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▶ マイクロポート(シャンハイ)メドボット カンパニー,リミティッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】手術用ロボット端末
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20220104BHJP
   A61B 34/37 20160101ALI20220104BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B34/37
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020536119
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 CN2018122087
(87)【国際公開番号】W WO2019128803
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】201711449375.6
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519068560
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート メドボット(グループ)カンパニー,リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,イジア
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ビン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512551(JP,A)
【文献】特表2017-532987(JP,A)
【文献】特開2016-000360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
それぞれ調整アームおよびツールアームを備える少なくとも一つのロボットアームであって、前記ツールアームが、手術用器具に接続され、遠隔運動中心の周りを旋回するように前記手術用器具を駆動するように構成され、前記調整アームが、前記ツールアームに接続された遠位端を有し、前記調整アームが、前記遠隔運動中心の空間位置を調整するように構成される、少なくとも一つのロボットアームと、
前記ベースに接続された手術用ベッドであって、第1の回転可能ジョイント、第2の回転可能ジョイント、および第3の回転可能ジョイントを備え、前記第1、第2、および第3の回転可能ジョイントが、前記遠隔運動中心に対する前記手術用ベッドの向きを調整することが可能になるように、前記回転可能ジョイントのうちのいずれか二つが互いに直交するように配置されたそれぞれの回転軸を有する、手術用ベッドと、
前記手術用ベッドに対して固定の位置関係で維持された垂直アセンブリであって、前記手術用ベッドの上に位置する支持端を有し、前記ベースに対する前記遠隔運動中心の高さを調整するように構成された垂直並進ジョイントを備える垂直アセンブリと
持構造と
を備え
前記支持構造は、
1次アーム支持体および少なくとも二つの2次アーム支持体を備え、
前記1次アーム支持体は、前記垂直アセンブリの前記支持端に回転可能に接続された上端を有し、
前記少なくとも二つの2次アーム支持体はそれぞれ、前記1次アーム支持体の下端に回転可能に接続されており、前記調整アームに接続された下端を有する、
手術用ロボット端末。
【請求項2】
前記第1、第2、および第3の回転可能ジョイントの前記回転軸は、単一の点において互いに交差する、請求項1に記載の手術用ロボット端末。
【請求項3】
前記垂直アセンブリは、前記手術用ベッドの片側に位置し、前記ベースに固定して接続される、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項4】
前記手術用ベッドは、ベッド本体および支持体を備え、前記支持体は、前記ベッド本体に接続され、前記ベースに固定して接続され、
前記第1、第2、および第3の回転可能ジョイントはすべて、前記ベッド本体上に配置される、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項5】
前記ベッド本体は、外枠およびフックジョイントを備え、前記フックジョイントは、前記外枠内に配置され、前記外枠に接続され、前記第1および第2の回転可能ジョイントはどちらも、前記フックジョイント上に配置され、前記外枠は、前記第3の回転可能ジョイントを介して前記支持体に接続される、請求項4に記載の手術用ロボット端末。
【請求項6】
前記ベッド本体は、外枠およびフックジョイントを備え、前記フックジョイントは、前記外枠内に配置され、前記外枠に接続され、前記第1、第2、および第3の回転可能ジョイントはすべて、前記フックジョイント上に配置され、前記外枠は、前記垂直アセンブリおよび前記支持体の両方に固定して接続される、請求項4に記載の手術用ロボット端末。
【請求項7】
前記ベース、前記手術用ベッド、前記垂直アセンブリ、および/または前記ロボットアームの動作を制御するように構成されたコンソール
をさらに備える、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項8】
前記調整アームは、ともに順次接続された第1の回転ジョイント、第1の水平並進ジョイント、揺動ジョイント、および第2の回転ジョイントを備え、
前記第1の水平並進ジョイントは、前記第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸を有し、
前記揺動ジョイントは、前記第1の水平並進ジョイントの前記並進軸および前記第1の回転ジョイントの前記回転軸の両方に直交する回転軸を有し、
前記第2の回転ジョイントは、前記第1の回転ジョイントの前記回転軸に平行に向けられた回転軸を有し、
前記第1の回転ジョイントは、前記調整アームを前記支持構造に接続し、前記第2の回転ジョイントは、前記調整アームを前記ツールアームに回転可能に接続する、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項9】
前記調整アームは、前記支持構造に接続された近位端と、前記第1の回転ジョイントに接続された遠位端と、前記第1の回転ジョイントの前記回転軸に直交する並進軸とを有する第2の水平並進ジョイントをさらに備える、請求項8に記載の手術用ロボット端末。
【請求項10】
前記調整アームは、ともに順次接続された第1の水平並進ジョイント、第1の回転ジョイント、揺動ジョイント、および第2の回転ジョイントを備え、
前記第1の水平並進ジョイントは、前記第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸を有し、
前記揺動ジョイントは、前記第1の水平並進ジョイントの前記並進軸および前記第1の回転ジョイントの前記回転軸の両方に直交する回転軸を有し、
前記第2の回転ジョイントは、前記第1の回転ジョイントの前記回転軸に平行に向けられた回転軸を有し、
前記第1の水平並進ジョイントは、前記調整アームを前記支持構造に接続し、前記第2の回転ジョイントは、前記調整アームを前記ツールアームに回転可能に接続する、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項11】
前記調整アームは、ともに順次接続された第1の回転ジョイント、第1の水平並進ジョイント、揺動ジョイント、および第2の回転ジョイントを備え、
前記第1の水平並進ジョイントは、前記第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸を有し、
前記揺動ジョイントは、前記第1の水平並進ジョイントの前記並進軸および前記第1の回転ジョイントの前記回転軸の両方に直交する回転軸を有し、
前記第2の回転ジョイントは、前記第1の回転ジョイントの前記回転軸に平行に向けられた回転軸を有し、
