(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】段付き折り畳み容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20220104BHJP
B65D 5/10 20060101ALI20220104BHJP
B65D 5/36 20060101ALI20220104BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B65D5/52 101Z
B65D5/10 K
B65D5/36 B
B65D5/42 C
B65D5/42 Z
(21)【出願番号】P 2017218511
(22)【出願日】2017-11-13
【審査請求日】2020-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】593100547
【氏名又は名称】ハーゲンダッツジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100082821
【氏名又は名称】村社 厚夫
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 悦子
【審査官】新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-176149(JP,A)
【文献】実開昭57-180617(JP,U)
【文献】実開平05-089224(JP,U)
【文献】実開平06-065272(JP,U)
【文献】実開平01-158426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 - 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み容器部(100)と、
展張状態にされた折り畳み容器部(100)内に配置される段付き載置部(200)を有する段付き折り畳み容器であって、
折り畳み容器部(100)が、第1長側面部(A)と、第1短側面部(B)と,第2長側面部(C)と、第2短側面部(D)とを有し、
第1長側面部(A)の第1下辺(101)から延びた長方形の下長底面部(F)と、第2長側面部(C)の第2下辺(102)から延びた上長底面部(E)と、第1短側面部(B)の第3下辺(103)から延びた台形の第1短底面部(G)と、第2短側面部(D)の第4下辺(104)から延びた台形の第2短底面部(H)とを有し、
上長底面部(E)の先端に設けられた突起(105)と、第1下辺(101)に設けられて前記突起(105)が挿入される溝(110)とを有し、
第1短底面部(G)が、第1短側面部(B)の第3下辺(103)に対し45°傾斜した第1折り線(112)を介してかつ該第1折り線(112)から下長底面部(F)の方向へ延び、下長底面部(F)に貼付される第1のりしろ(J)を有し、
第2短底面部(H)が、第2短側面部(D)の第4下辺(104)に対し45°傾斜した第2折り線(114)を介してかつ該第2折り線(114)から上長底面部(E)の方向へ延び、上長底面部(E)へ貼付される第2のりしろ(K)を有し、
上長底面部(E)の第2短底面部(H)側の領域が、上長底面部(E)の先端側が第2長側面部(C)と前記第2短側面部(D)との第1境界辺(106)の延長線から離れるように傾斜した強化山折り線(116)を有し、下長底面部(F)の第
1短底面部(G)側の先端側が、第1長側面部(A)と第1短側面部(B)との第2境界辺(107)の延長線から離れるように傾斜し、
第1のりしろ(J)が、第3下辺(103)の延長方向に関し下長底面部(F)側の端辺(124)より凹みかつ第1折り線(112)に沿った第1切り込み(122)を有し、
第1切り込み(122)は、第3下辺(103)より第1短側面部(B)側に延び且つ第1折り線(112)を超えて第1短底面部(G)側に延び、第1折り線(112)に沿った長さが第1折り線(112)に直交する長さより長い矩形形状を有しており、
第2のりしろ(K)が、第4下辺(104)の延長方向に関し上長底面部(E)側の端辺(120)より凹みかつ第2折り線(114)に沿った第2切り込み(126)を有し、
