(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】トリ-(アダマンチル)ホスフィンおよびその用途
(51)【国際特許分類】
C07F 9/50 20060101AFI20220127BHJP
C07C 41/30 20060101ALI20220127BHJP
C07C 43/205 20060101ALI20220127BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20220127BHJP
C07C 255/50 20060101ALI20220127BHJP
C07C 201/12 20060101ALI20220127BHJP
C07C 205/12 20060101ALI20220127BHJP
C07C 67/333 20060101ALI20220127BHJP
C07C 69/738 20060101ALI20220127BHJP
C07C 43/225 20060101ALI20220127BHJP
C07C 2/00 20060101ALI20220127BHJP
C07C 15/58 20060101ALI20220127BHJP
C07C 15/02 20060101ALI20220127BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20220127BHJP
C07D 213/30 20060101ALI20220127BHJP
C07D 239/52 20060101ALI20220127BHJP
C07D 251/16 20060101ALI20220127BHJP
C07D 249/20 20060101ALI20220127BHJP
C07D 405/10 20060101ALI20220127BHJP
C07D 215/12 20060101ALI20220127BHJP
C07D 207/325 20060101ALI20220127BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20220127BHJP
C07D 213/16 20060101ALI20220127BHJP
C07D 241/12 20060101ALI20220127BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20220127BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20220127BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20220127BHJP
C07D 261/08 20060101ALI20220127BHJP
C07D 409/04 20060101ALI20220127BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20220127BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
C07F9/50
C07C41/30
C07C43/205 B
C07C253/30
C07C255/50
C07C201/12
C07C205/12
C07C67/333
C07C69/738 Z
C07C43/225 B
C07C2/00
C07C15/58
C07C15/02
B01J31/24 Z
C07D213/30
C07D239/52
C07D251/16 B
C07D249/20 502
C07D405/10
C07D215/12
C07D207/325
C07D413/14
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C07D241/12
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C07D405/04
C07D401/04
C07D261/08
C07D409/04
C07D417/14
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2018543002
(86)(22)【出願日】2016-10-31
(86)【国際出願番号】 US2016059698
(87)【国際公開番号】W WO2017075581
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-10-08
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518148685
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】キャロー、 ブラッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 リーイェ
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-527142(JP,A)
【文献】特表2014-514253(JP,A)
【文献】特開2009-280529(JP,A)
【文献】特開2010-229129(JP,A)
【文献】特開2003-292498(JP,A)
【文献】国際公開第2011/068895(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0054650(US,A1)
【文献】国際公開第2015/026683(WO,A1)
【文献】特開2003-313194(JP,A)
【文献】特表2004-505091(JP,A)
【文献】国際公開第2011/107417(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/147188(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/159229(WO,A1)
【文献】Aranyos, Attila et al..,Novel electron-rich bulky phosphine ligands facilitate thepalladium-catalyzed preparation of diaryl ethers,Journal of the American Chemical Society,1999年,121(18),4369-4378
【文献】Prabagar, Jasotha et al.,Electrophilic routes to tertiary adamantyl and diamantyl phosphonium salts,Synlett,2011年,(16),,2351-2354
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/50
C07C 41/30
C07C 43/205
C07C 253/30
C07C 255/50
C07C 201/12
C07C 205/12
C07C 67/333
C07C 69/738
C07C 43/225
C07C 2/00
C07C 15/58
C07C 15/02
B01J 31/24
C07D 213/30
C07D 239/52
C07D 251/16
C07D 249/20
C07D 405/10
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C07D 207/325
C07D 413/14
C07D 213/16
C07D 241/12
C07D 403/04
C07D 405/04
C07D 401/04
C07D 261/08
C07D 409/04
C07D 417/14
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジ-(アダマンチル)ホスフィン(PAd
2)および置換アダマンチル部分を含む反応混合物を用意すること、ならびに
S
N1経路を介してPAd
2および置換アダマンチル部分を反応させることによりトリ-(アダマンチル)ホスフィン化合物(PAd
3)を得ること
を含み、
ここで、前記置換アダマンチル部分は構造X-Rを有し、Rは、アダマンチル、ジアマンチル、およびトリアマンチルからなる群から選択されるアダマンチル部分(Ad)であり、XはS
N1経路下でのアニオンへの解離のために操作可能な脱離基である、
トリ-(アダマンチル)ホスフィン化合物(PAd
3)を合成する方法。
【請求項2】
前記脱離基が、アセテート、トリフレート、トシレート、およびヒドロキシルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基質と、カップリングパートナーと、トリアダマンチルホスフィン(PAd
3)配位子を含む遷移金属錯体とを含む反応混合物を用意すること;ならびに
前記遷移金属錯体の存在下で基質およびカップリングパートナーを反応させることにより、クロスカップリング反応生成物を得ること
を含む、クロスカップリング方法であって、
前記遷移金属錯体は、下記の式
【化1】
で表され、Xは、F、Cl、Br、I、OAc
、TFA、OTs、OMs、およびOTfからなる群より選択され、ここで、Rは、メチル、アリール、ヘテロアリール、η
3-アリル、η
3-クロチル、η
3-シンナミルおよびη
3-インデニルからなる群より選択され、Mは、周期表のVIII
B族、IB族、またはIIB族から選択される遷移金属であり、
前記基質は、脱離基を含む置換芳香族化合物または脱離基を含む置換不飽和脂肪族化合物であり、前記カップリングパートナーは、有機ホウ素化合物、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、およびグリニャール試薬からなる群より選択される有機金属化合物である、
クロスカップリング方法。
【請求項4】
