(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】地図評価装置、地図評価方法および地図評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
(21)【出願番号】P 2019067500
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(73)【特許権者】
【識別番号】593154436
【氏名又は名称】アイサンテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】二宮 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 栄二朗
(72)【発明者】
【氏名】橘川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】豊田 奈美江
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓也
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2019/044500(JP,A1)
【文献】特開2016-156973(JP,A)
【文献】特開2011-27594(JP,A)
【文献】特開2010-160777(JP,A)
【文献】特開2008-65087(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221455(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107991683(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0029186(US,A1)
【文献】原 祥尭,SLAMとは何か 第7回,NIKKEI Robotics,日本,日経BP社,2016年10月10日,第16号 ,pp. 36-39
【文献】鄭 龍振,大規模な三次元環境地図とRGB-Dカメラを用いた移動ロボットの広域位置同定,日本ロボット学会誌,日本,一般社団法人日本ロボット学会,2013年11月15日,第31巻 第9号
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14,
G01C 21/00-21/36,
G08G 1/00-99/00,
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す地図データと、移動体に搭載された計測装置によって前記計測装置と前記対象領域との間の距離を計測することにより取得されて前記座標点の集合により前記対象領域の三次元形状を表す計測データとの一致度を表す評価関数が収束するように、前記地図データに対して前記計測データを移動させて、前記計測データと前記地図データとが整合するときの位置として、前記評価関数が収束した収束位置を出力するように構成された収束整合部と、
既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、前記収束整合部に前記計測データの前記地図データへの整合を実行させることにより、複数の前記初期探索位置のそれぞれに対応する前記収束位置を取得するように構成された収束位置取得部と、
前記収束位置取得部により取得された複数の前記収束位置の空間分布に基づいて、前記計測データを前記地図データに整合させることにより前記移動体の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出するように構成された指標算出部と
を備える地図評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図評価装置であって、
前記指標算出部は、複数の前記初期探索位置のそれぞれについて、対応する前記収束位置が、前記計測データが前記地図データに対して位置ズレのない正解の位置である中心位置に一致している場合には成功であり、前記中心位置に一致していない場合には失敗であると判断し、前記成功の数と、前記失敗の数とに基づいて、前記評価指標を算出する地図評価装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図評価装置であって、
前記指標算出部は、複数の前記初期探索位置のそれぞれについて、前記初期探索位置と前記中心位置との間の距離に応じて、前記評価指標に対する寄与を変化させる地図評価装置。
【請求項4】
コンピュータが、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す地図データと、移動体に搭載された計測装置によって前記計測装置と前記対象領域との間の距離を計測することにより取得されて前記座標点の集合により前記対象領域の三次元形状を表す計測データとの一致度を表す評価関数が収束するように、前記地図データに対して前記計測データを移動させて、前記計測データと前記地図データとが整合するときの位置として、前記評価関数が収束した収束位置を出力する収束整合手順と、
コンピュータが、既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、前記収束整合手順に前記計測データの前記地図データへの整合を実行させることにより、複数の前記初期探索位置のそれぞれに対応する前記収束位置を取得する収束位置取得手順と、
コンピュータが、前記収束位置取得手順により取得された複数の前記収束位置の空間分布に基づいて、前記計測データを前記地図データに整合させることにより前記移動体の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出する指標算出手順と
を備える地図評価方法。
【請求項5】
コンピュータを、
三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す地図データと、移動体に搭載された計測装置によって前記計測装置と前記対象領域との間の距離を計測することにより取得されて前記座標点の集合により前記対象領域の三次元形状を表す計測データ
との一致度を表す評価関数が収束するように、前記地図データに対して前記計測データを移動させて、前記計測データと前記地図データとが整合するときの位置として、前記評価関数が収束した収束位置を出力するように構成された収束整合部、
