(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-09
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】断層撮影X線画像再構成
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61B6/02 351Z
(21)【出願番号】P 2020551575
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2019056644
(87)【国際公開番号】W WO2019185380
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-07-06
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼ クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】グラス ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー ダーク
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237005(JP,A)
【文献】特開2007-152118(JP,A)
【文献】特開2013-192695(JP,A)
【文献】特開平11-253433(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0067464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断層撮影X線画像再構成のための装置であって、前記装置は、
入力ユニットと、
処理ユニットとを備え、
前記入力ユニットは、入力投影画像シーケンスから、第1の取得時間および第2の取得時間においてそれぞれ取得された物体の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを取得し、
前記入力ユニットは、(i)患者の関心領域内の第1の剛体の、または第1の剛体に近似する、第1の3D剛体データ、および(ii)患者の関心領域内の第2の剛体の、または第2の剛体に近似する、第2の3D剛体データを提供し、
前記処理ユニットは、前記第1
および第2の3D剛体データの前記第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成し、前記第1
および第2の3D剛体データの前記第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成し、前記第1のレジストレーションおよび前記第2のレジストレーションに基づき、前記第1の取得時間と前記第2の取得時間との間に生じる前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の相対運動を推定して、前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の
推定される相対運動を定める相対運動ベクトル場を提供し、前記入力投影画像シーケンスの取得中の前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の動きを補正するために、前記相対運動ベクトル場を使用して補正された2D X線投影データを生成し、前記補正された2D X線投影データに基づき、前記入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成する、装置。
【請求項2】
前記第1および/または第2の3D剛体データは、前記入力ユニットによって、(i)前記入力投影画像シーケンスの初期3D再構成から、または(ii)前記患者の前記関心領域の以前の3D撮像スキャンから取得される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1および/または第2の3D剛体データは、前記入力ユニットによって、解剖学的モデルのデータベースから取得される、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記入力ユニットは、前記第1および/または第2の剛体の運動モデル事前分布を提供し、前記運動モデル事前分布は、前記第1および/または第2の剛体の可能な運動軌道の全体集合のうちの部分集合を定め、
前記処理ユニットはさらに、前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の前記相対運動を推定し、当該推定では、当該推定において考慮される前記第2の剛体の前記可能な運動軌跡の数を制限するために前記運動モデル事前分布が少なくとも部分的に使用される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記処理ユニットは
、前記第1の3D剛体データの順投影データを提供し、前記順投影データと前記第1の2D X線投影データの類似性を表す類似性メトリックを生成し、前記類似性メトリックを使用して、第1の3D
剛体データ内の前記第1の剛体を前記第1の2D X線投影データに重ねることによって前記第1のレジストレーションを生成する、請求項
3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の取得時間と前記第2の取得時間との間に生じる前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の前記相対運動を推定することはさらに、
前記第1の取得時間より後の前記第2の取得時間で取得された前記第2の2D X線投影データ内の前記第2の剛体の
位置を、前記第1の2D X線投影データ内の前記第2の剛体の
位置と比較することにより、前記第2の剛体の第1の剛性運動曲線を特定することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記処理ユニットは
、前記第1の剛体と前記第2の剛体との間の、前記第1および/または第2の2D X線投影データの空間的中間部分を定め、前記第2の2D X線投影データ内の前記第1の剛体の
位置を、前記第1の2D X線投影データ内の前記第1の剛体の
位置と比較することにより、前記空間的中間部分における前記第1の剛体の第2の剛性運動曲線を特定し、
前記第1の剛性運動曲線および前記第2の剛性運動曲線の組み合わせとして剛性複合運動曲線を生成することによって、前記第
1の剛体に対する前記第
2の剛体の動きを推定する、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記処理ユニットはさらに、前記
相対運動ベクトル場に基づいて2D X線投影データを補正する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記処理ユニットはさらに、撮像ジオメトリに対する前記第1の剛体および前記第2の剛体の絶対運動を推定し、前記撮像ジオメトリに対する前記第1の剛体および前記第2の剛体の
推定される絶対運動を定める絶対運動ベクトル場を提供し、前記相対運動ベクトル場と合わせて前記絶対運動ベクトル場をさらに使用して、前記補正された2D X線投影データを生成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記動き補償された3D再構成データをユーザに表示する出力ユニットをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の3D剛体データは頭蓋骨の初期3D再構成または解剖学的モデルを含み、前記第2の3D剛体データは顎の初期3D再構成または解剖学的モデルを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
断層撮影X線画像再構成のための方法であって、前記方法は、
a)入力投影画像シーケンスから、第1の取得時間および第2の取得時間においてそれぞれ取得された、患者の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを取得するステップと、
b)(i)患者の関心領域内の第1の剛体の、または第1の剛体に近似する、第1の3D剛体データ、および(ii)患者の関心領域内の第2の剛体の、または第2の剛体に近似する、第2の3D剛体データを提供するステップと、
