(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】電池収納構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/213 20210101AFI20220127BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20220127BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/271 S
(21)【出願番号】P 2020109969
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2020-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】501204271
【氏名又は名称】株式会社ドリテック
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 篤
(72)【発明者】
【氏名】有江 昌平
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-149261(JP,U)
【文献】実開昭61-143081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/588
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段に1個以上、下段に1個以上の円筒
形電池を同じ向きに収納する電池収納凹部と、
前記上段の上面に設けられている開口と、
収納された状態の前記円筒
形電池の軸方向に前記上段と前記下段がずれて形成される段差と、
前記開口に対して開閉可能な電池蓋と、
を備えていることを特徴とする電池収納構造。
【請求項2】
2個以上の前記円筒
形電池を並列に収納する前記上段と、
2個以上の前記円筒
形電池を並列に収納する前記下段と、
前記段差上であって前記上段に収納される前記円筒形電池の間に設けられた上段仕切り部と、
前記下段の2個以上の前記円筒
形電池の間に設けられた下段仕切り部と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の電池収納構造。
【請求項3】
前記電池蓋が前記開口を閉じているとき、前記上段に収納された前記円筒形電池の間であって前記上段仕切り部の設けられていない部分に位置するように、前記電池蓋の裏側から前記電池収納凹部の内側に向かって突出して設けられた電池蓋仕切り部を備えていることを特徴とする請求項2記載の電池収納構造。
【請求項4】
上段に並列で2個以上、下段に並列で2個以上の円筒
形電池を同じ向きに収納する電池収納凹部と、
前記上段の上面に設けられている開口と、
収納された状態の前記円筒
形電池の軸方向に前記上段と前記下段がずれて形成される段差と、
前記下段の2個以上の前記円筒
形電池の間に設けられ、前記段差に沿って前記上段の上面近傍まで延びて前記上段の2個以上の前記円筒形電池の間に入り込んでいる上下段仕切り部と、
前記開口に対して開閉可能な電池蓋と、
を備えていることを特徴とする電池収納構造。
【請求項5】
前記電池蓋が前記開口を閉じているとき、前記上段に収納された前記円筒形電池の間であって前記上下段仕切り部の設けられていない部分に位置するように、前記電池蓋の裏側から前記電池収納凹部の内側に向かって突出して設けられた電池蓋仕切り部を備えていることを特徴とする請求項4記載の電池収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小型の電子機器などにおいて、複数の円筒形電池を収納する電池収納構造が知られている。このような電池収納構造では、電池が正しい位置からずれてしまうと、正極端子や負極端子の位置や電池収納部内の形状等により、短絡してしまう可能性がある。
【0003】
この可能性を回避するため、特許文献1には、複数個の円筒形電池を収納する電池収納部であって、電池が正しい位置からずれて短絡してしまわないようにリブを設けた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の発明は、電池がずれて短絡することを防ぐことは可能である。しかし、指だけで下段の電池を取り外すことはできない。
【0006】
