(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】インサート成形用ハードコートフィルムおよびインサート成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20220127BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20220127BHJP
B29K 105/20 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
B29C45/14
B32B7/022
B29K105:20
(21)【出願番号】P 2020122374
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2021-10-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399020212
【氏名又は名称】東山フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 亮平
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091637(JP,A)
【文献】特開2019-119206(JP,A)
【文献】特開2018-171708(JP,A)
【文献】国際公開第2018/212228(WO,A1)
【文献】特表2013-516340(JP,A)
【文献】特開2011-005766(JP,A)
【文献】特開2019-116048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、を有し、
前記ハードコート層は、
アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方を含む紫外線硬化性組成物、またはアクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方とシリカ粒子を含む紫外線硬化性組成物で構成されており、
前記ハードコート層の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm
2であり、150℃において100N/mm
2以下であり、
さらに、前記ハードコート層の面上に、粘着剤層を介して保護フィルムが配置されており、前記粘着剤層の前記ハードコート層に接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が200nm以下である、インサート成形用ハードコートフィルム。
【請求項2】
前記基材フィルムは、ポリカーボネートを含む層とポリ(メタ)アクリレートを含む層を有する多層構造で構成され、前記ハードコート層は、前記基材フィルムのポリ(メタ)アクリレート層を含む層に接して形成されている、請求項1に記載のインサート成形用ハードコートフィルム。
【請求項3】
以下の(1)~(7)の工程を有する、インサート成形品の製造方法。
(1)基材フィルムの面上に、
アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方を含む紫外線硬化性組成物、またはアクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方とシリカ粒子を含む紫外線硬化性組成物で構成され、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm
2であり、150℃において100N/mm
2以下である、ハードコート層を形成して、ハードコートフィルムを得る工程。
(2)前記ハードコート層の面上に、前記ハードコート層に接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が200nm以下である粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせる工程。
(3)前記保護フィルムを剥離して、前記ハードコートフィルムをプレフォーム型で成形品表面の形状に成形する工程。
(4)前記成形したハードコートフィルムに、電離放射線を照射して前記ハードコート層を硬化させる工程。
(5)前記硬化させたハードコートフィルムを、射出成形機の成形用金型である可動型と固定型の間に配置する工程。
(6)前記成形用金型の型締め後、キャビティ内に樹脂を射出成形すると同時に樹脂成形品の表面に前記硬化させたハードコートフィルムを一体化接着する工程。
(7)前記樹脂成形品の冷却固化後に型開きして、前記樹脂成形品の表面に前記硬化させたハードコートフィルムが一体接着されたインサート成形品を前記成形用金型の型外に取り出す工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形用ハードコートフィルムおよびインサート成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の内装部品や、携帯電話などの電化製品のパネルや外装パーツに用いられる樹脂成形品について、その表面に加飾されたフィルムや機能性を有するフィルムを一体化するために、インサート成形法が広く用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、未硬化または半硬化状態のハードコート層が設けられてなるインサートフィルムを、プレフォーム型で成形品表面の形状に成形した後、電離放射線を照射してハードコート層を完全硬化させ、硬化させたインサートフィルムを成形樹脂と一体化させて射出成形する、インサート成形品の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のインサートフィルムは、未硬化または半硬化状態のハードコート層を有することが記載されているだけであり、プレフォーム型で成形品表面の形状に成形する前に、未硬化または半硬化状態の軟らかいハードコート層の平滑さを維持することについて何ら言及されておらず、インサート成形品の表面品質を損ねない平滑性という点で依然として課題が残る。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐傷性に優れ、保管時などの圧痕が抑えられ、プレフォーム後の表面平滑性に優れるインサート成形用ハードコートフィルムを提供することにある。また、傷がつきにくく、凹凸が抑制され美観に優れたインサート成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るインサート成形用ハードコートフィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、を有し、前記ハードコート層は、電離放射線により硬化する組成物で構成されており、前記ハードコート層の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm2であり、150℃において100N/mm2以下である。
