IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪有機化学工業株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】タンパク質凝集防止剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/96 20060101AFI20220127BHJP
   A61K 31/795 20060101ALI20220127BHJP
   C08F 20/56 20060101ALI20220127BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20220127BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
C12N9/96
A61K31/795
C08F20/56
A61P25/28
A61P43/00 111
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018520923
(86)(22)【出願日】2017-05-30
(86)【国際出願番号】 JP2017020075
(87)【国際公開番号】W WO2017209121
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2016108846
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000205638
【氏名又は名称】大阪有機化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304024430
【氏名又は名称】国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】松村 和明
(72)【発明者】
【氏名】ロビン ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】谷山 陽子
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 欣幸
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】Zeitschrift fur Naturforschung C,2009年01月01日,Vol. 64, Issue 1-2,pp. 149-154
【文献】SCEJ 7th Autumn Meeting (Okayama, 2005),2006年03月18日,A319
【文献】Reactive & Functional Polymers,2012年11月22日,Vol. 73,pp. 969-978
【文献】Journal of Materials Chemistry B,2015年06月,Vol. 3,pp. 5683-5689
【文献】Journal of Colloid and Interface Science,2014年08月14日,Vol. 434,pp. 188-194
【文献】Scientific Reports,2017年04月04日,7:45777,pp. 1-9
【文献】Godishnik na Sofiiskiya Universitet "Sv. Kliment Okhridski", Khimicheski Fakultet,2006年,Vol. 98-99,pp. 327-335
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 9/00-9/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質の凝集を防止するために用いられるタンパク質凝集防止剤であって、
スルホベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるスルホベタインポリマーと、
前記スルホベタインモノマーと、
架橋性モノマーと
を含有する重合性ポリマー成分を重合させてなる架橋ポリマーを含有するタンパク質凝集防止剤であって、
前記スルホベタインモノマーが、式(I):
【化1】

(式中、R は水素原子またはメチル基を示し、R は炭素数1~4のアルキレン基を示し、R は炭素数1~4のアルキル基を示し、R は炭素数1~4のアルキレン基を示し、Xは-NH-基または-O-基を示す)
で表わされるスルホベタインモノマーであり、
前記スルホベタインポリマーの数平均分子量が、3,000~100,000であり、 前記架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物および(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記スルホベタインポリマーの量が、前記重合性ポリマー成分中の前記スルホベタインモノマー100質量部あたり、5~30質量部であり、および
前記架橋性モノマーの量が、前記重合性ポリマー成分中の前記スルホベタインモノマー100質量部あたり、0.5~10質量部である、タンパク質凝集防止剤
【請求項2】
前記モノマー成分が、さらにカルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物を含有する請求項1に記載のタンパク質凝集防止剤。
【請求項3】
前記重合性ポリマー成分が、さらに疎水性モノマーを含有する請求項1または2に記載のタンパク質凝集防止剤。
【請求項4】
タンパク質の凝集を防止するために用いられ、架橋ポリマーを含有するタンパク質凝集防止剤の製造方法であって、
スルホベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させ、
生成したスルホベタインポリマーと、前記スルホベタインモノマーと、架橋性モノマーとを含有する重合性ポリマー成分を重合させることを含み、
前記スルホベタインモノマーが、式(I):
【化2】

(式中、R は水素原子またはメチル基を示し、R は炭素数1~4のアルキレン基を示し、R は炭素数1~4のアルキル基を示し、R は炭素数1~4のアルキレン基を示し、Xは-NH-基または-O-基を示す)
で表わされるスルホベタインモノマーであり、
前記スルホベタインポリマーの数平均分子量が、3,000~100,000であり、 前記架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物および(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記スルホベタインポリマーの量が、前記重合性ポリマー成分中の前記スルホベタインモノマー100質量部あたり、5~30質量部であり、および
前記架橋性モノマーの量が、前記重合性ポリマー成分中の前記スルホベタインモノマー100質量部あたり、0.5~10質量部である、方法。
【請求項5】
カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の存在下で前記モノマー成分を重合させる請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記重合性ポリマー成分が、さらに疎水性モノマーを含有する請求項4または5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質凝集防止剤に関する。本発明のタンパク質凝集防止剤は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集を防止することから、例えば、酵素の保存剤、抗体医薬、体内のアミロイド凝集抑制剤などの種々のタンパク質の凝集防止が望まれる用途に使用することが期待されるものである。
【背景技術】
【0002】
酸性条件下でのタンパク質の凝集を防止することができるタンパク質凝集防止剤として、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルおよびポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含むタンパク質凝集防止剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記タンパク質凝集防止剤は、界面活性剤が使用されていることから、酸性条件下である程度のタンパク質の凝集を抑制することができる。
【0004】
しかし、近年、界面活性剤を使用しなくてもタンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-343201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、界面活性剤を使用しなくてもリゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のものに関する:
[1] タンパク質の凝集を防止するために用いられるタンパク質凝集防止剤であって、スルホベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるスルホベタインポリマーと、前記スルホベタインモノマーと、架橋性モノマーとを含有する重合性ポリマー成分を重合させてなる架橋ポリマーを含有することを特徴とするタンパク質凝集防止剤。
【0008】
[2] モノマー成分が、さらにカルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物を含有する前記[1]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[3] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物が、式(II):
-S-C(=S)-S-R (II)
(式中、Rはカルボキシル基を有していてもよいアルキル基を示し、Rはシアノ基を有していてもよいカルボキシル基含有アルキル基を示す)
