(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】分離器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/04 20060101AFI20220127BHJP
B65D 1/36 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
B65D25/04 G
B65D1/36
(21)【出願番号】P 2018056441
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【氏名又は名称】杉本 和之
(72)【発明者】
【氏名】相馬 克彦
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-008919(JP,A)
【文献】米国特許第04942277(US,A)
【文献】米国特許第05215196(US,A)
【文献】実開平07-027413(JP,U)
【文献】実開昭62-139418(JP,U)
【文献】特開2011-240943(JP,A)
【文献】米国特許第05332102(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/04
B65D 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポップコーンを入れるカップ内に配置される分離器であって、
前記分離器が前記カップ内に配置されたときに、前記カップの底を覆い、前記カップの前記底を下底とする二重底の上底となる上底部を備え、
前記上底部は、
上に凸の錐台の側部形状の部分を有し前記ポップコーンに混ざった不発粒が下る傾斜面と、
前記傾斜面を囲んで配置され前記分離器の外縁を形成する環状の環状板であって、前記分離器が前記カップ内に配置されたときに、前記カップの底面と板面が平行であり前記カップの内周面にその外周が対向する環状板と、
前記ポップコーンは通過しないが前記不発粒は通過する大きさで、前記傾斜面を下った前記不発粒が通過して下方に落ちることが可能な通過孔と、
を備える、
分離器。
【請求項2】
前記傾斜面は、下方に凸の湾曲面を有し、
前記湾曲面の最下部は、前記通過孔に向かって延びかつ下っている、
請求項1に記載の分離器。
【請求項3】
前記上底部は、複数の前記通過孔を備え、
前記複数の通過孔は、前記側部形状の部分の外周に沿って配置されている、
請求項1又は2に記載の分離器。
【請求項4】
前記傾斜面は、上に凸の角錐台の側部形状の部分を有し、
前記側部形状の部分は、前記角錐台の側面それぞれに相当し下方に凸の複数の湾曲面を有し、
前記上底部は、複数の前記通過孔を備え、
前記複数の湾曲面それぞれの最下部は、前記複数の通過孔それぞれに向かって延びかつ下っている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項5】
前記環状板は、その外周から外側に突出する舌片を、更に備え、当該舌片は、前記分離器が前記カップ内に配置されたときに、前記カップの内周面との間で位置決めをする、
請求項1から4のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項6】
前記上底部から下方に突出し、前記カップとの間に隙間を形成する支持脚を、更に備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポップコーン用の分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポップコーンを入れる容器として種々の容器が開発されている。例えば、特許文献1には、ポップコーンを入れることが可能な蓋付きの容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポップコーンは、ポップ種のトウモロコシの粒を加熱して弾けさせて作られる。しかし、作られたポップコーンには、弾けなかった粒(不発粒)が混入することもある。このような不発粒が混ざった状態のポップコーンを容器に入れた場合、ポップコーンを食べる人が、不発粒を誤食してしまうことがある。特許文献1に記載の容器では、この誤食が考慮されていない。
【0005】
本発明は、不発粒の誤食を防止する分離器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る分離器は、
ポップコーン(例えば、ポップコーンP)を入れるカップ(例えば、カップ100)内に配置される分離器(例えば、分離器200、300)であって、
