(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 11/50 20210101AFI20220104BHJP
【FI】
A23L11/50 109
A23L11/50 113
(21)【出願番号】P 2020076245
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2020-07-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年2月4日付で高岡 素子、相澤 裕子、田中 葉月が「アミノ酸添加味▲噌▼汁の調整とヒト介入試験による機能性の検証」と題して発表し、出願に係る発明について公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】508014637
【氏名又は名称】大谷 勝
(73)【特許権者】
【識別番号】516381943
【氏名又は名称】学校法人神戸女学院
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214259
【氏名又は名称】山本 睦也
(72)【発明者】
【氏名】高岡 素子
(72)【発明者】
【氏名】大谷 勝
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-062778(JP,A)
【文献】特開2004-215626(JP,A)
【文献】特開2016-220650(JP,A)
【文献】特開2002-345430(JP,A)
【文献】特開2018-033351(JP,A)
【文献】国際公開第2008/120726(WO,A1)
【文献】特開昭60-126052(JP,A)
【文献】国際公開第2005/074712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
味噌製品にバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、
ここで、
(1)前記バリン、ロイシン及びイソロイシンの配合割合は、バリンの質量部:ロイシンの質量部:イソロイシンの質量部が、2~4:5~7:2~4の範囲の配合割合である、
(2)前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の配合割合は、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの合計質量部:アスパラギン酸又はその塩の合計質量部が、1.5~16:1の範囲の配合割合である、並びに、
(3)前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総添加量は、味噌製品中の味噌成分の質量100 g当たりの前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総質量で、300 mg以上、21200 mg以下である。
【請求項2】
バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、
ここで、
(1)前記バリン、ロイシン及びイソロイシンの配合割合は、バリンの質量部:ロイシンの質量部:イソロイシンの質量部が、2~4:5~7:2~4の範囲の配合割合である、並びに、
(2)前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の配合割合は、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの合計質量部:アスパラギン酸又はその塩の合計質量部が、1.5~16:1の範囲の配合割合である。
【請求項3】
遊離BCAA及び遊離アスパラギン酸を、
0.35≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
及び
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦8、
(ここで、
遊離BCAA質量部=遊離バリン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離イソロイシン質量部;及び
遊離アミノ酸質量部=遊離アスパラギン酸質量部+遊離スレオニン質量部+遊離セリン質量部+遊離グルタミン酸質量部+遊離プロリン質量部+遊離グリシン質量部+遊離アラニン質量部+遊離システイン質量部+遊離バリン質量部+遊離メチオニン質量部+遊離イソロイシン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離チロシン質量部+遊離フェニルアラニン質量部+遊離リジン質量部+遊離ヒスチジン質量部+遊離アルギニン質量部;
である)
で含有することを特徴とする、米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味噌製品に分枝鎖アミノ酸(BCAA : Branched-chain-amino acid)であるバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、並びにバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、並びに遊離バリン、遊離ロイシン、遊離イソロイシン、遊離アスパラギン酸を所定割合で含有することを特徴とする米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
味噌は日本の伝統的大豆発酵食品である。古代中国で誕生し、「醤(ひしお)」や「鼓(くき)」が始まりとされている。朝鮮半島を経て日本に伝わり、現在では全国各地で特色のある味噌が生み出され、味噌汁をはじめ、様々な食べ方や料理に使用されている。
【0003】
味噌の種類は大きく4種に分類される。即ち、大豆に米麹を加えた「米味噌」、麦麹を加えた「麦味噌」、豆麹を加えた「豆味噌」、及びこれらの味噌を混合した「調合味噌(合わせ味噌)」である。4種の味噌の風味や色は、麹の原料が異なることから異なり、発酵・熟成の程度によっても変化する。
【0004】