前記遷移金属錯体のMがパラジウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記置換芳香族化合物がアリールまたはヘテロアリール化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記脱離基が、ハロ、トシレート(OTs)、メシレート(OMs)、およびノシレート(ONs)からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記置換不飽和脂肪族化合物がビニル部分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記置換不飽和脂肪族化合物がアリル部分を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記有機金属化合物が、有機ホウ素化合物、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、およびグリニャール試薬からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記有機金属化合物の有機部分が芳香族部分を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有機金属化合物の有機部分が不飽和脂肪族部分を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記有機金属化合物の有機部分が飽和脂肪族部分を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記遷移金属錯体が、反応混合物中に0.005mol%から0.5mol%未満までの量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記遷移金属錯体が、反応混合物中に0.005mol%から0.1mol%未満までの量で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
アリールが、フェニル、置換フェニル、
【化2】
、
【化3】
、および
【化4】
からなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
前記遷移金属錯体は{2-[(アセチル-κO)アミノ)フェニル-κC](トリ-1-アダマンチルホスフィン)パラジウム}
+(p-トルエンスルホネート)
-である、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に準じて、2015年10月29日に出願された合衆国仮特許出願連続番号第62/248,056号に基づく優先権を主張し、これを本明細書によって参照によりそれの全体で組み込む。
【0002】
本発明は、3つのアダマンチル部分を含むホスフィン化合物(PAd3)、および特に、クロスカップリング触媒作用のためのPAd3配位子が組み込まれた遷移金属錯体に関する。
【背景技術】
【0003】
均質の遷移金属触媒作用を利用する現代の合成有機方法は、金属触媒の活性、選択性および安定性を改変するというホスフィンの能力から大いに利益を受けてきた。推論として、金属触媒の挙動は、ホスフィンなどの配位子を支持するという立体特性および電子特性を調整することによって操作することができる。したがって、現存するリン系補助配位子を使用してアクセスすることができるものを超える立体特性および/または電子特性を有する新規なホスフィン構造の発見が望ましい。有機触媒作用、フラストレイテッドルイスペア(FLP)触媒作用、双直交反応、およびナノ材料へのホスフィンのより新たな用途も、新たなホスフィン特性へのアクセスから利益を得るはずである。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、3つのアダマンチル部分を含むホスフィン化合物(PAd3)および関連合成経路が本明細書に記載されている。各アダマンチル部分は、同じであるかまたは異なっていてよい。例えば、リン原子に付加されている各アダマンチル部分(Ad)は、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタンおよびその誘導体からなる群から独立して選択することができる。そのため、一連のPAd3化合物が企図される。別の態様において、PAd3化合物を合成する方法は、ジ-(アダマンチル)ホスフィン(PAd2)および置換アダマンチル部分を含む反応混合物を用意すること、ならびにSN1経路を介してPAd2および置換アダマンチル部分を反応させることでPAd3を得ることを含む。他の実施形態において、PAd3化合物を合成する方法は、ジ-(アダマンチル)リン化物および置換アダマンチル部分を含む反応混合物を用意すること、ならびにSN1経路を介してジ-(アダマンチル)リン化物および置換アダマンチル部分を反応させることでPAd3を得ることを含む。
【0005】
別の態様において、金属錯体が提供される。金属錯体は、少なくとも1種の遷移金属および該遷移金属に配位している本明細書に記載されている1つまたは複数のPAd3配位子を含む。一部の実施形態において、金属錯体は、式(PAd3)mM(L)nであり、ここで、Mは遷移金属であり、Lは配位子であり、mおよびnは各々1から3の整数である。
【0006】
さらなる態様において、触媒作用の方法は、触媒クロスカップリング反応を含めて、本明細書に記載されている。クロスカップリングの方法は、一部の実施形態において、基質、カップリングパートナー、およびPAd3配位子を含む遷移金属錯体を含む反応混合物を用意すること、ならびに遷移金属錯体またはその誘導体の存在下で基質およびカップリングパートナーを反応させることでクロスカップリング反応生成物を得ることを含む。一部の実施形態において、基質は、置換芳香族化合物または置換不飽和脂肪族化合物から選択することができる。さらに、カップリングパートナーは、以下に限定されないが、有機ホウ素化合物、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、グリニャール試薬、および/または不安定なC-H結合を有する化合物を含めて、様々な種を含むことができる。
【0007】
これらのおよび他の実施形態は、次に続く詳細な記載において、さらに記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1(a)】
図1(a)は、一部の実施形態による様々なPAd
3化合物を例示する図である。
【
図1(b)】
図1(b)は、一部の実施形態による
図1(a)のPAd
3化合物の様々な塩形態を例示する図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載されているPAd
3化合物の一実施形態の合成を例示する図である。
【
図3】
図3は、一部の実施形態によるPAd
3配位子が組み込まれたいくつかの遷移金属錯体を例示する図である。
【
図4】
図4は、一部の実施形態によるPAd
3配位子が組み込まれたいくつかの遷移金属錯体を例示する図である。
【
図5】
図5(a)は、一部の実施形態によるアリール基質の様々なフェノール脱離基を例示する図である。
図5(b)は、一部の実施形態によるアリール基質の様々なチオフェノール脱離基を例示する図である。
【
図6】
図6は、一部の実施形態による本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いるSuzuki-Miyauraカップリングを例示する図である。
【
図7】
図7は、一部の実施形態による反応性C-H結合を有するカップリングパートナー化合物(R’-H)を例示する図である。
【
図8】
図8は、一部の実施形態による本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いるSuzuki-Miyaura重合を例示する図である。
【
図9】
図9は、一部の実施形態による本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いるKumada-Tamao-Corriuカップリングを例示する図である。
【
図10】
図10は、一部の実施形態による本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いるBuchwald-Hartwigアミノ化を例示する図である。
【
図11】
図11は、一部の実施形態による本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いるα-アリール化を例示する図である。
【
図12】
図12は、一部の実施形態による本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いるクロスカップリングを例示する図である。
【
図13】
図13は、本明細書に記載されている遷移金属触媒の一実施形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載されている実施形態は、以下の詳細な記載および実施例ならびにそれらの前および以下の記載を参照することにより、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に記載されている要素、器具および方法は、詳細な記載および実施例に示されている特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることが認識されるべきである。多数の改変および適応は、本発明の趣旨および範疇から逸脱することなく、当業者に容易に明らかである。
【0010】
定義
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、単独でまたは組合せで、1個または複数の置換基で任意選択により置換されている直鎖または分岐の飽和炭化水素基を指す。例えば、アルキルはC1~C30であってよい。
【0011】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、単独でまたは組合せで、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。
【0012】
「アリール」または「アレーン」という用語は、本明細書で使用される場合、単独でまたは組合せで、1個または複数の環置換基で任意選択により置換されている芳香族単環式または多環式環系を指す。
【0013】
「ヘテロアリール」または「ヘテロアレーン」という用語は、本明細書で使用される場合、単独でまたは組合せで、環原子の1個または複数が窒素、酸素および/または硫黄など炭素以外の元素である、芳香族単環式または多環式環系を指す。
【0014】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、単独でまたは組合せで、Rが上記で定義されているアルキル、アルケニルまたはアリールである、部分RO-を指す。
【0015】
「フルオロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子がフッ素原子によって置き換えられている、上記で定義されているアルキル基を指す。
【0016】
I.PAd3化合物
