(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】軽量ミラーサイネージ
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220104BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 313
H04N5/64 501Z
(21)【出願番号】P 2018227064
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594080286
【氏名又は名称】日本フォームサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】山下 岳英
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-104653(JP,A)
【文献】特開2006-126379(JP,A)
【文献】実開昭63-146888(JP,U)
【文献】特開2015-151182(JP,A)
【文献】特開2003-057646(JP,A)
【文献】特開2013-130829(JP,A)
【文献】特開昭60-255233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に配置したディスプレイ装置の映像を、該ディスプレイ装置の前面に配置したミラーガラスの表面に表示するように構成されたミラーサイネージにおいて、ハウジングは
発泡スチロールで形成されると共に、該ハウジング
内に埋設された状態で一体化されハウジングを補強する連結金具を設け、該ハウジングと、ディスプレイ装置の背面に固定する固定金具とを連結自在に設けたことを特徴とする軽量ミラーサイネージ。
【請求項2】
前記ハウジングは、粒径幅0.6~1.2mmの原粒子を20~30倍に発砲した発泡スチロールにて形成されると共に、該発泡スチロールで形成された前記ハウジングの表面に硬化剤を付着して前記ハウジングの表面を硬化した請求項1記載の軽量ミラーサイネージ。
【請求項3】
前記連結金具は、前記ハウジングの発泡成形時に前記ハウジングと一体に設けられ、前記連結金具の一部又は全体が前記ハウジング内に埋設された請求項1又は2記載の軽量ミラーサイネージ。
【請求項4】
前記ハウジングを形成する縦枠体と横枠体とが別々に形成され、これら縦枠体と横枠体とを連結して矩形状のハウジングを構成した請求項1乃至3いずれか記載の軽量ミラーサイネージ。
【請求項5】
前記ハウジングの前面側に係止部を突設し、該係止部に前記ミラーガラスの前面周囲を係止すると共に、ハウジング内に固定した固定体にて前記ミラーガラスの裏面を固定するように構成した請求項1乃至4いずれか記載の軽量ミラーサイネージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡の裏にディスプレイ装置を配置して鏡の表面にディスプレイ装置の映像を表示することができる軽量ミラーサイネージに関する。
【背景技術】
【0002】
ミラーサイネージとは、ハウジング内にハーフミラーとディスプレイ装置とを設置し、ハーフミラーの後方に配置したディスプレイ装置に映像を表示すると、通常のミラーとして使用していたハーフミラーの表面にディスプレイ装置の映像が表示されるように構成した装置である。
【0003】
既に、街頭の大型ビジョンや駅や空港、ショッピングモールなどで電子看板として使用されているデジタルサイネージの流れをくむ小型の情報発信装置ということができる。特に、ハーフミラーを使用することにより屋内での使用範囲が広がり、さまざまな場所で広告にとどまらない各種の情報を効果的に発信できるメディアとして期待されている。
【0004】
特許文献1に記載のミラーサイネージ(薄型ディスプレイ装置)は、ディスプレイ装置を直立状態で固定するための方形枠をハウジングとして使用している。すなわち、この方形枠の前面をハーフミラーで閉鎖し、このハーフミラーの裏側に液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置を設置するものである。更に、方形枠の背面を黒色遮蔽ボードにて閉鎖し、この黒色遮蔽ボードの中央部に4個のフックで液晶ディスプレイ等を固定してディスプレイ装置を構成したものである。
【0005】
更に、このディスプレイ装置を方形枠の上面と下面との間に垂直に配置するため、ディスプレイ装置の上下に設けられた高さ調整脚を、方形枠の上面と下面とに突っ張り状態にして固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のミラーサイネージは、黒色遮蔽ボードの中央部に4個のフックでディスプレイ装置を固定するものであるから、この黒色遮蔽ボードは支持強度に優れた金属板等が使用される。更に、黒色遮蔽ボードに液晶ディスプレイ等を固定したディスプレイ装置を方形枠の上面と下面とに突っ張り状態にして固定するために、この方形フレームも必然的に支持強度の高い金属材等の材質が使用される。
【0008】
このように、従来のミラーサイネージは、ハウジング等に金属材が多く使用されていることが多く、そのため、ミラーサイネージ全体の重量が極めて重くならざるを得ない状況であった。特に、ディスプレイ装置の画面サイズが大きくなるほどハウジングの重量も増大するため、ミラーサイネージの設置場所は、これらディスプレイ装置とハウジングとの全重量に耐え得る強度を有する場所に限定される不都合があった。
【0009】