前記分離器が前記カップ内に配置されたときに、前記カップの底(例えば、底120)を覆い、前記カップの前記底を下底とする二重底の上底となる上底部(例えば、上底部210、310)を備え、
前記上底部は、
上に凸の錐台の側部形状の部分(例えば、湾曲傾斜部213A~213I、稜線傾斜部214A~214Iの各上面から構成される九角錐の側部形状の傾斜面)を有し前記ポップコーンに混ざった不発粒(例えば、不発粒H)が下る傾斜面(例えば、環状傾斜部212、湾曲傾斜部213A~213I、稜線傾斜部214A~214Iの各上面から構成される傾斜面)と、
前記傾斜面を囲んで配置され前記分離器の外縁を形成する環状の環状板(例えば、環状板215)であって、前記分離器が前記カップ内に配置されたときに、前記カップの底面と板面が平行であり前記カップの内周面にその外周が対向する環状板と、
前記ポップコーンは通過しないが前記不発粒は通過する大きさで、前記傾斜面を下った前記不発粒が通過して下方に落ちることが可能な通過孔(例えば、切り欠き孔217A~217I、貫通孔317A~317I)と、
を備える。
【0007】
前記傾斜面は、下方に凸の湾曲面(例えば、湾曲傾斜部213A~213I)を有し、
前記湾曲面の最下部(例えば、最下部M)は、前記通過孔に向かって延びかつ下っている(例えば、
図1、
図6参照)、
ようにしてもよい。
【0008】
前記上底部は、複数の前記通過孔(例えば、切り欠き孔217A~217I、貫通孔317A~317I)を備え、
前記複数の通過孔は、前
記側部形状の部分の外周に沿って配置されている(例えば、
図1、
図6参照)、
ようにしてもよい。
【0009】
前記傾斜面は、上に凸の角錐台の側部形状の部分(例えば、湾曲傾斜部213A~213I、稜線傾斜部214A~214Iの各上面から構成される九角錐の側部形状の傾斜面)を有し、
前記側部形状の部分は、前記角錐台の側面それぞれに相当し下方に凸の複数の湾曲面(例えば、湾曲傾斜部213A~213I)を有し、
前記上底部は、複数の前記通過孔(例えば、切り欠き孔217A~217I、貫通孔317A~317I)を備え、
前記複数の湾曲面それぞれの最下部(例えば、最下部M)は、前記複数の通過孔それぞれに向かって延びかつ下っている(例えば、
図1、
図6参照)、
ようにしてもよい。
【0010】
前記環状板(例えば、環状板215)は、その外周から外側に突出する舌片(例えば、舌片216A~216I)を、更に備え、当該舌片は、前記分離器が前記カップ内に配置されたときに、前記カップの内周面との間で位置決めをしてもよい。
前記上底部から下方に突出し、前記カップとの間に隙間を形成する支持脚(例えば、支持脚230P~230R)を、更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不発粒の誤食を防止する分離器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の一実施の形態に係る分離器を斜め上から見た分離器の斜視図。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る分離器を斜め下から見た分離器の斜視図。
【
図4】
図1の容器であってポップコーンP及び不発粒Hが入った容器の断面図。
【
図5】
図1の容器であってポップコーンP及び不発粒Hが入った容器の斜視図。
【
図6】本発明の一実施の形態の変形例に係る容器の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る容器10等について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0014】
(容器10の構造)
容器10は、カップ100(
図1、
図4、及び
図5)と、分離器200(
図1~
図5)と、を備える。容器10は、映画館等で販売されるポップコーンP(
図4、
図5)の容器として使用される。容器10には、ポップコーンPの他、ポップコーンPを作る過程において弾けることができなかったトウモロコシの粒である不発粒H(
図4、
図5)も混入してしまう。
【0015】
カップ100は、カップ100の側壁を形成している筒体110と、筒体110の下側開口を塞いでおり、カップ100の底を形成している底120と、を備える。カップ100は、紙製、樹脂製等であればよい。
【0016】