既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、前記収束整合部に前記計測データの前記地図データへの整合を実行させることにより、複数の前記初期探索位置のそれぞれに対応する前記収束位置を取得するように構成された収束位置取得部、及び、
前記収束位置取得部により取得された複数の前記収束位置の空間分布に基づいて、前記計測データを前記地図データに整合させることにより前記移動体の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出するように構成された指標算出部
として機能させるための地図評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地図データを評価する地図評価装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転用の高精度地図の導入が始まっており、自動運転用地図は、自動運転を差別化するためのアイテムとして重要になってきている。非特許文献1には、自車両の位置推定を、高精度三次元地図データと、車載LiDARのスキャンデータとのNDTスキャンマッチングにより行うことが記載されている。NDTは、Normal Distribution Transform
の略である。
【0003】
自動運転用地図データを活用するためには、自動運転用地図データの精度、信頼性および鮮度などを評価する必要があり、評価手法の確立が急務となっている。
従来、オンラインで地図データと照合することにより自動運転者の位置推定を行う際に、収束性を、収束計算のヘシアン行列から推定する方法や、位置偏差を与えた状態からの収束位置の安定性から判断する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】橘川 雄樹、外4名、「自動運転実証実験:位置推定精度の検証」、国際交通安全学会誌、vol. 42, No. 2, pp. 48-53、[online]、平成29年10月、[平成31年2月18日検索]、インターネット<URL: http://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/42-2-06.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地図全体にわたって事前に地図データの信頼性を評価する手法は知られていない。
本開示は、地図全体にわたって事前に地図データの信頼性を評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、収束整合部と、収束位置取得部と、指標算出部とを備える地図評価装置である。
収束整合部は、地図データと、計測データとの一致度を表す評価関数が収束するように、地図データに対して計測データを移動させて、計測データと地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力するように構成される。地図データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。計測データは、移動体に搭載された計測装置によって計測装置と対象領域との間の距離を計測することにより取得されて座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。
【0007】
収束位置取得部は、既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、収束整合部に計測データの地図データへの整合を実行させることにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得するように構成される。
【0008】
指標算出部は、収束位置取得部により取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて
、計測データを地図データに整合させることにより移動体の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出するように構成される。
【0009】
このように構成された本開示の地図評価装置は、対象領域の三次元形状を表す地図データに対して上記信頼度を評価するための評価指標を算出することができ、地図データの対象領域全体にわたって事前に地図データの信頼性を評価することができる。
【0010】
本開示の一態様では、指標算出部は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、対応する収束位置が、計測データが地図データに対して位置ズレのない正解の位置である中心位置に一致している場合には成功であり、中心位置に一致していない場合には失敗であると判断し、成功の数と、失敗の数とに基づいて、評価指標を算出するようにしてもよい。これにより、本開示の地図評価装置は、成功の数が多いほど信頼度が高くなり、失敗の数が多いほど信頼度が低くなるように、評価指標を算出することができる。
【0011】
本開示の一態様では、指標算出部は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、初期探索位置と中心位置との間の距離に応じて、評価指標に対する寄与を変化させるようにしてもよい。一般的に位置ズレは正解位置を中心にピークを持つ分布となるため、位置ズレの分布を考慮した評価指標と考えられる。これにより、本開示の地図評価装置は、上記距離が長いほど評価指標に対する寄与が小さくなり、上記距離が短いほど評価指標に対する寄与が大きくなるように、評価指標を算出することができる。
【0012】
本開示の別の態様は、収束整合手順と、収束位置取得手順と、指標算出手順とを備える地図評価方法である。
収束整合手順は、地図データと、計測データとの一致度を表す評価関数が収束するように、地図データに対して計測データを移動させて、計測データと地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力する。
【0013】
収束位置取得手順は、既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、収束整合手順に計測データの地図データへの整合を実行させることにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得する。
【0014】
