(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A61H7/00 323L
A61H7/00 323K
(21)【出願番号】P 2016054192
(22)【出願日】2016-03-17
【審査請求日】2019-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀川 翼
(72)【発明者】
【氏名】森友 淳史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 泉
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-143249(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102499847(CN,A)
【文献】特開2003-180780(JP,A)
【文献】特開2007-167249(JP,A)
【文献】特開2013-022405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体支持部であるフットレストと座部を有し、前記身体支持部の内部に設けられた身体
をマッサージするマッサージユニットと、前記マッサージユニットを前記身体支持部に支持された身体の長手方向に移動させる移動手段と、前記座部と前記フットレストに設けられたガイドレールと、制御部と、を有するマッサージ機において、
前記マッサージユニットは、施療子と、前記施療子が先端に設けられた左右対のアームと、前記左右対のアームと連結するとともに当該左右対のアームを近接離反させる
左右方向を軸方向とする駆動軸と、前記駆動軸を回転させることで少なくとも施療子を
互いに離反させて身体の
内側面に接近させる位置変更手段と、を有し、
前記移動手段によって、前記マッサージユニットは、少なくとも前記フットレストに対応する位置から前記座部に対応する使用者の臀部位置までを前記ガイドレールに沿って移動し、
前記制御部は、前記移動手段と位置変更手段を制御して、前記マッサージユニットを前記フットレストへ位置させた状態で、前記施療子を
互いに離反させて身体の
内側面に接近させる様に位置変更させることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記マッサージユニットを前記フットレストへ位置させた後に、前記施療子を
互いに離反させて身体の
内側面に接近させる様に位置変更させ、前記マッサージユニットを前記座部側へ移動させる動作を行うことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記フットレストは、壁部を有しており、
前記制御部は、前記フットレストにおいて、施療子を位置変更して身体を前記壁部と施療子の間に位置させ、前記マッサージユニットを移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記マッサージユニットの施療子は、左右対となっており、
前記制御部は、前記位置変更手段を制御して、対の前記施療子を接近させた後に、下肢の
内側面に接近させて、マッサージを行うことを請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記身体支持部は、使用者の脚部を保持し、
前記制御部は、前記移動手段を制御して前記マッサージユニットを使用者の脚部の長手方向に移動させることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記フットレストは、壁部を有しており、
前記制御部は、
前記マッサージユニットを足首側に位置させた後に、対の前記施療子を使用者の脚部の
内側面に接近させ、
前記施療子と前記壁部によって使用者の脚部を狭圧する動作と、前記マッサージユニットを脹脛側へと移動させる動作と、を連動させて行うことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記身体支持部は、使用者の大腿部を保持し、
前記制御部は、前記移動手段を制御して前記マッサージユニットを使用者の大腿部の長手方向に移動させることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記座部は、壁部を有しており、
前記制御部は、
前記マッサージユニットを膝側に位置させた後に、対の前記施療子を使用者の大腿部の
内側面に接近させ、
前記施療子と前記壁部によって使用者の大腿部を狭圧する動作と、前記マッサージユニットを臀部側へと移動させる動作と、を連動させて行うことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記マッサージ機は、更に背凭れ部を有しており、
前記背凭れ部には、前記ガイドレールが設けられており、
前記移動手段によって前記マッサージユニットは、前記ガイドレールに沿って移動することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記マッサージ機は、更に前記身体支持部である肘掛け部を有しており、
前記肘掛け部の内部に設けられた身体の背面をマッサージする腕部マッサージユニットと、
前記腕部マッサージユニットを前記肘掛け部に支持された身体の長手方向に移動させる腕部用移動手段と、を有し、
前記肘掛け部には、腕部用ガイドレールが設けられており、
前記腕部用移動手段によって前記腕部用マッサージユニットは、前記腕部用ガイドレールに沿って移動することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記肘掛け部は、使用者の腕部を保持し、
前記制御部は、前記腕部用移動手段を制御して前記腕部用マッサージユニットを腕部の長手方向に移動させることを特徴とする請求項10に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記肘掛け部は、壁部を有しており、
前記制御部は、
前記腕部用マッサージユニットを手首側へと移動させた後に、前記施療子を使用者の腕部の
内側面に接近させ、