一方、このミラーサイネージは、屋内での使用においても、例えばビルのホール内や駅構内などで使用する場合はディスプレイの画面サイズが大きくなる傾向がある。しかも、使用する場所も更に多様化しており、例えば屋外での使用も可能になるミラーサイネージが望まれている。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、ハーフミラーやディスプレイ装置等を支持するハウジングを軽量化することで、これまで設置が困難であった様々な場所への設置を容易にする軽量ミラーサイネージの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、ハウジング10内に配置したディスプレイ装置20の映像を、該ディスプレイ装置20の前面に配置したミラーガラス30の表面に表示するように構成されたミラーサイネージにおいて、ハウジング10は発泡スチロールで形成されると共に、該ハウジング10内に埋設された状態で一体化されハウジング10を補強する連結金具11を設け、該ハウジング10と、ディスプレイ装置20の背面に固定する固定金具40とを連結自在に設けたものである。
【0012】
第2の手段において、前記ハウジング10は、粒径幅0.6~1.2mmの原粒子を20~30倍に発砲した発泡スチロールにて形成されると共に、該発泡スチロールで形成された前記ハウジング10の表面に硬化剤を付着して前記ハウジング10の表面を硬化したものである。
【0013】
第3の手段の前記連結金具11は、前記ハウジング10の発泡成形時に前記ハウジング10と一体に設けられ、前記連結金具11の一部又は全体が前記ハウジング10内に埋設されたものである。
【0014】
第4の手段は、前記ハウジング10を形成する縦枠体14と横枠体15とが別々に形成され、これら縦枠体14と横枠体15とを連結して矩形状のハウジング10を構成している。
【0015】
第5の手段は、前記ハウジング10の前面側に係止部12を突設し、該係止部12に前記ミラーガラス30の前面周囲を係止すると共に、ハウジング10内に固定した固定体13にて前記ミラーガラス30の裏面を固定するように構成したものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のように、ハウジング10を合成樹脂材で形成することで、極めて軽量なミラーサイネージを提供することができる。この結果、従来では、ディスプレイ装置20の画面サイズが大きくなるほどミラーサイネージの設置場所が限定されるといった不都合を解消することができる。しかも、合成樹脂材の使用でハウジング10のデザインを極めて容易に変更できるので、例えば額縁状のハウジング10を形成するなど、デザイン性に優れたミラーサイネージを提供することが可能である。
【0017】
また、ハウジング10を補強する連結金具11とディスプレイ装置20の背面に固定した固定金具40とを連結しているので、ハウジング10内にディスプレイ装置20を確実に固定することができる。
【0018】
請求項2のように、ハウジング10は、粒径幅0.6~1.2mmの原粒子を20~30倍に発砲した発泡スチロールにて形成されると共に、ハウジング10の表面にウレタン樹脂製の硬化剤を塗布してハウジング10を硬化しているので、ハウジング10の強度が担保され、ディスプレイ装置20やミラーガラス30を確実に固定することができる。この結果、極めて軽量なミラーサイネージ用のハウジング10を提供することができる。
【0019】
しかも、表面に付着した硬化剤により、ハウジング10表面を硬化しているので、ハウジング10の耐候性や耐水性が高まり、ミラーサイネージを屋外に設置することも可能になる。
【0020】
請求項3のごとく、連結金具11は、ハウジング10の発泡成形時にハウジング10と一体に設けられ、連結金具11の一部又は全体がハウジング10内に埋設されることで、合成樹脂製のハウジング10の支持強度を著しく高めることができる。
【0021】
請求項4のように、ハウジング10を形成する縦枠体14と横枠体15とが別々に形成され、これら縦枠体14と横枠体15とを連結して矩形状のハウジング10を構成しているので、ハウジング10の一体成型に比べて極めて低コストでの提供が可能になり、しかも輸送効率を高める効果もある。
【0022】
請求項5のように、ハウジング10の係止部12にミラーガラス30の前面周囲を係止して固定体13にて固定するので、ハウジング10がミラーガラス30のクッション材としての機能を持ちながらミラーガラス30を安全に固定することができる。この結果、仮に振動の多い駅構内などに設置する場合でも、外部の振動をハウジング10が吸収してミラーガラス30への悪影響を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図5】本発明のハウジングの一実施例を示す背面図である。
【
図6】本発明のハウジングを組立てる前の状態を示す平面図である。
【
図7】本発明の縦枠体と横枠体と連結する一実施例を示す平面図である。
【
図8】(イ)~(ニ)は、本発明の固定金具の配置例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ハウジング10内に配置したディスプレイ装置20の映像を、該ディスプレイ装置20の前面に配したミラーガラス30の表面に表示するように構成したミラーサイネージである(
図1、
図2参照)。
【0025】
本発明では、ディスプレイ装置20の背面に固定する固定金具40と、該固定金具40に連結するハウジング10とでディスプレイ装置20を固定する(
図3参照)。
【0026】
ハウジング10は合成樹脂材で形成されている。すなわち、このハウジング10は、粒径幅0.6~1.2mmの原粒子を20~30倍に発砲した発泡スチロールにて形成されている。このように20~30倍に発砲した発泡スチロールにて形成されたハウジング10は、通常発泡の発泡スチロールに比べて腰が強く、曲げ強度や圧縮強度を高めることができる。