一態様において、3つのアダマンチル部分を含むホスフィン化合物(PAd3)および関連合成経路が本明細書に記載されている。各アダマンチル部分は、同じであるかまたは異なっていてよい。例えば、リン原子に付加されている各アダマンチル部分(Ad)は、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタンおよびその誘導体からなる群から独立して選択することができる。一部の実施形態において、例えば、全てのアダマンチル部分(Ad)は同じであってよい。他の実施形態において、全てのアダマンチル部分(Ad)は異なっていてよい。さらなる実施形態において、2つのアダマンチル部分(Ad)は同じであり得る一方で、第3のアダマンチル部分(Ad)は異なる。したがって、PAd3化合物のアダマンチル部分についての共通の略語Adの使用は、3つのアダマンチル部分間の任意の構造上の類似または差異を付与すると解釈されるべきでない。
【0017】
図1(a)は、本明細書に記載されている一部の実施形態による様々なPAd
3化合物を例示している。
図1に例示されている通り、R
1、R
2およびR
3は、いくつかのアダマンチル部分(Ad)から独立して選択されることで、異なる構造の一連のPAd
3化合物を提供することができる。一部の実施形態において、PAd
3化合物のアダマンチル部分(Ad)は、1つまたは複数の位置で置換されている。アダマンチル部分は、例えば、1個または複数のアシル-、アリール-、アルキル-、アルコキシ-、アルキル-アミン、および/またはアルコールの置換基を含むことができる。PAd
3化合物は、
図1(b)に例示されている通りの塩形態で存在することもできる。
【0018】
PAd3化合物のための合成経路も本明細書に記載されている。一態様において、PAd3化合物を合成する方法は、ジ-(アダマンチル)ホスフィン(PAd2)および置換アダマンチル部分を含む反応混合物を用意すること、ならびにSN1経路を介してPAd2および置換アダマンチル部分を反応させることでPAd3を得ることを含む。PAd2のアダマンチル部分は、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタンおよびその誘導体から独立して選択することができる。同様に、置換アダマンチル部分は、アダマンタン、ジアマンタンまたはトリアマンタンの構成を有することができる。非限定的な一実施形態において、下記の式(I)の構造に例示されているPAd3化合物は、前述の方法に従って合成される。
【0019】
【化1】
ジ-1-アダマンチルホスフィンおよび置換アダマンタンを含む反応混合物が用意される。ジ-1-アダマンチルホスフィンおよび置換アダマンタンは、S
N1経路を介して反応させることで、トリ(1-アダマンチル)ホスフィンを得る。置換アダマンタンは、一部の実施形態において、式(II)
【0020】
【化2】
であり、式中Xは、S
N1経路下でのアニオンへの解離のために操作可能な部分である。一部の実施形態において、例えば、Xは、アセテート、トリフレート、トシレートおよびヒドロキシルからなる群から選択される。
図2は、一実施形態による式(I)のPAd
3化合物の合成のためのS
N1経路の特定の反応条件を提供している。ジアマンタン部分およびトリアマンタン部分は、脱離基で官能化されることで、S
N1経路を介するPAd
2との反応のための置換アダマンタンを得ることもできる。これらのより高度なアダマンタン構造の脱離基は、アセテート、トリフレート、トシレートおよびヒドロキシルからなる群から選択することもできる。
【0021】
他の実施形態において、本明細書に記載されているPAd3化合物を合成する方法は、ジ-(アダマンチル)リン化物および置換アダマンチル部分を含む反応混合物を用意すること、ならびにSN1経路を介してジ-(アダマンチル)リン化物および置換アダマンチル部分を反応させることでPAd3を得ることを含む。適当な置換アダマンチル部分は、上に記載されている通り、脱離基Xを含むことができる。さらに、リン化物の適当な対イオンは、一部の実施形態において、PAd2を脱プロトン化するために使用される塩基のカチオンであり、アルカリイオンMgCl+およびZnBr+を挙げることができる。さらに、アミン共役酸のpKa(H2O)がおよそ10を超える強アミン塩基は、対イオンとして用いることができる。こうした種としては、第3級アンモニウムイオンを挙げることができる。
【0022】
本開示のPAd3化合物は酸化に向かって著しい動態安定性を呈し、それによって、空気下での貯蔵を可能にして酸化を無視できることが、特に注記される。追加として、本明細書に記載されている合成方法は、PAd3化合物を50パーセントまたは60パーセントを超える収率で提供することができる。
【0023】
II.金属錯体
別の態様において、金属錯体が提供される。金属錯体は、少なくとも1種の遷移金属、および該遷移金属に配位している配位子として上記のセクションIに記載されている1種または複数のPAd3化合物を含む。ホスフィン配位子を用いて配位する形で操作可能な任意の遷移金属が使用されることで、本明細書に記載されている金属錯体を得ることができる。一部の実施形態において、遷移金属は、周期表のVIIIB族、IB族、またはIIB族から選択される。本明細書に記載されている周期表の族は、CAS名称に従って識別される。さらに、遷移金属は、以下に限定されないが、パラジウム、ロジウム、銀および金を含めた貴金属であってよい。一部の実施形態において、金属錯体は2種の遷移金属を含み、ここで、PAd3配位子は、遷移金属の1つまたは各々に配位している。遷移金属中心をブリッジする非PAd3配位子は、ハロ、η3-アリル、η3-クロチル、η3-シンナミルおよびη3-インデニルを含むことができる。
【0024】
さらに、該金属錯体は式(PAd
3)
mM(L)
nであってよく、ここで、Mは遷移金属であり、Lは配位子であり、mおよびnは各々1から3の整数である。Lは一般に、PAd
3配位子(単数または複数)によって設定された立体要件を満たす任意の種を含むことができる。一部の実施形態において、例えば、Lは、アルキル、アリール、ハロ、CO、シアノ、ヒドロキシル、アセテート、置換ベンゾエート、トリフルオロアセテート(TFA)、トシレート(OTs)、メシレート(OMs)、トリフレート(OTf)、η
3-アリル、η
3-クロチル、η
3-シンナミルおよびη
3-インデニルからなる群から選択することができる。nが1より大きい実施形態において、配位子の化学的同一性は、同じであるかまたは異なっていてよい。
図3および4は、本明細書に記載されているPAd
3配位子を用いる金属錯体の非限定的な例を例示している。
図3および4に例示されている金属錯体のアダマンチル部分(Ad)は、アダマンタンである。アダマンタン、ジアマンタンおよび/またはトリアマンタン部分の任意の組合せは、金属錯体のPAd
3配位子中に存在し得ることが企図される。
【0025】
III.触媒クロスカップリング
さらなる態様において、触媒作用の方法は、触媒クロスカップリング反応を含めて、本明細書に記載されている。クロスカップリングの方法は、一部の実施形態において、基質、カップリングパートナー、およびPAd3配位子を含む遷移金属錯体を含む反応混合物を用意すること、ならびに遷移金属錯体またはその誘導体の存在下で基質およびカップリングパートナーを反応させることでクロスカップリング反応生成物を得ることを含む。遷移金属錯体は、上文のセクションIIに記載されている任意の組成物および/または特性を有することができる。
【0026】
基質は一般に、置換芳香族化合物または置換不飽和脂肪族化合物から選択することができる。適当な置換芳香族化合物は、単環式および多環式環系、例えば縮合および非縮合多環式環系を含むことができる。置換アリール化合物は、単環式および多環式ヘテロアリール系を含めて、ヘテロアリール種を含むこともできる。多環式ヘテロアリール系は、縮合および非縮合環構造、例えば縮合または非縮合ヘテロアリール環、ならびにアリール環に縮合または非縮合されているヘテロアリール環を含むことができる。反応混合物の置換芳香族化合物は、脱離基を含む。本明細書に記載されているクロスカップリング機構経路を経るように操作可能な任意の脱離基が用いられ得る。脱離基は、一部の実施形態において、ハロ、トシレート(OTs)、メシレート(OMs)、ノシレート(ONs)、N
2
+X
-、N
2NR
1R
2およびNMe
3
+からなる群から選択され、ここで、X
-はハロゲン化物であり、R
1およびR
2はアルキルである。追加の実施形態において、脱離基は、以下に限定されないが、カルバメート、ホスホネート、カーボネート、サルフェート、カルボキシレートおよびスルファメートを含めて、芳香族化合物のフェノール誘導体に基づくことができる。
図5(a)は、一部の実施形態による様々なフェノール誘導体脱離基を例示している。
図5(a)の実施形態におけるR
1およびR
2は、アルキルまたは他の適当な脂肪族もしくは置換脂肪族基であってよい。
図5(b)はチオフェノール誘導体脱離基を例示しており、ここでRは、アルキルまたは他の適当な脂肪族基または置換脂肪族基であってよい。
【0027】
芳香族基質は、脱離基に加えて1個または複数の環置換基を含むこともできる。
図6および下記の実施例の非限定的な実施形態に例示されている通り、芳香族基質は、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アシル、ニトロ、ニトリル、ヒドロキシルおよびアミドからなる群から選択される1個または複数の環置換基を含むことができる。
【0028】
本明細書に記載されているクロスカップリング反応の基質は、置換不飽和脂肪族化合物も含む。置換不飽和脂肪族化合物は、ビニルまたはアリル化合物など単一の不飽和点を呈することができる。他の実施形態において、置換不飽和脂肪族化合物は、1つ超の不飽和点を有することができる。芳香族基質の場合と同様に、置換脂肪族の化合物は脱離基を含む。例えば、置換不飽和脂肪族化合物は、置換芳香族化合物について上に記載されている脱離基のいずれかを含むことができる。一部の実施形態において、脱離基をアリルまたはビニル部分に付加することで置換不飽和脂肪族基質が得られる。こうした実施形態において、ビニル基またはアリル基は、アルキルおよび/またはアシル置換基を含めて、脱離基に加えて1個または複数の置換基を含むことができる。
【0029】
反応混合物のカップリングパートナーは、以下に限定されないが、有機ホウ素化合物、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物およびグリニャール試薬を含めて、様々な種を含むことができる。これらの有機金属化合物の有機部分は、芳香族部分および脂肪族部分を含むことができる。適当なアリール部分は、単環式および多環式環系、例えば縮合および非縮合多環式環系を含むことができる。アリール部分は、単環式および多環式ヘテロアリール系を含めて、ヘテロアリール種を含むこともできる。多環式ヘテロアリール系は、縮合および非縮合環構造、例えば縮合または非縮合ヘテロアリール環、ならびにアリール環に縮合または非縮合されているヘテロアリール環を含むことができる。一部の実施形態において、芳香族部分は、アルキル、シクロアルキル、フルオロアルキルおよびハロからなる群から選択される1個または複数の環置換基を含む。
