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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017186185
(22)【出願日】2017-09-27
(65)【公開番号】P2019058429
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椿谷 悠
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100873(JP,A)
【文献】特開2014-117341(JP,A)
【文献】特開2016-123527(JP,A)
【文献】特開2017-023542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が通過可能な開口を閉鎖する閉位置および開放する開位置との間を変位自在に設けられた開閉部材と、
前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に変位するにつれて、当該開閉部材が近づくような位置に配置された遊技部材と、
を備え、
前記開閉部材の変位方向における先端部分には、直線状である直状部および当該直状部間に特異部が形成されており、
前記特異部は、その両側に形成される前記直状部よりも前記開閉部材の先端側の反対側に窪む凹部であり、
前記遊技部材における前記特異部に対向する部分には、遊技球が接触可能な位置に設けられた凸部である衝突部が形成されている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記開閉部材は、前記閉位置に位置するとき、遊技球が通過する通路の底面の少なくとも一部を構成することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記衝突部は、前記特異部よりも上方に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の領域を開閉する開閉部材が設けられた遊技機において、当該開閉部材の動作によりいわゆる球噛みが発生してしまうことを抑制する試みが種々なされている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-016141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、開閉部材の動作による球噛みの発生を抑制することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技球が通過可能な開口を閉鎖する閉位置および開放する開位置との間を変位自在に設けられた開閉部材と、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に変位するにつれて、当該開閉部材が近づくような位置に配置された遊技部材と、を備え、前記開閉部材の変位方向における先端部分には、他の部分と形状が異なる特異部が形成されており、前記遊技部材における前記特異部に対向する部分には、遊技球が接触可能な位置に設けられた凸部である衝突部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、開閉部材の動作による球噛みの発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】遊技機の全体を示した概略図である。
図2】遊技盤および表示装置の正面図である。
図3】大入賞口の周囲の構成を示した概略図であって、(a)は斜視図、(b)は平面図(上方から見た図)、(c)は断面図(ハッチングは省略)である。
図4】球噛み防止作用を説明するための図である。
図5】複数の特異部および当該複数の特異部のそれぞれに対応する衝突部が設けられた構成を示した図である。
図6】開閉部材が開位置に位置するとき、衝突部が遊技球を大入賞口に向けて誘導する作用を発現することを説明するための図である。
図7】第二具体例を説明するための図である。
図8】第三具体例を説明するための図である。
図9】第四具体例を説明するための図である。
図10】第五具体例を説明するための図である。
図11】第六具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904、大入賞口10、アウト口などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口10等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。
