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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】高圧受電用設備
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/32 20060101AFI20220104BHJP
   H02B 5/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H02B1/32 A
H02B5/00 Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018029367
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2019146395
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】中塩 賀雄
(72)【発明者】
【氏名】幅 和己
(72)【発明者】
【氏名】宮川 貴行
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-025828(JP,A)
【文献】特開2003-018678(JP,A)
【文献】特開2005-259001(JP,A)
【文献】特開平06-339206(JP,A)
【文献】特開平10-243507(JP,A)
【文献】特開2005-222139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱の内部に受配電機器を備えた高圧受電用設備であって、
箱の内部または外部に設けたセンサを接続し、センサの計測信号を数値変換することが可能な演算モジュールを複数備えたモジュールパネルを箱の開口に面して設置し
前記モジュールパネルに備えられた演算モジュールのうちの一つは、センサからのデータを集め、データを外部に出力するマイクロサーバである高圧受電用設備。
【請求項2】
演算モジュールと接続するコンセント若しくは電源端子台をモジュールパネルに備えた請求項1に記載の高圧受電用設備。
【請求項3】
正面視でトランスの上部となる場所を避けるようにモジュールパネルを設置した請求項1又は2に記載の高圧受電用設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧受電用設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キュービクルなどといわれる高圧受電用設備が知られている。特許文献1に記載されていることから理解されるように、高圧受電用設備にセンサを取り付けて用いることも知られている。高圧受電用設備にセンサを取り付けて用いようとすると、センサとセットとなる演算モジュールの取り付けが必要となる場合がある。この場合、多数種類のセンサを取り付けると、対応する演算モジュールが多数必要になる。また、外部にデータを送信しようとする場合、通信用に別途モジュールが必要になる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-120656号公報
【0004】
ところで、高圧受電用設備には点検時等に必要なスペース、高圧機器の配置により他の機器を設置できないスペースがある。演算モジュールなどの種類が増えるとそれらを設置する場所を確保する必要があるが、個々にばらばらに配置した場合、配線作業や電源確保作業が手間となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、高圧受電用設備の箱内に複数の演算モジュールを設置可能な場所を設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、箱の内部に受配電機器を備えた高圧受電用設備であって、箱の内部又は外部に設けたセンサを接続した複数の演算モジュールを備えたモジュールパネルを箱の開口に面して設置した高圧受電用設備とする。
【0007】
また、ブレーカー群と並ぶようにモジュールパネルを配置することが好ましい。
【0008】
また、演算モジュールと接続する電源供給部をモジュールパネルに備えた構成とすることが好ましい。
【0009】
また、箱の内部にトランスを備えており、モジュールパネルが、トランスと扉との間の空間に設置された構成とすることが好ましい。
【0010】
また、箱の内部に高圧開閉器を備えており、モジュールパネルが、正面視で高圧開閉器が露出するように設置された構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、高圧受電用設備の箱内に複数の演算モジュールを設置可能な場所を設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】片扉の箱に片支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の上に並べて設置した高圧受電用設備の正面図である。
図2】片扉の箱に片支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の上に並べて設置した高圧受電用設備の斜視図である。
図3】片扉の箱に片支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の上に並べて設置した高圧受電用設備の断面図である。ただし、扉は省略している。また、破線と矢印でトランスよりも前側の部位を示している。
