = -2.22E-03x + 4.39E-02x - 2.93E-01x + 1.64E+00、R = 1.00。
【0116】
【表4】
【0117】
表4において示されているように:
実施例1~4のタンタル粉末に関する漏れ電流μ(nA/μFV)および比静電容量z(μFV/g)の間の関係は、次の式に従う:
μ = 5.02E-17z - 2.92E-11z + 5.61E-06z - 3.72E-02、R = 1.00。
【0118】
表4において示されているように、実施例1~4のタンタル粉末は、以下の電気的特性を有する。
(1a)20000~35000μFV/gの比静電容量を有するタンタル粉末に関して、漏れ電流は、0.32~0.42nA/μFVである。
【0119】
(1b)40000~60000μFV/gの比静電容量を有するタンタル粉末に関して、漏れ電流は、0.79~2.8nA/μFVである。
(2)タンタル粉末の誘電損tanδは、約30~60%である。
【0120】
(3)タンタル粉末成形体は、良好な成形性を有し、それは、タンタル粉末成形体が平滑であり亀裂を有しないことを示している。
対照的に、比較例1~2のタンタル粉末は、以下の電気的特性を有する:
(1a)15000~17000μFV/gの比静電容量を有するタンタル粉末に関して、漏れ電流は、0.42nA/μFVである。
【0121】
(1b)20000~35000μFV/gの比静電容量を有するタンタル粉末に関して、漏れ電流は、4.9nA/μFVである。
(2)タンタル粉末の誘電損tanδは、100~200%である。
【0122】
(3)亀裂が、タンタル粉末成形体の表面上に存在する。
実施例の結果から、上記の実施例のタンタル粉末が以下の利点の1以上を有することは、明らかである:
(1)比静電容量が高い;
(2)漏れ電流が少ない;
(3)誘電損が小さい;
(4)良好な成形性。
【0123】
理論により限定されることなく、タンタル粉末中に添加されるホウ素の含有量を特定の範囲内に制御するためのその後の処理と一緒に還元プロセスの間に反応系に添加されるホウ酸の量を調節することによって、予備凝集および熱処理の技術と組み合わせて、上記の実施例は、高い比静電容量、低い漏れ電流および良好な成形性を有するタンタル粉末を調製する。
【0124】
理論により限定されることなく、工程の1以上においてタンタル粉末の組成(例えばホウ素含有量)および構造(例えば粒径分布)を調節することによって、開示された方法は、高い比静電容量、低い漏れ電流および良好な成形性を有するタンタル粉末を調製する。
【0125】
本発明の特定の態様が詳細に記載されてきたが、当業者は、それらの詳細の様々な修正および置換が本開示の教示全体を考慮してなされることができ、そのようなバリエーションは本発明の範囲内であることを理解するであろう。本開示の完全な範囲は、添付された特許請求の範囲およびそのあらゆる均等物によって与えられる。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
タンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、ホウ素元素を含有し、かつ前記のタンタル粉末が、4m /g以上の比表面積を有し;
前記のタンタル粉末が、2~16の比表面積に対するホウ素含有量の比を有し、前記のホウ素含有量が、重量によるppmの単位であり、かつ前記の比表面積が、m /gの単位であり;
ρメッシュを通過できる粉末が、該タンタル粉末の総重量の85%より多くを占めており、ρ=150~170であるタンタル粉末。
[2]
[1]に記載のタンタル粉末であって、該タンタル粉末が、4~20m /gの比表面積を有するタンタル粉末。
[3]
[1]に記載のタンタル粉末であって、該タンタル粉末が、4~16m /gの比表面積を有するタンタル粉末。
[4]
[1]に記載のタンタル粉末であって、該タンタル粉末が、4~12m /gの比表面積を有するタンタル粉末。
[5]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、2~12の比表面積に対するホウ素含有量の比を有するタンタル粉末。
[6]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、2~8の比表面積に対するホウ素含有量の比を有するタンタル粉末。
[7]
[1]に記載のタンタル粉末であって、ρメッシュを通過できる粉末が、前記のタンタル粉末の総重量の90%より多くを占めているタンタル粉末。
[8]
[1]に記載のタンタル粉末であって、ρメッシュを通過できる粉末が、前記のタンタル粉末の総重量の95%より多くを占めているタンタル粉末。
[9]
[1]に記載のタンタル粉末であって、ρ=150であるタンタル粉末。
[10]
[1]に記載のタンタル粉末であって、ρ=160であるタンタル粉末。
[11]
[1]に記載のタンタル粉末であって、ρ=170であるタンタル粉末。
[12]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、酸素元素および窒素元素を含有し、前記のタンタル粉末が、2~16、好ましくは2~12、好ましくは2~10、好ましくは2~8の窒素含有量に対する酸素含有量の比を有するタンタル粉末。
[13]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.4~2.0μm、好ましくは0.4~1.6μm、より好ましくは0.6~1.2μmのFSSS粒径を有するタンタル粉末。