そのため、特許文献1記載の発明では下段の電池を取り外すためにリボンを設けているが、電池を収納するときにリボンの配置を気にしなければならない点など、手間が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、短絡を防ぎつつ、簡便に電池を取り外すことができる電池収納構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る電池収納構造の一態様は、上段に1個以上、下段に1個以上の円筒形電池を同じ向きに収納する電池収納凹部と、前記上段の上面に設けられている開口と、収納された状態の前記円筒形電池の軸方向に前記上段と前記下段がずれて形成される段差と、前記開口に対して開閉可能な電池蓋と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
このように構成することで、電池収納部内の電池が正しい位置からずれてしまうことによる短絡を防ぎつつ、電池の収納及び取り外しを簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電池収納構造を備えたラジオ機能付き懐中電灯の斜視図
【
図4】
図3において、充電ハンドルを展開した状態の図
【
図8】本発明の第一実施形態に係る電池蓋の裏側の図
【
図9】本発明の第一実施形態に係る電池収納構造内の電気的接続を簡易的に示す図
【
図10】
図7に4本の円筒形電池を収納した状態の図
【
図11】
図6の下段に円筒形電池を収納し、あるいは下段から取り外している状態の斜視図
【
図12】
図6に4本の円筒
形電池を収納した状態の図
【
図13】
図7の下段から電池を取り外している状態のAA線断面図
【
図14】第二の実施形態に係る電池収納構造の斜視図
【
図15】第三の実施形態に係る電池収納構造の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の第一実施形態に係る電池収納構造6を備えた、ラジオ機能付き懐中電灯1について、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1、
図2、
図3はラジオ機能付き懐中電灯1をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。
【0013】
ラジオ機能付き懐中電灯1は、光源部2と、ラジオ等機能部3と、充電ハンドル4と、充電コード挿入部5と、電池収納構造6と、を備える。
【0014】
光源部2について、使用者は光源スイッチ21を押すことにより光源部2の点灯/非点灯の操作をすることができる。
【0015】
使用者は、ラジオ等機能部3を操作することにより、ラジオを聴くことができる。
【0016】
また、ラジオ等機能部3には電池切り替えスイッチ31が設けられており、後述する内蔵された充電池又は電池収納構造6に収納された乾電池のどちらから光源部2やラジオ等機能部3などに電力を供給するかを選択することができる。
【0017】
充電ハンドル4はラジオ機能付き懐中電灯1内に内蔵された充電池を充電するためのものである。
【0018】
図4に示されるように、充電ハンドル4は把持部41と、柄42と、回転軸部43とにより構成されている。充電ハンドル4を展開して把持部41を使用者が手で持って回転させることにより、内蔵された充電池が充電される。充電された電力は光源部2の発光やラジオ等機能部3などに使用することができる。
【0019】
災害時など、電力の供給が制限され、乾電池の入手が難しいとき、充電ハンドル4は特に有用である。
【0020】
充電コード挿入部5は、充電コードを挿入するための挿入口を備えており、覆いを取って充電コードの一端を挿入口に差し込み、充電コードの他端をスマートフォンなどに差し込むことにより、スマートフォンなどの充電ができる。
【0021】
図3、
図4、
図5に示されるように、6は本発明に係る電池収納構造である。電池収納構造6は、電池収納凹部61と電池蓋62とを備える。
【0022】
ここで、
図3に示されるように、本実施形態における上下方向、前後方向は、電池収納構造6が上面左に、回転軸43が上面右に位置するようにラジオ機能付き懐中電灯1が置かれている状態を基準とした上下方向D1、前後方向D2のことを示す。よって幅方向とは、これら上下方向D1及び前後方向D2に交差する左右方向D3である。
【0023】
<電池収納凹部>
図6で示されるように、電池収納凹部61は、主としてABS樹脂などの樹脂によって形成されている。電池収納凹部61は、上段611と、下段612と、から構成される。電池収納凹部61は、上段611に2本、下段612に2本、計4本の単三形の円筒形電池Bを収納することができる空間を有する。
【0024】
≪上段≫
上段611は、上段前方電池収納部6111、上段後方電池収納部6112、上段仕切り部6113、上段前後方接続空間6114、開口6115とからなる。
