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特許6991495排便誘導及びダイエット用組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】排便誘導及びダイエット用組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/21 20160101AFI20220127BHJP
   A23L 33/22 20160101ALI20220127BHJP
   C12P 1/02 20060101ALI20220127BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20220127BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20220127BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20220127BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220127BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20220127BHJP
   A61K 36/064 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 41/17 20200101ALI20220127BHJP
   A61K 36/68 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/03 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/21 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/886 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/8962 20060101ALI20220127BHJP
   A61K 36/062 20060101ALN20220127BHJP
   A61K 35/742 20150101ALN20220127BHJP
   A61K 131/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
A23L33/21
A23L33/22
C12P1/02 Z
C12P1/04 Z
A61P1/12
A61P1/10
A61P3/04
A61P43/00 121
A61K9/20
A61K35/744
A61K36/064
A61K31/702
A61K31/198
A61K41/17
A61K36/68
A61K36/899
A61K36/03
A61K36/28
A61K36/21
A61K36/886
A61K36/8962
A61K36/062
A61K35/742
A61K131:00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020566517
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 KR2019001602
(87)【国際公開番号】W WO2019160277
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0019117
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520311008
【氏名又は名称】アールジー バイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RG BIO Co., LTD
【住所又は居所原語表記】(Dunsandong)#204, 37, Munjeong-ro 9beon-gil, Seo-gu, Daejeon 35235, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク セジン
(72)【発明者】