分離器200は、シートを立体形状に成形した形状を有する。分離器200は、例えば一定の厚みで形成されている。分離器200は、カップ100内に配置される。具体的に、分離器200は、カップ100の底120に載置され、カップ100に入れられたポップコーンPと不発粒Hとのうち不発粒Hのみを底120に落とす(詳細は後述)。このようにして、分離器200は、ポップコーンPと不発粒Hとを分離する。
【0017】
分離器200は、上底部210と、支持脚230P~230Rと、を備える。分離器200は、例えば、合成樹脂により射出成形、圧空成型、又は、真空成型で、一体に形成されていてもよい。また、合成樹脂以外に、紙を分離器200の素材として用いてもよい。紙を素材とする場合、例えばパルプモールド成形により分離器200を形成してもよい。また、紙に合成樹脂を積層し、積層後のものにプレス成形を行う方法などにより、分離器200を形成してもよい。
【0018】
上底部210は、底120を覆う。分離器200がカップ100の底120に載置されることで、底120を下底、上底部210を上底とする二重底が形成される。
【0019】
上底部210は、頂部211と、環状傾斜部212と、湾曲傾斜部213A~213Iと、稜線傾斜部214A~214Iと、環状板215と、舌片216A~216Iと、切り欠き孔217A~217Iと、を備える。
【0020】
頂部211は、分離器200の中央かつ最も上方(カップ100の開口側)に位置している。頂部211は、円板状に形成されている。
【0021】
環状傾斜部212と、湾曲傾斜部213A~213Iと、稜線傾斜部214A~214Iと、は、上底部210の中央の大部分を占め、全体で、内周が高く、外周側に向けて下っている1つの傾斜面を形成している。なお、環状傾斜部212と、湾曲傾斜部213A~213Iと、稜線傾斜部214A~214Iと、は、シートを立体形状に形成したものであり、以下で説明する各部の形状の説明は、その各部の上面によって形成される傾斜面の説明でもある。
【0022】
環状傾斜部212は、平面視したときに環状であり、頂部211を上面とする上に凸の円錐台の側部(側面)形状(ほぼ側部といえる形状を含む。他の形状についても同様)に形成されている。従って、環状傾斜部212は、内周から外周に向けて下った形状である。環状傾斜部212の内周縁は、頂部211に繋がっており、環状傾斜部212の外周縁は、湾曲傾斜部213A~213I及び稜線傾斜部214A~214Iに繋がっている。
【0023】
湾曲傾斜部213A~213Iそれぞれと、稜線傾斜部214A~214Iそれぞれとは、交互に配置され、隣り合うもの同士は繋がっている。例えば、湾曲傾斜部213Aは、稜線傾斜部214Aと稜線傾斜部214Bとに挟まれ、両者と繋がっている。湾曲傾斜部213A~213Iと稜線傾斜部214A~214Iとからなる部分は、上に凸の九角錐台の側面及び斜辺からなる側部形状に形成されている。湾曲傾斜部213A~213Iそれぞれは、当該九角錐台の各側面に相当しており、各側面の形状に形成されている。稜線傾斜部214A~214Iそれぞれは、当該九角錐台の各斜辺(稜線)に相当しており、各斜辺の形状に形成されている。
【0024】
湾曲傾斜部213A~213Iは、平面視したとき(上方から見たとき)に、環状傾斜部212から環状板215に向けて放射状に延びている。湾曲傾斜部213A~213Iそれぞれは、同形状であり、以下では、湾曲傾斜部213A~213Iを総称して湾曲傾斜部213ともいう。
【0025】
湾曲傾斜部213は、環状板215に向けて末広がりに広がる台形形状に形成されている。湾曲傾斜部213は、環状傾斜部212側の一端部(台形の上辺部)よりも、環状板215側の他端部(台形の下辺部)の方が低くなるように傾斜している。さらに、湾曲傾斜部213は、上底部210の周方向の中央が低くなるように、下方(底120側)に凸に湾曲している。従って、湾曲傾斜部213における湾曲形状の最下部Mは、湾曲傾斜部213の前記一端部の中央から前記他端部の中央に延びている。湾曲傾斜部213A~213Iそれぞれの最下部Mは、湾曲傾斜部213を中心として環状板215に向けて放射状に延びている。湾曲傾斜部213の前記他端部の中央部(湾曲した下部分)は、環状板215に繋がっている。
【0026】
稜線傾斜部214A~214Iは、環状傾斜部212から環状板215に向けて放射状に延びている。稜線傾斜部214A~214Iそれぞれは、同形状であり、以下では、稜線傾斜部214A~214Iを総称して稜線傾斜部214ともいう。
【0027】
稜線傾斜部214は、環状傾斜部212側の一端部よりも環状板215側の他端部の方が低くなるように傾斜している。稜線傾斜部214の前記他端部は、下方に屈曲し、環状板215に繋がっている。また、当該他端部は、環状板215側に向けて徐々に幅広となる形状に形成されており、湾曲傾斜部213の前記他端部の中央部以外の部分と環状板215とに繋がって、両者の間を埋めている。
