(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】バイタルサインデータ管理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220127BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20220127BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2021090214
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2021-07-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 本件出願人は、令和3年4月1日からhttps://bioechonet.co.jp/quick-app/service/において本件発明を実施するためのアプリのバージョンアップ版を公開し、ユーザーに利用できるようにした。 またApp Storeにおいて「quick(クイック)-体温管理アプリ」で本件発明に関連するバージョンアップ版(バージョン1.4)のアプリを登録し、Google Play ストアでも「quick(クイック)-無料で複数人の体温管理が簡単にできるアプリ」のバージョンアップ版(バージョン1.3.31)を登録した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399107845
【氏名又は名称】株式会社マイクロネット
(74)【代理人】
【識別番号】100167715
【氏名又は名称】古岩 信嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100084445
【氏名又は名称】古岩 信幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和彦
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特許第6820571(JP,B1)
【文献】特開2002-133037(JP,A)
【文献】特開2021-002234(JP,A)
【文献】ヘルステック10の新潮流 オンライン健康相談アプリ「LEBER」 日本一のサイバーホスピタルを目指す,月刊事業構想,学校法人先端教育機構,事業構想大学院大学 出版部,通巻第102号,第24-25頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の家庭それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムであって、
前記第1の通信端末は、
バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、
前記家庭単位のグループ名と
当該家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名
毎にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ
前記施設側から知らされた施設側レコードアドレスと共に前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末は、
前記バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、
前記施設側の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、
前記メンバー名毎に、
当該メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな前記施設側レコードアドレスを発行し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付けて前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、
家庭側用の第1のデータベースと施設側用の第2のデータベースとを備え、
前記第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、
前記第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、
前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、
前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDに対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、
前記第1のデータベースに対して、前記第1の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきた
新規なバイタルサインデータを、当該第1のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録し、
前記第1のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記
新規なバイタルサインデータが記録されたときには、前記第1の通信端末から前記新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記施設側レコードアドレスをキーにして、前記第2のデータベース内の当該施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第2の通信端末にデータ書き込みを通知する、
ようにしたことを特徴とするバイタルサインデータ管理システム。
【請求項2】
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、前記第2のデータベース内の前記施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止することを特徴とする請求項1に記載のバイタルサインデータ管理システム。
【請求項3】
前記第2の通信端末は、児童を預かる託児所、保育園、幼稚園又は学校のような施設側で用いられ、
前記第2のデータベースに登録されるグループ名はクラス名、前記メンバー名はクラスに所属する児童たちの氏名であることを特徴とする請求項2に記載のバイタルサインデータ管理システム。
【請求項4】
複数の家庭それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムであって、
前記第1の通信端末は、
バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、
家庭単位のグループ名と当該家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名毎にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、
前記メンバー名毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな家庭側レコードアドレスを発行し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付
け、前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末は、
前記バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、
施設内の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名毎にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知
し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ
前記家庭側から知らされた前記家庭側レコードアドレスを付加して前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、
家庭側用の第1のデータベースと施設側用の第2のデータベースとを備え、
前記第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、
前記第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、
前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレ
スを登録し、
前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレ
スを登録し、
前記第
2のデータベースに対して、前記第
2の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきた
新規なバイタルサインデータを、当該第
2のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録
し、
前記第2のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに
前記新規