【氏名】ミン ユンキ
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0937455(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1539382(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2003-0096615(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、A61K、A61P、C12P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌及び乾燥された粉末形態のオオバコ皮、米糠、昆布、フラクトオリゴ糖、チコリファイバー、アツケシソウ、酵母、ラクツロース、乳酸菌、複合アミノ酸、キダチアロエ及びニンニクを含む原料を準備して一定の大きさに粉末化する段階と、
前記粉末化した原料を、オオバコ皮粉末47~57重量部、米糠粉末18~28重量部、昆布粉末5~6重量部、フラクトオリゴ糖4~5重量部、チコリファイバー3.5~4.5重量部、アツケシソウ3~4重量部、酵母粉末2.5~3.5重量部、ラクツロース粉末1.5~2.5重量部、乳酸菌粉末0.5~1.5重量部、複合アミノ酸0.05~0.15重量部、キダチアロエ0.4~0.6重量部及びニンニク粉末0.5~1.5重量部の比率で混合した原料を収得し、前記混合された原料100重量部に対して飲用水又は精製水55~65重量部を混合して練る段階と、
前記練り物を顆粒剤又は丸剤形態の製剤に成形加工する段階と、
前記成形加工された顆粒剤又は丸剤形態の製剤を流動層乾燥器によって水分含量5重量%以下に乾燥する段階と、を含み、
前記米糠は、米糠を洗浄する段階と、洗浄された米糠を120℃で30分以上の高温スチーム殺菌、紫外線殺菌及び遠赤外線殺菌の中で選択された方法で殺菌処理する段階と前記殺菌処理された米糠にバシラス属(Bacillus)菌株又はアスペルギルス属(Aspergillus)菌株を接種し、湿度60~80%、温度30~50℃で36時間以上発酵させる段階と、前記発酵によって得られる発酵米糠を55~65℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる段階と、を含む方法によって取得することを特徴とする、
排便誘導及びダイエット用健康食品の製造方法。
【請求項2】
前記原料を粉末化する段階は、原料を40±10メッシュの粒径に粉末化することを特徴とする、
請求項1に記載の排便誘導及びダイエット用健康食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排便誘導及びダイエット用組成物とその製造方法に関するもので、より詳しくは食餌繊維、ビタミン、微量元素の豊かなオオバコ皮、米糠などを主成分として大腸の有益菌の増殖を助け、腸内代謝活動を円滑にして排便を誘導し、満腹感を与えてダイエットにも効果的な排便誘導及びダイエット用組成物、これを用いた健康食品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代には、高カロリー栄養食品の過多摂取、飲みすぎ、ストレス、胃や小腸の疾病などのさまざまな原因によってタンパク質、脂肪などの栄養素が胃と腸で消化及び吸収されなく、消化及び吸収できなかった栄養素が消化器系の終端に位置する大腸まで押し入れられ、大腸内の有害菌によって腐敗しながら大腸内に硫化水素、アンモニア、フェノール、インドール、ヒスタミン、アミンなどの毒素が発生する。
【0003】
このうち、硫化水素ガスは水溶性であるので血液に溶けて硫酸塩になり、この硫酸塩を解毒する肝が無理して疲労、頭痛などを引き起こすだけでなく、血液に染みこんで肝で解毒されなかったガスは腸壁の炎症を引き起こすことになる。このような炎症は免疫機能を撹乱させ、結局、人体が疾病に脆弱になる。
【0004】
このように、大腸で発生する有害ガスは肝で解毒されるが、肝が元気ではないか有害ガスの発生が過度な場合、解毒できなかった有害ガスは全身の機能を低下させ、正常に新陳代謝できなくて潰瘍性大腸炎、クローン病、皮膚筋炎、腎臓疾患などの疾病に露出されやすい。
【0005】
