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特許6991736真空チャンバ内の水分を検出するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】真空チャンバ内の水分を検出するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20220127BHJP
   A61L 2/28 20060101ALI20220127BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
A61L2/20 106
A61L2/28
A61L101:22
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017093690
(22)【出願日】2017-05-10
(65)【公開番号】P2017205506
(43)【公開日】2017-11-24
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】15/151,774
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591286579
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハン・チン
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0316527(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0176959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00- 12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖状態の弁により滅菌剤のリザーバに接続された、器具を滅菌するための真空チャンバを有する滅菌システムを操作する方法であって、
(a)滅菌パック内に非滅菌状態の前記器具を配置する工程と、
(b)前記真空チャンバを開放する工程と、
(c)前記真空チャンバ内に前記滅菌パックを配置する工程と、
(d)前記真空チャンバ内に生物学的インディケータを配置する工程と、
(e)前記真空チャンバを閉鎖する工程と、
(f)前記真空チャンバ内からベースライン湿度測定値を取得する工程であって、前記真空チャンバ内の圧力が第1の圧力である、工程と、
g)前記真空チャンバから第1の体積の空気を抜き取り、前記真空チャンバ内の前記圧力をコンディショニング圧力まで低下させる工程と、
h)滞留時間の間、前記コンディショニング圧力を維持し、ある体積の液体水を水蒸気に変える工程と、
(i)前記真空チャンバ内に第2の体積の空気を入れて、前記真空チャンバ内の前記圧力を高める工程と、
(j)前記真空チャンバ内から第2の湿度測定値を取得する工程と、
(k)前記ベースライン湿度測定値を前記第2の湿度測定値と比較する工程と、
l)前記弁を開放する工程と、
m)前記真空チャンバ内に前記滅菌剤を導入する工程と、
n)前記真空チャンバから前記滅菌剤を抜き取る工程と、
o)前記真空チャンバ内に第3の体積の空気を導入する工程と、
p)前記真空チャンバを開放する工程と、
q)前記真空チャンバから前記滅菌パックを取り出す工程と、
r)前記滅菌パックから滅菌状態の前記器具を取り出す工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記ベースライン湿度測定値と前記第2の湿度測定値との比較により、前記滅菌パック内の前記器具が十分に乾燥していることが示された場合、前記工程(l)が実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の湿度測定値が前記ベースライン湿度測定値を下回るまで、前記工程(g)~(k)を繰り返す、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている主題は、減圧されつつあるチャンバ内の水分の検出に関する。その主題は、特に、化学的蒸気滅菌技術において有用である。
【背景技術】
【0002】
医療用装置は、患者に感染症を起こさせ得るような、例えば微生物により汚染された装置が患者に対して使用され得る可能性を最小限に抑えるため、使用前に滅菌される場合がある。蒸気、エチレンオキシド、二酸化塩素、オゾン、過酢酸、及び過酸化水素のうちの1つ又はそれらを組み合わせたものを含む滅菌剤を用いる、様々な滅菌技術が採用され得る。上のような化学的滅菌剤は、気相及び/又はプラズマ形態でしばしば採用される。これらの技術の場合、滅菌は、典型的には滅菌システムの滅菌チャンバ内で実行される。例えば過酸化水素を用いるもののような、ある一部の化学的滅菌技術の場合、滅菌チャンバは、典型的には、その中で低圧状態を実現し得るだけでなく、滅菌剤をその中に導入し、滅菌剤をその中から抜き取ることが可能な真空チャンバを含む。例えばエチレンオキシドを用いるもののような、一部の化学的滅菌プロセスは、真空チャンバ内の水蒸気が効果的であることを必要とする。しかしながら、例えば過酸化水素を用いるもののような、他の化学的滅菌プロセスについては、真空チャンバ内の、蒸気、液相、又は固相形態の水は、有効性を減少させる又はプロセスを取り消しにさせる場合がある。