前記第1の回転ジョイントは、前記調整アームを前記垂直アセンブリに接続し、前記第2の回転ジョイントは、前記調整アームを前記ツールアームに回転可能に接続する、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項12】
前記揺動ジョイントは、第1の近位リンクと、前記第1の近位リンクに平行な第1の遠位リンクとを備える回転可能な第1の平行四辺形構造を備え、前記第1の近位リンクは、前記第1の回転ジョイントの前記回転軸に平行または同一線上の軸を有し、前記第1の遠位リンクは、前記第2の回転ジョイントに接続され、前記第1の遠位リンクは、前記第2の回転ジョイントの前記回転軸に平行または同一線上の軸を有する、請求項810または11に記載の手術用ロボット端末。
【請求項13】
前記調整アームは、前記揺動ジョイントおよび前記第2の回転ジョイントの両方に回転可能に接続された接続棒と、前記揺動ジョイントの揺動角度を測定するように構成された測定構成要素と、前記接続棒に対して揺動するように前記第2の回転ジョイントを駆動するように構成されたモータとをさらに備え、
前記測定構成要素は、前記第2の回転ジョイントの前記回転軸が前記第1の回転ジョイントの前記回転軸に平行に維持されるべく、前記測定構成要素から受け取った前記揺動ジョイントの前記揺動角度に応じて揺動するように前記第2の回転ジョイントを駆動するように構成された前記モータに通信可能に接続される、請求項810または11に記載の手術用ロボット端末。
【請求項14】
前記ツールアームは、ベースジョイント、回転可能な第2の平行四辺形構造、および伸縮ジョイントを備え、
前記ベースジョイントは、第1の軸の周りを旋回して、前記第1の軸の周りを旋回するように前記手術用器具を駆動するように構成され、前記ベースジョイントは、前記調整アームに接続された近位端と、前記第2の平行四辺形構造に接続された遠位端とを有し、
前記第2の平行四辺形構造は、第2の近位リンクと、前記第2の近位リンクに平行な第2の遠位リンクとを備え、前記第2の平行四辺形構造は、第2の軸の周りを揺動するように前記手術用器具を駆動するように構成され、
前記伸縮ジョイントは、前記第2の遠位リンクに接続され、前記伸縮ジョイントは、前記第2の遠位リンクの軸に平行な並進軸を有し、前記伸縮ジョイントは、前記伸縮ジョイントの前記並進軸に沿って並進するように前記手術用器具を駆動することが可能になるように、前記手術用器具に取外し可能に接続され、
前記遠隔運動中心は、前記第1の軸、前記第2の軸、および前記伸縮ジョイントの前記並進軸の交点において画定される、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項15】
前記ツールアームは、ベースジョイントおよび回転可能な第3の平行四辺形構造を備え、
前記ベースジョイントは、第1の軸の周りを旋回して、前記第1の軸の周りを旋回するように前記手術用器具を駆動するように構成され、前記ベースジョイントは、前記調整アームに接続された近位端と、前記第3の平行四辺形構造に接続された遠位端とを有し、
前記第3の平行四辺形構造は、第3の近位リンクと、前記第3の近位リンクに平行な第3の遠位リンクとを備え、前記第3の平行四辺形構造は、前記遠位リンクの軸に平行な軸を有する前記手術用器具に接続された末端を有し、前記第3の平行四辺形構造は、第2の軸の周りを旋回するように前記手術用器具を駆動することが可能であり、
前記遠隔運動中心は、前記第1の軸および前記第2の軸の交点において画定される、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項16】
前記垂直アセンブリは、前記垂直アセンブリの前記支持端で近位に配置された水平並進ジョイントをさらに備え、前記水平並進ジョイントは、前記水平並進ジョイントの並進方向に沿って前記遠隔運動中心の位置を調整するように構成される、請求項1または2に記載の手術用ロボット端末。
【請求項17】
それぞれ調整アームおよびツールアームを備える少なくとも一つのロボットアームであって、前記ツールアームが、手術用器具に接続され、遠隔運動中心の周りを旋回するように前記手術用器具を駆動するように構成され、前記調整アームが、前記ツールアームに接続された遠位端を有し、前記調整アームが、前記遠隔運動中心の空間位置を調整するように構成される、少なくとも一つのロボットアームと、
第1の回転可能ジョイント、第2の回転可能ジョイント、および第3の回転可能ジョイントを備える手術用ベッドであって、前記第1の回転可能ジョイント、前記第2の回転可能ジョイント、および前記第3の回転可能ジョイントが、前記遠隔運動中心に対する前記手術用ベッドの向きを調整することが可能になるように、前記回転可能ジョイントのうちのいずれか二つが互いに直交するように配置されたそれぞれの回転軸を有する、手術用ベッドと、
前記手術用ベッドに対して調整可能な位置関係にあるベースと、
前記ベースに固定して接続されたベース端、および前記手術用ベッドの上に位置する支持端を有する垂直アセンブリであって、前記垂直アセンブリが、前記ベースに対する前記遠隔運動中心の高さを調整するように構成された垂直並進ジョイントを備え、前記垂直アセンブリの前記支持端が、前記調整アームの近位端に接続される、垂直アセンブリと
持構造と
を備え
前記支持構造は、
1次アーム支持体および少なくとも二つの2次アーム支持体を備え、
前記1次アーム支持体は、前記垂直アセンブリの前記支持端に回転可能に接続された上端を有し、
前記少なくとも二つの2次アーム支持体はそれぞれ、前記1次アーム支持体の下端に回転可能に接続されており、前記調整アームに接続された下端を有する、
手術用ロボット端末。
【請求項18】
前記手術用ベッドに対する前記ベースの位置を変化させるように前記ベースの底部に配置された複数の自在車輪
をさらに備える、請求項17に記載の手術用ロボット端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療デバイスの技術分野、より詳細には手術用ロボット端末に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット工学の広範な発展は、医療技術の分野において大きな進化をもたらしてきた。初期のイソップ(AESOP)(登録商標)腹腔鏡ホルダから現代のダビンチ(DA VINCI)(登録商標)手術用ロボットに至るまで、様々な用途のために異なる構造を有する多種多様なロボットが、医療分野に適用されている。
【0003】
医療分野の先進技術として、低侵襲手術が従来の切開手術に次第に取って代わりつつある。より小さい外科的切開部、速い回復、および良好な結果を含む利点のため、ますます多くの患者が、治療の第1希望として低侵襲手術を選んでいる。様々な低侵襲手術の中でも、低侵襲腹腔鏡手術の発展は、腹腔鏡検査の出現とほぼ同時のその始まりから最も優れていた。今日までに、低侵襲腹腔鏡手術は、確立された技法になり、たとえばロボット工学と組み合わせて外科医の動作をさらに容易にする方向になお発展している。
【0004】
最も多く存在する低侵襲腹腔鏡手術用ロボットは、マスタ-スレーブ式であり、外科医は、マスタコンソールにある二つのコントローラを操作して、いくつかのロボットアームを組み込んでいるロボットの端末を遠隔制御し、各ロボットアーム上には、所望の動作を実行するように患者に挿入可能な手術用器具が取り付けられている。手術動作を円滑に実施することができるかどうかは、ロボットアームの位置および向きに直接依存しており、したがってロボット支援手術動作が実行される前に、これらの動作に対する端末の術前適合が必要である。
【0005】
そのような適合を可能にすることに関して、現在の手術用ロボットの端末には以下の問題があることが分かっている。
【0006】
(1)ロボットアームの調整性が限られており、特許出願公開第CN104717936A号は、標的手術部位へのアクセスに好適な向きにロボットアーム全体を調整するために、ロボットアームの上に配置されたサスペンションディスクを備える手術用ロボットの端末を提案している。しかし、同公開自体に指摘されているように、ロボットアームは、重心の移動による転倒を回避するために、カートに対する位置が制限されている。加えて、ロボットアームは、回転可能ジョイントによって配向プラットホームに連結されており、互いに対して固定されたそれぞれのベースジョイントを含む。これにより、調整範囲が大きく制限される。