第2切り込み(126)は、第4下辺(104)より第2短側面部(D)側に延び且つ第2折り線(114)を超えて第2短底面部(H)側に延び、第2折り線(114)に沿った長さが第2折り線(114)に直交する長さより長い矩形形状を有し、
段付き載置部(200)が、前傾斜載置面部(214)と、
前傾斜載置面部(214)の後端側に配置された後傾斜側面部(246)と
、前傾斜載置面部(214)と後傾斜側面部(246)の間に形成されかつ
前傾斜載置面部(214)と後傾斜側面部(246)のうちの最も低い部分の高さ位置から前傾斜載置面部(214)と後傾斜側面部(246)のうちの最も高い
部分より
高い位置まで上方に向かって延びている垂直壁面部(204、208)
と、を有し、垂直壁面部(204、208)は、その高さ方向における中間部
が前傾斜載置面部(214)
の後端によって支持され
下端部が後傾斜側面部(246)
の前端によって支持されている、
ことを特徴とする段付き折り畳み容器。
【請求項2】
前記第1長側面部(A)と、第1短側面部(B)と,第2長側面部(C)と、第2短側面部(D)との内の少なくとも一つが、通気孔を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の段付き折り畳み容器。
【請求項3】
前記第1長側面部(A)と、第1短側面部(B)と,第2長側面部(C)と、第2短側面部(D)との少なくとも一つが、上端にタグを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の段付き折り畳み容器。
【請求項4】
前記垂直壁面部が、前傾斜載置面部(214)と連続した第1板状体と、後傾斜側面部(246)と連続した第2板状体を貼り合わせてなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の段付き折り畳み容器。
【請求項5】
前記垂直壁面部が、1枚の板状体を折り返してなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の段付き折り畳み容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段付き折り畳み容器、さらに詳しくは、展張して商品等を区分して整理しかつ購買者が見易いように傾斜させて陳列する等のために使用され、また運搬・保管に都合良く平板状に折り畳むことができ、さらにこれら展張及び折り畳みを何ら磨り減りや破壊がなく繰り返ととなとなしてできる段付き折り畳み容器に関する。
【0002】
本明細書において、裁断したシートを折り曲げたり貼付して、ワンタッチで箱状にできるようにすることを「組み立て」と言い、組み立てたものを箱状にすることを「展張」または「セットアップ」と言い、収容物のない空の展張したものを押し潰して平板状にすることを「折り畳む」という。
【背景技術】
【0003】
従来、陳列棚、陳列ショウケース等で商品を整列させて配置する場合、剥き出しで台無しで配置したり、トレーを使用したり、蓋部を除去して開封した段ボール箱の残部をトレーと同じように使用する等が行われている。
剥き出しで陳列棚に直接置く場合、商品を取り出すことにより隣接した他の商品が移動し、商品の整列を維持することが困難であり、さらに並べ換えも手数がかかり、困難である。
トレーは、周囲の側部壁が低く、商品等がトレーから滑り出したり、積み上げた商品が崩れてしまう恐れがある。一方、側部壁が高いトレーは、トレーの運搬や保管に不便であるという問題がある。
前記蓋部を除去して開封する箱は、一般に使い捨てであり、資源の無駄であるばかりでなく、ゴミ廃棄の問題も発生する。
【0004】
蓋部を除去して開封する箱に類似するものとして、合成樹脂の成形品であって、展張、組み立て、折り畳み、分解等が可能な容器もある。しかし、合成樹脂の成形は、構成部品毎に高い製造コストを要する成形用金型が必要であり、少数の製造には製造コストの問題で利用されていないのが実情である。従って、少数製造の箱は、厚紙や段ボール紙を使用し、裁断及び貼付によって形成することが、製造コストの問題や、流行に合った展示や販促を容易に行うことができることから望ましい。