なバイタルサインデータが記録されたときには、第2の通信端末から前記新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記家庭側レコードアドレスをキーにして、前記第1のデータベース内の当該家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第1の通信端末にデータ書き込みを通知する、
ようにしたことを特徴とするバイタルサインデータ管理システム。
【請求項5】
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、
前記第1のデータベース内の前記家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁
止することを特徴とする請求項4に記載のバイタルサインデータ管理システム。
【請求項6】
前記第2の通信端末は、幼児を預かる託児
所又は園児を預かる保育園のような施設側で用いられ、
前記第2のデータベースに登録されるグループ名は託児所名又は保育園のような施設のクラス名、前記メンバー名は託児所に預けられている幼児の氏名又は保育園に預けられている園児の氏名であることを特徴とする請求項5に記載のバイタルサインデータ管理システム。
【請求項7】
前記第1、第2それぞれのデータベースの各レコード内のバイタルサインデータフィールドには、テキストデータ及び画像データの記録を可能にしたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のバイタルサインデータ管理システム。
【請求項8】
複数の家庭側それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムにおいて使用されるバイタルサインデータ管理方法であって、
前記第1の通信端末は、インストールされているバイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、
前記家庭単位のグループ名と
当該家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名
毎にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ
前記施設側から知らされた施設側レコードアドレスと共に前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末は、インストールされている前記バイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、
前記施設側の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、
前記メンバー名毎に、
当該メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな前記施設側レコードアドレスを発行し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付けて前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーにおいて、
家庭側用の第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、
施設側用の第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、
前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、
前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなID
に対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、
前記第1のデータベースに対して、前記第1の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきた
新規なバイタルサインデータを、当該第1のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録し、
前記第1のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記
新規なバイタルサインデータが記録されたときには、前記第1の通信端末から前記新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記施設側レコードアドレスをキーにして、前記第2のデータベース内の当該施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第2の通信端末にデータ書き込みを通知する、
ことを特徴とするバイタルサインデータ管理方法。
【請求項9】
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、前記第2のデータベース内の前記施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止することを特徴とする請求項8に記載のバイタルサインデータ管理方法。
【請求項10】
前記第2の通信端末は、児童を預かる託児所、保育園、幼稚園又は学校のような施設側で用いられ、
前記第2のデータベースに登録されるグループ名はクラス名、前記メンバーはクラスに所属する生徒たちの氏名であることを特徴とする請求項9に記載のバイタルサインデータ管理方法。
【請求項11】
複数の家庭それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムにおいて使用されるバイタルサインデータ管理方法であって、
前記第1の通信端末は、インストールされているバイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、
前記家庭単位のグループ名と家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、
前記メンバー
名毎に、
当該メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな家庭側レコードアドレスを発行し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付
け、前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末は、インストールされている前記バイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、
施設内の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知
し、
前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ
前記家庭側から知らされた前記家庭側レコードアドレスを付加して前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーにおいて、
家庭側用の第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、
施設側用の第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、
前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレスを登録し、
前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレ
スを登録し、
前記第
2のデータベースに対して、前記第
2の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきた
新規なバイタルサインデータを、当該第
2のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録
し、
前記第2のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記
新規なバイタルサインデータが記録されたときには、
前記第2の通信端末から前記
新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記家庭側レコードアドレスをキーにして、前記第1のデータベース内の当該家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第1の通信端末にデータ書き込みを通知する、
ことを特徴とするバイタルサインデータ管理方法。
【請求項12】
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、
前記第1のデータベース内の前記家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁
止することを特徴とする請求項11に記載のバイタルサインデータ管理方法。
【請求項13】
前記第2の通信端末は、幼児を預かる託児
所又は園児を預かる保育園のような施設側で用いられ、
前記第2のデータベースに登録されるグループ名は託児所名又は保育園のような施設のクラス名、前記メンバー名は託児所に預けられている幼児の氏名又は保育園に預けられている園児の氏名であることを特徴とする請求項12に記載のバイタルサインデータ管理方法。
【請求項14】