である前記[2]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[4] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物が、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸、4-[(2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]-4-シアノペンタン酸、2-{[(2-カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、およびメチル-4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[2]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[5] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物が、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸である前記[2]に記載のタンパク質凝集防止剤。
【0009】
[6] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量が、モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたり、0.003~0.5モルである前記[2]~[5]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[7] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量が、モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたり、0.01~0.5モルである前記[2]~[5]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[8] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量が、モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたり、0.03~0.3モルである前記[2]~[5]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0010】
[9] スルホベタインモノマーが、式(I):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキレン基を示し、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキレン基を示し、Xは-NH-基または-O-基を示す)
で表わされるスルホベタインモノマーである前記[1]~[8]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[10] Rが、水素原子である前記[9]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[11] Rが、-(CH)-基、-(CH-基または-(CH-基である前記[9]または[10]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[12] Rが、-(CH-基である前記[9]または[10]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[13] Rが、メチル基、エチル基またはプロピル基である前記[9]~[12]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[14] Rが、メチル基またはエチル基である前記[9]~[12]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[15] Rが、メチル基である前記[9]~[12]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[16] Rが、-(CH)-基、-(CH-基または-(CH-基である前記[9]~[15]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[17] Rが、-(CH-基である前記[9]~[15]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[18] Xが、-NH-基である前記[9]~[17]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0013】
[19] スルホベタインポリマーの数平均分子量が、3,000~100,000である前記[1]~[18]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[20] スルホベタインポリマーの数平均分子量が、5,000~50,000である前記[1]~[18]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0014】
[21] スルホベタインポリマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、5~30質量部である前記[1]~[20]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[22] スルホベタインポリマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、10~25質量部である前記[1]~[20]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0015】
[23] 架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物、炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物、および炭素-炭素二重結合を2個以上有する芳香族化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]~[22]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[24] 架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物および炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]~[22]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[25] 架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物および(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]~[22]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[26] 架橋性モノマーが、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレートおよび1,4-ブタンジオールジメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]~[22]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[27] 架橋性モノマーが、エチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[1]~[22]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0016】
[28] 架橋性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、0.5~10質量部である前記[1]~[27]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[29] 架橋性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、1~5質量部である前記[1]~[27]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0017】
[30] 重合性ポリマー成分が、さらに疎水性モノマーを含有する前記[1]~[29]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[31] 疎水性モノマーが、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキル、シクロアルキル基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸シクロアルキルおよびアリール基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸アリールからなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[30]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[32] 疎水性モノマーが、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルである前記[30]に記載のタンパク質凝集防止剤。
[33] 疎水性モノマーが、アルキル基の炭素数が1~6の(メタ)アクリル酸アルキルである前記[30]に記載のタンパク質凝集防止剤。
【0018】
[34] 疎水性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、0.5~10質量部である前記[30]~[33]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
[35] 疎水性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、1~5質量部である前記[30]~[33]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤。
【0019】
[36] タンパク質と、溶媒または分散媒と、前記[1]~[35]のいずれか一つに記載のタンパク質凝集防止剤とを混合することを含む、タンパク質の凝集を防止する方法。
[37] タンパク質凝集防止剤に含有される架橋ポリマーの量が、タンパク質1質量部あたり、10~200質量部となるように、タンパク質凝集防止剤を使用する前記[36]に記載の方法。