【0030】
有機金属カップリングパートナーの適当な脂肪族部分は、ビニル基またはアリル基などの不飽和部分、ならびに飽和部分を含む。一部の実施形態において、例えば、不飽和炭素は、有機金属化合物の金属またはメタロイドにカップリングされる。他の実施形態において、飽和脂肪族部分の分岐点炭素は、有機金属化合物の金属またはメタロイドにカップリングされる。代替として、飽和脂肪族部分の非分岐点炭素は、有機金属化合物の金属またはメタロイドにカップリングすることができる。
【0031】
さらなる実施形態において、カップリングパートナーは、不安定なC-H結合を有する化合物を含む。反応性C-H結合を有する化合物は、一部の実施形態において、アミン、ホスフィン、ホスホネート、脂肪族カルボン酸およびエステル、脂肪族ジカルボン酸およびエステル、ケトン、ニトリル、ニトロアルカン、不飽和脂肪族化合物、ならびに芳香族化合物を含み、アリールおよびヘテロアリール化合物を含める。ヘテロアレーンは、1個または2個の電気陰性原子が不安定なC-H結合に隣接する場合、殊に反応性であり得る。
図7は、反応性C-H結合を含むカップリングパートナー化合物の様々な非限定的実施形態を例示している。
【0032】
有機ホウ素カップリングパートナーを用いる場合、本明細書に記載されているクロスカップリング反応は、Suzuki-MiyauraカップリングまたはSuzuki-Miyaura重縮合を介して進むことができる。
図6は、触媒として本明細書に記載されている遷移金属錯体を用いる多数のSuzuki-Miyauraカップリングを例示している。
図6に例示されているクロスカップリングは、下記の実施例においてさらに詳細に考察されている。表Iは、本明細書に記載されている遷移金属触媒を用いる追加の触媒スキームおよび関連図を列挙している。
【0033】
【表1】
遷移金属錯体は、本発明の目的と矛盾していない任意の量で反応混合物中に存在することができる。一般に、遷移金属錯体は、0.005~5mol%の量で存在することができる。遷移金属錯体は、表IIから選択される量で反応混合物中に存在することもできる。
【0034】
【表2】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている遷移金属錯体は、反応混合物への添加の前に形成される。代替として、PAd
3配位子および遷移金属錯体前駆体は、触媒遷移金属錯体またはその誘導体のその場形成のために反応混合物に添加される。
図9および12は、例えば、基質およびカップリングパートナーの触媒クロスカップリングのための、反応混合物へのPAd
3配位子および遷移金属錯体前駆体の添加を例示している。
【0035】
本明細書に記載されているクロスカップリング方法は、50パーセントより大きい生成物収率を呈することができる。一部の実施形態において、生成物収率は、60~99パーセントの範囲である。本明細書に記載されているクロスカップリング方法は、表IIIから選択される生成物収率を呈することもできる。
【0036】
【表3】
さらに、本明細書に記載されている遷移金属錯体は、高いターンオーバー数(TON)および高いターンオーバー頻度(TOF)を呈することができる。例えば、遷移金属錯体は、一部の実施形態において、少なくとも1.5×10
4のTONおよび少なくとも1×10
5h
-1のTOFを示す。
【0037】
これらのおよび他の実施形態は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
【0038】
一般的方法
全ての反応は、別段に注記されていない限り、乾燥窒素充填グローブボックスの内部でまたは標準的シュレンク技法を使用して行った。溶媒をAldrichまたはFisherから購入し、溶媒精製系中でパーコレーションによって中性アルミナを介して窒素の陽圧下にて精製した。全ての化学的試薬は、別段に注記されていない限り、Aldrich、Combi-BlocksおよびTCIから受け取ったままのものを使用した。Fisherから購入した三塩基性リン酸カリウム顆粒状粉末は、65℃で10時間の間真空オーブン内で乾燥させた後、質量損失測定に従って約Κ3ΡO4・5H2Oであると名目上決定されたが、これは恐らく、既知の水和物Κ3ΡO4・3H2OおよびΚ3ΡO4・7H2Oの添加混合物である。三塩基性リン酸カリウム一水和物をAldrichから購入し、使用の前に乳鉢および乳棒で粉砕した。水酸化カリウムをEMD Milliporeから購入し、使用の前に乳鉢および乳棒で粉砕した。ビス-{2-[(アセチル-κO)アミノ]フェニル-κC}ビス[μ-(p-トルエンスルホネート)]ジパラジウムを文献手順に従って調製した。
【0039】
全ての生成物をTeledyne IscoRediSep(登録商標)前包装シリカゲルカラム上の強制フロークロマトグラフィー(forced-flow chromatography)で精製する。赤外スペクトル(FT-IR)をRh(acac)(CO)(L)錯体についてThermo Nicolet分光計上のジクロロメタン溶液中で得た。1H、13C{1H}、31P{1H}核磁気共鳴スペクトル(NMR)を、Bruker 300MHzまたは500MHz分光計上で得て、値を、残留のCHCl3、CHDCl2などを基準としたppm(δ)で報告した。スピン-スピンカップリング定数をシングレット(s)、ダブレット(d)、トリプレット(t)、カルテット(q)、クインテット(quint)、ブロード(br)またはマルチプレット(m)として、Hzでのカップリング定数(J)とともに記載する。Agilent 6210 High ResolutionエレクトロスプレーTOF-MSを使用して、高分解能質量分光分析法(HR-MS)データを得た。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
トリ(1-アダマンチル)ホスフィンの調製
磁気撹拌子が備えられているオーブン乾燥100ml丸底フラスコに、ジ-1-アダマンチルホスフィン(2.35g、7.77mmol、1.0当量)および1-アダマンチルアセテート(1.66g、8.54mmol、1.1当量)を、グローブボックス内で投入した。ジクロロメタン(40ml)を添加することで固体全体を溶解した。フラスコにラバーセプタムで蓋をし、グローブボックスから取り出した。Me3SiOTf(1.69ml、9.32mmol、1.2当量)をシリンジによって添加し、反応混合物を室温で24時間の間撹拌した。トリエチルアミン(5.4ml、39mmol、5.0当量)を次いで添加し、反応物を追加の0.5時間の間室温で撹拌した。中和したPAd3は引き続いて溶液から沈殿し、使い捨てフィルター漏斗上での単純な濾過によって単離し、続いてエタノール(50ml)で濯いだ。0.5時間の間の吸引後、2.2g(63%)の1が純白の粉末として得られた。PAd3の溶液は空気下で酸化しやすいが、固体状態における材料は、ベンチトップ上で少なくとも3カ月の間実質的な分解なく貯蔵することができる。塩素系溶媒(ジクロロメタン、クロロホルム)中でのゆっくりとした分解が不活性雰囲気下でさえ観察されたが、化合物は、THF、ベンゼンおよびトルエンの溶液中にてN2下で安定して見えたことを注記する。
1H NMR (501 MHz, CD2C12) δ 2.13 (br, 18H), 1.84 (br, 9H), 1.74 - 1.58 (m, 18H).
13C NMR (126 MHz, CD2C12) δ 42.68 (br), 41.10 (d, J= 34.3 Hz), 37.0, 29.5 (d, J= 7.2 Hz).
31P NMR (121 MHz, C6D6) δ 59.35.
HRMS (ESI) m/z C30H46PO (M+l7);理論値 453.3286, 測定値453.3289。
【0041】
[実施例2]
Rh(acac)(CO)(PAd3)の調製
PAd3(22mg、50μmmol、1当量)およびRh(acac)(CO)2(12.9mg、50μmmol、1当量)をTHF(2mL)中に、グローブボックスの内部で溶解させ、12時間の間撹拌した。溶媒の蒸発、ならびにフラッシュクロマトグラフィー(90%ヘキサン、10%酢酸エチル)および結果として得られた固体を真空下で乾燥させることによる残渣の精製の後、10.5mg(32%)の金属錯体を黄色の粉末として得た。
1H NMR (300 MHz, CDC13) δ 5.52 (s, 1H), 2.62 (br, 18H), 2.08 (s, 3H), 2.08 - 1.98 (br, 9H), 1.94 (s, 3H), 1.90 - 1.62 (m, 18H).
13C{1H} NMR (126 MHz, CDC13) δ 192.9 (dd, J= 76.8, 19.3 Hz), 188.1, 184.0, 100.9 (d, J= 2.5 Hz), 48.2 (d, J= 7.3 Hz), 42.3 (br) , 36.8 (br), 29.6 (d, J= 7.6 Hz), 27.7 (d, J= 4.6 Hz), 27.1.
31P{1H} NMR (121 MHz, CDC13) δ 90.6 (d, J = 174.6 Hz)。
【0042】
[実施例3]
触媒{2-[(アセチル-κO)アミノ)フェニル-κC](トリ-1-アダマンチルホスフィン)パラジウム}
+(p-トルエンスルホネート)
-の調製
トリ(1-アダマンチル)ホスフィン(44mg、0.1mmol、1当量)およびビス-{2-[(アセチル-κO)アミノ]フェニル-κC}ビス[μ-(4-メチルベンゼンスルホネート)]ジパラジウム(41mg、0.05mmol、0.5当量)を、磁気撹拌子付の20mlシンチレーションバイアル中に秤量し、グローブボックスに入れた。THF(4ml)を固体に添加した。反応混合物を室温で20分間撹拌し、次いで約1mlに濃縮し、ジエチルエーテル(15ml)で希釈した。結果として得られた形成固体を濾過によって単離し、次いで真空下で乾燥させることで、75mg(88%)の触媒が黄色の粉末として得られた。触媒構造を
図13に例示する。単結晶X線回折に適当な結晶をTHF溶液から室温で成長させた。
1H NMR (501 MHz, CD
2C1
2) δ 12.32 (s, 1H), 7.80 (d, J= 7.8 Hz, 2H), 7.52 - 7.41 (m, 2H), 2.35 - 2.31 (m, 1H), 7.18 (m, 3H), 6.89 - 6.82 (m, 1H), 2.49 (s, 3H), 2.45 (br, 18H), 2.40 (s, 3H), 2.11 (br, 9H), 1.84 (br, 18H).