【0005】
厚紙や段ボール紙を使用し、裁断によって形成する容器としては、以下に説明する底部構造を有する紙箱が提案されている。すなわち、
図13に示すように、箱体を構成する側面401,402と妻面403,404とを交互に連接し、各側面及び妻面の底辺417~420を連接した紙箱であって、一つの側面の底面構成部材は妻面底辺の半巾以下の巾の半底面板417とし、他方の底面構成部材は底面全体に亘る全底面板418とし、妻面403,404の底面構成部材419,420は略台形とし、各底板は隣接する半底面板417又は全底面板418に一部が接着して底蓋が構成され、全底面板418に接着させる底板の一部を更に延長させて接着部419b、425を形成し、該接着部の延長基部に剛性緩和用の切込み426を設けた紙箱の底部構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。全底面板418は、折り目418a(図示せず)を持っている。
【0006】
また、折り畳み容器の側面の延長部分等を所定位置に折り返した状態を維持するために、該延長部分の先端に突起を設け、該突起を側面下端に設けた溝に差し込む構成も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭57-180617号公報
【文献】特開平10-45122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1等によって提案された紙箱は、
図13を参照して、接着部419bが側面401と半底面板417との境界稜線まで延びておらず、また接着部425が側面402と全底面板118との境界凌線まで延びておらず、半底面板417及び全底面板418の底面としての耐久性が低い。そのため、この紙箱は、液体を充填した瓶等を収容する容器や比重の大きな物体を収容する容器用としては不適切である。すなわち、この箱に重量物を収容した場合、底板部が下向きに歪んだり、接着が剥がれていわゆる底抜けになる恐れがある。
【0009】
前記特許文献1等によって提案された紙箱は、また、上述したように接着部の延長基部に剛性緩和用の切込み426を設けている。しかし、それでも折り畳み容器を折り畳み状態から展張して組み立てた時、全底面板418は接着部425の下方へ引っ張る力を超えて折り畳み状態に戻ろうとする力すなわち全底面板418が持ち上がろうとする力が残存している。その結果、展張後に直ちに折り畳み容器に重量のある物体を入れるか、手で全底面板118を押し下げる等する必要がある。この底板が持ち上がるという性向は、該折り畳み容器に軽い物体を入れた場合は、底部が持ち上がって傾斜することにより、底板上で整列していた収容物が転倒したり散乱するという不都合が生じてしまう。持ち上がった底板上に初めて商品を入れるときも同様な不都合が発生する。
【0010】
前記特許文献1等によって提案された紙箱は、さらに、購買者が収容物を良く見えるように、平置きでなく購買者に向けて傾斜させて収容するために該紙箱内に傾斜段を設ける場合、収容物を載置しておらず軽量な段付け部材が所定位置から持ち上がってしまい、商品等の内容物が前記段付け部材上で不整然となってしまう問題がある。
【0011】
(発明の目的)
本発明は、従来の折り畳み容器に関する上述した問題に鑑みてなされたものであって、特に載置された収容物の向きに注目し、かつ収容物が少なくなったり無くなったりしても、底面の水平・平面性が維持され、展示会の展示品の整理や、販売用ショウケースの商品の整理・展示用に好適に使用でき、収容物を購買者等に向けて傾斜させて注意力を引きつけて販促効果を高める段付き折り畳み容器を提供することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、板状への折り畳み及び展張(セットアップ)の操作が容易で、かつ不使用で保管管理している板状の折り畳み状態及び展張(セットアップ)の状態が高精度に再現でき、さらに、板状への折り畳み及び展張を繰り返して使用可能な期間すなわち製品寿命が長い段付き折り畳み容器を提供することを目的とする。
【0013】