[38] タンパク質凝集防止剤に含有される架橋ポリマーの量が、タンパク質1質量部あたり、50~100質量部となるように、タンパク質凝集防止剤を使用する前記[36]に記載の方法。
[39] タンパク質と、溶媒または分散媒と、タンパク質凝集防止剤とを含む混合物中のタンパク質の含有率が0.001~20質量%となるように、タンパク質と、溶媒または分散媒と、タンパク質凝集防止剤とを混合する前記[36]~[38]のいずれか一つに記載の方法。
[40] タンパク質と、溶媒または分散媒と、タンパク質凝集防止剤とを含む混合物中のタンパク質の含有率が0.01~10質量%となるように、タンパク質と、溶媒または分散媒と、タンパク質凝集防止剤とを混合する前記[36]~[38]のいずれか一つに記載の方法。
【0020】
[41] タンパク質の凝集を防止するために用いられ、架橋ポリマーを含有するタンパク質凝集防止剤の製造方法であって、
スルホベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させ、
生成したスルホベタインポリマーと、前記スルホベタインモノマーと、架橋性モノマーとを含有する重合性ポリマー成分を重合させることを含む方法。
【0021】
[42] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の存在下でモノマー成分を重合させる前記[41]に記載の方法。
[43] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物が、式(II):
-S-C(=S)-S-R (II)
(式中、Rはカルボキシル基を有していてもよいアルキル基を示し、Rはシアノ基を有していてもよいカルボキシル基含有アルキル基を示す)
である前記[42]に記載の方法。
[44] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物が、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸、4-[(2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]-4-シアノペンタン酸、2-{[(2-カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、およびメチル-4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[42]に記載の方法。
[45] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物が、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸である前記[42]に記載の方法。
【0022】
[46] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量が、モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたり、0.003~0.5モルである前記[42]~[45]のいずれか一つに記載の方法。
[47] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量が、モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたり、0.01~0.5モルである前記[42]~[45]のいずれか一つに記載の方法。
[48] カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量が、モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたり、0.03~0.3モルである前記[42]~[45]のいずれか一つに記載の方法。
【0023】
[49] スルホベタインモノマーが、式(I):
【0024】
【化2】
【0025】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキレン基を示し、Rは炭素数1~4のアルキル基を示し、Rは炭素数1~4のアルキレン基を示し、Xは-NH-基または-O-基を示す)
で表わされるスルホベタインモノマーである前記[41]~[48]のいずれか一つに記載の方法。
[50] Rが、水素原子である前記[49]に記載の方法。
[51] Rが、-(CH)-基、-(CH-基または-(CH-基である前記[49]または[50]に記載の方法。
[52] Rが、-(CH-基である前記[49]または[50]に記載の方法。
[53] Rが、メチル基、エチル基またはプロピル基である前記[49]~[52]のいずれか一つに記載の方法。
[54] Rが、メチル基またはエチル基である前記[49]~[52]のいずれか一つに記載の方法。
[55] Rが、メチル基である前記[49]~[52]のいずれか一つに記載の方法。
[56] Rが、-(CH)-基、-(CH-基または-(CH-基である前記[49]~[55]のいずれか一つに記載の方法。
[57] Rが、-(CH-基である前記[49]~[55]のいずれか一つに記載の方法。
[58] Xが、-NH-基である前記[49]~[57]のいずれか一つに記載の方法。
【0026】
[59] スルホベタインポリマーの数平均分子量が、3,000~100,000である前記[41]~[58]のいずれか一つに記載の方法。
[60] スルホベタインポリマーの数平均分子量が、5,000~50,000である前記[41]~[58]のいずれか一つに記載の方法。
【0027】
[61] スルホベタインポリマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、5~30質量部である前記[41]~[60]のいずれか一つに記載の方法。
[62] スルホベタインポリマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、10~25質量部である前記[41]~[60]のいずれか一つに記載の方法。
【0028】
[63] 架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物、炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物、および炭素-炭素二重結合を2個以上有する芳香族化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[41]~[62]のいずれか一つに記載の方法。
[64] 架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物および炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[41]~[62]のいずれか一つに記載の方法。
[65] 架橋性モノマーが、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物および(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[41]~[62]のいずれか一つに記載の方法。
[66] 架橋性モノマーが、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレートおよび1,4-ブタンジオールジメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[41]~[62]のいずれか一つに記載の方法。
[67] 架橋性モノマーが、エチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[41]~[62]のいずれか一つに記載の方法。
【0029】
[68] 架橋性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、0.5~10質量部である前記[41]~[67]のいずれか一つに記載の方法。
[69] 架橋性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、1~5質量部である前記[41]~[67]のいずれか一つに記載の方法。
【0030】
[70] 重合性ポリマー成分が、さらに疎水性モノマーを含有する前記[41]~[69]のいずれか一つに記載の方法。
[71] 疎水性モノマーが、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキル、シクロアルキル基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸シクロアルキルおよびアリール基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸アリールからなる群から選ばれる少なくとも一つである前記[70]に記載の方法。
[72] 疎水性モノマーが、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルである前記[70]に記載の方法。
[73] 疎水性モノマーが、アルキル基の炭素数が1~6の(メタ)アクリル酸アルキルである前記[70]に記載の方法。
【0031】
[74] 疎水性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、0.5~10質量部である前記[70]~[73]のいずれか一つに記載の方法。
[75] 疎水性モノマーの量が、重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたり、1~5質量部である前記[70]~[73]のいずれか一つに記載の方法。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明のタンパク質凝集防止剤は、前記したように、タンパク質の凝集を防止するために用いられるタンパク質凝集防止剤であり、スルホベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるスルホベタインポリマーと、前記スルホベタインモノマーと、架橋性モノマーとを含有する重合性ポリマー成分を重合させてなる架橋ポリマーを含有することを特徴とする。
【0034】