【0027】
そして、この特殊な発砲スチロールで形成したハウジング10の表面に硬化剤を塗布して表面を硬化すると、ハウジング10の圧縮強度を更に高めることができる。したがって、ハウジング10の表面を押しても簡単に凹むようなことがなくなり、ハウジング10としての耐久性を確保できる。また、内部のクッション性でミラーガラス30を保護することができる。尚、発砲スチロールの硬化剤として、主にウレタン樹脂製の硬化剤が使用される。
【0028】
ハウジング10には、更に、連結金具11、係止部12、固定体13が設けられている(
図4参照)。
【0029】
連結金具11はハウジング10を補強すると共に、ハウジング10と固定金具40とを連結する部材である(
図4、
図5参照)。図示の連結金具11は、ハウジング10成形時にハウジング10と一体に設けられている。そして、この連結金具11は、一部又は全体がハウジング10内に埋設された状態でハウジング10と一体化している。
【0030】
図示の連結金具11は、帯状板を断面S字形状に屈曲した連結金具11を示している(
図4参照)。この連結金具11は、ほぼ全体が埋設され、固定金具40に連結する部位のみハウジング10から表出したものである。図示例では、連結金具11の一部に孔11Aを開けた連結金具11を示している(
図4参照)。この孔11Aは、合成樹脂材の成形と共に連結金具11を埋設すると、この孔11Aまで合成樹脂材が充満して連結金具11を強固に保持するものになる。特に、粒径幅0.6~1.2mmの原粒子を20~30倍に発砲した発泡スチロールがこの孔11Aを介して連結金具11を一体化すると、強力なハウジング10が形成される。
【0031】
また、連結金具11の形状は、図示例に限られるものではなく、側面L字形状やI形状などの連結金具11を使用して全体や半分の部位を埋設するなど、任意に変更することができる。更に、ハウジング10に埋設する連結金具11と共に、ハウジング10の表面や連結金具11に重ねる補強金具17を用いることも可能である(
図8(ロ)参照)。
【0032】
係止部12は、ハウジング10の前面側に屈曲形成された部位で、この係止部12の内側にミラーガラス30の前面周囲を当接させるものである(
図4参照)。一方、固定体13は、この係止部12に係止したミラーガラス30の裏面に当接してミラーガラス30をハウジング10内に固定する部材である。
【0033】
この固定体13は、ゴム材の他、金属材など任意の材質を選択することができる。図示例では、この固定体13をハウジング10の内側面に接着した固定体13を示しているが、固定体13の固定手段は任意に変更することができる(
図4参照)。
【0034】
更にハウジング10は、縦枠体14と横枠体15とを組み合わせて構成している。すなわち、これらの縦枠体14及び横枠体15は別々に形成され、これらを連結することで矩形状のハウジング10を構成する(
図6参照)。また、縦枠体14と横枠体15とをサイズ別に夫々形成し、これらを選択して連結することで各種の矩形状のハウジング10を構成することも可能になる。
【0035】
図示例では、縦枠体14と横枠体15とを継手16で連結する。この継手16は、蟻継ぎ形状の凸部16Aと凹部16Bとを形成し、これらを嵌合する構成である(
図7参照)。また、縦枠体14と横枠体15との連結手段は図示例に限られず、他の継手金具等を使用するなど、任意に変更することが可能である。
【0036】
ディスプレイ装置20は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなど、薄型のディスプレイ装置が選択される。そして、このディスプレイ装置20の背面に固定金具40を固定する。図示例では、ディスプレイ装置20側に配置する固定ナット42と固定金具40側に配置する固定ボルト41とをネジ止めして固定している(
図2、
図3参照)。このようなディスプレイ装置20の固定手段は、図示例に限られるものではない。
【0037】
ミラーガラス30は、ミラーサイネージ用のハーフミラーが使用される(
図2参照)。図示例では、裏面に飛散防止用のフィルム31が貼着されたミラーガラス30を使用している(
図4参照)。このようなミラーガラス30を使用することで、仮にミラーガラス30が破損した場合でも破片が飛散しないので使用時の安全性を高めることができる。
【0038】
固定金具40は、ディスプレイ装置20の背面に固定する金具で(
図2参照)、この固定金具40をハウジング10の連結金具11に連結する(
図8参照)。図示例では、矩形状の固定金具40を、ハウジング10の対向する連結金具11に連結している(同図(イ)乃至(ハ)参照)。このとき、同図(ニ)は、変形した固定金具40をハウジング10の各連結金具11に連結している。このように、固定金具40と連結金具11との連結は、用途に合わせて任意に変更することが可能になる。
【0039】
更に、
図8(ロ)は、ハウジング10の連結金具11相互を連結する略L字形状の補強金具17を示している。この補強金具17によって、連結金具11と固定金具40との連結強度を更に高めることも可能である。
【0040】
尚、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に設計変更することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 ハウジング
11 連結金具
11A 孔
12 係止部
13 固定体
14 縦枠体
15 横枠体
16 継手
16A 凸部
16B 凹部
17 補強金具
20 ディスプレイ装置
30 ミラーガラス
31 フィルム
40 固定金具
41 固定ボルト
42 固定ナット