一方、味噌には複数の血圧関連酵素阻害物質が存在することが報告されている。その他、大豆イソフラボンによる乳がんリスクの低下、血液の壁や細胞膜に付着した悪玉コレステロールを除去する働きによる血圧低下作用、カロテンやポリフェノール、アミノ酸による老化防止と生体内抗酸化作用の効果も報告されている。又、味噌に含まれるアミノ酸は、タンパク質の材料、糖新生の原料(エネルギー源)として使われる栄養素である。こうしたことから、味噌は、生活習慣病を予防する等の健康促進効果を有する食品として注目されてきている。
【0005】
そして、健康に対する社会の意識の高まりを受けて、味噌の健康促進効果をより高めつつ、より多く摂取することが促進されるように、より風味に優れた食品とするニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、生活習慣病を予防する等の健康促進効果を有する味噌製品を、その健康促進効果をより高めつつ、より風味に優れた食品とするために、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、並びに味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、を提供すること、更に、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された合わせ味噌の味噌製品、を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、味噌製品を、その健康促進効果をより高めつつ、より風味に優れた食品とするために、味噌の成分について様々な検討を行った。その結果、味噌製品にバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、並びにバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、によって、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された味噌製品を取得できること、並びに遊離BCAA及び遊離アスパラギン酸を、
0.35≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
及び
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦8、
(ここで、
遊離BCAA質量部=遊離バリン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離イソロイシン質量部;及び
遊離アミノ酸質量部=遊離アスパラギン酸質量部+遊離スレオニン質量部+遊離セリン質量部+遊離グルタミン酸質量部+遊離プロリン質量部+遊離グリシン質量部+遊離アラニン質量部+遊離システイン質量部+遊離バリン質量部+遊離メチオニン質量部+遊離イソロイシン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離チロシン質量部+遊離フェニルアラニン質量部+遊離リジン質量部+遊離ヒスチジン質量部+遊離アルギニン質量部;
である)
で含有することを特徴とする、米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品が、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品であること、を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
[項1]
味噌製品にバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、
である。
かかる味噌製品を生産する方法は、味噌製品中のアミノ酸含量を増やすことでよりその健康促進効果がより高まり、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌製品を生産する方法である。
【0009】
又、本発明は、
[項2]
バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、
である。
かかる調節剤は、味噌製品中のアミノ酸含量を増やすことでその健康促進効果をより高め、前記味噌製品をより優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌製品とすることができる。
【0010】
又更に、本発明は、
[項3]
遊離BCAA及び遊離アスパラギン酸を、
0.35≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
及び
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦8、
(ここで、
遊離BCAA質量部=遊離バリン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離イソロイシン質量部;及び
遊離アミノ酸質量部=遊離アスパラギン酸質量部+遊離スレオニン質量部+遊離セリン質量部+遊離グルタミン酸質量部+遊離プロリン質量部+遊離グリシン質量部+遊離アラニン質量部+遊離システイン質量部+遊離バリン質量部+遊離メチオニン質量部+遊離イソロイシン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離チロシン質量部+遊離フェニルアラニン質量部+遊離リジン質量部+遊離ヒスチジン質量部+遊離アルギニン質量部;
である)
で含有することを特徴とする、米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品、
である。