架橋ポリマーは、例えば、スルホベタインモノマーを含有するモノマー成分を重合させて生成したスルホベタインポリマーと、前記スルホベタインモノマーと、架橋性モノマーとを含有する重合性ポリマー成分を重合させることによって調製することができる。
【0035】
本発明において、スルホベタインポリマーを製造するために用いられるモノマー成分中に含有されるスルホベタインモノマーと、架橋ポリマーを製造するために用いられる重合性ポリマー成分中に含有されるスルホベタインモノマーとは、同じものでもよく、異なるものでもよい。これらスルホベタインモノマーは、同じものであることが好ましい。
【0036】
スルホベタインモノマーとしては、例えば、式(I):
【0037】
【化3】
【0038】
で表わされるスルホベタインモノマーなどが挙げられる。しかし、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。式(I)で表わされるスルホベタインモノマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0039】
式(I)において、Rは、水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子である。
は、炭素数1~4のアルキレン基である。炭素数1~4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基(-(CH)-)、エチレン基(-(CH-)、プロピレン基(例、-(CH-)およびブチレン基(例、-(CH-)が挙げられる。これらの基のなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基が好ましく、-(CH)-基、-(CH-基および-(CH-基がより好ましく、-(CH-基がさらに好ましい。
【0040】
は、炭素数1~4のアルキル基である。炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基が挙げられる。これらの基のなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、メチル基、エチル基およびプロピル基が好ましく、メチル基およびエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0041】
は、炭素数1~4のアルキレン基である。炭素数1~4のアルキレン基としては、例えば、メチレン基(-(CH)-)、エチレン基(-(CH-)、プロピレン基(例、-(CH-)およびブチレン基(例、-(CH-)が挙げられる。これらの基のなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基が好ましく、-(CH)-基、-(CH-基および-(CH-基がより好ましく、-(CH-基がさらに好ましい。
【0042】
Xは、-NH-基または-O-基である。これらの基のなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、-NH-基が好ましい。
【0043】
式(I)で表わされるスルホベタインモノマーとしては、例えば、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドメチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドメチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドエチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドエチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドプロピル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリルアミドブチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリルアミドブチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネートなどの3-[(3-(メタ)アクリルアミドアルキル)ジアルキルアンモニオ]アルカン-1-スルホネート;
【0044】
3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジメチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジエチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジプロピルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジブチルアンモニオ]エタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジエチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジプロピルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジブチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシメチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシメチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシエチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシエチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシプロピル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシプロピル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジメチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジエチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジプロピルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-アクリロイルオキシブチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネート、3-[(3-メタクリロイルオキシブチル)ジブチルアンモニオ]ブタン-1-スルホネートなどの3-[(3-(メタ)アクリロイルオキシアルキル)ジアルキルアンモニオ]アルカン-1-スルホネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスルホベタインモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
なお、本発明において、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。アクリルアミドおよびメタクリルアミドは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0046】
「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。アクリロイルオキシおよびメタクリロイルオキシは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0047】
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。アクリレートおよびメタクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0048】
また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。アクリル酸およびメタクリル酸は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0049】
本発明においては、モノマー成分には、スルホベタインモノマー以外に、本発明の目的を阻害しない範囲内で水溶性モノマーを用いることができる。
【0050】
水溶性モノマーは、25℃の水100gに対して50g以上の量で溶解する性質を有するモノマーを意味する。水溶性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリルモルホリド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水溶性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水溶性モノマーのなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンおよび(メタ)アクリロニトリルが好ましく、(メタ)アクリルアミドおよびN-ビニルピロリドンがより好ましい。
【0051】
また、モノマー成分には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、水不溶性モノマーが含まれていてもよい。水不溶性モノマーは、25℃の水100gに対して50g未満の量で溶解する性質を有するモノマーを意味する。
【0052】
水不溶性モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ基含有(メタ)アクリレート、脂環基含有(メタ)アクリレート、アリール基含有(メタ)アクリレート、アリール基含有(メタ)アクリレート以外の芳香族系モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水不溶性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0053】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0054】
アルコキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルコキシ基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0055】