【0025】
〔上段前方電池収納部〕
図7は
図6のAA線断面図である。上段前方電池収納部6111は、左端に設けられた上段前方正極端子6111a、中央に設けられた上段前方電池収納空間6111b、右端に設けられた上段前方負極端子6111cとからなる。
【0026】
上段前方正極端子部6111aは、導電率の高い銅等の金属によって形成されている。
【0027】
上段前方電池収納空間6111bは、単三形の円筒形電池B1つを収納することができる空間である。上段前方電池収納空間6111bの上面は、開口6115に接続している。上段前方電池収納空間6111bの前面は、上段前方側内壁6111dからなる。
【0028】
上段前方電池収納空間6111bの底面の左端側は、後述する段差6121の上面である前方側段差上面6111eからなる。前方側段差上面6111eは、上段前方電池収納空間6111bに収納する円筒形電池Bの形状に沿うように、弧状の丸みを帯びている。上段前方電池収納空間6111bの底面の右端側は、後述する上下段接続開口6125に接続している。
【0029】
上段前方電池収納空間6111bの背面の左端側は上段仕切り部6113と接しており、右端側は上段前後方接続空間6114に接続している。
【0030】
上段前方負極端子6111cはコイルバネ形状である。上段前方負極端子6111cは上段前方電池収納部6111の右端より左方に約3.0~5.0mm突出している。
【0031】
上段前方電池収納部6111に円筒形電池Bが収納されるときには、上段前方負極端子6111cが弾性変形して収縮し、上段前方負極端子6111cの突出の程度は約2.0~3.0mmとなる。
【0032】
〔上段後方電池収納部〕
図6に示すように、上段後方電池収納部6112は、上段後方正極端子6112a、上段後方電池収納空間6112b、上段後方負極端子6112cからなる。上段後方電池収納空間6112bは、上段後方側内壁6112d、後方側段差上面6112eを備える。
【0033】
上段後方電池収納部6112は、後述する上段仕切り部6113を上下左右方向に延ばしてできる面を基準として、上段前方電池収納部6111に対して前後方向D2に対称な構成である。
【0034】
〔上段仕切り部〕
上段仕切り部6113は、後述する段差6121の上部であって、上段前方電池収納部6111と上段後方電池収納部6112の間に厚さの均一な平板形状として形成されている。上段仕切り部6113は、段差6121の上部から1.5~2.5mm程度右方へ延出している。
【0035】
〔上段前後方接続空間〕
上段前後方接続空間6114は、上段前方電池収納部6111と上段後方電池収納部6112の間であって、上段仕切り部6113が形成されていない空間である。
【0036】
〔開口〕
図6に示すように、開口6115は電池収納凹部61の上面に形成されている。開口6115は、左端中央に板バネ引掛け凹部6115aと、右端中央に右端引掛け凹部6115bと、を備える。
【0037】
≪下段≫
図6及び
図7に示すように、下段612は、段差6121、下段前方電池収納部6122、下段後方電池収納部6123、下段仕切り部6124、上下段接続開口6125とからなる。
【0038】
〔段差〕
段差6121は、下段612の左端から右方に突出する部分である。段差6121の高さは下段612と同じ13mm~14mm程度であり、左端から右方に6.0mm~7.0mm程度突出している。この突出の程度は円筒形電池Bの軸方向の長さの約6分の1程度の長さである。段差6121が設けられている分だけ、下段前方電池収納部6122及び下段後方電池収納部6123は上段前方電池収納部6111及び上段後方電池収納部6112に対して右方にずれている。
【0039】
すなわち、収納された状態の円筒形電池Bの軸方向(左右方向D3)に上段611と下段612がずれて、段差6121が形成されている。
【0040】
〔下段前方電池収納部〕
図6及び
図7に示されるように、下段前方電池収納部6122は、左端に設けられた下段前方正極端子6122a、中央に設けられた下段前方電池収納空間6122b、右端に設けられた下段前方負極端子6122cとからなる。
【0041】
下段前方電池収納空間6122bの上面の右端側は、段差6121により上段前方電池収納空間6111bに対して右方向にずれた分だけ、下段前方右端側上面壁6122dにより閉じられている。下段前方電池収納空間6122bの上面の、その他の部分は、上下段接続開口6125に接続している。下段前方電池収納空間6122bの前面は、下段前方側内壁6122eからなる。
【0042】