【0028】
環状板215は、湾曲傾斜部213A~213Iと稜線傾斜部214A~214Iとを囲む、板状の環状部分である。環状板215は、カップ100の底120と平行なドーナツ板状に形成されている。環状板215の内周縁は、湾曲傾斜部213A~213I及び稜線傾斜部214A~214Iに繋がっている。
【0029】
舌片216A~216Iそれぞれは、環状板215の外周縁から外側に突出した底120と平行な平板状の凸部である。舌片216A~216Iそれぞれは、カップ100の筒体110の内周面近傍まで延び、内周面に対向する。このため、舌片216A~216Iは、分離器200がカップ100内で大きく移動しないように当該分離器200を位置決めする機能を有する。舌片216A~216Iそれぞれは、稜線傾斜部214A~214Iそれぞれに対応した位置に設けられている(符号のアルファベットが同じもの同士が対応している)。具体的に、舌片216A~216Iそれぞれは、平面視において、対応する稜線傾斜部214の延長線上(傾斜方向の先)に位置している。例えば、舌片216Aは、稜線傾斜部214Aの延長線上に位置している。
【0030】
舌片216A、216D、及び、216Gは、支持脚230P~230Rを設けるスペースを確保するため、舌片216B、216C、216E、216F、216H、及び、216Iよりも、幅(環状板215の周方向の長さ)が広い。なお、舌片216A~216Iを、総称して、舌片216ともいう。
【0031】
切り欠き孔217A~217Iは、環状板215と、飛び飛びに設けられている舌片216A~216Iと、により形成されている。切り欠き孔217A~217Iそれぞれは、上底部210の外周を切り欠いた部分である。切り欠き孔217A~217Iそれぞれは、湾曲傾斜部213A~213Iそれぞれに対応した位置に設けられている(符号のアルファベットが同じもの同士が対応している)。具体的に、切り欠き孔217A~217Iそれぞれは、平面視において、対応する湾曲傾斜部213の傾斜方向(前記一端部から前記他端部に向かう方向)の延長上に位置している。特に、切り欠き孔217A~217Iそれぞれは、平面視において、対応する湾曲傾斜部213の湾曲形状における最下部Mの延長線上に配置されている。例えば、切り欠き孔217Aは、最下部Mの延長線上に位置している部分を有する。つまり、最下部Mは、切り欠き孔217Aに向けて下っている。切り欠き孔217A~217Iは、湾曲傾斜部213A~213I及び稜線傾斜部214A~214Iからなる部分の周方向に沿ってならんでいる。
【0032】
切り欠き孔217A~217Iのうち、切り欠き孔217B、217E及び217Hは、残りの切り欠き孔217よりも幅が広い。これは、舌片216A、216D、及び、216Gの幅が、他の舌片216よりも広いからである。切り欠き孔217A~217Iを、総称して、切り欠き孔217ともいう。
【0033】
切り欠き孔217は、カップ100の筒体110の内周面と対向する。切り欠き孔217は、筒体110の内周面と対向したときに、ポップコーンPは通過しないが不発粒Hは通過することができる形状に形成されている。
【0034】
支持脚230Pは、幅広の舌片216Aと環状板215との境界部分に設けられている。支持脚230Qは、幅広の舌片216Dと環状板215との境界部分に設けられている。支持脚230Rは、幅広の舌片216Gと環状板215との境界部分に設けられている。支持脚230P~230Rは、同形状であり、総称して、支持脚230ともいう。支持脚230は、シートを下に凸に屈曲させた形状に形成されている。支持脚230は、環状板215及び舌片216A等から下側に突出している。支持脚230の下端は、カップ100の底120に当たる。従って、支持脚230P~230Rは、上底部210を、カップ100の底120よりも上方の位置(底120から離れた位置)で支持する。
【0035】
(容器10の作用効果)