c)前記第1
および第2の3D剛体データの前記第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成するステップと、
d)前記第1
および第2の3D剛体データの前記第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成するステップと、
e)前記第1のレジストレーションおよび前記第2のレジストレーションに基づき、前記第1の取得時間と前記第2の取得時間との間に生じる前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の相対運動を推定し、前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の
推定される相対運動を定める相対運動ベクトル場を提供するステップと、
f)前記入力投影画像シーケンスの取得中の前記第1の剛体に対する前記第2の剛体の動きを補正するために前記相対運動ベクトル場を使用して、補正された2D X線投影データを生成するステップと、
g)前記補正された2D X線投影データに基づき、前記入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成するステップとを含む、方法。
【請求項13】
X線源と、
X線検出器と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の断層撮影X線画像再構成のための装置とを備えるX線撮像システムであって、
前記X線源は、第1の複数の取得角度から、X線放射によって関心領域を順次照射し、
前記X線検出器は、それぞれ第1の取得時間および第2の取得時間において取得された患者の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを含む入力投影画像シーケンスを形成するために、第2の複数の取得角度から前記関心領域を介して伝播した前記X線放射を受け取り、
前記断層撮影X線画像再構成のための装置は、前記X線検出器から前記第1の2D X線投影データおよび前記第2の2D X線投影データを受け取り、前記補正された2D X線投影データに基づき、前記入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成する、X線撮像システム。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置および/または請求項13に記載のX線撮像システムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記装置および/または前記X線撮像システムによって実行されると、請求項12に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、断層撮影X線画像再構成のための装置、断層撮影画像再構成のための方法、CアームX線撮像システム、コンピュータプログラム要素、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
断層撮影X線画像取得のための回転Cアームシステムは、通常はCアームガントリによって分離されている、互いに向き合うように配置されたX線源およびX線検出器を備える。患者の関心領域は、X線源とX線検出器との間に配置され得る。2次元X線検出器は、「コーンビーム」断層撮影を可能にする。
【0003】
コーンビーム断層撮影では、関心領域内の患者の撮像平面の周りをCアームが回転する。Cアームの回転の複数の刻み幅において、X線源およびX線検出器は患者の2次元投影ビューを提供する。一連の2次元投影には、FBP(filtered back projection)等の画像再構成アルゴリズム、またはIR(iterative reconstruction)アルゴリズムが適用される。これにより、一連の2次元投影ビューから関心領域内の患者の3次元画像を提供することができる。
【0004】
Cアーム取得プロトコルは典型的には30秒ほどかかり、この間に患者が動くことは排除できない。Cアーム取得プロトコル中の患者が動いた結果、3D画像再構成段階において一連のアーチファクトが導入される。
【0005】
US2017/0000430A1は、患者の頭部を撮像するための装置を提案する。患者の頭蓋骨には複数の頭部マーカーが取り付けられる。少なくとも1台のカメラが患者の顎のモーションスタディを取得する。装置と通信する制御論理プロセッサは、顎骨構造を頭蓋骨構造から分けるために、カメラからの信号と組み合わせて一連の2D放射線投影画像を使用し、ボリューム画像コンテンツを再構成する。しかし、そのようなシステムはさらに改良することができる。
【発明の概要】
【0006】
したがって、断層撮影X線撮像のための改良された技術を提供することは有益であろう。よって、第1の側面によれば、断層撮影画像再構成のための装置が提供される。装置は、入力ユニットと処理ユニットとを備える。
【0007】
入力ユニットは、入力投影画像シーケンスから、第1の取得時間および第2の取得時間においてそれぞれ取得された物体の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを取得するように構成され、また、入力ユニットは、(i)患者の関心領域内の第1の剛体の、または第1の剛体に近似する、第1の3D剛体データ、および(ii)患者の関心領域内の第2の剛体の、または第2の剛体に近似する、第2の3D剛体データを提供するように構成される。
【0008】
処理ユニットは、第1および/または第2の3D剛体データの第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成し、第1および/または第2の3D剛体データの第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成し、第1のレジストレーションおよび第2のレジストレーションに基づき、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定して、第1の剛体に対する第2の剛体の推定運動を定める相対運動ベクトル場を提供し、入力投影画像シーケンスの取得中の第1の剛体に対する第2の剛体の動きを補正するために、相対運動ベクトル場を使用して補正された2D X線投影データを生成し、補正された2D X線投影データに基づき、入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成するように構成される。
【0009】
したがって、関心領域内の第1の3D剛体の初期再構成または3Dモデルを、第2の3D剛体の3Dモデルの初期再構成と合わせて使用することで、2D投影画像のシーケンスがより正確に断層撮影再構成され得る。第1の3D剛体に関連付けられたボクセル点は第1の剛性参照フレームに対して動き、第2の3D剛体に関連付けられたボクセル点は第2の剛性参照フレームに対して動くという知識を使用することで、主として、長い取得プロトコル中の第2の3D剛体に対する第1の3D剛体の動きを単純なやり方で補正することができる。
【0010】
例えば、人間の頭蓋骨は2つの剛体構造を含むと見なすことができる。神経頭蓋の骨、並びに鋤骨、鼻骨、上顎骨、および涙骨は、第1の3D剛体の一部を形成していると考えることができる。下顎骨は第2の3D剛体の一部を形成していると見なすことができる。下顎骨は、神経頭蓋の両側の側頭筋領域にヒンジ接続された2つの下顎切痕を形成する2つの向かい合う咬筋部分で神経頭蓋に結合されている。
【0011】
したがって、第1の側面に係る断層撮影X線再構成アルゴリズムは、例えば、予測可能な相互接続を有する2つの剛体が、Cアーム撮像システムによって取得された2D投影画像シーケンス内に存在することを認識する。第1の側面によれば、Cアーム撮像プロトコル中の患者の動きが2D投影画像シーケンスにおいてより効果的に補償され、外部マーカーを要することなく3D再構成画像の品質の改善することができる。2つの剛体間の関係を考慮してレジストレーション時の探索空間を削減することは、例えば、画像再構成時の計算負荷の低減、よってレイテンシの低減、および/または、プロセッサ速度仕様の低減を示唆する。
【0012】