【0008】
前記基材フィルムは、ポリカーボネートを含む層とポリ(メタ)アクリレートを含む層を有する多層構造で構成され、前記ハードコート層は、前記基材フィルムのポリ(メタ)アクリレート層を含む層に接して形成されているとよい。
【0009】
前記ハードコート層の面上に、粘着剤層を介して保護フィルムが配置されており、前記粘着剤層の前記ハードコート層に接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が200nm以下であるとよい。
【0010】
また、本発明に係るインサート成形品の製造方法は、以下の(1)~(7)の工程を有する。
(1)基材フィルムの面上に、電離放射線により硬化する組成物で構成され、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm2であり、150℃において100N/mm2以下である、ハードコート層を形成して、ハードコートフィルムを得る工程。
(2)前記ハードコート層の面上に、前記ハードコート層に接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が200nm以下である粘着剤層を有する保護フィルムを貼り合わせる工程。
(3)前記保護フィルムを剥離して、前記ハードコートフィルムをプレフォーム型で成形品表面の形状に成形する工程。
(4)前記成形したハードコートフィルムに、電離放射線を照射して前記ハードコート層を硬化させる工程。
(5)前記硬化させたハードコートフィルムを、射出成形機の成形用金型である可動型と固定型の間に配置する工程。
(6)前記成形用金型の型締め後、キャビティ内に樹脂を射出成形すると同時に樹脂成形品の表面に前記硬化させたハードコートフィルムを一体化接着する工程。
(7)前記樹脂成形品の冷却固化後に型開きして、前記樹脂成形品の表面に前記硬化させたハードコートフィルムが一体接着されたインサート成形品を前記成形用金型の型外に取り出す工程。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るインサート成形用ハードコートフィルムによれば、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、を有し、前記ハードコート層は、電離放射線により硬化する組成物で構成されており、前記ハードコート層の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm2であり、150℃において100N/mm2以下であることから、耐傷性に優れ、保管時などの圧痕が抑えられ、プレフォーム後の表面平滑性に優れる。
【0012】
また、本発明に係るインサート成形品の製造方法によれば、傷がつきにくく、凹凸が抑制され美観に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルムの断面図である。
【
図2】他の実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルムの断面図である。
【
図3】プレフォーム後のインサート成形用ハードコートフィルムの断面図である。
【
図5】インサート成形品の製造工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルムの断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、を有する。
【0016】
(基材フィルム)
基材フィルム12は、透明性を有していれば、特に限定されるものではない。基材フィルム12としては、透明高分子フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられる。透明性とは、可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、全光線透過率は、より好ましくは85%以上である。上記全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定することができる。
【0017】
基材フィルム12の高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリシクロオレフィン,シクロオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。基材フィルム12の高分子材料は、これらのうちの1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。これらのうちでは、光学特性や耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィンコポリマーがより好ましい。
【0018】
基材フィルム12は、単層構造であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。基材フィルム12は、成形性や硬度の調整がしやすいなどの観点から、2層以上の多層構造であるとよい。2層以上の多層構造の基材フィルム12は、成形性や硬度の観点から、一方の表面にポリカーボネートを含む層を有し、他方の表面にポリ(メタ)アクリレートを含む層を有するとよい。すなわち、基材フィルム12は、ポリカーボネートを含む層とポリ(メタ)アクリレートを含む層を有する多層構造(PC/PMMA複合フィルム)で構成されるとよい。そして、ハードコート層14は、基材フィルム12のポリ(メタ)アクリレート層を含む層に接して形成されているとよい。なお、ポリカーボネートを含む層は、ポリカーボネートをポリマー主成分として含む層である。また、ポリ(メタ)アクリレートを含む層は、ポリ(メタ)アクリレートをポリマー主成分として含む層である。ポリマー主成分とは、層において最も含有量の多いポリマー成分である。すなわち、層において50質量%以上含まれるポリマー成分である。ポリマー主成分は、層においてより好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含まれているとよい。