前記第1、第2それぞれのデータベースの各レコード内のバイタルサインデータフィールドには、テキストデータ及び画像データの記録を可能にしたことを特徴とする請求項8~12のいずれかに記載のバイタルサインデータ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家庭で幼児、園児、生徒等の子供の体温のようなバイタルサインを周期的に測定し、託児所、保育園、幼稚園、学校等の施設用のデータベースにバイタルサインデータをオンラインで送信し、登録して管理し、また逆に施設側で測定した子供それぞれのバイタルサインデータを個別に保護者に通知するバイタルサインデータ管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からモバイル通信端末とインターネットを活用し、インターネットに接続されたクラウドサービスと組み合わせて各種バイタルサインデータをウェブのサーバーのデータベース上で記録、管理、閲覧するシステムとして、既に様々な形態のものが提供されている。
【0003】
例えば、体温測定を行った結果の記録データをデータベースに保存し過去の推移をグラフ化等の可視化を行い、健康状態の把握に役立てる、また、測定した体温データが一定の閾値を超えた場合に警告を出す等の運用は容易に実現可能であり、具体的には婦人体温計での体温データ管理で広く使われている仕組みである。同様なものとして、血圧測定結果をデータとして日々記録しておき、その推移から健康状態を把握する血圧測定器の様なものも既に有効な仕組みとして広く使われている。
【0004】
一方、継続的に測定を行うこと以外の用途としては、近年のコロナ禍による体温測定の事例がある。これはその時点での発熱者の把握や、その体温測定データを記録しておくことで社会的な安全性を保つという目的である。この場合は体温測定データの記録よりも、測定データを通知する手法が主であり、測定時に高熱であればアラートを表示すると同時に、ネットを通じて他の通信端末にも通知を行い、管理・監視する手法となる。
【0005】
このような各種バイタルサインを記録・管理する事例は、健康管理以外にも特定環境下での作業時の安全管理や企業における勤怠管理の一環としてストレスチェック等に用いられる例も見られ、近年のモバイルデバイスの発達やIOT、インターネット、AI技術等の発達により、それら技術と連携したバイタルサインの有効的な利用方法が発案されている。例えば、特許文献1(特開2013-218699号公報)には、個々人のバイタルデータを各自の腕にはめたセンサにて自動計測し、携帯通信端末を通じてインターネットにて遠隔のサーバーに送信してそれが管理するデータベースに登録し、サーバー側で集中的に各自の健康管理を実施する技術が開示されている。
【0006】
近年のコロナ禍の影響により、特に医療関係施設や児童施設、企業、施設等でバイタルサイン測定を行い、児童、生徒、社員の健康管理、感染予防のために活用する組織が増えている。そのような現実の中で、特にバイタルサインの1つとして体温を測定することが積極的に取り入れられようになっている。この体温測定の場合、単に発熱者の監視を行うのではなく、日々の体調管理の一環として、体温測定を中心としたバイタルサインの記録と管理を行うケースが増えている。学校等でも、毎朝の体温計測を行うことを取り入れているケースが増えている。
【0007】
さらに、保育施設の場合、児童を預かり日々の体調・健康管理を行う上で、バイタルサインデータの記録・管理を行うことはサービス面でも実務面でも有効である。たとえば、保育施設で児童を預かり、その児童の日中の健康状態等を客観的な文章により表現するのではなく、バイタルサインデータによる直接的な評価を行い、それがリアルタイムで保護者側にも情報共有できるような仕組みがあれば、保護者側へも安心感を提供でき、かつ、施設側にも都度、通知を行う手間が省け、全体として児童の健康状態の適切な把握と不慮による対応の遅れ等の問題は解消される。
【0008】
また学校等で毎朝児童の体温測定を行う場合、児童の各家庭で体温を測定した結果をメモ等で学校へ提出し、それを学校で毎日集計するという作業が発生する。こういう場合も、各家庭で測定した結果をリアルタイムに学校側へ通知できる仕組みがあれば、学校側でも測定して記録するという非効率・不確実な作業の問題点は解消される。例えば、特許文献2(特開2019-046242号公報)が提案されている。
【0009】
このような多数の個体の体温データを計測、登録、管理するケースとして、小学校で毎朝、各家庭で測定した体温データを学校で集計するケースを考える。ここで重要なのは、発熱時の対応ではなく、計測結果をどのように取りまとめるかの問題である。インターネットやモバイル通信端末の普及により、メールやSNS等の方法で学校へ体温測定データを送信する手法はまず容易に想像できる。しかし、このケースではフォーマットの問題や未送信の問題等、信頼性に関わる課題が多いが、バイタルサインデータ記録用の専用アプリケーションを作成すればこの問題は容易に解決する。しかしその場合にはデータベース上の問題が発生する。
【0010】
小学校側で全生徒分のバイタルサインデータをデータサーバーに保持し管理する場合、当然セキュリティ面の問題もあり、アカウント制御を行い、データへのアクセス権限等を考慮する必要が生じる。このデータサーバーにアクセスするために、各家庭に対して限定的なデータアクセス権限をもつアカウントを家庭毎に作成することは技術的に可能である。ところが、それは非常に効率が悪く、かえって管理面での効率を悪くすることになる。各家庭用にログインアカウントを生成し、パスワードも管理する必要があり、かつ、学校であれば毎年クラス替えが行われたり、転校・転入などがあったりするが、その場合に学校側では該当する家庭用アカウントを管理する作業のための労力負担が、本来のバイタルサインデータを管理するための作業のための負担よりも大きくなるためである。
【0011】
また保育所施設で、朝昼夕と児童の体温を測定する場合を想定する。この場合、保育所施設のデータベースでは都度、児童の体温は記録される。その際、客観的なコメントなども記録できる。インターネットを通じて接続できるデータサーバー上に登録されているデータであれば、それをインターネット経由で閲覧することも可能である。この場合も、閲覧するためのアカウント権限の管理が必要になってくる。サービスを提供する側もプライバシーポリシーに沿ったアカウント権限の管理負担が生じる。このケースでは、保護者の連絡先が解れば、保育所施設での測定結果を一方的に通知することは容易に可能であるが、逆に、家庭から保育所施設への投稿は出来ず、一方通行のままである。この場合も小学校の事例と同様で、家庭で朝に測定したデータを保育所施設へ連絡し、保育所施設では昼、夕の測定データを各家庭と共有できるようにすることが求められている場合にそれに対応する方法が必要となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2019-046242号公報
【文献】特開2019-046242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記のような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、バイタルサインを測定して得られたバイタルサインデータをインターネットで接続されたデータサーバーのデータベースに記録し、そのデータベースのバイタルサインデータを管理し、閲覧する時に起こり得るプライバシーの問題と、各施設、各家庭の通信端末からデータサーバーのデータベースへのアクセスの際の規制の軽減とリアルタイムに適切な情報共有ができるバイタルサインデータ管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの特徴は、複数の家庭それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムであって、
前記第1の通信端末には、バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、前記家庭単位のグループ名と家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ施設側から知らされた施設側レコードアドレスと共に前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末には、前記バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、前記施設側の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、前記メンバー名毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな前記施設側レコードアドレスを発行し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付けて前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、家庭側用の第1のデータベースと施設側用の第2のデータベースとを備え、前記第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、前記第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、前記第1のデータベースに対して、前記第1の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきたバイタルサインデータを、当該第1のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録し、前記第1のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記バイタルサインデータが記録されたときには、前記第1の通信端末から前記新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記施設側レコードアドレスをキーにして、前記第2のデータベース内の当該施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第2の通信端末にデータ書き込みを通知するようにしたバイタルサインデータ管理システムである。
