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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】自動二輪車
(51)【国際特許分類】
   B62J 37/00 20060101AFI20220104BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20220104BHJP
   B62K 11/04 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B62J37/00 B
B62J35/00 C
B62K11/04 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017223369
(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公開番号】P2019093826
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 正悟
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-131122(JP,U)
【文献】特開2007-008434(JP,A)
【文献】特開平04-038281(JP,A)
【文献】特開2018-103873(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105365961(CN,A)
【文献】米国特許第07025082(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 37/00
B62K 11/04
B62J 35/00
B62J 23/00
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ部、前記ヘッドパイプ部から下方に傾斜しながら後方へ延びる左右一対のメインフレーム部、前記ヘッドパイプ部から前記メインフレーム部よりも下方に延びるダウンフレーム部、及び、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部とを連結するブリッジフレーム部を有する車体フレームと、
前記メインフレーム部に支持された燃料タンクと、
前記燃料タンクに流入チューブを介して接続されて蒸発燃料を貯留するキャニスタと、を備え、
前記キャニスタは、前後方向に延びる車体中心線に対して車幅方向一側に配置されていると共に、側面視及び正面視において、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されている、自動二輪車。
【請求項2】
前記キャニスタは、側面視において前記メインフレーム部に沿うように配置されている、請求項1に記載の自動二輪車。
【請求項3】
ヘッドパイプ部、前記ヘッドパイプ部から下方に傾斜しながら後方へ延びる左右一対のメインフレーム部、前記ヘッドパイプ部から前記メインフレーム部よりも下方に延びるダウンフレーム部、及び、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部とを連結するブリッジフレーム部を有する車体フレームと、
前記メインフレーム部に支持された燃料タンクと、
前記燃料タンクに流入チューブを介して接続されて蒸発燃料を貯留するキャニスタと、を備え、
前記キャニスタは、前後方向に延びる車体中心線に対して車幅方向一側に配置されていると共に、側面視において、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されており、
前記キャニスタの後端部に接続されたドレンチューブを更に備え、
前記キャニスタは、上面視において、前記キャニスタの後端部が車幅方向内側を向くように前記一対のメインフレーム部の一方と交差している、自動二輪車。
【請求項4】
前記流入チューブは、前記キャニスタの前端部から車幅方向内方に向けて導出されている、請求項3に記載の自動二輪車。
【請求項5】
前記自動二輪車において、前方から見て前記キャニスタが視認可能なように前記キャニスタが前方に向けて開放された状態で配置されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動二輪車。
【請求項6】
前記燃料タンクの下方に配置された空冷式のエンジンを更に備え、
前記キャニスタの全体が、前記エンジンの上端よりも上方かつ前方に配置されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動二輪車。
【請求項7】
前輪の上方に配置されたフロントフェンダを更に備え、