前記施療子と前記壁部によって腕を狭圧する動作と、マッサージユニットを肘側へと移動させる動作と、を連動させて行うことを特徴とする請求項10又は11に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部、背凭れ部及びフットレストを一体的に構成した椅子本体に、座部、背凭れ部及びフットレストに沿うように一体的に形成したロングガイドレールを内装し、このロングガイドレールに沿ってマッサージユニットが移動可能であるマッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。このマッサージ機は、椅子本体をリクライニング可能であり、単一のマッサージユニットによって上半身から下半身にかけて全身施療を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のマッサージ機にあっては、身体を裏側から施療すると身体支持部から身体が浮いてしまい、効果的な施療ができないという問題がある。椅子本体に支持された身体は部位ごとに体重が異なる。このため、体重の軽い部位をマッサージする際に、施療子により身体が押され、身体支持部から身体が浮き上がってしまい、うまくマッサージすることができない。そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、身体の浮き上がりを防止し、身体に対して効果的なマッサージを行えるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、身体支持部と、身体支持部の内部に設けられたマッサージユニットと、マッサージユニットを身体支持部に支持された身体の長手方向に移動させる移動手段と、制御部と、を有するマッサージ機において、前記マッサージユニットは、施療子と、少なくとも施療子を身体の側面に接近させる位置変更手段と、を有し、前記制御部は、前記移動手段と位置変更手段を制御して、前記マッサージユニットを身体の細い側へ位置させた状態で、前記施療子を身体の側面に接近させる様に位置変更させることを特徴とする。
身体の細い側へ位置させた状態で前記施療子を身体の側面に接近させるで、施療子を身体の側面に位置させやすく、身体支持部から身体が浮き上がらずに、良好なマッサージが可能となる。
【0006】
また、前記制御部は、前記マッサージユニットを身体の細い側へ位置させた後に、前記施療子を身体の側面に接近させる様に位置変更させ、前記マッサージユニットを身体の太い側へ移動させる動作を行う様、制御してもよい。
この様に制御することで、身体支持部から身体が浮き上がらずに、側部から良好なマッサージを行うことが可能となる。
【0007】
また、前記身体支持部は、壁部を有しており、前記制御部は、施療子を位置変更して身体を壁部と施療子の間に位置させ、前記マッサージユニットを移動させる様、制御してもよい。
この様に構成することで、身体支持部から身体が浮き上がらずに、施療子と壁部で身体をマッサージすることが可能であり、位置を変更しながら側部をマッサージできる。
【0008】
また、前記マッサージユニットの施療子は、左右対となっており、前記制御部は、前記位置変更手段を制御して、対の施療子を接近させた後に、下肢の側面に接近させて、マッサージを行う様、制御してもよい。
この様に制御することで、身体支持部に支持された2つ脚部を左右に割り振って、施療を行うことができる。また身体支持部から身体が浮き上がらずに、施療子と壁部で身体をマッサージすることが可能であり、位置を変更しながら側部をマッサージできる。
【0009】
また、前記身体支持部は、脚部を保持し、前記制御部は、前記移動手段を制御してマッサージユニットを脚部の長手方向に移動させる様、制御してもよい。
この様に制御することで、身体支持部から脚部が浮き上がらずに、脚部の側部に良好なマッサージを行うことが可能となる。
【0010】
また、前記制御部は、マッサージユニットを足首側に位置させた後に、対の施療子を脚部の側面に接近させ、前記施療子と壁部によって脚部を狭圧する動作と、マッサージユニットを脹脛側へと移動させる動作と、を連動させて行う様、制御してもよい。
この様に制御することで、身体支持部から脚部が浮き上がらずに、脚部の側部に良好なマッサージを行うことが可能となる。
【0011】
また、前記身体支持部は、大腿部を保持し、前記制御部は、前記移動手段を制御してマッサージユニットを大腿部の長手方向に移動させる様、制御してもよい。
この様に構成することで、大腿部をマッサージできる。
【0012】
また、前記制御部は、マッサージユニットを膝側に位置させた後に、対の施療子を大腿部の側面に接近させ、前記施療子と壁部によって大腿部を狭圧する動作と、マッサージユニットを臀部側へと移動させる動作と、を連動させて行う様、制御してもよい。
この様に制御することで、身体支持部から大腿部が浮き上がらずに、大腿部の側部に良好なマッサージを行うことが可能となる。
【0013】
また、前記身体支持部は、腕部を保持し、前記制御部は、前記移動手段を制御してマッサージユニットを腕部の長手方向に移動させる様、制御してもよい。
この様に構成することで、腕部をマッサージできる。
【0014】
また、前記制御部は、マッサージユニットを手首側へと移動させた後に、前記施療子を腕部に接近させ、前記施療子と壁部によって腕を狭圧する動作と、マッサージユニットを肘側へと移動させる動作と、を連動させて行う様、制御してもよい。
この様に制御することで、身体支持部から腕が浮き上がらずに、腕の側部に良好なマッサージを行うことが可能となる。
【0015】
また、前記マッサージ機は、フットレストと座部と背凭れ部とを有しており、前記背凭れ部と座部とフットレストには、ガイドレールが設けられており、前記移動手段によってマッサージユニットは、前記ガイドレールに沿って移動する様、制御してもよい。
この様に制御することで、マッサージユニットは背凭れ部からフットレストまでマッサージを行うことが可能となる。
【0016】
また、前記マッサージ機は、更に肘掛け部を有しており、前記肘掛け部には、ガイドレールが設けられており、前記移動手段によってマッサージユニットは、前記ガイドレールに沿って移動する様、制御してもよい。