【0014】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄50(図1等参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。装飾図柄50は、当否判定結果の報知の開始とともに変動を開始する。大当たりに当選している場合には装飾図柄50は最終的に所定の組み合わせ(例えば、同じ装飾図柄50の三つ揃い)で停止する。はずれである場合には装飾図柄50は最終的にそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせで停止する。
【0015】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0016】
以下、図2図4を参照しつつ、大入賞口10、当該大入賞口10を開閉する開閉部材30、およびそれに関連する構成である遊技部材40について詳細に説明する。本実施形態では、大入賞口10は、遊技領域の右側に設けられている(図2参照)。なお、本実施形態では、当該大入賞口10とは別の大入賞口101が中央下側に設けられている(図2参照)が、以下で詳細を説明する技術的事項と直接的な関係はないため、単に大入賞口10というときは遊技領域の右側に設けられたものをいう。
【0017】
大当たりに当選し、大入賞口10に遊技球を進入させるべく遊技するとき、遊技者は遊技領域の右側に遊技球が進入するよう遊技(いわゆる右打ち遊技)する。大入賞口10の入口11は、右から幅方向中央側に向かって傾斜する通路(以下、特定通路20と称することもある)に形成されている(図2参照)。具体的には、特定通路20の下(底面)に形成された開口が大入賞口10の入口11である。なお、詳細を後述するように、厳密には、特定通路20の底面の少なくとも一部は閉位置に位置する開閉部材30が構成することなる。特定通路20は後側(奥側)の側壁は遊技盤90の前面により、前側(手前側)の側壁は遊技部材40により形成される(図3(b)(c)参照)。特定通路20の幅(前後方向の長さ)は、遊技球1個分超かつ2個分未満(遊技球の直径を超えかつ直径の二倍未満)とされている。つまり、特定通路20においては、幅方向に二以上の遊技球が並ぶことはない。
【0018】
開閉部材30は、大入賞口10の入口11を開閉する部材であって、当該入口11を開放する(遊技球が通過可能な状態とする)開位置(図3において点線で示す位置)と、当該入口11を閉鎖する(遊技球が通過不可能な状態とする)閉位置(図3において実線で示す位置)との間を往復動作する。本実施形態における開閉部材30は、平板状の部材であって、その平面方向に往復動作するいわゆるスライドアタッカーである。具体的には、開閉部材30は常態において閉位置にあり、大当たり遊技時(いわゆる大当たりラウンド中)には閉位置よりも後方の開位置に向かってスライドし、大入賞口10の入口11を開放する。大入賞口10を動作させる駆動源および当該駆動源から大入賞口10への動力伝達構造はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0019】
かかる開閉部材30は、大入賞口10の入口11(遊技球通路の後側および前側の側壁の下端縁を繋ぐ平面)に沿うように設けられる。したがって、閉位置に位置する開閉部材30は、特定通路20の底面(遊技球の流れに沿って傾斜した面)の少なくとも一部を構成する。具体的には、開閉部材30が閉位置に位置するときには、遊技球は、開閉部材30の上面を転がりながら特定通路20を通過することになる。本実施形態における特定通路20は、開閉部材30よりも上流側に当該開閉部材30によって構成されるものではない底面の一部(以下、固定底面21と称する)を有する(図2図3参照)。大入賞口10に向かって移動する遊技球は、当該固定底面21に接触することになる。つまり、開閉部材30が閉位置に位置するときには、当該固定底面21と開閉部材30によって構成される面の上を転がって特定通路20を通過することになる。遊技球を誘導するため、当該固定底面21と開閉部材30は、右から左に向かって下方に変位するようにわずかに傾斜している。開閉部材30が開位置に位置するときであっても、遊技球は固定底面21上を転がりつつ大入賞口10に向かう。つまり、ある程度勢いがついた状態で大入賞口10に向かうことになる。
【0020】
大入賞口10の入口11は略方形状であり、それに合わせて開閉部材30の平面形状も略方形状となっている(図3(a)(b)等参照)。かかる開閉部材30の先端(開閉部材30の動作方向における端部をいう。本実施形態では前端である)には、特異部31が形成されている(図3参照)。特異部31は、開閉部材30の先端における特異部31が形成されていない部分と形状が異なる部分である。具体的には特異部31が形成されていない部分は先端縁が直線状である(以下、直状部32と称する)一方、特異部31は直状部32よりも基端側に向かって凹んだ凹部となっている(図3(a)(b)参照)。本実施形態における特異部31は円弧形状である。当該円弧形状の曲率は、遊技球の曲率(遊技球をその中心を通る平面で切断した断面の円の曲率ことをいう)よりも小さい。また、開閉部材30が閉位置に位置したときにおいて、当該特異部31が存在することによって形成される隙間(特異部31である凹部を含む隙間)を遊技球は通過することが不可能である。