前記キャニスタは、前記フロントフェンダの後端縁よりも上方に配置されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自動二輪車。
【請求項8】
前記キャニスタを車幅方向外側から覆うシュラウドを更に備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の自動二輪車。
【請求項9】
ヘッドパイプ部、前記ヘッドパイプ部から下方に傾斜しながら後方へ延びる左右一対のメインフレーム部、前記ヘッドパイプ部から前記メインフレーム部よりも下方に延びるダウンフレーム部、及び、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部とを連結するブリッジフレーム部を有する車体フレームと、
前記メインフレーム部に支持された燃料タンクと、
前記燃料タンクに流入チューブを介して接続されて蒸発燃料を貯留するキャニスタと、を備え、
前記キャニスタは、前後方向に延びる車体中心線に対して車幅方向一側に配置されていると共に、側面視において、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されており、
前記左右一対のメインフレーム部は、上面視において、後方かつ左右方向外方に向けて延びるメインフレーム前部分と、前記メインフレーム前部分から前後方向に沿って後方に延びるメインフレーム後部分とを有し、
前記キャニスタは、上面視において、前記メインフレーム前部分と重なる、自動二輪車。
【請求項10】
ヘッドパイプ部、前記ヘッドパイプ部から下方に傾斜しながら後方へ延びる左右一対のメインフレーム部、前記ヘッドパイプ部から前記メインフレーム部よりも下方に延びるダウンフレーム部、及び、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部とを連結するブリッジフレーム部を有する車体フレームと、
前記メインフレーム部に支持された燃料タンクと、
前記燃料タンクに流入チューブを介して接続されて蒸発燃料を貯留するキャニスタと、を備え、
前記キャニスタは、前後方向に延びる車体中心線に対して車幅方向一側に配置されていると共に、側面視において、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されており、
前記キャニスタの重心は、前方から見て、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されている、自動二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発燃料を貯留するキャニスタを備えた自動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンクからの蒸発燃料を大気中に放出しないように捕集するキャニスタを搭載した自動二輪車が開示されている。この自動二輪車では、メインフレーム(タンクレール)とダウンフレームとを連結するブリッジフレームに固定されたエンジンマウンティングに取り付けられたステーにキャニスタが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-38281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この構成では、キャニスタがブリッジフレームに対して車幅方向外側かつ下側に配置されているため、外力から保護しづらい。また、自動二輪車では部品の配置スペースが限られており、キャニスタの効果的な配置が望まれる。
【0005】
そこで本発明は、キャニスタの保護や部品配置効率の向上などを同時に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自動二輪車は、ヘッドパイプ部、前記ヘッドパイプ部から下方に傾斜しながら後方へ延びる左右一対のメインフレーム部、前記ヘッドパイプ部から前記メインフレーム部よりも下方に延びるダウンフレーム部、及び、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部とを連結するブリッジフレーム部を有する車体フレームと、前記メインフレーム部に支持された燃料タンクと、前記燃料タンクに流入チューブを介して接続されて蒸発燃料を貯留するキャニスタと、を備え、前記キャニスタは、前後方向に延びる車体中心線に対して車幅方向一側に配置されていると共に、側面視において、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されている。
【0007】
前記構成によれば、キャニスタを各フレーム部で囲みながらも、他部品の配置スペースを占有することなくキャニスタを燃料タンクの近くに配置できる。よって、キャニスタの保護、部品配置効率の向上、及び流入チューブの長尺化の防止を同時に実現できる。