任意選択的に、第1および/または第2の3D剛体データは、入力ユニットによって、(i)入力投影画像シーケンスの初期3D再構成から、または(ii)患者の関心領域の以前の3D撮像スキャンから取得される。
【0013】
したがって、再構成アルゴリズムの開始データを提供するために様々なソースを使用することができる。動いていた患者からの2D投影を使用して再構成された初期3D画像がアーチファクトを含む場合でも、初期再構成として十分に役立つ程度に第1の剛体および第2の剛体が区別され得る。当然ながら、以前の3D撮像スキャンは、同じ取得デバイスまたは別のデバイスからのデータを提供し、入力データソースの柔軟性を提供する。
【0014】
任意選択的に、第1および/または第2の3D剛体データは、入力ユニットによって、解剖学的モデルのデータベースから取得される。
【0015】
したがって、第1の剛体および第2の剛体の形状の初期推定は、重大な信号処理を伴わずに簡単に提供され得る。例示的な頭蓋骨のケースに関しては、神経頭蓋および下顎骨は、多くの患者にわたっていくらか独特な形状特性を有するので、ターゲットの解剖学的構造の形状を有する(サイズがパラメータ化可能であり得る)汎用的な第1の剛体モデルおよび第2の剛体モデルを、信号処理を実行するよりも簡単な方法で提供することができる。そのようなアプローチは、入力投影画像シーケンスの取得中に患者の動きによって引き起こされる再構成アーチファクトが、それらから第1および第2の剛体データを最初に抽出することができないようなものである場合に有益であり得る。
【0016】
任意選択的に、入力ユニットは、第1および/または第2の剛体の運動モデル事前分布を提供し、運動モデル事前分布は、第1および/または第2の剛体の可能な運動軌道の全体集合のうちの部分集合を定め、処理ユニットはさらに、第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定し、当該推定では、当該推定において考慮される第2の剛体の可能な運動軌跡の数を制限するために運動モデル事前分布が少なくとも部分的に使用される。
【0017】
したがって、関心領域内で撮像された第1の剛体と第2の剛体との間の運動軌道関係の事前解剖学的知識を使用することで、2Dから3Dへのレジストレーション時の探索空間を制限し、より迅速な画像再構成を可能にすることができる。人間の頭蓋骨の例を使用すると、神経頭蓋と下顎骨の間の運動関係は、主に、下顎骨の神経頭蓋へのヒンジ式取り付けに起因する運動制限によって定められる。これにより、下顎骨の相対運動が、顎を閉じてから開くまでの約50度の偏角に制限される。より小さな影響として、下顎骨は神経頭蓋に対して横方向(ヨー)に約10度、両側に回転し得る。下顎骨の動きに対するこれらの制限は、入力シーケンス取得において生じ得る患者の顎の動きを考慮する際に、探索空間を先験的に制限するために使用され得る。当然ながら、前述の角度制限は、顎に適した運動モデルの制限の一例である。当業者は、股関節運動や膝運動等に関して同様のモデルが提供され得ることを理解するであろう。
【0018】
任意選択的に、処理ユニットはさらに、第1の3D剛体データの順投影データを提供し、順投影データと第1のX線投影データの類似性を表す類似性メトリックを生成し、類似性メトリックを使用して、第1の3D解剖学的データ内の第1の剛体を第1のX線投影データに重ねることによって第1のレジストレーションを生成する。
【0019】
したがって、複数の異なる角度からの3D剛体データの複数の2D投影が生成され、入力画像シーケンスの単一のフレーム内でキャプチャされた2D投影と比較され得る。複数の2D投影はそれぞれ、わずかに異なる形状を有するであろう。入力画像シーケンス内の特定のキャプチャされた2D投影と最も良く合致する2D投影の形状が特定され得る(例えば、形状比較や面積比較等に従って)。入力画像シーケンス内の当該キャプチャされた2D投影との最良の合致を生成する複数の2D投影内の特定の投影の角度は、当該キャプチャされた2D投影の取得時点での第1の3D剛体の向きを示す。このプロセスは第2の3D剛体データ等にも適用され得る。
【0020】
任意選択的に、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定することは、さらに、第2の2D X線投影データ内の第2の剛体の後続位置を、第1の2D X線投影データ内の第2の剛体の初期位置と比較することにより、第2の剛体の第1の剛性運動曲線を特定することを含む。
【0021】
したがって、第2の剛体の開始位置と終了位置との間の関係は、第1の剛体と第2の剛体との間の運動軌道の推定を単純化し得る。
【0022】
任意選択的に、処理ユニットはさらに、第1の剛体と第2の剛体との間の、第1および/または第2の2D X線投影データの空間的中間部分を定め、第2の2D X線投影データ内の第1の剛体の後続位置を、第1の2D X線投影データ内の第1の剛体の初期位置と比較することにより、空間的中間部分における第1の剛体の第2の剛性運動曲線を特定し、第1の剛性運動曲線および第2の剛性運動曲線の組み合わせとして剛性複合運動曲線を生成することによって、第2の剛体に対する第1の剛体の動きを推定する。
【0023】
その結果、2つの剛体の間の中間領域において、第1および第2の剛体の運動曲線を、2つの剛体の運動の組み合わせとして計算することができる。
【0024】
任意選択的に、処理ユニットはさらに、第2の剛体データの運動ベクトル場に基づいて2D X線投影データを補正する。
【0025】
したがって、第1の剛体は実質的に静止しているが、第2の剛体は動いているという単純化された仮定が行われ得る。そのような仮定は、神経頭蓋および下顎骨の例では、例えば、患者が下顎の筋肉に影響を与える激しい震えを起こしている場合に当てはまり得る。
【0026】
任意選択的に、処理ユニットはさらに、撮像ジオメトリに対する第1の剛体および第2の剛体の絶対運動を推定し、撮像ジオメトリに対する第1の剛体および第2の剛体の推定運動を定める絶対運動ベクトル場を提供し、相対運動ベクトル場と合わせて絶対運動ベクトル場をさらに使用して、補正された2D X線投影データを生成する。
【0027】
したがって、撮像ジオメトリの同じ座標系に対する第1および第2の剛体の動きが計算され得る。
【0028】
言い換えれば、2つの3Dボリュームの再構成に使用される少なくとも2つの補正された取得軌道が提供される。1つの軌道は第1の剛体を表し、第2の軌道は第2の剛体を表す。最終的な3D再構成は、例えば、空間的中間位置のために内挿法を使用することによって、または、内挿された中間軌道を利用した第3の再構成を使用することによって2つの3Dボリュームの組み合わせとして生成される。
【0029】
「2D X線投影データ」という用語は、補正された軌道を有する2D投影データを指し得る。
【0030】
任意選択的に、装置は、動き補償された3D再構成データをユーザに表示する出力ユニットをさらに備える。
【0031】
したがって、撮像システムのユーザは改善された画像再構成を見ることができる。
【0032】
任意選択的に、第1の剛体データは頭蓋骨の初期3D再構成または解剖学的モデルを含み、前記第2の剛体データは顎(下顎骨)の初期3D再構成または解剖学的モデルを含む。
【0033】
第2の側面によれば、断層撮影X線画像再構成のための方法が提供される。方法は、
a)入力投影画像シーケンスから、第1の取得時間および第2の取得時間においてそれぞれ取得された、患者の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを取得するステップと、
b)(i)患者の関心領域内の第1の剛体の、または第1の剛体に近似する、第1の3D剛体データ、および(ii)患者の関心領域内の第2の剛体の、または第2の剛体に近似する、第2の3D剛体データを提供するステップと、
c)第1および/または第2の3D剛体データの第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成するステップと、
d)第1および/または第2の3D剛体データの第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成するステップと、
e)第1のレジストレーションおよび第2のレジストレーションに基づき、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定し、第1の剛体に対する第2の剛体の推定運動を定める相対運動ベクトル場を提供するステップと、