【0007】
(2)手術用ベッドの機能が利用されておらず、現在、手術用ベッドを利用するロボットはほとんどない。事前の手術準備では、標的手術部位に対するロボットのアクセスを容易にするために、手術用ベッドがロボットと協働して動く必要があることが多いにもかかわらず、従来のロボットは通常、患者が横たわっている床または手術用ベッドに直接固定されており、そのような床または手術用ベッドとは連係しない。
【0008】
特許出願公開第CN106456263A号は、遠隔手術台の位置合わせのための方法およびデバイスを提案している。手術台(すなわち、手術用ベッド)は、拡張機能として複数の並進および回転自由度を有するが、同公開に記載されているように、手術台は、物理的に手術用ロボットとは別個に配置および制御され、手術台と手術用ロボットとの間に有効な相関機構が確立されておらず、その結果、位置合わせが非常に複雑であり、位置合わせの信頼性も低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
いくつかの実施形態の目的は、従来のロボットに存在する問題の少なくとも一つを解決する手術用ロボットの端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的で、本出願は、手術用ロボット端末を提供し、端末は、
ベースと、
それぞれ調整アームおよびツールアームを備える少なくとも一つのロボットアームであって、ツールアームが、手術用器具に接続され、遠隔運動中心の周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成され、調整アームが、ツールアームに接続された遠位端を有し、調整アームが、遠隔運動中心の空間位置を調整するように構成される、少なくとも一つのロボットアームと、
ベースに接続された手術用ベッドであって、第1の回転可能ジョイント、第2の回転可能ジョイント、および第3の回転可能ジョイントを備え、第1、第2、および第3の回転可能ジョイントが、遠隔運動中心に対する手術用ベッドの向きを調整することが可能になるように、これらの回転可能ジョイントのうちのいずれか二つが互いに直交するように配置されたそれぞれの回転軸を有する、手術用ベッドと、
手術用ベッドに対して固定の位置関係で維持された垂直アセンブリであって、手術用ベッドの上に位置する支持端を有し、ベースに対する遠隔運動中心の高さを調整するように構成された垂直並進ジョイントを備える垂直アセンブリと、
垂直アセンブリの支持端に回転可能に接続された上端、および調整アームに接続された下端を有する支持構造とを備える。
【0011】
任意には、手術用ロボット端末において、第1、第2、および第3の回転可能ジョイントの回転軸は、単一の点において互いに交差する。
【0012】
任意には、手術用ロボット端末において、垂直アセンブリは、手術用ベッドの片側に位置し、ベースに固定して接続される。
【0013】
任意には、手術用ロボット端末において、手術用ベッドは、ベッド本体および支持体を備え、支持体は、ベッド本体に接続され、ベースに固定して接続され、
第1、第2、および第3の回転可能ジョイントはすべて、ベッド本体上に配置される。
【0014】
任意には、手術用ロボット端末において、ベッド本体は、外枠およびフックジョイントを備え、フックジョイントは、外枠内に配置され、外枠に接続され、第1および第2の回転可能ジョイントはどちらも、フックジョイント上に配置され、外枠は、第3の回転可能ジョイントを介して支持体に接続される。
【0015】
任意には、手術用ロボット端末において、ベッド本体は、外枠およびフックジョイントを備え、フックジョイントは、外枠内に配置され、外枠に接続され、第1、第2、および第3の回転可能ジョイントはすべて、フックジョイント上に配置され、外枠は、垂直アセンブリおよび支持体の両方に固定して接続される。
【0016】
任意には、手術用ロボット端末において、端末は、
ベース、手術用ベッド、垂直アセンブリ、および/またはロボットアームの動作を制御するように構成されたコンソールをさらに備える。
【0017】
任意には、手術用ロボット端末において、支持構造は、
1次アーム支持体および少なくとも二つの2次アーム支持体を備え、
1次アーム支持体は、垂直アセンブリの支持端に回転可能に接続された上端を有し、
少なくとも二つの2次アーム支持体はそれぞれ、1次アーム支持体の下端に回転可能に接続されており、調整アームに接続された下端を有する。
【0018】
任意には、手術用ロボット端末において、支持構造は、
少なくとも一つのアーム支持体を備え、各アーム支持体は、垂直アセンブリの支持端に回転可能に接続された上端と、調整アームに接続された下端とを有する。
【0019】
任意には、手術用ロボット端末において、調整アームは、ともに順次接続された第1の回転ジョイント、第1の水平並進ジョイント、揺動ジョイント、および第2の回転ジョイントを備え、
第1の水平並進ジョイントは、第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸を有し、
揺動ジョイントは、第1の水平並進ジョイントの並進軸および第1の回転ジョイントの回転軸の両方に直交する回転軸を有し、
第2の回転ジョイントは、第1の回転ジョイントの回転軸に平行に向けられた回転軸を有し、
第1の回転ジョイントは、調整アームを支持構造に接続し、第2の回転ジョイントは、調整アームをツールアームに回転可能に接続する。
【0020】
任意には、手術用ロボット端末において、調整アームは、支持構造に接続された近位端と、第1の回転ジョイントに接続された遠位端と、第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸とを有する第2の水平並進ジョイントをさらに備える。
【0021】
任意には、手術用ロボット端末において、調整アームは、ともに順次接続された第1の水平並進ジョイント、第1の回転ジョイント、揺動ジョイント、および第2の回転ジョイントを備え、
第1の水平並進ジョイントは、第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸を有し、
揺動ジョイントは、第1の水平並進ジョイントの並進軸および第1の回転ジョイントの回転軸の両方に直交する回転軸を有し、
第2の回転ジョイントは、第1の回転ジョイントの回転軸に平行に向けられた回転軸を有し、
第1の水平並進ジョイントは、調整アームを支持構造に接続し、第2の回転ジョイントは、調整アームをツールアームに回転可能に接続する。
【0022】
任意には、手術用ロボット端末において、調整アームは、ともに順次接続された第1の回転ジョイント、第1の水平並進ジョイント、揺動ジョイント、および第2の回転ジョイントを備え、
第1の水平並進ジョイントは、第1の回転ジョイントの回転軸に直交する並進軸を有し、
揺動ジョイントは、第1の水平並進ジョイントの並進軸および第1の回転ジョイントの回転軸の両方に直交する回転軸を有し、
第2の回転ジョイントは、第1の回転ジョイントの回転軸に平行に向けられた回転軸を有し、
第1の回転ジョイントは、調整アームを垂直アセンブリに接続し、第2の回転ジョイントは、調整アームをツールアームに回転可能に接続する。
【0023】
任意には、手術用ロボット端末において、揺動ジョイントは、第1の近位リンクと、第1の近位リンクに平行な第1の遠位リンクとを備える回転可能な第1の平行四辺形構造を備え、第1の近位リンクは、第1の回転ジョイントの回転軸に平行または同一線上の軸を有し、第1の遠位リンクは、第2の回転ジョイントに接続され、第1の遠位リンクは、第2の回転ジョイントの回転軸に平行または同一線上の軸を有する。
【0024】
