(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】カッティングマシン用ローダーアンローダー装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/34 20060101AFI20220104BHJP
B65H 31/12 20060101ALI20220104BHJP
B65H 1/14 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B65H29/34
B65H31/12
B65H1/14 322B
(21)【出願番号】P 2017158304
(22)【出願日】2017-08-20
【審査請求日】2020-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】712013970
【氏名又は名称】岩本 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】岩本裕彦
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-009324(JP,U)
【文献】特開昭61-081338(JP,A)
【文献】特開平07-238413(JP,A)
【文献】実開昭62-189344(JP,U)
【文献】特開平07-223731(JP,A)
【文献】特表2010-526681(JP,A)
【文献】特開平10-119149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00
B65H 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッティングマシンへ投入される前の材料シートを積載する下段リフターと、カッター機から搬出されてくるカット済シートを積載する上段リフターとを備えたカッティングマシン用ローダーアンローダー装置であって、
それぞれのリフターが積載シートの上面位置と、カッティングマシンの搬入出位置とに関連して高さ調整できる制御機構を含み、下段リフターの最上に位置する材料シートをカッター機に供給するローダー機構を備え、カッティング機から搬出されてくるカット済シートを受取って前記上段リフター上に順次と積上げていくアンローダー機構を備え、
前記アンローダー機構は、前記カット済シートの幅を超えて延在し、その両端を任意の駆動機構に連結して前記搬送方向に往復動するクロスバーを備え、該クロスバーに一端が取りつけられ他端はフリーの状態にした大判の薄膜を設け、前記クロスバーの移動に伴って薄膜の上面で前記カット済シートを受取り、薄膜の下面側を積載済みシートの上面で支持した状態で搬送し、積上げ場所まで搬送した後、前記薄膜を引抜くことで積上げていくことを特徴とするカッティングマシン用ローダーアンローダー装置。
【請求項2】
カッティングマシンへ投入される前の材料シートを積載する下段リフターと、カッター機から搬出されてくるカット済シートを積載する上段リフターとを備えたカッティングマシン用ローダーアンローダー装置であって、
それぞれのリフターが、積載シートの上面位置とカッティングマシンの搬入出位置とに関連して高さ調整できる制御機構を含み、下段リフターの最上に位置する材料シートをカッター機に供給するローダー機構を備え、カッティング機から搬出されてくるカット済シートを受取って前記上段リフター上に順次と積上げていくアンローダー機構を備え、
前記アンローダー機構は、前記
カット済シートの幅を超えて延在し、積上げ場所の手前位置から後方位置まで往復動するクロスバーを備え、該クロスバーに一端が取りつけられ他端はフリー状態にした大判の薄膜を設け、前記積上げ場所の手前位置に前方ターン棒、後方位置に後方ターン棒を備え、それぞれのターン棒を前記クロスバーの往復動軌道を横切って上下動自在に構成し、前方ターン棒はクロスバーが往動するに先立って上から下に、後方ターン棒はクロスバーが復動するに先立って上から下に位置変更する位置変更機構を備え、前記クロスバーの往動に伴って薄膜の上面で前記
カット済シートを受取り、薄膜の下面側で積載済みシートの上面で支持した状態で搬送し、積上げ場所まで搬送した後、前記クロスバーの復動に伴って前記
カット済シートの下にある薄膜を引抜くことで積上げていくことを特徴とするカッティングマシン用ローダーアンローダー装置。
【請求項3】
前記薄膜の幅より広い距離を隔てた丸棒の端部にベアリングを嵌装して
前記前方ターン棒ならびに前記後方ターン棒を構成し、
前記クロスバーの往復動軌跡の上側と下側に前記ベアリングを把持するクランプを備え、更に前記
それぞれのターン棒を上下に位置移動させる位置変更機構を備えて構成したことを特徴とする請求項2に記載したカッティングマシン用ローダーアンローダー装置。
【請求項4】
前記クロスバーが復動している間は