また、腸内有益菌が活性化することができなかった場合、セロトニン合成代謝ができなくてストレス指数が上昇し、鬱病及び憤怒調節傷害のような精神疾患が発生すると韓国医科学研究院は発表した。また、腸内有害菌は、下痢、腹痛、便秘、有毒ガスを発生させて炎症を引き起こして免疫機能を撹乱させ、動脈硬化症を悪化させる原因であることも明かされた。
【0006】
従来には、大腸に問題が発生する場合、例えば便秘が発生すれば、治療のために治療剤を服用するが、このような治療は予防的な活動ではなくて大腸に異常が生じた後にこそ使用する問題点がある。
【0007】
予防的活動として、韓国特許登録第10-1450968号の“便秘及び宿便の快弁改善のための健康食品組成物及びその製造方法”、韓国特許公開第10-2003-0069231号の“便秘タイプによる腸機能改善用組成物”、韓国特許登録第10-1230756号の“胃と体質の便秘改善用天然食品組成物”などの技術が開示されているが、これらの技術は腸内有益菌内に乳酸菌を混合しているから、実際に腸内まで生きて到逹して腸内有益細菌叢によく定着することができないと知られている。また、組成物を混合する過程で各種の乳酸菌を接種する工程が加わって価格上昇の要因になる問題点がある。
【0008】
一方、オオバコ皮(Psyllium husk)は不水溶性食餌繊維が豊かで人体消化器で消化されずに大腸に行くから、大腸内で有益菌の餌となり、これによる有益菌増殖によって腸内環境が改善され、大腸の連動運動を促進させる。オオバコ皮の食餌繊維は、水分を吸収すれば嵩が最大で40倍くらい増加して多孔性纎維質が形成されて便の嵩と水分含量を増加させるから、便に水分が少なくて硬い便をする場合、又はこれによる痔疾又は排便の際に引き起こされる肛門痛症の改善に効果がある。
【0009】
米糠(Rice bran)は胚芽とぬかから構成され、発芽するために完全な栄養素と代謝物質を持っている。この明細書で、“米糠”は胚芽とぬかを含むものと定義される。米糠内のビタミンB1(チアミン)は多糖類の炭水化物が大部分である米を身体の必須栄養素である単糖類の葡萄糖に分解する代謝物質であるアミラーゼの葡萄糖代謝に関与する物質であり、ビタミンB6(ピリドキシン)はタンパク質のアミノ酸代謝に関与する物質である。特に、GABA成分とオクタコサノールは腸内微生物の中でビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の餌であり、ビフィドバクテリウムは母乳栄養児の腸内に圧倒的に多くあり、有害性病源菌が用いることができないオリゴ糖を用いて増殖するが、炭酸ガスやメタンを生成しないものと知られている。また、この成分は腸内中性脂肪を抱きこんで排出する機能があるので、排便の際に便に油を塗布して潤滑剤の役割を達成することにより、円滑に排便することができるようにする。
【0010】
しかし、米糠は搗精の後に数時間以内に酸敗が始まる早期変質の問題があり、よく消化できない多糖類を多く含んでいてビタミンと栄養素を多く含んでいるが、実際に体内利用率が低い。したがって、米糠は既存のダイエット食品や排便誘導などの健康食品に多く使われてはいるが、多量で含有させることが難しく、含有させる場合にも充分に機能を発揮しにくかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国登録特許第10-1450968号公報
【文献】韓国公開特許第10-2003-0069231号公報
【文献】韓国登録特許第10-1230756号公報
【文献】韓国登録特許第10-0545527号公報
【文献】韓国公開特許第10-2006-0021247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、食餌繊維、ビタミン、微量元素の豊かなオオバコ皮、米糠などを主成分として大腸の有益菌の増殖を助け、腸内代謝活動を円滑にして排便を誘導し、低熱量でビタミン、微量元素など、人体に必要な栄養素を供給し、満腹感を与えてダイエットにも効果的な排便誘導及びダイエット用組成物と、これを用いた健康食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、
【0014】