図4】片扉の箱に両支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の下に並べて設置した高圧受電用設備の正面図である。ただし、扉は省略している。
図5】片扉の箱に両支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の下に並べて設置した高圧受電用設備の断面図である。ただし、扉は省略している。また、破線と矢印でトランスよりも前側の部位を示している。
図6図4などに示す高圧受電用設備に取り付けた両支持タイプのモジュールパネルの正面図である。
図7】両開きの扉を備える箱に両支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の下に並べて設置した高圧受電用設備の正面図である。ただし、扉は省略している。
図8】両開きの扉を備える箱に両支持タイプのモジュールパネルをブレーカー群の下に並べて設置した高圧受電用設備の断面図である。ただし、扉は省略している。また、破線と矢印でトランスよりも前側の部位を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の高圧受電用設備1は、箱11の内部に受配電機器を備えており、箱11の内部又は外部に設けたセンサを接続した複数の演算モジュールを備えたモジュールパネル3を箱11の開口13に面して設置している。このため、高圧受電用設備1の箱11内に複数の演算モジュールを設置可能な場所を設けることが可能となる。なおモジュールパネル3は箱11の開口13の両側に垂直に配置される機器取付レール20に固定されている。
【0014】
箱11の内部には受配電機器としてトランス14、高圧開閉器19、配線用遮断器等が設置されている。高圧開閉器19としては、高圧負荷開閉器(LBS)、高圧遮断器(CB)、断路器(DS)等があり、定期的に点検作業が行なわれる。
【0015】
図1乃至3などに示すことから理解されるように、実施形態の高圧受電用設備1は、送電線を通って送られた高圧の電気を変換するために用いられるトランス14(変圧器)を箱11内の下部に備えている。このトランス14によって電気が降圧され、各目的箇所に送られる。なお、図1乃至5に示す例では、トランス14は電灯用としても動力用としても使えるものであるが、電灯用のトランスと動力用のトランスを別々に設けることもできる。
【0016】
実施形態の高圧受電用設備1は、箱11内にモジュールパネル3を設置することで、複数の演算モジュールを集めて配置することができる。実施形態のモジュールパネル3は、箱11の開口13に面して設置されているため、開口13を塞ぐために用いられる扉12が閉じられていると、モジュールパネル3は視認できない。一方、扉12が開けられると、モジュールパネル3の表面側が視認できるようになる。また、扉12が開いている状態では、モジュールパネル3に設置された演算モジュールに容易に接近することができ、点検作業や交換作業などをスムーズに行うことができる。なお、扉12に対してモジュールパネル3に対応する位置に窓を設けることで、扉12が閉じた状態であっても、モジュールパネル3を視認できるようにしても良い。
【0017】
実施形態のモジュールパネル3の正面側には、複数の演算モジュールが配置されている。このモジュールパネル3には、箱11の内及び/又は外に配置されたセンサの計測信号を数値変換することが可能な演算モジュールを備えている。この演算モジュールはマイクロサーバ54などであっても良いし、地震センサ56などのようにセンサと演算モジュールが一体で構成されているようなものでもよい。
【0018】
図1乃至図3に示す例では、モジュールパネル3は、左側が支持されている片支持タイプであるが、図4及び図5に示されているように、左右両側が支持される両支持タイプのモジュールパネル3としても良い。この場合、図6に示すように、モジュールパネル3に搭載する機器点数を多くし易くなる。なお、図1乃至図3に示す例では、演算モジュールである漏電火災報知器51や電力計52をモジュールパネル3に備えているが、演算モジュールである絶縁監視装置53については扉12に取り付けている。一方、図6に示す例では、演算モジュールである漏電火災報知器51や電力計52や絶縁監視装置53やマイクロサーバ54や環境センサモジュール55や地震センサ56をモジュールパネル3に備えている。
【0019】
モジュールパネル3はトランス14よりも前側に配置することが好ましい。高圧受電用設備1の下部に配置されたトランス14と扉12の間にモジュールパネル3を配置すれば、高圧受電用設備1の上部に備えた高圧開閉器19の点検作業時にモジュールパネル3が障害となることを回避することができる。なお、モジュールパネル3を高圧開閉器19の付近に設置する場合は、高圧受電用設備1を正面から見て、高圧開閉器19が露出するようにモジュールパネル3を設置することが好ましい。すなわち、箱11の開口13より高圧開閉器19に望む空間を残すようにモジュールパネル3を設置することが好ましい。言い換えると、正面から見た場合、高圧開閉器19の周囲にモジュールパネル3を設置することが好ましい。高圧開閉器19は定期的な点検作業時に開閉操作を行う場合があるが、このように設置すれば、モジュールパネル3が点検作業の障害になることを防ぐことができる。また、トランス14と扉12との間の空間にモジュールパネル3を設置すれば、高圧開閉器19との間に十分な距離を確保できるため、点検時の安全性を確保できるため、好ましい。なお、定期点検では、配線接続部の増し締めなどのメンテナンスを行う。開閉器、遮断器など機器の操作に支障を来たさない位置にモジュールパネル3を取付けるほうが好ましいのは勿論のことである。なお、高圧受電用設備1の設置時にはトランス14の電源タップを変更する場合があるので、高圧受電用設備1を正面から見た場合、トランス14の上部を避けてモジュールパネル3を取り付けることが好ましい。