脂環基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの脂環基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0056】
アリール基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの炭素数6~15のアリール基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアリール基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0057】
アリール基含有(メタ)アクリレート以外の芳香族系モノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族系モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0058】
スルホベタインモノマー以外の水溶性モノマーおよび水不溶性モノマーの合計量は、全モノマー成分あたり、好ましくは50モル%未満、より好ましくは30モル%未満、さらに好ましくは10モル%未満である。モノマー成分は、スルホベタインモノマー以外の水溶性モノマーおよび水不溶性モノマーを含有しないことが特に好ましい。
【0059】
モノマー成分を重合させる際には、得られるスルホベタインポリマーの分子量を調製するために連鎖移動剤を用いることが好ましい。好適な連鎖移動剤としては、例えば、カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物などが挙げられる。
【0060】
本発明において、カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の存在下でモノマー成分を重合させることができる。より具体的には、例えば、カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物をモノマー成分に含有させ、当該カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物を含有するモノマー成分を重合させることができる。
【0061】
カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物としては、例えば、式(II):
-S-C(=S)-S-R (II)
(式中、Rはカルボキシル基を有していてもよいアルキル基を示し、Rはシアノ基を有していてもよいカルボキシル基含有アルキル基を示す)
で表わされるチオカルボニルチオ基含有化合物などが挙げられる。式(II)で表わされるチオカルボニルチオ基含有化合物は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0062】
式(II)において、Rは、カルボキシル基を有していてもよいアルキル基であるが、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、炭素数1~18のアルキル基またはカルボキシル基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~12のアルキル基またはカルボキシル基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基であることがより好ましい。
【0063】
は、シアノ基を有していてもよいカルボキシル基含有アルキル基であるが、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、シアノ基を有していてもよい炭素数1~4のカルボキシル基含有アルキル基であることが好ましく、直鎖または分岐鎖を有していてもよい式:-R-COOH(式中、Rは炭素数1~4のアルキレン基を示す)で表わされる基であることがより好ましい。
【0064】
カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物としては、例えば、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸、4-[(2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]-4-シアノペンタン酸、2-{[(2-カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸、メチル-4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。カルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物としては、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸が好ましい。
【0065】
モノマー成分中のスルホベタインモノマー1モルあたりのカルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物の量は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、好ましくは0.003~0.5モル、好ましくは0.01~0.5モル、より好ましくは0.03~0.3モルである。
【0066】
モノマー成分を重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、溶液重合法が好ましい。
【0067】
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる場合には、例えば、モノマー成分、必要によりカルボキシル基を少なくとも1個有するチオカルボニルチオ基含有化合物などの連鎖移動剤を溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を当該溶液に添加することによってモノマー成分を重合させることができるほか、重合開始剤を溶媒に溶解させ、得られた溶液を撹拌しながらモノマー成分を当該溶液に添加することによってモノマー成分を重合させることができる。
【0068】
溶媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒、水と親水性有機溶媒との混合溶媒などが挙げられるが、本発明は、当該溶媒の種類によって限定されるものではない。
【0069】
親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数が1~4の1価の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド;ジメチルスルホキシド、スルホランなどのイオウ含有有機溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの親水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの親水性有機溶媒のなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、炭素数が1~4の1価の脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノールおよびプロパノールがより好ましく、メタノールおよびエタノールがさらに好ましい。
【0070】
溶媒の量は、特に限定されないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、50~400質量部であることが好ましく、100~350質量部であることがより好ましい。
【0071】
モノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、モノマー成分100質量部あたり0.05~20質量部程度であることが好ましい。
【0072】
モノマー成分を重合させる際の重合反応温度および雰囲気については、特に限定がない。通常、重合反応温度は、50~120℃程度である。重合反応時の雰囲気は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。また、モノマー成分の重合反応時間は、重合反応温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、3~20時間程度である。
【0073】
以上のようにしてモノマー成分を重合させることにより、スルホベタインポリマーが得られる。
【0074】
スルホベタインポリマーの数平均分子量は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、好ましくは3,000~100,000、より好ましくは5,000~50,000である。なお、スルホベタインポリマーの数平均分子量は、以下の実施例の欄(調製例1)に記載の方法に基づいて測定したときの値である。
【0075】
モノマー成分を水性溶媒の存在下で溶液重合させることによってスルホベタインポリマーを調製した場合、当該スルホベタインポリマーを含有する反応溶液をそのままの状態でタンパク質凝集防止剤として用いることができるが、必要により、水、メタノール、エタノールなどの水溶性アルコール、これらの混合溶媒などの溶媒を用いてスルホベタインポリマーを洗浄してもよい。
【0076】
次に、前記で得られたスルホベタインポリマー、前記スルホベタインモノマーおよび架橋性モノマーを含有する重合性ポリマー成分を重合させることにより、架橋ポリマーが得られる。
【0077】
重合性ポリマー成分に用いられるスルホベタインモノマーとしては、モノマー成分に用いられるスルホベタインモノマーと同様のものを例示することができる。
【0078】
重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたりのスルホベタインポリマーの量は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、5~30質量部であることが好ましく、10~25質量部であることがより好ましい。
【0079】
架橋性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物、炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物、炭素-炭素二重結合を2個以上有する芳香族化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。架橋性モノマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0080】
