IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナガセケムテックス株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】導電性塗布液及び導電性粗面体
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20220104BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20220104BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20220104BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220104BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220104BHJP
   C09D 125/18 20060101ALI20220104BHJP
   C09D 181/00 20060101ALI20220104BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20220104BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20220104BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20220104BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20220104BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20220104BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/24
B32B7/025
B32B3/30
C09D7/65
C09D125/18
C09D181/00
B32B27/20 Z
C08L101/12
C08L65/00
C08L71/00 Y
G02B5/08 A
B32B27/00 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2016237771
(22)【出願日】2016-12-07
(65)【公開番号】P2018090746
(43)【公開日】2018-06-14
【審査請求日】2019-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000214250
【氏名又は名称】ナガセケムテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久留島 康功
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隆裕
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-032403(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082648(WO,A1)
【文献】特開2010-026523(JP,A)
【文献】特開2009-245935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299476(US,A1)
【文献】特開2014-92581(JP,A)
【文献】特開2013-58470(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0699624(KR,B1)
【文献】特開2015-117366(JP,A)
【文献】国際公開第2011/142433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00- 10/00
101/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
G02B 5/00- 5/136
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性樹脂(a)を全固形分中1~20重量%、
非導電性樹脂(b)を全固形分中20~98.9重量%、及び、
レベリング剤(c)を全固形分中~60重量%含有する導電性塗布液であって、
導電性樹脂(a)に対するレベリング剤(c)の固形分比は1~3であり、
Raが0.2μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率が、Raが0.02μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率の5倍以下であり、
粗面体の表面に塗布するために用いられることを特徴とする、導電性塗布液。
【請求項2】
導電性樹脂(a)が、ポリエチレンジオキシチオフェン(a1)とポリスチレンスルホン酸(a2)との複合体であり、ポリスチレンスルホン酸(a2)の重量平均分子量は20,000~1,000,000である、請求項1に記載の導電性塗布液。