オオバコ皮粉末47~57重量部、米糠粉末18~28重量部、昆布粉末5~6重量部、フラクトオリゴ糖4~5重量部、チコリファイバー3.5~4.5重量部、アツケシソウ3~4重量部、酵母粉末2.5~3.5重量部、ラクツロース粉末1.5~2.5重量部、乳酸菌粉末0.5~1.5重量部、複合アミノ酸0.05~0.15重量部、キダチアロエ0.4~0.6重量部及びニンニク粉末0.5~1.5重量部を含む、排便誘導及びダイエット用組成物を提供する。
【0015】
前記組成物で、前記米糠は、褐色米糠、白色米糠、又は褐色米糠と白色米糠の混合物であることが好ましい。
【0016】
本発明の一実施例で、前記米糠は、米糠を洗浄する段階と、洗浄された米糠を120℃で30分以上の高温スチーム殺菌、紫外線殺菌及び遠赤外線殺菌の中で選択された方法で殺菌処理する段階と、前記殺菌処理された米糠を55~65℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる段階とを含む方法によって製造されることが好ましい。
【0017】
本発明の他の実施例で、前記米糠は、米糠を洗浄する段階と、洗浄された米糠を120℃で30分以上の高温スチーム殺菌、紫外線殺菌及び遠赤外線殺菌の中で選択された方法で殺菌処理する段階と、前記洗浄及び殺菌された米糠にバシラス属(Bacillus)菌株又はアスペルギルス属(Aspergillus)菌株を接種し、湿度60~80%、温度30~50℃で36時間以上発酵させる段階と、前記発酵した米糠を55~65℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる段階とを含む方法によって製造される発酵米糠であることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、
【0019】
滅菌及び乾燥された粉末形態のオオバコ皮、米糠、昆布、フラクトオリゴ糖、チコリファイバー、アツケシソウ、酵母、ラクツロース、乳酸菌、複合アミノ酸、キダチアロエ及びニンニクを含む原料を準備して一定の大きさに粉末化する段階と、
【0020】
前記粉末化した原料を、オオバコ皮粉末47~57重量部、米糠粉末18~28重量部、昆布粉末5~6重量部、フラクトオリゴ糖4~5重量部、チコリファイバー3.5~4.5重量部、アツケシソウ3~4重量部、酵母粉末2.5~3.5重量部、ラクツロース粉末1.5~2.5重量部、乳酸菌粉末0.5~1.5重量部、複合アミノ酸0.05~0.15重量部、キダチアロエ0.4~0.6重量部及びニンニク粉末0.5~1.5重量部の比率で混合した原料を収得し、前記混合された原料100重量部に対して飲用水又は精製水55~65重量部を混合して練る段階と、
【0021】
前記練り物を顆粒剤又は丸剤形態の製剤に成形加工する段階と、
【0022】
前記成形加工された顆粒剤又は丸剤形態の製剤を流動層乾燥器によって水分含量5重量%以下に乾燥する段階とを含む、排便誘導及びダイエット用健康食品の製造方法を提供する。
【0023】
前記方法で、前記米糠は、好ましくは、米糠を洗浄する段階と、洗浄された米糠を120℃で30分以上の高温スチーム殺菌、紫外線殺菌及び遠赤外線殺菌の中で選択された方法で殺菌処理する段階と、前記殺菌処理された米糠を55~65℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる段階とを含む方法によって製造される。
【0024】
他の実施例で、前記米糠は、米糠を洗浄する段階と、洗浄された米糠を120℃で30分以上の高温スチーム殺菌、紫外線殺菌及び遠赤外線殺菌の中で選択された方法で殺菌処理する段階と、前記洗浄及び殺菌された米糠にバシラス属(Bacillus)菌株又はアスペルギルス属(Aspergillus)菌株を接種し、湿度60~80%、温度30~50℃で36時間以上発酵させる段階と、前記発酵した米糠を55~65℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる段階とを含む方法によって製造される発酵米糠である。
【0025】