かかる米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品は、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された味噌製品を取得するための、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、並びに味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤が提供される。更に、本発明によれば、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】信州味噌と豆味噌の混合質量部比率を変えた合わせ味噌(1000mg アミノ酸ミックス含)に関する総合評価の結果(n=14)である。
【
図2】BCAAミックス添加信州味噌への最適アスパラギン酸量の検討―総合評価(n=6)の結果である。
【
図3】BCAAミックス添加スイートへの最適アスパラギン酸量の検討―総合評価(n=6)の結果である。
【
図4】BCAAミックス添加八丁みそへの最適アスパラギン酸量の検討―総合評価(n=6)の結果である。
【
図5】BCAAミックス添加西京味噌への最適アスパラギン酸量の検討―総合評価(n=6)の結果である。
【
図6】BCAAミックス添加麦味噌への最適アスパラギン酸量の検討―総合評価(n=6)の結果である。
【
図7】BCAAミックス添加合わせ味噌への最適アスパラギン酸量の検討―総合評価(n=6)の結果である。
【
図8】アミノ酸ミックス添加した信州味噌の総合評価(n=7)の結果である。
【
図9】アミノ酸ミックス添加したスイートの総合評価(n=6)の結果である。
【
図10】アミノ酸ミックス添加した八丁みその総合評価(n=7)の結果である。
【
図11】アミノ酸ミックス添加した西京味噌の総合評価(n=7)の結果である。
【
図12】アミノ酸ミックス添加した麦味噌の総合評価(n=7)の結果である。
【
図13】アミノ酸ミックス添加した合わせ味噌の総合評価(n=7)の結果である。
【
図14】BCAAミックス水溶液に各量のアスパラギン酸を添加した場合の総合評価の結果である。横軸はアスパラギン酸量である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について具体的に説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0014】
本発明にかかる香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法は、味噌製品にバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする。
【0015】
又、本発明にかかる味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤は、バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする。
【0016】
又更に、本発明にかかる米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品は、遊離BCAA及び遊離アスパラギン酸を、
0.35≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
及び
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦8、
(ここで、
遊離BCAA質量部=遊離バリン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離イソロイシン質量部;及び
遊離アミノ酸質量部=遊離アスパラギン酸質量部+遊離スレオニン質量部+遊離セリン質量部+遊離グルタミン酸質量部+遊離プロリン質量部+遊離グリシン質量部+遊離アラニン質量部+遊離システイン質量部+遊離バリン質量部+遊離メチオニン質量部+遊離イソロイシン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離チロシン質量部+遊離フェニルアラニン質量部+遊離リジン質量部+遊離ヒスチジン質量部+遊離アルギニン質量部;
である)、
で含有することを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる味噌製品の味噌とは、大豆や米、麦等の穀物に、塩と麹を加えて発酵させて作る発酵食品のことをいう。「味噌」は「みそ」とも表記され、互換的に使用されることがある。
【0018】
本発明にかかる味噌の種類は、その原料の違いにより、米、大豆に塩と麹を加えて発酵させた「米味噌」、麦、大豆に塩と麹を加えて発酵させた「麦味噌」、大豆に塩と麹を加えて発酵させた「豆味噌」、及びこれらの味噌を混合した「調合味噌(合わせ味噌)」の4種に分類される。
【0019】
前記米味噌としては、限定されるものではないが、原料や発酵方法・製造方法、産地が違うものとして、北海道味噌、津軽味噌、秋田味噌、仙台味噌、会津味噌、江戸甘味噌、信州味噌、相白味噌、越後味噌、佐渡味噌、越中味噌山吹味噌、加賀味噌、西京味噌、桜味噌、府中味噌、讃岐味噌、御膳味噌等が挙げられる。これら味噌を2種以上混合して得られる味噌も、本発明にかかる米味噌として用いることがある。
前記米味噌は、好ましくは、西京味噌、信州味噌である。本発明にかかる味噌を生産する方法、及び本発明にかかる調節剤により、健康促進効果をより高めつつ、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌となるからである。
【0020】
前記麦味噌としては、限定されるものではないが、原料や発酵方法・製造方法、産地が違うものとして、島原味噌、薩摩味噌、麦味噌(すり)等を挙げることができる。これら味噌を2種以上混合して得られる味噌も、本発明にかかる麦味噌として用いることがある。
前記麦味噌は、好ましくは、麦味噌(すり)である。本発明にかかる味噌を生産する方法、及び本発明にかかる調節剤により、健康促進効果をより高めつつ、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌となるからである。
【0021】
前記豆味噌としては、限定されるものではないが、原料や発酵方法・製造方法、産地が違うものとして、八丁味噌、赤味噌、豆味噌(スイート)等を挙げることができる。これら味噌を2種以上混合して得られる味噌も、本発明にかかる豆味噌として用いることがある。