31P NMR (203 MHz, CD
2C1
2) δ 47.24.
13C NMR (126 MHz, CD
2C1
2) δ 169.73 (d, J= 2.3 Hz), 144.09, 142.19 (d, J= 10.0 Hz), 139.32, 132.65 (d, J= 1.6 Hz), 128.53, 127.43, 125.84, 123.40 (d, J= 5.6 Hz), 120.77, 117.77 (d, J= 6.6 Hz), 48.36 (d, J= 6.2 Hz), 41.56, 36.08, 29.04 (d, J= 7.7 Hz), 21.04 (d, J= 3.5 Hz), 20.99。
【0043】
[実施例4]
Pd(PAd3)(Ph)(κ2-OAc)の調製
Grushinのプロトコール6に従って調製されたPd(py)2(Ph)(I)(28mg、0.060mmol、1当量)、および酢酸銀(10mg、0.060mmol、1当量)をトルエン(0.5mL)中で撹拌した。1.5時間後、セライトプラグを介して混合物を濾過し、1mLに濃縮した。PAd3(20mg、0.046mmol、1当量)を次いで溶液に添加し、10分間撹拌した。結果として得られた混合物を蒸発させ、トルエン(0.5mL)中に再溶解させ、エーテル(10mL)で希釈した。超音波処理後、結果として得られた固体を濾過によって回収し、0.5時間の間吸引して、23mg(57%)の金属錯体が黄色の粉末として得られた。
1H NMR (501 MHz, CD2C12) δ 7.30 (d, J= 7.9 Hz, 2H), 6.82 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 6.77 (t, J= 7.1 Hz, 1H), 2.42 (br, 18H), 1.86 (br, 9H), 1.79 (s, 3H), 1.72 - 1.52 (m, 18H).
13C{1H} NMR (126 MHz, CD2C12) δ 186.9, 141.0, 135.8 (d, J= 3.0 Hz), 126.9, 123.5, 49.1 (d, J = 6.8 Hz), 42.3, 36.4, 29.4 (d, J= 7.9 Hz), 23.6.
31P{1H} NMR (203 MHz, CD2C12) δ 68.2.
HRMS (ESI) m/z Pd(PAd3)(Ph)(MeCN) カチオン C38H53NPPd;理論値 660.2950, 測定値 660.2944。
【0044】
[実施例5]
SePAd3の調製
PAd3(11mg、25μmol、1当量)およびセレニウム(9mg、95μmol、3.8当量)をTHF(2mL)中に、グローブボックスの内部で溶解させ、1時間の間撹拌した。デカンテーションによる過剰のセレニウムの除去後、母液を真空下で蒸発させることで、13mg(99%)のSePAd3が白色の粉末として得られた。
1H NMR (501 MHz, CDC13) δ 2.41 (br, 18H), 1.97 (br, 9H), 1.79-1.33 (m, 18H).
13C{1H} NMR (126 MHz, CDC13) δ 48.15 (d, J= 19.6 Hz), 40.14 (br), 36.53 (br), 29.17 (d, J=8.5 Hz).
31P{1H} NMR (203 MHz, CDC13) δ 79.69 (s, 1JP-Se= 669.9 Hz)。
【0045】
[実施例6~44]
Suzuki-Miyauraカップリングおよび生成物の特徴付け
PAd
3金属触媒を用いるSuzuki-Miyauraを介して、以下の生成物を調製した。下記の手順に記載されている通り、PAd
3金属触媒を、ビス-{2-[(アセチル-κO)アミノ]フェニル-κC}ビス[μ-(p-トルエンスルホネート)]ジパラジウム(3)およびPAd
3配位子のTHFストック溶液の添加によってその場で発生させた。その場で形成された触媒を、実施例3に記載および特徴付し、
図13に例示する。
【0046】
【化3】
4-クロロアニソール(62μl、0.50mmol、1当量)、1-ナフチルボロン酸(94mg、0.55mmol、1.1当量)、およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(800μL)、3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加し、混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、104mgの6(89%)を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0047】
【化4】
2-クロロベンゾニトリル(69mg、0.50mmol、1当量)、4-トリルボロン酸(75mg、0.55mmol、1.1当量)、THF(100μL)の混合物をスラリーに撹拌し、Κ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(10μL、0.025μmolのPd/PAd
3)を添加した。反応バイアルに蓋をし、次いでグローブボックスの外側に出し、10分間100℃であらかじめ設定された油浴に入れた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、92mg(95%)の7を無色の結晶性固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0048】
【化5】
1-クロロ-2-ニトロベンゼン(79mg、0.50mmol、1当量)、4-クロロフェニルボロン酸(80mg、0.51mmol、1.02当量)およびTHF(100μL)の混合物をスラリー中に撹拌した。次いで、Κ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)を添加し、その後、3およびPAd
3のTHFストック溶液(THF中10μL、0.025μmolのPd/PAd
3)が続いた。反応バイアルに蓋をし、次いでグローブボックスの外側に出し、10分間100℃であらかじめ設定された油浴に入れた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、114mg(97%)の8を薄黄色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0049】
【化6】
2-クロロピリジン(47μL、0.50mmol、1当量)、(4-イソブトキシフェニル)ボロン酸(107mg、0.55mmol、1.1当量)、およびn-ブタノール(200μL)の混合物をスラリーに撹拌した。次いで、Κ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)を添加し、その後、3およびPAd
3のTHFストック溶液(10μL、0.025μmolのPd/PAd
3)が続いた。反応バイアルに蓋をし、次いで、グローブボックスの外側に出し、1時間の間100℃であらかじめ設定された油浴に入れた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、84mg(74%)の9を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.67 (ddd, J= 4.9, 1.8, 1.0 Hz, 1H), 8.00 - 7.92 (m, 2H), 7.77 -7.66 (m, 2H), 7.19 (ddd, J= 7.2, 4.9, 1.4 Hz, 1H), 7.05 - 6.98 (m, 2H), 3.80 (d, J= 6.5 Hz, 2H), 2.14 (dp, J= 13.3, 6.7 Hz, 1H), 1.07 (d, J= 6.7 Hz, 6H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDCl
3) δ 160.2, 157.2, 149.5, 136.6, 131.8, 128.1, 121.3, 119.8, 114.7, 74.5, 28.3, 19.3.
HRMS (ESI) m/z C
15H
17NO (M+l);理論値 228.1383, 測定値228.1392。
【0050】
【化7】
2-クロロ-4,6-ジメトキシピリミジン(87mg、0.50mmol、1当量)、2-ナフチルボロン酸(95mg、0.55mmol、1.1当量)、THF(150μL)の混合物を、スラリーに撹拌した。次いで、K
3PO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)を添加し、その後、3およびPAd
3のTHFストック溶液(10μL、0.025μmolのPd/PAd
3)が続いた。反応バイアルに蓋をし、次いで、グローブボックスの外側に出し、5時間の間100℃であらかじめ設定された油浴に入れた。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、106mg(80%)の10を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.99 - 8.92 (m, 1H), 8.22 (ddt, J= 7.0, 2.7, 1.4 Hz, 1H), 7.97 (ddt, J= 23.5, 8.1, 1.4 Hz, 2H), 7.64 - 7.51 (m, 3H), 6.14 - 6.09 (m, 1H), 4.11 - 4.06 (m, 6H).
13C{
1H}{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 171.3, 165.7, 135.5, 134.2, 131.1 , 130.6, 129.4, 128.5, 126.5, 126.3, 125.7, 125.1, 88.0, 54.2.
HRMS (ESI) m/z C
16H
14N
20
2(M+l);理論値 267.1128, 測定値 267.1123。
【0051】
【化8】
2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(88mg、0.50mmol、1当量)、2,6-ジフルオロフェニルボロン酸(118mg、0.75mmol、1.5当量)およびK
2CO
3・1.5H
2O(0.25g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(300μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(THF中200μL、0.5μmol)を添加し、混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、118mg(93%)の11を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 7.39 (tt, J= 8.4, 6.2 Hz, 1H), 7.02 - 6.93 (m, 2H), 4.07 (s, 6H).