前記リフターを所定寸法だけ下げ、往動している間は積載済みシートの上面が所定の位置を維持するように制御する制御機構を備えて構成したことを特徴とする請求項2または3に記載したカッティングマシン用ローダーアンローダー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、カッティングマシンの付帯設備として利用されるローダーアンローダー装置に関する。具体的には、積載された材料シートを一枚ずつカッティングマシンに供給し、次に、加工が完了したカット済シートを当該カッティングマシンから受取って、順次と積載する装置に関する。前者はローダー、後者はアンローダーと称されるが、本願発明はそれら機能を一体的に具備した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、段ボール函を製造する業界等では量産に先立って1個2個の試作品を作って客先承認を得る商習慣がある。そのために設備導入されてきた経緯から、係るカッティングマシンをしてサンプルカッターと称されることもある。そして係る装置では、1日あたりの試作数も増える傾向にあり、大量でない製品製作にも頻繁に使われるようになってきた。昼間はCADデーターを作り、夜に自動運転、複数台を設備して本格的な生産機として運用したいという需要も出てきている。尚、紙器(紙箱等)や段ボール業界では0.3~8mm程度、発泡樹脂を型切りする業界では3~70mm厚の材料シートを扱う。また、平面サイズとしては1600mmx2600mmという具合に、総じて大判サイズである。そのため、周知の供給機と一般的な製品スタッカーをカッティングマシンの前後に付帯的に設備すると、少なくとも、材料シートの2倍という広い面積が加算されてしまう。
【0003】
係る業界では、型切り形状をCAD図面化し、次いでそのデーターに基づいてカッターが運転される。切断だけでなく、ミシン目、筋入れなどの加工も行い、切断抵抗を低減する加振機構を備えた振動カッター機が主流である。また、ナイフによるカッティングだけでなくレーザー切断やウォータージェット切断などのカッティングマシンも利用されはじめた。尚、ここで注目すべきは、これらの加工を終えた段階では、カス取りしないことである。材料シートに対して、所定の型切り加工は行うも、完了して後は、カッター機からそのまま搬出して順次と積載すれば足りるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-202979号公報
【文献】特開2005-179031平号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、ローダー機能とアンローダー機能を兼備した装置を提供することで、カッティングマシンの付帯設備として省スペース化を図ることである。また加工済みシートから型切りした部分の抜け落ちを防ぎつつ到来するシートを順次と積載していくことが可能な装置を提供することである。即ち、抜け落ちするリスクを可及的に低減した簡素で安価な機構を新規開発して具現化し、係る業界に提供せんとするものである。
尚、先行特許文献では対象がシート体であるものの、その上面をして着磁搬送あるいはバキューム搬送する構成であるため、非常に大掛かりな技術が開示されている。しかし斯様な技術は、重厚かつ高価過ぎて本願技術分野には馴染まない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カッティングマシンへ投入される前の材料シートを積載する下段リフターと、カッター機から搬出されてくるカット済シートを積載する上段リフターとを兼備したカッティングマシン用ローダーアンローダー装置であって、それぞれのリフターが積載シートの上面位置と、カッティングマシンの搬入出位置とに関連して高さ調整できる制御機構を含み、下段リフターの最上に位置する材料シートをカッター機に供給するローダー機構を備え、カッティング機から搬出されてくるカット済シートを受取って前記上段リフター上に順次と積上げていくアンローダー機構を備え、前記アンローダー機構は、前記カット済シートの幅を超えて延在し、その両端を任意の駆動機構に連結して前記搬送方向に往復動するクロスバーを備え、該クロスバーに一端が取りつけられ他端はフリーの状態にした大判の薄膜を設け、前記クロスバーの移動に伴って薄膜の上面で前記カット済シートを受取り、薄膜の下面側を積載済みシートの上面で支持した状態で搬送し、積上げ場所まで搬送した後、前記薄膜を引抜くことで積上げていくことを特徴とするカッティングマシン用ローダーアンローダー装置を提案する。
【0007】