前記豆味噌は、好ましくは八丁味噌、豆味噌(スイート)である。本発明にかかる味噌を生産する方法、及び本発明にかかる調節剤により、健康促進効果をより高めつつ、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌となるからである。
【0022】
前記合わせ味噌は、米味噌、麦味噌、豆味噌からなる群より選択される2種以上の味噌を混合して成る味噌である。
前記合わせ味噌は、好ましくは、米味噌と豆味噌を混合した合わせ味噌である。前記合わせ味噌は、より好ましくは、信州味噌と豆味噌を混合した合わせ味噌であり、更により好ましくは、信州味噌と豆味噌(スイート)を混合した合わせ味噌である。本発明にかかる味噌を生産する方法、及び本発明にかかる調節剤により、健康促進効果をより高めつつ、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌となるからである。
【0023】
前記合わせ味噌において、米味噌、麦味噌、豆味噌からなる群より選択される2種以上の味噌の混合割合は、特に限定されることなく、任意に選択することができる。
前記合わせ味噌が米味噌と豆味噌を混合した合わせ味噌である場合、米味噌の質量部:豆味噌の質量部を7:3から1:9の範囲の割合で混合した合わせ味噌であることが好ましく、米味噌の質量部:豆味噌の質量部を5:5から3:7の範囲の割合で混合した合わせ味噌であることがより好ましい。米味噌の質量部:豆味噌の質量部を7:3から1:9の範囲の割合で混合した合わせ味噌は、バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することにより、より香り及び/又は味の濃さに優れる合わせ味噌とすることができるからである。
【0024】
本発明にかかる味噌製品とは、前記味噌の製品、及び前記味噌を原材料として使用した製品のことをいう。前記味噌製品の例としては、特に限定されるものではないが、味噌、味噌汁、インスタント味噌汁(生味噌、濃縮タイプ、乾燥粉末タイプ等)、味噌たれ、並びに鍋料理、及びラーメン、うどん等麺料理等のスープ(インスタント含む)等が挙げられる。
【0025】
本発明にかかる味噌製品の「香り」とは、味噌特有の発酵した香りと甘い香りの融合した香り、のことをいう。
【0026】
本発明にかかる味噌製品の「味の濃さ」の味とは、塩味・甘味・旨味が合わさった味のことをいい、「味が濃い」とは、塩味・甘味・旨味がともに強いこと、をいう。
【0027】
本発明にかかる味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤とは、味噌製品の香り及び/又は味の濃さを調節するために、味噌製品又はその原料・中間材料に添加される風味調節剤のことをいう。
前記味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤は、前記味噌製品又はその原料・中間材料の生産工程の中で、前記味噌製品又はその原料・中間材料に使用され、添加されることがある。又、味噌製品を飲食する前に、前記味噌製品の提供者及び/又は飲食者によって、前記味噌製品に使用され、添加されることもある。
【0028】
本発明にかかるバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩は、光学異性体のD体、又はL体の何れであっても良く、D体とL体とが任意の割合で混合したものであることもある。
【0029】
本発明にかかるアスパラギン酸及び/又はその塩のアスパラギン酸塩は、特に限定されるものではないが、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム等であることがある。
【0030】
本発明にかかる味噌製品を生産する方法、及び調節剤において、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの配合割合は、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの3種のアミノ酸が存在すれば、特に限定されるものではなく、任意の配合割合であって良い。
前記味噌製品を、より高い健康促進効果を有し、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌製品とする観点から、前記バリン、ロイシン、及びイソロイシンの配合割合は、バリンの質量部:ロイシンの質量部:イソロイシンの質量部が、1~5:4~8:1~5の範囲の配合割合であることが好ましく、2~4:5~7:2~4の範囲の配合割合であることがより好ましく、3:6:3の配合割合であることがもっとも好ましい。
【0031】
又、本発明にかかる米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品において、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの含有割合は、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの3種のアミノ酸が存在すれば、特に限定されるものではなく、任意の含有割合であって良い。
前記米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品が、より高い健康促進効果を有し、より優れた風味に調節された合わせ味噌の味噌製品である、という観点から、前記合わせ味噌の味噌製品中の前記バリン、ロイシン、及びイソロイシンの含有割合は、遊離バリンの質量部:遊離ロイシンの質量部:遊離イソロイシンの質量部が、1~5:4~8:1~5の範囲の含有割合であることが好ましく、2~4:5~7:2~4の範囲の含有割合であることがより好ましく、3:6:3の含有割合であることがもっとも好ましい。
【0032】
本発明にかかる味噌製品を生産する方法、及び調節剤において、バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の配合割合は、バリン、ロイシン、イソロイシン、及びアスパラギン酸の4種のアミノ酸が存在すれば、特に限定されるものではなく、任意の配合割合であって良い。