[14]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8~2.0g/cm 、好ましくは0.8~1.8g/cm 、好ましくは0.8~1.6g/cm の嵩密度を有するタンタル粉末。
[15]
[1]に記載のタンタル粉末であって、400メッシュを通過できる粉末が、前記のタンタル粉末の総重量の50%未満、例えば40%未満を占めているタンタル粉末。
[16]
[1]に記載のタンタル粉末であって、170メッシュを通過できない粉末が、該タンタル粉末の総重量の0.8η~1.2η;例えば0.9η~1.1ηを占めており、η = -4.55E-02x + 1.39E + 00x - 1.45E + 01x + 5.70E + 01であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[17]
[1]に記載のタンタル粉末であって、170メッシュを通過できるが400メッシュは通過できない粉末が、該タンタル粉末の総重量の0.8ζ~1.2ζ、例えば0.9ζ~1.1ζを占め、ζ = -0.11x - 0.40x + 82.33であり、xが、m /gでの該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[18]
[1]に記載のタンタル粉末であって、400メッシュを通過できる粉末が、該タンタル粉末の総重量の0.8θ~1.2θ、例えば0.9θ~1.1θを占め、θおよび該タンタル粉末の比表面積の間の数学的関係が、次の式:θ = -0.15x + 6.01x-17.44に従い、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[19]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、5000~50000ppmの酸素含有量を有するタンタル粉末。
[20]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、1000~5000ppmの窒素含有量を有するタンタル粉末。
[21]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、10~50ppmのカリウム含有量を有するタンタル粉末。
[22]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、20~200ppmのホウ素含有量を有するタンタル粉末。
[23]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、100~600ppmのリン含有量を有するタンタル粉末。
[24]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8α~1.2αppm(例えば0.9α~1.1αppm)の酸素含有量を有し、α=-26.7x +802.4x -4496.9x+16038.2であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[25]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8β~1.2βppm(例えば0.9β~1.1βppm)の窒素含有量を有し、β=197.1x+995.0であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[26]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8γ~1.2γppm(例えば0.9γ~1.1γppm)のホウ素含有量を有し、γ=-0.48x +13.95x -108.84x+277.20であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[27]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8ε~1.2εppm(例えば0.9ε~1.1εppm)のカリウム含有量を有し、ε=0.45x -10.48x +79.94x-173.43であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[28]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8λ~1.2λ(例えば0.9λ~1.1λ)の窒素含有量に対する酸素含有量の比を有し、λ =0.62x+2.04であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[29]
[1]に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、0.8χ~1.2χ、例えば0.9χ~1.1χ、例えばχの比表面積xに対するホウ素含有量の比(m /g単位)を有し、χ = -6.11E-02x + 1.63E+00x - 1.25E +01x + 3.39E +01であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[30]
[1]に記載のタンタル粉末であって、0.8Ψ~1.2Ψ、例えば0.9Ψ~1.1Ψ、例えばΨのFSSS粒径を有し、Ψ = -2.22E-03x + 4.39E-02x - 2.93E-01x + 1.64E+00であり、xが、m /gの単位での該タンタル粉末の比表面積であるタンタル粉末。
[31]