また、カッティングマシンへ投入される前の材料シートを積載する下段リフターと、カッター機から搬出されてくるカット済シートを積載する上段リフターとを備えたカッティングマシン用ローダーアンローダー装置であって、それぞれのリフターが、積載シートの上面位置とカッティングマシンの搬入出位置とに関連して高さ調整できる制御機構を含み、下段リフターの最上に位置する材料シートをカッター機に供給するローダー機構を備え、カッティング機から搬出されてくるカット済シートを受取って前記上段リフター上に順次と積上げていくアンローダー機構を備え、前記アンローダー機構は、前記シートの幅を超えて延在し、積上げ場所の手前位置から後方位置まで往復動するクロスバーを備え、該クロスバーに一端が取りつけられ他端はフリー状態にした大判の薄膜を設け、前記積上げ場所の手前位置に前方ターン棒、後方位置に後方ターン棒を備え、それぞれのターン棒を前記クロスバーの往復動軌道を横切って上下動自在に構成し、前方ターン棒はクロスバーが往動するに先立って上から下に、後方ターン棒はクロスバーが復動するに先立って上から下に位置変更する位置変更機構を備え、前記クロスバーの往動に伴って薄膜の上面で前記シートを受取り、薄膜の下面側で積載済みシートの上面で支持した状態で搬送し、積上げ場所まで搬送した後、前記クロスバーの復動に伴って前記積載済みシートの下にある薄膜を引抜くことで積上げていくことを特徴とするカッティングマシン用ローダーアンローダー装置を提供する。
【0008】
更に、薄膜の幅より広い距離を隔てた丸棒の端部に一対のベアリングを嵌装してターン棒を構成し、クロスバーの往復動軌跡の上側と下側に前記ベアリングを把持する一対のグリッパーを備え、更に前記ターン棒を上下に位置移動させる昇降機構を備えて、位置変更機構を構成したことを特徴とするカッティングマシン用ローダーアンローダー装置を提供し、更にクロスバーが復動している間はリフターを所定寸法だけ下げ、往動している間は積載済みシートの上面が所定の位置を維持するように制御する制御機構を構成したことを特徴とするカッティングマシン用ローダーアンローダー装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
ローダーとアンローダーを格別に付帯させると、少なくとも大判シート2枚分の面積を必要とする。それに対して、本願装置は両方を兼備する構成であるため省スペース効果が著しい。また、型切りされたものを平面内に包含したしたままのカット済みシートは、カッター機のテーブル上では平面状態を維持しているものの、裏面にテーブル等の受け部材が無い場所に移動したりすると、型切り部分が抜け落ちする可能性が生じる。簡単に抜け落ちするかどうかは、切取り形状、シート厚さ、材質等に依存するものの、落ちきらずに部分的に転回して立ち上がってしまうこともある。そして、部分的であっても斯様な凸部を招起してしまうと以後、整然としたシートの積載は期待できない。
本願発明は、シートの裏面を常に布のような薄膜で全面的にカバーしながら搬送できることが特徴的である。また、搬送中の前記薄膜は、積載済みのシート上面でバックアップされているので概ねシート下面側に無用な空間を惹起しない。また、薄膜を介した状態で一時的にスタッキングした後にあっては、その薄膜の全面をして引抜くことができるので、この段階でも抜け落ちリスクを招来しない。従って、極めて合理的に抜け落ちを防止することができる。同時に、原理的に重厚な部材を必要とせず、安価な装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】は実施例装置のローダー機構を説明するための説明図
【
図4】は実施例装置のローダー機構を説明するための説明図
【
図5】は実施例装置のローダー機構を説明するための説明図
【
図6】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図7】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図8】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図9】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図10】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図11】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図12】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図13】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図14】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図15】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図16】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図17】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図18】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【