架橋性モノマーの具体例としては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドなどのアルキレン基の炭素数が1~4のアルキレンビス(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上(好ましくは2個)有する(メタ)アクリルアミド化合物;エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を2個以上(好ましくは2個または3個)有する(メタ)アクリレート化合物;ジアリルアミン、トリアリルアミンなどの炭素-炭素二重結合を2個以上(好ましくは2個または3個)有するアミン化合物;ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼンなどの炭素-炭素二重結合を2個以上(好ましくは2個または3個)有する芳香族化合物などの多官能モノマーが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0081】
架橋性モノマーのなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物、炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物および炭素-炭素二重結合を2個以上有する芳香族化合物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物および炭素-炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物がより好ましく、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物および(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましく、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレートおよび1,4-ブタンジオールジメタクリレートが特に好ましく、エチレングリコールジアクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートが最も好ましい。これらの架橋性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0082】
重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたりの架橋性モノマーの量は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、0.5~10質量部であることが好ましく、1~5質量部であることがより好ましい。
【0083】
なお、重合性ポリマー成分には、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果にさらに優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、疎水性モノマーが含まれていることが好ましい。疎水性モノマーは、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0084】
疎水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸セチル、メタクリル酸セチルなどのアルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキル;アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのシクロアルキル基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸シクロアルキル;アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジルなどのアリール基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸アリール;アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシブチル、メタアクリル酸メトキシブチルなどのアルコキシアルキル基の炭素数が2~8の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-オクチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミドなどのアルキル基の炭素数が1~12のアルキル(メタ)アクリルアミド:N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタアクリルアミドなどのアルコキシ基の炭素数が1~6のアルコキシ(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリロイルモルホリン;ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミドなどのジアセトン(メタ)アクリルアミド;スチレン、メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;イタコン酸メチル、イタコン酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外のアルキル基の炭素数が1~4の脂肪酸アルキル;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどの窒素原子含有モノマーなどの単官能モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの疎水性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0085】
疎水性モノマーのなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキル、シクロアルキル基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸シクロアルキルおよびアリール基の炭素数が6~12の(メタ)アクリル酸アリールが好ましく、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルがより好ましく、アルキル基の炭素数が1~6の(メタ)アクリル酸アルキルがさらに好ましい。
【0086】
重合性ポリマー成分中のスルホベタインモノマー100質量部あたりの疎水性モノマーの量は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、0.5~10質量部であることが好ましく、1~5質量部であることがより好ましい。
【0087】
重合性ポリマー成分を重合させる方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合法のなかでは、溶液重合法が好ましい。
【0088】
重合性ポリマー成分を溶液重合法によって重合させる場合には、例えば、重合性ポリマー成分を水性溶媒に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を当該溶液に添加することによって重合性ポリマー成分を重合させることができるほか、重合開始剤を水性溶媒に溶解させ、得られた溶液を撹拌しながら重合性ポリマー成分を当該溶液に添加することによって重合性ポリマー成分を重合させることができる。
【0089】
水性溶媒は、水または水と水以外の親水性有機溶媒との混合溶媒である。水性溶媒における水の含有率は、通常、50質量%以上、100質量%以下である。
【0090】
親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数が1~4の1価の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどのアミド;ジメチルスルホキシド、スルホランなどのイオウ含有有機溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの親水性有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの親水性有機溶媒のなかでは、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集抑制効果に優れたタンパク質凝集防止剤を得る観点から、炭素数が1~4の1価の脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノールおよびプロパノールがより好ましく、メタノールおよびエタノールがさらに好ましい。
【0091】
水性溶媒の量は、特に限定されないが、通常、重合性ポリマー成分100質量部あたり、100~3000質量部であることが好ましく、1000~25000質量部であることがより好ましい。
【0092】
重合性ポリマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0093】
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス-シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロペン)二塩酸塩、2-tert-ブチルアゾ-2-シアノプロパン、2,2’-アゾビス-(2-メチル-プロピオンアミド)2水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロペン]、2,2’-アゾビス(2,2,4-トリメチルペンタン)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0094】