カップ100の底120に分離器200が載置された容器10に、ポップコーンPが入れられると、分離器200の上底部210がカップ100の底120よりも上方に位置しているので、当該上底部210上に当該ポップコーンPが盛られる。容器10には、ポップコーンPとともに不発粒Hが入ってしまう。例えばポップコーンP及び不発粒Hが入った容器10を揺すると、不発粒Hは、下方に移動し、分離器200(上底部210)上に落ちる。分離器200に落ちた不発粒Hは、上底部210(特に、環状傾斜部212、湾曲傾斜部213A~213I、及び、稜線傾斜部214A~214Iにより形成される、内周から外周に向けて下った傾斜面。なお、当該傾斜面を以下、傾斜面Kともいう。)上を下る(転げ落ち又は滑り落ちる)。下った不発粒Hは、環状板215まで移動し、切り欠き孔217A~217Iのいずれかを通過して、最終的にはカップ100の底120に落ちる。一方、ポップコーンPは、切り欠き孔217A~217Iを通過できない。これにより、ポップコーンPと不発粒Hとが分離され、不発粒Hは、主に底120と上底部210との間に移動する。ポップコーンPを食べる者は、上底部210により、底120まで手を入れることができない。従って、ポップコーンPを食べる者は、底120に落ちた不発粒Hを取ることができない。これにより、ポップコーンPを食べる者が、不発粒Hを食べてしまうことを防止できる。
【0036】
また、湾曲傾斜部213は、上底部210の周方向における中央が低くなるように、下方(底120側)に凸に湾曲しているので、湾曲傾斜部213上の不発粒Hは、当該湾曲傾斜部213の湾曲形状における最下部Mに移動し(転げ又は滑り落ちやすい)、最下部M上を下りやすい(転げ又は滑り落ちやすい)(
図5の矢印Nを参照)。その後、不発粒Hは、当該最下部Mの延長上に位置する切り欠き孔217を通過し底120に落ちる。以上のように、この分離器200は、湾曲傾斜部213により、不発粒Hを効率的に切り欠き孔217A~217Iのいずれかに集めることができる形状になっている。つまり、分離器200は、効率良く不発粒HとポップコーンPとを分離できる。また、稜線傾斜部214は、幅狭であるため、稜線傾斜部214上に落ちた不発粒Hは、隣の湾曲傾斜部213に移動しやすい(転げ又は滑り落ちやすい)。これにより、不発粒Hは、最終的に切り欠き孔217A~217Iに移動しやすく、分離器200は、効率良く不発粒HとポップコーンPとを分離できる。
【0037】
また、上底部210は、湾曲傾斜部213A~213Iと、稜線傾斜部214A~214Iとにより形成された1つの傾斜面を有し、当該傾斜面は、上に凸の九角錐台の側部形状であり、内周から外周に向けて下っている形状である。そして、その傾斜面の外周に沿って、切り欠き孔217A~217Iが並んで配置されているので、傾斜面を下った不発粒Hは、切り欠き孔217A~217Iのいずれかに容易に落ちることができる。このように、分離器200は、効率良く不発粒HとポップコーンPとを分離できる。
【0038】
また、上底部210は、上に凸の九角錐台の側部形状の部分(湾曲傾斜部213A~213Iと、稜線傾斜部214A~214Iとからなる部分)を有し、当該部分は、前記角錐台の側面それぞれに相当しかつ下方に凸の複数の湾曲面(湾曲傾斜部213A~213Iの各傾斜面)を有し、各湾曲面の最下部は、切り欠き孔217A~217Iそれぞれに向かって延びかつ下っている。これにより、不発粒Hは、切り欠き孔217A~217Iのいずれかに容易に落ちることができる。このように、分離器200は、効率良く不発粒HとポップコーンPとを分離できる。
【0039】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されない。上記の実施の形態について、種々の変形を適用してもよい。以下、変形例を例示するが、各変形例の少なくとも一部同士を組みあわせてもよい。なお、以下では、上記実施の形態で説明したものと同じ、同等、又は、対応するものについては、同じ符号を付している。
【0040】
(変形例1)
分離器200の形状を、他の形状に変更してもよく、例えば、
図6に示す分離器300のような形状としてもよい。分離器300の上底部310は、切り欠き孔217A~217Iの代わりに、貫通孔317A~317I(総称して、貫通孔317ともいう。)を備える。貫通孔317は、上底部310の環状板315に設けられる。環状板315は、環状板215及び舌片216A~216Iの代わりに設けられている。環状板315は、湾曲傾斜部213A~213Iと稜線傾斜部214A~214Iとを囲む板状部分である。環状板315は、カップ100の底120と平行なドーナツ板状に形成されており、湾曲傾斜部213A~213I及び稜線傾斜部214A~214Iに繋がっている。貫通孔317A~317Iは、この環状板315に、周方向に沿って並んで形成されている。環状板315の外周は、カップ100の筒体110の内周面近傍で全周にわたって対向する(これにより、分離器300位置決めされる)。貫通孔317A~317Iは、切り欠き孔217A~217Iと同様の位置(つまり、対応する湾曲傾斜部213の傾斜方向の延長上の位置)にあればよい。これにより、貫通孔317A~317Iに不発粒Hを効率的に集めることができる。