前記味噌製品を、より高い健康促進効果を有し、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌製品とする観点から、バリン、ロイシン、及びイソロイシンの合計質量部:アスパラギン酸又はその塩の合計質量部が、16:1から1.5:1の範囲の配合割合であることが好ましく、8:1から1.5:1の範囲の配合割合であることがより好ましい。
【0033】
又、本発明にかかる米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品は、遊離BCAA(遊離バリン、遊離ロイシン、及び遊離イソロイシン)及び遊離アスパラギン酸を、
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦8、
で含有することを特徴とする。
前記米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品は、より高い健康促進効果を有し、より優れた風味に調節された合わせ味噌の味噌製品である、という観点から、遊離BCAA(遊離バリン、遊離ロイシン、及び遊離イソロイシン)及び遊離アスパラギン酸を、
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦7.5、
で含有することがより好ましく、
2≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦7.5、
で含有することが更により好ましい。
【0034】
本発明にかかる味噌製品を生産する方法において、前記味噌製品に添加する、バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総添加量は、バリン、ロイシン、イソロイシン、及びアスパラギン酸の4種のアミノ酸を添加すれば、特に限定されるものではなく、任意の量を添加することがある。前記味噌製品を、健康促進効果をより高めつつ、より優れた香り及び/又は味の濃さに調節された味噌製品とする観点から、前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総添加量は、味噌製品中の味噌成分の質量100 g当たりの前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総質量で、300 mg以上であることが好ましく、600 mg以上であることがより好ましく、4400 mg以上であることが更に好ましい。
又、同様な観点から、前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総添加量は、味噌製品中の味噌成分の質量100 g当たりの前記バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の総質量で、21200 mg以下であることが好ましく、10600 mg以下であることがより好ましく、6500 mg以下であることが更に好ましい。
【0035】
本発明にかかる米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品は、遊離BCAA(遊離バリン、遊離ロイシン、及び遊離イソロイシン)及び遊離アスパラギン酸を、
0.35≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
で含有することを特徴とする。
【0036】
前記米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品は、より高い健康促進効果を有し、より優れた風味に調節された合わせ味噌の味噌製品である、という観点から、遊離BCAA(遊離バリン、遊離ロイシン、及び遊離イソロイシン)及び遊離アスパラギン酸を、
0.40≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
で含有することがより好ましく、
0.40≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.75、
で含有することが更により好ましい
【0037】
なお、本発明にかかる味噌製品、味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品中の各アミノ酸の量は、下記実施例で示す通り、アミノ酸を抽出した後、高速液体クロマトグラフによって定量したものである。この定量方法以外にも、例えば質量分析法、NMR法等、アミノ酸を定量することができる既存の方法、任意の方法によって定量することもある。
【0038】
本発明にかかる味噌製品を生産する方法において、任意の工程で、前記味噌製品に所定のバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加しても良い。前記味噌製品に、1回で、バリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を全量添加しても良いし、2回以上に分けて添加しても良い。
又、それぞれのアミノ酸及び/又はその塩を混合してから前記味噌製品に添加しても良いし、それぞれ別々に前記味噌に添加しても良い。
添加したバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の分解や析出、菌による代謝等の影響を少なくする観点から、前記味噌製品へのバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩の添加は、味噌製品中の味噌成分の発酵・熟成がほぼ完了した後、前記味噌製品を所望の風味に調節する工程において行うことが好ましい。
【0039】
本発明にかかる味噌製品を生産する方法においては、必要に応じて任意成分を、任意の工程の中で添加することがある。又、本発明にかかる味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、及び米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品においては、必要に応じて任意成分を含有することがある。