過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジイソブチリルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジtert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド;1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチル)シクロヘキサン、1,1-ジtert-ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、重合性ポリマー成分100質量部あたり0.05~20質量部程度であることが好ましい。
【0095】
重合性ポリマー成分を重合させる際には、分子量を調整するために連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤は、通常、重合性ポリマー成分と混合することによって用いることができる。連鎖移動剤としては、前記モノマー成分に用いられる連鎖移動剤と同様のものを例示することができる。連鎖移動剤の量は、特に限定されないが、通常、重合性ポリマー成分100質量部あたり0.01~10質量部程度であればよい。
【0096】
重合性ポリマー成分を重合させる際の重合反応温度および雰囲気については、特に限定がない。通常、重合反応温度は、50~120℃程度である。重合反応時の雰囲気は、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気であることが好ましい。また、重合性ポリマー成分の重合反応時間は、重合反応温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、3~20時間程度である。
【0097】
以上のようにして重合性ポリマー成分を重合させることにより、架橋ポリマーを含有する反応溶液が得られる。なお、得られる架橋ポリマーは、架橋構造を有することから、その分子量の測定が困難である。
【0098】
架橋ポリマーの平均粒子径は、好ましくは0.1nm~100μm、より好ましくは0.5nm~1μm、さらに好ましくは1nm~500nmである。この平均粒子径は、レーザー回析粒度分布測定装置〔(株)島津製作所製、品番:SALD7000〕で測定したときの値であり、体積平均径を意味する。
【0099】
本発明のタンパク質凝集防止剤は、前記架橋ポリマーを含有するものである。本発明のタンパク質凝集防止剤は、例えば、架橋ポリマーを所望の含有率で含有するように、前記架橋ポリマーと水性溶媒とを混合してもよく、架橋ポリマーを含有する反応溶液に含まれている水性溶媒を蒸発させてもよい。
【0100】
本発明のタンパク質凝集防止剤における架橋ポリマー(固形分)の含有率は、当該タンパク質凝集防止剤の用途などによって異なることから一概には決定することができないが、通常、3~80質量%程度である。本発明のタンパク質凝集防止剤における架橋ポリマー(固形分)の含有率は、溶媒をタンパク質凝集防止剤に添加したり、タンパク質凝集防止剤に含まれている溶媒を蒸発させたりすることによって容易に調整することができる。
【0101】
また、本発明のタンパク質凝集防止剤には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、本発明のタンパク質凝集防止剤の使用目的に応じた添加剤などが含まれていてもよい。
【0102】
以上説明したように、本発明のタンパク質凝集防止剤は、タンパク質の凝集を抑制することができることから、例えば、酵素の保存剤、抗体医薬、体内のアミロイド凝集抑制剤などの種々のタンパク質の凝集防止が望まれる用途に使用することが期待されるものである。
【0103】
本発明は、タンパク質と、溶媒または分散媒と、上述のタンパク質凝集防止剤とを混合することを含む、タンパク質の凝集を防止する方法を提供する。この方法において、タンパク質凝集防止剤に含有される架橋ポリマーの量は、タンパク質1質量部あたり、好ましくは10~200質量部、より好ましくは50~100質量部である。
【0104】
溶媒または分散媒としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、水、トリスバッファー等が挙げられる。
タンパク質としては、例えば、リゾチーム、アルブミン、グロブリン、プロラミン、グルテリン、サイトカイン、インスリン、抗体、膜タンパク、糖タンパク等が挙げられる。
タンパク質と、溶媒または分散媒と、上述のタンパク質凝集防止剤とを含む混合物中のタンパク質の含有率は、好ましくは0.001~20質量%、より好ましくは0.01~10質量%である。
【実施例
【0105】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0106】
調製例1
攪拌棒、ジムロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1L容のフラスコ内に、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート12mmol、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸0.6mmolおよび重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.12mmolをメタノール45mLおよび水15mLからなる混合溶媒60mLに溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、1時間撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を6時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、メタノールおよび水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、スルホベタインポリマーを得た。
【0107】
次に、得られたスルホベタインポリマーの数平均分子量をゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPCという)分析装置〔フェノメネックス社(Phenomenex,Ink)製、商品名:BioSeps2000〕および高速液体クロマトグラフィーデータシステム〔(株)島津製作所製、示差屈折率検出器〕で調べたところ、スルホベタインポリマーの数平均分子量は、5,500であった。
【0108】
なお、前記で得られたスルホベタインポリマーの数平均分子量をGPCで調べる際に展開液として0.1M臭化ナトリウム水溶液(pH:7.4)を用いた。また、標準液として昭和電工(株)製のプルランを用いた。
【0109】
調製例2
攪拌棒、ジムロート、温度計および窒素ガス導入管を備えた1L容のフラスコ内に、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート120mmol、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸0.6mmolおよび重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.12mmolをメタノール45mLおよび水15mLからなる混合溶媒60mLに溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、1時間撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を6時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、メタノールおよび水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、スルホベタインポリマーを得た。
【0110】
次に、得られたスルホベタインポリマーの数平均分子量を調製例1と同様にして調べたところ、当該スルホベタインポリマーの数平均分子量は、36,200であった。
【0111】
実施例1
調製例1で得られたスルホベタインポリマー0.2g、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート1.477g、エチレングリコールジメタクリレート22mg(21μL)および重合開始剤として4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)4mgを純水50mL中に溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを1時間導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を24時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、メタノールおよび水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、架橋ポリマーを得た。
【0112】
前記で得られた架橋ポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製した。なお、架橋ポリマーは水に溶解してナノゲル状態になり、見かけ上、均一な溶液が得られた。前記溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりの架橋ポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。得られた溶液を目視によって観察したが、リゾチームの凝集が認められなかった。
【0113】
前記で得られた溶液100μLおよびリゾチームによる溶菌作用を受けやすい菌(Micrococcus lysodeikticus)の0.25mg/mLリン酸緩衝生理食塩水2mLをキュベットに入れ、十分に混合した。得られた混合物の吸光度を分光光度計〔(株)島津製作所、品番:UV-1600PC〕で600nmの波長にて室温下で、撹拌前の吸光度と、6分撹拌した後の吸光度を測定し、加熱前の吸光度減少(=撹拌前の吸光度-6分撹拌した後の吸光度)を求めた。
【0114】
次に、前記で得られた混合物を90℃の温度で30分間加熱し、室温に冷却した後、前記と同様にして、加熱後の吸光度減少(=撹拌前の吸光度-6分撹拌した後の吸光度)を求めた。
【0115】
前記で求めた加熱前後の吸光度減少から、残存リゾチーム活性(%)を式:
[残存リゾチーム活性(%)]
=([加熱後の吸光度減少]÷[加熱前の吸光度減少])×100
に基づいて求めたところ、残存リゾチーム活性は、25%であった。
【0116】
実施例2