【0041】
このように分離器は、切り欠き孔217、貫通孔317などの、ポップコーンPは通過するが、不発粒Hは通過可能な通過孔であって、上底部210の傾斜面を下った不発粒Hが通過可能な位置に設けられた通過孔を有するとよい。なお、通過孔は、切り欠き孔217等の切り欠きを含む。分離器には、複数の通過孔が設けられることが好ましい。複数の通過孔のうちの一部は、切り欠き孔217からなり、複数の通過孔のうちの残りは、貫通孔317からなってもよい。
【0042】
切り欠き孔217、貫通孔317等の通過孔の数は、任意である。例えば、切り欠き孔217Aと切り欠き孔217Bとを繋げてもよい(つまり、舌片216Aを省略してもよい)。貫通孔317Aと貫通孔317Bとを繋げてもよい。当該通過孔は、上記傾斜面Kの外周を囲むように形成されることで、不発粒Hを効率的にカップ100の底120に落とすことができる。
【0043】
例えば、分離器300に、貫通孔317を下方から覆う上部開口の箱状の凹部(環状板315の一部を下方に凸となるように屈曲させた部分等)を形成してもよい。この場合、上記通過孔は前記凹部の開口となり、当該通過孔を通った不発粒Hは、底120に落ちるのではなく、凹部内に落ちて捕集されてもよい。
【0044】
通過孔の位置は、分離器200の中央であってもよい。この場合、例えば、上底部210を下方に凸のすり鉢形状とし、そのすり鉢の底に通過孔を設ける。
【0045】
(変形例2)
上底部210の形状は、不発粒Hが下る傾斜面(上記実施の形態では、傾斜面K)を有する形状であれば、任意である。例えば、湾曲傾斜部213と稜線傾斜部214との数を変更してもよい。例えば、湾曲傾斜部213と稜線傾斜部214とを7つずつにして、上底部210の傾斜面を、上に凸の七角錐台の側部形状の部分(面)を有する形状に変更してもよい。また、湾曲傾斜部213と稜線傾斜部214の部分を、上に凸の円錐台の側面形状に変更してもよい。環状傾斜部212の形状も、角錐台の側面形状に変更してもよい。頂部211と、環状傾斜部212と、湾曲傾斜部213と、稜線傾斜部214と、からなる部分を、円錐の側部(側面)形状、角錐の側部(側面及び斜辺)形状、円錐台の上面及び側部(側面)形状、角錐台の上面及び側部(側面及び斜辺)形状に変更してもよい。
【0046】
上底部210が有する前記傾斜面は、通過孔に向かって下っているとよい。特に、当該傾斜面は、湾曲傾斜部213の傾斜面のように、下方に凸で、その最下部が、前記の通過孔に向かって延びかつ下っている湾曲面を有するとよい。また、当該傾斜面は、上に凸の錐台(円錐台及び角錐台を含む)の側部形状の部分(面)を有し、前記のような複数の通過孔が、前記錐台の側部形状の部分の外周に沿って配置されているとよい。当該傾斜面を形成している傾斜部(上記実施の形態では、環状傾斜部212、湾曲傾斜部213A~213I、及び、稜線傾斜部214A~214Iから構成される部分)は、円錐台、角錐台等の他、円錐、角錐等の形状であってもよい。当該傾斜面は、全体として円錐又は角錐の側部形状であってもよい。この場合、当該傾斜面の一部として、錐台の側部の形状の部分が形成されることになり、当該傾斜面は、当該部分を有することになる。また、傾斜面は、上に凸の角錐台の側部形状の部分を有し、当該部分は、前記角錐台の側面それぞれに相当する、下方に凸の複数の湾曲面を有し、各湾曲面の最下部は、通過孔それぞれに向かって延びかつ下っているようにするとよい。
【0047】
(変形例3)
支持脚230P~230R(支持部)を設けなくてもよい。この場合、例えば、分離器200は、上底部210のみから構成され、上底部210の外周部(舌片216)がカップ100の筒体110(上開口側が幅広となっている)の内壁に引っ掛かるようにして、カップ100内に配置されてもよい。また、上記の分離器200等の分離器は、カップ100から取り外し自在であるが、分離器とカップ100とを一体的に形成し、または、分離器をカップ100に固定し、カップ100から分離器を取り外しできないようにしてもよい。また、上記上底部210等は、シート状でなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 容器
100 カップ
110 筒体
120 底
200 分離器
210 上底部
211 頂部
212 環状傾斜部
213A~213I 湾曲傾斜部
214A~214I 稜線傾斜部
215 環状板
216A~216I 舌片
217A~217I 切り欠き孔
230P~230R 支持脚
300 分離器
310 上底部
315 環状板
317A~317I 貫通孔