下段前方電池収納空間6122bの底面は、下段前方側底壁6122fからなる。下段前方側底壁6122fは、下段前方電池収納空間6122bに収納する円筒形電池Bの形状に沿うように、弧状の丸みを帯びている。下段前方側底壁6122fには、収納する円筒形電池Bのプラス電極B1及びマイナス電極B2の正しい収納の向きが図により示されている。
【0043】
下段前方電池収納空間6122bの背面は下段仕切り部6124と接している。下段仕切り部6124は、下段前方電池収納部6122と下段後方電池収納部6123の間に形成されており、下段612の3分の1程度の高さである。
【0044】
〔下段後方電池収納部〕
下段後方電池収納部6123は、下段後方正極端子6123a、下段後方電池収納空間6123b、下段後方負極端子6123cとからなる。下段電池収納空間6123bは、下段後方右端側上面壁6123d、下段後方側内壁6123e、下段後方側底壁6123fを備える。
【0045】
下段後方電池収納部6123は、下段仕切り部6124を上下左右方向に延ばしてできる面を基準として、下段前方電池収納部6122に対して前後方向D2に対称な構成である。
【0046】
<電池蓋>
図8に示すように、電池蓋62は、平板部621、電池蓋右端引掛け突部622、電池蓋板バネ引掛け突部623、電池蓋仕切り部624を備える。電池蓋62を電池収納凹部61の開口6115に装着したときに外側となる部分を電池蓋62の表側、反対の部分を裏側と称する。
【0047】
平板部621の前後方向D2及び左右方向D3の幅は開口6115とほぼ同じである。平板部621の裏側には円筒形電池Bのプラス電極B1及びマイナス電極B2の正しい収納方向が図示されている。
【0048】
電池板バネ引掛け突部623は左端近傍で幅が切り替わり、左端側と比べて右端側の幅が太くなっている。この幅の切り替わり部分に、肩部623aが形成されている。
【0049】
平板部621の裏側中央には、左右方向D3に延在する電池蓋仕切り部624が、左端側付近を避けて、平板部621に対して垂直に設けられている。電池蓋仕切り部624の高さは、上段611の約3分の1程度である。電池蓋仕切り部624の前方側及び後方側には4つずつ補助仕切り部624aが設けられている。なお、本実施形態では、電池蓋仕切り部624の長さと、上段仕切り部6113の長さとの和が、円筒形電池Bの長さより若干短くなるように形成されている。
【0050】
補助仕切り部624aは電池収納凹部61の上段611に収納する2つの円筒形電池Bの、上段前後方接続空間6114に近い部分の外形に沿うように円弧を描くような形状となっている。
【0051】
<電気的接続>
図9は、電池収納凹部61に設けられた4つの正極端子(6111a、6112a、6122a、6123a)及び4つの負極端子(6111c、6112c、6122c、6123c)の電気的接続を簡易的に示している。電池収納凹部61に収納される4つの円筒形電池Bが直列につながるように、4つの正極端子及び4つの負極端子は電気的に接続されている。
【0052】
<作用効果>
図3及び
図4に示されるように、電池収納構造6に円筒形電池Bを収納するには、使用者はまず充電ハンドル4の把持部41が把持部収納溝44に収納されている状態から、充電ハンドル4を引き上げる。
【0053】
充電ハンドル4の柄42が電池蓋62上から外れると、使用者は指Fで電池蓋板バネ引掛け突部623を右方に押すことができるようになる。この操作により肩部623aが板バネ引掛け凹部6115aに係止されなくなり、電池蓋62を上に引き上げることができるようになる。更に電池蓋右端引掛け突部622を右端引掛け凹部6115bから外すと、電池蓋62が開口6115から完全に外れる(
図5)。
【0054】
図10に示されるように、下段612に円筒形電池Bを収納する。円筒形電池Bのマイナス電極B2を下段前方負極端子6122cに向けて差し込むように、円筒形電池Bを下段前方電池収納空間6122bに入れる。そして、指Fで円筒形電池Bのプラス電極B1側を右下方向に押し込むと、円筒形電池Bが下段前方電池収納空間6122bに正しく収まり、円筒形電池Bのプラス電極B1が下段前方正極端子6122aに、マイナス電極B2が下段前方負極端子6122cに接触する。
【0055】
下段後方電池収納部6123にも同様な方法で円筒形電池Bを収納する。
【0056】
上段611に円筒形電池Bを収納する。円筒形電池Bのマイナス電極B2を上段前方負極端子6111cに向けて押し込みながら、円筒形電池Bを上段前方電池収納空間6111bに入れる。
【0057】
そして、指Fで円筒形電池Bのプラス電極B1を右下方向に押し込むと、円筒形電池Bが電池収納空間に正しく収まる。すると、円筒形電池Bのプラス電極B1が上段前方正極端子部6111aに、マイナス電極B2が上段前方負極端子6111cに接触する。