f)入力投影画像シーケンスの取得中の第1の剛体に対する第2の剛体の動きを補正するために相対運動ベクトル場を使用して、補正された2D X線投影データを生成するステップと、
g)補正された2D X線投影データに基づき、入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成するステップとを含む。
【0034】
第3の側面によれば、
X線源と、
X線検出器と、
第1の側面およびその全ての実施形態に係る断層撮影X線画像再構成のための装置とを備えるX線撮像システムが提供される。
【0035】
X線源は、第1の複数の取得角度から、X線放射によって関心領域を順次照射する。
【0036】
X線検出器は、それぞれ第1の取得時間および第2の取得時間において取得された患者の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを含む入力投影画像シーケンスを形成するために、第2の複数の取得角度から関心領域を介して伝播したX線放射を受け取るように構成される。
【0037】
断層撮影X線画像再構成のための装置は、X線検出器から第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを受け取り、補正された2D X線投影データに基づき、入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成する。
【0038】
任意選択的に、X線撮像システムはCアーム撮像システムである。
【0039】
任意選択的に、2D X線投影データは、軌道補正が事前適用された2D X線投影データを含む。
【0040】
第4の側面によれば、第1および/または第3の側面の処理ユニットおよび/またはシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素が提供され、前記コンピュータプログラム要素は、プロセッサおよび/またはシステムによって実行されると、第2の側面の方法を実行する。
【0041】
第5の側面によれば、第4の側面のコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0042】
以下において、「断層撮影X線画像再構成」という用語は、例えばCアームから取得された患者の関心領域の一連の2D X線投影画像を入力として受け取る画像処理アルゴリズムを指す。FBPまたはIR等のアルゴリズムを入力された一連の2D X線投影画像に適用することによって、患者の関心領域の3D画像が再構成される。したがって、「2D X線投影データ」は、発散する2次元X線ビームが患者の関心領域を通って2次元X線検出器に向かう、「コーンビームCT」等の取得アプローチを使用して取得される。
【0043】
以下において、「2D X線投影データ」とは少なくとも、X線検出器から受け取られるピクセル値(X線強度および/またはエネルギーをトラッキングする)を指し、これらのピクセル値は、取得システムのジオメトリ、線源、検出器および/またはアイソセンターの位置と向き、患者および/またはテーブルの位置と向き、画像取得の時間、または画像取得の任意の関連パラメータの影響を受ける。
【0044】
以下において、「3D剛体データ」という用語は、変形がゼロまたは非常に小さい剛体を画定する3D画像の一部を指す。本願の目的のために、この用語は主に、患者の骨構造、および/または、例えば金属製である剛性のインプラントを指す。したがって、剛体の位置が別の剛体に対して3D画像内で動く場合でも(例えば、神経頭蓋領域に対して下顎骨が動く)、剛体の寸法および形状は実質的に変化しない。
【0045】
以下において、「3D剛体データ」は以前に撮像されたまたは現在撮像されている物体のデータであり得る。しかし、「3D剛体データ」は、以前に撮像されたまたは現在撮像されている物体に「近似」してもよい。例えば、人間の下顎骨は、患者の母集団全体で多くの共通の側面を共有する。したがって、任意選択的に、下顎骨等の剛体のコンピュータモデルがターゲットの物体に「近似」するために使用され得る。
【0046】
以下において、「レジストレーション」という用語は少なくとも、患者の関心領域の2D X線投影画像を、患者の関心領域の3D画像の投影、または患者の関心領域に近似するモデルと位置合わせするプロセスを指す。当業者は、多くの異なるレジストレーションアルゴリズムが適用可能であることを理解するであろうが、効果は、3D画像内の構造を通して2D X線投影画像の平面に投影することである。投影された2D画像内の投影された構造と、2D X線投影画像内の同じ構造の間の最初のマッチングが行われ得る。投影角度を微調整することで、3D画像内および2D X線投影画像内の構造の位置の誤差を特定し、位置合わせを改善させることができる。
【0047】
以下において、「補正された2D X線投影データ」という用語は、撮像システムおよびその各要素の位置および向きを補正するために、画像取得時点での撮像対象物体に対して取得ジオメトリが変更された1つまたは一連の2D X線投影画像を指す。
【0048】
「補正された2D X線投影データ」という用語はまた、シーケンスの取得時間中の3D剛体の動きに対して補正をするために、ピクセルのサブセットが位置、強度、またはテクスチャ等において調整された1つまたは一連の2D X線投影画像を指し得る。
【0049】
一般的に、「補正された2D X線投影データ」という用語は、2Dデータと、対応する再構成された3Dデータの間の一貫性を改善するために調整された2D X線投影データを指し得る。
【0050】
以下において、「動き補償された3D再構成データ」という用語は、改善された関心領域の2D X線投影画像シーケンスに基づいて3D再構成が実行された結果として、より少ないアーチファクトを有する患者の関心領域の改善された3D画像を指す。2D X線投影画像に適用される改善の一例は、物体の動きに起因して、物体と撮像システムとの間の相対的な空間関係を誤って表し得る、2D X線投影画像の画像取得ジオメトリを調整することである。別の例は、一連の2D X線投影画像の取得中の患者の動き(例えば、顎の動き)の結果として誤った場所に位置する2D X線投影画像内の構造物を動かすことである。
【0051】
したがって、本技術の基本的なアイデアは、2D X線投影シーケンスの取得中にROI内の剛体が別の剛体に対して動いたことを特定することである。剛体の動きは、補正された2D X線投影シーケンスを提供することによって補償される。補正された2D X線投影シーケンスの再構成により、患者の関心領域の3D画像の品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
例示的な実施形態を以下の図面を参照しながら説明する。
【
図1】
図1はCアームX線画像取得システムを示す。
【
図3】
図3は、完全な2D投影シーケンス画像取得の例、および不完全な2D投影シーケンス画像取得の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
回転Cアーム取得からの3D画像の再構成は、しばしば、Cアーム画像取得の取得時間が比較的長いことに起因して、患者の動きによる影響を受ける。Cアームにおいて取得された投影画像における患者の動きは、取得される3D画像におけるアーチファクトに変換される。例えば、通常の顎のCアーム取得は、最大30秒の持続時間を要し得る。その間、例えば、顎の振戦を有する患者は顎を上下に動かし、結果として、再構成された3D画像のかなりの部分に浸透するぼやけやアーチファクトが生じ得る。この問題に対処するために、様々な動き補償手法が開発されてきた。変形可能(deformable)動き補償は、通常、いくつかの主要なフィーチャの動き推定、および対応する、連続動きベクトル場(continuous motion vector field)の補間に依拠する。しかし、頭蓋骨などの骨構造の画像には、剛性(rigid)動き補償が適用されることが多い。
【0054】
しかし、従来の頭蓋骨への剛性動き補償の適用は、顎の動きを補償することができない。剛性動き補償では、再構成されるボリューム内の単一の完全に剛性な物体が想定される。この想定は、人間の顎の動きの場合は破られる。本願では、神経頭蓋と下顎(顎)の間の関係に関連して上記課題に対するソリューションを議論するが、同じ課題が生じる他の多くの撮像シナリオが存在することは明らかである。例えば、関心領域内に少なくとも2つの剛体が存在し、関心領域内に1つの剛体のみが含まれているという仮定に違反するために従来の方法では剛性動き補償を行うことができない可能性がある他の画像の例として、股関節領域、膝関節、肘関節、または足首関節の3D画像取得が挙げられ、本明細書に記載の技術は少なくともこれらのケースに適用可能である。