【0019】
基材フィルム12のガラス転移温度(Tg)は、高温高湿環境での耐久性や成形性の観点から、80~170℃の範囲が好ましく、90~160℃の範囲がより好ましく、120~160℃の範囲がさらに好ましい。多層構造の基材フィルム12においては、各層がそれぞれ上記ガラス転移温度(Tg)の範囲であることが好ましい。
【0020】
基材フィルム12の厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性に優れるなどの観点から、2~500μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは30~450μm、さらに好ましくは75~400μmの範囲内である。なお、「フィルム」とは、一般に厚さが0.25mm未満のものをいうが、厚さが0.25mm以上のものであってもロール状に巻くことが可能であれば、厚さが0.25mm以上のものであっても「フィルム」に含まれるものとする。
【0021】
(ハードコート層)
ハードコート層14は、インサート成形用ハードコートフィルム10の耐擦傷性の向上に寄与する。ハードコート層14は、鉛筆硬度H以上であることが好ましく、より好ましくは3H以上、さらに好ましくは4H以上である。鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に準拠して測定することができる。
【0022】
ハードコート層14は、耐擦傷性、生産性などの観点から、電離放射線により硬化する組成物で構成されるとよい。電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味する。電離放射線としては、紫外線(UV)、電子線(EB)、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらのうちでは、生産性の観点から、紫外線(UV)が特に好ましい。
【0023】
電離放射線により硬化する組成物は、電離放射線反応性の反応性基を有するモノマー,オリゴマー,プレポリマーを少なくとも含有する。電離放射線反応性の反応性基としては、アクリロイル基,メタクリロイル基,アリル基,ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基やオキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらのうちでは、アクリロイル基,メタクリロイル基,オキセタニル基がより好ましく、アクリロイル基,メタクリロイル基が特に好ましい。すなわち、(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。
【0024】
(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、多官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。電離放射線により硬化する組成物は、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
【0025】
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0026】
多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0027】
また、オリゴマーやプレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その他、電離放射線反応性の反応性基を有するポリマーなども挙げられる。
【0028】
電離放射線により硬化する組成物の(メタ)アクリレートは、上記する(メタ)アクリレートの1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
【0029】
電離放射線により硬化する組成物には、電離放射線により硬化するポリマーに加え、電離放射線により硬化しないポリマーが含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、電離放射線により硬化する組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。また、必要に応じ、硬化性組成物に添加する添加剤などが含まれていてもよい。添加剤としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、防汚剤、防汚剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。また、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
【0030】
電離放射線により硬化しないポリマーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0031】
重合開始剤としては、光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
【0032】
光重合開始剤の含有量は、電離放射線により硬化する組成物全量基準で、0.1~10質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1~5質量%の範囲である。
【0033】
無機粒子および樹脂粒子は、例えばハードコート層14にブロッキングを防止する、インサート成形におけるシワの抑制する、表面硬度を向上するなどの目的でハードコート層14に添加される。添加する無機粒子や樹脂粒子により、ハードコート層14に微細な表面凹凸を形成することで、インサート成形用ハードコートフィルム10をロール状に巻き付けたり重ねたりした際に、表面と裏面が接着するブロッキングを抑えやすい。また、インサート成形用金型との適度な滑り性を有するため、インサート成形用ハードコートフィルム10のシワの発生を抑えることができる。
【0034】
防指紋剤は、ハードコート層14に指紋がつきにくくする、指紋をふき取りやすくする、あるいはふき取った跡を目立ちにくくするなどの目的でハードコート層14に添加される。防指紋剤としては、例えば紫外線反応性基を有する含フッ素化合物などが挙げられ、中でもパーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。このような化合物としては、信越化学工業製「KY-1203」、DIC製「メガファックRS-75」、ダイキン工業製「オプツールDAC-HP」、ネオス製「フタージェント601AD」などが挙げられる。