【請求項3】
レベリング剤(c)が、シロキサン骨格又はアルキレンオキシド骨格を有するポリマーであり、導電性塗布液のpHが4~10である、請求項1又は2に記載の導電性塗布液。
【請求項4】
熱可塑性樹脂層(I)、フィラー含有層(II)、及び、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性塗布液を用いて形成された導電性塗布層(III)を順に備え、
導電性塗布層(III)の表面のRaが0.1μm以上であり、かつ、Rzが0.5μm以上であることを特徴とする導電性粗面体。
【請求項5】
フィラー含有層(II)が、平均粒子径が0.2μm以上のフィラーと、熱可塑性樹脂とを含有し、
フィラー含有層(II)の表面のRaが0.1μm以上であり、かつ、Rzが0.5μm以上である、請求項4に記載の導電性粗面体。
【請求項6】
熱可塑性樹脂層(I)が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項4又は5に記載の導電性粗面体。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の導電性粗面体を備えたことを特徴とする導電性光拡散フィルム。
【請求項8】
請求項4~6のいずれか1項に記載の導電性粗面体を備えたことを特徴とする導電性反射フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性塗布液及び導電性粗面体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性樹脂を含有する導電性塗布液は、凹凸のない基材上に塗布して凹凸のない導電性塗布層を形成し、導電性を付与する目的で使用されてきた。例えば特許文献1には、凹凸のない熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、導電性樹脂を含有する組成物を用いて凹凸のない積層膜を形成し、偏光板保護用積層フィルムとすることが記載されている。また、特許文献2には、凹凸のない基材上に、ポリチオフェン系の導電性高分子を含む材料により凹凸のない中間層等を形成し、グリーンシート製造用剥離フィルムとすることが記載されている。
【0003】
しかしながら、近年ではより高度な生産性が求められるようになり、光拡散フィルムや反射フィルムなど、凹凸を有する導電性塗布層の形成が求められている。例えば特許文献3には、凹凸のない基材フィルムの一方の面に、ポリチオフェン等の帯電防止剤及び微粒子を含み凹凸を有する帯電防止性背面保護層等を形成し、光学用光拡散フィルムとすることが記載されている。しかしながら、特許文献3に記載された光学用光拡散フィルムでは、近年の高度な帯電防止性の要求に十分に応えることができないという問題があった。この方法においては、所望の凹凸を得るために配合された多くの微粒子が導電経路を遮断してしまい、その為に十分な帯電防止性を発現させることが出来ていないと考えられる。
【0004】
一方、従来の導電性塗布液を凹凸を有する基材上に塗布する場合、基材の凹凸を残すために薄く塗ると、凸部分において導電性塗布層が薄くなりすぎて所望の導電性が得られず、所望の導電性を得るために厚く塗ると、凹部分が導電性塗布層により埋もれてしまい凹凸を維持出来ないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-243216号公報
【文献】特開2015-66908号公報
【文献】特開2007-206375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、凹凸を有する基材上に塗布した場合であっても均一な膜厚で導電性塗布層を形成することができるため基材の凹凸を維持することができ、かつ、凹凸のない基材に塗布した場合と同程度の導電性を発揮できる導電性塗布液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、導電性樹脂、非導電性樹脂、及び、特定量のレベリング剤を含有する導電性塗布液が、凹凸を有する基材上に塗布した場合であっても均一な膜厚で導電性塗布層を形成することができるため基材の凹凸を維持することができ、かつ、凹凸のない基材に塗布した場合と同程度の導電性を発揮できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の導電性塗布液は、
導電性樹脂(a)を全固形分中1~20重量%、
非導電性樹脂(b)を全固形分中20~98.9重量%、及び、
レベリング剤(c)を全固形分中0.1~60重量%含有する導電性塗布液であって、
導電性樹脂(a)に対するレベリング剤(c)の固形分比は0.1~3であり、
Raが0.2μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率が、Raが0.02μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率の5倍以下であり、
粗面体の表面に塗布するために用いられることを特徴とする。
【0009】