【0021】
遊技部材40は、遊技盤90(遊技釘等が固定される板)よりも前に当該遊技盤90と対向するようにして設けられた板状の部材である(図3参照)。遊技部材40は、特定通路20の前側の側壁を構成する部材であるともいえる。換言すれば、特定通路20を通過する遊技球が前方に飛び出すことがないように規制する部材であるともいえる。本実施形態における遊技部材40は、大入賞口10を視認可能とするため、光透過性を有する材料で形成されている。
【0022】
かかる遊技部材40には、衝突部41が形成されている(図3参照)。衝突部41は、遊技部材40の後面(特定通路20の壁面)から後方に向かって突出した突起である。つまり、特定通路20の前側の側壁には、後方に向かって突出する突起が形成されているということである。開閉部材30の動作に基づいていえば、開閉部材30が開位置から閉位置に変位するにつれて当該開閉部材30が近づく位置に衝突部41が形成されている。
【0023】
本実施形態における衝突部41は、上下に細長い突起である(図3(a)(c)参照)。断面で見て、衝突部41は、先端に向かって先細となる部分を含むことが好ましい(図3(b)参照)。左右方向(横方向)における当該衝突部41の位置は、開閉部材30に形成された特異部31と略一致する。具体的には、左右方向における衝突部41の中心の位置は、凹部である特異部31の中心(円弧の頂点)と略一致する(図3(b)参照)。つまり、衝突部41は特異部31に対向するように(ここでいう「対向」とは、左右方向における位置が一致するような位置関係をいう)設けられている。
【0024】
また、上下方向においては、衝突部41は特異部31(開閉部材30)よりも上方に位置する(図3(c)参照)。具体的には、衝突部41の下端縁が特異部31(開閉部材30)よりも上方に位置する。また、上下方向における衝突部41の下端縁と開閉部材30の上端縁までの距離Dは、遊技球の直径よりも小さく設定されている。このような位置関係にあるため、開閉部材30が閉位置に位置するとき、当該開閉部材30上を転がる遊技球は衝突部41に衝突可能であるといえる。
【0025】
開閉部材30や遊技部材40がこのように構成されることによる作用は以下の通りである。大入賞口10に向かって移動する遊技球は、開閉部材30が開位置に位置するときには大入賞口10に進入する。一方、開閉部材30が閉位置に位置するときには当該開閉部材30の上を転がり特定通路20を通過する。つまり、大入賞口10に進入しない。ここで、開閉部材30が開位置から閉位置に変位している最中に遊技球が大入賞口10の入口11に到達した場合、開閉部材30と大入賞口10の入口11の前側端縁(以下、単に前側端縁という)との間に遊技球が挟み込まれてしまう(いわゆる球噛みが発生してしまう)おそれがある。本実施形態では、このような球噛みを抑制するために、開閉部材30に特異部31を設けている。特異部31と前側端縁との間に遊技球が挟み込まれそうになったとしても、特異部31における遊技球が接触する箇所は平坦な箇所ではないから、上流側または下流側にずらすように遊技球を変位させるような力が遊技球に対して加わる(図4(c)(d)参照)。その結果、開閉部材30と前側端縁との間に遊技球が挟み込まれてしまうことが抑制される。
【0026】
しかし、開閉部材30における特異部31が形成された箇所以外の箇所、すなわち直状部32においてはこのような作用が奏されないため、開閉部材30における直状部32と前側端縁の間に遊技球が挟み込まれてしまうおそれは、特異部31についてのそれよりも高くなる。しかし、本実施形態では、特異部31に対向するように衝突部41が設けられているため、遊技球が当該衝突部41に衝突して特異部31が設けられた箇所で遊技球の勢い(固定底面21上を転がることによって生じた勢い)が低下する蓋然性が高められている(図4(a)(b)参照)。また、特異部31よりも上流側で開閉部材30(直状部32)と前側端縁との間に遊技球が挟み込まれたとしても、遊技球はその勢いより下流側に推移し、衝突部41でその勢いが低下することになる。このように、遊技球が開閉部材30と前側端縁との間に挟み込まれそうな状況が発生するとき、衝突部41の作用によって特異部31が設けられた箇所で当該状況が発生する蓋然性が高まる、すなわち開閉部材30における直状部32と前側端縁との間に遊技球が挟み込まれてしまうおそれが低くなることになる。
【0027】