指標算出手順は、収束位置取得手順により取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、計測データを地図データに整合させることにより移動体の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出する。
【0015】
本開示の地図評価方法は、本開示の地図評価装置にて実行される方法であり、当該方法を実行することで、本開示の地図評価装置と同様の効果を得ることができる。
本開示の更に別の態様は、コンピュータを、収束整合部、収束位置取得部、及び、指標算出部として機能させるための地図評価プログラムである。
【0016】
本開示の地図評価プログラムによって制御されるコンピュータは、本開示の地図評価装置の一部を構成することができ、本開示の地図評価装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】地図評価装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】特徴が多い場所の対象地図データを表す画像である。
【
図4】特徴が多い場所の入力スキャンデータを表す画像である。
【
図5】地図に誤差がある場所の対象地図データを表す画像である。
【
図6】地図に誤差がある場所の入力スキャンデータを表す画像である。
【
図7】地形に連続性がある場所の対象地図データを表す画像である。
【
図8】地形に連続性がある場所の入力スキャンデータを表す画像である。
【
図9】特徴が多い場所におけるNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
【
図10】地図に誤差がある場所におけるNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
【
図11】地形に連続性がある場所におけるNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
【
図12】信頼性が「良」および「不良」であるマッチング結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本開示の実施形態を図面とともに説明する。
本実施形態の地図評価装置1は、
図1に示すように、表示部11と、操作入力部12と、データ記憶部13と、データ入出力部14と、制御部15とを備える。
【0019】
表示部11は、図示しない表示装置を備え、表示装置の表示画面に各種画像を表示する。
操作入力部12は、図示しないキーボードおよびマウスを介して使用者が行った入力操作を特定するための入力操作情報を出力する。
【0020】
データ記憶部13は、各種データを記憶するための記憶装置である。
データ入出力部14は、有線または無線で接続された外部機器との間でデータの入出力を行う。
【0021】
制御部15は、CPU、ROM、RAMおよびフラッシュメモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成される。マイクロコンピュータの各種機能は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、CPUが実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、制御部15を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
【0022】
次に、制御部15が実行する地図評価処理の手順を説明する。地図評価処理は、地図評価処理を実行するために制御部15に記憶された地図評価プログラム20を使用者の入力操作により起動することで実行される。なお、地図評価プログラム20は、地図評価装置1に予めインストールされていてもよいし、記録媒体またはネットワークを介してインストールされるようにしてもよい。記録媒体としては、例えば光ディスク、磁気ディスクおよび半導体メモリなどが挙げられる。
【0023】
地図評価処理が実行されると、制御部15は、
図2に示すように、まず、評価対象となる地図(以下、対象地図)を選択するための画像(以下、対象地図選択画像)を表示部11の表示画面に表示する。
【0024】
そしてS20にて、制御部15は、使用者により選択された対象地図を特定する対象地図特定情報が操作入力部12から入力されたか否かを判断する。ここで、対象地図特定情報が入力されていない場合には、制御部15は、S20の処理を繰り返すことにより、対象地図特定情報が入力するまで待機する。そして、対象地図特定情報が入力されると、制御部15は、S30にて、対象地図特定情報により特定される対象地図の座標点群データ
(以下、対象地図データ)と、対象地図に対応する領域を計測した例えばモービルマッピングシステム(以下、MMS)を利用して計測した入力スキャンデータとをデータ記憶部13から取得する。MMSは、Mobile Mapping Systemの略である。
【0025】
対象地図データおよび入力スキャンデータは、対象地図の三次元形状を表す複数地点の三次元座標の集合である。MMSでは、レーザスキャナを搭載した計測車両で対象領域を走行することにより、対象領域の座標点群を計測する。対象領域の座標点群は、計測車両の現在位置と、レーザスキャナがパルスレーザ光を照射した方向と、パルスレーザ光を照射してから反射レーザ光を検出するまでの時間に基づいて、レーザ光を反射した地点の三次元座標を計測することにより取得される。
【0026】
なお、対象地図の座標点群データおよび入力スキャンデータは、地図評価処理を開始する前に予めデータ記憶部13に記憶される。
次にS40にて、制御部15は、複数の初期探索位置の中から、今回の地図評価処理において選択されていない初期探索位置を1つ選択する。
【0027】
そしてS50にて、制御部15は、周知のNDTを用いて、S30で取得した対象地図データと入力スキャンデータとのスキャンマッチングを行う。NDTは、Normal Distribution Transformの略である。以下、S50で行うスキャンマッチングを、NDTスキャ
ンマッチングという。
【0028】