この様に制御することで、マッサージユニットは肘掛け部に載置された腕にマッサージを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、身体支持部から身体が浮き上がらずに、側部から良好なマッサージを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る起立姿勢のマッサージ機の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る起立姿勢のマッサージ機の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るブロック図である。
【
図5】リクライニング姿勢のマッサージ機の右側面図である。
【
図18】マッサージユニットが足首で施療を行っている図である。
【
図19】マッサージユニットが脹脛で施療を行っている図である。
【
図20】マッサージユニットが膝で施療を行っている図である。
【
図21】マッサージユニットが大腿部で施療を行っている図である。
【
図22】マッサージユニットが手首で施療を行っている図である。
【
図23】マッサージユニットが肘側で施療を行っている図である。
【
図24】マッサージユニットが身体の細い側で施療を行っている図である。
【
図25】マッサージユニットが身体の太い側で施療を行っている図である。
【
図26】マッサージユニットが身体の細い側で施療を行っている図である。
【
図27】マッサージユニットが身体の太い側で施療を行っている図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[マッサージ機の全体構成]
以下、本発明のマッサージ機1の全体構成について説明する。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、
図1及び
図2に示す起立姿勢のマッサージ機1に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとする。また、以下の説明で用いる方向の概念のうち、「表側」とは、マッサージ機1に着座した使用者の身体の表側(例えば、顔、胸、腹又はすね側)を向く方向をいい、「裏側」とは、同使用者の身体の裏側(例えば、後頭部、背中、腰又はふくらはぎ側)を向く方向をいう。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る起立姿勢のマッサージ機1の斜視図である。
図2は本発明の一実施形態に係る起立姿勢のマッサージ機1の斜視図である。
図3はマッサージ機1のブロック図である。
図4は起立姿勢のマッサージ機1の右側面図である。
図5はリクライニング姿勢のマッサージ機1の右側面図である。
図6は椅子本体2の斜視図である。
図7は
図6に示す椅子本体2の背面図である。
図8は椅子本体2の斜視図である。
図9は
図8に示す椅子本体2の底面図である。なお、
図8及び
図9では、身体載置部21及びバックカバー40を省略して図示している。
図10は右側の第1フレーム10の斜視図である。
図11は右側のガイドレール26の斜視図である。
図12は椅子本体2の断面を示す図である。
図13は肘掛け部15の断面を示す図である。
図14はマッサージユニット8の斜視図である。
図15はマッサージユニット8の側面図である。
図16はマッサージユニット8の側面図である。
【0021】
図1~
図5に示すとおり、本発明のマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部3と、座部3の後部に設けられた使用者が凭れる背凭れ部4と、座部3の前部に設けられた使用者の下肢を支持するフットレスト5と、を備えた椅子本体2と、椅子本体2を床面から所定の高さで支持する脚フレーム6と、椅子本体2の各種動作を制御する制御部7と、を有している。椅子本体2は、使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。
本実施形態では、座部3、背凭れ部4及びフットレスト5は一体的に構成されているが、座部3と背凭れ部4は別体として分離していてもよいし、座部3とフットレスト5は別体として分離していてもよい。椅子本体2には、揉みマッサージ及び/又は叩きマッサージを行うマッサージユニット8が設けられている。座部3の左右両側には、使用者の腕部を載置する肘掛け部15が設けられている。また、肘掛け部15は使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。
【0022】
椅子本体2は、左右方向を軸方向とする枢軸A1を介して脚フレーム6に連結されている。また、椅子本体2と脚フレーム6の間には、椅子本体2を前後方向にリクライニングさせるアクチュエータ9が設けられている。このアクチュエータ9は、伸縮動作する直動式のアクチュエータ9により構成されている。アクチュエータ9が伸縮動作することにより、椅子本体2は
図4に示す起立姿勢から
図5に示すリクライニング姿勢までの間の任意の位置で停止できるようになっている。アクチュエータ9の駆動は制御部7により制御される。
【0023】
[椅子本体の構成]
図6~
図13に示すとおり、椅子本体2(身体支持部)は、主として、左右で対をなして左右方向に板面を有する板状の金属よりなる第1フレーム10と、第1フレーム10に固着され左右方向に所定の厚みを有する樹脂よるなる第2フレーム20と、左右の第1フレーム10を連結する第3フレーム30と、マッサージユニット8を裏側から覆うバックカバー40と、マッサージユニット8を表側から覆う伸縮性を有する生地等よりなるカバー41と、を有している。本実施形態では、バックカバー40は、樹脂を用いたインジェクション成形により構成されているが、樹脂を用いた真空成型により構成してもよいし、第1フレーム10と同様に板状の金属により構成してもよい。
【0024】
[第1フレームの構成]
図10に示すとおり、第1フレーム10は、背凭れ部4に対応する位置に設けられた上部第1フレーム10aと、座部3及びフットレスト5に対応する位置に設けられた下部第1フレーム10bと、に分離している。上部第1フレーム10aは、側面視において腰部に対応する位置で前方へ若干隆起した形状である。下部第2フレーム10bは、側面視において膝部に対応する位置で下方に屈曲した形状である。すなわち、第1フレーム10の表側は、椅子本体2に着座する使用者の身体の裏側に沿った形状となっている。
【0025】