本発明の導電性塗布液において、導電性樹脂(a)が、ポリエチレンジオキシチオフェン(a1)とポリスチレンスルホン酸(a2)との複合体であり、ポリスチレンスルホン酸(a2)の重量平均分子量は20,000~1,000,000であることが好ましい。
【0010】
本発明の導電性塗布液において、レベリング剤(c)が、シロキサン骨格又はアルキレンオキシド骨格を有するポリマーであり、導電性塗布液のpHが4~10であることが好ましい。
【0011】
本発明の導電性粗面体は、
熱可塑性樹脂層(I)、フィラー含有層(II)、及び、本発明の導電性塗布液を用いて形成された導電性塗布層(III)を順に備え、
導電性塗布層(III)の表面のRaが0.1μm以上であり、かつ、Rzが0.5μm以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明の導電性粗面体において、フィラー含有層(II)が、平均粒子径が0.2μm以上のフィラーと、熱可塑性樹脂とを含有し、
フィラー含有層(II)の表面のRaが0.1μm以上であり、かつ、Rzが0.5μm以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の導電性粗面体において、熱可塑性樹脂層(I)が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0014】
本発明の導電性光拡散フィルムは、本発明の導電性粗面体を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の導電性反射フィルムは、本発明の導電性粗面体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の導電性塗布液は、導電性樹脂、非導電性樹脂、及び、特定量のレベリング剤を含有するため、凹凸を有する基材上に塗布した場合であっても均一な膜厚で導電性塗布層を形成することができるため基材の凹凸を維持することができ、かつ、凹凸のない基材に塗布した場合と同程度の導電性を発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<<導電性塗布液>>
本発明の導電性塗布液は、
導電性樹脂(a)を全固形分中1~20重量%、
非導電性樹脂(b)を全固形分中20~98.9重量%、及び、
レベリング剤(c)を全固形分中0.1~60重量%含有する導電性塗布液であって、
導電性樹脂(a)に対するレベリング剤(c)の固形分比は0.1~3であり、
Raが0.2μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率が、Raが0.02μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率の5倍以下であり、
粗面体の表面に塗布するために用いられることを特徴とする。
【0018】
<導電性樹脂(a)>
導電性樹脂(a)は、導電性塗布液に導電性を付与するための配合物である。導電性樹脂(a)としては特に限定されず、従来公知の導電性樹脂を用いることができ、具体例としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。中でも、チオフェン環を分子内に含むことで導電性が高い分子ができやすい点で、分子内にチオフェン環を少なくとも1つ含む導電性樹脂が好ましい。導電性樹脂(a)は、ポリ陰イオン等のドーパントと複合体を形成していてもよい。
【0019】
分子内にチオフェン環を少なくとも1つ含む導電性樹脂の中でも、導電性や化学的安定性に極めて優れている点で、ポリ(3,4-二置換チオフェン)がより好ましい。また、導電性樹脂が、ポリ(3,4-二置換チオフェン)、又は、ポリ(3,4-二置換チオフェン)とポリ陰イオン(ドーパント)との複合体である場合、低温かつ短時間で導電性塗布層(III)を形成することができ、生産性にも優れることとなる。なお、ポリ陰イオンは導電性樹脂のドーパントであり、その内容については後述する。
【0020】
ポリ(3,4-二置換チオフェン)としては、ポリ(3,4-ジアルコキシチオフェン)又はポリ(3,4-アルキレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。ポリ(3,4-ジアルコキシチオフェン)又はポリ(3,4-アルキレンジオキシチオフェン)としては、以下の式(I):
【0021】
【化1】
【0022】
で示される反復構造単位からなる陽イオン形態のポリチオフェンが好ましい。
ここで、R及びRは相互に独立して水素原子又はC1-4のアルキル基を表すか、又は、R及びRが結合している場合にはC1-4のアルキレン基を表す。C1-4のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。
また、R及びRが結合している場合、C1-4のアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、メチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、1,4-ブチレン基、1-メチル-1,2-エチレン基、1-エチル-1,2-エチレン基、1-メチル-1,3-プロピレン基、2-メチル-1,3-プロピレン基等が挙げられる。これらの中では、メチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基が好ましく、1,2-エチレン基がより好ましい。C1-4のアルキル基、及び、C1-4のアルキレン基は、その水素の一部が置換されていても良い。C1-4のアルキレン基を有するポリチオフェンとしては、ポリエチレンジオキシチオフェン(a1)が特に好ましい。