【0003】
ある典型的な、医療用装置用化学的蒸気滅菌プロセスは、医療施設の担当者が、器具を水及び/又は洗浄液で洗浄して、その器具から固形物や液体を除去することにより、滅菌用装置を準備することで開始される。次に担当者は、(例えば、熱、医療グレードの圧縮空気、及び/又はタオルを用いて)器具を乾燥させ、おそらくはその器具を、微生物に対してはバリアとなるものの滅菌剤が透過し得る、滅菌に適したラップで包む。ラップに包まれた器具は、時に、滅菌パック又は負荷と呼ばれるものである。次に負荷を、滅菌システムの真空チャンバの中に置き、典型的にはチャンバのドアを閉めることにより、チャンバを閉鎖(封止)する。チャンバを加熱してもよく、加熱することにより、チャンバ内に存在し得る水が気化するのを助け得る。次に、チャンバ内の、水蒸気を含み得る大気を、排気する。一部の滅菌方法では、真空チャンバ内の空気を励起して空気プラズマを形成し得るが、そのプラズマは、水を気化させてチャンバから除去するのを更に助ける役割を果たし得る。時に真空状態又は低真空状態と呼ばれることもある低圧状態が実現した後で、気相若しくは蒸気形態、又はチャンバの低圧環境下で気化する霧状のいずれかの滅菌剤がチャンバ内に導入される。チャンバ内に添加されたガスは、チャンバ内の圧力をわずかに上昇させる。滅菌剤はチャンバ内で広がり、チャンバ内に収容されている医療用装置の、例えばひび割れ、裂け目、及び内腔のような、小さい又は狭い空間に入り込む。滅菌剤が医療用装置を洗い、装置の上や内部に存在する細菌、ウィルス、及び胞子が滅菌剤に触れると、それらを殺すようになっている。一部の滅菌方法では、特に、過酸化水素を用いる低温による方法では、過酸化水素ガスが電界を介して励起されて、ガスがプラズマに変化し得る。最終的に、滅菌剤はチャンバから排気され、チャンバは雰囲気圧に戻される。滅菌プロセスが終了した後で、器具はチャンバから取り出され得る。
【0004】
典型的には、保健医療従事者は、滅菌プロセスが有効であったかどうかを、様々な当該技術分野で既知の様々な技術を用いて、例えば内蔵型の生物学的滅菌インディケータを用いて確認するが、そのようなインディケータの例としては、Ethicon US社の事業部である、Advanced Sterilization Products社(カリフォルニア州Irvine)製の、STERRAD(登録商標)CYCLESURE(登録商標)24生物学的インディケータがある。この生物学的インディケータを用いる確認作業には、典型的には約24時間必要となる。この、滅菌の有効性について確認ができていない状態の時間の間に、医療従事者は、その医療用装置を使用しないと決定する場合がある。これは、例えば、病院のような保健医療提供者にとって在庫管理の非効率性を引き起こす可能性がある。例えば、医療機器の十分な供給を確保するためには、医療用装置を使用できない間も保管する必要があり、そのような必要がない場合に保健医療提供者が在庫させておくよりも多くの医療用装置を在庫しておくことを必要とするからである。あるいは、保健医療提供者は、滅菌確認作業が完了し、滅菌の有効性が確認される前に、医療用装置を使用する場合もある。しかし滅菌の有効性が確認される前に医療用装置を使用することは、その医療処置を受ける患者を、医療用装置からの感染症に罹患させる危険性にさらすことになり得る。滅菌プロセスを実行するのに要する時間と滅菌プロセスが有効であったことを確認するために要する時間とにより、医療用装置が使用に適さない時間トータルの長さを考えると、保健医療従事者は、現在利用可能なものと比べて、実行するのにより時間がかからず、プロセスが失敗に終わる可能性をより低くする新たな滅菌プロセス及び確認技法を望んでいる。
【0005】
市販の滅菌チャンバの一例としては、Ethicon US社の事業部である、Advanced Sterilization Products社(カリフォルニア州Irvine)製の、STERRAD(登録商標)100NX(登録商標)システムが挙げられる。広告宣伝されているところによれば、この100NX(登録商標)は、47分で、一般的な外科用器具の大半を滅菌可能である。広告宣伝されているところによれば、この100NX(登録商標)のサイクル温度は、47℃~56℃の間である。こうした温度は、器具の機能や構造を損ないかねないオーバーヒートを回避しつつ、熱により残留水を気化させるのを助けることができるので好ましい。更に、こうした温度は、滅菌プロセスの有効性を高める助けとなり、更に、任意の残留水を気化させる助けとなり、真空チャンバから残留の過酸化水素を除去するのを助けるためのプラズマを生成できるので好ましい。