第1フレーム10は、左右方向に板面を有する側部11と、側部11の表裏方向における両端部から左右方向へ延設された延設部12と、を有している。側部11には、側面視で略三角形の凸部又は凹部よりなるリブ13が形成されており、第1フレーム10の強度確保に寄与している。延設部12は、表側から左右外側へ延設された第1延設部12aと、裏側から左右内側へ延設された第2延設部12bと、を有している。この延設部12は、第1フレーム10の左右方向の強度確保に寄与している。すなわち、第1フレーム10が左右方向へ変形することを防止できる。延設部12及びリブ13は、単一の金属板をプレス加工することにより、まとめて形成することができる。従って、延設部12は、側部11の身長方向における全長に亘って形成されている。
【0026】
上述したとおり、第1フレーム10は左右方向に板面を有する板状の金属により構成されているため、プレス加工によって容易に曲げることができ、リブ13も容易に形成することができる。従って、椅子本体2を安価に製造できる。また、第1フレーム10の周囲に外装を構成する部材(例えば、樹脂等よりなる外装パネル)を別途必要とせず、部品点数を削減できる。また、使用者の重量が大きく作用する左右方向と直交する方向(表裏方向)の強度を確保できる。
【0027】
[第2フレーム(身体載置部)の構成]
図6~
図13に示すとおり、第2フレーム20は、使用者の身体が載置される身体載置部21と、マッサージユニット8の身長方向に沿った移動をガイドするガイドレール26と、を有している。本実施形態では、身体載置部21及びガイドレール26は、樹脂により構成されているが、少なくともいずれか一方が樹脂により構成されていればよい。樹脂には、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又はチップウレタン等様々な樹脂材料が含まれる。
【0028】
身体載置部21は、身長方向に延設された左右で対をなす第1部分22と、左右方向に延設された第2部分23a~23cと、を有している。
図7及び
図8に示すとおり、第1部分22は、左右の第1フレーム10における第1延設部12aに固着されている。具体的には、第1部分22は、第1延設部12aの表側に載置された状態で裏側からネジ止めされている。
図6に示すとおり、第1部分22は、第1フレーム10と同様に、背凭れ部4に対応する位置に設けられた上部第1部分22aと、座部3及びフットレスト5に対応する位置に設けられた下部第1部分22bと、に分離している。上部第1部分22aは、側面視において腰部に対応する位置で前方へ若干隆起した形状である。下部第1部分22bは、側面視において膝部に対応する位置で下方に屈曲した形状である。すなわち、第1部分22の表側は、椅子本体2に着座する使用者の裏側に沿った形状である。
【0029】
第1部分22は、左右内側が第1延設部12aに固着されており、第1延設部12aの左右寸法よりも長寸である。すなわち、身体載置部21は、左右方向に所定の厚みを有している。第1延設部12aは、側部11の表側から左右外側へ延設されているため、左右で対をなす第1部分22を離反して配置することができる。従って、身体載置部21の左右寸法を大きくしなくても、身体載置部21により身体(特に身体の側部)を安定して支持することができる。また、第2フレーム20は左右方向に所定の厚みを有する樹脂により構成されているため、椅子本体2の左右方向の強度を確保することができる。換言すると、板状の金属よりなる第1フレーム10が左右方向へ変形することを防止できる。
【0030】
図6~
図8に示すとおり、第2部分23a~23cは、左右の第1フレーム10における第1延設部12aに固着されている。具体的には、第2部分23a~23cは、第1延設部12aの表側に載置された状態で裏側からネジ止めされている。第2部分23a~23cは、頭部側と脚先側に設けられている。頭部側の第2部分23a,23bは、背凭れ部4の上面を構成する第2部分23aと、背凭れ部4の前面を構成する第2部分23bと、を有している。第2部分23aは、第1部分22と一体的に構成されている。第2部分23bは、第1部分22とは別体の部材であり、その外側面が第1部分22の内側面に当接して設けられている。第2部分23bは、身体(特に頭部)を支持することができる。脚先側の第2部分23cは、第1部分22と一体的に構成されている。第2部分23cは、身体(特に下肢)を支持することができる。また、第2部分23cは、左右の下肢を振り分けて支持できるように、身長方向に直交する断面が凹状である凹部24が左右で対をなして形成されている。
【0031】
左右方向に延設された第2部分23a,23cが第1部分22と一体的に構成されていること、及び/又は左右方向に延設された第2部分23bが第1部分22の内側面に当接して設けられていることにより、左右方向に離反して配置された対の第1フレーム10が、使用者の重量によって左右内側又は外側へ傾くことを防止できる。すなわち、椅子本体2の左右方向の強度を確保することができる。また、身体載置部21は、身長方向に延設された左右で対をなす第1部分22と、左右方向に延設された頭部側及び脚先側の第2部分23a~23cと、により、表裏方向に開口する開口25が形成されている。そして、身体載置部21に載置された身体の裏側に対して、開口25を通じてマッサージユニット8によりマッサージを行うことができる。
また、
図2に示す様に、開口25を覆う様に、カバー41が設けられている。
【0032】
[第2フレーム(ガイドレール)の構成]
図8及び
図11に示すとおり、ガイドレール26は、身長方向に沿って延設されており、左右の第1フレーム10における側部11に固着されている。具体的には、ガイドレール26は、側部11の内側面に当接した状態で左右外側からネジ止めされている。ガイドレール26は、背凭れ部4、座部3及びフットレスト5それぞれに対応する位置に設けられており、座部3及び背凭れ部4の境界近傍と、座部3及びフットレスト5の境界近傍と、には、湾曲部26aを有している。従って、マッサージユニット8は、背凭れ部4から座部3を経由してフットレスト5までの間をガイドレール26に沿って移動可能である。
【0033】