【0015】
上記発明のバイタルサインデータ管理システムにおいては、前記バイタルサインデータ管理サーバーは、前記第2のデータベース内の前記施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止するものとすることができる。
【0016】
また上記発明のバイタルサインデータ管理システムにおいては、前記第2の通信端末は、児童を預かる託児所、保育園、幼稚園又は学校のような施設側で用いられ、前記第2のデータベースに登録されるグループ名はクラス名、前記メンバー名はクラスに所属する児童たちの氏名とすることができる。
【0017】
本発明の別の発明の特徴は、複数の家庭それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムであって、
前記第1の通信端末には、バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、家庭単位のグループ名と家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名毎にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、前記メンバー名毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな家庭側レコードアドレスを発行し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ施設側から知らされた施設側レコードアドレスと共に前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末には、前記バイタルサインデータ管理アプリがインストールされ、施設内の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名毎にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、当該メンバー名毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな前記施設側レコードアドレスを発行し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ家庭側から知らされた前記家庭側レコードアドレスを付加して前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーは、家庭側用の第1のデータベースと施設側用の第2のデータベースとを備え、前記第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、前記第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレスと施設側レコードアドレスを登録し、前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレスと施設側レコードアドレスを登録し、前記第1のデータベースに対して、前記第1の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきたバイタルサインデータを、当該第1のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録し、前記第1のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記バイタルサインデータが記録されたときには、前記第1の通信端末から前記バイタルサインデータと共に送られてきた前記施設側レコードアドレスをキーにして、前記第2のデータベース内の当該施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第2の通信端末にデータ書き込みを通知し、前記第2のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに新規にバイタルサインデータが記録されたときには、第2の通信端末から前記新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記家庭側レコードアドレスをキーにして、前記第1のデータベース内の当該家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第1の通信端末にデータ書き込みを通知するバイタルサインデータ管理システムである。
【0018】
上記発明のバイタルサインデータ管理システムにおいては、前記バイタルサインデータ管理サーバーは、前記第1のデータベース内の前記家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止し、前記第2のデータベース内の前記施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止するものとすることができる。
【0019】
また上記発明のバイタルサインデータ管理システムにおいては、前記第2の通信端末は、幼児を預かる託児者又は園児を預かる保育園のような施設側で用いられ、前記第2のデータベースに登録されるグループ名は託児所名又は保育園のような施設のクラス名、前記メンバー名は託児所に預けられている幼児の氏名又は保育園に預けられている園児の氏名とすることができる。
【0020】
また上記発明のバイタルサインデータ管理システムにおいては、前記第1、第2それぞれのデータベースの各レコード内のバイタルサインデータフィールドには、テキストデータ及び画像データの記録を可能なものとすることができる。
【0021】
また本発明の別の特徴は、複数の家庭側それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムにおいて使用されるバイタルサインデータ管理方法であって、
前記第1の通信端末は、インストールされているバイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、家庭単位のグループ名と家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ施設側から知らされた施設側レコードアドレスと共に前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末は、インストールされている前記バイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、前記施設側の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、前記メンバー名毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな前記施設側レコードアドレスを発行し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付けて前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーにおいては、家庭側用の第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、施設側用の第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記施設側レコードアドレスを登録し、前記第1のデータベースに対して、前記第1の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきたバイタルサインデータを、当該第1のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録し、前記第1のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記バイタルサインデータが記録されたときには、前記第1の通信端末から前記新規なバイタルサインデータと共に送られてきた前記施設側レコードアドレスをキーにして、前記第2のデータベース内の当該施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第2の通信端末にデータ書き込みを通知するバイタルサインデータ管理方法である。
【0022】
上記発明のバイタルサインデータ管理方法においては、前記バイタルサインデータ管理サーバーは、前記第2のデータベース内の前記施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止するものとすることができる。
【0023】
また上記発明のバイタルサインデータ管理方法においては、前記第2の通信端末は、児童を預かる託児所、保育園、幼稚園又は学校のような施設側で用いられ、前記第2のデータベースに登録されるグループ名はクラス名、前記メンバーはクラスに所属する生徒たちの氏名とすることができる。