【0020】
図1乃至図5に示す例では、トランス14よりも前側にモジュールパネル3を配置している。この中でも図4及び図5に示す例では、トランス14と扉12の間にモジュールパネル3が位置することになる。特に、正面両開きの扉12を備える箱11の場合、動力トランス14と扉12の間にモジュールパネル3を配置することが好ましい。なお、正面両開きの扉12を備える箱11の場合、図7及び図8に示すように、図1乃至3に示す片扉12の箱11に比べて、左右方向に長い箱11となる。なお、図7に示す例では右下側に動力トランス14が配置されているが左下側には電灯トランス(図示せず)が配置されている。なお、トランス14と扉12との間の空間には扉12の裏面も含まれる。また、図1に示すように一部の演算モジュール(図示の例では絶縁監視装置53)がモジュールパネル3より分離して扉12の裏面に設置されていてもよい。
【0021】
また、トランス14の前側に配置した三相用のブレーカーと、三相用ブレーカーの下側に配置した単相用のブレーカーとの間にモジュールパネル3を配置することもできる。三相用のブレーカー及び/又は単相用のブレーカーが集合することで形成されたブレーカー群61と並ぶようにモジュールパネル3を配置することが好ましい。図1乃至3においては、モジュールパネル3はブレーカー群61の上側に並ぶように配置されている。また、図4及び図5図7及び図8においては、モジュールパネル3はブレーカー群61の下側に並ぶように配置されている。
【0022】
実施形態では、三相用のブレーカーや単相用のブレーカーは各々トランス14の前側に配置したブレーカー取付レール62に固定されているが、実施形態のモジュールパネル3は、このブレーカー取付レール62に固定される。このためモジュールパネル3の裏面は、ブレーカー取付レール62に固定するために用いられる取付部を備えている。なお、モジュールパネル3はブレーカー取付レール62と兼用としても良い。
【0023】
箱11の外側に取り付けられるセンサとしては、日照計、温度計、湿度計及び雨量計などが例示できる。このようなものを複数まとめた気象計91を箱11の外側に取り付けても良い。これらは演算モジュールの一つである環境センサモジュール55に接続され、この環境センサモジュール55で計測信号が数値に変換される。
【0024】
箱11の内側に取り付けられるセンサとしては、絶縁センサ、電流計、電圧計、温度計、遮断信号及びドア開閉信号などが例示できる。実施形態では、絶縁センサは演算モジュールである絶縁監視装置53に接続し、部分的な放電を検出するものとして用いられる。電流計、電圧計、遮断信号及びドア開閉信号は演算モジュールであるマイクロサーバ54に接続して用いられる。温度計は演算モジュールである環境センサモジュール55に接続して用いられる。
【0025】
実施形態のモジュールパネル3の表面には、演算モジュールや電源供給部や配線用遮断器81を備えている。演算モジュールを動かすために必要な電気は電源供給部から提供できる。電源供給部としてはコンセント71や電源端子台72などとすればよい。コンセント71の場合、複数の差し込み口を備えたコンセントバーとしても良い。このように演算モジュールと接続する電源供給部をモジュールパネル3に備えたものとすることで、配線の引き回しの手間を抑制することができる。なお、電源供給部はモジュールパネル3に固定された演算モジュール以外にも電源を供給できるようにしても良い。例えば、箱11の底面に設置した地震センサ56に用いる電気を、モジュールパネル3に固定した電源供給部から提供しても良い。
【0026】
演算モジュールは、センサの計測信号を信号用端子台に接続された信号線から取得するものとしても良い。この場合、モジュールパネル3の表面に信号用端子台を固定すれば、演算モジュールとセンサの接続が煩雑な状態となることを抑制することができる。また、演算モジュール間の信号線はモジュールパネル3に設けたダクト等に収納してもよい。なお、モジュールパネル3の表面に信号用端子台を固定すれば、センサの配線をモジュールパネル3の信号用端子台に集中させることができるため、点検時にセンサ等の配線が邪魔になることがない。このため、作業性を向上させることができる。
【0027】
演算モジュールで変換されたデータをマイクロサーバ54に集めるものとしても良い。この場合、マイクロサーバ54に集められた情報を外部に出力するようにしても良い。このため、マイクロサーバ54にはアンテナ82を接続するものとしても良い。
【0028】
ここで、モジュールパネル3を備えた高圧受電用設備1の出荷から配線するまでの流れの例を簡単に説明する。まず、箱11内に固定される各センサは工場出荷段階で取り付けられる。この状態の高圧受電用設備1を設置箇所まで搬送し、設置現場で箱11の外に固定されるセンサを取り付ける。その後、モジュールパネル3を固定し配線を完了する。もちろん、このような順に作業を行う必要は無く、適切な作業を適宜行えばよい。
【0029】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、電灯トランスと扉の間にモジュールパネルを配置することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 高圧受電用設備
3 モジュールパネル
11 箱
12 扉
13 開口
14 トランス
61 ブレーカー群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8