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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】メガネフレーム
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/16 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
G02C5/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018138199
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020016718
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】515125492
【氏名又は名称】株式会社ジゴスペック
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】宮下 務
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿成
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206389(JP,A)
【文献】特開2011-099939(JP,A)
【文献】特開2003-121800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268013(US,A1)
【文献】米国特許第9188795(US,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0332390(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00-13/00
A61F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント部を安定して支える為に、ツルにパットを取付けたメガネやサングラスにおいて、上記パットの材質はゴム質として撓み変形可能で頬骨に載ると共にコメカミに当接するパットの形状は半リング状とし、ツルのフロント部側であって外方向へ湾曲して膨出する突出部に取付けられて内側へ傾斜すると共に下方へ延び、フロント部は両レンズが中央に設けた連結部材を介して左右対称に連結され、連結部材にはその両側にスリット溝が設けられ、スリット溝にレンズ外周部が嵌入すると共にネジ止めされ、レンズ外側にはヨロイが取付けられ、ヨロイに設けたスリット溝にレンズ外周部が嵌ってネジ止めされ、上記ツルは、突出部の後方がメガネやサングラスを着用した際に側頭部に密着するように内側へ湾曲し、さらにツル先端部は後頭部を抱き込むことが出来るように内側へ大きく湾曲して延び、さらに、ツル表面には上記パットと同じゴム質から成るツル被覆シートを形成していることを特徴とするメガネフレーム。
【請求項2】
パットの内面には複数の凸条を一定間隔で突出した請求項1記載のメガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鼻当てパットを備えることなく、ツルにパットを取付け、該パットをコメカミに当てると共に頬骨に載せてフロント部を支持することが出来るメガネフレームに関するものである。

【背景技術】
【0002】
図5は従来の一般的なメガネフレームを示している。メガネフレームはフロント部(イ)と2本のツル(ロ)、(ロ)から成り、ツル(ロ)、(ロ)はフロント部(イ)の両側に設けているヨロイ(ハ)、(ハ)に蝶番(ニ)、(ニ)などの継手を介して折畳み出来るように取付けられている。フロント部(イ)は連結部材(ホ)の両側にリム(ヘ)、(ヘ)が設けられ、リム(ヘ)、(ヘ)の外側には上記ヨロイ(ハ)、(ハ)をロウ付けしている。そして、リムの内側(中央側)には鼻当てパット(ト)、(ト)が取付けられている。
【0003】
ところで、メガネを顔に掛ける場合には、鼻当てパット(ト)、(ト)を鼻の両脇に当てると共に、ツル(ロ)、(ロ)の先端部に挿着している樹脂製のモダン(チ)、(チ)が耳に係止される。鼻当てパット(ト)、(ト)を介してフロント部(イ)は鼻で支えられるが、長時間にわたってメガネを着用しているならば、鼻当てパット(ト)、(ト)が当っている鼻の両脇が赤く変色し、化粧が剥がれる。したがって、メガネを外した際には化粧が剥がれて赤くなった鼻両脇が目立ち、特に若い女性にとっては大きな問題となる。