本発明はさらに、段付き折り畳み容器内に、強固な垂直部材があり、収容物の整理が容易であることに加えて、収容物が少なくなっても或いは無くなっても垂直部材が所定の位置に所定の形態で存在し続ける段付き折り畳み容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
折り畳み容器部と、段付き載置部を有する段付き折り畳み容器であって、
折り畳み容器部が、第1長側面部と、第1短側面部と,第2長側面部と、第2短側面部とを有し、
第1長側面部の第1下辺から延びた長方形の下長底面部と、第2長側面部の第2下辺から延びた上長底面部と、第1短側面部の第3下辺から延びた台形の第1短底面部と、第2短側面部の第4下辺から延びた台形の第2短底面部とを有し、
上長底面部の先端に設けられた突起と、第1下辺に設けられて前記突起が挿入される溝とを有し、
第1短底面部が、第1短側面部の第3下辺に対し45°傾斜した第1折り線を介してかつ該第1折り線から下長底面部の方向へ延び、下長底面部に貼付される第1のりしろを有し、
第2短底面部が、第2短側面部の第4下辺に対し45°傾斜した第2折り線を介してかつ該第2折り線から上長底面部の方向へ延び、上長底面部へ貼付される第2のりしろを有し、
上長底面部の第2短底面部側の領域が、上長底面部の先端側が第2長側面部と前記第2短側面部との第1境界辺の延長線から離れるように傾斜した強化山折り線を有し、下長底面部の第2短底面部側の先端側が、第1長側面部と第1短側面部との第2境界辺の延長線から離れるように傾斜し、
第1のりしろが、第3下辺の延長方向に関し下長底面部側の端辺より凹みかつ第1折り線に沿った第1切り込みを有し、第2のりしろが、第4下辺の延長方向に関し上長底面部側の端辺より凹みかつ第2折り線に沿った第2切り込みを有し、
段付き載置部が、前傾斜載置面部と、後傾斜側面部とを有し、前傾斜載置面部と後傾斜側面部の間に形成されかつ前傾斜載置面部と後傾斜側面部のうちの最も高い位置より高く延びた垂直壁面部が、その高さ中間部を前傾斜載置面部によって支持され、下端部を後傾斜側面部によって支持されていることを特徴とする段付き折り畳み容器
である。
【0015】
本発明の実施態様は、以下の通りである。
前記本発明の段付き折り畳み容器において、前記第1長側面部と、第1短側面部と,第2長側面部と、第2短側面部との内の少なくとも一つが、通気孔を有することを特徴とする。
前記本発明の段付き折り畳み容器において、前記第1長側面部と、第1短側面部と,第2長側面部と、第2短側面部との少なくとも一つが、上端にタグを有することを特徴とする。
前記本発明の段付き折り畳み容器において、前記垂直壁面部が、前傾斜載置面部と連続した第1板状体と、後傾斜側面部と連続した第2板状体を貼り合わせてなることを特徴とする。
前記本発明の段付き折り畳み容器において、前記垂直壁面部が、1枚の板状体を折り返してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の段付き折り畳み容器によれば、特に載置された収容物の向きに注目し、かつ収容物が少なくなったり無くなったりしても、底面の水平・平面性が維持され、展示会の展示品の整理や、販売用ショウケースの商品の整理・展示用に好適に使用でき、収容物を購買者等に向けて傾斜させて注意力を引きつけて販促効果を高めることができる。
【0017】
本発明の段付き折り畳み容器によればまた、板状への折り畳み及び展張(セットアップ)の操作が容易で、かつ不使用で保管管理している板状の折り畳み状態及び展張(セットアップ)の状態が高精度に再現でき、さらに、板状への折り畳み及び展張を繰り返して使用可能な期間すなわち製品寿命が長いとう利点を得ることができる。
【0018】
本発明の段付き折り畳み容器によればさらに、段付き折り畳み容器内に、強固な垂直部材があり、収容物の整理が容易であることに加えて、収容物が少なくなっても或いは無くなっても垂直部材が所定の位置に所定の形態で存在し続けることができる。すなわち、本発明においては、特に、前傾斜載置面部と後傾斜側面部の間に形成された垂直壁面部が収容物の整然とした収容状態を維持し、該垂直壁面部をその高さ中間部を前傾斜載置面部によって支持し、下端部を後傾斜側面部によって支持することによって垂直壁面部の構成を強固にしている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例の段付き折り畳み容器の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例の折り畳み容器部の展開図である。