任意には、手術用ロボット端末において、調整アームは、揺動ジョイントおよび第2の回転ジョイントの両方に回転可能に接続された接続棒と、揺動ジョイントの揺動角度を測定するように構成された測定構成要素と、接続棒に対して揺動するように第2の回転ジョイントを駆動するように構成されたモータとをさらに備え、
測定構成要素は、第2の回転ジョイントの回転軸が第1の回転ジョイントの回転軸に平行に維持されるべく、測定構成要素から受け取った揺動ジョイントの揺動角度に応じて揺動するように第2の回転ジョイントを駆動するように構成されたモータに通信可能に接続される。
【0025】
任意には、手術用ロボット端末において、ツールアームは、ベースジョイント、回転可能な第2の平行四辺形構造、および伸縮ジョイントを備え、
ベースジョイントは、第1の軸の周りを旋回して、第1の軸の周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成され、ベースジョイントは、調整アームに接続された近位端と、第2の平行四辺形構造に接続された遠位端とを有し、
第2の平行四辺形構造は、第2の近位リンクと、第2の近位リンクに平行な第2の遠位リンクとを備え、第2の平行四辺形構造は、第2の軸の周りを揺動するように手術用器具を駆動するように構成され、
伸縮ジョイントは、第2の遠位リンクに接続され、伸縮ジョイントは、第2の遠位リンクの軸に平行な並進軸を有し、伸縮ジョイントは、伸縮ジョイントの並進軸に沿って並進するように手術用器具を駆動することが可能になるように、手術用器具に取外し可能に接続され、
遠隔運動中心は、第1の軸、第2の軸、および伸縮ジョイントの並進軸の交点において画定される。
【0026】
任意には、手術用ロボット端末において、ツールアームは、ベースジョイントおよび回転可能な第3の平行四辺形構造を備え、
ベースジョイントは、第1の軸の周りを旋回して、第1の軸の周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成され、ベースジョイントは、調整アームに接続された近位端と、第3の平行四辺形構造に接続された遠位端とを有し、
第3の平行四辺形構造は、第3の近位リンクと、第3の近位リンクに平行な第3の遠位リンクとを備え、第3の平行四辺形構造は、遠位リンクの軸に平行な軸を有する手術用器具に接続された末端を有し、したがって第3の平行四辺形構造は、第2の軸の周りを旋回するように手術用器具を駆動することが可能であり、
遠隔運動中心は、第1の軸および第2の軸の交点において画定される。
【0027】
任意には、手術用ロボット端末において、垂直アセンブリは、垂直アセンブリの支持端で近位に配置された水平並進ジョイントをさらに備え、水平並進ジョイントは、水平並進ジョイントの並進方向に沿って遠隔運動中心の位置を調整するように構成される。
【0028】
本出願は、手術用ロボット端末をさらに提供し、端末は、
それぞれ調整アームおよびツールアームを備える少なくとも一つのロボットアームであって、ツールアームが、手術用器具に接続され、遠隔運動中心の周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成され、調整アームが、ツールアームに接続された遠位端を有し、調整アームが、遠隔運動中心の空間位置を調整するように構成される、少なくとも一つのロボットアームと、
第1の回転可能ジョイント、第2の回転可能ジョイント、および第3の回転可能ジョイントを備える手術用ベッドであって、第1の回転可能ジョイント、第2の回転可能ジョイント、および第3の回転可能ジョイントが、遠隔運動中心に対する手術用ベッドの向きを調整することが可能になるように、これらの回転可能ジョイントのうちのいずれか二つが互いに直交するように配置されたそれぞれの回転軸を有する、手術用ベッドと、
手術用ベッドに対して調整可能な位置関係にあるベースと、
ベースに固定して接続されたベース端、および手術用ベッドの上に位置する支持端を有する垂直アセンブリであって、垂直アセンブリが、ベースに対する遠隔運動中心の高さを調整するように構成された垂直並進ジョイントを備え、垂直アセンブリの支持端が、調整アームの近位端に接続される、垂直アセンブリと、
垂直アセンブリの支持端に回転可能に接続された上端、および調整アームに接続された下端を有する支持構造とを備える。
【0029】
任意には、手術用ロボット端末において、端末は、
手術用ベッドに対するベースの位置を変化させるようにベースの底部に配置された複数の自在車輪をさらに備える。
【0030】
本出願に提供される手術用ロボット端末において、上端で垂直アセンブリの支持端に回転可能に連結され、下端で各調整アームに連結された支持構造は、様々な動作環境におけるRCの位置に対する容易な微調整を可能にし、したがって様々な動作環境に対するより良好な適合を可能にする。加えて、複数の回転ジョイントを有する手術用ベッドの設計は、各ロボットアームが、RCの周りをより高い自由度で旋回するのにより好適な空間内を動作することが可能になるように、手術用ベッドをロボットアームの向きに対して調整することを可能にする。ロボットアームに対する手術用ベッドの調整性により、制限されたロボットアームの運動範囲が補償される。その結果、手術用ロボット端末は、手術用ベッド上の回転ジョイントの協働運動によって、任意の所望の作業位置に簡単に到達することができる。これにより、端末の全体構造をより簡単にして重量を軽減し、軽量で構造的により簡単な医療用ロボットに対する要求により一致したものとすることが可能になる。
【0031】
さらに、垂直アセンブリおよびベースは、互いに協働して、端末内の各ロボットアームがRCにより近づくことを可能にすることができ、したがって各ロボットアームは、手術動作の実施を容易にすることができるより好適な位置に位置することができる。
【0032】
さらに、アーム支持体を使用してロボットアームの空間位置を調整することで、ロボットアームが動いているとき、これらのロボットアーム間の干渉を事実上回避し、より良好な調整結果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本出願の実施形態1による手術用ロボット端末の主要な図である。
図2図1に示す手術用ベッドの自由度分布を概略的に示す図である。
図3】一つのアーム支持体を組み込む本出願の実施形態1による手術用ロボット端末の一例の構造を概略的に示す図である。
図4】一つの1次アーム支持体および二つの2次アーム支持体を組み込む本出願の実施形態1による手術用ロボット端末の別の例の構造を概略的に示す図である。
図5】本出願の実施形態2による手術用ロボット端末の主要な図である。
図6】一つの1次アーム支持体および二つの2次アーム支持体を組み込む本出願の実施形態2による手術用ロボット端末の一例の構造を概略的に示す図である。
図7】本出願の実施形態3による手術用ロボット端末の主要な図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本出願による手術用ロボット端末の特有の実施形態について、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明する。本出願の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになる。これらの図は、実施形態の説明の利便性および明瞭性を促進することのみを意図して、非常に簡略化された形で提供されており、必ずしも原寸に比例して提示されていないことに留意されたい。
【0035】
本明細書全体にわたって、物品の「近位端」は、垂直アセンブリのより近くに位置するその端部を指すことを意味し、「遠位端」または「末端」は、垂直アセンブリからより遠くへ離れた端部を指すことを意味する。
【0036】
実施形態1