前記任意成分としては、特に限定されるものではないが、塩化ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム等のカリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、かつお節粉末や昆布エキス等のだし、その他のアミノ酸(グルタミン酸等)、甘味料、酸味料、苦味料、香辛料、その他の味を調節する調味料等、発酵抑制剤(酒精(アルコール)等)、酸化防止剤(ビタミンB2等)、保存剤(ソルビン酸等)、安定剤、増粘剤、酵素、糖類、香料、着色料、溶媒(水等)、pH調製剤、その他食品添加物、具材(豆腐、油揚げ、卵、野菜類、肉類等)
【実施例】
【0040】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0041】
<材料>
使用した材料、及びその出所は以下の通りである。
【表1】
【0042】
<使用したアミノ酸>
バリン:味の素株式会社
ロイシン:同上
イソロイシン:同上
上記バリン、ロイシン、イソロイシンを質量部比率が22:44:22になるように混合したものを、BCAAミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)とした。
アスパラギン酸:味の素株式会社
<その他>
ミネラルウォーター:天然水(サントリー)
食塩:
95%エタノール:
【0043】
<合わせ味噌>
合わせ味噌は、上記信州味噌と上記スイートを、信州味噌:スイートの質量部比率が、1:9、3:7、5:5、7:3、9:1となるように混合して調製した。
【0044】
<味噌ミックスの調製>
官能評価に用いるために、事前に、以下の手順で味噌ミックスを調製した。
味噌70 g、ミネラルウォーター22 ml、食塩4.0 gを混合し、ウォーターバス内で 75℃になるまで加熱し、冷水で 50℃まで冷却後、95%エタノール 4.0 ml を添加したものを味噌ミックスとした。
【0045】
<味噌汁の調製>
各種味噌14gから上記手順に従って味噌ミックスを調整し、味噌ミックス20gに対して更に、所定量のBCAAミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)、所定量のアスパラギン酸を添加した。そして、165 ml の熱湯も添加して混合し、味噌汁を調製し、官能評価用のサンプルとした。
【0046】
<味噌汁の官能評価>
<パネラー>
神戸女学院大学生
【0047】
<官能評価方法>
官能評価のサンプルは80 ml 容積の紙コップに味噌汁を 30 ml 程度入れて各パネラーに提示した。味噌汁の温度は約50℃とした。
味噌汁の官能評価は、「強度」と「嗜好性」に大分される。そして、それぞれ、塩味(塩辛さ)・旨味・苦味・香り・味の濃さの5項目について、各パネラーがそれぞれ以下の基準で5段階スコアで評価し、各スコアの平均値±標準偏差を代表値として算出し、比較した。
「強度」のスコアと基準
1:とても弱い
2:少し弱い
3:普通
4:少し強い
5:とても強い
「嗜好性」のスコアと基準
1:とても嫌い
2:少し嫌い
3:普通
4:少し好き
5:とても好き
なお、各味噌汁に対して官能評価は、バリン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸の何れのアミノ酸の添加が無い味噌汁の官能評価が、スコア3の「普通」となるように、行った。
更に、各パネラーは比較サンプル間で好ましい順に順位をつけ、各順位を点数スコアで表し、その平均値を代表値として算出して、各サンプルの「総合評価」とした。
例えば、6種類のサンプルを評価した場合は、最も好ましい1位が6点、2位が5点、3位が4点、4位が3点、5位が2点、6位が1点、のように、5種類のサンプルを評価した場合は、最も好ましい1位が5点、2位が4点、3位が3点、4位が2点、5位が1点、のように、点数スコアをつけた。
【0048】
<遊離アミノ酸の定量>
遊離アミノ酸分析には、高速液体クロマトグラフChromasterアミノ酸(オルトフタルアルデヒド(OPA)ポストカラム法)分析システム(HITACHI)を用いた。検出はFL(Ex340nm、Em450nm、カラム温度は57℃、注入量は20μL、使用カラムは#2619pH(4mmI.D.×150mmL)とした。
試料調整は、10gの味噌ミックスに60℃、90mLの熱湯を加え、ガラス棒でよく混ぜた後、ボルテックスミキサーで十分に混合した。室温で20分間ロータリーミキサーにかけ、その後、2500rpmで15分間遠心分離にかけ、上澄みを採集した。次に、分液漏斗に上澄み液とヘキサンを30mL入れ、30回ゆっくりと転倒混和し、下部の水層をビーカーに取り出した。この作業を計2回繰り返し、下部の水層を集め、ろ紙(5A)でろ過した。ろ過した溶液0.8mL、3%スルホサリチル酸を0.8mLずつ2mLのエッペンチューブに取り、ボルテックスミキサーにかけて十分に混合した。冷蔵庫で20分間静置した後、遠心処理した。上澄みをフィルター付きエッペンドルフチューブ(0.22μm)でろ過したものをサンプルとして用いた。
【0049】
<実施例1:合わせ味噌の比率>
合わせ味噌における米味噌と豆味噌の最適な混合質量部比率を決定するために、以下の試験を行った。
信州味噌:スイートについて、1:9、3:7、5:5、7:3、9:1の各質量部比率で混合した合わせ味噌を5種類作製した。それぞれの合わせ味噌14 gから味噌ミックスを調製し、更に、880 mg のBCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)と 120 mg のアスパラギン酸を混合した合計 1000 mg のアミノ酸ミックスを添加した。これに165 mlの熱湯も添加して味噌汁を作製し、官能評価(総合評価)を行った。
この結果を、表2及び
図1に示す。
合わせ味噌の比率を決定する官能評価では、最も評価が高かったのは、信州味噌:スイートの比率が5:5と3:7であった。
【0050】
【0051】
<実施例2:BCAA添加信州味噌への添加アスパラギン酸量に関する官能評価>