【0004】
近年のメガネフレームはバネ製に優れた軽い材質としてチタン材が多用され、又レンズもプラスチックレンズが用いられることで、フロント部が非常に軽くなっている。ステンレス材を使用したメガネフレームにガラスレンズを嵌めた昔のメガネに比較すれば非常に軽い。しかし、鼻当てパットにてフロント部を支えることは必要であり、その為に鼻両脇の化粧の剥がれ落ちを避けることは出来ない。 鼻当てパットの材質を軟らかいシリコン樹脂で構成している場合もあるが、赤い変色や化粧の剥がれを完全に防止することは出来ない。
【0005】
従来、ツルの内側にパットを取付け、該パットを顔のコメカミ部分に当てることでフロント部を支えるように構成したメガネフレームが知られている。しかし、ツルの内側に取付けたパットをコメカミ部分に押し当てても、滑り落ちる為にフロント部を完全に支持することが出来ない場合もある。
しかし、パットをコメカミ部に強く押圧するならば、コメカミが痛く成ってメガネを長時間掛けることは出来ない。
一方、フロント部に鼻当てパットが無いメガネフレームでは、該フロント部が降下することで、リムの下縁又はレンズの下縁が顔の頬に接してしまい、メガネを外した場合には頬に跡が残ってしまうという問題もある。
【0006】
特開2008-20678号に係る「メガネフレーム」は、鼻の両脇に当ててフロント部を支える鼻当てパットを備えないメガネフレームであり、ツルからアームを斜め下方へ延ばし、該アーム先端にはパットを取付け、該パットが顔の頬骨に当ってフロント部を支えるようにしている。そして、パットはその向きを変えることが出来る構造としている為に、頬骨の位置や形状に違いがあってもパットはフィットできる構造となっている。
【0007】
図6はツル(ロ)にパット(リ)を取付けた従来の具体例である。ツル(ロ)には基板(ヌ)がネジ止めされ、この基板(ヌ)にアーム(ル)が固定され、基板(ヌ)から延びるアーム(ル)の先端には上記パット(リ)を取付けている。該パット(リ)は円盤状であり、円盤状パット(リ)は頬骨に載置されるが、コメカミに当たって押圧する。
アーム(ル)はバネ性の金属線であり、その為に、パット(リ)に作用する押圧力はアーム(ル)の撓み変形に基づき、該コメカミ部に痛みを感じる。
【0008】
ところで、従来のメガネフレームではツル(ロ)に取付けたパット(リ)が顔のコメカミ部に当たることで、該パット(リ)に作用する押圧力の反力によってツル(ロ)が撓み、その為に耳に係止するツル先端部のモダンが後頭部から浮き上がり、ツルの安定性が損なわれる。すなわち、両パット(リ)だけでメガネフレームを支えるようになり、パット(リ)を中心として揺動し、フロント部が降下すると共にツル先端部は上昇し、メガネフレームは前屈み状態となる。その為に、リムの下縁又はレンズの下縁が頬に当たってしまい、メガネを外すと頬に跡が残ってしまう。
【文献】特開2008-20678号に係る「メガネフレーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、フロント部に鼻当てパットを取付けたメガネフレーム、そして鼻当てパットを備えることなくツルにパットを取付けたメガネフレームには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、ツルに取付けたパットが位置ズレすることなく頬骨に載置され、またツル先端部が浮上しないように安定して掛けることが出来るメガネフレーム、及びツルに取付ける半リング状パットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るメガネフレームは、フロント部に鼻当てパットを備えておらず、ツルにはパットを取付けている。該パットは顔のコメカミ部に接すると共に頬骨に載せてフロント部を支える為に、ツルのフロント部側に取付けられている。
パットはゴム質又は軟質樹脂製とし、その形状は概略半リング状としている。すなわち、ツルから所定の間隔をおいて下方へ延び、先端が繋がって半リング状となっている。
【0011】