図1を参照すると、本出願による手術用ロボット端末は本質的に、ベース1、垂直アセンブリ2、少なくとも一つのロボットアーム3、および手術用ベッド4を含む。図1に示すように、端末は、ベース1、垂直アセンブリ2、四つのロボットアーム3、および手術用ベッド4を含む。各ロボットアーム3は、調整アーム31およびツールアーム32を含む。ツールアーム32は、手術用器具に連結されており、遠隔運動中心(RC)の周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成され、調整アーム31の遠位端が、ツールアーム32に連結される。好ましくは、調整アーム31の遠位端は、ツールアーム32に回転可能に連結される。調整アーム31は、RCの空間位置を調整するように構成される。手術用ベッド4は、ベース1に接続されており、第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420を含む。第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420は、これらの回転可能ジョイントのうちのいずれかが他の二つ両方に直交するように配置されたそれぞれの回転軸を有する。好ましくは、RCに対する手術用ベッド4の向きを調整することが可能になるように、第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420の回転軸は、互いに直交しており、単一の点で互いに交差する。垂直アセンブリ2は、手術用ベッド4に対して静止したままであり、手術用ベッド4の上に位置する支持端200を有する。垂直アセンブリ2は、ベース1に対するRCの高さを調整するように構成された垂直並進ジョイント21を含む。調整アーム31の近位端は、垂直アセンブリ2の支持端200に連結される。好ましくは、端末は、支持端200に回転可能に連結された上端と、調整アーム31に連結された下端とを有する支持構造をさらに含む。患者の標的手術部位(すなわち、RCに対する標的位置)は、端末の位置調整のための基準点と見なされ、本出願によれば、支持構造により、調整アーム間の干渉を事実上回避しながら、様々な手術用環境においてRCを標的位置(すなわち、患者の標的手術部位)へ容易に微調整することが可能になる。加えて、各調整アームがRCを標的位置へ調整することを支援するために、手術用ベッド4の向きを調整することができる。これにより、ロボットアーム3の異なる位置および向きを必要とする様々な手術動作の実施を容易にすることができる。
【0037】
たとえば、最初に設定された手術用ベッド4の向きが垂直アセンブリ2の水平部分または水平並進ジョイント22(図3に関連して以下に詳述)に直交する事例では、患者の腹部の真上に作られた切開部から患者の頭部へ手術用器具を挿入する必要がある場合、ロボットアーム3のみが調整可能であるとき、支持構造は、動作要件を満たすために90°回転しなければならない。対照的に、本出願によれば、手術用ベッド4も調整が可能であるため、支持構造および手術用ベッドの両方を連係して回転させることによって、このタスクを満たすことができる。たとえば、患者の腹部に対して横方向に切開部が作られる事例では、患者が手術用ベッドで横向きに寝て、支持構造の角度を調整する必要がある。対照的に、手術用器具にとってより好適な作業空間を作り、手術用器具がより容易に動作することを可能にするために、手術用器具および手術用ベッドの両方をともに調整することができる。
【0038】
図1を引き続き参照すると、本出願では、垂直アセンブリ2は、手術用ベッド4の片側に配置され、ベース1に固定して連結される。
【0039】
図1および図2を参照すると、手術用ベッド4は、ベッド本体41および支持体42を含み、支持体42は、ベッド本体41に接続され、ベース1に固定される。図1に示すように、支持体42は、一端でベッド本体41に接続され、他端でベース1に固定される。すなわち、ベース1は、手術用ベッド4および垂直アセンブリ2の両方に対するキャリアとして働く。第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420は、ベッド本体41上に配置される。特定の実施形態では、ベッド本体41は、外枠およびフックジョイントを含み、フックジョイントは、外枠内に配置され、外枠に接続される。この場合、第1の回転可能ジョイント410および第2の回転可能ジョイント411は、フックジョイント上に配置され、外枠は、第3の回転可能ジョイント420によって支持体42に接続される。たとえば、フックジョイントは、外枠内に配置され、第1の回転可能ジョイント410によって外枠に回転可能に連結された第1の回転可能部材と、第1の回転可能部材内に配置され、第2の回転可能ジョイント411によって第1の回転可能部材に回転可能に連結された第2の回転可能部材とを含む。ここで、第1の回転可能ジョイント410および第2の回転可能ジョイント411は、第1および第2の自由度をフックジョイントに与える。外枠は、第3の回転可能ジョイント420を介して支持体42に回転可能に連結され、第3の自由度を実現する。ベッド本体41は、第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420の作用を受けて、RCに対するその向きを変化させるように動くことができる。したがって、手術用器具が標的手術部位にアクセスすることを可能にするために、ロボットアーム3を大きい角度にわたって旋回させること、または患者を横向きもしくは別の姿勢で配置することが必要とされるときなど、手術動作に対する事前準備を実施するのが困難であると従来から考えられているシナリオでは、ロボットアーム3の大きな移動または患者の姿勢の変化を必要とすることなく、手術用器具が手術部位により容易にアクセスすることができる好適な位置へ、ベッド本体41を回転させることができ、したがって手術動作の実施を容易にすることができる。
【0040】
手術用ロボット端末の位置調整を容易にするために、手術用ロボット端末は、ベース1の位置の変化を可能にするようにベース1の底部に設けられた複数の自在車輪7をさらに含むことができる。
【0041】
さらに、図1および図3を参照すると、垂直アセンブリ2は、概して、「L」を反転させた文字に似ている。具体的には、図1の実施形態では、垂直アセンブリ2は、垂直並進ジョイント21と、水平梁と、水平梁の近位端に固定して接続された垂直柱とを含む。支持端202が、水平梁の遠位端を形成する。垂直並進ジョイント21は、垂直柱(L字形の長辺に対応する)上に配置されており、ロボットアーム3を垂直に変位させるように構成される。図3に示す別の実施形態では、垂直アセンブリ2は、垂直並進ジョイント21と、水平並進ジョイント22と、水平梁と、水平梁の近位端に固定して接続された垂直柱とを含む。水平並進ジョイント22は、垂直アセンブリの支持端で近位に位置する。具体的には、垂直並進ジョイント21は、垂直柱(L字形の長辺に対応する)上に配置され、水平並進ジョイント22は、水平梁(L字形の短辺に対応する)上に配置される。垂直並進ジョイント21は、垂直アセンブリ2が、垂直並進ジョイントの可動方向に沿って動くことを可能にし、したがって同じ方向に対するRCの位置を調整するように構成される。垂直アセンブリの支持端に配置された水平並進ジョイント22は、水平並進ジョイント22の可動方向に対するRCの位置を調整するように構成される。
【0042】
少なくとも四つの自由度を有する立体構成として構成された各調整アーム31は、二つの回転自由度(図1の実施形態では、第1の回転ジョイント314および第2の回転ジョイント313で実施される)、水平並進自由度(図1の実施形態では、第1の水平並進ジョイント311で実施される)、および揺動自由度(図1の実施形態では、揺動ジョイント312で実施される)を含む。図1の実施形態では、各調整アーム31は、この順でともに順次接続された第1の回転ジョイント314、第1の水平並進ジョイント311、揺動ジョイント312、および第2の回転ジョイント313を含み、第1の水平並進ジョイント311は、第1の回転ジョイント314の回転軸に直交する並進軸(すなわち、その運動軌道もしくは伸縮方向、またはジョイントがスライダ-トラック構造として実施される場合はトラック)を有し、揺動ジョイント312は、第1の水平並進ジョイント311の並進軸および第1の回転ジョイント314の回転軸の両方に直交する回転軸を有し、第2の回転ジョイント313は、第1の回転ジョイント314の回転軸に平行に向けられた回転軸を有する。第1の回転ジョイント314は、調整アーム31を垂直アセンブリ2に連結し、第2の回転ジョイント313は、調整アーム31をツールアーム32に回転可能に連結する。第1の回転ジョイント314は、第1の回転ジョイント314の回転軸の周りを回転するようにロボットアーム3全体を駆動することが可能であり、第1の水平並進ジョイント311は、水平に並進するようにツールアーム32を駆動することができる。揺動ジョイント312は、垂直平面内で動くようにツールアーム32を駆動するように、揺動するように構成される。第1の回転ジョイント314および第2の回転ジョイント313は、互いに重複し、より微細な調整を可能にするように構成される。調整アーム31のこれらの四つのジョイントは、空間位置におけるRCの変化を実現するようにともに機能することができる。