図19】は実施例装置の主としてアンローダー機構について説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
以下、本願発明の実施例装置について詳細に説明する。
図1は、好ましい実施例装置の正面図である。本装置は40で指す下段リフターと、50で指す上段リフターを備えている。前者は加工前の材料シート42を、後者はカッティングマシンで加工された後の加工済シート52を積載する。図では前者を油圧シリンダー駆動のテーブルリフターで構成したものを図示しているが、後者はチェーン等による吊り下げ式等任意の方式で構成される。そして、下段リフター40上にある最上の材料シート41を紙面右側にあるカッティングマシン(図示せず)に供給し、次いで加工後は、紙面右側から左方へ搬出されてくる加工済シートを上段リフター50の最上位置に積載していく。端的に言うと、下段から一枚供給し、加工後は上段に積載収納していく方式である。従って、
図1にあっては、全量の約40%程度が加工済みになった時点を図示している。
【0012】
一方、図中、14は破線で図示したカッティングマシンの搬入出ロールを指している。また、12は本装置側の搬入出ロールを指している。更に、13は搬入出時に裏面を支持するテーブルである。このテーブル13には、
図2に図示したように穴13aを形成して、その穴13aを介して上下で対を成す搬入出ロール12をして、シート材を挟持しながら搬送できるように構成されている。尚、前記したロール12,14は搬入時と搬出時では回転方向が替わる。
【0013】
図2は、前記実施例装置の主要部を図示した平面図である。図中、51は上段リフター50上にある最上のカット済シートを指しているが、その幅(図面上下方向が幅方向)より幾分広い薄膜4がシート51の下に敷かれている。例えば、ポリエステル繊維からなるサラサラ感のある薄い布であるが、その右端部は自由端の状態であり、図面左端部は筒状部が出来るように縫製され、そこにクロスバー2が挿通されている。即ち、
図1でも例示しているように、薄膜4はクロスバー2で一端が拘束されているものの他端はフリ―な状態でシート51の下に敷き込まれ、その余の部分は自然な垂下状態になっている。
【0014】
尚、前記クロスバー2についてであるが、例えば、直径10~25mmの丸棒や角棒をして構成するが、シート51の幅方向に延在して、その両端をチェーン15によって支持されている。例えば、ホローピン型のチェーン15を利用するなら、両端軸部を細くして、両端ともに該チェーン15のピン穴に挿通することで支持させる。そして、前記チェーン15はチェーンスプロケット10,11に張架されてクロスバー2の往復動軌道を形成する。本願では、紙面右から左へ動くのを往動、その逆へ動くのを復動と規定して、後述するような往復動軌道を形成する。
【0015】
また、図中、5ならびに6はターン棒であり、前者を前方ターン棒、後者を後方ターン棒と称し、例えば、直径10~40mm程度の丸棒をして構成する。そして、望ましくは、その両端部にベアリング5aならびに6aを嵌装し、該ベアリング部をして支持した状態で軽く回転できるように構成する。また、
図1ならびに
図2で図示した通り、前方ターン棒5ならびに後方ターン棒6は、薄膜4の幅を超えて延在し、積載済シート51の図面右端と左端の外側に配置される。そして、
図1の状態では、クロスバー2の往復動軌道に対して、両方とも上の位置に存在しているが、後述するように、必要に応じて、位置変更機構を差動して、クロスバー2の往復動軌道を上から下に横切って、下へ位置移動させたり、またその逆方向へ復帰させたりすることができる。
【0016】
また、前記した薄膜4についてであるが、任意の形式で一端をクロスバー2に取付け、他単はフリーな自由端とし、図示した状態では、シート51の下で部分的に展開されたような状態になっている。具体的には、薄膜4の幅はシート51の幅と同程度であれば足り、布状のもの以外に薄い単体フィルムを使用することもできる。例えば、0.1mm、0.15mm、0.2mm程度のしなやかで滑りやすいオレフィン系等の樹脂フィルムをして薄膜4を構成する。もちろん、任意の化学繊維やシルク等の天然繊維系で成る布をして構成することもある。
【0017】
さて、
図3乃至
図5に基づいて、先ず、材料シート42の最上に位置するシート41をカッティングマシンへ供給する工程について説明する。図中、53は公知のスライダーユニットを指し、図面左右方向にスライドするアーム54と、該アーム54の先端部に取り付けられた吸着パッド54aとで供給ユニットを構成している。また、該供給ユニットは本実施例では、前記上段リフター50の内部に設置されてローダー機構を構成している。そして、