【0055】
したがって、関心領域内の2つの分かれている別個の剛性画像領域に対して別々に剛性動き補償を適用することにより、この問題を解決することが一般的に提案される。例えば、神経頭蓋および下顎は、それぞれ、関心領域内の第1の剛体および第2の剛体であると考えることができる。
【0056】
図1は、Cアーム取得スイート10(X線撮像システム)を示す。「コーンビームコンピュータ断層撮影」技術(CBCT)を適用するCアーム取得システムは一般的な3D画像取得技術であるが、画像取得技術はこの取得技術に限定されないことに留意されたい。
【0057】
Cアーム取得スイート10は、Cアーム取得スイートのシーリング14に取り付けられたCアーム12を含む。Cアーム12は、回転可能な方位角接続部12aによってシーリング14に取り付けられ、回転可能なベアリング12bが傾斜方向における自由度を提供する。X線源12cは、X線検出器12d(任意選択的にDFP(digital flat panel)検出器である)に面するCアーム12の第1の端部に配置される。検査領域16はX線源12cとX線フラットパネル検出器12dの間に設けられる。検査領域16内の物体(例えば、患者の頭部)に対するX線源12cおよびX線検出器12dの角度に応じて、Cアーム12が検査領域16の周りの軌道内で動かされるに連れて2D X線投影画像のシーケンスが取得され得る。2D X線投影画像のシーケンスは、2D X線投影画像シーケンスに対して断層撮影再構成アルゴリズムを適用するように構成された、したがって、検査領域16内の患者の関心領域の3D画像を提供するように、かつ任意選択的に表示するように構成された装置18に提供される。典型的には、装置18は、FBPアルゴリズムまたはIRアルゴリズムを適用して、患者の関心領域の3D画像を取得する(ただし、他の多くのそのような断層撮影再構成アルゴリズムも適用され得る)。
【0058】
図2は人間の頭部の側面図を示す。人間の頭部は多くの連結された骨構造で構成されているが、本願のためには、神経頭蓋20を形成する連結された骨のネットワークが第1の剛性構造を形成し、下顎22が第2の剛性構造を形成することを考慮するだけで十分である。下顎22は顎関節24を介して神経頭蓋20に接続される。第1の剛体(神経頭蓋20)は第1の基準フレームを有し、第2の剛体(下顎22)は第2の基準フレームを有すると考えることができる。これらは互いに整列されているか、または、第2の剛体22が第1の剛体20に対して動くにつれて互いに角度が離れ得る。
【0059】
図3a)は、例えばCアームを使用して取得され得る2D X線投影画像のシーケンスから取られた2つのフレームの概略図を示す。時間t
1においてCアーム幾何学的角度θ
1,φ
1で取得された第1のフレーム26は、(明瞭さのために、全体を通して解剖学的に正確ではなく模式的に描かれている)神経頭蓋28および下顎30の側面図の投影を提供する。時間t
1において、下顎30は上げられている。次に、Cアームシステムは時間t
N-1で自身の軌道を前進させるが、神経頭蓋28に対する下顎30の動きは生じない。したがって、時間t
N-1においてCアーム幾何学的角度θ
2,φ
2で取得された第2のフレーム32は、神経頭蓋28および下顎30の正面図の投影を提供する。患者の動きは生じていないため、下顎30は神経頭蓋28に対して第1のフレーム26と同じ位置にある。第1のフレーム26および第2のフレーム32を断層撮影再構成アルゴリズムに提供しても、フレームの下顎領域にアーチファクトは発生しない。
【0060】
図3b)は、同様の神経頭蓋36および下顎38を含む第3の2D X線投影フレーム34が時間t
1においてCアーム幾何学的角度θ
1,φ
1で撮影された場合を示す。時間t
2における第4の2D X線投影フレーム40を取得するまでの期間において、下顎38は距離δdだけ降下した。第3のX線投影フレームおよび第4のX線投影フレームを使用して3D断層撮影画像を再構成すると、ぼやけやアーチファクトが発生する。
【0061】
したがって、発明者らは、(患者の、または理想的な3Dモデルの)初期3Dモデルを使用することで、患者が動いたときに取得された2D投影画像と比較するための2D投影画像を提供し、2D画像内の剛体の位置を補正できることを発見した。これにより、より正確な3D画像を再構成することができる。
【0062】
第2の側面によれば、以下のステップを含む断層撮影画像再構成方法が提供される。
a)入力投影画像シーケンスから、第1の取得時間および第2の取得時間においてそれぞれ取得された、患者の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを取得するステップと、
b)(i)患者の関心領域内の第1の剛体の、またはこれを近似する、第1の3D剛体データ、および(ii)患者の関心領域内の第2の剛体の、またはこれを近似する、第2の3D剛体データを提供するステップと、
c)第1および/または第2の3D剛体データの第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成するステップと、
d)第1および/または第2の3D剛体データの第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成するステップと、
e)第1のレジストレーションおよび第2のレジストレーションに基づき、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定し、第1の剛体に対する第2の剛体の推定された運動を定める相対運動ベクトル場を提供するステップと、
f)入力投影画像シーケンスの取得中の第1の剛体に対する第2の剛体の動きを補正するために相対運動ベクトル場を使用して、補正された2D X線投影データを生成するステップと、
g)補正された2D X線投影データに基づき、入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成するステップ。
【0063】
【0064】
ステップa)において、任意選択的に、第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データがコーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)プロトコルを使用してCアームによって取得される。生の2D X線投影シーケンスが、例えばアーカイブファシリティまたはPACSシステム等の画像取得から保持されている場合、アルゴリズムは、例えば以前に取得されたCBCTデータに適用され得る。任意選択的に、入力投影画像シーケンスは、関心領域の周りの軌道(任意選択的に回転軌道)を完成させるCアームから取得される。なお、第1の取得時間および第2の取得時間における第1の投影画像および第2の投影画像の取得とは、第1の投影画像および第2の投影画像が、関心領域に対して異なる向きで取得されることを示唆することに留意されたい。
【0065】
ステップb)において、入力投影画像シーケンスに対して初期再構成が実行された結果として、任意選択的に、関心領域内の第1の剛体および第2の剛体の第1の3D剛体データおよび第2の3D剛体データが提供される。場合によっては、入力投影画像シーケンスの取得中の第1の剛体および/または第2の剛体の動きにより、画像アーチファクトおよび/またはぼやけが生じ得るものの、再構成された3D画像内で第1の3D剛体および第2の3D剛体を区別することが可能であり得る。第1の3D剛体データおよび第2の3D剛体データは、例えば、再構成された3D画像をセグメント化することによって取得され得る。
【0066】
任意選択的に、第1および第2の3D剛体データは、関心領域のジェネリックモデルデータから提供され得る。例えば、神経頭蓋および下顎骨は人口の大部分にわたって比較的予測可能な形状を有する。これらの形状は患者のこれらの骨に近似するが、必ずしも正確に合致しない。しかし、第1および第2の3D剛体データは、解剖学的モデルデータデータベースから先験的初期情報として提供されてもよい。
【0067】