【0024】
本発明のさらに別の特徴は、複数の家庭それぞれに備えられた複数の第1の通信端末と、施設側の第2の通信端末と、前記第1、第2の通信端末とインターネットを通じて接続されるバイタルサインデータ管理サーバーとで構成されるバイタルサインデータ管理システムにおいて使用されるバイタルサインデータ管理方法であって、
前記第1の通信端末は、インストールされているバイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、家庭単位のグループ名と家庭の成員のメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、前記メンバー毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな家庭側レコードアドレスを発行し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ施設側から知らされた施設側レコードアドレスと共に前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記第2の通信端末は、インストールされている前記バイタルサインデータ管理アプリを実行することにより、施設内の1あるいは複数のグループ名と各グループに所属するメンバー名との入力を受けて、当該メンバー名にユニークなIDを生成して前記バイタルサインデータ管理サーバーに通知し、当該メンバー毎に、メンバー名にユニークなIDに対応するユニークな前記施設側レコードアドレスを発行し、前記メンバー名毎に計測されあるいは手入力されたバイタルサインデータを、前記メンバー名にユニークなIDと関連付け、かつ家庭側から知らされた前記家庭側レコードアドレスを付加して前記インターネットを通じて前記バイタルサインデータ管理サーバーに送信し、
前記バイタルサインデータ管理サーバーにおいては、家庭側用の第1のデータベースにユニークな第1のデータベース用IDを割り当て、施設側用の第2のデータベースにユニークな第2のデータベース用IDを割り当て、前記第1のデータベースに、前記家庭側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレスと施設側レコードアドレスを登録し、前記第2のデータベースに、前記施設側のメンバー名毎にレコードを作成し、前記メンバー名毎のユニークなIDを当該レコードに関連付け、かつ、各レコード毎に当該メンバー名毎のユニークなIDと対応づけられた前記家庭側レコードアドレスと施設側レコードアドレスを登録し、前記第1のデータベースに対して、前記第1の通信端末から前記メンバー名毎のユニークなIDを指定して送られてきたバイタルサインデータを、当該第1のデータベースの当該メンバー名毎のユニークなIDの付けられたレコード内のバイタルサインデータフィールドに記録し、前記第1のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記バイタルサインデータが記録されたときには、前記第1の通信端末から前記バイタルサインデータと共に送られてきた前記施設側レコードアドレスをキーにして、前記第2のデータベース内の当該施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第2の通信端末にデータ書き込みを通知し、前記第2のデータベースの前記バイタルサインデータフィールドに前記バイタルサインデータが記録されたときには、第2の通信端末から前記バイタルサインデータと共に送られてきた前記家庭側レコードアドレスをキーにして、前記第1のデータベース内の当該家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込み、かつ、前記第1の通信端末にデータ書き込みを通知するバイタルサインデータ管理方法である。
【0025】
上記発明のバイタルサインデータ管理方法においては、前記バイタルサインデータ管理サーバーは、前記第1のデータベース内の前記家庭側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止し、前記第2のデータベース内の前記施設側レコードアドレスの登録されているメンバー名用のユニークなIDを特定し、当該IDのレコードの前記バイタルサインデータフィールドに同じデータを書き込むときに、そのデータのタイムスタンプが前回書き込んだバイタルサインデータのタイムスタンプと同一であるときには当該後発のバイタルサインデータの書き込みを禁止するものとすることができる。
【0026】
また上記発明のバイタルサインデータ管理方法においては、前記第2の通信端末は、幼児を預かる託児者又は園児を預かる保育園のような施設側で用いられ、前記第2のデータベースに登録されるグループ名は託児所名又は保育園のような施設のクラス名、前記メンバー名は託児所に預けられている幼児の氏名又は保育園に預けられている園児の氏名とすることができる。
【0027】
さらに上記発明のバイタルサインデータ管理方法においては、前記第1、第2それぞれのデータベースの各レコード内のバイタルサインデータフィールドには、テキストデータ及び画像データの記録を可能なものとすることができる。
【0028】
上記発明において、施設側レコードアドレスは施設側から通知される、施設側データベースでユニークに生成されるメンバーIDと施設側データベースのユニークIDから構成されるものである。そしてこのレコードアドレスは、施設側から連絡される場合には暗号化され、「通知キー」という文字入力しやすい表記に変更される。尚、この暗号化による表記変換は一般的によく用いられており、また、アルファベットのO(オー)と数字の0(ゼロ)は用いない、もしくはすべて大文字のアルファベット表記に統一する等の入力間違いを防止する措置を兼ねるものとすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のバイタルサインデータ管理システム及び方法によれば、家庭側の通信端末にてバイタルサインデータ管理アプリを起動し、家族のメンバーのバイタルサインを計測して記録すれば、通信端末がインターネットを通じて外部のデータサーバーに送信し、データサーバー上の家庭側データベースの当該家族のメンバーのIDの付けられたレコードのバイタルサインデータフィールドに登録することができ、同時に施設側から通知されているレコードアドレスを当該家族のメンバーのIDと結びつけておけば、データサーバーに送信して家庭側データベースの該当するIDのレコードに登録できるだけでなく、レコードアドレスをキーにして施設側データベースの共通するレコードアドレスの付けられている施設側のメンバーIDのレコードにも通知して書き込むことができ、施設側では通信端末を用いて施設側データベースにアクセスすることにより家庭側の通信端末から新たに書き込まれた当該家族のメンバーのバイタルサインデータを施設側データベースの該当するIDのレコードから読み出して確認することができる。他方、施設側から直接に家族側データベースの当該家族のメンバーのレコードにはアクセスできないので、施設側からそのデータベースのレコードの改ざんや削除ができず、セキュリティ、信頼性を保持することができる。
【0030】
また本発明のバイタルサインデータ管理システム及び方法によれば、施設側の通信端末にてバイタルサインデータ管理アプリを起動し、施設側のメンバーのバイタルサインを計測して記録すれば、通信端末がインターネットを通じて外部のデータサーバーに送信し、データサーバー上の施設側データベースの当該メンバーのIDの付けられたレコードのバイタルサインデータフィールドに登録することができ、同時にレコードアドレスをキーにして家族側データベースの共通するレコードアドレスの付けられている家族側のメンバーIDのレコードにも通知して書き込むことができ、家族側では通信端末を用いて家族側データベースにアクセスすることにより施設側の通信端末から新たに書き込まれた当該施設のメンバーのバイタルサインデータを家族側データベースの該当するIDのレコードから読み出して確認することができる。他方、家族側から直接に施設側データベースの当該施設のメンバーのレコードにはアクセスできないので、家族側からそのデータベースのレコードの改ざんや削除ができず、セキュリティ、信頼性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一つの実施の形態のバイタルサインデータ管理システムのハードウェア構成図。
【
図2】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおける通信端末と非接触体温計との機能構成を示すブロック図。
【
図3】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおける
データサーバーの機能構成を示すブロック図。
【
図4】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて、データサーバーによる第1、第2のデータベースのデータ管理動作を示す説明図。
【
図5】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて家庭側通信端末による家庭側のアカウント登録処理のフローチャート。
【
図6】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて施設側通信端末による施設側のアカウント登録処理のフローチャート。