図3はアーム54ならびに吸着パッド54aが吸着動作に入った状態を図示し、
図4は最上の材料シート41の右端部を持ち上げた状態を図示し、
図5は材料シート41の先端部を搬入出ロール12に挟持搬送させるべくスライダー53が右動した状態を図示している。尚、搬入出ロール12はシート41の先端部を幾分挟持した後、供給方向へ回転始動しても良いし、あるいは挟持する前から回転状態にしておいても良い。また、斯様なローダー機構が供給動作を終えた後は、図示していないが、適当なタイミングで供給ユニットを元の状態に復帰させることは言うまでもない。
【0018】
次に、この供給工程に於ける下段リフター40と、上段リフター50の高さ制御について説明する。まず下段リフター40についてであるが、テーブル13の上面を目標基準としてシート41の高さが適度な位置を維持するように制御機構が構成される。そして、上段リフター50については、例示した実施例装置の場合、供給ユニットを該上段リフター50に取付けているので、シート41の高さ位置を目標基準として高さ制御される。即ち、二つのリフターはそれぞれ独立した制御機構を備えているのである。尚、供給ユニットを上段リフター50に設置せず、高さ変化のない筐体等に設置してローダー機構を構成することも可能である。
【0019】
以上が、供給工程での説明であるが、1枚のシート41を搬入出ロール12ならびに14をして供給し終えると、カッティングマシンは作業を開始し、その間に付帯設備側は作業終了時に搬出されてくるカット済シートを受取り上段リフター50上に積載するための準備に移る。即ち、
図6の状態に移行する。以下、
図14まで時系列的に図示しているので詳述する。
【0020】
まず、
図6に於いて、注目すべきは以下の事柄である。即ち、下段リフター40が上段リフター50の下降を阻害しないような位置、例えば、下段リフターの機械的な最下位置にあること、また上段リフター50も下降して該リフター50の最上にあるカット済シート51がクロスバー2の復動を阻害しない位置に位置制御されていること、次いで後方ターン棒6がクロスバー2の軌道を上から下に横切って下位置に移動していること、更に上段リフター50の下降に伴って薄膜4が自然垂下していることである。尚、薄膜4の開放端側の多くの部分は、シート51の下に挟まったままであることに変わりはない。
【0021】
さて、下段リフター40に係る部分は省いて図示した
図7についてであるが、この状態は
図6の状態から、チェーン15をしてクロスバー2を紙面右方向へ移動している途上を図示したものである。即ち、自然垂下したゆるみを解消した後、後方ターン棒6によって薄膜4は表裏反転させられながらクロスバー2によって引っ張られる。この時、薄膜4の開放端側が移動するにつれてシート51が位置ずれする可能性が生じる。そのために筐体(図示せず)に固定されたスライダー43が作動し、更に昇降エアーシリンダー44が作動して、そのロッド先端に設けた吸着パッドをして、吸着保持することで位置ずれを防止する。尚、シート51が薄膜4の開放端部をどの程度敷き込んでいるかよって、斯様な位置ずれを招来するが、例えば、シート51の平面サイズに対して30%程度なら、自重による摩擦力の方が勝り、位置ずれ傾向を無視するできる。
【0022】
次に、
図7に引き続いて
図8に図示した状態になる。即ち、クロスバー2が図示した位置に至ると、薄膜4はシート51の下から完全に引っ張り出されて、結果的にシート51の上面に展開された状態になる。尚、前記した吸着パッドによる吸着保持は、薄膜4の開放端部をして位置ずれを招来しないような位置に至った時点、あるいはそれ以降の任意の時点で元の状態に復帰させれば良い。
【0023】
次に、
図8に引き続いて
図9に図示した状態にされる。即ち、前ターン棒5をクロスバー2の軌道に対して上から下に横切って下位置に移動させている。従って、薄膜4は、前方ターン棒5によって下に押さえられ、カッティングマシンから搬出されてくるシートを受け入れる準備が完了した状態になる。尚、
図6乃至
図8では上段リフター50の高さ制御は、クロスバー2の復動を阻害しない程度に上面位置決めするも、それ以上に空間的な余裕を与えるべく例えば10~50mm程度低くして位置決めした状態を例示したが、
図9ではクロスバー2の往動を阻害しない範囲で幾分上の位置を目標位置にして位置制御するのが望ましい。言い換えると、クロスバー2の復動時より往動時の方を幾分高く位置制御するのが望ましい。
【0024】
図10は、カッティングマシンから搬出されてきたカット済シート1を搬入出ロール12とともに搬送している状態を図示している。即ち、シート1の先行端より幾分先行してクロスバー2が往動し、それに保持された薄膜4もまた、前方ターン棒5で表裏反転させながら移動する。そして、シート1の下面を薄膜4で覆いながら紙面左方へ進行すると同時に、その下側では薄膜4の開放端は前方ターン棒5に向かって進行する。また、更にその下側には先に積載したシートの上面が存在しているので、軽いとは言うものの、それらの自重をバックアップしている。そして、