また、本発明は、前記組成物を含む、排便誘導及びダイエット用健康食品を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の排便誘導及びダイエット用組成物及び健康食品は、腸内有益菌の餌になる植物性食餌繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養成分を含むことにより、腸内有益菌を活性化させ、腸内細菌叢の有益菌の比率を増加させて腸内代謝を促進し、排便活動を誘導して腸内毒素の発生を予防する。
【0027】
水とともに摂取する場合、膨脹して満腹感を与えるので、過多な食べ物の摂取を減らし、摂取した飲食物の栄養素の完全代謝ができるようにして腸内毒素の発生を予防し、腸内毒素によって発生する疾病を予防することができ、低熱量でビタミン、微量元素などの人体に必要な栄養素を供給するので、ダイエットにも効果的である。
【0028】
また、排便の際、排便速度が早くて纎維質が豊かであるから、便が水に浮き、排便の後、処理時に便が落し紙に付かなく、残便感がなく、1ヶ月以内に最終的に黄金色便をすることができる効果がある。
【0029】
さらに、顆粒又は丸の形態に製造した健康食品は携帯及び摂取が便利になるようにし、丸の大きさと量を調節し、摂取の際に水を飲用するように誘導して一日に飲用しなければならない水を充分に飲むようにする。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の組成物は、オオバコ皮粉末47~57重量部、米糠粉末18~28重量部、昆布粉末5~6重量部、フラクトオリゴ糖4~5重量部、チコリファイバー3.5~4.5重量部、アツケシソウ3~4重量部、酵母粉末2.5~3.5重量部、ラクツロース粉末1.5~2.5重量部、乳酸菌粉末0.5~1.5重量部、複合アミノ酸0.05~0.15重量部、キダチアロエ0.4~0.6重量部及びニンニク粉末0.5~1.5重量部を含む。
【0031】
オオバコ皮は不水溶性食餌繊維が豊かで大腸の連動運動を促進させ、水分を吸収すれば嵩が増加して便の嵩と水分含量を増加させて排便を誘導及び促進する効果がある。
【0032】
米糠は胚芽とぬかから構成されており、最初(1~3回)の搗精の際に発生する褐色米糠(Brown bran)と、初期搗精の後に白米を作るための搗精工程(3~7回)で発生する白色米糠(White bran)とに区分される。
【0033】
米糠には、炭水化物を分解するアミラーゼの葡萄糖代謝に関与するビタミンB1(チアミン)、タンパク質のアミノ酸代謝に関与するビタミンB6(ピリドキシン)が豊かである。特に、米胚芽には糖質代謝に作用するGABA、ビタミンB1、ビタミンB6、オクタコサノール、ミネラル群、フィチン酸(phytic acid)、ベータシトステロールなど、栄養調節素と呼ばれる代謝物質が多く、ぬかは大腸内有益菌の餌である不水溶性食餌繊維が大部分である。
【0034】
初期搗精の過程で発生する褐色米糠には米胚芽の成分が多く含有されており、白色米糠にはぬかの成分が多く含有されているので、必要によって褐色米糠又は白色米糠を単独で使うか又は褐色米糠と白色米糠を混合して使用する。
【0035】
褐色米糠と白色米糠を混合して使用する場合、特に限定されないが、褐色米糠と白色米糠は1~3:3~1の重量比で混合して使うことが好ましい。
【0036】
また、米はジャポニカ米又はインディカ米を使うことが好ましいが、より好ましくはインディカ米を使う。米の主成分である澱粉にはα澱粉とβ澱粉とがある。β澱粉は温度が高くなれば消化されるα澱粉に転換される。ジャポニカ米にはβ澱粉が多くて粘っこいが、冷えたご飯を食べれば消化されなく、また植物性油分が多くてつやがあるが、機能性食品に製造するときに脱脂しなければならない場合が多い。これに対し、インディカ米はα澱粉の含量が多くて植物性油分が少なくてつやがなく、粘っこくはないが、温かいご飯ではなくてもよく消化されるから、玄米を消化することができない場合に好ましいと言える。したがって、インディカ米糠を使う場合、脱脂工程又は高温発酵工法を経なくても機能上良い効果を現すことができる。
【0037】
前記米糠は発酵しなかった米糠粉末又は発酵させた発酵米糠粉末の形態として使用する。
【0038】
前記米糠粉末は次のような方法で製造することが好ましい。
【0039】
まず、原料としては、褐色米糠、白色米糠又はこれらを混合した混合米糠の粉末を使う。
【0040】