任意選択的に、第1の3D剛体データは入力投影画像シーケンスの再構成から提供され、第2の3D剛体オブジェクトデータは解剖学的モデルデータベースから提供され得る。初期情報を提供するためのこの複合的アプローチは、再構成された初期3D画像の下顎骨領域をアーチファクトが著しく不明瞭にする一方、再構成された初期3D画像の神経頭蓋領域にはアーチファクトが存在しない状況において魅力的である可能性がある。この場合、初期3Dモデルを生成するために、神経頭蓋領域(第1の3D剛体データ)を特定するためのセグメンテーションが、下顎骨のモデル(第2の3D剛体データ)のカッティングおよびスティッチングと組み合わせて実行され得る。
【0068】
上記の方法で関心領域の初期3Dモデルを提供したのち、初期3Dモデルを「黄金基準(golden reference)」として使用し、これを通した様々な角度での投影を入力投影画像シーケンスの画像と比較することができる。第1の3D剛体データおよび第2の3D剛体データの一時的に離間された投影間の差を特定することで、第1の3D剛体に対する第2の3D剛体の相対運動を推定することができる。
【0069】
したがって、ステップc)およびd)では、そのようなレジストレーションが実行される。任意選択的に、ステップc)において、第1の3D剛体データの第1および/または第2の2D X線投影データへの第1のレジストレーションが提供される。任意選択的に、ステップd)では、第2の3D剛体データの第1および/または第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションが提供される。
【0070】
図5は、ステップc)およびd)で現れる各レジストレーションを示す。第1の3D剛体データ42および第2の3D剛体データ44を含む初期3D物体データ40の一部が提供される。さらに、(任意選択的にCアームによって取得された)入力投影画像シーケンスから第1の画像46および第2の画像48が提供される。時間t
1において取得された第1の2D X線投影データは、関心領域内の第1の剛体の第1の2D投影42’および第2の剛体の第1の2D投影44’を含む。時間t
N-nにおいて取得された第2の2D X線投影データ48は、第1の剛体の第2の2D投影42”および第2の剛体の第2の2D投影44”を含む。
図5において、記号Rは、直交座標系や極座標系等の一般的な座標系での2つの物体間のレジストレーションを指す。
【0071】
複雑なケースでは、第1の剛体および第2の剛体は、入力投影画像シーケンスの取得中に相対運動を経験する。さらに、第1の剛体および第2の剛体は、入力投影画像シーケンスの取得中にコモンモード運動を経験する可能性がある。神経頭蓋および下顎骨の例では、脊椎の動きや、患者の足が揺れることによって引き起こされる頭部全体の変位により、第1の剛体および第2の剛体の両方にそのようなコモンモード運動が導入される。コモンモード成分が存在する場合、少なくとも4つのレジストレーションを使用してこれを特定し、第1の剛体と第2の剛体との間のコモンモード運動を相殺して、第1の剛体と第2の剛体との間の相対運動を明らかにする必要がある。したがって、4つのレジストレーションとともにこの複雑なケースが
図5に示されている。しかし、4つのレジストレーションの取得および実行は本発明の定義に不可欠ではないことを強調する。なぜなら、第1の剛体および第2の剛体がコモンモード運動を経験しないか、または無視できる程度のコモンモード運動である場合(実際には、例えば、画像取得中に患者が比較的じっと立っていたり横になっていたりできる場合、または患者が検査台の上に横たわっている場合)、2つのレジストレーションを実行するだけで、第1の剛体に対する第2の剛体の動きを経時的に決定することができるからである。
【0072】
第1のレジストレーションR1において、第1の3D剛体データ42が第1の剛体の第1の2D投影42’に重ねられ得る。
【0073】
第2のレジストレーションR2において、第2の3D剛体データ44が第2の剛体の第1の2D投影44’に重ねられ得る。
【0074】
第3のレジストレーションR3において、第2の3D剛体データ44が第1の剛体の第2の2D投影44”に重ねられ得る。
【0075】
第4のレジストレーションR4において、第1の3D剛体データ42が第1の剛体の第2の2D投影42”に重ねられ得る。
【0076】
取得時間t1とt2の間での第1の剛体42のコモンモード運動は、R4-R1とR3-R2の共通成分を特定することにより(適切な座標系で)与えられ得る。
【0077】
最も単純なケースでは、コモンモード運動は存在せず(つまり、第1の2D投影42’および第2の2D投影42”は両方のフレームにおいて同じ位置にあると仮定される)、時間t1と時間tN-nの間の第1の3D剛体に対する第2の3D剛体の動きのみ特定すればよい。あるいは、コモンモード運動の成分が特定されると、コモンモード運動が減算により取り除かれ得る。
【0078】
したがって、ステップe)において、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動は、R3-R2を計算することで求められる(第1の2D X線投影データと第2の2D X線投影データの間で座標系が同じであると仮定して)。
【0079】
典型的には、第1および第2の剛体の動きは、Cアームシステムの第1および第2の変更された軌道に変換され得る。2つの変更された軌道から、第1および第2の動き補償された3D再構成が生成される。ここで、第1の再構成は第1の物体のアーチファクトが低減された再構成を提供し、第2の再構成は第2の物体のアーチファクトが低減された再構成を提供する。
【0080】
任意選択的に、単純なケースでは、ステップc)およびd)は以下を含む。
c)第1の3D剛体データの第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成するステップと、
d)第2の3D剛体データの第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成するステップ。
【0081】
図6a)は第1の2D X線投影データ46を示し、第2の剛体(例えば、下顎骨)の第1の2D投影44’が、矢印50によって示される推定相対運動場に関連付けられている。
【0082】
図6b)は、補正された第1の2D X線投影データ46’のフレームを示しており、第1の取得時間と第2の取得時間との間の第2の剛体の動きを補正して、第2の剛体の補正された2D投影44””を生成するために、ステップe)で計算された相対運動ベクトル場50が適用されている。
【0083】
ステップg)において、順逆投影(forward back-projection)、IRアルゴリズム、または他の3D画像再構成アルゴリズムが補正された2D X線投影データに適用される。本例では、入力投影画像シーケンスの2つのフレームに関連してアルゴリズムを説明したが、アルゴリズムは、任意の多数の入力投影画像(2D X線投影データ)に適用され得ることが理解されよう。
【0084】
おそらく、患者は、入力投影画像シーケンスの総取得時間よりも短い時間の間、関心領域内で動く可能性がある。
【0085】
したがって、入力投影画像シーケンスの連続するフレームに対してスライディングウィンドウが適用され得る。スライディングウィンドウ内のフレームについて、第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動の評価が提供され、スライディングウィンドウ内のフレームについて補正された2D X線投影データが計算され得る。このようにして、アルゴリズムを入力投影画像シーケンスの全てのフレームに適用する必要なく、計算労力を節約して、第1の剛体と第2の剛体との間の相対運動を補償することができる。
【0086】
任意選択的に、第1および/または第2の3D剛体データは、(i)入力投影画像シーケンスの初期3D再構成、または(ii)患者の関心領域の以前の3D撮像スキャンから取得される。
【0087】
任意選択的に、第1および/または第2の3D剛体データは解剖学的モデルのデータベースから取得される。
【0088】
任意選択的に、解剖学的モデルまたは匿名化された例示的な患者モデルのデータベース(例えば、神経頭蓋の形状や下顎骨の形状等)が、安全な外部サーバ上に提供され得る。第1および/または第2の3Dリ剛体データはそのようなデータベースから提供され得る。これは、アルゴリズムで使用される初期3D再構成がより正確であることを意味する。