【
図3】本発明の実施例の展張途中の状態の折り畳み容器部の平面図である。
【
図4】本発明の実施例の展張途中の状態の折り畳み容器部の底面図である。
【
図5】本発明の実施例の展張された状態の折り畳み容器部の平面図である。
【
図6】本発明の実施例の展張された状態の折り畳み容器部の底面図である。
【
図7】本発明の実施例の段付き載置部の斜視図である。
【
図8】本発明の実施例の前傾斜面板の平面図である。
【
図9】本発明の実施例の後傾斜面板の平面図である。
【
図10】本発明の他の実施例の段付き載置部の斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施例の段付き載置部の載置台板材の平面図である。
【
図12】本発明の他の実施例の段付き載置部の断面図である。
【
図13】公知の折り畳み容器の展張途中の状態の底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(構成)
以下に、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
本実施例の段付き折り畳み容器1は、アイスクリーム等の商品を冷凍ショウケースにおいて購買者等に向けて傾斜させた陳列する、すなわち収容した商品を購買者等に向けて傾斜した状態で整列させて積み上げ、無くなった場合に補充し、また並べ替えたり、入れ替えたりすることを効率的に行うことができ、さらに長期にわたり繰り返し使用することができる折り畳み容器であり、上部が開放されており、蓋部材はない。本実施例の段付き折り畳み容器1は、また、折り畳んで板状にすることができる。
【0021】
複数の商品等の収容品Pを傾斜させて収容した段付き折り畳み容器1は、折り畳み容器部100を部分的に切欠いた斜視図である
図1に示すように、折り畳み容器部100と、段付き載置部200とからなる。折り畳み容器部100と、段付き載置部200は、吸水性のない汚れにくい表面を持った紙又は樹脂製のシートを裁断することによって形成される。
【0022】
[折り畳み容器部]
(構成)
折り畳み容器部100は、
図2に示すように、順次連続して形成される長方形の第1長側面部Aと、第1短側面部Bと,第1長側面部Aと同じ形・寸法の第2長側面部Cと、第1短側面部Bと同じ形・寸法の第2短側面部Dとを有する。
第1長側面部A、第1短側面部B,第2長側面部C、及び第2短側面部Dは、複数の縦長の通気孔Lが整列して形成される。
第1長側面部Aの第1短側面部Bと反対側の端部には、第2短側面部Dに貼付される側面のりしろMが形成される。
【0023】
第1長側面部Aは、その第1下辺1から延びた下長底面部Fを有する。第2長側面部Cは、その第2下辺102から延びた長方形の上長底面部Eを有する。
第1短側面部Bは、その第3下辺103から延びた台形の第1短底面部Gを有する。第1短側面部Bは、また、第1短底面部Gと反対側の第3上辺111から延びた長方形の掲示面部Qを有する。掲示面部Qは、商品等である収容品Pの商標や販促キャッチフレーズ等を表示する。第2短側面部Dは、その第4下辺104から延びた台形の第2短底面部Hを有する。
【0024】
第1短底面部Gは、第1短側面部Bの第3下辺3に対し45°傾斜した第1折り線112を介してかつ該第1折り線112から下長底面部Fの方向へ延びた第1のりしろJを有する。
第2短底面部Hは、第2短側面部Dの第4下辺104に対し45°傾斜した第2折り線114を介してかつ該第2折り線114から上長底面部Eの方向へ延びた第2のりしろKを有する。
【0025】
上長底面部Eは、その先端に突起105を有する。突起105は、展張の際に第2下辺2に設けられた溝110に挿入される。
【0026】
第1のりしろJは、第3下辺3の延長方向に関し下長底面部F側の端辺124より凹んでおりかつ第1折り線112に沿って形成された第1切り込み122を有する。