前記原料を洗浄した後、殺菌処理する。洗浄は、スチームを用いるスチーム洗浄を行うことが好ましい。殺菌処理は、120℃で30分以上に高温スチーム殺菌、紫外線殺菌又は遠赤外線殺菌で殺菌処理することが好ましい。ここで、高温殺菌は米糠に含有されたビタミンを破壊することができるから、遠赤外線殺菌又は紫外線殺菌を実施することがより好ましい。
【0041】
前記殺菌処理された米糠を約60℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる。乾燥によって米糠粉末が安定した状態を維持することができる。
【0042】
このような工程によってリパーゼが不活性化して米糠の酸敗問題を解決することができ、さらに原料を衛生的に殺菌させ、安定した状態を維持することができる。
【0043】
このように処理された米糠粉末は消化力が良い若い人を対象とする健康食品に特に相応しい。
【0044】
米糠発酵粉末は次のような方法で製造することが好ましい。
【0045】
まず、原料としては、褐色米糠、白色米糠又はこれらを混合した混合米糠の粉末を使う。
【0046】
前記原料を洗浄した後、殺菌処理する。洗浄スチームを用いるスチーム洗浄を行うことが好ましい。殺菌処理は、120℃で30分以上に高温スチーム殺菌、紫外線殺菌又は遠赤外線殺菌で殺菌処理することが好ましい。ここで、高温殺菌は米糠に含有されたビタミンを破壊することができるから、遠赤外線殺菌又は紫外線殺菌を実施することが好ましい。
【0047】
前記洗浄及び殺菌された米糠を発酵設備に入れ、発酵菌株としてバシラス属(Bacillus)菌株又はアスペルギルス属(Aspergillus)菌株を接種し、湿度60~80%、温度30~50℃で36時間以上発酵させる。この際、米糠kg当たり発酵菌株5±3%程度を接種することが好ましい。特に限定されないが、バシラス属(Bacillus)菌株としては、バシラスサブチリス(Bacillus subtilis)、バシラスナット(Bacillus natto)などが使われることができ、アスペルギルス属(Aspergillus)菌株としては、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルスオリゼー(Aspregillus oryzae)などが使われることができる。前記菌株は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して、又はこれに他の発酵菌株を混合して使うことができる。
【0048】
このような発酵工程によって、よく消化されない多糖類が単糖類に分解され、脂肪成分が脱脂されてよく消化吸収される米糠に変化し、他の栄養素の吸収も容易になる。
【0049】
前記発酵した米糠を約60℃の乾燥室で水分含量5%以下に乾燥させる。乾燥工程によって、発酵に使用された菌株は休眠状態にあるようになる。
【0050】
このように処理された米糠発酵粉末は消化力が劣る人又は年寄りを対象とする健康食品に特に相応しく、栄養素吸収の側面で米糠粉末を使うことがより好ましい。
【0051】
昆布はカリウムとアルギン酸が豊かで人体に有害なコレステロールであるLDLの排出を助け、カロリーが低くてダイエット効果を有する。
【0052】
フラクトオリゴ糖は大腸で腸内菌によって発酵し、有益菌を増殖させ、有害菌を抑制し、排便活動を円滑にし、カルシウムの吸収を助ける。
【0053】
チコリは菊科のヒマワリ属の植物であり、チコリファイバーは栄養の均衡と大腸の活動に必要な食餌繊維、鉄粉、カロチン及びミネラルが豊かで消化、利尿緩和などの排便に効果がある。
【0054】
アツケシソウ(Salicoria europaea L.)はダイエットの際に発生し得る栄養の不均衡を解消し、大腸活動に役立つ。
【0055】
酵母粉末、ラクツロース粉末、乳酸菌粉末、複合アミノ酸、キダチアロエ及びニンニク粉末は栄養素の不均衡又は須酵素を補充するための成分である。
【0056】
前記組成物は耐性がないので、食事の前後、飲酒の前後、空腹時など、必要な場合いつも摂取可能である。
【0057】
前記組成物は粉末形態をそのまま使うか、顆粒形態又は丸形態の健康食品に製造される。顆粒形態又は丸形態に製造することにより、保管及び摂取が容易である。
【0058】
1回の摂取量を5g以上にし、嵩を大きくして、それの摂取の際に多量の水を摂取するようにすることが好ましい。
【0059】