【0043】
本実施形態は、第2の回転ジョイント313の回転軸を第1の回転ジョイント314の回転軸に平行にするためのいずれの特定の方法にも限定されるものではない。好ましい実施形態では、調整アームは、接続棒と、測定構成要素と、測定構成要素に通信可能に連結されたモータとをさらに含む。接続棒の近位端は、揺動ジョイント312に連結され、その遠位端は、第2の回転ジョイント313に回転可能に連結される。測定構成要素は、揺動ジョイント312の角度をリアルタイムで測定するように構成される。モータは、第2の回転ジョイント313の回転軸を第1の回転ジョイント314の回転軸に平行に常に維持するために、揺動ジョイント312の揺動角度に応じて、接続棒に対して回転するように第2の回転ジョイント313を駆動するように構成される。別の好ましい実施形態では、揺動ジョイント312は、第1の近位リンクと、第1の近位リンクに平行な遠位リンクとを含む回転可能な第1の平行四辺形構造(たとえば、ともに連結された四つのリンクによって形成される)を含む。第1の平行四辺形構造内の第1の近位リンクの軸は、第1の回転ジョイント314の回転軸に平行または同一線上であり、第1の平行四辺形構造内の第1の遠位リンク(第1の近位リンクに平行)は、第2の回転ジョイント313に連結されており、第2の回転ジョイント313の回転軸に平行または同一線上の軸を有する。このようにして、第2の回転ジョイント313の回転軸は、第1の回転ジョイント314の回転軸に平行に常に維持される。
【0044】
ツールアーム32は、遠隔中心(RC)の周りを旋回するように、ツールアーム32に連結された手術用器具を駆動することが可能なRC機構である。たとえば、ツールアーム32は、多自由度を有することができ、たとえば二つの自由度(この場合、ツールアーム32は、左右方向および前後方向の両方にRCの周りを搖動するように手術用器具を駆動する)、または三つの自由度(この場合、ツールアーム32は、左右方向および前後方向の両方にRCの周りを搖動しかつ上下に動くように手術用器具を駆動することが可能である)を有することができる。
【0045】
図1の実施形態では、ツールアーム32は、第1の軸「a」の周りを旋回し、第2の軸「c」の周りを揺動し、かつ並進軸「b」に沿って並進するように手術用器具を駆動することを可能にするために、三つの自由度を有し、RCは、第1の軸「a」、並進軸「b」、および第2の軸「c」の交点において画定される(三つの軸は、図1に破線によって示す)。具体的には、ツールアーム32は、ベースジョイント321と、回転可能な第2の平行四辺形構造(たとえば、ともに連結された四つのリンクによって形成される)と、伸縮ジョイント323とを含む。ベースジョイント321は、第1の軸「a」の周りを回転して、第1の軸「a」の周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成される。ベースジョイント321の近位端は、調整アーム31に連結され、その遠位端は、第2の平行四辺形構造に連結される。第2の平行四辺形構造は、第2の近位リンクと、第2の近位リンクに平行な第2の遠位リンクとを含む。第2の平行四辺形構造の末端は、伸縮ジョイント323によって手術用器具に連結されており、手術用器具は、その軸が第2の遠位リンクの軸に平行になるように構成される。その結果、第2の平行四辺形構造は、第2の軸「c」の周りを搖動するように手術用器具を駆動することが可能になる。この実施形態では、第2の平行四辺形構造は、第1の平行四辺形サブ構造322aと、第1の平行四辺形サブ構造322aに接続された第2の平行四辺形サブ構造322bとを含む。すなわち、第2の軸「c」の周りを揺動するように手術用器具を駆動するための第2の平行四辺形構造は、2重平行四辺形構造を形成する。第1の平行四辺形サブ構造322aは、第1の近位サブリンクと、第1の近位サブリンクに平行な第1の遠位サブリンク(図示せず)とを含む。同様に、第2の平行四辺形サブ構造322bは、第2の近位サブリンクと、第2の近位サブリンクに平行な第2の遠位サブリンク(図示せず)とを含む。第1の遠位サブリンクの軸は、第2の近位または遠位サブリンクの軸に一致し、または平行に延びる。第2の平行四辺形サブ構造322bは、伸縮ジョイント323に連結された末端を有し、伸縮ジョイント323は、第2の平行四辺形サブ構造322b内の第2の遠位サブリンクの軸に平行な並進軸「b」を画定し、RCを通って延びる。伸縮ジョイント323は、手術用器具が並進軸「b」に沿って並進することが可能になるように、手術用器具に取外し可能に連結される。
【0046】
代替実施形態では、ツールアーム32は、第1の軸「a」の周りを旋回しかつ第2の軸「c」の周りを揺動するように手術用器具を駆動することを可能にするために、二つの自由度のみを有することができ、RCは、第1の軸「a」および第2の軸「c」の交点において画定される。この場合、ツールアーム32は、ベースジョイント321および回転可能な第3の平行四辺形構造(たとえば、ともに連結された四つのリンクによって形成される)を含み、第3の平行四辺形構造は、第3の近位リンクと、第3の近位リンクに平行な第3の遠位リンクとを含む。第3の平行四辺形構造の末端は、手術用器具に取外し可能に連結されており、手術用器具の軸は、第3の平行四辺形構造内で遠位リンクの軸に平行である。この設計により、第3の平行四辺形構造は、第2の軸「c」の周りを揺動するように手術用器具を駆動することが可能になる。さらに、手術用器具の軸は、RCを通って延びる。ツールアームは、RCの周りを揺動するように手術用器具を駆動するために、ベースジョイントを組み込む構造、およびベースジョイントに連結されたスライダ-弧状トラック構造などの別の構造を採用することもできることが、当業者には理解されよう。
【0047】
本実施形態によれば、手術動作に対する事前準備中、様々なジョイントの動きの結果、調整アーム31は、患者の標的手術部位に接近するようにツールアーム32のRCを駆動し、それによってより正確な手術動作の実施を容易にする。概略的には、手術動作が実行される前に、調整アーム31の様々なジョイントを好適に動かすことによって、RCが患者の標的手術部位に近づけられる。手術動作中、調整アーム31のジョイントはすべてロックされ、したがってRCの位置が固定され、ツールアーム32に取外し可能に連結された手術用器具は、RCの周りに作られた切開部を介して患者に挿入されて、標的手術部位に直接アクセスするように構成される。手術用器具は、頂点がRCに位置する円錐形の作業空間内で揺動および旋回するように、ツールアーム32によって駆動することができる。手術動作の経過中、RCの位置に対する追加の調整の必要が生じた場合、必要とされる調整を実現するために、調整アーム31内の一つもしくは複数の適当なジョイントのロックを解放することができ、またはベッド本体41の向きを変化させることができる。したがって、調整アーム31によってRCMの位置を調整することで、ツールアーム32上に取り付けられた手術用器具が、標的手術部位にアクセスすることが可能になり、ツールアーム32の個々のジョイントを調整することで、手術用器具が、所望の特定の手術動作に好適なRC画定空間内で動くことが可能になる。
【0048】