第2のりしろKは、第4下辺4の延長方向に関し上長底面部E側の端辺120より凹んでおりかつ第2折り線114に沿って形成された第2切り込み126を有する。
【0027】
上長底面部Eは、第2下辺102と第1境界辺106の第1交点130から、先端に行くに従って第2短底面部Hから離れる方向へ延びた強化山折り線116を有する。第1境界辺106は、第2長側面部Cと第2短側面部Dの境界である。
下長底面部Fは、第1下辺101と第2境界辺107の第2交点134から、先端に行くに従って第1短底面部Gから離れる方向へ延びた直線上で切断されている。第2境界辺107は、第1長側面部Aと第1短側面部Bの境界である。
【0028】
(組み立て)
上長底面部Eにおいて、第2短底面部H側の折り返し部分Nが、
図2に示す強化折り線116が山折線となるようにすなわち紙面の裏側へ、折り返しされる。
【0029】
次に、側面のりしろMの表面または裏面に貼付のりを塗る。第1のりしろJ及び第2のりしろKの
図2における裏面の各全面に貼付のりを塗る。
【0030】
次に、
図3~
図6に示すように、側面のりしろM、第1のりしろJ及び第2のりしろKの貼付のりを塗った面を、それぞれ第2短側面部D、上長底面部E及び半長底面部Fの第1図における表面に貼り付ける。
【0031】
(折り畳み・展張)
上述した組み立てをした
図3及び
図4に示す状態の折り畳み容器を、同図における左右方向から押して左右方向の寸法を縮小させると、第1短底面部Gが、第1のりしろJを介して下長底面部Fを引き下げる。また、第2短底面部Hが、第2のりしろKを介して上長底面部Eを引き下げる。その結果、
図5及び
図6に示すように、容器として使用可能な展張状態となる。
【0032】
図2及び
図3に示すように、折り返し部分Nを設けたため、この展張作動において、上長底面部Eと第2短側面部Dとの間に摩擦抵抗力が発生せず、展張を妨げられることはない。さらに、下長底面部Fが、第1下辺1と第2境界辺107の第2交点134から、先端に行くに従って第2短底面部Gから離れる方向へ延びた直線上で切断されているため、下長底面部Fと第1短側面部Bとの間に摩擦抵抗力が発生せず、展張が妨げられることはない。
最後に、全長底面部Eを下方へ押し込み、全長底面部Eの突起105を溝110に差し込む。
【0033】
この展張の結果、折り畳み容器100の底部は、第1のりしろJと下長底面部Fとの貼付及び第2のりしろKと上長底面部Eとの貼付に加えて、上長底面部Eと半長底面部Fが、上長底面部Eと連続した折り返し部分Nを挟み込む。そのため、折り畳み容器の底部は、大きな剛性を有し、大きな耐久力を持った構成となり、重量物を収容しても底部が押し下げられて変形する恐れが小さくなる。
【0034】
一方、上長底面部Eの突起105が溝110に差し込まれているため、収容物が少なくなって底部への荷重が軽くなったり、さらに荷重ゼロになっても、上長底面部Eは所定の水平平面状態を維持する。この構成は、収容物の入れ替えを効率良く行うことができるだけでなく、安定した水平面上で収容物を常に継続して整頓状態にしておくことができるという大きな利点を有する。
【0035】
収容物のない折り畳み容器を運搬したり保管するときは、折り畳む。折り畳みは、内部底部の強化折り線116に指をかけて持ち上げ、突起105を溝110から外す。この作動は、全長底面部Eを第1下辺1を中心にして揺動するように持ち上げることになる。次いで、
図3及び
図4における上下方向に押し潰す。
【0036】
この折り畳み時、第1のりしろJが、第3下辺3の延長方向に関し下長底面部F側の端辺124より凹んでおりかつ第1折り線112に沿って形成された切り込み122を有するため、下長底面部Fと第1短底面部Gが存在する底隅部は、シートが過剰に折り重なることがなく、容易に折り畳み状態にすることができる。
【0037】
また、第2のりしろKが、第4下辺4の延長方向に関し下長底面部F側の端辺120より凹んでいてかつ第2折り線114に沿って形成された切り込み126を有するため、下長底面部Fと第2短底面部Hが存在する底隅部は、シートが過剰に折り重なることがなく、容易に折り畳み状態になることができる。