【0058】
このときに下段612に円筒形電池Bが収納されているため、上段611に収納された円筒形電池Bの底面側は段差6121上面と下段612の円筒形電池Bの上側に支えられて安定している。
【0059】
上段後方電池収納空間6112bにも同様に円筒形電池Bを収納する。
【0060】
図12に示されるように、電池収納凹部61に4つの円筒形電池Bを収納すると、電池蓋62を開口6115に装着していない状態において、上段611に収納された2つの円筒形電池Bの左端側は上段仕切り部6113により隙間なく電池収納凹部61に収納されている。
【0061】
それに対して右端側においては、2つの円筒形電池B間に上段前後方接続空間6114という隙間ができてしまい、円筒形電池Bがガタつく原因となる。
【0062】
そこで、
図4に示されるように、電池蓋62を開口6115に装着させると、電池蓋62の裏側の電池蓋仕切り部624及び補助仕切り部624aが上段611に収納された2つの円筒形電池B間にある上段前後方接続空間6114に入り込む。
【0063】
そして、電池蓋仕切り部624と補助仕切り部624aが上段前後方接続空間6114を埋めて、上段611に収納された2つの円筒形電池Bがガタついてしまうことを防止する。
【0064】
最後に、
図3のように、充電ハンドル4の把持部41が把持部収納溝44に収納されるように、充電ハンドル4を折り畳む。
【0065】
こうして電池収納凹部61に4つの円筒形電池Bが収納され、すべての円筒形電池Bが電気的に直列につながる。そして、4つの円筒形電池Bから光源部2やラジオ等機能部3などに電力を供給することができるようになる。
【0066】
4つの円筒形電池Bを外すときには、ハンドルを引き上げ、電池蓋62を開口6115から外した後、上段611の円筒形電池Bを外す。
【0067】
上段611の2つの円筒形電池Bを外すには、使用者は指F先の爪Nなどで円筒形電池Bのプラス電極B1側を右方に押しながら上に引き上げる。こうして、上段前方電池収納空間6111b及び上段後方電池収納空間6112bから2つの円筒形電池Bを取り除く。
【0068】
図11に示すように、次に下段612の円筒形電池Bを外す。外すには、使用者は指F先の爪Nなどで円筒形電池Bのプラス電極B1を右方に押しながら上に引き上げる。
【0069】
このとき、
図11に示すように、上段仕切り部6113は段差6121上付近にしかなく、右端まで延びているということがない。そのため、使用者が指Fを入れるときに上段仕切り部6113が邪魔とならない。また、指F先の爪Nなどを入れるべき円筒形電池Bのプラス電極B1と下段612の正極端子の隙間を視認する際に、上段仕切り部6113が邪魔とならない。
【0070】
また、爪Nで円筒形電池Bのプラス電極B1側を押すときに爪Nにつながる指Fが円筒形電池B側に倒れていたり垂直に近い角度であったりすると、爪Nで円筒形電池Bを右方に押すときに、爪Nに対して指Fから爪Nがはがれる方向に力が加わってしまう。そのため、使用者は爪Nの付け根が痛くなってしまったり、円筒形電池Bを外すために十分な力を円筒形電池Bに加えられなくなったりしてしまう。
【0071】
この問題を回避するためには、指Fを段差6121側に倒しながら爪Nで円筒形電池Bのプラス電極B1を右方に押さなければならない。こうすることにより、爪Nに対して爪Nが指Fからはがれる方向に力が加わることはなくなる。
【0072】
図13に示すように、段差6121により下段612に収納された円筒形電池Bのプラス電極B1の左上方に空間ができているため、使用者は段差6121側に指Fを倒しながら爪Nなどで円筒形電池Bのプラス電極B1側を押すことができる。
【0073】
このようにして下段612の2つの円筒形電池Bを含めて、4つの円筒形電池Bすべてを電池収納凹部61から外すことができる。
【0074】
また、なんらかの要因で円筒形電池Bが電池収納凹部61内の正しくない位置に移動してしまっても、本実施形態に係る電池収納構造6であれば短絡が起こるということはない。
【0075】
上段611の正極端子と下段612の負極端子の間は、段差6121が設けられていることにより十分な距離があるため、円筒形電池Bの一方の電極が上段611の正極端子に接しながら円筒形電池Bの他方の電極が下段612の負極端子につながり短絡してしまうということはない。
【0076】
下段612の正極端子と上段611の負極端子間の距離は円筒形電池Bの長さより短いため、これらの端子に対して円筒形電池Bのプラス電極B1及びマイナス電極B2がそれぞれ接続してしまい、短絡するということはない。
【0077】