ガイドレール26は、身長方向に直交する断面が、左右内側に開口する略コの字型に形成されている。具体的には、ガイドレール26は、側部11に当接する第1壁部26bと、第1壁部26bの一端部から左右内側へ立設された第2壁部26cと、第1壁部26bの他端部から左右内側へ立設された第3壁部26dと、を有している。すなわち、ガイドレール26は、左右方向に所定の厚みを有している。第1壁部26bには、マッサージユニット8が有するガイドピン84が嵌合する左右内側に開口するガイド溝26eが設けられている。第3壁部26dの表側には、マッサージユニット8が有するピニオン83が係合するラック26fが設けられている。マッサージユニット8は、ピニオン83が回転するとガイドピン84及びガイド溝26eによりガイドされながら身長方向に沿って移動することができる。
【0034】
上述したとおり、第2フレーム20は左右方向に所定の厚みを有する樹脂により構成されているため、椅子本体2の左右方向の強度を確保することができる。また、板状の金属よりなる第1フレーム10と樹脂よりなる第2フレーム20を組み合わせて椅子本体2を構成しているため、金属のパイプ材を組み合わせた従来の椅子本体(のフレーム)に比べて軽量化することができる。また、第2フレーム20を第1フレーム10にネジ止めしているため、溶接作業を削減できる。
【0035】
また、
図12に示す様に、第1フレーム10と身体載置部21によって、壁部101が形成されており、前記壁部101と壁部101の間には開口25があり、前記壁部101と壁部101に亘る様にカバー41が張設されている。
壁部101と壁部101に張設されたカバー41により身体支持部が形成されている。
前述の通り、この身体支持部で使用者の身体を支持している。
【0036】
[第3フレームの構成]
図8及び
図9に示すとおり、椅子本体2は、左側の第1フレーム10から右側の第1フレーム10に亘って架設された第3フレーム30を有している。第3フレーム30は、第1フレーム10と同様に板状の金属より構成されており、左右の第1フレーム10同士を連結している。第3フレーム30は、身長方向に複数設けられており、具体的には、背凭れ部4に対応する位置に2つ、座部3に対応する位置に1つ、フットレスト5に対応する位置に1つ、座部3と背凭れ部4の境界近傍に1つ設けられている。背凭れ部4、座部3及びフットレスト5に対応する位置の第3フレーム30aは、第1フレーム10の第2延設部12bに裏側からネジ止めにより固着されている。座部3と背凭れ部4の境界に対応する位置の第3フレーム30bは、第1フレーム10の側部11及び第1延設部12aに左右外側及び上側からネジ止めにより固着されており、上部第1フレーム10aと下部第1フレーム10bを連結している。この第3フレーム30bの左右外側には、椅子本体2と脚フレーム6を連結する枢軸A1が設けられている。また、第3フレーム30bの裏側であって左右略中央には、アクチュエータ9を連結するブラケット31が設けられている。
【0037】
左側の第1フレーム10から右側の第1フレーム10に亘って架設された第3フレーム30により、左右方向に離反して配置された対の第1フレーム10が、使用者の重量によって左右内側又は外側へ傾くことを防止できる。すなわち、椅子本体2の左右方向の強度を確保することができる。バックカバー40は、第1フレーム10及び第3フレーム30に固着されている。具体的には、第1フレーム10の第2延設部12bに裏側からネジ止めされるとともに、第3フレーム30に裏側からネジ止めされている。バックカバー40により、マッサージユニット8を裏側から覆うことができる。
【0038】
[肘掛け部の構成]
図2に示す様に、本発明の肘掛け部15を有している。
図13に示す様に、肘掛け部15には、使用者の腕を支持する身体支持部が設けられている。
前記肘掛け部の身体支持部は、椅子本体2の構造とほぼ同様となっており、同一箇所の説明は省略する。
肘掛け部15は、主として、左右で対をなして左右方向に板面を有する板状の金属よりなる第1フレーム10と、第1フレーム10に固着され左右方向に所定の厚みを有する樹脂よるなる第2フレーム20と、左右の第1フレーム10を連結する第3フレーム30と、マッサージユニット8を裏側から覆うバックカバー40と、マッサージユニット8を表側から覆う伸縮性を有する生地等よりなるカバー41と、を有している。本実施形態では、バックカバー40は、樹脂を用いたインジェクション成形により構成されているが、樹脂を用いた真空成型により構成してもよいし、第1フレーム10と同様に板状の金属により構成してもよい。
【0039】
また、第2フレーム20は、使用者の身体が載置される身体載置部21と、マッサージユニット8の身長方向に沿った移動をガイドするガイドレール26と、を有している。ガイドレール26は、身長方向に沿って延設されており、左右の第1フレーム10に固着されている。具体的には、ガイドレール26は、第1フレーム10の内側面に当接した状態で左右外側からネジ止めされている。ガイドレール26は、上腕部、前腕部及び手部それぞれに対応する位置に設けられている。従って、マッサージユニット8は、上腕部から手部にかけて、ガイドレール26に沿って移動可能である。
また、身体載置部21の形状を、
図2,
図13の様に腕を覆う様に延設してもよい。
【0040】
[マッサージユニットの構成]
図14に示すとおり、マッサージユニット8は、ベースフレーム81と、ベースフレーム81に支持されたフレーム82と、を有している。ベースフレーム81は、その左右両側において身長方向に複数設けられたピニオン83と、ピニオン83の左右外側から延設されたピニオン83の回転中心と同軸であるガイドピン84と、を有している。ピニオン83はガイドレール26のラック26fに係合し、ガイドピン84はガイドレール26のガイド溝26eに嵌合している。
また、マッサージユニット8は、
図3に示す様に移動手段90を有している。移動手段90である昇降モータ90aの駆動でピニオン83が回転することにより、マッサージユニット8はガイドレール26に沿って身体支持部の長手方向に移動することができる。マッサージユニット8の身長方向への移動を「昇降」とも呼ぶ。
【0041】
また、フレーム82は、ベースフレーム81に対して表裏方向に進退可能に支持されている。
図15と
図16は、マッサージユニット8が進退駆動部95により進退している図である。
図15,
図16に示す様に、ベースフレーム81とフレーム82の間に、エアセル等よりなる進退駆動部95が設けられており、進退駆動部95の駆動によりフレーム82は表裏方向に進退可能となる。
また、進退駆動部95は、エアポンプ(図示せず)と電磁弁(図示せず)と、エアポンプと電磁弁とエアセルを連接するホースと、フレーム82の側部にリンクを有しており、前記エアセルの膨張によって、フレーム82が前方へ移動する様になる。