【0038】
[段付き載置部]
(構成)
段付き載置部200は、
図7に示すように、前傾斜面板202の前垂直壁面部204の後側面と、後傾斜面板206の前垂直壁面部208(破線で示す)の前側面とを貼り付けてなる。
図7~9において、左側が前であり、右側が後である。また、段付き載置部200の左右は、前から後を見たときの左右である。
【0039】
前傾斜面板202は、
図8に示すように、前水平延長面部210と、前水平延長面部210に第1ミシン目折れ線212(谷折り)を介して連接する前傾斜載置面部214と、前傾斜載置面部214に第2ミシン目折れ線216(谷折り)を介して連接する前垂直壁面部204とを有する。
前傾斜載置面部214の右縁には、第1折れ線220(山折り)を介して前右傾斜側面部222が連接され、前右傾斜側面部222には第2折れ線224(山折り)を介して右傾斜台面部226が連接されている。
前傾斜載置面部214の左縁には、第3折れ線230(山折り)を介して前左傾斜側面部232が連接され、前左傾斜側面部232には第4折れ線234(山折り)を介して左傾斜台面部236が連接されている。
【0040】
後傾斜面板206は、
図9に示すように、前垂直壁面部208と、前垂直壁面部208に第3ミシン目折れ線240(谷折れ)を介して連接する後水平延長面部242と、後水平延長面部242に第4ミシン目折れ線244(谷折れ)を介して連接する後傾斜側面部246と,後傾斜側面部246に第5折れ線248(山折り)を介して連接する垂直壁後面部250とを有する。
後傾斜側面部246の右縁には、第6折れ線252(山折れ)を介して後右傾斜側面部254が連接されている。後傾斜側面部246の左縁には、第7折れ線256を介して後左傾斜側面部258が連接されている。
【0041】
前水平延長面部210と後水平延長面部242は、寸法や形状の異なる収容物を収容するとき、寸法や形状の違いを吸収して、常に整然と載置することを可能にする。
【0042】
前傾斜面板202の前垂直壁面部204の後側面の幅(
図7における高さ)は約12cmであり、後傾斜面板206の前垂直壁面部208(破線で示す)の前側面の幅(
図7における高さ)は16cmである。これらの幅(
図7における高さ)に関し、前傾斜面板202の前垂直壁面部204の後側面の幅(
図7における高さ)が後傾斜面板206の前垂直壁面部208(破線で示す)より小さいことが必要である。両者の比は、本実施例では3:4であるが、1:2、2:3、3:5、4:5等制限はなく、自由に選択できる。
【0043】
(組み立て)
段付き載置部200は、
図7に示すように、前傾斜面板202の前垂直壁面部204の後側面と、後傾斜面板206の前垂直壁面部208(破線で示す)の前側面とをそれぞれの上縁が一致するにように位置決めして貼り付ける。
【0044】
前傾斜面板202において、前傾斜載置面部214を前垂直壁面部204との挟角が略105度となるように谷折りする。また、前水平延長面部210を前傾斜載置面部214との挟角が略165度となるように谷折りする。
また、前右傾斜側面部222が前傾斜載置面部214に対し略直角となるように第1折れ線220に沿って山折し、右傾斜台面部226を前右傾斜側面部222に対し略直角となるように第2折れ線224に沿って山折りする。同様に、前左傾斜側面部232が前傾斜載置面部214に対し略直角となるように第2折れ線230に沿って山折し、左傾斜台面部236を前左傾斜側面部232に対し略直角となるように第4折れ線234に沿って山折りする。
【0045】
さらに、後傾斜面板206において、後水平延長面部242が後傾斜面板206に対し略直角となるように第3ミシン目折れ線240に沿って谷折りする。さらに、後傾斜側面部246を後水平延長面部242との挟角が略165度となるように谷折りする。さらに、垂直壁後面部250を後傾斜側面部246との挟角が略75度となるように山折りする。
後右傾斜側面部254を後傾斜側面部246に対し略直角なるように第5折れ線252に沿って山折りする。後左傾斜側面部258を後傾斜側面部246bと略直角なるように第6折れ線256に沿って山折りする。
【0046】
[段付き載置部の変形例]