【0035】
紫外線反応性基を有する含フッ素化合物の含有量は、ハードコート層14に含有する固形分100質量%に対し、0.1~13質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.3~10質量%の範囲内、さらに好ましくは0.5~9質量%の範囲内である。紫外線反応性基を有する含フッ素化合物の含有量が0.1質量%以上であると、ハードコート層14の表面の滑り性が向上するため優れた耐擦傷性を得ることができ、また防汚性を向上することができる。一方で、紫外線反応性基を有する含フッ素化合物の含有量が13質量%を超えると、ハードコート層14の耐擦傷性が低下するおそれがある。
【0036】
電離放射線により硬化する組成物は、溶剤により希釈されていてもよい。溶剤としては、エタノール,イソプロピルアルコール(IPA),n-ブチルアルコール(NBA),エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM),エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG),プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM),ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトン(MIBK),シクロヘキサノン,アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン,キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル(EtAc),酢酸プロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル(BuAc)などのエステル系溶剤、N-メチルピロリドン,アセトアミド,ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0037】
電離放射線により硬化する組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工性、膜厚などを考慮して適宜定めればよい。例えば、1~90質量%、1.5~80質量%、2~70質量%などとすればよい。
【0038】
ハードコート層14の厚みは、特に限定されるものではないが、十分な硬度を有するなどの観点から、0.5μm以上であることが好ましい。より好ましくは2.0μm以上、さらに好ましくは3.0μm以上である。また、基材フィルム12との熱収縮差に起因するカールが抑えられやすいなどの観点から、15μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下である。ハードコート層14の厚みは、厚み方向において無機粒子や樹脂粒子に起因する凹凸のない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
【0039】
ハードコート層14の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さは、30℃において10~200N/mm2であり、より好ましくは12~160N/mm2、さらに好ましくは15~130N/mm2である。30℃における押し込み硬さが10N/mm2未満であると、保管時や加飾工程において、異物の混入や外力によってハードコート層14に圧痕が発生するおそれがある。また、後述するプレフォーム工程前に保護フィルムを剥がす際に、ハードコート層14が保護フィルムに転写したり、保護フィルムの剥離性が悪化したりするおそれがある。一方、200N/mm2以上であると、架橋密度を十分ななものとすることができず、硬化させた後のハードコート層14の硬度が不足するおそれがある。
【0040】
ハードコート層14の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さは、150℃において、100N/mm2以下である。より好ましくは98N/mm2以下、さらに好ましくは90N/mm2以下である。150℃における押し込み硬さが100N/mm2を超えると、ハードコート層14を加熱したときの流動性に由来する平滑化が困難になり、凹凸を抑制することが出来ず、美観も悪くなる。また、上記150℃における押し込み硬さは、0.1N/mm2以上であることが好ましい。より好ましくは0.5N/mm2以上、さらに好ましくは1.0N/mm2以上である。上記150℃における押し込み硬さが0.1N/mm2未満であると、ハードコート層14の流動性が過度に高くなり、ハードコート層14が垂れて厚みの均一性が損なわれるおそれがある。
【0041】
インサート成形用ハードコートフィルム10は、基材フィルム12の一方面上にハードコート層14を形成することにより製造することができる。ハードコート層14は、基材フィルム12の一方面上にハードコート層14を形成する組成物を塗工し、必要に応じて乾燥などを行うことにより形成することができる。この際、基材フィルム12とハードコート層14の密着性を向上させるために、基材フィルム12の表面には、塗工前に表面処理が施されてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、電離放射線処理などが挙げられる。
【0042】
ハードコート層14を形成する組成物の塗工には、例えば、リバースグラビアコート法,ダイレクトグラビアコート法,ダイコート法,バーコート法,ワイヤーバーコート法,ロールコート法,スピンコート法,ディップコート法,スプレーコート法,ナイフコート法,キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷,スクリーン印刷,フレキソ印刷などの各種印刷法を用いて行うことができる。
【0043】
乾燥工程は、塗工液に用いた溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50~150℃の温度で10秒~180秒程度行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、50~120℃が好ましい。
【0044】
ハードコート層14は、未硬化または半硬化状態のまま完全硬化しないでおくことが好ましい。未硬化または半硬化状態とすることで、インサート成形用ハードコートフィルムを深い形状にプレフォームする時でもハードコート層14にクラックが生じにくくすることができる。