しかも、半リング状をしたパットは、内側へ傾斜していて、メガネを着用した場合にはコメカミ部及び頬骨に当たって撓み変形し、外方向へ押し戻される。ゴム質又は軟質樹脂からなる半リング状パットは、高い摩擦係数を有し、コメカミ部及び頬骨から滑り難く、フロント部を安定して保持することが出来る。そして、半リング状パットの下端部内面には複数の滑り止め用凸条を設けている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るメガネフレームは、ツルに取付けたパットが顔の頬骨に載ってフロント部が支えられる。したがって、従来のメガネフレームのように鼻当てパットが当って鼻の両脇が赤く変色することがなく、又鼻の両脇の化粧が剥がれることもない。
また、パットはコメカミ部に当たっても接触する程度で押圧しない為に、コメカミ部の痛みはなく、長時間にわたってメガネを着用することが出来る。
【0013】
そして、本発明に係るパットはツルから下方へ延びる半円形リング状であり、しかも該パットはゴム質又は軟質樹脂製である為に、コメカミ部の広い範囲にわたって密着することが出来る。そのために、激しい運動を行っても、フロント部が位置ズレすることはなく安定してメガネを掛けることが出来る。
さらに、パット内面には複数の凸条が形成されることで、該パットの位置ズレが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るメガネフレーム(サングラス)を示す実施例で、(a)は平面図、(b)は側面図。
図2】本発明に係るメガネフレーム(サングラス)を示す斜視図。
図3】レンズ形状を示す具体例。
図4】顔に着用した本発明のメガネフレーム。
図5】フロント部に鼻当てパットを備えた従来の一般的なメガネフレーム。
図6】パットを取付けた従来のメガネフレームのツル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係るメガネフレームの1形態であるサングラスを示す実施例で、図1(a)は平面図、図1(b)は側面図をそれぞれ表している。また図2は斜視図であり、同図の1はフロント部、2はツルを示し、ツル2,2はフロント部1の両側に継手を介して折畳み出来るように取付けられている。同図に示すサングラスは樹脂製であり、フロント部1を構成するレンズ3、3は中央に設けている連結部材4を介して左右対称に連結されている。
【0016】
上記連結部材4にはその両側にスリット溝が設けられ、このスリット溝に図3に示すレンズ3の外周部が嵌入すると共に、ネジ止めされてスリット溝に挟み込まれる構造としている。レンズ3の内周側(連結部材側)には凸部6が設けられ、この凸部6にはネジ穴7が貫通している。
連結部材4には凸部6が嵌入する為のスリット溝が形成され、このスリット溝に凸部6が嵌入すると共にネジ止めされることで、レンズ3は連結部材4に連結される。そして、上記凸部6を挟んだレンズ3の外周縁8は連結部材4の外側面に当接し、該レンズ3はネジ穴7を中心として回転することはない。
【0017】
レンズ外側にはヨロイ5が取付けられ、該ヨロイ5の先端には継手を介してツル2が折畳み出来るように連結している。
該ヨロイ5とレンズ3との連結構造は上記連結部材4と共通し、ヨロイ5に形成したスリット溝にはレンズ3が嵌り、この状態でヨロイ5とレンズ3はネジ止めされる。レンズ3の外側にもネジ穴7が貫通して設けられ、このネジ穴7にネジを挿通して該レンズ3はヨロイ5に連結・固定される。
この場合も、レンズ外周縁8はヨロイ5に形成しているスリット溝底に当接し、その為に、該ヨロイ5はネジ穴7を中心として回転することはない。
【0018】
ところで、本発明のメガネフレームは図1図2に示しているように、フロント部1に鼻当てパットを備えることなく、ツル2,2のフロント部側にパット9,9を取付けている。該パット9,9はゴム質又は軟質樹脂製であって、柔らなくて自由に変形し、また撓むことが出来るようになっている。そこで、メガネを着用するならば、該パット9,9は顔側面のコミカミ部に当接し、頬骨に載置してフロント部1は支持される。
【0019】
ところで、上記パット9は図1(a)に示しているように、ツル2の下側に概略半リング状を成して形成されている。該パット9はその形状が従来の鼻当てパットや円盤状のようなものではなく、半リング状をしていることで、コメカミ部との接触域は大きく、しかもゴム質又は軟質樹脂製であることで、コメカミ部が圧迫されて痛みを感じることはなく、摩擦係数が高いために滑ることもない。
半リング状パット9はゴム質又は軟質樹脂製である為に、コメカミ部に接触する程度であり、コメカミ部を押圧するものではない。