手術用ロボット端末における様々な構成要素の正確な制御を確保するために、手術用ロボット端末は、ベース1、垂直アセンブリ2、および/またはロボットアーム3の動作を制御するためのコンソール5を含むことができる。たとえば、コンソール5は、垂直アセンブリ2のうち、手術用ベッド4から離れた側に位置することができる。コンソール5の制御下で、ベース1は、手術動作に好適な位置へ手術用ロボット端末を送達するように床の上を動くことができ、垂直アセンブリ2は、ロボットアームの動作により好適な手術用ベッド4に対する高さにロボットアーム3を調整するように上下に動くことができ、第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および/または第3の回転可能ジョイント420は、手術動作中にロボットアーム3が動いているとき、ロボットアーム3間の干渉を回避しながら、ロボットアームの末端に対してより適当な向きに手術用ベッド4を調整するように動くことができ、各調整アーム31は、動作が開始される前にRCを標的手術部位にさらに近づけ、対応するツールアーム302を動作の実施に最適の位置に配置するように動くことができる。
【0049】
図1および図3に示すように、支持構造は、垂直アセンブリ2の支持端200に回転可能に連結された上端と、調整アーム31に連結された下端とを有する少なくとも一つのアーム支持体8を含む。アーム支持体8は、ロボットアーム3が動いているとき、ロボットアーム3間の干渉の事実上の回避を可能にし、各調整アーム31の空間位置を事実上変化させるように回転することができ、したがって調整アーム31によるそのRCに対する位置調整を容易にすることができる。具体的には、アーム支持体8は、回転可能ジョイントを介して垂直アセンブリ2の支持端200に連結することができ、したがってアーム支持体8が回転すると、ロボットアーム3の全体的な向きが変化し、手術中のその到達可能範囲をより広くすることが可能になる。さらに、アーム支持体8および手術用ベッド4内の第3の回転可能ジョイント420は、より正確な動きを可能にするために、互いに協働して回転することができる。
【0050】
図3に示すように、手術用ロボット端末は、一つのアーム支持体8と、アーム支持体8にすべて連結された四つのロボットアーム3とを含む。別の好ましい実施形態では、二つのアーム支持体8を含むことができ、調整アームのうちの二つがそれぞれ、アーム支持体8の相対する側に位置するように、アーム支持体8に連結される。
【0051】
一つの好ましい実施形態では、調整アーム31とアーム支持体8との間に第2の水平並進ジョイントがさらに配置される。この場合、調整アーム31の第1の回転ジョイント314は、第2の水平並進ジョイントを介してアーム支持体8に連結される。この結果、ロボットアーム3の移動範囲を事実上拡大することができる。
【0052】
別の好ましい実施形態では、各調整アーム31内の四つのジョイントが、第1の水平並進ジョイント311、第1の回転ジョイント314、揺動ジョイント312、および第2の回転ジョイント313という順で、交互に順次ともに連結される。この場合、調整アーム31は、それぞれの第1の水平並進ジョイント311でアーム支持体8に連結される。この配置により、垂直アセンブリ2の支持端200およびアーム支持体8の周りの空間の完全な利用が可能になる。
【0053】
別の実施形態では、支持構造は、1次アーム支持体9および少なくとも二つの2次アーム支持体10を含み、1次アーム支持体9は、垂直アセンブリ2の支持端200に回転可能に連結された上端を有し、少なくとも二つの2次アーム支持体10はそれぞれ、1次アーム支持体9の下端に回転可能に連結されており、一つまたは複数の調整アーム31に連結された下端を有する。1次アーム支持体9は、2次アーム支持体10の空間位置を変化させるように回転することができ、そして次に、2次アーム支持体10はそれぞれ、2次アーム支持体10に連結された各調整アーム31の空間位置を変化させるように回転することができる。
【0054】
図4に示す実施形態では、一つの1次アーム支持体9および二つの2次アーム支持体10が含まれる。各2次アーム支持体10は、1次アーム支持体9に回転可能に連結された上端を有し、したがって1次アーム支持体9に対して回転することができる。1次アーム支持体9は、2次アーム支持体10の位置を調整することが可能であり、それによりロボットアーム3全体の回転が可能になる。2次アーム支持体10は、2次アーム支持体10に連結された調整アーム31を調整することが可能である。さらに、各2次アーム支持体10は、調整アーム31が特定の2次アーム支持体10の相対する側に位置するように、下端で二つの調整アーム31に連結することができる。言い換えれば、2次アーム支持体10は、二つの調整アーム31を互いから引き離す。これにより、使用中の調整アーム31間の干渉を回避することができる。可動の1次アーム支持体9、2次アーム支持体10、および手術用ベッド4の組合せは、各手術用器具がRCの周りを旋回することを可能にする重複した設計を伴う。このようにして、手術用器具は、手術動作を標的手術部位上でより正確に実行するのに好適な位置に到達することができる。
【0055】
好ましい実施形態では、調整アーム31と2次アーム支持体10との間に第2の水平並進ジョイントがさらに配置される。この場合、各調整アーム31は、その第1の回転ジョイント314で、第2の水平並進ジョイントを介して、2次アーム支持体10のうちの対応する一つに連結される。これにより、ロボットアーム3の移動範囲を事実上拡大することができる。
【0056】
別の好ましい実施形態では、各調整アーム31内の四つのジョイントが、第1の水平並進ジョイント311、第1の回転ジョイント314、揺動ジョイント312、および第2の回転ジョイント313という順で、交互に順次ともに連結される。この場合、調整アーム31は、それぞれの第1の水平並進ジョイント311で2次アーム支持体10に連結される。この配置により、垂直アセンブリ2の支持端200および2次アーム支持体10の周りの空間の完全な利用が可能になる。
【0057】
この構成では、1次アーム支持体9を調整することによって、ロボットアーム3を全体としてより好適な作業位置へ調整することができる。同時に、手術用ベッド4を調整することによって、患者を最適の位置に配置することができる。加えて、2次アーム支持体10を調整することによって、各ロボットアームは、手術中のこれらのロボットアーム間の干渉を回避することができる好適な位置に到達することができる。手術用ベッド4の回転に重複して2次アーム支持体10を回転させることで、最適の調整効果を確保することができる。
【0058】
上記から見ることができるように、本出願による手術用ロボット端末は、アーム支持体8を使用して対応する調整アームの空間位置を調整すること、調整アーム31を使用してRCMの位置を調整すること、および/またはツールアーム32を使用してRCに対する手術用器具の向きを調整することによって、各手術用器具が所望の手術動作にとって好適な位置に到達することを可能にする。加えて、患者は、手術用ベッド4を調整することによって、最も好適な向きの最も好適な姿勢で配置することができる。したがって、手術用ロボット端末は、改善された手術精度に対する現在の臨床上の必要を満たすことができる。
【0059】
実施形態2