上段611内で円筒形電池Bが前後方向D2に斜めに位置するようになってしまい、上段前方正極端子部6111a及び上段後方負極端子6112cに円筒形電池Bのプラス電極B1とマイナス電極B2がそれぞれ接続することはない。
【0078】
上段仕切り部6113が円筒形電池Bの位置を規制し、そのような位置に円筒形電池Bが移動することはできないようになっているからである。同様に、上段後方正極端子6112a及び上段前方負極端子6111cに円筒形電池Bのプラス電極B1及びマイナス電極B2がそれぞれ接続することもない。
【0079】
上段611内と同様に、下段612内でも円筒形電池Bが前後方向D2に斜めに位置するようになってしまい短絡するということはない。下段仕切り部6124が円筒形電池Bの位置を規制しているからである。
【0080】
ところで、
図16のように、段差6121のない従来の電池収納構造6においては、下段612に収納された円筒形電池Bを指Fの爪Nで取り外そうとしても円筒形電池Bの左上部分に空間がない。そのため、下段612の円筒形電池Bを取り外すためのリボン等を設ける必要がある。
【0081】
それに対して、上述したように、本実施形態に係る電池収納構造6においては、指Fだけで全ての円筒形電池Bを収納し、取り外すことができる。このため、下段612の円筒形電池Bを取り外すためにリボン等を設ける必要がない。
【0082】
リボン等を設ける必要がないことから、リボン等が円筒形電池Bに絡まり短絡してしまう事態、リボン等を用いて円筒形電池Bを外すときに予期せぬ位置に円筒形電池Bが移動してしまい短絡してしまったり円筒形電池Bが勢いよく飛び出してしまったりする事態、リボン等の位置を気にしながら円筒形電池Bを収納するという煩わしさを回避することができる。
【0083】
また、電池収納凹部61に円筒形電池Bを4つ収納して電池蓋62を開口6115に装着し、ハンドルを折り畳むと、
図3に示すように、電池蓋62の外側に充電ハンドル4の柄42が位置するようになる。そのため、本体が落下するなどして電池収納構造6周辺に何かがぶつかってしまったときにも、まず充電ハンドル4の柄42部分に物がぶつかることになる。こうして、電池収納構造6に加わる衝撃が減少する。
【0084】
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態に係る電池収納構造6について
図14を参照して説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0085】
第二実施形態の下段612は、下段後方電池収納部6123及び下段仕切り部6124を有さず、下段612に収納することのできる円筒形電池Bは1つのみとなっている点で、第一実施形態と相違する。
【0086】
第二実施形態に係る電池収納構造6であっても、第一実施形態に係る電池収納構造6と同一の作用効果を有する。
【0087】
すなわち、段差6121と上段仕切り部6113により円筒形電池Bの位置が規制され、円筒形電池Bが正しくない位置に移動してしまい短絡してしまうということはない。
【0088】
また、段差6121により、下段612に収納された円筒形電池Bの左上方に空間ができ、リボン等を設けずとも使用者は指Fで下段612の円筒形電池Bを取り外すことができる。
【0089】
そして、段差6121の上部に設けられた上段前後方接続空間6114と電池蓋62の裏側に設けられた電池蓋仕切り部624により、下段612の円筒形電池Bを取り外すときに上段仕切り部6113が邪魔にならないことと上段611の円筒形電池Bのがたつき防止を両立している。
【0090】
<第三実施形態>
次に本発明の第三実施形態に係る電池収納構造6について
図15を参照して説明する。第三実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には第一実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0091】
第三実施形態は次の点で第一実施形態と異なる。第一実施形態における上段仕切り部6113がなく、その代わりに段差上部前後方接続空間6116となっている。また、第一実施形態における下段仕切り部6124が上段611上面近傍まで上方に延出し、上下段仕切り部6117となっている。
【0092】
そして、電池蓋62裏側の電池蓋仕切り部624の位置が、電池蓋62を開口6115に装着したときに段差上部前後方接続空間6116に入り込むような位置、すなわち左端側に変更されている。段差上部前後方接続空間6116の左右方向D3の長さに合わせて、電池蓋仕切り部624の左右方向D3の長さも短くなっている。
【0093】