13C{
1H}{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 172.5, 170.6 (t, J= 1.6 Hz), 160.6 (dd, J= 255.1, 6.0 Hz), 131.9 (t, J= 11.3 Hz), 115.4 (t, J= 16.4 Hz), 111.9 (dd, J= 20.2, 5.0 Hz), 55.5.
HRMS (ESI) m/z C
11H
9F
2N
30
2(M+l);理論値 254.0736, 測定値 254.0722。
【0052】
【化9】
2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾル-2-イル)フェノール(179mg、0.50mmol、1当量)、4-トリフルオロメチルフェニルボロン酸(114mg、0.60mmol、1.2当量)、K
3ΡO
4・5H
2O(0.36g、1.2mmol、2.4当量)およびKO
tBu(56mg、0.50mmol、1当量)の混合物に、3およびPAd
3のTHFストック溶液(THF中2mL、5μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を70℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、224mg(96%)の12を白色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDC1
3) δ 11.63 (s, 1 H), 8.22 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 8.01 (t, J= 1.2 Hz, 1H), 7.91 (dd, J = 8.9, 0.9 Hz, 1H), 7.71 - 7.58 (m, 5H), 7.37 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 1.44 (s, 9H), 1.32 (s, 9H).
13C{
1H}{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 145.7, 143.0, 142.0, 141.3, 140.7, 138.1, 137.6, 128.8 (q, J = 32.6 Hz), 126.7, 126.7, 125.0 (q, J = 3.7 Hz), 124.4, 124.1, 123.1 (q, J = 272.2 Hz), 117.1, 115.1, 114.6, 34.7, 33.6, 30.5, 28.5.
HRMS (ESI) m/z C
27H
28F
3N
30 (M+l);理論値 468.2257, 測定値468.2257。
【0053】
【化10】
ハロペリドール(94mg、0.25mmol、1当量)、フラン-3-イルボロン酸(42mg、0.38mmol、1.5当量)、内部標準としての1,3,5-トリメトキシベンゼン(42mg、0.25mmol、1当量)、およびΚ
3ΡO
4H
2O(0.17g、0.75mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)ならびに3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加し、混合物を100℃で12時間の間撹拌した。13のNMR収率は、内部標準に対して80%と決定された。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーおよび分取HPLCによって精製した。乾燥させた後、56mg(55%)の13を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.09 - 8.01 (m, 2H), 7.75 (t, J= 1.2 Hz, 1H), 7.49 (d, J= 3.5 Hz, 5H), 7.21 - 7.12 (m, 2H), 6.72 (dd, J = 1.8, 0.9 Hz, 1H), 3.02 (t, J= 7.1 Hz, 2H), 2.83 (d, J = 11.2 Hz, 2H), 2.56 - 2.44 (m, 4H), 2.04 (td, J= 16.6, 14.3, 9.7 Hz, 4H), 1.79 - 1.72 (m, 2H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 198.4, 165.6 (d, J = 254.3 Hz), 143.7, 138.5, 131.2, 130.7, 130.7, 126.0, 125.8, 125.0, 115.7, 115.5, 108.8, 71.3, 57.9, 49.4, 38.4, 36.3, 22.0.
HRMS (ESI) m/z C
25H
27FN0
3(M+l);理論値 408.1969, 測定値408.1960。
【0054】
【化11】
モンテルカストナトリウム塩(152mg、0.25mmol、1当量)、3,4,5-トリフルオロフェニルボロン酸(53mg、0.30mmol、1.2当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.18g、0.60mmol、2.4当量)の混合物に、THF(2mL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(1mL、2.5μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで飽和塩化アンモニウム次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、152mg(89%)の14を黄色の固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDC1
3) δ 8.18 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 8.10 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.82 (d, J= 8.4 Hz, 1H), 7.74 (d, J= 1.9 Hz, 1H), 7.67 (d, J= 8.6 Hz, 1H), 7.62 (dd, J= 5.0, 1.8 Hz, 1H), 7.59 (d, J= 17.1 Hz, 1H), 7.48 (d, J= 17.1 Hz, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.37 - 7.28 (m, 5H), 7.18 - 7.13 (m, 2H), 7.10 (ddd, J =7.6, 5.8, 3.0 Hz, 1H), 5.29 (s, 1H), 4.01 (t, J=7.2 Hz, 1H), 3.17 (ddd, J= 13.5, 11.2, 5.1 Hz, 1H), 2.90 (ddd, J= 13.5, 11.2, 5.4 Hz, 1H), 2.65 (d, J= 13.1 Hz, 1H), 2.57 (d, J= 16.2 Hz, 1H), 2.45 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 2.38 (d, J= 16.1 Hz, 1H), 2.28 -2.09 (m, 2H), 1.60 (d, J= 4.9 Hz, 6H), 0.71 - 0.24 (m, 4H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 176.3, 156.9, 151.5 (ddd, J= 249.9, 10.0, 4.2 Hz), 147.7, 145.2, 143.6, 140.2, 139.7 (dt, J= 253.3, 15.4 Hz), 139.4, 136.5, 136.4, 136.3 (m), 135.4, 131.5, 129.0, 128.6, 128.5, 128.4, 127.1, 126.9, 126.5, 126.5, 126.4, 125.6, 125.4, 125.0, 119.4, 111.4 (dd, J= 12.6, 5.0 Hz), 73.8, 50.3, 40.3, 40.0, 38.9, 32.3, 31.8, 16.8, 12.7, 12.4.
HRMS (ESI) m/z C
41H
38F
3N0
3S (M+l);理論値 682.2597, 測定値682.2598。
【0055】
【化12】
フェノフィブラート(90mg、0.25mmol、1当量)、シクロプロピルボロン酸(32mg、0.38mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.18g、0.75mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(50μL、0.125μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、84mg(92%)の15を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 7.80 - 7.72 (m, 2H), 7.72 - 7.66 (m, 2H), 7.19 - 7.12 (m, 2H), 6.91-6.84 (m, 2H), 5.11 (hept, J= 6.3 Hz, 1H), 1.99 (tt, J= 8.4, 5.0 Hz, 1H), 1.68 (s, 6H), 1.23 (d, J= 6.3 Hz, 6H), 1.13 - 1.05 (m, 2H), 0.85 - 0.78 (m, 2H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 195.2, 173.2, 159.3, 149.2, 135.2, 131.9, 131.0, 130.1, 125.2, 117.1, 79.3, 69.3, 25.4, 21.5, 15.7, 10.3.
HRMS (ESI) m/z C
23H
260
4(M+l);理論値 367.1904, 測定値 367.1888。
【0056】
【化13】
グリベンクラミド(247mg、0.50mmol、1当量)、N-Boc-ピロールボロン酸(127mg、0.60mmol、1.2当量)、内部標準としての1,3,5-トリメトキシベンゼン(84mg、0.50mmol、1当量)、およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.36g、1.2mmol、2.4当量)の混合物に、3およびPAd
3のTHFストック溶液(THF中2mL、5μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。粗NMR収率は内部標準と対比して65%であった。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーおよび分取HPLCによって精製した。乾燥させた後、116mg(37%)の16を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.13 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 7.83 (t, J= 5.8 Hz, 1H), 7.78 (d, J= 8.3 Hz, 2H), 7.43 - 7.31 (m, 3H), 7.26 (dd, J= 3.3, 1.8 Hz, 1H), 6.86 (d, J= 8.5 Hz, 1H), 6.37 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 6.14 (t, J = 3.3 Hz, 1H), 6.11 (dd, J = 3.3, 1.8 Hz, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.69 (q, J= 6.6 Hz, 2H), 3.56 - 3.47 (m, 1H), 2.96 (t, J= 6.9 Hz, 2H), 1.80-1.72 (m, 2H), 1.64-1.46 (m, 4H), 1.34 (s, 9H), 1.30 - 1.03 (m, 4H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 165.2, 156.6, 150.1, 149.2, 146.3, 137.7, 133.8, 133.6, 133.0, 129.9, 127.7, 127.2, 122.6, 120.3, 114.7, 110.6, 110.6, 83.7, 56.0, 49.2, 40.5, 35.7, 33.0, 27.8, 25.4, 24.6.