本発明の排便誘導及びダイエット用健康食品の製造方法は、原料を準備し、一定の大きさに粉末化する段階と、粉末化した原料を一定の比率で混合して練る段階と、顆粒剤又は丸剤形態の製剤に成形加工する段階と、乾燥する段階とを含む。
【0060】
粉末化する段階
【0061】
まず、原料として、滅菌及び乾燥された粉末形態のオオバコ皮、発酵米糠、昆布、フラクトオリゴ糖、チコリファイバー、アツケシソウ、酵母、ラクツロース、乳酸菌、複合アミノ酸、キダチアロエ及びニンニクを準備する。
【0062】
好ましくは、準備した原料に対して原料の腐敗状態と有害菌による汚染状態を試験する。
【0063】
準備した原料を一定の大きさに粉末化する。粉末化は、好ましくは原料を40±10メッシュ(mesh)の粒径に粉末化し、特に好ましくは40メッシュの粒径に粉末化する。粒子のサイズが40メッシュであるとき、水分膨潤が最も優れ、摂取の際に喉越しが優れた。
【0064】
原料を混合して練る段階
【0065】
前記段階で粉末化した原料を、オオバコ皮粉末47~57重量部、米糠粉末又は発酵米糠粉末18~28重量部、昆布粉末5~6重量部、フラクトオリゴ糖4~5重量部、チコリファイバー3.5~4.5重量部、アツケシソウ3~4重量部、酵母粉末2.5~3.5重量部、ラクツロース粉末1.5~2.5重量部、乳酸菌粉末0.5~1.5重量部、複合アミノ酸0.05~0.15重量部、キダチアロエ0.4~0.6重量部及びニンニク粉末0.5~1.5重量部の比率で計量して混合した。この際、重量は電子秤で正確に計量することが好ましい。
【0066】
前記混合した殺菌飲用水又は精製水を均質に混合しながら練る。この際、混合された総原料100重量部に対して飲用水又は精製水55~65重量部を混合することが好ましい。
【0067】
また、Y型ミキサー、スピードミキサーなどのミキサーを使って混合することが好ましい。
【0068】
成形加工する段階
【0069】
前記練り物を顆粒形又は環形に成形加工する。
【0070】
この際、顆粒の大きさは、直径0.3mm~0.5mm、長さ3~5mmであることが好ましく、丸の大きさは直径3mm~5mmであることが好ましい。
【0071】
乾燥する段階
【0072】
前記成形が完了した顆粒剤又は丸剤形態の製剤を流動層乾燥器によって水分含量5重量%以下に乾燥する。
【0073】
好ましくは、前記過程で得られた乾燥した顆粒剤又は丸剤形態の製剤を、粒子のサイズを一定に整粒して表面粗さを均一にするために整形成形する。整形成形はパワーミルを使うことが好ましい。
【0074】
整形成形された製品は3段振動体を使って粒径を選別する。
【0075】
粒径の選別された製品は包装工程を経た後、サンプリング検査による肉眼検査、及び有害菌検査を実施する品質検査工程を経て製品を出荷する。
【0076】
本発明の排便誘導及びダイエット用組成物は多様な形態に製剤化して排便誘導及びダイエット用健康食品として用いられることができる。
【0077】
本発明で、‘健康食品’は通常消費者が人体の構造及び機能に対して栄養素を調節するか生理学的作用のような保健用途に有用な効果を得る機能性を期待して摂取する食品に定義され、法律上の規定に限定されず、通常‘健康機能食品’、‘健康食品’、‘機能性食品’と呼ばれるものの全てを含む。
【0078】
本発明の組成物を含む健康食品は、具体的に、このような製造方法によって顆粒剤又は丸剤形態の健康食品製剤に製造されることができ、これに限定されず、必要によって多様な剤形に製剤化されることができる。例えば、顆粒剤又は丸剤形態の他に、錠剤、カプセル、粉末、液状などにも剤形化されることができる。
発明の実施のための形態
【0079】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は本発明を例示するもので、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0080】
<実施例1>
【0081】
オオバコ皮粉末52g、発酵米糠粉末22.9g、昆布粉末5.5g、フラクトオリゴ糖4.5g、チコリファイバー4g、アツケシソウ3.5g、酵母粉末3g、ラクツロース粉末2g、乳酸菌粉末1g、複合アミノ酸0.1g、キダチアロエ0.5g及びニンニク粉末1gを混合して排便誘導及びダイエット用組成物を製造した。