【
図7】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて家庭側通信端末による家族メンバーのバイタルサインデータの計測、送信処理のフローチャート。
【
図8】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいてデータサーバーによる家庭側通信端末から送られてくるバイタルサインデータに対する第1のデータベースへの登録処理のフローチャート。
【
図9】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて児童メンバーの新規登録されたバイタルサインデータの施設側通信端末による確認処理のフローチャート。
【
図10】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて施設側通信端末によるクラス、児童毎のバイタルサインデータの計測、送信処理のフローチャート。
【
図11】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいてデータサーバーによる施設側通信端末から送られてくるバイタルサインデータに対する第2のデータベースへの登録処理のフローチャート。
【
図12】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて家族メンバーの新規登録されたバイタルサインデータの家庭側通信端末による確認処理のフローチャート。
【
図13】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて第1のデータベース内のメンバーIDとレコードとの対応関係を示す表。
【
図14】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて各家庭のメンバー名と第1のデータベースに登録されるレコードアドレスとの対応関係を示す表。
【
図15】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて第1のデータベース内の一つのレコード内のデータフィールドの登録内容を例示する説明図。
【
図16】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて用いるレコードアドレスの説明図。
【
図17】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて第1のデータベース上でデータベースID、メンバーのユニークなID、レコードの対応関係を示す表。
【
図18】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて施設側レコードアドレスを利用し、家庭側の通信端末からバイタルサインデータをアップロードする時のデータの流れを示す説明図。
【
図19】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて家庭側の通信端末から第1のデータベースのデータ修正する時にデータの流れを示す説明図。
【
図20】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて施設側レコードアドレス、家庭側レコードアドレス双方を利用し、家庭側、施設側それぞれの通信端末からバイタルサインデータをアップロードする時のデータの流れを示す説明図。
【
図21】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて、家庭側から児童のバイタルサインデータを学校側に通知する場合のデータの流れを示す説明図。
【
図22】上記実施の形態のバイタルサインデータ管理システムにおいて、施設側から児童のバイタルサインデータを各家庭側に通知する場合のデータの流れを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
図1に示すように、実施の形態のバイタルサインデータ管理システムは、登録ユーザーが使用する家庭側通信端末1、託児所、保育園、幼稚園、学校等の多くの児童を預かる施設側の使用する施設側通信端末2、バイタルサインデータを登録、削除、蓄積、更新等の管理処理を行うデータサーバー(コンピュータ)3、このデータサーバー3により管理する記憶装置としてのデータベース装置30から構成される。これらの家庭側通信端末1、施設側通信端末2、データサーバー3はインターネット100を通じて接続される。
【0033】
以下では、バイタルサインの代表的な例として体温を例にして説明する。非接触で人の体温を測定する体温計10がそれぞれユーザーとしての個々の家庭A,B,C,…に備えられている。施設にも同じ体温計20が備えられている。もちろん施設側では、保育園や学校であればクラスごとに1台ずつ備えられていてもよい。施設がさらに小規模な託児所であればクラスを超えて全体で共用するものであってもよい。ただしデバイスをクラスを超えて共用する場合、クラス名は使用せず、全体の施設名をグループとして登録することになる。また、本実施の形態では近距離無線通信機能を備えた非接触体温計を例示しているが、本実施の形態のシステムには体温その他のバイタルサインデータを通信端末1,2上で手入力してもよい。また
図1に示すように、本願明細書の説明において、測定対象者を区別するために符号A,B,C,…を付けて個々人を区別する。
【0034】
図2に示すように、バイタルサインデータ計測デバイスとしての体温計10,20(以下、体温計の説明では、符号10を用いて代表して説明することがある。)は、体温を非接触で計測する赤外線センサ部101、計測データを表示する表示部102、家庭側通信端末1あるいは施設側通信端末2との間で交信される例えばBluetoothのような近距離無線通信を制御する近距離無線通信部103、赤外線センサ部101に対して赤外線を発出させ、また赤外線センサ部101の受信する反射赤外線の強度から体表温度を演算し、体温データとして表示部102に表示させるバイタルサインデータ計測部104を備え、さらに体温計10の全体の動作、例えば信号出力制御、表示制御、電源管理等を統括制御し、測定データその他のデータを記憶し管理するデバイス用中央処理部(CPU)105を備えている。
【0035】
家庭側通信端末1はバイタルサインデータを記憶し、更新し、修正し、削除する等のデータ管理をし、バイタルサインデータを外部にインターネット100を通じて送信しまた外部からインターネットを通じて送られてくるバイタルサインデータを受信するPC、スマートフォン、タブレットなどである。この家庭側通信端末1は、諸情報を表示する表示部11、データの入力操作を受け付ける入力操作部12、例えばBluetoothのような近距離無線通信手段を使用して他のデバイスとの間で近距離無線通信を行う近距離無線通信部13、本実施の形態のシステムとして特別にインストールされたバイタルサインデータ管理処理アプリ14を備え、さらに装置全体の動作を制御するデバイス用中央処理装置15を備えている。表示部11はタッチ操作を受け付ける入力操作部12としても動作する。施設側通信端末2も基本的には家庭側通信端末1と同様であり、家庭側通信端末1と共通の機能構成である。尚、通信端末1,2としてPCが使用される場合、表示部11はディスプレイであり、入力操作部12はキーボードとマウス、さらに場合によってはタッチパネル、タッチ対応のディスプレイが含まれる。
【0036】
図3に示すように、データサーバー3には記憶装置30が備えられており、この中に第1のデータベースDB1と第2のデータベースDB2が作成されている。第1のデータベースDB1は各家庭側通信端末1から送られてくる各測定対象者(メンバー)のバイタルサインデータを登録し、管理する家庭側データベースである。第2のデータベースDB2は託児所、保育園、学校等の施設側通信端末2から送られてくる各測定対象者(生徒、託児、園児等のメンバー)のバイタルサインデータを登録し、管理する施設側データベースである。これらの第1、第2のデータベースDB1,DB2を保持する記憶装置30については同一であっても別装置であってもよい。この第1、第2のデータベースDB1,DB2に対する設定は管理者側通信端末2あるいはPCを用いて管理者権限で行う。
【0037】
このデータサーバー3はコンピュータで構成されるものであるが、関連する処理機能に分けて示すと、記憶装置30のデータベースを含めたデータの登録、更新、削除を管理するデータベース管理部31、各種アカウントの発行、権限の設定、確認、承認、アクセス禁止等、アカウントの管理を行うアカウント管理部32、レコードアドレスを発行するレコードアドレス管理部33、通信を受け持つ通信処理部34、アプリの作成、登録、更新等を管理するアプリ管理部35、データ入力、出力表示等の入出力を制御する入出力処理部36、そして装置全体の動作を統括的に制御する中央処理装置37から構成されている。
【0038】
次に、上記構成のバイタルサインデータ管理システムの動作について説明する。この動作説明は、本実施の形態のシステムが実行するバイタルサインデータ管理方法の説明でもある。
【0039】