【0042】
マッサージユニット8は、左右方向を軸方向とする駆動軸(図示せず)に連結された左右で対をなすアーム85を有している。アーム85は、表側に向かって突設されている。左右それぞれのアーム85の先端には、使用者の身体に作用する施療子86L,86Rが設けられている。施療子86L,86Rは、アーム85を挟んで左右内側に位置する内側施療子86aと、左右外側に位置する外側施療子86bと、を有している。
対をなすアーム85は駆動軸(図示せず)に取り付けられており、取付部は偏芯偏角カム87となっている。対のアーム85の偏芯偏角カム87は左右位相で異なっている。具体的には、左右で位相が180度異なっている。 また、アーム85には、叩き動作を伝達するためのコンロッド(図示せず)を保持するための球面座(図示せず)が設けられており、前記コンロッドは、前記球面座と、叩き駆動軸(図示せず)に取り付けられた偏芯カム88を取り付ける取付部(図示せず)に固定されている。
【0043】
また、マッサージユニット8は、施療子86L,86Rの位置を変更する位置変更手段91を有している。位置変更手段91である揉みモータ91aを駆動させると前記駆動軸(図示せず)が回転し、偏芯偏角カム87の作用により左右対のアーム85は、弧を描きながら近接離反するよう動作する。このため、左右の施療子86L,86Rも近接離反し、揉みマッサージを行わせることができる。この様に揉みモータ91a動作によって、施療子86L,86Rの位置を変更することが可能となる。
また、揉みモータ91aの回転数を揉みセンサ91bで検出することにより、制御部7は、左右の施療子86L,86Rの位置を把握することができる。
【0044】
また、叩きモータ92の駆動で前記叩き駆動軸が回転することにより、左右の施療子86L,86Rが交互に使用者側へ進退する叩きマッサージを行わせることができる。なお、揉みモータ91aと叩きモータ92を別個に設けずとも、単一のモータの回転方向を切り換えることで、揉みマッサージと叩きマッサージを切り換えてもよい。
【0045】
また、マッサージユニット8には、使用者の特定部位(本実施形態では肩位置)を検出する特定部位検出センサ70が設けられている。特定部位検出センサ70は、ベースフレーム81とフレーム82の間に設けられており、ベースフレーム81に対するフレーム82の表裏方向における位置を検出可能である。つまり、フレーム82が所定位置よりも前進しているか否かを検出する。特定部位検出センサ70は、ホールIC等よりなる非接触式のセンサである。
【0046】
以下、肩位置の検出方法について説明する。
肩位置の検出は、マッサージユニットを8背凭れ部2の上端である収納位置に位置から下降させる過程で行う。具体的には、進退駆動部95を駆動してフレーム82を前進させた状態でマッサージユニット8を下降させる。マッサージユニット8を下降させる過程で施療子86L,86Rが肩に当接すると、フレーム82が所定位置よりも後退する。フレーム82が所定位置よりも後退したことを特定部位検出センサ70が検出したときのマッサージユニット8の昇降位置に基づいて使用者の肩位置を検出する。次に、肩位置を基準として、他の部位(例えば、首、背中、腰、臀部、大腿部及び下腿)の位置を計算により算出する。検出した各部位の位置は制御部7に記憶される。
この様に肩位置を検出している。
【0047】
また、
図13に示す通り、マッサージユニット8のアーム85を一本としてもよい。
図13に示す、マッサージユニット8は、
図14に示すマッサージユニットとアーム85が一つである点を除き同一である。
アームを1本とすることで、マッサージユニット8を小型にできる。
このようなマッサージユニット8は、肘掛け部15に設けられる。
【0048】
[制御部の構成]
図3に示す様に、前記制御部7は、前述した昇降モータ90a、揉みモータ91a、叩きモータ92、進退駆動部95及びアクチュエータ9は、制御部7に電気的に接続されており、制御部7により各部材の動作が制御される。
椅子本体2には、マッサージユニット8の上昇範囲の上限を検出する上限センサ51と、下降範囲の下限を検出する下限センサ52と、が設けられている。
上限センサ51及び下限センサ52は、ガイドレール26の上端近傍及び下端近傍に設けられている。
上限センサ51と下限センサ52により、マッサージユニット8の昇降範囲が規定されている。
なお、マッサージ機1を駆動しないときのマッサージユニット8の収納位置は、上限センサ51により検出されるマッサージユニット8の上昇範囲の上限である。
マッサージユニット8には、昇降モータ90aの回転数を検出する昇降センサ90bが設けられている。上限センサ51又は下限センサ52により検出される上限位置又は下限位置から、昇降モータ90aの回転数を昇降センサ90bにより検出することにより、制御部7はマッサージユニット8の昇降位置を把握することができる。
【0049】
アクチュエータ9には、アクチュエータ9が最も伸長した状態を検出する第1センサ9aと、アクチュエータ9が最も短縮した状態を検出する第2センサ9bと、アクチュエータ9が有するモータ(図示せず)の回転数を検出するリクライニングセンサ9cと、が設けられている。アクチュエータ9が最も伸長した状態では、椅子本体2は
図4に示す起立姿勢となり、アクチュエータ9が最も短縮した状態では、椅子本体2は
図5に示すリクライニング姿勢となる。第1センサ9a又は第2センサ9bにより検出される起立姿勢又はリクライニング姿勢から、前記モータ(図示せず)の回転数をリクライニングセンサ9cにより検出することにより、制御部7は椅子本体2の姿勢を把握することができる。
前述した特定部位検出センサ70、昇降センサ90b、上限センサ51、下限センサ52、リクライニングセンサ9c、第1センサ9a及び第2センサ9bは、制御部7に電気的に接続されている。
【0050】
制御部7には、コントローラ16が電気的に接続されている。使用者がコントローラ16を操作することにより、椅子本体2の姿勢変更、又はマッサージユニット8の位置変更等の各種動作を行わせることができる。また、制御部7には、椅子本体2及びマッサージユニット8が予め定められたプログラムに従って動作するマッサージコースが記憶されている。なお、制御部7には、複数種類のマッサージコースが記憶されていることが好ましい。コントローラ16には、マッサージコースを選択又は実行するボタン等よりなる操作部(図示せず)が設けられている。