【0023】
導電性樹脂(a)の重量平均分子量は、特に限定されないが、500~100000であることが好ましく、1000~50000であることがより好ましく、1500~20000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が500未満であると、導電性塗布液とした場合に要求される粘度を確保することができないことや、導電性塗布層(III)とした場合の導電性が低下することがある。
【0024】
ドーパントは特に限定されないが、ポリ陰イオンが好ましい。ポリ陰イオンは、ポリチオフェン(誘導体)とイオン対をなすことにより複合体を形成し、ポリチオフェン(誘導体)を水中に安定に分散させることができる。ポリ陰イオンとしては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸ポリマー類(例えば、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリメタクリル酸等)、スルホン酸ポリマー類(例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸等)等が挙げられる。これらのカルボン酸ポリマー類及びスルホン酸ポリマー類はまた、ビニルカルボン酸類及びビニルスルホン酸類と他の重合可能なモノマー類、例えば、アクリレート類、スチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物との共重合体であっても良い。これらの中では、ポリスチレンスルホン酸(a2)が特に好ましい。
【0025】
ポリスチレンスルホン酸(a2)の重量平均分子量は、特に限定されないが、20,000~1,000,000であることが好ましく、50,000~500,000であることがより好ましい。分子量がこの範囲外のポリスチレンスルホン酸(a2)を使用すると、ポリチオフェン系導電性樹脂の水に対する分散安定性が低下する場合がある。なお、重量平均分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)にて測定した値である。
【0026】
導電性樹脂(a)とポリ陰イオンとの複合体としては、導電性に特に優れることから、ポリエチレンジオキシチオフェン(a1)とポリスチレンスルホン酸(a2)との複合体であることが好ましい。
【0027】
導電性樹脂(a)の導電率は、特に限定されないが、導電性塗布層(III)に十分な導電性を付与する観点からは、0.01S/cm以上であることが好ましく、1S/cm以上であることがより好ましい。
【0028】
本発明の導電性塗布液において、導電性樹脂(a)の含有量は、全固形分中1~20重量%である限り特に限定されないが、2~10重量%であることが好ましい。導電性樹脂(a)の含有量が全固形分中1重量%未満であると、導電性の発現が不安定となることがあり、20重量%を超えると、導電性が基材の表面粗さに依存しやすくなることがある。
【0029】
<非導電性樹脂(b)>
非導電性樹脂(b)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、メラミン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエーテル等が挙げられる。これらの非導電性樹脂(b)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
非導電性樹脂(b)は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、70℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が70℃を超えると、低温乾燥時に熱可塑性樹脂の平坦化が遅れる等の理由から、耐熱性の低い粗面体上に均一に製膜することが困難となることがある。
【0032】
熱可塑性樹脂の平均粒子径は、特に限定されないが、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の平均粒子径が100nmを超えると、導電経路が遮断されやすくなる等の理由から、十分な帯電防止性の発現が困難となることがある。なお、熱可塑性樹脂の平均粒子径の下限は、特に限定されず、溶剤に溶解していても良い。
【0033】
非導電性樹脂(b)が熱可塑性樹脂を含む場合、その含有量(固形分)は、特に限定されないが、(b)成分の固形分中20重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が(b)成分の固形分中20重量%未満であると、相対的に硬化性樹脂の割合が多くなり、硬化収縮が生じやすくなる等の理由により、粗面体上に均一に製膜することが困難となることがある。