【0006】
例えば過酸化水素を用いる市販の滅菌システムは、その滅菌チャンバ内の負荷に残留水がまったくない状態で運転されるのが好ましいように設計されている。一部の滅菌システムは、水蒸気と混合された蒸気として過酸化水素を滅菌チャンバ内へ導入するが、概ね、過酸化水素は水分が存在し得るチャンバ内へ導入されるべきではない。保健医療従事者が誤って水をチャンバ内の負荷上に導入した場合、チャンバ内の圧力を低下させるにつれて、その水とその周囲との間の表面圧の均衡を維持するため、その水は気化し始める。この圧力均衡もまた温度の関数であるが、この均衡は典型的には、水の蒸気圧と呼ばれるものである。水の蒸気圧は、100℃で1気圧、すなわち101kPa(760トル)であり、これが、水は100℃で沸騰すると通例述べられることの理由である。ただし、水の周囲の局所圧が101kPa(760トル)を下回る場合、液体水は、より低い温度で水蒸気に位相が変化し得る。
【0007】
一部の滅菌システムは、滅菌剤ガスを滅菌チャンバに導入する前に、チャンバ内に取られる圧力測定の分析に基づいて、滅菌チャンバ内の水の存在をチェックするようになっている。例えば、一部の滅菌システムは、減圧されつつある間に、チャンバ内の圧力のわずかな上昇をチェックする。減圧されつつある間に、水がチャンバ内に存在しないと、圧力は、高まることなく、漸近線の方へ低下していく。しかしながら、減圧されつつある間に何らかの水がチャンバ内に存在すると、少なくともその水の一部は蒸気となって、圧力の、わずかな局所的な上昇を引き起こし得る。したがって、減圧されつつある間に圧力の小さな上昇が検出されると、それは真空チャンバ内に水が存在することを示すものとなる。他の滅菌システムは、水蒸気に帰属し得る圧力の増加についてチャンバを監視しながら、チャンバ内の圧力を既定の圧力レベルまで低下させてから、その既定の圧力レベルに圧力を維持することを試みる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
目標は、何らかの水分がチャンバ内に存在し得るかどうかを識別することであるが、過酸化水素ベースの滅菌用に真空チャンバが十分に乾燥させることを確実にするため、湿度ではなく圧力が典型的に監視される量となる。湿度センサは、時として、必要な湿度レベルがEtO滅菌などの他のタイプの滅菌において存在することを確認するために使用されるが、その意味では、EtO滅菌を有効にするためには水分が必要であるのに反して、過酸化水素滅菌において水分は回避されるべきである。
【0009】
過酸化水素滅菌プロセス中に水が検出された場合は、プロセスを中止して、再び滅菌を試みる前に、余分な水を医療用装置から除去するとよい。水が検出されてすぐに滅菌プロセスを中止することにより、有効とはならない恐れのある滅菌プロセスを継続する場合と比べて時間とリソースを節約するのに役立ち得るだけでなく、滅菌されていない装置を使用することを回避し得る。
【0010】
一部の事例においては、滅菌プロセスを中止する代わりに、「負荷コンディショニング」と呼ばれるプロセスにより、水を真空チャンバから除去するよう試みることが好まれる場合がある。負荷コンディショニングは典型的には、まず加熱すること、及び/又はプラズマを滅菌チャンバ内に導入すること、並びに滅菌チャンバを再加圧してエネルギーを水に移転することを、何らかの形で組み合わせることによって、次に、新たに減圧を実行して水を蒸気変換することによって実現される。負荷コンディショニングは、チャンバ内を減圧する前、後、又は前と後と両方に実行し得る。一部の事例では、負荷コンディショニングではチャンバから水を除去できない。他の事例では、負荷コンディショニングで、水の一部を除去し得るが、全部を除去しきれない。このような事例では、追加の負荷コンディショニングを試みることができ、最終的にチャンバから十分な水分が除去され得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
開示されている主題は、滅菌システムと、滅菌システムを操作する方法と、に関する。一部の実施形態においては、滅菌システムは、閉鎖状態の弁により滅菌剤のリザーバに接続された、器具を滅菌するための真空チャンバを有してよい。第1の例示的方法は、滅菌パック内に非滅菌状態の器具を配置する工程と、チャンバを開放する工程と、チャンバ内にパックを配置する工程と、チャンバ内に生物学的インディケータを配置する工程と、チャンバを閉鎖する工程と、第1の体積の空気をチャンバから抜き取る工程と、ある体積の液体水を水蒸気に変える工程と、弁を開放する工程と、滅菌剤をチャンバ内に導入する工程と、滅菌剤をチャンバから抜き取る工程と、第2の体積の空気をチャンバ内に導入する工程と、チャンバを開放する工程と、パックをチャンバから取り出す工程と、及び滅菌状態の器具をパックから取り出す工程と、を含み得る。第1の例示的方法はまた、チャンバ内の圧力が第1の圧力である場合に、チャンバ内からベースライン湿度測定値を取得する工程と、チャンバ内の圧力をコンディショニング圧力まで低下させる工程と、滞留時間にコンディショニング圧力を維持する工程と、チャンバ内の圧力を高める工程と、チャンバ内から第2の湿度測定値を取得する工程と、ベースライン湿度測定値と第2の湿度測定値とを比較する工程と、を含み得る。