【0045】
インサート成形用ハードコートフィルム10には、必要に応じて、加飾層を設けてもよい。加飾層は、基材フィルム12の、ハードコート層14を有する面とは反対側の面に形成される。加飾層は、通常は印刷層として形成する。
【0046】
印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることもできる。加飾層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。
【0047】
加飾層は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。また、金属箔を使用してもよい。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。
【0048】
金属薄膜層を設ける際に、他の転写層と金属薄膜層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層などのアンカー層を設けてもよい。アンカー層の材質としては、二液硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂やエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂を使用するとよい。アンカー層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0049】
以上の構成のインサート成形用ハードコートフィルム10によれば、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、を有し、ハードコート層14は、電離放射線により硬化する組成物で構成されており、ハードコート層14の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm2であり、150℃において100N/mm2以下であることから、耐傷性に優れ、保管時などの圧痕が抑えられ、プレフォーム後の表面平滑性に優れる。
【0050】
図2は、他の実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルムの断面図である。
図2に示すように、他の実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルム20は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、ハードコート層14の面上に形成された粘着剤層16と、粘着剤層16の面上に形成された保護フィルム18と、を有する。ハードコート層14の面上に、粘着剤層16を介して保護フィルム18が配置されている。なお、保護フィルム18が自己粘着性を有するものである場合には、粘着剤層16を省略することもできる。
【0051】
他の実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルム20は、一実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルム10と比較して、ハードコート層14の面上に、粘着剤層16を介して保護フィルム18が配置されている点が相違し、これ以外については一実施形態に係るインサート成形用ハードコートフィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0052】
(粘着剤層)
粘着剤層16は、保護フィルム18をハードコート層14の面上に貼り付けるためのものである。粘着剤層16は、粘着剤を含む粘着剤組成物で構成される。粘着剤としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。また、粘着剤層16は、粘着付与剤を含有する樹脂組成物で構成されてもよい。樹脂組成物の樹脂としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
【0053】
粘着剤としては、透明性や耐熱性に優れるなどの観点から、アクリル系粘着剤が特に好ましい。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
【0054】
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリルモノマーの単独重合体もしくは共重合体である。(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
【0055】
アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、炭素数2~30のアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。炭素数2~30のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチルなどが挙げられる。
【0056】
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチルなどが挙げられる。カルボキシル基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
【0057】
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。水酸基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
【0058】
(メタ)アクリル重合体を形成する(メタ)アクリルモノマーは、上記のいずれか1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0059】
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
粘着剤組成物には、(メタ)アクリル重合体、架橋剤以外に、その他添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着付与樹脂(タッキファイヤー)、帯電防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、剥離助剤、顔料、染料、湿潤剤、増粘剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属不活性剤、アルキル化剤、難燃剤などが挙げられる。これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して使用される。