なお、本実施形態における開閉部材30は、一の特異部31のみが形成されたものであるが、複数の特異部31が形成された構成としてもよい(図5参照)。この場合、複数の特異部31のそれぞれに対応する衝突部41が設けられた構成とする。このようにすることで、球噛みを抑制する作用をさらに向上させることができる。しかし、開閉部材30に複数の特異部31(凹部)が形成された構成とすると、特異部31同士の間が凸部となるため、当該凸部となった部分が破損しやすいという問題がある。したがって、闇雲に特異部31の数を増加させるのは好ましくない。本実施形態は、衝突部41の作用によって遊技球の勢いを低下させることで、特異部31が設けられた箇所を「挟み込みが起こりやすい箇所」とするものであるから、多数の特異部31を設ける必要がない(一の特異部31のみであってもよい)という点で優れるものであるともいえる。
【0028】
また、本実施形態における衝突部41は、特異部31(開閉部材30)よりも上方に設けられている。このようにすると、特異部31と衝突部41の間に遊技球が挟み込まれそうな状況が発生したとき、特異部31と衝突部41は上下にずれているから、当該特異部31と衝突部41の間に遊技球が挟まれてしまうことが抑制される(図4(c)(d)の右側の図参照)。具体的には、遊技球に対し、当該遊技球を上方に逃がすような力(図4(c)の右側の図において矢印で示す方向の力)が加わる。また、当該特異部31や衝突部41が受ける遊技球からの反作用力が過大となることで特異部31や衝突部41が破損してしまうことが抑制される。
【0029】
さらに、遊技球が衝突部41に衝突したとき、当該遊技球には下方、すなわち大入賞口10の入口11に向かう力が作用することになる。したがって、衝突部41は、開閉部材30が開位置に位置するときに、遊技球を大入賞口10に向けて導く(入賞を促す)役割も果たすといえる(図6参照)。
【0030】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
【0031】
○第一具体例
上記実施形態は、大入賞口10およびその入口11を開閉する開閉部材30を一例として当該開閉部材30の動作時における球噛みの発生が抑制されることを説明したが、大入賞口10に限らず、遊技球が進入可能な開口(入口)およびそれを開閉する開閉部材30について、同様の技術思想を適用することが可能である。
【0032】
○第二具体例
上記実施形態における特異部31は、凹部であることを説明したが、その他の形状であってもよい。つまり、直状部32と異なる形状であればよい。例えば、図7に示すように、特異部31を凸部としても球噛みを抑制することが可能である。ただし、特異部31である凸部が破損しやすいという問題がある。つまり、特異部31を凹部とした方が、開閉部材30が破損しにくいという利点がある。また、特異部31として形成される凹部の形状を円弧状としたのは一例である。内側に遊技球が入り込むことが可能な凹部であれば、その形状を円弧状以外のものとしてもよい。
【0033】
○第三具体例
上記実施形態における開閉部材30は、いわゆるスライドアタッカーであることを説明したが、動作態様が異なる開閉部材30に対しても同様の技術思想が適用可能である。例えば、図8に示すように、下端を支点として手前側に傾倒するような開動作を行う開閉部材30について、上記実施形態と同様の構造を適用したとしても、球噛み抑制効果が得られる。ただし、上記実施形態のようないわゆるスライドアタッカーである開閉部材30については、閉位置において当該開閉部材30自体が通路(特定通路20)を構成するものであるため、球噛みが発生しやすく、上記実施形態のような構造とする意義が大きいといえる。
【0034】
○第四具体例
特定通路20の後側の側壁(本実施形態では遊技盤90)および前側の側壁(本実施形態では遊技部材40)に突起が形成された構成とする。具体的には、図9に示すように、後側の側壁に形成される複数の突起(以下、後突起402と称する)と、前側の側壁に形成される複数の突起(以下、前突起401と称する)を有するものとし、左右方向(遊技球が移動する方向)において前突起401と後突起402がずれた位置関係となるように設定する。つまり、特定通路20の幅方向両側に複数の突起が設けられた構成とする。このような構成とすれば、遊技球は上記突起に衝突しつつ特定通路20を通過することになるため、大入賞口10付近で勢いが弱められることになり、大入賞口10に入賞せずに特定通路20を通過してしまう遊技球の数を少なくすることが可能となる。
【0035】
そして、上記複数の後突起402のうちのいずれかを衝突部41として設定する。つまり、後突起402のいずれかに対向するようにして、開閉部材30に特異部31を形成する。このような構成とすれば、後突起402(衝突部41)を、二つの作用を発現する要素として機能させることが可能となる。
【0036】
○第五具体例
図10に示すように、開閉部材30に特異部31として形成される凹部の端面が、傾斜面311を含むものとする。具体的には、凹部の端面を、その下端側から上端側にかけて後方に向かうような傾斜面311を含むものとする。このような構成とすれば、特異部31と衝突部41との間に遊技球が挟まれそうになったとき、上記傾斜面311の作用により、当該遊技球に対して加わる上方に逃がす力(図10(b)において示す矢印方向の力)が大きくなる。つまり、球噛みが発生してしまうおそれをさらに低減することが可能である。