HRMS (ESI) m/z C
32H
40N
40
7S (M+l);理論値 625.2691, 測定値625.2700。
【0057】
【化14】
5-R-リバロキサバン(55mg、0.13mmol、1当量)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(35mg、0.14mmol、1.1当量)、内部標準としての1,3,5-トリメトキシベンゼン(21mg、0.13mmol、1当量)、およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(82mg、0.28mmol、2.2当量)の混合物に、3およびPAd
3のTHFストック溶液(2.5mL、6.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。粗NMR収率は内部標準と対比して83%であった。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーおよび分取HPLCによって精製した。乾燥させた後、43mg(56%)の17を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 7.94 (s, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.55 - 7.45 (m, 3H), 7.33 (d, J= 3.9 Hz, 1H), 7.30 - 7.23 (m, 2H), 6.90 (s, 1H), 4.82 (dd, J= 6.0, 3.0 Hz, 1H), 4.26 (s, 2H), 4.04 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 3.99 - 3.93 (m, 2H), 3.88 - 3.77 (m, 2H), 3.76 - 3.63 (m, 3H).
C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 166.9, 162.1, 154.4, 145.6, 139.0, 137.4, 136.6, 135.5, 132.3 (q, J= 34.0 Hz), 127.6 (q, J= 476.3 Hz), 126.3, 126.0, 124.1, 121.9, 119.2, 71.9, 68.6, 64.1, 49.7, 47.7, 42.4.
HRMS (ESI) m/z C
27H
21F
6N
30
5S (M+l);理論値 614.1179, 測定値614.1196。
【0058】
【化15】
4-クロロアニソール(62μL、0.50mmol、1当量)、フェニルボロン酸(67mg、0.55mmol、1.1当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(800μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、75mg(81%)の18を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0059】
【化16】
4-クロロアニソール(62μL、0.50mmol、1当量)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(142mg、0.55mmol、1.1当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、146mg(91%)の19を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0060】
【化17】
2-クロロ-1,3-ジメチルベンゼン(66μL、0.50mmol、1当量)、1-ナフチルボロン酸(129mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、93mg(80%)の20を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0061】
【化18】
2-クロロトルエン(59μL、0.50mmol、1当量)、2,6-ジメトキシフェニルボロン酸(136mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3の触媒ストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を50℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、79mg(70%)の21を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0062】
【化19】
2-クロロトルエン(59μL、0.50mmol、1当量)、2,6-ジメチルフェニルボロン酸(112mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で9時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、69mg(70%)の22を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0063】
【化20】
1-ブロモ-2,4-ジメトキシベンゼン(72μL、0.50mmol、1当量)、シクロプロピルボロン酸(64mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35mg、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加し、混合物を100℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、80mg(90%)の23を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0064】
【化21】
3-クロロピリジン(48μL、0.50mmol、1当量)、1-ナフチルボロン酸(95mg、0.55mmol、1.1当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmol)を添加した。混合物を90℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、70mg(68%)の24を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0065】
【化22】
3-クロロピリジン(48μL、0.50mmol、1当量)、4-トリルボロン酸(75mg、0.55mmol、1.1当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を90℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、53mg(63%)の25を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0066】
【化23】
3-クロロピリジン(48μL、0.50mmol、1当量)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(142mg、0.55mmol、1.1当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35mg、1.5mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を90℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、143mg(98%)の26を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0067】
【化24】
3-クロロピリジン(48μL、0.50mmol、1当量)、(4-イソブトキシフェニル)ボロン酸(107mg、0.55mmol、1.1当量)、およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で12時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、96mg(84%)の27を無色の油として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.85 - 8.80 (m, 1H), 8.57 - 8.51 (m, 1H), 7.80 (dt, J = 8.2, 1.9 Hz, 1H), 7.53 - 7.46 (m, 2H), 7.31 (dd, J = 7.9, 5 Hz, 1H), 7.04 - 6.97 (m, 2H), 3.76 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 2.11 (dq, J= 13.3, 6.7 Hz, 1H), 1.05 (d, J= 6.9 Hz, 6H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDCl
3) δ 159.5, 148.0, 147.8, 136.3, 133.8, 129.9, 128.1, 123.5, 115.1, 74.5, 28.3, 19.3.
HRMS (ESI) m/z C
15H
17NO (M+l);理論値 228.1383, 測定値228.1377。
【0068】
【化25】
2,6-ジクロロピラジン(37mg、0.25mmol、1当量)、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(142mg、0.55mmol、2.2当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、4.4当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を70℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、110mg(87%)の28を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 9.20 (s, 2H), 8.62 - 8.58 (m, 4H), 8.07 (s, 2H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 149.2, 141.5, 137.9, 132.8 (q, J = 33.7 Hz), 127.1, 123.9, 123.1 (q, J= 273.4 Hz).
HRMS (ESI) m/z C
20H
8F
12N
2(M+l);理論値 505.0569, 測定値505.0563。
【0069】
【化26】
2-クロロトルエン(59μL、0.50mmol、1当量)、N-Boc-2-ピロールボロン酸(158mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、124mg(96%)の29を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0070】
【化27】
2-クロロ-3-メチルキノキサリン(89mg、0.50mmol、1当量)、N-Boc-2-ピロールボロン酸(158mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を70℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、148mg(96%)の30を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.09 - 7.98 (m, 2H), 7.74 - 7.63 (m, 2H), 7.43 (dd, J = 3.4, 1.7 Hz, 1H), 6.44 (dd, J= 3.3, 1.7 Hz, 1H), 6.33 (t, J= 3.4 Hz, 1H), 2.56 (s, 3H), 1.17 (s, 9H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 154.5, 149.6, 148.6, 141.2, 140.3, 130.7, 129.8, 129.1, 129.0, 128.3, 122.5, 115.6, 111.4, 84.2, 27.4, 23.0.
HRMS (ESI) m/z C
18H
19N
30
2(M+l);理論値 310.1550, 測定値310.1552。
【0071】
【化28】
2-クロロピラジン(44μL、0.50mmol、1当量)、3,4,5-トリフルオロフェニル-ボロン酸(132mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を70℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、77mg(73%)の31を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.98 (d, J= 1.6 Hz, 1H), 8.66 - 8.62 (m, 1H), 8.57 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.75 - 7.65 (m, 2H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 151.7 (ddd, J = 250.7, 10.2, 4.0 Hz), 149.4 (dt, J = 1.3, 2.5 Hz), 144.3, 144.0, 141.6, 140.9 (dt, J= 255.8, 15.4 Hz), 132.3 (dt, J= 5.0, 7.6 Hz ), 111.0 (dd, J= 17.1, 5.5 Hz).
HRMS (ESI) m/z C
10H
5F
3N
2(M+l);理論値 211.0478, 測定値211.0471。
【0072】
【化29】
2-クロロピラジン(44μL、0.50mmol、1当量)、(6-メトキシピリジン-3-イル)ボロン酸(115mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3.0当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を70℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、77mg(82%)の32を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.89 (d, J= 1.6 Hz, 1H), 8.72 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.54 - 8.49 (m 1H), 8.41 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.15 (dd, J = 8.7, 2.5 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 165.2, 150.6, 145.7, 144.2, 142.8, 141.3, 137.1, 125.6, 111.4, 53.8.
HRMS (ESI) m/z C
10H
9N
3O (M+l);理論値 118.0818, 測定値118.0814。
【0073】
【化30】
2-クロロ-4,6-ジメトキシピリミジン(87mg、0.50mmol、1当量)、N-Boc-2-ピロールボロン酸(116mg、0.55mmol、1.1当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、2.2当量)の混合物に、n-ブタノール(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、147mg(96%)の33を無色の油として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 7.33 (dd, J= 3.1, 1.7 Hz, 1H), 6.77 (dd, J= 3.4, 1.7 Hz, 1H), 6.26 (t, J= 3.3 Hz, 1H), 5.95 (s, 1H), 3.97 (s, 6H), 1.48 (s, 9H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 171.0, 159.4, 149.0, 133.0, 124.8, 117.9, 110.5, 87.6, 83.6, 54.0, 27.7.
HRMS (ESI) m/z C
15H
19N
30
4(M+l);理論値 306.1448, 測定値306.1431。
【0074】
【化31】
2-クロロベンゾニトリル(69mg、0.50mmol、1当量)、(3,5-ジメチルイソキサゾール-4-イル)ボロン酸(106mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で9時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、78mg(79%)の34を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0075】
【化32】
2-クロロピリジン(47μL、0.50mmol、1当量)、フラン-3-イルボロン酸(84mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で12時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、80mg(92%)の35を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0076】
【化33】
2-クロロピリジン(47μL、0.50mmol、1当量)、キノリン-3-イルボロン酸(130mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35g、1.5mmol、3当量)の混合物に、n-ブタノール(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、83mg(80%)の36を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0077】
【化34】
2-クロロピリジン(47μL、0.50mmol、1当量)、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸(118mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45mg、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を70℃で4時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、89mg(93%)の37を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0078】
【化35】
2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(88mg、0.50mmol、1当量)、フラン-2-イルボロン酸(84mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45mg、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で1.5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、93mg(90%)の38を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 7.64 - 7.59 (m, 1H), 7.44 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 3.4, 1.7 Hz, 1H), 4.03 (s, 6H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 172.6, 166.5, 150.1, 146.6, 117.4, 112.5, 55.2.