信州味噌の味噌ミックス20g当たり、880 mg BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を添加して調製したBCAA添加信州味噌に、アスパラギン酸を0 mg、120 mg、180 mg、240 mg、300 mgそれぞれ添加した味噌汁を調製し、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表3、「強度」の結果を表4及び「総合評価」の結果を
図2に示す。
【0052】
【0053】
【0054】
<実施例3:BCAA添加スイートへの添加アスパラギン酸量に関する官能評価>
スイートの味噌ミックス20g当たり、880 mg BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を添加して調製したBCAA添加スイートに、アスパラギン酸を0 mg、120 mg、180 mg、240 mg、300 mgそれぞれ添加した味噌汁を調製し、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表5、「強度」の結果を表6及び「総合評価」の結果を
図3に示す。
【表5】
【0055】
【0056】
<実施例4:BCAA添加八丁みそへの添加アスパラギン酸量に関する官能評価>
八丁みその味噌ミックス20g当たり、880 mg BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を添加して調製したBCAA添加八丁みそに、アスパラギン酸を0 mg、180 mg、240 mg、300 mg、360 mg、420 mgそれぞれ添加した味噌汁を調製し、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表7、「強度」の結果を表8及び「総合評価」の結果を
図4に示す。
【0057】
【0058】
【0059】
<実施例5:BCAA添加西京味噌への添加アスパラギン酸量に関する官能評価>
西京味噌の味噌ミックス20g当たり、880 mg BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を添加して調製したBCAA添加西京味噌に、アスパラギン酸を0 mg、120 mg、180 mg、240 mg、300 mgそれぞれ添加した味噌汁を調製し、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表9、「強度」の結果を表10及び「総合評価」の結果を
図5に示す。
【0060】
【0061】
【0062】
<実施例6:BCAA添加麦味噌への添加アスパラギン酸量に関する官能評価>
麦味噌すりの味噌ミックス20g当たり、880 mg BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を添加して調製したBCAA添加麦味噌に、アスパラギン酸を0 mg、120 mg、180 mg、240 mg、300 mg添加した味噌汁を調製し、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表11、「強度」の結果を表12及び「総合評価」の結果を
図6に示す。
【0063】
【0064】
【0065】
<実施例7:BCAA添加合わせ味噌への添加アスパラギン酸量に関する官能評価>
信州味噌:スイートの混合質量部比率を3:7にした合わせ味噌を使用した。合わせ味噌の味噌ミックス20g当たり、880 mg BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を添加して調製したBCAA添加麦味噌に、アスパラギン酸を0 mg、120 mg、180 mg、240 mg、300 mgそれぞれ添加した味噌汁を調製し、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表13、「強度」の結果を表14及び「総合評価」の結果を
図7に示す。
【0066】
【0067】
【0068】
<実施例8:信州味噌に添加したアミノ酸ミックス量についての官能評価>
アスパラギン酸120 mgに対して、BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を480 mg、880 mg、1080 mg、1680 mg、1880 mg 混合し、それぞれ 600 mg、1000 mg、1200 mg、1800 mg、2000 mgのアミノ酸ミックスとした。
信州味噌の味噌ミックス20g当たり、上記各量のアミノ酸ミックスを添加し、該味噌を用いた味噌汁について、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表15、「強度」の結果を表16及び「総合評価」の結果を
図8に示す。
【0069】
【0070】
【0071】
<実施例9:スイートに添加したアミノ酸ミックス量についての官能評価>
アスパラギン酸120 mgに対して、BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を480 mg、880 mg、1080 mg、1680 mg、1880 mg 混合し、それぞれ 600 mg、1000 mg、1200 mg、1800 mg、2000 mgのアミノ酸ミックスとした。
スイートの味噌ミックス20g当たり、上記各量のアミノ酸ミックスを添加し、該味噌を用いた味噌汁について、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表17、「強度」の結果を表18及び「総合評価」の結果を
図9に示す。
【0072】
【0073】
【0074】
<実施例10:八丁みそに添加したアミノ酸ミックス量についての官能評価>
アスパラギン酸120 mgに対して、BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を480 mg、880 mg、1080 mg、1680 mg、1880 mg 混合し、それぞれ 600 mg、1000 mg、1200 mg、1800 mg、2000 mgのアミノ酸ミックスとした。