【0034】
本発明の導電性塗布液において、非導電性樹脂(b)の含有量は、全固形分中20~98.9重量%である限り特に限定されないが、50~85重量%であることが好ましい。非導電性樹脂(b)の含有量が全固形分中20重量%未満であると、基材への密着性や導電塗布層の膜強度が不十分となることがあり、98.9重量%を超えると、相対的に導電性樹脂(a)の含有量が減るため、導電性の発現が不安定となることがある。
【0035】
<レベリング剤(c)>
レベリング剤(c)としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン、ポリアルキレンオキシド、フッ素化合物等が挙げられる。また、界面活性剤をレベリング剤(c)として用いることもできる。これらのレベリング剤(c)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
レベリング剤(c)は、基材が有する凹凸に対する導電性塗布層の追従性の観点から、シロキサン骨格又はアルキレンオキシド骨格を有するポリマーであることが好ましい。
【0037】
レベリング剤(c)は、基材が有する凹凸に対する導電性塗布層の追従性の観点から、水酸基を有することが好ましい。1分子当たりの水酸基の数は、特に限定されないが、2個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。
【0038】
本発明の導電性塗布液において、レベリング剤(c)の含有量は、全固形分中0.1~60重量%である限り特に限定されないが、4~20重量%であることが好ましい。レベリング剤(c)の含有量が全固形分0.1重量%未満であると、導電性が基材の表面粗さに依存しやすくなるとなることがあり、60重量%を超えると、基材への密着性や導電塗布層の膜強度が不十分となることがある。
【0039】
本発明の導電性塗布液において、導電性樹脂(a)に対するレベリング剤(c)の固形分比は、0.1~3である限り特に限定されないが、1~3であることが好ましい。導電性樹脂(a)に対するレベリング剤(c)の固形分比が0.1未満であると、導電性が基材の表面粗さに依存しやすくなることがあり、3を超えると、導電性塗布層の機械強度や耐水性が不十分となることがある。
【0040】
本発明の導電性塗布液は、上述の(a)~(c)成分に加えて、任意に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、酸化防止剤、防腐剤、溶剤、スリップ剤、剥離剤、消泡剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
本発明の導電性塗布液は、Raが0.2μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率(以下、表面抵抗率Aともいう)が、Raが0.02μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率(以下、表面抵抗率Bともいう)の5倍以下である。表面抵抗率Bに対する表面抵抗率Aの倍率は、5倍以下である限り特に限定されないが、3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることがより好ましい。表面抵抗率Bに対する表面抵抗率Aの倍率が5倍を超えると、粗面体上に塗布した際に十分な導電性が得られないことがある。
【0042】
本発明の導電性塗布液のpHは、特に限定されないが、4~10であることが好ましく、5~9であることがより好ましい。本発明の導電性塗布液のpHが4未満であると、非導電性樹脂(b)又はレベリング剤(c)の導電性塗布液中での安定性が不十分となることがあり、10を超えると、導電性樹脂(a)の導電性塗布液中での貯蔵安定性が不十分となることがある。
【0043】
本発明の導電性塗布液は、後述する本発明の導電性粗面体において、導電性塗布層(III)を形成するために用いられる。
【0044】
<<導電性粗面体>>
本発明の導電性粗面体は、
熱可塑性樹脂層(I)、フィラー含有層(II)、及び、本発明の導電性塗布液を用いて形成された導電性塗布層(III)を順に備え、
導電性塗布層(III)の表面のRaが0.1μm以上であり、かつ、Rzが0.5μm以上であることを特徴とする。
【0045】
<熱可塑性樹脂層(I)>
熱可塑性樹脂層(I)の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中で、易成形性の観点からは、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン及びポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0046】
熱可塑性樹脂層(I)の厚さは、特に限定されないが、10~1000μmであることが好ましく、20~800μmであることがより好ましい。熱可塑性樹脂層(I)の厚さが10μm未満であると、粗面体の機械強度が不十分となることがあり、1000μmを超えると、粗面体を延伸して所定の厚み、幅に調整することや、ロール状に巻き取ること、所定の大きさに切断することが困難となることがある。