図4に示すように、第1のデータベースDB1、第2のデータベースDB2にアクセスするために固有のアカウントを登録する。これは一般的に用いられるメールアドレスad1,ad2とパスワードpw1,pw2の組で管理し、データベース利用時にアカウントが重複しないようにする。ここで第1のデータベースDB1、第2のデータベースDB2は、各家庭や施設等のグループ毎に独立したものであり、プライバシーの観点から相互のデータにアクセスすることはできない。例えば、家庭側の通信端末1(つまり、家庭側のアカウント)から施設側の第2のデータベースDB2にはアクセスできないし、施設側の通信端末2(つまり、施設側のアカウント)からは家庭側の第1のデータベースDB1にはアクセスできない。尚、技術的には同じ通信端末を用いてもアクセスする時のアカウントを変更することによって家庭側、施設側のいずれでも用いることができる。それで通信端末1,2の区別は説明を分かりやすくするためのものである。
【0040】
図5に示すように、家庭側ではユーザーA、B、C、…が通信端末1A、1B、1C、…を用いて、まずアプリストアから当該バイタルサインデータ管理アプリをダウンロードしてインストールし(ステップST1)、このバイタルサインデータ管理アプリを起動し、データサーバー3に各自のアカウント登録を行う(ステップST3)。そして各家庭の保護者がユーザーとして家族をグループとして登録し、託児所、保育園、学校等に預ける児童たちをその家族のグループ内のメンバーとして登録する(ステップST5)。これらはデータサーバー3において第1のデータベースDB1内にメンバー毎のユニークなIDで登録され、一つずつレコードが割り当てられる。
図13のデータベース内レコードを示すリストTB1は、第1のデータベースDB1内にメンバーA、B、C、…それぞれにユニークなIDが付与され、レコードが作成されていることを示している。
【0041】
図6に示すように、施設側であれば、通信端末2を用いて、データサーバー3等のアプリ提供サイトから当該バイタルサインデータ管理アプリをダウンロードしてインストールし(ステップST11)、そのバイタルサインデータ管理アプリを起動し、データサーバー3に施設側のユーザーアカウントの登録を行う(ステップST13)。さらに、施設側であれば責任に応じたアカウント権限の登録、例えば、託児所、保育園、幼稚園、学校の名称、クラス名等のグループ登録、そしてそのグループに所属する幼児、園児、児童の名簿をメンバー登録する。この時、同時に
図16に示すようなレコードアドレスKEYを発行する(ステップS15)。
【0042】
この施設側で発行するレコードアドレスKEYは各メンバー毎にユニークなものである。かつ、第2のデータベースDB2の該当するメンバーに対応する第1のデータベースDB1内の同じユニークなIDのメンバーのみにデータ更新を通知する権限を示すキーである。したがって第1のデータベースDB1側では、このレコードアドレスKEYが設定されているレコードに対して、第2のデータベースDB2の共通するレコードアドレスKEYのレコードのバイタルサインデータフィールドに書き込まれたデータを書き込むことができる。
【0043】
このアカウントの種類としては、特に限定されるわけではないが、例示すれば、管理者アカウント、マネージャーアカウント、一般ユーザーアカウントがある。
【0044】
「管理者アカウント」は、施設の本システムの全体を世話し管理する管理者用のアカウントであり、ログインIDとパスワードにより登録できる。この管理者アカウントから、管理者権限で、他のアカウントの発行登録、削除、更新等の手続が行える。家庭側では各家庭の親が子供のために本システムへのアクセス、グループ名の登録、子供たちのメンバー名の登録、登録後の各メンバーについて計測したバイタルサインデータの登録操作ができる。
【0045】
「マネージャーアカウント」はログインIDとパスワードを登録し、アカウントの説明、また担当するグループの登録ができる。通常は家庭側では保護者がこのマネージャーアカウントを受け、施設側ではクラスを受け持つ担任の先生がマネージャーアカウントを受ける。それぞれ第1、第2のデータベースDB1,DB2にアクセスすると、割り当てられているグループの各メンバーのバイタルサインデータを記録し、編集し、閲覧することができ、また文字データの書き込みができる。
【0046】
「一般ユーザーアカウント」も保護者や担任がログインIDとパスワードを登録して取得できる。一般ユーザーアカウントでは、体温計10にて測定対象者として割り当てられたメンバーの児童の体温を測定し、第1のデータベースDB1、第2のデータベースDB2の決められたメンバー毎のユニークなIDのレコードにバイタルサインデータを記録することができる。
【0047】
尚、本明細書ではアカウント権限については特定せず、通信端末1、通信端末2の操作者にはグループ登録、メンバー登録、その更新、削除等の操作、また計測データの記録操作も行えるものとして説明する。
【0048】
図14のリストTB2に示すように、家庭側の第1のデータベースDB1には家庭それぞれをグループとし、その家庭内の測定対象者、つまり通園あるいは通学している一人あるいは複数の児童それぞれをメンバーとして一つ一つのレコードが割り当てられ、登録される。尚、企業や学校などでは起こり得る同性同名等の問題のためには、各データベース内に測定対象者、重複しない様にデータベース内でユニークなIDを使用してリストを生成する。例えば、測定対象者に「伊藤弘文」さんが複数人いるとすれば、データサーバー3側でチェックし、「伊藤弘文A」、「伊藤弘文B」、「伊藤弘文C」ように、自動的に各人にユニークなIDを設定する。
【0049】
各家庭側、施設側それぞれで一通りの設定登録が完了すれば、体温計10,20を用いた体温測定データの記録、管理が可能になる。家庭側では、
図7のフローチャートに示すように、保護者は家庭側の通信端末1にてバイタルサインデータ管理アプリを起動して一般ユーザーアカウントでアクセスする(ステップST21)。そして所属するグループ(ここでは子供が通園している保育園の名前になる)とメンバー名(ここでは子供の名前となる)を指定し、体温計10と近距離無線通信が確立するまで待機する(ステップST23)。その後、測定指示ボタンにタッチして体温計10に測定指示を送り、バイタルサインデータとしての検温結果のデータを体温計10から受信して通信端末1の該当するメンバーの画面に最新データとして表示させる(ステップST25)。さらに、この子供に少し体調が悪いとかその他の連絡事項が必要ならばテキストデータも書き込む(ステップST27)。
【0050】
これにより、
図13の表TB1に示すように、各家庭用の第1のデータベースDB1においてデータベースID-DB1内のID-A,ID-B,ID-C,…のレコードそれぞれのバイタルサインデータフィールドFA,FB,FC,…にバイタルサインデータが書き込まれることになる。このバイタルサインデータフィールドFA,FB,FC,…には一定期間の履歴データが蓄積保存される。同時に、
図15に例示するバイタルサインデータフィールドFAのように、各レコードにおけるバイタルサインデータフィールドには連絡事項のようなテキストデータや画像データも書き込める。
【0051】
ここで、本実施の形態では第1のデータベースDB1、第2のデータベースDB2それぞのデータベースIDとメンバー毎にユニークなIDとを組み合わせて「レコードアドレス」とし、書き込むデータベースを区別すると共に個々の児童を区別できるようにしている。
図17の表TB3に示すように、レコードアドレスは、家庭用の第1のデータベースDB1に各家庭の児童(メンバー)のバイタルサインデータを登録し管理するために用意されたものを例示している。家庭用の第1のデータベースDB1にはデータベースIDとしてDB1を付け、さらに各メンバーのIDとして各児童メンバーのID、ID-A,ID-B,ID-C,…を付けることで、第1、第2のどちらのデータベースDB1,DB2のどのレコードで各児童メンバー名のバイタルサインデータを登録し管理するかがユニークに決定できる。
【0052】
また、このデータベースIDとメンバーIDとを組み合わせたレコードアドレスに対応して上述の
図16に示したようなレコードアドレスKEYを個別に生成することができるようにしている。このレコードアドレスKEYはメールその他の手段で保育園から各家庭に対して通知される。そして保護者は自分ちの子供のメンバー登録の際にこのレコードアドレスを登録しておく。これにより
図18に示すように、データサーバー3では、第1のデータベースDB1と第2のデータベースDB2との間で、レコードアドレスKEYをキーにして一対一に対応するメンバーIDを特定することができるようになる。
【0053】
そこで、
図7のフローチャートに示した手順により家庭側で測定した子供の体温を学校のような施設側に通知する場合、送信指示の操作をすることで、計測した体温データをバイタルサインデータとし、施設側から予め知らされ登録しているレコードアドレスKEYも付加してデータサーバー3に送信することになる(ステップST29)。
【0054】
図8のフローチャートに示すように、データサーバー3側では、家庭側からのバイタルサインデータを受信すると(ステップST31)、送信元のアカウント、メンバーIDにより家庭側の第1のデータベースDB1に登録すべきことを判断し、第1のデータベースの該当するメンバーIDのレコードのバイタルサインデータフィールドに受信したバイタルサインデータを登録する(ステップST33)。続いてレコードアドレスKEYをキーにして第1のデータベースDB1のユニークなメンバーIDと対応する第2のデータベースDB2のユニークなメンバーIDを割り出す。この第1のデータベースのユニークなIDと第2のデータベースDB2のユニークなIDとは同一人物である。そこで、第2のデータベースDB2の該当するレコードのバイタルサインデータフィールドに書き込み、この書き込みを施設側のアカウントに通知する(ステップST35,ST37)。
【0055】