【0020】
同図に示す概略半リング状のパット9はフロント部側に前部10を有し斜め下方へ延び、前部10と所定の間隔をおいた後方には円弧部11を設け、円弧部10の先端は前部10の先端と繋がっている。
ここで、前部10はツル2から下方へ延び、しかもフロント部側へ傾斜して延びている。また、円弧部11はツル2から下方へ円弧を成して延び、該円弧部11の内面には複数の凸条12,12・・・が一定間隔をおいて突出している。該凸条12,12・・・はコメカミ部に接し、しかも僅かではあるがコメカミ部に食い込むように接触する。その為に、パット9は滑って位置ズレすることはなく、フロント部1は定置に安定する。
したがって、激しい運動をする際にも本発明のメガネフレームで構成される眼鏡を着用することが出来る。
【0021】
図1(a)から明らかなように、ツル2は継手14を介して折畳み出来るように連結しているが、ツル2のフロント側はレンズ3の表面に連続するように滑らかに湾曲し、外側へ膨出した突出部13を形成している。そして、突出部13の後方は内側へ湾曲し、メガネを着用した際に側頭部に密着するように両ツル2,2の間隔は狭まり、さらにツル先端部15,15は内側へ大きく湾曲して後頭部を抱き込むことが出来る形状としている。
【0022】
ところで、上記半リング状パット9は、ツル2の突出部13に設けられ、その為に該ツル2から内側へ傾斜するように下方へ延びている。
その為に、ツル突出部13と半リング状パット9の下端部との間には上方から見た際に大きな空間が設けられ、ゴム質又は軟質樹脂製の半リング状パット9は、メガネを掛ける際にはコメカミ部に当たって外方向へ押し戻されて大きく撓むことが出来る。この際、半リング状パット9によって、コメカミ部に痛みが生じることはなく、しかも滑って位置ズレもし難い。
【0023】
ところで、半リング状パット9をツル2に取付ける具体的な構造に関して限定はしない。例えば、パット9を構成する前部10の基部と円弧部11の基部をツル2の突出部13に直接ネジ止めすることで取着することが出来る。
ただし、図1(a)、(b)に示している実施例では、ツル2に一体化した形態として取付けている。
【0024】
前部10の基部はツル2に巻き付くリングシート16を形成し、また円弧部11はツル先端部まで大きく延びてツル被覆シート17を形成している。そして、リングシート16とツル被覆シート17の間には繋ぎシート18が形成されている。これら、リングシート16、ツル被覆シート17、及び繋ぎシート18は半リング状パット9と同じゴム質又は軟質樹脂にて構成されていて、そこで所定の形状に成形されたツル2に嵌めることが出来る。
又は、リングシート16、ツル被覆シート17、及び繋ぎシート18を半リング状パット9と共にツル2に一体化するように、ゴム質又は軟質樹脂を流し込んで成形することも可能である。
【0025】
このように、ツル2に半円弧状パット9と共にツル被覆シート17を形成することで、メガネを掛けることで、該ツル2は定位置に安定する。
パット9は頬骨に載ると共にコメカミ部に当り、ツル被覆シート17は頭部側面から後頭部にかけて当接することで該ツル2の位置ズレは防止され、比較的は激しい運動をしてもフロント部1がズレることはなく、勿論、着用したメガネが外れ落ちることはない。
【0026】
図4は本発明のメガネフレームを着用した場合である。ツル2から下方へ延びるパット9は頬骨に載置されると共にコメカミ部に当接してフロント部1が位置ズレしないように支えることが出来る。
該パット9は半リング状であり、コメカミ部とは広範囲で当接して頬骨に載置される。該パット9は半リング状であり、材質はゴム質又は軟質樹脂質である為に、当りは柔らかくてコメカミ部に痛みを感じることはない。しかも、摩擦係数が高くて滑って位置ズレすることもない。
また、ツル2の表面をツル被覆シート17にて被覆するならば、後頭部に当たるツル先端部も位置ズレすることなく安定し、フロント部1がズレることはない。
【符号の説明】
【0027】
1 フロント部
2 ツル
3 レンズ
4 連結部材
5 ヨロイ
6 凸部
7 ネジ穴
8 外周縁
9 パット
10 前部
11 円弧部
12 凸条
13 突出部
14 継手
15 ツル先端部
16 リングシート
17 ツル被覆シート
18 繋ぎシート
























図1
図2
図3
図4
図5
図6