【0047】
<フィラー含有層(II)>
熱可塑性樹脂層(I)上にフィラー含有層(II)を形成することにより、熱可塑性樹脂層(I)の表面を容易に粗面化することができ、加えて光散乱性をより高度に付与することが出来る。フィラー含有層(II)としては、フィラーを含有する限り特に限定されないが、熱可塑性樹脂層(I)との密着性及び機械強度、易成形性の観点から、フィラーと熱可塑性樹脂とを含有することが好ましい。
【0048】
フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカやチタニア、ジルコニア等の金属酸化物粒子、アクリルビーズ、ウレタンゴム等の有機樹脂粒子等が挙げられる。これらの中で、光散乱性の観点からは、金属酸化物粒子が好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0049】
フィラーの平均粒子径は、特に限定されないが、0.2μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。フィラーの平均粒子径が0.2μm未満であると、所定の表面粗さの粗面体を形成することが困難となることがある。
【0050】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
フィラー含有層(II)の表面のRaは、特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましい。フィラー含有層(II)の表面のRaが0.1μm未満であると、光散乱性や耐ブロッキング性等の表面粗さに起因する特性が不十分となることがある。フィラー含有層(II)の表面のRzは、特に限定されないが、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。フィラー含有層(II)の表面のRzが0.5μm未満であると、光散乱性や耐ブロッキング性等の表面粗さに起因する特性が不十分となることがある。
【0052】
フィラー含有層(II)の表面のRa及びRzは、サンドブラストや化学エッチングにより微細凹凸構造に加工された金型で処理すること等により微調整することができる。
【0053】
なお、本発明において、Raとは算術平均粗さを指し、Rzとは十点平均粗さを指す。これらは、JIS B0601等において規格化されている。
【0054】
フィラー含有層(II)の厚さは、特に限定されないが、1~500μmであることが好ましく、2~200μmであることがより好ましい。フィラー含有層(II)の厚さが1μm未満であると、摩擦等により一部のフィラーが脱離することがあり、500μmを超えると、フィラーが表面に並びにくくなること等から所定の表面粗さを得ることが難しくなることがある。
【0055】
<導電性塗布層(III)>
導電性塗布層(III)は、フィラー含有層(II)上に、本発明の導電性塗布液を用いて形成される。本発明の導電性塗布液を用いて導電性塗布層(III)を形成する方法としては、特に限定されないが、フィラー含有層(II)上に本発明の導電性塗布液を塗布した後、乾燥させる方法等が挙げられる。
【0056】
フィラー含有層(II)上に本発明の導電性塗布液を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、スリットコート法等が挙げられる。フィラー含有層(II)上に塗布された本発明の導電性塗布液を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、送風乾燥設備、減圧乾燥設備、IR乾燥設備、ホットプレート等を用いて、20~200℃で0.1~30分間乾燥させる方法等が挙げられる。
【0057】
導電性塗布層(III)の表面のRaは、0.1μm以上である限り特に限定されないが、0.2μm以上であることが好ましい。導電性塗布層(III)の表面のRaが0.1μm未満であると、光散乱性や耐ブロッキング性等の表面粗さに起因する特性が不十分となることがある。導電性塗布層(III)の表面のRzは、0.5μm以上である限り特に限定されないが、1.0μm以上であることが好ましい。導電性塗布層(III)の表面のRzが0.5μm未満であると、光散乱性や耐ブロッキング性等の表面粗さに起因する特性が不十分となることがある。
【0058】
導電性塗布層(III)の厚さは、特に限定されないが、0.01~1μmであることが好ましく、0.02~0.5μmであることがより好ましい。導電性塗布層(III)の厚さが0.01μm未満であると、導電性が不十分となることがあり、1μmを超えると、光学特性が不十分となることがある。
【0059】
<<導電性光拡散フィルム>>
本発明の導電性光拡散フィルムは、本発明の導電性粗面体を備えたことを特徴とする。
【0060】
<<導電性反射フィルム>>
本発明の導電性反射フィルムは、本発明の導電性粗面体を備えたことを特徴とする。
【実施例
【0061】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
【0062】
1.使用材料
以下の実施例及び比較例では、下記の材料を使用した。
1-1.導電性樹脂(a)