【0008】
前記キャニスタは、側面視において前記メインフレーム部に沿うように配置されていてもよい。
【0009】
前記構成によれば、キャニスタを狭空間に効率良く配置することができる。
【0010】
前記キャニスタの後端部に接続されたドレンチューブを更に備え、前記キャニスタは、上面視において、前記キャニスタの後端部が車幅方向内側を向くように前記一対のメインフレーム部の一方と交差していてもよい。
【0011】
前記構成によれば、ドレンチューブが車幅方向内側に向けられるので、ドレンチューブを無理に屈曲させることなくブリッジフレーム部を迂回できる。また、ドレンチューブがメインフレーム部から離れるので、ドレンチューブがメインフレーム部の溶接ビード等に擦れることを防止できる。
【0012】
前記流入チューブは、前記キャニスタの前記前端部から車幅方向内方に向けて導出されていてもよい。
【0013】
前記構成によれば、キャニスタの前端部がメインフレーム部に対して車幅方向外側に向けられるので、流入チューブを無理に屈曲させることなくメインフレーム部を迂回して燃料タンクに向けて延設することができる。
【0014】
前記自動二輪車において、前方から見て前記キャニスタが視認可能なように前記キャニスタが前方に向けて開放された状態で配置されていてもよい。
【0015】
前記構成によれば、前方からの走行風がキャニスタに直接当たるので、エンジンからの熱でキャニスタが昇温してもキャニスタを自然に冷却できる。
【0016】
前記燃料タンクの下方に配置された空冷式のエンジンを更に備え、前記キャニスタの全体が、前記エンジンの上端よりも上方かつ前方に配置されていてもよい。
【0017】
前記構成によれば、キャニスタがエンジンよりも前方に配置されても、キャニスタがエンジンよりも上方に位置するので、キャニスタがエンジンに向かう走行風を阻害せず、走行風によるエンジンの空冷効率を良好に保つことができる。
【0018】
前輪の上方に配置されたフロントフェンダを更に備え、前記キャニスタは、前記フロントフェンダの後端縁よりも上方に配置されていてもよい。
【0019】
前記構成によれば、前輪が跳ね上げる泥水等がキャニスタに被るのを防止できる。
【0020】
前記キャニスタを車幅方向外側から覆うシュラウドを更に備えていてもよい。
【0021】
前記構成によれば、キャニスタの保護を図りつつ美観を向上させることができる。
【0022】
前記左右一対のメインフレーム部は、上面視において、後方かつ左右方向外方に向けて延びるメインフレーム前部分と、前記メインフレーム前部分から前後方向に沿って後方に延びるメインフレーム後部分とを有し、前記キャニスタは、上面視において、前記メインフレーム前部分と重なっていてもよい。
【0023】
前記構成によれば、上方からの外力からキャニスタを好適に保護できると共に自動二輪車の車幅を細くし易い。
【0024】
前記キャニスタの重心は、前方から見て、前記メインフレーム部と前記ダウンフレーム部と前記ブリッジフレーム部とで囲まれる領域に配置されていてもよい。
【0025】
前記構成によれば、キャニスタの保護を図りながらキャニスタを効率良く配置することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、キャニスタの保護や部品配置効率の向上などを同時に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2図1に示す自動二輪車の要部の拡大側面図である。
図3図2に示す自動二輪車の要部の左斜め前から見た斜視図である。
図4図2に示す自動二輪車の車体フレームとキャニスタとの位置関係を示す上面図である。
図5図2に示す自動二輪車の前方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0029】
図1は、実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。図1に示すように、自動二輪車1は、不整地を走行可能なモトクロスタイプのものである。自動二輪車1は、前輪2、後輪3及び車体フレーム4を備える。車体フレーム4は、ヘッドパイプ部5、左右一対のメインフレーム部6、ダウンフレーム部7、ロアフレーム部8、ピボットフレーム部9、及び、ブリッジフレーム部10を有する。車体フレーム4は、各フレーム要素が互いに溶接で接合されてなる。
【0030】