【0061】
粘着剤層16の厚みは、特に限定されるものではないが、1~10μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2~7μmの範囲内である。
【0062】
粘着剤層16の、ハードコート層14に接する面の算術平均表面粗さ(Ra)は、200nm以下であることが好ましい。より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。上記算術平均表面粗さ(Ra)が200nm以下であれば、ハードコート層14に貼り合わせて保管、輸送や、必要に応じて実施される加飾工程などを経ても、ハードコート層14は凹凸が抑制された美観に優れたものとすることができる。
【0063】
(保護フィルム)
保護フィルム18は、例えばロールプロセスなどで連続加工や、ハードコート層14の形成に続く加飾工程などの取扱い時において、ハードコート層14の表面に傷が付くのを抑えることができるものである。保護フィルム18は、印刷工程後、プレフォームする前に、粘着剤層16とともにハードコート層14の面から剥がされる。このため、粘着剤層16は、ハードコート層14と粘着剤層16の間の接着力よりも保護フィルム18と粘着剤層16の間の接着力のほうが強く、ハードコート層14と粘着剤層16の間で界面剥離可能な接着力に調整される。
【0064】
保護フィルム18を構成する材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリシクロオレフィン,シクロオレフィンコポリマーなどのポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。保護フィルム18を構成する材料は、これらのうちの1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。これらのうちでは、機械特性や材料コストなどの観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンがより好ましい。
【0065】
保護フィルム18は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
【0066】
保護フィルム18の厚みは、特に限定されるものではないが、2~500μmの範囲内、2~200μmの範囲内とすることができる。
【0067】
保護フィルム18は、ハードコート層14の面上に、粘着剤層18を介して貼り合わせる。貼合は、例えば、ラミネーターなどを用いることができる。また、貼り合わせた後、必要に応じて、エージングを行ってもよい。
【0068】
本発明に係るインサート成形用ハードコートフィルムは、射出成形などによって成形される樹脂成形品の表面に配置されて樹脂成形品の耐傷性の向上などを図るためのものである。本発明に係るインサート成形用ハードコートフィルムは、樹脂成形品にインサート成形されることで、樹脂成形品と一体接着される。これにより、本発明に係るインサート成形品が得られる。本発明に係るインサート成形品は、自動車の内装部品や、携帯電話などの電化製品のパネルや外装パーツに用いられる樹脂成形品として好適である。特に、深絞りされる樹脂成形品として好適である。
【0069】
本発明に係るインサート成形品は、本発明に係るインサート成形品の製造方法により得ることができる。本発明に係るインサート成形品の製造方法は、以下の(1)~(7)の工程を有する。なお、場合に応じて、以下の(2)の工程は省略することもできる。
図5には、インサート成形品の製造工程を示す。
【0070】
(1)基材フィルムの面上にハードコート層を形成して、ハードコートフィルムを得る工程。
(2)ハードコート層の面上に粘着剤層を介して保護フィルムを貼り合わせる工程。
(3)粘着剤層とともに保護フィルムを剥離して、ハードコートフィルムをプレフォーム型で成形品表面の形状に成形する工程。
(4)成形したハードコートフィルムに電離放射線を照射してハードコート層を硬化させる工程。
(5)硬化させたハードコートフィルムを射出成形機の成形用金型である可動型と固定型の間に配置する工程。
(6)成形用金型の型締め後、キャビティ内に樹脂を射出成形すると同時に樹脂成形品の表面に、硬化させたハードコートフィルムを一体化接着する工程。
(7)樹脂成形品の冷却固化後に型開きして、樹脂成形品の表面に硬化させたハードコートフィルムが一体接着されたインサート成形品を成形用金型の型外に取り出す工程。
【0071】
上記(1)は、上記インサート成形用ハードコートフィルム10を得る工程である。
図5(a)に示すように、基材フィルム12の面上にハードコート層14を形成して、インサート成形用ハードコートフィルム10を得る。ハードコート層14は、上記するように、電離放射線により硬化する組成物で構成され、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm
2であり、150℃において100N/mm
2以下である。
【0072】
上記(2)は、上記インサート成形用ハードコートフィルム20を得る工程である。
図5(b)に示すように、ハードコート層14の面上に粘着剤層16を介して保護フィルム18を貼り合わせる。粘着剤層16は、上記するように、ハードコート層14に接する面の算術平均表面粗さ(Ra)が200nm以下である。
【0073】
上記(3)は、インサート成形用ハードコートフィルム10のプレフォーム工程である。
図5(c)に示すように、インサート成形用ハードコートフィルム20から、粘着剤層16とともに保護フィルム18を剥離して、インサート成形用ハードコートフィルム10をプレフォーム型24で成形品表面の形状に成形する。インサート成形用ハードコートフィルム10は、このプレフォーム工程で、成形品表面の形状に合わせたプレフォーム型24を用いて成形される。インサート成形用ハードコートフィルム10は、プレフォーム工程の前に、必要に応じて上記加飾が行われる。
【0074】