図9のフローチャートに示すように、通知を受けた施設側の通信端末2では、バイタルサインデータ管理アプリを起動し、閲覧操作をすれば、通知を受けた児童メンバーのバイタルサインデータが更新されたことが表示される(ステップST41,ST43)。
【0056】
この
図8、
図9の処理動作に対するデータサーバー3内でのデータ登録動作は
図18に示してある。すなわち、レコードアドレスKEYによるデータ更新の通知を受けた場合、家庭側から送られてきて第1のデータベースDB1に登録された新規なバイタルサインデータを第2のデータベースDB2の同じレコードアドレスを持つレコードに登録する。
【0057】
こうして各家庭で保護者が保育園等に預けている子供のバイタルサインデータを家から出る前に測定してデータ登録することにより、あらかじめ登録されている所属グループ、つまり保育園のアカウントの第2のデータベースDB2に同じバイタルサインデータが送信され、施設側でも第2のデータベースDB2の該当する子供のユニークなメンバーIDのレコードから登録された子供のその日のバイタルサインデータを閲覧できるようになる。
【0058】
他方、この場合には、施設側では該当する子供のバイタルサインデータを第2のデータベースDB2の該当する子供のユニークなメンバーIDのレコードに書き込むことはできるが、その書き込まれたデータが家庭側の第1のデータベースDB1の該当する子供のメンバーIDのレコードに書き込まれることはない。したがって、施設側からのデータ改ざんが防止できる。さらに、
図19に示すように、家庭側の第1のデータベースDB1の子供のユニークなメンバーIDのレコードに対してデータ修正することはできるが、この場合には修正データが施設側の第2のデータベースDB2の子供のIDのレコードに反映されることはなく、通知されることもない。こうして双方でのデータ改ざんを防止し、問題の発生が予防できる。
【0059】
次に、
図10、
図11、
図12のフローチャートを用いて施設側である託児所や保育園でそこに預かっている児童の体温を測定し、必要な連絡事項も家庭側に通知する場合の処理について説明する。この場合にも施設側から預かっている児童それぞれのユニークなメンバーIDと共にレコードアドレスKEYも生成し、児童それぞれの家庭に通知して登録されているものとする。施設側で体温計20を用いて各児童の体温を測定して通信端末2にてデータサーバー3に送信する(ステップST51,ST53)。この場合にはアカウントにより施設側からのデータ送信であることをデータ
サーバー3は判断し、施設側の第2のデータベースDB2に対して各メンバーID毎に取得した最新のバイタルサインデータを書き込む。その際にも、各メンバーID毎に発行されたレコードアドレスKEYを各バイタルサインデータに付加して送信する(ステップST55)。
【0060】
図11に示すように、データサーバー3では、施設側の通信端末2から1あるいは複数のメンバーID毎にバイタルサインデータを受信すると、施設側の第2のバイタルサインデータDB2の各メンバーIDのレコードに記録する(ステップST61,ST63)。そして各メンバーIDに対応するレコードアドレスKEYをキーにして第1のデータベースDB1における同一児童のメンバーIDのレコード毎に第2のデータベースDB2に書き込まれた同じバイタルサインデータを記録する(ステップST65)。この後、新規に書き込まれたバイタルサインデータがあることを該当するメンバーID毎にそれぞれに関係づけられている家庭側のアカウントそれぞれに通知する(ステップST67)。
【0061】
図12に示すように、家庭側では通信端末1でバイタルサインデータ管理アプリを起動し、データ更新の通知を知れば、該当する子供のレコード欄に表示されている更新データを確認することができる(ステップST71,ST73)。
【0062】
さらに
図20に示すように、家庭側、施設側でそれぞれのレコードアドレスKEYを共有していれば、家庭側の通信端末1にて取得した体温計10のデータを家庭側の第1のデータベースDB1の該当する子供のユニークなメンバーIDのレコードに記録することにより、施設側の第2のデータベースDB2の該当する子供のユニークなメンバーIDのレコードにもその記録が反映される。逆に、施設側の通信端末2にて取得した体温計20のデータを施設側の第2のデータベースDB2の該当する子供のユニークなメンバーIDのレコードに記録することにより、家庭側の第1のデータベースDB1の該当する子供のユニークなメンバーIDのレコードにもその記録が反映される。ただし、家庭側から第1のデータベースDB1に新規に書き込んだバイタルサインデータが第2のデータベースDB2にも反映され、施設側に通知されるにしても、施設側で第2のデータベースDB2に書き込まれたバイタルサインデータに対して訂正、変更を行ってもその訂正、変更が第1のデータベースDB1の対応するメンバーIDのレコードに反映されることはない。逆に施設側から第2のデータベースDB2に新規に書き込んだバイタルサインデータが第1のデータベースDB1にも反映され、家庭側に通知されるが、家庭側で第1のデータベースDB1に書き込まれたバイタルサインデータに対して訂正、変更してもその訂正、変更が第2のデータベースDB2の対応するメンバーIDのレコードに反映されることもない。これにより、データ改ざんの問題がなく、またセキュリティも保護できる。
【0063】
コロナ禍の今日、生徒が通う学校では生徒毎の毎日の体温のようなバイタルサインデータを収集して健康管理、安全に反映させたい要望がある。そのような場合には、
図21に示すように生徒が朝、家を出る前に計測した体温データを学校側の第2のデータベースDB2に反映させ、学校側でも確認してもらうことができる。また
図22に示すように、保育園などの施設では、定時に計測する園児それぞれのバイタルサインデータを施設側の第2のデータベースDB2の園児毎のIDのレコードのバイタルサインデータフィールドに登録すると、家庭側の第1のデータベースDB1の児童のメンバーIDのレコードにも反映されるので、各家庭では施設に預けている自分の子供の施設での体調を詳しく知ることができることになる。これは高齢者介護施設でも同様に利用することができる。
【0064】
従来、バイタルサインデータを含む秘匿性の高いデータ管理を行いたいが、インターネット経由で情報の共有は行いたいケースの場合に、データベースへのアクセス権限や細かなアカウント管理を求められ、測定規模が大きくなるほどその管理に費やされる労力が大きくなっていた。
【0065】
これに対して本発明では、複雑になるアカウント権限管理を省き、複数のデータベースDB間でのデータ相互通知管理を、共通のレコードアドレスを用いることで簡便に行え、リアルタイムのデータ反映かつデータの改ざん防止効果の高いバイタルサインデータ管理ができるようにすることを目的とし、相互通知機能に関して、データアドレスリンク機能を開発し、管理側アプリ、端末側アプリ等の区別を付けず、双方で共通に同じバイタルサインデータ管理アプリを用いてシステム運用できるようにした。この結果、アカウント管理、メンバー登録、データ入力等に必要とされていた労力を大幅に低減できる。また、データベース上での過去に遡るデータ改ざん防止効果によるより適正なデータ管理と、必要な通知を必要な個所へリアルタイムで行えることによるバイタルサインデータを軸としたヘルスケアのサービス向上に寄与することができる。加えて、家庭側でも施設側でもそこで使用する通信端末に共通のアプリをインストールして使用でき、アプリの保守管理や使い方の説明が同一となる利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、託児所、保育園、幼稚園、学校のような施設側と家庭側とでバイタルサインデータをリアルタイムに共有し、児童たちの健康管理に役立てられる。また高齢者介護施設と家庭との間で運用する場合には、高齢の入居者、利用者の健康管理、リモートでの家族による見守りにも応用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 (家庭側の)通信端末
2 (施設側の)通信端末
3 データサーバー
10,20 非接触体温計
11 表示部
12 操作部
13 近距離無線通信部
14 バイタルサインデータ管理処理部
15 端末用中央処理装置
30 記憶装置
31 データベース管理部
32 アカウント管理部
33 レコードアドレス管理部
34 通信処理部
35 アプリ管理部
36 入出力処理部
37 中央処理装置
100 インターネット
101 赤外線検出部
102 表示部
103 近距離無線通信部
104 バイタルサインデータ計測処理部
105 デバイス用中央制御部
DB1 第1のデータベース
DB2 第2のデータベース
【要約】 (修正有)
【課題】バイタルサインデータを管理し、閲覧時のプライバシーの問題と、各施設、各家庭の通信端末からデータサーバーのデータベースへのアクセスの際の規制の軽減とリアルタイムに適切な情報共有ができるバイタルサインデータ管理システム及び管理方法を提供する。
【解決手段】家庭側の通信端末1A~1Cは、家族メンバーのバイタルサインを計測して記録すれば、インターネット100を通じて外部のデータサーバー3に送信し、データサーバー3上の家庭側データベースの当該家族のメンバーのIDの付けられたレコードのバイタルサインデータフィールドに登録することができ、同時に、施設側の通信端末2から通知されているレコードアドレスKEYにより施設側データベースの同一人のメンバーIDのレコードにも書き込むことができ、児童生徒のバイタルサインデータを、家庭側と、施設側とで共有でき、リアルタイムに確認することができる。
【選択図】
図1