図10の状態から
図11で図示した状態に至る。尚、
図11では、スライダー43ならびに昇降エアーシリンダー44が作動して、シート1を吸着保持している状態を図示しているが、これはシート1をずれることなく整然と積載するためにシート1の到達位置を一定化させるもので、センサー等の公知手段で検出し、クロスバー2を一旦停止させて位置決めし、然る後に、クロスバー2を所定位置まで再往動させる。
【0025】
次に
図12であるが、
図11の状態から後方ターン棒6を下位置に移動させ、また上段リフター50を幾分か下降させて、前記したようにクロスバー2の復動に備えている状態を図示している。更に、
図13はクロスバー2を途中まで復動させた状態、
図14は
図13の状態からクロスバー2を復動から途中反転させて往動させ、元の位置に復帰させた状態を図示している。即ち、
図12の状態から
図14の状態までの変遷で、結果的に、薄膜4をシート1の下側から所定長さだけ引抜いた状態を実現している。尚、薄膜4を引抜く際に生じる位置ずれを防止するために、適時適当な間だけ、スライダー43ならびに昇降エアーシリンダー44を前記したように作動させ、また元の状態に復帰させている。
【0026】
然して、カッティングマシンから搬出されてきたカット済シート1を受取り搬送し、積載するアンローダー機構が構成される訳であるが、ここで、シート1を受取り搬送している状態を図示した
図10に基づいて、シート1の先行端とクロスバー2との位置関係について追記する。図では、クロスバー2が幾分先行している場合を例示しているが、具体的には50~200mm程度先行させると、薄膜4がしなやかな布状であるので、シート1の先行端下部までも不用な空間を生じさせることなく搬送でき、結果的に薄膜4をしてシート1の下面を不足なくカバーすることが出来る。
【0027】
尚、シート1の先行端を検出する公知のセンサー信号に関連してクロスバー2の往動を始動する訳であるが、必ずしも厳密な位置合わせを必要とせず、多少のズレがあっても大きな支障はない。即ち、シート1の先行端がクロスバー2より幾分先行した状態で進行しても、あるいは遅れるような関係で進行しても大きな障害を招来しない。更に述べるなら、
図11で図示した状態に至るまでの過程で、シート先行端とクロスバーとの進行速度に多少の相対速度差が生じることあっても大きな障害は招来しない。要は、積載済シート42の上面で薄膜4を展開しながら搬入シート1の裏面を覆いつつ搬送できることが肝要である。また、この搬送工程では、搬入出ロール12からの搬送力付与に継続して、ある段階から薄膜4の上に載せられてのみの搬送に移行することになるが、必要なら移行するために一旦停止してから再起動するように構成することもできる。
【0028】
さて、本発明実施例装置は、
図14で図示した状態の次は、
図1の状態に復帰する。即ち、
下段リフター40をしてその最上にある材料シート41を供給するための状態に遷移する。また、上段リフター50も上昇させて前記したローダー機構が起動できる体制に移る。尚、後方ターン棒6については、必ずしもこのタイミングである必要はないが、一旦、後述する位置変更機構に従って下から上に位置変更する。もちろん、薄膜4の自然垂下の態様が二重かさなりになったりすることもあるが、格別な支障がなければ、下位置を維持したまま
図6の状態へ遷移させても良い。尚、薄膜4の弛み具合は、
図13乃至
図14で図示した通り、どの位置まで復動させて反転往動させるか、ならびに上段リフター50の積載量に依存するが、必要なら、常に緩みが過大になり過ぎないように前者を後者の積載量に関連ずけて自動制御する。
【0029】
いずれにしても、以上の工程で材料シート1の供給からカット済シートの積載までの工程サイクルを完結する。尚、本願では、
図1の状態をして工程サイクルの区切りとしたが、必要に応じて、その他の状態をして区切りにすることも可能である。
【0030】
また、次のような変更例もある。即ち、
図15乃至
図17で図示した通り、
図13の状態からクロスバー2を反転往動させることなく、そのまま復動を継続して、
図15の状態に至らしめる。即ち、薄膜4を一挙に抜き去ってしまう。そして、前述した通り、下段リフター40ならびに上段リフター50を上昇させて
図16の状態にする。即ち、
図16の状態をして、工程サイクルの区切りとするのである。従って、この状態が次の材料シート41を供給するための初期的状態であり、カッティングマシンからの要求に呼応して、
図17で図示した通り、スライダー53に取付けられたアーム54ならびにアーム54先端部に備えられた吸着パッド54aをして、材料シート41の先行端部を吸着持ち上げする。尚、このようにしてローダー機構が発動されて供給工程を完了し、またアンローダー機構によるカット済シート1の積載工程についても既に詳記した通りである。