【0051】
図17は身体を示す図である。
図17は頭部側が上,足側が下となっており、上下の方向が使用者の身長方向となる。身長方向とは長手方向を指す。また、足首、脹脛、膝、大腿部、手首、肘の太さ(幅)を簡略的に示している。足首部分のw1は、脹脛部分のw2より、細く(狭く)なっている。また、膝部分のw3は、大腿部のw4より、細く(狭く)なっている。また、手首部分のw5は、肘部分のw6より細く(狭く)なっている。
図18はマッサージユニット8が足首で施療を行っている図である。
図19はマッサージユニット8が脹脛で施療を行っている図である。
図20はマッサージユニット8が膝側で施療を行っている図である。
図21はマッサージユニット8が大腿部で施療を行っている図である。
図22はマッサージユニット8が手首で施療を行っている図である。
図23はマッサージユニット8が肘側で施療を行っている図である。
図24はマッサージユニット8が身体の細い側で施療を行っている図である。
図25はマッサージユニット8が身体の太い側で施療を行っている図である。
図26はマッサージユニット8が身体の細い側で施療を行っている図である。
図27はマッサージユニット8が身体の太い側で施療を行っている図である。
【0052】
[マッサージユニットの動作]
図18から
図27は、マッサージユニット8が、施療動作を行っている概略図である。
前記制御部7は、マッサージユニット8の動作を制御して、身体支持部に支持された身体の長手方向に移動させ、施療子86(86L,86R)を身体の側面に接近させて、マッサージを行っている。
また制御部7は、移動手段90と位置変更手段91を制御して、前記マッサージユニット8を身体の細い側へ位置させた状態で、前記施療子86(86L,86R)を身体の側面に接近させる様に位置変更させている。
身体支持部に支持された身体の背面をマッサージユニット8の施療子86(86L,86R)をマッサージすると施療子86(86L,86R)に押され、身体支持部から飛び出してしまうが、施療子86(86L,86R)を身体支持部の端部側、つまり、身体の細い側へ移動させ、施療子86(86L,86R)を身体の側面に接近させてマッサージを行うことで、身体が背面から押されず身体支持部から身体が飛び出してしまうことがない。
また、身体支持部の端部側に支持されている身体は身体の末端であり、体幹側に比べて細く、身体の側部に施療子を位置させやすい。
この様に、身体支持部の端部側で、施療子を側部に移動させてマッサージすることで、身体支持部から身体が押し出されずに、良好なマッサージが可能となる。
【0053】
また、制御部7は、前記マッサージユニット8を身体の細い側へ位置させた後に、前記施療子86(86L,86R)を身体の側面に接近させる様に位置変更させ、前記マッサージユニット8を身体の太い側へ移動させる動作を行ってもよい。
図24~
図27では、身体の細い部分を身体Aとし、身体の太い部分を身体Bとしている。
この様な動作を行うことで、身体の細い部分においてマッサージユニット8の施療子86(86L,86R)を身体側面に接近させる様に制御しているので、施療子86(86L,86R)を身体の側部に接近させやすい。例えば、身体の太い部分で施療子86(86L,86R)を身体側面に接近させようとしても、施療子86(86L,86R)は身体の背面に位置するのみで身体側面に位置しづらい。
また、マッサージユニット8を身体の細い側へ位置させた後に、前記施療子86(86L,86R)を身体の側面に接近させ、その後、前記マッサージユニット8を身体の太い側へ移動させるので、身体側部を身体の長手方向にそって施療することが可能となる。
【0054】
また、マッサージユニット8が身体支持部内を移動しながら、施療子86L(86R)の位置変更を行っている。
前記制御部7は、移動手段90と位置変更手段91を制御して、前記マッサージユニット8を身体支持部の端部側へ移動させながら、前記施療子86(86L,86R)を身体の側面に位置変更させて、マッサージを行ってもよい。
重量の軽い身体の背面をマッサージする場合、身体支持部から飛び出してしまうが、重い部位では、押し出されることがなく良好なマッサージを行える場合もある。このため、徐々にマッサージユニット8を端部側へ移動させてもよい。つまり、身体の太い側から細い側へ移動させながら、施療子86(86L,86R)を徐々に身体の側部へ位置させる様に制御してもよい。
身体の重量のある部分(太い部分)をマッサージする場合は身体の背面をマッサージし、重量があまりない部分(細い部分)をマッサージする場合は身体の側部をマッサージする様にしている。
この様に制御してもよく、身体が身体支持部から身体が飛び出してしまうことがなく、良好なマッサージが可能となる。
【0055】
また、
図24~27に示す様に、前記制御部7は、前記壁部101を利用して身体の施療を行うことができる。
前記制御部7は、位置変更手段91を制御して、施療子86(86L,86R)を位置変更して身体を壁部101と施療子86(86L,86R)の間に位置させ、施療子86(86L,86R)を身体の側部に押し付けてマッサージさせる。
また、前記制御部7は、位置変更手段91と移動手段90を制御して、施療子86(86L,86R)を位置変更して身体を壁部101と施療子86(86L,86R)の間に位置させ、施療子86(86L,86R)を身体の側部に押し付けて、マッサージユニット8を移動させて、身体側部の押圧位置を変更しつつマッサージを施すことができる。
【0056】
前記制御部7は、前記位置変更手段91を制御して、対の施療子86L,86Rを接近させた後に、下肢の側面に位置変更して、マッサージを行うことが可能である。
図18,
図19に示す様に、マッサージユニット8は脚部を施療することが可能である。脚部をマッサージする場合、以下の様にマッサージユニット8を制御する。脚部は、身体の端部側に近い箇所であるため重量が大きくない。つまり、脚部背面側(脹脛側)から施療した場合、脹脛が後ろから押されて、脚部が身体支持部から浮き上がりやすい。また、脚部は、脹脛と足首で太さが大きく異なり、脹脛部分では、身体の側部に対の施療子86L,86Rを位置させにくい。