プレフォーム工程とは、インサート成形用フィルム10を加熱し、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形などの方法により、射出成形金型形状に対応したプレフォーム型を用い賦形する工程である。真空成形は、例えば予めインサート成形用フィルム10を加熱して軟化させ、プレフォーム型24とインサート成形用ハードコートフィルム10との間を真空にし、インサート成形用ハードコートフィルム10をプレフォーム型に沿わせ成形するものである。圧空成形は、例えば予めインサート成形用フィルム10を加熱して軟化させ、圧縮空気の力でインサート成形用フィルム10を引きのばしてプレフォーム型24に沿わせ成形するものである。プレス成形は、例えば予めインサート成形用フィルム10を加熱して軟化させ、プレフォーム型24と凹型でインサート成形用フィルム10を挟み込んでプレフォーム型24に沿わせ成形するものである。
【0075】
予めインサート成形用ハードコートフィルム10を加熱する温度は、基材フィルム12のガラス転移温度に近いことが好ましい。具体的には、基材フィルム12がポリカーボネートとポリメタクリル酸メチルの2層積層フィルムである場合、130~200℃の範囲、好ましくは145~180℃の範囲、より好ましくは145~160℃の範囲である。加熱温度は、例えば赤外線放射温度計を用いてインサート成形用ハードコートフィルム10の表面温度を検知することによって測定できる。
【0076】
上記(4)は、成形したインサート成形用ハードコートフィルム10に電離放射線を照射してハードコート層14を硬化させる工程である。上記(4)において、インサート成形用ハードコートフィルム10は、プレフォーム工程完了後、プレフォーム型24に沿わせたまま、あるいはプレフォーム型24から取り外して、
図5(d)に示すように、電離放射線を照射する装置26から電離放射線を照射することによりハードコート層14を完全に硬化させる。ここで、完全に硬化させるとは、ハードコート層14の硬化度が60%以上であることを言い、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、上限は100%である。硬化度は、フーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製「IR-PRESTIGE21」)を用いて、基材フィルム12に塗布し乾燥した直後のハードコート層14のエチレン性不飽和結合に帰属される吸光度を0とし、積算光量1000mJ/cm
2の紫外線を照射した後さらにもう一度積算光量1000mJ/cm
2の紫外線を照射し、エチレン性不飽和結合に帰属される吸光度が変化ないときの値を100として、硬化させた後のハードコート層14のエチレン性不飽和結合に帰属される吸光度の大きさから求めることができる。
【0077】
電離放射線としては、紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の紫外線照射装置を用いることができる。紫外線照射は、必要に応じて、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。紫外線照射量は、特に限定されるものではないが、50~500mJ/cm2が好ましく、100~400mJ/cm2がより好ましい。
【0078】
また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50~1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100~300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
【0079】
上記(5)~(7)は、インサート成形の工程である。インサート成形法とは、プラスチック射出成形技術の1種で、合成樹脂の中でも、主に熱可塑性樹脂に熱と圧力を加えて、これを溶解(可塑化)し、適当な流動状態となったものを、高い圧力(射出圧)のもとに、閉鎖した金型内に高速で流し込み充分固化させて取り出す射出成形において、予め金型内にプレーフォーミングしたインサート成形用フィルムを挿入しておき、フィルムと一体化した樹脂成型品を得る方法である。
【0080】
インサート成形は、まず、プレフォーミングされたインサート成形用ハードコートフィルム10を、射出成形機の成形用の金型(可動型)の内側に配置する。次いで、前記金型を閉じ、射出成形機のホッパーに供給した成形樹脂である熱可塑性樹脂をスクリューの回転によって計量するとともに混練し、高温で溶解した成形樹脂を射出し、成形時の圧と熱により、樹脂成形品を形成するのと同時にその表面にインサート成形用ハードコートフィルム10を一体化して接着する。次に、金型を冷却後、開いて、
図5(e)にように、樹脂成形品22にインサート成形用ハードコートフィルム10が一体化されたインサート成形品30を取り出す。
【0081】
このような射出成形に使用する成形樹脂は、透明性を有していれば特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂や、その他の熱硬化樹脂を用いることができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0083】
(ハードコート層形成用組成物<1>)
アクリル樹脂を含有する紫外線硬化性組成物(日本化工塗料製「NXD-001A」を用いた。
【0084】
(ハードコート層形成用組成物<2>)
<ハードコート層形成用樹脂組成物2の調製>
変性アクリル樹脂およびシリカ粒子を含有する紫外線硬化性組成物(アイカ工業製「Z-624-12L」)を用いた。
【0085】
(ハードコート層形成用組成物<3>)
変性アクリル樹脂を含有する紫外線硬化性組成物(アイカ工業製「Z-608-2AF(PGM)」)に溶剤を加え、固形分濃度20質量%となるように希釈して、ハードコート層形成用組成物<3>を得た。
【0086】
(ハードコート層形成用組成物<4>)
変性アクリル樹脂およびシリカ粒子を含有する紫外線硬化性組成物(アイカ工業製「Z-624-12L」)と、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレートを含有する紫外線硬化性組成物(東亞合成製「M403」)とを、固形分の質量比が8:1となるように混合し、溶剤を加え、固形分濃度30質量%となるように希釈して、ハードコート層形成用組成物<4>を得た。
【0087】
(ハードコート層の形成)
基材フィルム(エスカーボシート製「C003F」、PC/PMMA複合フィルム(PC厚230μm/PMMA厚70μm))のPMMA層上に、ワイヤーバーを用いて、ハードコート層形成用組成物を塗布した後、80℃×60秒で乾燥し、基材フィルムの面上にハードコート層(厚み3.5μm)を形成した。
【0088】
(保護フィルムの貼合)