・PEDOT:PSS(製造例1にて作製、固形分率1.3重量%)
・高導電PEDOT:PSS(製造例2にて作製、固形分率1.2重量%)
1-2.非導電性樹脂(b)
・ポリエステル(東亞合成株式会社社製、アロンメルトPES-2405A30、ガラス転移温度40℃、平均粒子径80nm、固形分率30重量%)
・ポリウレタン(第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス210、ガラス転移温度41℃、平均粒子径40nm、固形分率35%)
・メラミン(DIC株式会社製、ベッカミンM-3、固形分率77%)
・アクリル(DIC株式会社製、ボンコート5400EF、ガラス転移温度6℃、平均粒子径200nm、固形分率55%)
1-3.レベリング剤(c)
・ポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、X-22-4952、1分子当たりの水酸基の数:2個)
・ポリアルキレンオキシド(第一工業製薬株式会社製、エバンU-103、1分子当たりの水酸基の数:2個)
1-4.熱可塑性樹脂層(I)及びフィラー含有層(II)
・ポリエステルベース粗面体(製造例3にて作製)
・ポリウレタンベース粗面体(製造例4にて作製)
・ポリスチレンベース粗面体(製造例5にて作製)
【0063】
(製造例1)PEDOT:PSSの作製
冷却管を備えた2000ml三口ガラスフラスコを用いて、ポリスチレンスルホン酸水溶液(アクゾノーベル社製、VERSA-TL72)92.3部と3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)7.1部を1000部のイオン交換水に加え、混合液を得た。この混合液を撹拌しながら、100部のイオン交換水に硫酸第二鉄4.0部とペルオキソ二硫酸アンモニウム14.8部を溶解させた液を加え、20℃にて24時間撹拌して酸化重合を行った。次いで、陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトIR120B)と陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトIRA67)とをそれぞれ15重量%加えた後、さらに18時間撹拌した。得られた反応混合液をガラスろ過器でろ過し、次いで高圧ホモジナイザーで100MPaにて10回均質化処理を行った後、ジメチルスルホキシドを5重量%添加することによりPEDOT:PSS水分散体を得た。
【0064】
(製造例2)高導電PEDOT:PSSの作製
ポリスチレンスルホン酸水溶液(アクゾノーベル社製、VERSA-TL72)を、限外ろ過モジュール(ミリポア社製、Biomax-50)を用いて限外ろ過した後、陽イオン交換を行い、イオン交換水で希釈することにより、ポリスチレンスルホン酸22.2部を含む1,887部の水溶液を得た。この水溶液を冷却管、窒素導入菅を備えた2000ml三口ガラスフラスコに移し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、アスピレーター吸引と窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した後、49部の1%硫酸第二鉄水溶液、60部の濃硝酸、8.8部の3,4-エチレンジオキシチオフェン、及び121部の10.9%のペルオキソ二硫酸水溶液を加えた。この反応混合物を18℃で、19時間攪拌した。次いで、この反応混合物に、154部の陽イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトIR120B)及び273部の陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、アンバーライトIRA67)を加えて、2時間攪拌した後、得られた反応混合液をガラスろ過器でろ過し、次いで高圧ホモジナイザーで100MPaにて10回均質化処理を行った後、エチレングリコールを5重量%添加することにより高導電PEDOT/PSS水分散体を得た。
【0065】
(製造例3)ポリエステルベース粗面体の作製
アクリルポリオール(大日本インキ化学工業株式会社製、A-807)162重量部、イソシアネート(武田薬品工業株式会社製、D110N)32重量部、ポリスチレン粒子(平均粒子径8.9μm)220重量部、メチルイソブチルケトン215重量部、酢酸ブチル215重量部を撹拌混合し、フィラー含有層(II)を形成するための組成物を得た。この組成物を、熱可塑性樹脂層(I)としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、T-60)の上にバーコーティング法を用いて塗布、乾燥することにより、熱可塑性樹脂層(I)(厚さ100μm)及びフィラー含有層(II)(厚さ12μm)からなるポリエステルベース粗面体を得た。形成したフィラー含有層(II)について、下記の方法により、表面のRa及びRzを評価した。結果を表1に示す。
【0066】
(製造例4)ポリウレタンベース粗面体の作製