ヘッドパイプ部5は、上下方向に軸線を有する筒状体である。左右一対のメインフレーム部6は、ヘッドパイプ部5の上部から下方に傾斜しながら後方へ延びている。ダウンフレーム部7は、ヘッドパイプ部5の下部からメインフレーム部6よりも下方に延びている。ロアフレーム部8は、ダウンフレーム部7の下部から側面視で略L字状に湾曲して後方に延びている。ピボットフレーム部9は、メインフレーム部6の後部とロアフレーム部8の後部とを連結している。ブリッジフレーム部10は、メインフレーム部6とダウンフレーム部7とをガセット状に連結している。メインフレーム部6及びダウンフレーム部7は、ヘッドパイプ部5に対して溶接により接合されている。ブリッジフレーム部10は、メインフレーム部6及びダウンフレーム部7に対して溶接による接合されている。即ち、車体フレーム4の外面には溶接ビードが存在する。
【0031】
ヘッドパイプ部5には、ステアリング軸11が回転自在に挿通されている。ステアリング軸11の上部にはアッパーブラケット31が設けられ、ステアリング軸11の下部にはアンダーブラケット32が設けられる。アッパーブラケット31にはバー型のハンドル12が取り付けられている。アッパーブラケット31及びアンダーブラケット32には、フロントフォーク13の上部が接続されており、フロントフォーク13の下部が前輪2を回転自在に支持している。前輪2の上方には、フロントフェンダ14が配置されている。ライダーがハンドル12を回動させることでステアリング軸11及びフロントフォーク13を介して前輪2が操舵される。
【0032】
ピボットフレーム部9には、略前後方向に延びるスイングアーム15の前部が枢支されており、スイングアーム15の後部に駆動輪である後輪3が回転自在に支持されている。スイングアーム15とピボットフレーム部9の上部との間には、略上下方向に延びるリヤサスペンション16が介設されている。メインフレーム部6、ダウンフレーム部7、ロアフレーム部8及びピボットフレーム部9により囲まれた空間にはエンジンEが配置され、車体フレーム4の各部に固定されている。エンジンEは、空冷式エンジンである。そのため、エンジンEの前方にはラジエータが設けられていない。
【0033】
エンジンEは、クランクケース部Eaと、クランクケース部Eaの上部から上方に向けて延びたシリンダ部Ebとを有し、クランクケース部Eaの後部には変速機TMが収容されている。変速機TMの出力軸(図示せず)は、動力伝達部材17(例えば、チェーンやベルト)を介して後輪3に動力を伝達する。エンジンEのシリンダ部Ebの後部に形成された吸気ポートEcには、後方に延びる吸気管を介してスロットル装置19が接続されている。スロットル装置19の後部には吸気ダクト20が接続され、吸気ダクト20の後部にはエアクリーナ21が接続されている。
【0034】
左右一対のメインフレーム部6の間の空間には、メインフレーム部6に支持された状態で燃料タンク22が設けられている。燃料タンク22は、メインフレーム部6よりも上方に突出している。燃料タンク22の後方には、ライダーが跨って着座するシート23が配置されている。シート23の下方で且つエアクリーナ21の後方には、後輪3の上方に位置するリヤフェンダ24が設けられている。ヘッドパイプ部5の後方には、燃料タンク22の蒸発燃料を貯留するキャニスタ25が配置されている。キャニスタ25は、フロントフェンダ14の後端縁よりも上方に配置されるので、前輪2が跳ね上げる泥水等がキャニスタ25に被ることが防止される。また、キャニスタ25は、車幅方向外側からシュラウド26により覆われている。このシュラウド26により、キャニスタ25の保護が図られると共に自動二輪車1の美観も向上する。
【0035】
図2は、図1に示す自動二輪車1の要部の拡大側面図である。図3は、図2に示す自動二輪車1の要部の左斜め前から見た斜視図である。図2及び3に示すように、キャニスタ25は、車幅方向一側(例えば、左側)に配置されている。キャニスタ25の前端には、流入ポート25a及び流出ポート25bが設けられている。流入ポート25aには、燃料タンク22に上流端が接続された流入チューブ27の下流端が接続されている。これにより、燃料タンク22で発生した蒸発燃料が、流入チューブ27を介してキャニスタ25に導かれる。流出ポート25bには、流出チューブ28の上流端が接続され、流出チューブ28の下流端がエンジンEへの吸気通路(例えば、スロットル装置19)に接続されている。これにより、キャニスタ25からの燃料がエンジンEに供給する混合気として利用される。
【0036】
キャニスタ25は、側面視において、ヘッドパイプ部5とメインフレーム部6とダウンフレーム部7とブリッジフレーム部10とで囲まれた略三角形状の領域Sに配置されている。一例として、キャニスタ25の全体が、側面視において、ヘッドパイプ部5とメインフレーム部6とダウンフレーム部7とブリッジフレーム部10とで囲まれた領域Sに収まっている。キャニスタ25は、側面視においてメインフレーム部6に沿うように配置されている。具体的には、キャニスタ25は前端から後端に向けて長い長尺形状を有し、キャニスタ25の長手方向に延びる軸線Lが、側面視においてメインフレーム部6と平行に配置されている。本実施形態のキャニスタ25は、円筒形状を有する。
【0037】