【0089】
3D剛体データと、第1および第2の2D X線投影データとの間のレジストレーションの探索空間が低減される場合、レジストレーションプロセスの計算の複雑さを低減できることが理解されよう。探索空間を減らす効果的な方法は、第1の3D剛体および第2の3D剛体の動きに対する解剖学的制限を活用することである。一例として、顎関節は、神経頭蓋に対する下顎骨の動きを、例えば、垂直50°および水平20°を包囲する弧によって定められる3D剛体データのセクターに制限する。したがって、このセクターは、第1の剛体に対する第2の剛体の運動モデル事前分布(motion model prior)の一例である。
【0090】
したがって、任意選択的に以下のステップが提供される。
b1)第1および/または第2の剛体の運動モデル事前分布を提供するステップであって、運動モデル事前分布は、第1および/または第2の剛体の可能な運動軌道の全体集合のうちの部分集合を定める、ステップと、
e1)第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定するステップであって、この推定では、推定において考慮される第2の剛体の可能な運動軌跡の数を制限するために運動モデル事前分布が少なくとも部分的に使用される、ステップ。
【0091】
任意選択的に、運動モデル事前分布は、第1および第2の剛体の間の柔軟な関節のシミュレーションである。
【0092】
任意選択的に、運動モデル事前分布は顎関節のシミュレーションである。
【0093】
任意選択的に、第1および/または第2の3D剛体データの第1のレジストレーションおよび/または第2のレジストレーションは、第1 の3D剛体データおよび第2の3D剛体データの動き補償された3D再構成データにおける3D空間内の重なりは許可されないという条件によって制約される。
【0094】
ある任意選択的なレジストレーション手法では、第1のレジストレーションを生成するステップはさらに以下のステップを含む。
c1)第1の3D剛体データの順投影データを提供するステップと、
c2)順投影データと第1のX線投影データの類似性を表す類似性メトリックを生成するステップと、
c3)類似性メトリックを使用して、第1の3D解剖学的データ内の第1の剛体を第1のX線投影データに重ねるステップ。
【0095】
類似性メトリックの例は、順投影データおよび第1または第2のX線投影データ内の同じ物体の間の正規化された2D相互相関である。他の多くの類似性メトリックが生成および適用され得る。
【0096】
任意選択的に、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定するステップは以下のステップをさらに含む。
e2)第2の2D X線投影データ内の第2の剛体の後続位置を、第1の2D X線投影データ内の第2の剛体の初期位置と比較することにより、第2の剛体の第1の剛体運動曲線を特定するステップ。
【0097】
任意選択的に、第2の剛体に対する第1の剛体の動きを推定するステップは、以下のステップをさらに含む。
e3)第1の剛体および第2の剛体の間の、第1および/または第2の2D X線投影データの空間的中間部分を定めるステップと、
e4)第2の2D X線投影データ内の第1の剛体の後続位置を、第1の2D X線投影データ内の第1の剛体の初期位置と比較することにより、空間的中間部分における第1の剛体の第2の剛体運動曲線を特定するステップと、
e5)第1の剛体運動曲線および第2の剛体運動曲線の組み合わせとして剛体複合運動曲線を生成するステップ。
【0098】
任意選択的に、補正された2D X線投影データは、第2の剛体解剖学的データの運動ベクトル場にのみ基づいて生成される。
【0099】
任意選択的に、撮像ジオメトリに対する第1の剛体および第2の剛体の絶対運動を推定し、撮像ジオメトリに対する第1の剛体および第2の剛体の推定運動を定める絶対運動ベクトル場を提供するステップと、
f1)相対運動ベクトル場と合わせて絶対運動ベクトル場をさらに使用して、補正された2D X線投影データを生成するステップ。
【0100】
任意選択的に、以下のステップが存在する。
h)動き補償された3D再構成データをユーザに表示するステップ。
【0101】
任意選択的に、第1の剛体解剖学的データは頭蓋骨の初期3D再構成(または解剖学的モデル)を含み、第2の剛体解剖学的データは顎の初期3D再構成(または解剖学的モデル)を含む。
【0102】
上記の各ステップの基本的な説明は以下の通りである。
【0103】
1)第1の剛体(下顎)の3Dモデルの初期再構成、および第2の剛体(神経頭蓋)の対応するモデルが回転投影シーケンスから作成されるか、またはモデルデータベースから読み取られる。第2の剛体の初期再構成が第1の剛体の3Dモデルと組み合わせられてもよい。患者が引き起こす第1の剛体と第2の剛体との間の相対運動に起因して、下顎領域の初期構成は十分に正確ではないおそれがあるので、多くの場合、下顎の3Dモデルの使用が必要になり得る。
【0104】
2)第1の剛体および第2の剛体は、適切な類似性メトリック(例えば、モデルの順投影や、正規化された2D相互相関)を使用して、回転シーケンスの各2D投影に重ねられる。
【0105】
3)第1の剛体および第2の剛体の推定運動に基づき、運動ベクトル場が計算される。これにより、物体までの3D距離に依存して、2つの剛性運動曲線うちの1つから局所的運動ベクトルが計算される。
【0106】
任意選択的に、2つの物体からの運動情報が別々に使用される2つの専用3D領域が定められてもよい。第1の物体と第2の物体の間の中間領域では、2つの剛性運動曲線の組み合わせに基づいて運動ベクトルが計算され得る。
【0107】
任意選択的に、第1の剛体の主要部分の動きはCアームシステムの変更された軌道に変換され、一方、第2の剛体の動きは、任意の軌道からの動き補償された再構成のための唯一の相対運動ベクトル場であり続ける。この場合、運動ベクトル場の補間は必要ない。
【0108】
この場合、第1の物体に対応する空間領域を第1の動き補償された3D再構成から使用し、第2の物体に対応する空間領域を第2の動き補償された3D再構成から使用することにより、2つの再構成を、統合された動き補償された3D再構成に組み合わせることができる。任意選択的に、中間空間位置は補間されてもよく、あるいは、Cアームシステムの中間の変更された軌道に基づき、または中間運動ベクトル場もしくは補間された運動ベクトル場に基づき、任意の数のさらなる動き補償された再構成から抽出され得る。
【0109】
4)運動ベクトル場に基づいておよび/または撮像システムの変更された軌道に基づいて、動き補償された3D再構成が計算される。
【0110】
任意選択的に、2D/3Dレジストレーション中に、2つの剛体構造は、顎関節と同様の自由度を持つ柔軟な関節で接続され得る。これにより、2D/3Dレジストレーションの自由度が低減され、よって、アルゴリズムの一般的な適用可能性を制限することなく、アルゴリズムのロバストネス、速度、および精度が向上させることができる。
【0111】
任意選択的に、2つの剛体構造の相対運動に対して追加の制約が実装され得る。構造体同士の3D空間での重なりが制限され得る。
【0112】
任意選択的に、投影ベースのレジストレーションの代わりに、2つの剛体構造を使用して、画像アーチファクトフィーチャに基づく動き補償が実行され得る。この場合、画像ボリューム内の画像アーチファクトフィーチャ(例えば、エントロピー)は、第1の剛体および第2の剛体の剛性運動パラメータを最適化することによって最小化される。
【0113】
本発明の第1の側面によれば、断層撮影画像再構成のための装置50が提供される。装置は、
入力ユニット52と、
処理ユニット54とを備える。
【0114】
入力ユニットは、入力投影画像シーケンスから、第1の取得時間および第2の取得時間においてそれぞれ取得された物体の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを取得するように構成され、また、入力ユニットは、(i)患者の関心領域内の第1の剛体の、または第1の剛体に近似する、第1の3D剛体データ、および(ii)患者の関心領域内の第2の剛体の、または第2の剛体に近似する、第2の3D剛体データを提供するように構成される。
【0115】