ウレタン樹脂(株式会社ADEKA製、HUX-210)100重量部、エポキシ樹脂(株式会社ADEKA製、EM-0427WC)1重量部、シリカ粒子分散体(平均粒子径0.45μm、固形分率40%)100重量部、エタノール600重量部を撹拌混合し、フィラー含有層(II)を形成するための組成物を得た。この組成物を熱可塑性樹脂層(I)としてのポリウレタンフィルム(Bemis Associates社製、3914CLR)の上にバーコーティング法を用いて塗布、乾燥することにより、熱可塑性樹脂層(I)(厚さ120μm)及びフィラー含有層(II)(厚さ3μm)からなるポリウレタンベース粗面体を得た。形成したフィラー含有層(II)について、下記の方法により、表面のRa及びRzを評価した。結果を表1に示す。
【0067】
(製造例5)ポリスチレンベース粗面体の作製
熱可塑性樹脂層(I)を形成するための組成物としてポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製、HT516)を用い、フィラー含有層(II)を形成するための組成物として、ポリスチレン樹脂(PSジャパン株式会社製、HT516)60重量部とルチル型酸化チタン粒子(平均粒子径0.28μm)40重量部との溶融混練物を用いて、マルチマニフォールドダイによる多層共押出法により、熱可塑性樹脂層(I)(厚さ100μm)及びフィラー含有層(II)(厚さ20μm)からなるポリスチレンベース粗面体を得た。形成したフィラー含有層(II)について、下記の方法により、表面のRa及びRzを評価した。結果を表1に示す。
【0068】
2.実施例
(実施例1~4、比較例1~3)
表1に示す固形分比率となるように導電性樹脂(a)、非導電性樹脂(b)及びレベリング剤(c)、含水アルコール(純水50重量部、イソプロピルアルコール50重量部)を混合し、導電性塗布液を得た。ここで、含水アルコールの量は、導電性塗布液の固形分率が1%となるように調節した。また、pHは東京化成工業株式会社製のアンモニア水を添加することで調節した。得られた導電性塗布液について、下記の方法により、Raが0.02μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率(以下、表面抵抗率Bともいう)に対する、Raが0.2μmの基材上に膜厚0.05μmで塗布した際の表面抵抗率(以下、表面抵抗率Aともいう)の倍率、及び、pHを求めた。
その後、得られた導電性塗布液を、製造例3~5で得られた粗面体のフィラー含有層(II)上にバーコーティング法を用いて乾燥膜厚が0.04μmとなるように塗布し、送風乾燥機を用いて100℃で2分間乾燥することにより導電性塗布層(III)を形成し、導電性粗面体を得た。形成した導電性塗布層(III)について、下記の方法により、表面のRa及びRzを評価した。また、得られた導電性粗面体について、下記の方法により、表面抵抗率、耐水性、密着性を評価した。以上の結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
3.評価方法
(表面抵抗率Bに対する表面抵抗率Aの倍率)
製造例5で得られたポリスチレンベース粗面体(Ra0.2μm)上に、No.6のワイヤーバーを用いて導電性塗布液を塗布し、70℃の送風乾燥機を用いて、乾燥膜厚0.05μmの塗膜を得た。得られた塗膜について、三菱化学株式会社製ロレスタGP MCP-T600により表面抵抗率Aを求めた。
また、ルチル型酸化チタン粒子を用いなかったこと以外は製造例5と同様にして得られたポリスチレン基材(Ra0.02μm)上に、No.6のワイヤーバーを用いて導電性塗布液を塗布し、70℃の送風乾燥機を用いて、乾燥膜厚0.05μmの塗膜を得た。得られた塗膜について、三菱化学株式会社製ロレスタGP MCP-T600により表面抵抗率Bを求めた。
表面抵抗率B(Ω/□)÷表面抵抗率A(Ω/□)の式により、表面抵抗率Bに対する表面抵抗率Aの倍率を算出した。
【0071】
(pH)
25℃の条件下、pHメーター(堀場製作所社製、F-55)を用いて測定した。
【0072】
(表面のRa及びRz)
原子間力顕微鏡装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、Nanocute)を使用し、DFMモード、スキャン速度0.5Hzにて測定した。
【0073】
(表面抵抗率)
導電性塗布層(III)の表面抵抗率と装置の測定可能レンジに応じて、下記の方法から選択し、評価した。
表面抵抗率が1.0E+06(Ω/□)未満の場合:三菱化学株式会社製ロレスタGP MCP-T600のESPプローブを用いて10Vの印加電圧にて測定した。
表面抵抗率が1.0E+06(Ω/□)~1.0E+08(Ω/□)の場合:三菱化学株式会社製ハイレスタUP(MCP-HT450型)のUAプローブを用いて10Vの印加電圧にて測定した。
表面抵抗率が1.0E+08(Ω/□)以上の場合:三菱化学株式会社製ハイレスタUP(MCP-HT450型)のUAプローブを用いて250Vの印加電圧にて測定した。
【0074】
(耐水性)
純水をしみ込ませた不織布を用い、500gの荷重をかけて15回擦り、導電性塗布層(III)の外観を以下の2段階で目視評価した。
○:変化なし
×:明らかな傷や剥がれが見られる
【0075】
(密着性)
JIS K 5400の碁盤目剥離試験に従い、以下の2段階で評価した。
○:8~10点
×:0~7点