キャニスタ25の流入ポート25a及び流出ポート25bは、車幅方向内方に向けて開口している。流入チューブ27及び流出チューブ28は、キャニスタ25の前端から車幅方向内方に向けて延出し、ヘッドパイプ部5の後側の空間に配策されている。キャニスタ25の後端には、ドレンチューブ29の上流端が接続されている。ドレンチューブ29は、メインフレーム部6の車幅方向内側において後方に向けて延びており、ドレンチューブ29の下流端はエンジンEよりも後方に配置されている。また、メインフレーム部6、ダウンフレーム部7、ブリッジフレーム部10及びキャニスタ25の各々の少なくとも一部は、シュラウド26により側方から覆われている。
【0038】
このような構成により、キャニスタ25は、ヘッドパイプ部5、メインフレーム部6、ダウンフレーム部7及びブリッジフレーム部10やシュラウド26により好適に保護することができる。更に、キャニスタ25は、他部品の配置スペースを占有することなく燃料タンク22の近くの狭空間に配置されるので、部品配置効率が飛躍的に向上する。
【0039】
キャニスタ25の全体は、エンジンEの上端よりも上方に配置されている。エンジンEの上端は、ブリッジフレーム部10よりも下方に位置する。キャニスタ25は、その前端が上方を向くように前方かつ上方に向けて傾斜している。そのため、流入チューブ27及び流出チューブ28は、エンジンEから鉛直方向に十分に距離をあけて配置される。よって、流入チューブ27及び流出チューブ28が、エンジンEが放射する熱により過熱されることが防がれる。
【0040】
図4は、図2に示す自動二輪車1の車体フレーム4とキャニスタ25との位置関係を示す上面図である。図4に示すように、左右一対のメインフレーム部6は、上面視において、ヘッドパイプ部5から後方かつ車幅方向外方に向けて延びる左右一対のメインフレーム前部分6aと、各メインフレーム前部分6aから前後方向に沿って後方に延びるメインフレーム後部分6bとを有する。キャニスタ25は、前後方向に延びる車体中心線Cに対して車幅方向一側(例えば、左側)に配置されている。具体的には、キャニスタ25は、上面視において、メインフレーム前部分6aと重なる位置に配置されている。これにより、上方からの外力からキャニスタ25をメインフレーム部6で好適に保護できると共に、自動二輪車1の車幅寸法を細くし易くなる。
【0041】
キャニスタ25は、その前端が車幅方向外方に向くように前後方向に対して斜めに傾斜している。キャニスタ25の前端は、メインフレーム前部分6aよりも車幅方向外側に位置している。これにより、キャニスタ25の流入ポート25a及び流出ポート25bから車幅方向内方に延びる流入チューブ27及び流出チューブ28の配置スペースが狭くなることが防がれ、流入チューブ27及び流出チューブ28を無理なく湾曲させることができる。
【0042】
キャニスタ25の後端は、メインフレーム前部分6aよりも車幅方向内側に位置している。そのため、キャニスタ25の後端に接続されたドレンチューブ29は、車幅方向内側に向けられる。これにより、ドレンチューブ29は、無理に屈曲させられることなくブリッジフレーム部10等を迂回できると共に、ドレンチューブ29がメインフレーム部6から自然に離間し、ドレンチューブ29がメインフレーム部6の溶接ビード等に擦れることも防止される。
【0043】
キャニスタ25は前方かつ上方に向けて延びているので、キャニスタ25の前端は上方を向くことになる。そのため、組立作業者は、上方から見て流入ポート25a及び流出ポート25bが視認でき、流入チューブ27及び流出チューブ28のキャニスタ25への組付け作業が容易になる。
【0044】
図5は、図2に示す自動二輪車1の前方から見た正面図である。図5に示すように、キャニスタ25の重心Gは、前方から見て、メインフレーム部6とダウンフレーム部7とブリッジフレーム部10とで囲まれる領域に配置されている。前方から自動二輪車1を見たときにキャニスタ25が視認可能なように、キャニスタ25は前方に向けて開放された状態で配置されている。即ち、自動二輪車1において、キャニスタ25は前方から見た正面視で露出している。そのため、前方からの走行風がキャニスタ25に直接当たり、エンジンEからの熱でキャニスタ25が昇温してもキャニスタ25を自然に冷却できる。また、キャニスタ25の全体が、エンジンEの上端よりも上方に位置しているので、空冷式のエンジンEの空冷を阻害することも防止される。
【符号の説明】
【0045】
1 自動二輪車
4 車体フレーム
5 ヘッドパイプ部
6 メインフレーム部
6a メインフレーム前部分
6b メインフレーム後部分
7 ダウンフレーム部
10 ブリッジフレーム部
14 フロントフェンダ
22 燃料タンク
25 キャニスタ
26 シュラウド
27 流入チューブ
28 流出チューブ
29 ドレンチューブ
E エンジン
S 領域
図1
図2
図3
図4
図5