[24]~[30]のいずれか1項に記載のタンタル粉末であって、x =4~20、例えばx =4~12であるタンタル粉末。
[32]
[1]~[31]のいずれか1項に記載のタンタル粉末であって、前記のタンタル粉末が、5g/cm の圧縮密度で圧縮されて成形体になり、次いで該成形体が、1000~1150℃で10~20分間焼結され、8~10Vで荷電されて陽極が得られ、該陽極が、200000~580000μFV/g、好ましくは220000~450000μFV/g、好ましくは300000~400000μFV/gの比静電容量を有するタンタル粉末。
[33]
タンタル粉末成形体であって、[1]~[32]のいずれか1項に記載のタンタル粉末を圧縮することにより形成される、例えば4~6g/cm の圧縮比重で圧縮することにより形成されるタンタル粉末成形体。
[34]
タンタル粉末焼結体であって、[33]に記載のタンタル粉末成形体を焼結することにより得られ、
好ましくは、前記の焼結が、タンタル粉末成形体を1000~1200℃で10~20分間焼結することを含むタンタル粉末焼結体。
[35]
タンタル陽極であって、[34]に記載のタンタル粉末焼結体を荷電することにより得られ;
好ましくは、前記の荷電が、該タンタル粉末焼結体を陽極酸化のために酸性溶液中に入れることを含むタンタル陽極。
[36]
[35]に記載のタンタル陽極を含む電解コンデンサ。
[37]
タンタル粉末を調製するための方法であって、以下の工程:
1)原料タンタル粉末を得て、前記の原料タンタル粉末が、30~300ppmの量のホウ素を含有し、1~20m /gの比表面積を有し;
2)前記のタンタル粉末を造粒して予備凝集粉末を得て、該予備凝集粉末が、1~1.5g/cm の嵩密度を有し;
3)前記の予備凝集粉末に対して(例えば逐次的に)以下の工程:熱処理、ふるい分け、酸素還元処理および窒素ドーピングの1以上を施し;
4)前の工程で得られた粉末に対して(例えば逐次的に)以下の工程:酸洗浄、水洗、乾燥およびふるい分けの1以上を施してタンタル粉末生成物を得る;
を含む方法。
[38]
[37]に記載の方法であって、工程1)が、フッ化タンタル塩を融解した希釈剤中で還元剤で還元して原料タンタル粉末を得ることを含む方法。
[39]
[37]に記載の方法であって、工程2)における前記の造粒が、以下の工程:
該原料タンタル粉末を揮発可能な液体と混合して揮発可能な液体と混合された粉末を得て;
揮発可能な液体と混合された前記の粉末を乾燥させて乾燥粉末を得て;
該乾燥粉末に対して粉砕およびふるい分け処理を施す;
を含み、該ふるい分けのためのふるいが、120~170メッシュのメッシュ数を有し、該ふるいを通過する粉末が、予備凝集粉末である方法。
[40]
[39]に記載の方法であって、工程2)において、該乾燥粉末が、粉砕およびふるい分けを施され、該ふるい分けのためのふるいが、140~160メッシュのメッシュ数を有する方法。
[41]
[37]に記載の方法であって、工程3)における熱処理が、1000~1200℃の温度で実施される方法。
[42]
[37]に記載の方法であって、工程3)における熱処理が、10~30分間の熱保存時間を有する方法。
[43]
[37]に記載の方法であって、工程3)における熱処理が、非酸化環境において実施される方法。
[44]
[37]に記載の方法であって、該原料タンタル粉末が、0.8α’~1.2α’ppm、例えば0.9α’~1.1α’ppmの酸素含有量を有し;α’ = -68.5x’ + 2197.3x’ - 18616.4x’ + 62307.8’であり、x’が、m /gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積である方法。
[45]
[37]に記載の方法であって、前記の原料タンタル粉末が、0.8β’~1.2β’ppm、例えば0.9β’~1.1β’ppmの窒素含有量を有し;β’ = 98.1x’ - 388.8であり、x’が、m /gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積である方法。
[46]
[37]に記載の方法であって、前記の原料タンタル粉末が、0.8γ’~1.2γ’ppm、例えば0.9γ’~1.1γ’ppmのホウ素含有量を有し;γ’ = 0.28x’ - 4.72x’ + 35.11x’ - 42.02であり、x’が、m /gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積である方法。
[47]
[37]に記載の方法であって、前記の原料タンタル粉末が、0.8ε’~1.2ε’ppm、例えば0.9ε’~1.1ε’ppmのカリウム含有量を有し;ε’ = -9.39E-02x + 3.13E+00x - 2.64E+01x + 9.40E+01であり、x’が、m /gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積である方法。
[48]
[37]に記載の方法であって、前記の原料タンタル粉末が、1~10ppm、例えば3~5ppmのナトリウム含有量を有する方法。
[49]
[37]に記載の方法であって、該予備凝集粉末が、0.8τ’~1.2τ’、例えば0.9τ’~1.1τ’、さらに例えばτ’の嵩密度を有し、τ’ = -1.39E-03x’ - 6.30E-03x’ + 1.39E+00であり、x’が、m /gの単位での該原料タンタル粉末の比表面積である方法。
[50]
[44]~[49]のいずれか1項に記載の方法であって、x’ =4~20、例えば5~13である方法。