八丁みその味噌ミックス20g当たり、上記各量のアミノ酸ミックスを添加し、該味噌を用いた味噌汁について、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表19、「強度」の結果を表20及び「総合評価」の結果を
図10に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
<実施例11:西京味噌に添加したアミノ酸ミックス量についての官能評価>
アスパラギン酸120 mgに対して、BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を480 mg、880 mg、1080 mg、1680 mg、1880 mg 混合し、それぞれ 600 mg、1000 mg、1200 mg、1800 mg、2000 mgのアミノ酸ミックスとした。
西京味噌の味噌ミックス20g当たり、上記各量のアミノ酸ミックスを添加し、該味噌を用いた味噌汁について、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表21、「強度」の結果を表22及び「総合評価」の結果を
図11に示す。
【0078】
【0079】
【0080】
<実施例12:麦味噌に添加したアミノ酸ミックス量についての官能評価>
アスパラギン酸120 mgに対して、BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を480 mg、880 mg、1080 mg、1680 mg、1880 mg 混合し、それぞれ 600 mg、1000 mg、1200 mg、1800 mg、2000 mgのアミノ酸ミックスとした。
麦味噌すりの味噌ミックス20g当たり、上記各量のアミノ酸ミックスを添加し、該味噌を用いた味噌汁について、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表23、「強度」の結果を表24及び「総合評価」の結果を
図12に示す。
【0081】
【0082】
【0083】
<実施例13:合わせ味噌に添加したアミノ酸ミックス量についての官能評価>
信州味噌:スイートの混合質量部比率を3:7にした合わせ味噌を使用した。
アスパラギン酸120 mgに対して、BCAA ミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)を480 mg、880 mg、1080 mg、1680 mg、1880 mg 混合し、それぞれ 600 mg、1000 mg、1200 mg、1800 mg、2000 mgのアミノ酸ミックスとした。
合わせ味噌の味噌ミックス20g当たり、上記各量のアミノ酸ミックスを添加し、該味噌を用いた味噌汁について、官能評価を行った。
「嗜好性」の結果を表25、「強度」の結果を表26及び「総合評価」の結果を
図13に示す。
【0084】
【0085】
【0086】
<実施例14:BCAAミックス水溶液に対するアスパラギン酸の添加量の比較>
BCAAミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22) 880 mgを溶かした蒸留水に、アスパラギン酸を0 mg、60 mg、120 mg、180 mg、210 mg、240 mg、270 mg、300 mgそれぞれ添加し、官能評価(総合評価)を行った。
この結果を
図14に示す。
【0087】
<実施例15:遊離アミノ酸の定量>
信州味噌:スイートの混合質量部比率を3:7にした合わせ味噌、及び前記合わせ味噌の味噌ミックス100 g当たり、BCAAミックス(組成:バリン:22、ロイシン:44、イソロイシン:22)4400mg、アスパラギン酸600mgを添加した合わせ味噌について、遊離アミノ酸の定量を行った。
この結果を表27に示す。
【表27】
【0088】
なお、味噌中の上記遊離アミノ酸の定量に際しては、味噌からアミノ酸を抽出する工程等でアミノ酸のロスがあった。このアミノ酸のロスの割合としては、上記測定の場合では、実測値/実量値=0.439と見積もられた。
【0089】
<まとめ>
以上の実施例より、本発明の、味噌製品にバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を添加することを特徴とする、香り及び/又は味の濃さを調節した味噌製品を生産する方法、並びにバリン、ロイシン、イソロイシン、並びにアスパラギン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする、味噌製品の香り及び/又は味の濃さ調節剤、によって、健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された味噌製品を取得できることが確認された。
又、遊離BCAA及び遊離アスパラギン酸を、
0.35≦(遊離BCAA質量部+遊離アスパラギン酸質量部)/遊離アミノ酸質量部≦0.8、
及び
1.5≦遊離BCAA質量部/遊離アスパラギン酸質量部≦8、
(ここで、
遊離BCAA質量部=遊離バリン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離イソロイシン質量部;及び
遊離アミノ酸質量部=遊離アスパラギン酸質量部+遊離プロリン+遊離スレオニン質量部+遊離セリン質量部+遊離グルタミン酸質量部+遊離プロリン質量部+遊離グリシン質量部+遊離アラニン質量部+遊離システイン質量部+遊離バリン質量部+遊離メチオニン質量部+遊離イソロイシン質量部+遊離ロイシン質量部+遊離チロシン質量部+遊離フェニルアラニン質量部+遊離リジン質量部+遊離ヒスチジン質量部+遊離アルギニン質量部;
である)
で含有することを特徴とする、米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品、が健康促進効果がより高く、より優れた風味に調節された米味噌と豆味噌の合わせ味噌の味噌製品であることも確認された。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明を、味噌製品、及び味噌製品の風味調節剤等を生産、提供、販売等を行う、食品産業、飲食産業等において利用することができる。