NDTスキャンマッチングは、まず、対象地図の地図空間を一定の大きさのボクセルに分割に分割し、ボクセルに属する座標点群の三次元座標の平均および分散を計算することによって三次元地図を正規分布に近似する。次にNDTスキャンマッチングは、入力スキャンデータの各座標点に対して、対象地図データ内の対応ボクセルとの一致度を表す評価関数を最大にする座標変換をニュートン法により算出することで、スキャンマッチングを行う。すなわち、NDTスキャンマッチングは、評価関数が収束するように、対象地図データに対して入力スキャンデータを逐次移動させて、評価関数が収束した収束位置で入力スキャンデータを対象地図データに整合させる。
【0029】
以下に、三地点でNDTスキャンマッチングを実行した具体例を説明する。
図3は、特徴が多い場所の対象地図データを表す画像である。
図4は、
図3と同一の特徴が多い場所における入力スキャンデータを表す画像である。特徴が多い場所では、正しくスキャンマッチングができることが期待される。
【0030】
図5は、地図に誤差がある場所の対象地図データを表す画像である。
図6は、
図5と同一の場所における入力スキャンデータを表す画像である。地図に誤差がある場所では、スキャンマッチングにおいて誤収束する可能性がある。
【0031】
図7は、地形に連続性がある場所の対象地図データを表す画像である。
図8は、
図7と同一の場所における入力スキャンデータを表す画像である。地形に連続性がある場所では、計測に問題はないが、誤収束する可能性がある。
【0032】
図9は、
図3および
図4に示す対象地図データおよび入力スキャンデータを用いたNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
NDTスキャンマッチングでは、
図9に示すように、対象地図データと入力スキャンデータとが一致する位置を原点とし、横方向位置をX軸とし、縦方向位置をY軸とした二次元平面が設定される。そして、この二次元平面に対して、x=-3[m]からx=+3[m]までの間で0.5[m]毎に、且つ、y=-3[m]からy=+3[m]までの間で0.5[m]毎に、二次元格子状に、複数の初期探索位置が設定される。但し、原点(0
,0)は、初期探索位置から除外される。以下、原点(0,0)を中心点P0または中心位置という。初期探索位置は、白抜きの丸で示される。NDTスキャンマッチングにより収束した点は、黒丸で示される。この黒丸で示される位置が、収束位置である。
【0033】
図9では、例えば、(x、y)=(+1,+3)に位置する点P1を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、正解位置である中心点P0に収束する。また、(x、y)=(-3,-3)に位置する点P2を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。一方、(x、y)=(+3,-3)に位置する点P3を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(+2.5,-2.5)の付近に位置する点P4に収束する。なお、大多数の初期探索位置について、NDTスキャンマッチングによる収束位置は中心点P0である。
【0034】
図10は、
図5および
図6に示す対象地図データおよび入力スキャンデータを用いたNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
図10では、例えば、(x、y)=(+2.5,+0)に位置する点P11を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。また、(x、y)=(-2,+3)に位置する点P12を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。一方、(x、y)=(+1,-3)に位置する点P13を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(0,-1)の付近に位置する点P14に収束する。また、(x、y)=(+3,+1.5)に位置する点P15を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(+2,+1)の付近に位置する点P16に収束する。
【0035】
図11は、
図7および
図8に示す対象地図データおよび入力スキャンデータを用いたNDTスキャンマッチングの結果を示す図である。
図11では、例えば、(x、y)=(+2,+0.5)に位置する点P21を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、中心点P0に収束する。一方、(x、y)=(-1.5,-0.5)に位置する点P22を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(-0.5,-2)の付近に位置する点P23に収束する。また、(x、y)=(+0.5,-1.5)に位置する点P24を初期探索位置としてNDTスキャンマッチングを行った場合に、(x、y)=(-0.5,-1)の付近に位置する点P25に収束する。
【0036】
S50の処理が終了すると、
図2に示すように、制御部15は、S60にて、S50のNDTスキャンマッチングで算出された収束位置を取得する。
そしてS70にて、制御部15は、S60で取得した収束位置が中心位置に一致しているか否かを判断する。ここで、収束位置が中心位置に一致している場合には、制御部15は、S80にて、成功評価値を算出する。具体的には、制御部15は、S40で選択した初期探索位置の横方向位置xおよび縦方向位置yを用いて、下式(1)により、成功評価値EVsを算出する。なお、下式(1)においてσ=1である。
【0037】
【数1】
そしてS90にて、制御部15は、成功評価積算値を算出し、S120に移行する。具体的には、制御部15は、RAMに設けられた成功評価積算値ESsに格納された値と、S80で算出された成功評価値EVsとを加算した加算値を、成功評価積算値ESsに格
納する。
【0038】
一方、S70にて、収束位置が中心位置に一致していない場合には、制御部15は、S100にて、失敗評価値を算出する。具体的には、制御部15は、S40で選択した初期探索位置の横方向位置xおよび縦方向位置yを用いて、下式(2)により、失敗評価値EVfを算出する。なお、下式(2)においてσ=1である。
【0039】
【数2】
そしてS110にて、制御部15は、失敗評価積算値を算出し、S120に移行する。具体的には、制御部15は、RAMに設けられた失敗評価積算値ESfに格納された値と、S100で算出された失敗評価値EVfとを加算した加算値を、失敗評価積算値ESfに格納する。
【0040】