本出願による手術用ロボット端末の主要な図である図5とともに、図1を次に参照する。図1および図5の主要な図の比較から、これらの図は、垂直アセンブリ2の構造に関して互いに本質的に異なる二つの別個の端末構成を示していることが分かる。具体的には、図1および図5のどちらの実施形態でも、垂直アセンブリ2は手術用ベッドに対して固定位置で維持されるが、これは異なる方法で実現される。図1の実施形態では、垂直アセンブリ2のベース端201(すなわち、垂直アセンブリのうち、支持端200とは反対の端部)は、ベース1に固定して接続されるのに対して、図5の実施形態では、垂直アセンブリ2のベース端201(すなわち、垂直アセンブリのうち、支持端200ではない他端)は、手術用ベッド4に固定して接続される。加えて、ベッド本体41はまた、外枠およびフックジョイントを含み、フックジョイントは、外枠内に配置され、外枠に連結されるが、この実施形態では、外枠は、支持体42に固定して接続され、垂直アセンブリ2が外枠に固定される。この実施形態では、第1の回転可能ジョイント410および第2の回転可能ジョイント411に加えて、第3の回転可能ジョイント420がまた、フックジョイント上に配置される。たとえば、第1の回転可能部材が外枠内に配置され、第2の回転可能部材が第1の回転可能部材内に配置されることに加えて、フックジョイントは、第3の回転可能ジョイント420によって第2の回転可能部材に対して回転可能になるように第2の回転可能部材内に配置された第3の回転可能部材を含むことができる。加えて、第2の回転可能部材は、第2の回転可能ジョイント411によって第1の回転可能部材に回転可能に連結され、第1の回転可能部材は、第1の回転可能ジョイント410によって外枠に回転可能に連結される。したがって、第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420を組み込むフックジョイントは、これら三つのジョイントの回転軸の周りを回転することが可能であり、すなわち三つの自由度を有する。
【0060】
上記の実施形態と同様に、ロボットアーム3がより広い水平範囲内で動くこと、特にRCの水平調整を容易にすることを可能にするために、垂直アセンブリ2の支持端200で近位に水平並進ジョイント22が設けられる。
【0061】
図5に示す実施形態と比較すると、1次アーム支持体9および二つの2次アーム支持体10をさらに含む手術用ロボット端末の概略図である図6を次に参照する。手術動作に対する準備中、コンソール5の制御下で、1次アーム支持体9は、2次アーム支持体10の空間位置に粗調整を適用するように動き、次いで2次アーム支持体10は、調整アーム31の空間位置を変化させるように回転し、したがってロボットアーム3がそれぞれの最適の作業位置に到達する。別法として、ロボットアーム3、1次アーム支持体9、および2次アーム支持体10を手動で調整することによって、ロボットアーム3を最適の作業位置へ動かすこともできる。手術動作の経過中、手術用ベッド4は、垂直アセンブリ2、1次アーム支持体9、および2次アーム支持体10と協働して、動作の実施に好適な向きの姿勢で患者を配置することができる。
【0062】
実施形態3
実施形態1および2のものとは異なる構成を有する本出願による手術用ロボット端末の主要な図である図7を次に参照し、実施形態1および2では、垂直アセンブリ2の位置は、手術用ベッド4に対して固定される(すなわち、調整可能でない)のに対して、垂直アセンブリ2の位置が手術用ベッド4に対して調整可能である(すなわち、手術用ベッド4に向かう方または手術用ベッド4から離れる方へ可動である)。
【0063】
図7に示すように、手術用ロボット端末は、少なくとも一つのロボットアーム3、手術用ベッド4、ベース1、および垂直アセンブリ2を含む。各ロボットアーム3は、調整アーム31およびツールアーム32を含む。ツールアーム32は、手術用器具に連結されており、RCの周りを旋回するように手術用器具を駆動するように構成され、調整アーム31の遠位端が、ツールアーム32に連結される。調整アーム31は、RCの空間位置を調整するように構成される。手術用ベッド4は、第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420を含む。第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420は、互いに直交するように配置されたそれぞれの回転軸を有する。好ましくは、RCに対する手術用ベッド4の向きを調整することが可能になるように、互いに直交する第1の回転可能ジョイント410、第2の回転可能ジョイント411、および第3の回転可能ジョイント420の回転軸は、単一の点において互いに交差する。ベース1の位置は、手術用ベッド4に対して調整可能である。垂直アセンブリ2は、ベース1に固定して接続されたベース端201(したがって、垂直アセンブリ2の位置がベース1の作用を受けて調整可能である)と、手術用ベッド4の上に位置する支持端200とを有する。垂直アセンブリ2は、ベース1に対するRCの高さを調整するように構成された垂直並進ジョイント21を含む。調整アーム31の近位端は、垂直アセンブリ2の支持端200に連結される。好ましくは、調整アーム31の近位端は、垂直アセンブリ2の支持端200に回転可能に連結される。
【0064】
ベース1の動きを容易にするために、手術用ロボット端末は、ベース1の底部に設けられた複数の自在車輪7をさらに含むことができ、自在車輪7は、手術用ベッド4に対するベース1の位置の変化を可能にするように構成される。ベース1は、自由に動くことが可能であるため、患者の状態に適合した好適な位置で患者に接近することができ、言い換えれば患者へのベース1の接近中にRCも患者に接近する。これにより、垂直アセンブリ2の支持端200の構造、したがって手術用ロボット端末の全体的な構造を大幅に簡略化しながら、その全質量を低減し、軽量で構造的により簡単な医療用ロボットに対する要求により一致したものとする。
【0065】
上記の実施形態と同様に、ロボットアーム3がより広い水平範囲内で動くこと、特にRCの水平調整を容易にすることを可能にするために、垂直アセンブリ2の支持端200で近位に水平並進ジョイント22が設けられる。
【0066】
本明細書に開示する実施形態について段階的に説明しており、各実施形態の説明は、他の実施形態とのその違いに焦点を当てている。同一または類似の部分については、実施形態同士を参照することができる。
【0067】
要約すると、本出願に提供される手術用ロボット端末において、上端で垂直アセンブリの支持端に回転可能に連結され、下端で各調整アームに連結された支持構造は、様々な手術環境におけるRCの位置の容易な微調整を可能にする。加えて、複数の回転可能ジョイントを有する手術用ベッドの設計は、各ロボットアームが、RCの周りをより高い自由度で旋回するのにより好適な空間内を動作することが可能になるように、ロボットアームに対する手術用ベッドの向きの調整を可能にする。ロボットアームに対する手術用ベッドの調整性により、制限されたロボットアームの運動範囲が補償される。その結果、手術用ロボット端末は、手術用ベッド上の回転可能ジョイントの協働運動によって、任意の所望の作業位置に簡単に到達することができる。これにより、手術用ロボット端末の全体構造をより簡単にして重量を軽減し、軽量で構造的により簡単な医療用ロボットに対する要求により一致したものとすることが可能になる。
【0068】
さらに、垂直アセンブリおよびベースは、互いに協働して、手術用ロボット端末内の各ロボットアームがRCにより近づくことを可能にすることができ、したがって各ロボットアームは、手術動作の実施を容易にすることができるより好適な位置に位置することができる。
【0069】
さらに、アーム支持体を使用してロボットアームの空間位置を調整することで、ロボットアームが動いているとき、これらのロボットアーム間の干渉を事実上回避し、より良好な調整結果を実現することができる。
【0070】
上記で提示した説明は、本出願のいくつかの好ましい実施形態の単なる説明であり、本出願の範囲を決して限定するものではない。上記の教示に基づいて当業者によって加えられるあらゆる変更および修正は、添付の特許請求の範囲に定義される範囲に入る。
【符号の説明】
【0071】
1 ベース
2 垂直アセンブリ
21 垂直並進ジョイント
22 水平並進ジョイント
200 支持端
201 ベース端
3 ロボットアーム
31 調整アーム
311 第1の水平並進ジョイント
312 揺動ジョイント
313 第2の回転ジョイント
314 第1の回転ジョイント
32 ツールアーム
321 ベースジョイント
322 平行四辺形構造
323 伸縮ジョイント
4 手術用ベッド
41 ベッド本体
410 第1の回転可能ジョイント
411 第2の回転可能ジョイント
42 支持体
420 第3の回転可能ジョイント
5 コンソール
7 自在車輪
8 アーム支持体
9 1次アーム支持体
10 2次アーム支持体
RC 遠隔運動中心(RCM)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7