このため、制御部7は、マッサージユニット8を足首側に位置させた後に、対の施療子86L,86Rを脚部の側面に接近させ、前記施療子86L,86Rと壁部101によって脚部を狭圧する動作と、マッサージユニット8を脹脛側へと移動させる動作と、を連動させて行っている。
この様に動作させることで、身体の足首側で施療子86L,86Rを身体の側面に確実に位置させ、その状態から身体の脹脛側に移動させながら身体の側部をマッサージすることが可能となる。
このため、脹脛を身体支持部から浮き上がらせることなく脚部にマッサージを行うことが可能となる。
【0057】
また、前述の通り脚部は、脹脛側と足首側とで太さが大きく異なり、前記施療子86L,86Rと壁部101によって脚部を狭圧する動作とマッサージユニット8を移動させる動作によって、痛みを伴う場合がある。
この様な場合、制御部7では、マッサージユニット8の移動を停止する制御を行っている。
この様な制御は、移動手段90の昇降モータ90aの回転数を検知する昇降センサ90bによって、行っている。前記昇降センサ90bは、前述の通り、昇降モータ90aの回転数を検知している。身体の細い部分に施療子が位置する場合、前記昇降センサ90bが検知する信号の間隔は一定となっている。この場合、昇降モータ90aに負荷はあまりかかっていない。また、身体の太い部分に施療子が位置する場合、前記昇降センサ90bが検知する信号の間隔が身体の細い部位に比べて信号の間隔が広くなる。この時、昇降モータ90aに大きく負荷がかかっている。この様な場合、制御部7は移動手段90に停止命令を出す。
この様に制御することで脚部の側部を狭圧する際に身体に対して、強すぎる力でマッサージすることがなくなる。
また、停止命令の他に、マッサージユニット8の移動を遅くしたり、昇降モータ90aを反転させたりしてもよい。
また、制御部7は、位置変更手段91の揉みモータ91aを制御して、施療子86L,86Rを身体から離間させるように移動させてもよい。
この様に制御することで、痛みを感じさせず、好適なマッサージを行うことが可能となる。
また、この様な制御は、後述する大腿部や腕部の施療でも行われている。
【0058】
また、
図24に示す様に、前記位置変更手段91を制御して、施療子86L,86Rを接近させることで、施療子86L,86Rを中心に、左の脚部を施療子86Lと壁部101の間に、右の脚部を施療子86Rと壁部101の間に位置させることができる。前述の通り、前記カバー41は、壁部101と壁部101に張設されており、施療子86(86L,86R)は、身体の方向に、カバー41を押し上げる様になっている。この施療子86(86L,86R)を身体側部に位置させるように位置変更手段91を制御すると、施療子86Lと施療子86Rが接近する。施療子86Lと施療子86Rが接近することによって、カバー41の中央部を押し上げる様になり、カバー41に凹部が2つ形成されることとなる。
この動作に伴い左右の脚部を左右凹部にそれぞれ割り振って、施療を行うことができる。
また、座部3においても、同様に大腿部を左右に振り分けることができる。
【0059】
図20,
図21に示す様に、マッサージユニット8は大腿部を施療することが可能である。
前記制御部7は、大腿部を施療する場合、以下の様な制御を行う。
前記制御部7は、前記移動手段90を制御してマッサージユニット8を大腿部の長手方向に移動させている。
具体的には、前記制御部7は、マッサージユニット8を膝側に位置させた後に、対の施療子86L,86Rを大腿部の側面に接近させ、前記施療子86L,86Rと壁部101によって大腿部を狭圧する動作と、マッサージユニット8を臀部側へと移動させる動作と、を連動させて行っている。
この様に制御することで、大腿部を側部からマッサージしている。
【0060】
また、大腿部は、膝側と臀部側とで太さが大きく異なる。このため、前記施療子86L,86Rと壁部101によって大腿部を狭圧する動作とマッサージユニット8を移動させる動作によって、痛みを伴う場合があるので、前述の脚部でのマッサージと同様の施療が行われている。
また、大腿部においては、股部分があるため、マッサージユニット8の移動範囲を膝から臀部付近までを移動するようにしてもよい。このような場合、制御部7は、昇降センサ90bが検知する信号を所定回数検知した時点で、マッサージユニット8の移動を停止している。この様に昇降センサ90bの信号の検知回数からマッサージユニット8の位置を把握することが可能となる。このため、股部分に接触する前にマッサージユニット8の移動を停止することが可能となる。
また、股部分に接触する前に、対の施療子86L,86Rを幅狭状態から幅広状態へ変更させてもよい。この様に制御することで、対の施療子86L,86Rは、大腿部の側面から背面側へ移動し、股部分に接触しない様にすることが可能である。
【0061】
図22,
図23に示す様に、マッサージユニット8が腕部を施療することが可能である。
前記制御部7は、腕部を施療する場合、以下の様な制御を行う。
前記制御部7は、前記移動手段90を制御してマッサージユニット8を腕部の長手方向に移動させている。具体的には、前記制御部7は、マッサージユニット8を手首側に位置させた後に、施療子86を前腕の側面に接近させ、前記施療子86と壁部101によって腕を狭圧する動作と、マッサージユニット8を肘側へと移動させる動作と、を連動させて行っている。この様に制御することで、前腕を側部からマッサージしている。
【0062】
また前腕部は、肘側と手首側とで太さが大きく異なる。このため、前記施療子86と壁部101によって前腕を狭圧する動作とマッサージユニット8を移動させる動作によって、痛みを伴う場合があるので、前述の脚部や大腿部でのマッサージと同様の施療が行われている。また、前腕部においては、マッサージユニット8の施療子86は1つとなっている。前腕用のマッサージユニット8は、前記左右の肘掛け部15にそれぞれ設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、身体の浮き上がりを防止し、身体に対して効果的なマッサージを行えるマッサージ機を提供できる。
【符号の説明】
【0064】
1 マッサージ機
2 椅子本体(身体支持部)
3 座部(身体支持部)
4 背凭れ部(身体支持部)
5 フットレスト(身体支持部)
7 制御部
8 マッサージユニット
15 肘掛け部(身体支持部)
26 ガイドレール
86 施療子
90 移動手段
91 位置変更手段
101 壁部