S120に移行すると、制御部15は、S40において全ての初期探索位置が選択されたか否かを判断する。ここで、全ての初期探索位置が選択されていない場合には、制御部15は、S40に移行する。一方、全ての初期探索位置が選択された場合には、制御部15は、S130にて、評価指標を算出する。具体的には、下式(3)により、評価指標EIを算出する。
【0041】
EI= ESf/(ESs+ESf) ・・・(3)
なお、
図9に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=0.05であった。
図10に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=29.01であった。
図11に示すNDTスキャンマッチングの結果では、評価指標EI=44.22であった。
【0042】
そしてS140にて、制御部15は、S130で算出した評価指標EIを、対象地図データおよび入力スキャンデータを識別する識別情報と対応付けて、例えばフラッシュメモリに記憶し、地図評価処理を終了する。
【0043】
このように構成された地図評価装置1は、対象地図データと、入力スキャンデータとの一致度を表す評価関数が収束するように、対象地図データに対して入力スキャンデータを移動させて、入力スキャンデータと対象地図データとが整合するときの位置として、評価関数が収束した位置を出力する。この計算法としてNDTスキャンマッチングなどが用いられる。対象地図データは、三次元座標を示す座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。入力スキャンデータは、計測車両に搭載されたレーザスキャナによってレーザスキャナと対象領域との間の距離を計測することにより取得されて座標点の集合により対象領域の三次元形状を表す。入力スキャンデータの近似として,地図データの対象領域のデータを用いてもよい。
【0044】
地図評価装置1は、既知の位置に対して位置ズレがあった場合でも正しい位置が推定できるか否かという点から地図の信頼性を判定するために、位置偏差を確認する範囲となる予め設定された複数の初期探索位置に対して、入力スキャンデータの対象地図データへの整合を実行することにより、複数の初期探索位置のそれぞれに対応する収束位置を取得する。
【0045】
地図評価装置1は、取得された複数の収束位置の空間分布に基づいて、入力スキャンデータを対象地図データに整合させることにより計測車両の位置を推定するときの信頼度を評価するための評価指標を算出する。
【0046】
このように地図評価装置1は、対象領域の三次元形状を表す対象地図データに対して上記信頼度を評価するための評価指標を算出することができ、対象地図データの対象領域全体にわたって事前に対象地図データの信頼性を評価することができる。
【0047】
例えば、地図評価装置1は、評価指標が予め設定された信頼性判定値(本実施形態では、例えば0.1)未満である場合には、信頼性が「良」であると判断し、評価指標が信頼性判定値(本実施形態では、例えば0.1)以上である場合には、信頼性が「不良」であると判断するようにしてもよい。
【0048】
図12に示すように、信頼性が「良」であるNDTスキャンマッチングの結果は、マッチング結果M1である。また、信頼性が「不良」であるNDTスキャンマッチングの結果は、マッチング結果M2,M3,M4,M5,M6である。
【0049】
マッチング結果M1では、正解の収束位置ピークのみが存在する。マッチング結果M2,M3では、正解を含む複数の収束位置ピークが規則的に分布している。マッチング結果M4では、正解ではない収束位置ピークのみが存在する。マッチング結果M5では、収束位置ピークが存在しない。マッチング結果M6では、正解を含む複数の収束位置ピークが存在するが、収束位置ピークが不規則に分布している。
【0050】
また地図評価装置1は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、対応する収束位置が、入力スキャンデータが対象地図データに対して位置ズレのない正解の位置である中心位置に一致している場合には成功であり、中心位置に一致していない場合には失敗であると判断し、成功の数と、失敗の数とに基づいて、評価指標を算出する。これにより、地図評価装置1は、成功の数が多いほど信頼度が高くなり、失敗の数が多いほど信頼度が低くなるように、評価指標を算出することができる。
【0051】
また地図評価装置1は、複数の初期探索位置のそれぞれについて、初期探索位置と中心位置との間の距離に応じて、評価指標に対する寄与を変化させる。一般的に位置ズレは正解位置を中心にピークを持つ分布となるため、位置ズレの分布を考慮した評価指標と考えられる。これにより、地図評価装置1は、上記距離が長いほど評価指標に対する寄与が小さくなり、上記距離が短いほど評価指標に対する寄与が大きくなるように、評価指標を算出することができる。
【0052】
以上説明した実施形態において、S50は収束整合部および収束整合手順としての処理に相当し、S40,S60,S120は収束位置取得部および収束位置取得手順としての処理に相当し、S70~S110,S130は指標算出部および指標算出手順としての処理に相当する。
【0053】
また、対象地図データは地図データに相当し、入力スキャンデータは計測データに相当し、計測車両は移動体に相当し、レーザスキャナは計測装置に相当する。
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0054】
例えば上記実施形態では、NDTを用いて、計測データを地図データに整合させる形態を示したが、NDTに限定されるものではなく、評価関数が収束するように計測データを地図データに整合させる手法であればよい。
【0055】
上記実施形態では、成功の数が多いほど評価指標の値が小さくなる形態を示したが、成功の数が多いほど評価指標の値が大きくなるようにしてもよい。
上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0056】
上述した地図評価装置1の他、当該地図評価装置1を構成要素とするシステム、当該地図評価装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、地図評価方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0057】
1…地図評価装置、15…制御部、20…地図評価プログラム