【0082】
<実施例2>
【0083】
オオバコ皮粉末52g、米糠粉末22.9g、昆布粉末5.5g、フラクトオリゴ糖4.5g、チコリファイバー4g、アツケシソウ3.5g、酵母粉末3g、ラクツロース粉末2g、乳酸菌粉末1g、複合アミノ酸0.1g、キダチアロエ0.5g及びニンニク粉末1gを混合して排便誘導及びダイエット用組成物を製造した。
【0084】
<実施例3>
【0085】
原料として滅菌及び乾燥された粉末形態のオオバコ皮、発酵米糠、昆布、フラクトオリゴ糖、チコリファイバー、アツケシソウ、酵母、ラクツロース、乳酸菌、複合アミノ酸、キダチアロエ及びニンニクを準備した。
【0086】
前記原料に対する試験工程で原料の腐敗状態と有害菌による汚染状態を確認するための大膓菌検査を実施した。
【0087】
試験工程を経た後、オオバコ皮粉末52g、発酵米糠粉末22.9g、昆布粉末5.5g、フラクトオリゴ糖4.5g、チコリファイバー4g、アツケシソウ3.5g、酵母粉末3g、ラクツロース粉末2g、乳酸菌粉末1g、複合アミノ酸0.1g、キダチアロエ0.5g及びニンニク粉末1gを計量した。
【0088】
重量を計量した原料に対し、40メッシュの網を通して粒子のサイズを選別した。
【0089】
前記原料100gに精製水60g程度を混合し、Y型混合器を使って原料を均質に混合しながら練った。
【0090】
練りが完了すれば、練り物を直径3mmの丸に成形し、流動層乾燥器で水分含量5重量%以下に乾燥させた。
【0091】
乾燥した丸形の製品の粒径をパワーミルで一定に整粒し、表面粗さを均一に整形成形した。
【0092】
整形成形された製品は3段振動体によって粒径を選別した。
【0093】
<実験例1>
【0094】
本発明の組成物の効果を確認するために次のように実験した。
【0095】
普段飲酒後に下痢、腹痛、残便感があり、排便回数がひんぱんな大人男女100人を基準に前記実施例3で製造された丸30gを摂取するようにし、焼酒1本又はビール1000ccを飲ませた後、最初の排便の際に症状改善効果を確認した。その結果を下記の表1に示した。ここで、ひどい下痢及びひどい腹痛は薬を服用しなければならない程度の症状と痛症を示す。
【0096】
【表1】
【0097】
前記表1の結果から確認されるように、本発明の組成物を摂取した後、飲酒後の下痢、腹痛、残便感及び排便回数が大きく改善した。
【0098】
<実験例2>
【0099】
本発明の組成物の便秘に対する効果を確認するために次のように実験した。
【0100】
まず、試験対象者は下記表2に示したように、便秘治療剤又は改善剤を使っている大人男女の総100人を対象とし、性別は男性30人、女性70人である。
【0101】
【表2】
【0102】
前記試験対象者に前記実施例3で製造された丸を1日3回で食前10gずつを3日間摂取するようにした後、3日間の変化を観察した結果を下記の表3~表5に示した。
【0103】
【表3】
【0104】
1日排便回数を示した前記表3の結果で、1日1回以上排便した場合が男性は30人の中で17人、女性は70人の中で46人であることから便秘に対する改善効果が優れることが分かる。
【0105】
【表4】
【0106】
大便の硬い程度と色を示した前記表4の結果で、摂取後1日から改善効果が現れ、3日後には多数の試験対象者で大便が柔らかくなり色が青黒い色から黄色に改善する効果が確認されたことが分かる。
【0107】
【表5】
【0108】
残便感を確認した前記表5の結果で、摂取1日後から改善効果が現れ、3日後には多数の試験対象者で残便感がなくなったことが分かる。このように、前記表3~5の結果から本発明の組成物を摂取したとき、短期間内に便秘症状の改善効果が現れることが分かる。
【0109】
<実験例3>
【0110】
本発明の組成物の肥満に対する効果を確認するために次のように実験した。
【0111】
試験対象者は肥満の大人男女50人であり、性別は男性20人、女性30人であった。
【0112】
前記試験対象者に前記実施例3で製造された丸を1日3回で食前10gずつを45日間摂取するようにした後、45日間の変化を観察した結果を下記の表6に示した。
【0113】
【表6】
【0114】
前記表6の結果のように、45日経過後、大部分の試験対象者の体脂肪量が2kg以上減少したことが分かる。