【0037】
○第六具体例
上記実施形態では、開閉部材30に特異部31として凹部が形成され、それに対向する位置に凸部である衝突部41が形成されていることを説明したが、当該凹凸の対応関係が逆である構成としてもよい。つまり、図11に示すように、開閉部材30に特異部31として凸部が形成され(上述した第二具体例で示した開閉部材30のような構成とし)、当該特異部31に対向する位置に凹部42が形成された構成とする。上記実施形態と同様に、特異部31と凹部42は、上下にずれた位置関係にあるとよい。このような構成とすれば、凸部である特異部31に接触することで遊技球の勢いが弱められ、特異部31と凹部42との間に遊技球が挟まれそうになる蓋然性が高まるため、当該特異部31と凹部42に作用により遊技球の球噛みが発生してしまうのを抑制することが可能である。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0039】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0040】
・手段1
遊技球が通過可能な開口を閉鎖する閉位置および開放する開位置との間を変位自在に設けられた開閉部材と、
前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に変位するにつれて、当該開閉部材が近づくような位置に配置された遊技部材と、
を備え、
前記開閉部材の変位方向における先端部分には、他の部分と形状が異なる特異部が形成されており、
前記遊技部材における前記特異部に対向する部分には、遊技球が接触可能な位置に設けられた凸部である衝突部が形成されている
ことを特徴とする遊技機。
上記遊技機では、開閉部材に設けられた特異部により、開閉部材と他の部材(開口端縁を構成する部材)との間に遊技球が挟まれてしまうこと(球噛み)が抑制される。遊技部材には特異部に対向する位置に衝突部が形成されているから、遊技球は特異部が形成された箇所で勢いが低下する。したがって、特異部が形成された箇所以外の箇所で開閉部材と他の部材との間に遊技球が挟まれてしまうことが抑制される。
【0041】
・手段2
前記開閉部材は、前記閉位置に位置するとき、遊技球が通過する通路の底面の少なくとも一部を構成することを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように、閉位置に位置する開閉部材自体が通路の底面を構成するような構造のものにおいて、特に有効である。
【0042】
・手段3
前記衝突部は、前記特異部よりも上方に設けられていることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このような構成とすることで、特異部と衝突部の間に遊技球が挟まれてしまうことが抑制される。また、特異部と衝突部の間に遊技球が挟み込まれそうな状況が発生したときに、特異部や衝突部に過大な力が作用し、特異部や衝突部が破損してしまうことが抑制される。
さらには、衝突部に衝突する遊技球は開口に向かうことになる。つまり、衝突部は、開閉部材が開位置にあるときに、遊技球を開口に向けて導く役割も果たす。
【0043】
・手段4
前記特異部は、凹部であることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすることで、開閉部材と他の部材との間に遊技球が挟まれてしまうこと(球噛み)がより効果的に抑制される。また、特異部が破損等してしまうことが抑制される。
【0044】
・手段5
前記凹部は、遊技球よりも曲率が小さい円弧形状であることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
このようにすることで、凹部の内側に遊技球が入り込み、当該凹部の作用により、開閉部材(凹部)と他の部材との間に遊技球が挟まれてしまうことが抑制される。
【0045】
・手段6
前記開閉部材が前記閉位置に位置する状態において、前記凹部と前記遊技部材によって形成される空間は、遊技球が通過不可能な大きさであることを特徴とする手段4または手段5に記載の遊技機。
このようにすることで、開閉部材が閉位置に位置しているにも拘わらず、遊技球が開口を通過する状況の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 遊技機
10 大入賞口
11 入口(開口)
20 特定通路
30 開閉部材
31 特異部
32 直状部
40 遊技部材
41 衝突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11