【0031】
以上が本願に於ける好ましい実施例装置の詳細であるが、特徴的なアンローダー機構について要約すると、カット済シート1の到来に備えて待機し、到来すれば薄膜4を取りつけたクロスバー2が往動して搬送し、次いで当該クロスバー2が復動することでシート下にある薄膜4を引抜いて積載を完了する。尚、本装置は、短いタクトで高速に稼働するものではなく、1枚のシートをカッティングするに要する時間は早くても5~20分程度はかかるので、比較的にゆっくりした低速で稼働すれば足り、それ故に簡素な構造で安価な装置であることが必要条件になっている。
【0032】
次に、ターン棒5(6)の位置変更機構について、好ましい実施例を図示した
図18ならびに
図19に基づいて詳しく説明する。
図18は、本願実施例装置を、シート1の搬送方向上手から臨み、中央部を省略して図示したものである。また
図19は、
図18に関連する側面図である。尚、前方ターン棒5と後方ターン棒6とは設置位置が異なるだけであるので、以下、代表して、前方ターン棒5をして説明することとし、後方ターン棒6に関する位置変更機構の説明は省略する。
【0033】
図中、5aは公知のベアリングである。ターン棒5の端部に2個ずつ合計4個嵌装されている。また、8は下側クランプを指し、図では内側にあるベアリング5aを把持している。また、7は上側クランプを指し、外側にあるベアリング5aに対峙した位置に配置されている。要するに、この実施例装置では、下側クランプ8は内側、上側クランプ7は外側のベアリング5aを把持するように構成されている。また、下側クランプ8は下側クランプシリンダーに8aよって開閉され、閉動で前記ベアリング5aを把持し、開動で把持状態を解除する。同様に、上側クランプ7は上側クランプシリンダー7aによって開閉され、閉動で前記ベアリング5aを把持し、開動で把持状態を解除する。更に、図中、8bは下側昇降シリンダーを指し、
図18ではシリンダー8bのロッドが収縮した状態であり、この状態でターン棒5は前記した下の位置にある。
【0034】
また、
図19に於いて(a)~(e)の5図面によって、実施例位置変更機構をして、ターン棒5を下の位置から上の位置へ位置移動させる態様例を図示している。即ち、(a)は、
下クランプ8でベアリング5aをクランプしてターン棒5が下の位置にある状態であり、(b)は開状態にある上クランプ7に向けて、下側クランプ8がベアリング5aを挟持したまま下側昇降シリンダー8bが伸長し、(c)で上側クランプシリンダー7aの閉動により上側クランプ7もベアリング5a部を挟持し、次いで、(d)では下側クランプ8が下側クランプシリンダー8aの開動によってベアリング5aを挟持することから開放し、(e)に至って、下側昇降シリンダー8bがロッド収縮して結果的にターン棒5を下の位置から上の位置に位置変更することを完了する。尚、上から下への位置移動については、前記とは逆に、図示した(e)から(a)に向かって遷移させれば位置の移動を行うことができる。また、例示したエアーシリンダーを主体とする位置変更機構は、その他の手段で構成することも可能であり、ターン棒5の両端部が同期して上下動するように構成する。また、これらの機構は、薄膜4やカット済シート1の搬送を阻害しない位置に設置される。
【0035】
以上の通り、本発明に係るカッティングマシン用のローダーアンローダー装置は、対象とするシートが大判であるが故に、少ない設置スペースで済むことが特徴的である。また、しなやかな薄膜を主体とするアンローダー機構で構成されるので、全体的に簡素で安価な装置であること確実であり、段ボール函を製造する業界、紙や樹脂シートで箱やケースを製造する業界、プラ段(プラスチック製の段ボール)業界、発泡ウレタンやオレフィン樹脂でなる板材を型切りする看板業界、等々に於いて、業界に貢献すること大である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・カット済シート、2・・・クロスバー、4・・・薄膜、5・・・前方ターン棒、5a・・・ベアリング、6・・・後方ターン棒、7・・・上側クランプ、7a・・・上側クランプシリンダー、8・・・下側クランプ、8a・・・下側クランプシリンダー、8b・・・下側昇降シリンダー、10,11・・・チェーンスプロケット、12・・・搬入出ロール、13・・・テーブル、13a・・・穴、14・・・カッティングマシンの搬入出プーリー、15・・・チェーン、40・・・下段リフター、41・・・最上の材料シート、42・・・材料シート、43・・・スライダー、44・・・昇降エアーシリンダー、50・・・上段リフター、51・・・最上のカット済シート、52・・・カット済シート、53・・・スライダー、54・・・アーム、54a・・・吸着パッド・・・である。