第三実施形態に係る電池収納構造6であっても、第一実施形態に係る電池収納構造6と同一の作用効果を有する。
【0094】
すなわち、段差6121と上下段仕切り部6117により円筒形電池Bの位置が規制され、円筒形電池Bが正しくない位置に移動してしまい短絡してしまうということはない。
【0095】
また、段差6121により、下段612に収納された円筒形電池Bのプラス電極B1の左上方に空間ができ、リボン等を設けずとも使用者は指Fで下段612の円筒形電池Bを取り外すことができる。
【0096】
そして、段差上部前後方接続空間6116と電池蓋62の裏側に設けられた電池蓋仕切り部624により、下段612の円筒形電池Bを取り外すときに上下段仕切り部6117が邪魔にならないことと上段611の円筒形電池Bのがたつき防止を両立している。
【0097】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0098】
実施形態では、本発明に係る電池収納構造6を備えたラジオ機能付き懐中電灯 1について説明したが、他の電子機器であって円筒形電池Bを動力源とするものについても、本発明に係る電池収納構造6は適用可能である。
【0099】
実施形態では、単三型の円筒形電池Bを収納する構造について説明したが、他の寸法の円筒形電池B、例えば単四形電池を収納する電池収納構造6にも本発明は適用可能である。
【0100】
実施形態では、電池蓋62を開口6115に対して着脱自在としたが、電池蓋62の一端を開口6115の対応する一端にヒンジ軸にて接続し、電池蓋62が開口6115に対して回動して開閉することとしてもよい。
【0101】
実施形態では、負極端子をコイルバネ形状としたが、板バネ等他の弾性を有する形状としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、小型の電子機器等が備える電池収納構造に適用して有用である。本発明を適用することにより、電池が意図しない位置に移動して短絡してしまうことを防止することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 ラジオ機能付き懐中電灯
2 光源部
21 光源スイッチ
3 ラジオ等機能部
31 電池切り替えスイッチ
4 充電ハンドル
41 把持部
42 柄
43 回転軸部
44 把持部収納溝
5 充電コード挿入部
6 電池収納構造
61 電池収納凹部
611 上段
6111 上段前方電池収納部
6111a 上段前方正極端子
6111b 上段前方電池収納空間
6111c 上段前方負極端子
6111d 上段前方側内壁
6111e 前方側段差上面
6112 上段後方電池収納部
6112a 上段後方正極端子
6112b 上段後方電池収納空間
6112c 上段後方負極端子
6112d 上段後方側内壁
6112e 後方側段差上面
6113 上段仕切り部
6114 上段前後方接続空間
6115 開口
6115a 板バネ引掛け凹部
6115b 右端引掛け凹部
6116 段差上部前後方接続空間
6117 上下段仕切り部
612 下段
6121 段差
6122 下段前方電池収納部
6122a 下段前方正極端子
6122b 下段前方電池収納空間
6122c 下段前方負極端子
6122d 下段前方右端側上面壁
6122e 下段前方側内壁
6122f 下段前方側底壁
6123 下段後方電池収納部
6123a 下段後方正極端子
6123b 下段後方電池収納空間
6123c 下段後方負極端子
6123d 下段後方右端側上面壁
6123e 下段後方側内壁
6123f 下段後方側底壁
6124 下段仕切り部
6125 上下段接続開口
62 電池蓋
621 平板部
622 電池蓋右端引掛け突部
623 電池蓋板バネ引掛け突部
623a 肩部
624 電池蓋仕切り部
624a 補助仕切り部
B 円筒形電池
B1 プラス電極
B2 マイナス電極
D1 上下方向
D2 前後方向
D3 左右方向
F 指
N 爪
【要約】
【課題】電池収納構造内の円筒形電池が正しい位置からずれてしまうことによる短絡を防ぎつつ、使用者が容易に円筒形電池を電池収納構造内から取り外すことができる電池収納構造を提供する。
【解決手段】電池収納構造6は、上段611に2個以上、下段612に1個以上の円筒
形電池Bを同じ向きに収納する電池収納凹部61と、上段611上面の開口6115に対して開閉可能な電池蓋62と、を備える。加えて、収納された状態の円筒
形電池Bの軸方向に上段611と下段612がずれて形成される段差6121と、段差6121上であって前記上段611に収納される前記円筒形電池Bの間に設けられた上段仕切り部6113と、が電池収納凹部61内に設けられている。
【選択図】
図10