(構成)
変形例の段付き載置部300は、
図11に示すように、一枚の載置台板材301を裁断して折り曲げて形成され、前傾斜載置面部302と後傾斜載置面部304とを有する。
図10~13において、左側が前であり、右側が後である。前傾斜載置面部302と後傾斜載置面部304との間において、収容品の移動を制限するための垂直な壁が非常に低く、例えば収容品の一個の高さに等しい高さである。
【0047】
載置台板材301は、
図11に示すように、前傾斜載置面部302と、前傾斜載置面部302に第11折れ線305(山折り)を介して連接した前傾斜壁面部306と、前傾斜壁面部306に第12折れ線308(谷折り)を介して連接した後傾斜載置部304と、後傾斜載置部304に第13折れ線310(山折り)を介して連接した後垂直壁面部312と、後垂直壁面部312に第14折れ線314(山折り)を介して連接した底面部316とを有する。
【0048】
前傾斜載置面部302の前側縁線の中央には、第11ミシン目折れ線320(山折り)を介して前差込み部322が形成されている。前傾斜壁面部306の後傾斜載置部304側には、後傾斜載置部304から第12ミシン目折れ線308(谷折り)を介して後差込み部326が形成されている。底面部316には、後差込み部326が差込まれる後差込溝330と、前差込み部322が差込まれる前差込み溝332が形成されている。
【0049】
前傾斜載置面部302の右縁には第15折れ線340(山折り)を介して略三角形の前右傾斜側面部342が連接され、また、前傾斜載置面部302の左縁には第16折れ線344(山折り)を介して略三角形の前左傾斜側面部346が連接されている。
後傾斜載置面部304の右縁には第17折れ線350(山折り)を介して略三角形の後右傾斜側面部352が連接され、また、後傾斜載置面部304の左縁には第18折れ線354(山折り)を介して略三角形の後左傾斜側面部356が連接されている。
【0050】
(組み立て)
載置台板材301において、
図10の線S-Sに沿った断面図である
図12に示すように、前傾斜壁面部306を第11ミシン目折れ線305に沿って前傾斜載置面部302に対し略直角に山折りし、後傾斜載置面部304を第12ミシン目折れ線308に沿って略直角に谷折りする。さらに、後垂直壁面部312を第13折れ線310に沿って後傾斜載置面部304との挟角が略75度になるように山折りする。さらに、底面部316を第14折れ線314に沿って略180度山折り、すなわち折り返す。
【0051】
また、後差込み部326を後傾斜載置面部304に対し略15度谷折りし、後差込み溝330に差込む。さらに、前差込み部322を前差込み溝332に差し込む。前差込み部322は、前差込み溝332に差込まれた後、第11ミシン目折れ線320に沿って前傾斜載置面部302との挟角が略75度当業者なるように山折りされ、底面部材316の下面に貼付される。
【0052】
前右傾斜側面部342を第15折れ線340に沿って略直角に山折りし、また、前左傾斜側面部346を第16折れ線344を介して略直角に山折りする。さらに、後右傾斜側面部352を第17折れ線350に沿って略直角に山折りし、また、第18折れ線354に沿って略直角に山折りする。
【符号の説明】
【0053】
A 第1長側面部
B 第1短側面部
C 第2長側面部
D 第2短側面部
E 全長底面部
F 半長底面部
G 第1短底面部
H 第2短底面部
J 第1のりしろ
K 第2のりしろ
L 通気孔
M 側面のりしろ
N 折り返し部分
Q 掲示面部
1 段付き折り畳み容器
100 折り畳み容器部
102 第2下辺
103 第3下辺
104 第4下辺
105 突起
107 第2境界辺
110 溝
114 第2折り線
116 強化折り線
120 端辺
121 辺
122 第1切り込み
126 第2切り込み
200 段付き載置部
202 前傾斜面板
204 前垂直壁面部
206 後傾斜面板
208 前垂直壁面部
210 前水平延長面部
212 第1ミシン目折れ線
214 前傾斜載置面部
216 第2ミシン目折れ線
222 前右傾斜側面部
226 右傾斜台面部
232 前左傾斜側面部
242 後水平延長面部
246 後傾斜側面部
250 垂直壁後面部