HRMS (ESI) m/z C
9H
9N
30
3(M+l);理論値 208.0717, 測定値208.0706。
【0079】
【化36】
2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(88mg、0.50mmol、1当量)、チオフェン-2-イルボロン酸(96mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45mg、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、104mg(93%)の39を白色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0080】
【化37】
4,7-ジブロモベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール(147mg、0.50mmol、1当量)、チオフェン-2-イルボロン酸(192mg、1.50mmol、3当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.90g、3.0mmol、6当量)の混合物に、THF(900μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で1時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、143mg(95%)の40をオレンジ色の固体として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0081】
【化38】
2-クロロ-1,3-ジメチルベンゼン(66μL、0.50mmol、1当量)、メチルボロン酸(45mg、0.75mmol、1.5当量)、内部標準としての1,3,5-トリメトキシベンゼン(84mg、0.50mmol、1当量)、およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.45g、1.5mmol、3当量)の混合物に、THF(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を50℃で5時間の間撹拌した。粗NMR収率は内部標準と対比して90%であった。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、30mg(50%)の41を無色の油として得た。
【0082】
【化39】
フェノフィブラート(90mg、0.25mmol、1当量)、メチルボロン酸(30mg、0.50mmol、2当量)、内部標準としての1,3,5-トリメトキシベンゼン(42mg、0.25mmol、1当量)、およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.18g、0.75mmol、3当量)の混合物に、トルエン(400μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(50μL、0.125μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。粗NMR収率は内部標準と対比して88%であった。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーおよび分取HPLCによって精製した。乾燥させた後、65mg(76%)の42を白色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 7.80 - 7.73 (m, 2H), 7.71 - 7.65 (m, 2H), 7.28 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 6.92 - 6.84 (m, 2H), 5.10 (hept, J = 6.3 Hz, 1H), 2.44 (s, 3H), 1.67 (s, 6H), 1.22 (d, J= 6.3 Hz, 6H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 195.3, 173.2, 159.3, 142.7, 135.4, 131.9, 130.9, 130.0, 128.9, 117.1 , 79.3, 69.3, 25.4, 21.6, 21.5.
HRMS (ESI) m/z C
21H
240
4(M+l);理論値 341.1747, 測定値341.1749。
【0083】
【化40】
4,7-ビス(5-ブロモチオフェン-2-イル)ベンゾ[c][l,2,5]チアジアゾール(115mg、0.25mmol、1当量)
29、(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ボロン酸(131mg、0.55mmol、2.2当量)およびΚ
3ΡO
4・5H
2O(0.33g、1.1mmol、4.4当量)の混合物に、THF(900μL)、次いで3およびPAd
3のTHFストック溶液(100μL、0.25μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を室温で1時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、152mg(89%)の43を暗赤色の固体として得た。
1H NMR (501 MHz, CDC1
3) δ 8.19 (d, J= 3.9 Hz, 2H), 7.97 (s, 2H), 7.82 - 7.72 (m, 8H), 7.54 -7.46 (m, 4H), 7.38 (pd, J= 7.4, 1.5 Hz, 4H), 1.59 (s, 12H).
13C{
1H} NMR (126 MHz, CDC1
3) δ 154.4, 153.9, 152.7, 146.3, 139.2, 138.7, 138.4, 133.2, 128.6, 127.5, 127.1, 125.8, 125.3, 125.0, 124.0, 122.7, 120.5, 120.1, 120.1, 47.0, 27.2.
HRMS (ESI) m/z C
44H
33N
2S
3(M+l);理論値 685.1800, 測定値685.1782。
【0084】
【化41】
4-クロロアニソール(62μL、0.50mmol、1当量)、イソプロピルボロン酸(66mg、0.75mmol、1.5当量)およびΚ
3ΡO
4・H
2O(0.35mg、1.5mmol、3当量)の混合物に、3およびPAd
3のトルエンストック溶液(2mL、5μmolのPd/PAd
3)を添加した。混合物を100℃で5時間の間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで水で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。乾燥させた後、53mg(70%)の44を無色の油として得た。NMR分光データは文献値と一致した。
【0085】
本開示は以下の実施形態を含む。
[1]
ジ-(アダマンチル)ホスフィン(PAd
2
)および置換アダマンチル部分を含む反応混合物を用意すること、ならびに
S
N
1経路を介してPAd
2
および置換アダマンチル部分を反応させることによりトリ-(アダマンチル)ホスフィン化合物(PAd
3
)を得ること
を含む、トリ-(アダマンチル)ホスフィン化合物(PAd
3
)を合成する方法。
[2]
PAd
3
のアダマンチル部分(Ad)が、アダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、およびその誘導体からなる群から独立して選択される、[1]に記載の方法。
[3]
置換アダマンチル部分が脱離基を含む、[1]に記載の方法。
[4]
脱離基が、アセテート、トリフレート、トシレート、およびヒドロキシルからなる群から選択される、[3]に記載の方法。
[5]
PAd
3
の収率が50パーセントより大きい、[1]に記載の方法。
[6]
PAd
3
の収率が60パーセントより大きい、[1]に記載の方法。
[7]
基質、カップリングパートナー、およびPAd
3
配位子を含む遷移金属錯体を含む反応混合物を用意すること;ならびに
遷移金属錯体またはその誘導体の存在下で基質およびカップリングパートナーを反応させることにより、クロスカップリング反応生成物を得ること
を含む、クロスカップリング方法。
[8]
遷移金属錯体が、周期表のVIIIA族、IB族、またはIIB族から選択される1種または複数の金属を含む、[7]に記載の方法。
[9]
遷移金属錯体がパラジウムを含む、[7]に記載の方法。
[10]
基質が置換芳香族化合物である、[7]に記載の方法。
[11]
置換芳香族化合物がアリールまたはヘテロアリール化合物である、[10]に記載の方法。
[12]
置換芳香族化合物が脱離基を含む、[10]に記載の方法。
[13]
脱離基が、ハロ、トシレート(OTs)、メシレート(OMs)、およびノシレート(ONs)からなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[14]
基質が置換不飽和脂肪族化合物である、[7]に記載の方法。
[15]
置換不飽和脂肪族化合物がビニル部分を含む、[14]に記載の方法。
[16]
置換不飽和脂肪族化合物がアリル部分を含む、[14]に記載の方法。
[17]
カップリングパートナーが有機金属化合物を含む、[7]に記載の方法。
[18]
有機金属化合物が、有機ホウ素化合物、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合物、有機ケイ素化合物、およびグリニャール試薬からなる群から選択される、[17]に記載の方法。
[19]
有機金属化合物の有機部分が芳香族部分を含む、[18]に記載の方法。
[20]
有機金属化合物の有機部分が不飽和脂肪族部分を含む、[18]に記載の方法。
[21]
有機金属化合物の有機部分が飽和脂肪族部分を含む、[18]に記載の方法。
[22]
遷移金属錯体が式(PAd
3
)
m
M(L)
n
であり、ここで、Mは遷移金属であり、Lは配位子であり、mおよびnは各々1から3の整数である、[7]に記載の方法。
[23]
遷移金属錯体が、反応混合物中に0.5mol%未満の量で存在する、[7]に記載の方法。
[24]
遷移金属錯体が、反応混合物中に0.1mol%未満の量で存在する、[7]に記載の方法。
[25]
クロスカップリング反応生成物の収率が60パーセントより多い、[24]に記載の方法。
[26]
クロスカップリング反応生成物の収率が80パーセントより多い、[24]に記載の方法。
本発明の各種実施形態は、本発明の様々な目的の達成において記載されてきた。これらの実施形態は本発明の原理の単に例示であることが認識されるべきである。多数の修飾およびその適応は、本発明の趣旨および範疇から逸脱することなく、当業者に容易に明らかである。