上記ハードコート層の面上に、粘着剤層がハードコート層に接するように、粘着剤層付き保護フィルムを配置し、ハンドローラを用いて貼合した後、ラミネーターを用いて圧着した(ニップ圧0.6MPa/500mm)。その後、294×210mmにカットし、16.2g/cm2(294×210mmのフィルムに対し10kg)の荷重をかけて48時間静置した。以上により、ハードコートフィルムを作製した。
【0089】
・粘着剤層付き保護フィルム<1>:東山フイルム製「HPF13」(ポリエステルフィルム38μm、アクリル系粘着剤層10μm)
・自己粘着性保護フィルム<2>:東レフィルム加工製「7A82」(粘着付与剤含有ポリエチレン系粘着層を有するポリプロピレンフィルム30μm)
・自己粘着性保護フィルム<3>:フタムラ化学製「FSA-150M」(ゴム系粘着層を有するポリプロピレンフィルム30μm)
【0090】
(プレフォーム)
作製したハードコートフィルムを210×148mmにカットし、粘着剤層付き保護フィルムを剥離した後、2台の赤外線ヒータを用いて、ハードコートフィルムを上下から挟むようにして加熱した。赤外線ヒーターとハードコートフィルム間の距離は100mm、赤外線ヒーターの温度600℃、加熱温度7秒とした。加熱7秒後のハードコートフィルム1の表面温度は150℃であった。次いで、ハードコートフィルムからハードコート層とは反対側の赤外線ヒーターを遠ざけ、直ちに、プレフォーム型(42×60mm、絞り深さ30mmの箱型)とハードコートフィルムとの間を真空にしながら、ハードコートフィルムのハードコート層とは反対側の面を押し当てて、プレフォーム型に沿わせて成形した。このとき、ハードコート層側の赤外線ヒーターは600℃のまま加熱し続け、プレフォーム型の温度は90℃とした。ハードコートフィルムをプレフォーム型に押し当てて5秒間静置後、プレフォーム型から取り出した。
【0091】
(紫外線照射)
プレフォームしたハードコートフィルムのハードコート層側に、紫外線照射装置(アイグラフィックス製、高圧水銀ランプ)を用いて光量200mJ/cm2の紫外線を照射して、ハードコート層を完全に硬化させた。
【0092】
<評価方法>
(ハードコート層の厚さ)
ハードコートフィルムのハードコート層の厚さは、厚み測定システム(フィルメトリクス製「Filmetrics F20」)を用い、分光干渉法により測定した。
【0093】
(ハードコート層の押込み硬さ)
粘着剤層付き保護フィルムを剥離したハードコートフィルムを15mm×15mmにカットし、超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス社製「ENT-NEXUS」)を用いて、ISO14577 Standard methodに基づいて、30℃および150℃の環境下、Berkovich圧子(三角錐ダイヤモンド圧子、稜間角115°)を測定サンプルに押し込み、荷重―除荷試験を行い試験データの解析によりハードコート層の押込み硬さを得た。最大押し込み荷重を400μN、最大荷重保持時間を5秒とし、解析時に使用する除荷の割合は200%とした。
【0094】
(算術平均表面粗さ)
非接触表面・層断面形状計測システム(三菱ケミカルシステム製「Vertcan2.0(型式:R5300GL-L-A100-AC)」)を用い、表面の算術平均粗さRaを測定した。
【0095】
(ハードコート層表面の凹凸)
プレフォーム後のインサート成形用ハードコートフィルムを、蛍光灯下で目視観察し、以下の基準で評価した。
〇・・・凹凸が全く見られない
△・・・わずかに表面がうねって見える
×・・・はっきりと凹凸が見える
【0096】
(圧痕)
ハードコートフィルムを、保護フィルムを上にして鉄板(厚さ6mm)の上に置き、ステンレス製圧子(1.5kg、先端形状直径1mmの円柱)を乗せた。5秒間荷重をかけた後に除荷し、5分後に粘着剤層付き保護フィルムを剥離して、ハードコート層表面を蛍光灯下で目視観察し、以下の基準で評価した。
〇・・・圧子の跡が全く見られない
×・・・圧子の跡が見える
【0097】
(ハードコート層の鉛筆硬度)
プレフォーム後紫外線を照射して完全に硬化させた後のインサート成形用ハードコートフィルムを50mm×100mmにカットし、厚さ2mmのガラス板の上に置き、ハードコート層表面の鉛筆硬度を測定した。鉛筆硬度試験機(テスター産業製)を使用してJIS K 5600-5-4に規定された方法によって測定した。試験荷重は500gで、鉛筆の硬度を変えながら繰り返し試験を行い、同じ鉛筆で、生じたキズやへこみが5回中1回以内であったときの最大の硬度を評価値とした。
【0098】
【0099】
比較例1は、30℃における押し込み硬さが200N/mm2を超えるため、完全に硬化させた後のハードコート層の鉛筆硬度がHBと低い。比較例2~4は、30℃における押し込み硬さが10N/mm2未満であるため、保管時や加飾工程で圧痕がつきやすい。また、150℃における押し込み硬さが100N/mm2を超えるため、プレフォーム工程で加熱中のレベリング性不足に起因して硬化後の表面粗さが大きく、美観に劣る。さらに比較例4は、保護フィルムの表面粗さRaが180nmと比較的高いため、プレフォーム工程で加熱してもハードコート表面が平滑に戻らない傾向がある。
【0100】
これに対し、実施例1~6は、ハードコート層が電離放射線により硬化する組成物で構成されており、ハードコート層の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm2であり、150℃において100N/mm2以下であることから、完全に硬化させた後のハードコート層の鉛筆硬度が3Hまたは4Hと硬く、耐傷性に優れる。また、保管時などの圧痕が抑えられることがわかる。さらに、プレフォーム後の表面平滑性に優れることがわかる。
【符号の説明】
【0101】
10、20 インサート成形用ハードコートフィルム
12 基材フィルム
14 ハードコート層
16 粘着剤層
18 保護フィルム
22 樹脂成型品
24 プレフォーム型
26 電離放射線を照射する装置
【要約】
【課題】耐傷性に優れ、保管時などの圧痕が抑えられ、プレフォーム後の表面平滑性に優れるインサート成形用ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層14と、を有し、ハードコート層14は、電離放射線により硬化する組成物で構成されており、ハードコート層14の、ナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、30℃において10~200N/mm
2であり、150℃において100N/mm
2以下である、インサート成形用ハードコートフィルム10とする。
【選択図】
図1