調製例1で得られたスルホベタインポリマー0.2g、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート1.477g、ブチルメタクリレート39.7mg(44.4μL)、エチレングリコールジメタクリレート22mg(21μL)および重合開始剤として4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)4mgを水50mLおよびメタノール10mLからなる混合溶媒60mLに溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを1時間導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を24時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、架橋ポリマーを得た。
【0117】
前記で得られた架橋ポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製した。なお、架橋ポリマーは水に溶解してナノゲル状態になり、見かけ上、均一な溶液が得られた。前記溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりの架橋ポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。得られた溶液を目視によって観察したが、リゾチームの凝集が認められなかった。
【0118】
次に、前記タンパク質凝集防止剤によるタンパク質の凝集抑制効果を実施例1と同様にして調べた。その結果、残存リゾチーム活性は31%であった。
【0119】
実施例3
調製例1で得られたスルホベタインポリマー0.2g、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート1.477g、ブチルメタクリレート79.5mg(88.8μL)、エチレングリコールジメタクリレート22mg(21μL)および重合開始剤として4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)4mgを水50mLおよびメタノール10mLからなる混合溶媒60mLに溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを1時間導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を24時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、架橋ポリマーを得た。
【0120】
前記で得られた架橋ポリマーをタンパク質凝集防止剤として用い、当該タンパク質凝集防止剤によるタンパク質の凝集抑制効果を実施例1と同様にして調べた。その結果、残存リゾチーム活性は40%であった。
【0121】
前記で得られた架橋ポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製した。なお、架橋ポリマーは水に溶解してナノゲル状態になり、見かけ上、均一な溶液が得られた。前記溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりの架橋ポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。得られた溶液を目視によって観察したが、リゾチームの凝集が認められなかった。
【0122】
実施例4
調製例2で得られたスルホベタインポリマー0.2g、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート1.477g、エチレングリコールジメタクリレート22mg(21μL)および重合開始剤として4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)4mgを純水50mL中に溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを1時間導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を24時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、メタノールおよび水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、架橋ポリマーを得た。
【0123】
前記で得られた架橋ポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製した。なお、架橋ポリマーは水に溶解してナノゲル状態になり、見かけ上、均一な溶液が得られた。前記溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりの架橋ポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。得られた溶液を目視によって観察したが、リゾチームの凝集が認められなかった。
【0124】
次に、前記タンパク質凝集防止剤によるタンパク質の凝集抑制効果を実施例1と同様にして調べた。その結果、残存リゾチーム活性は37%であった。
【0125】
実施例5
調製例2で得られたスルホベタインポリマー0.2g、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート1.477g、ブチルメタクリレート39.7mg(44.4μL)、エチレングリコールジメタクリレート22mg(21μL)および重合開始剤として4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)4mgを水50mLおよびメタノール10mLからなる混合溶媒60mLに溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを1時間導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を24時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、架橋ポリマーを得た。
【0126】
前記で得られた架橋ポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製した。なお、架橋ポリマーは水に溶解してナノゲル状態になり、見かけ上、均一な溶液が得られた。前記溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりの架橋ポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。得られた溶液を目視によって観察したが、リゾチームの凝集が認められなかった。
【0127】
次に、前記タンパク質凝集防止剤によるタンパク質の凝集抑制効果を実施例1と同様にして調べた。その結果、残存リゾチーム活性は52%であった。
【0128】
実施例6
調製例2で得られたスルホベタインポリマー0.2g、3-[(3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパン-1-スルホネート1.477g、ブチルメタクリレート79.5mg(88.8μL)、エチレングリコールジメタクリレート22mg(21μL)および重合開始剤として4,4’-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)4mgを水50mLおよびメタノール10mLからなる混合溶媒60mLに溶解させることにより、溶液を得た。得られた溶液をフラスコ内に入れ、フラスコ内に窒素ガスを1時間導入しながらフラスコ内の内容物を70℃に昇温し、撹拌した。その後、フラスコ内のモノマー成分を24時間重合させることにより、反応混合物を得た。得られた反応混合物を濾取し、水を用いて洗浄し、乾燥させることにより、架橋ポリマーを得た。
【0129】
前記で得られた架橋ポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製した。なお、架橋ポリマーは水に溶解してナノゲル状態になり、見かけ上、均一な溶液が得られた。前記溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりの架橋ポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。得られた溶液を目視によって観察したが、リゾチームの凝集が認められなかった。
【0130】
次に、前記タンパク質凝集防止剤によるタンパク質の凝集抑制効果を実施例1と同様にして調べた。その結果、残存リゾチーム活性は66%であった。
【0131】
比較例1
調製例1で得られたスルホベタインポリマーを水に溶かして、10質量%の架橋ポリマー水溶液を調製し、得られた溶液をタンパク質凝集防止剤として用いた。得られたタンパク質凝集防止剤に、リゾチームを含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加し、混合して、溶液を得た(タンパク質(リゾチーム)1質量部あたりのスルホベタインポリマーの量:100質量部、溶液中のタンパク質(リゾチーム)の含有率:0.05質量%)。
【0132】
前記タンパク質凝集防止剤によるタンパク質の凝集抑制効果を実施例1と同様にして調べた。その結果、残存リゾチーム活性は2%であった。
【0133】
以上の結果から、各実施例で得られたタンパク質凝集防止剤は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質が凝集することを効果的に抑制することができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明のタンパク質凝集防止剤は、リゾチーム活性を維持し、タンパク質の凝集を効果的に抑制することができることから、例えば、酵素の保存剤、抗体医薬、体内のアミロイド凝集抑制剤などの種々のタンパク質の凝集防止が望まれる用途に使用することが期待されるものである。
【0135】
したがって、本発明のタンパク質凝集防止剤は、例えば、食品加工分野、抗体医薬分野、移植医療分野、酵素製造分野、製薬関連分野などの種々の分野で使用することが期待される。
【0136】
本願は、日本で出願された特願2016-108846号を基礎としており、その内容は本願明細書に全て包含される。