処理ユニットは、第1および/または第2の3D剛体データの第1の2D X線投影データへの第1のレジストレーションを生成し、第1および/または第2の3D剛体データの第2の2D X線投影データへの第2のレジストレーションを生成し、第1の取得時間と第2の取得時間との間に生じる第1の剛体に対する第2の剛体の相対運動を推定し、第1のレジストレーションおよび第2のレジストレーションに基づき、第1の剛体に対する第2の剛体の推定運動を定める相対運動ベクトル場を提供し、入力投影画像シーケンスの取得中の第1の剛体に対する第2の剛体の動きを補正するために、相対運動ベクトル場を使用して補正された2D X線投影データを生成し、補正された2D X線投影データに基づき、入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成するように構成される。
【0116】
任意選択的に、装置は、動き補償された3D再構成をユーザに表示するための出力ユニット56を備える。例えば、出力ユニット56はコンピュータディスプレイであってもよい。当然ながら、出力ユニットは、動き補償された3D再構成を別のコンピュータまたは表示ユニットに送信するように構成されたデータ通信手段であり得る。任意選択的に、動き補償された3D再構成は、ハンドヘルドディスプレイに安全に送信されてもよく、あるいはPACSサーバ等の安全なデータストレージ手段に提供されてもよい。
【0117】
図7は、第1の側面およびその任意選択的な実施形態に係る装置50を示す。
【0118】
任意選択的に、装置は、コンピュータ(任意選択的に、グラフィックス処理ユニットとともに構成される)として、または例えばFPGA(field programmable gate array)もしくはASIC(application-specific integrated circuit)において修正された特定機能ハードウェアとして提供される。あるいは、装置は、例えば、PACSシステム内の集中サーバ上に提供され得る。入力ユニット52は、入力投影画像シーケンス、ならびに第1の3D剛体データおよび第2の3D剛体データを受け取るように構成される。しかし、当業者は、そのようなデータを受け取るように機能可能な広範囲のデバイスを理解するであろう。例えば、入力ユニットは、X線断層撮影またはCアーム取得システムへの接続を含み得る。任意選択的に、入力ユニットは、モデム、LANもしくはWAN接続、または別のデータ通信手段を含み得る。任意選択的に、装置50は出力ユニット56を備え得る。出力ユニットは、例えば、コンピュータモニタ上に動き補償された3D再構成データを表示することを可能にするグラフィックディスプレイカードであり得る。任意選択的に、出力ユニットは、例えば、動き補償された3D再構成データを安全なLAN、WANを介して通信したり、またはCD-ROM、DVD-ROM、USBドライブ、ポータブルハードドライブ、もしくはポータブルテープドライブ等に書き込むことを可能にするデータ通信手段を含む。
【0119】
任意選択的に、装置は、「発明の概要」の項で説明された第1の側面の実施形態を少なくとも含み得る。
【0120】
第3の側面によれば、X線撮像システム10が提供される。システムは、
X線源12cと、
X線検出器12dと、
第1の側面およびその全ての実施形態に係る断層撮影X線画像再構成のための装置18とを備える。
【0121】
X線源12cは、第1の複数の取得角度から、X線放射によって関心領域16を順次照射するように構成される。
【0122】
X線検出器12dは、それぞれ第1の取得時間および第2の取得時間において取得された患者の関心領域の第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを含む入力投影画像シーケンスを形成するために、第2の複数の取得角度から関心領域16を介して伝播したX線放射を受け取るように構成される。
【0123】
断層撮影X線画像再構成のための装置18は、X線検出器12dから第1の2D X線投影データおよび第2の2D X線投影データを受け取り、補正された2D X線投影データに基づき、入力投影画像シーケンスの動き補償された3D再構成データを生成するように構成される。
【0124】
第4の側面によれば、第1および/または第3の側面の処理ユニットおよび/またはシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素が提供され、前記コンピュータプログラム要素は、プロセッサおよび/またはシステムによって実行されると、第2の側面の方法を実行する。
【0125】
第5の側面によれば、第4の側面のコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読媒体が提供される。
【0126】
したがって、コンピュータプログラム要素は、本発明の実施形態であり得るコンピュータユニットに保存されてもよい。このコンピューティングユニットは、上記方法のステップを実行するよう、またはその実行を誘導するよう構成され得る。
【0127】
さらに、上記装置の構成要素を操作するよう構成されてもよい。
【0128】
コンピューティングユニットは、自動的に動作するようにかつ/またはユーザの指示を実行するように構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされてもよい。したがって、データプロセッサは、本発明の方法を実行するよう構成されてもよい。
【0129】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を備えるコンピュータプログラム、および、更新によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変更するコンピュータプログラムの両方をカバーする。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共にまたは他のハードウェアの一部として供給される光学記憶媒体またはソリッドステート媒体等の適切な媒体上で記憶および/または分配されてもよいし、インターネット又は他の有線もしくは無線テレコミュニケーションシステムを介して等の他の形態で分配されてもよい。
【0130】
しかし、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提供され、かかるネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。本発明の他の例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロード可能にするための媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本発明の上記実施形態の1つによる方法を実行するように構成される。
【0131】
本発明の実施形態は、異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。特に、一部の実施形態は方法タイプのクレームを参照して記載される一方、他の実施形態は装置タイプのクレームを参照して記載される。しかし、当業者は上記および下記の説明から、特に明記されない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の他の組み合わせが本願に開示されていると解されることを理解するであろう。
【0132】
特徴の単純な相加以上の相乗効果を提供するよう全ての特徴が組み合わせ可能である。
【0133】
本発明は、図面及び上記において詳細に図示及び記載されているが、かかる図示および記載は説明的または例示的であり、非限定的であると考えられるべきである。本発明は、開示の実施形態に限定されない。
【0134】
開示の実施形態の他の変形例が、図面、開示、および従属請求項から、クレームされる発明に係る当業者によって理解および実施され得る。
【0135】
特許請求の範囲において、「含む」という用語は他の要素またはステップを排除するものではなく、単数形は複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、請求項に記載される複数のアイテムの機能を果たし得る。複数の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているからといって、これらの手段の組み合わせが好適に使用することができないとは限らない。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。