【0012】
器具を滅菌するための真空チャンバを有する滅菌システムを操作する第2の例示的方法は、デジアル計算機のタイマーを始動することと、チャンバ内からベースライン湿度測定値を取得することと、チャンバから第1の体積の空気を抜き取ることと、チャンバから第1の体積の空気を抜き取りながら、チャンバ内の第1の後続の湿度測定値を繰り返しは取得することと、第1の体積の空気がチャンバから抜き取られた後に、滞留時間を待機することと、滞留時間にチャンバ内から第2の後続の湿度測定値を繰り返し取得することと、第2の体積の空気をチャンバ内に導入することと、第2の体積の空気を導入しながら、チャンバ内から第3の後続の湿度測定値を繰り返し取得することと、デジタル計算機を使用して、第3の後続の湿度測定値の中から最大湿度測定値を識別することと、最大湿度測定値を別の湿度測定値と比較することと、を含み得る。別の湿度測定値は、ベースライン湿度測定値であってもよい。あるいは、別の湿度測定値は、第1の後続の湿度測定値及び第2の後続の湿度測定値の中の最小湿度測定値であってもよい。第2の例示的方法では、ベースライン湿度測定値を取得する工程と、第1の後続の湿度測定値を取得する工程と、第2の後続の湿度測定値を取得する工程と、第3の後続の湿度測定値を取得する工程と、は、湿度センサで湿度測定値データを繰り返し取ることと、デジタル計算機の非一時的記憶媒体にそのデータを格納することと、を含み得る。第2の例示的方法は、チャンバを自動的に開放する工程と、滅菌状態の器具をチャンバから取り出す工程と、をも含み得る。第2の例示的方法はまた、チャンバを閉鎖する工程を含み得るが、その場合、タイマーを始動する工程は、チャンバを閉鎖する工程の後に起こり得る。加えて、チャンバから第1の体積の空気を抜き取る工程は、タイマーを始動する工程の後に始まり得る。第2の例示的方法では、最大湿度測定値は、ベースライン湿度測定値を超えてよい。この場合、第2の例示的方法は、一連の真空パルス法を自動的に開始する工程をも含み得る。第2の例示的方法では、最大湿度測定値は、ベースライン湿度測定値以下であってもよい。この場合、第2の例示的方法は、最大湿度測定値をベースライン湿度測定値と比較した後で、滅菌剤リザーバに接続された弁を自動的に開放する工程をも含み得る。第2の例示的方法では、滅菌剤リザーバは過酸化水素を収容し得る。
【0013】
本明細書に記載の滅菌剤は、様々な構成要素及びサブシステムを含み得る。例えば、例示の滅菌システムは、真空チャンバと、真空ポンプと、真空チャンバと真空ポンプとの間に配設された第1の弁と、過酸化水素を収容する滅菌剤リザーバと、真空チャンバに隣接して配設され、真空チャンバ内の湿度を検出するように構成されている湿度センサと、を含み得る。湿度センサは、真空チャンバの上に配設されてよい。第2の弁は、真空チャンバと滅菌剤リザーバとの間に配設されてよい。封止部は、真空チャンバと滅菌剤リザーバとの間に配設されてよい。封止部は、金属又はプラスチックのシートを含んでよい。第3の弁は、真空チャンバと湿度センサとの間に配設されてよい。第3の弁は、過酸化水素が湿度センサに接触することを防止するように構成され得る。湿度センサは、相対湿度センサであってよい。第4の弁は、滅菌剤リザーバと周囲環境との間に配設されてよい。第5の弁は、真空チャンバと周囲環境との間に配設されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書は、本明細書において説明される主題を特定して指摘し、明白に請求する請求項を以って結論とするものであるが、添付図面と併せた以下の特定の例の説明により、その主題は更によく理解されると思われる。
図1】本明細書において開示される方法を実践するために用いられ得る真空チャンバを有する滅菌システムを、ブロック図の形態で図示している。
図2図1に示されているような滅菌システムの真空チャンバ内の湿潤負荷及び乾燥負荷に関する、湿度センサ出力対時間をプロットしたグラフである。
図3図1に示されているような滅菌システムの真空チャンバ内の様々な湿潤負荷及び乾燥負荷に関する、湿度センサ出力対時間をプロットしたグラフである。
図4図1に示されているような滅菌システムの真空チャンバ内の、負荷コンディショニングプロセスを受けた湿潤負荷と、乾燥負荷とに関する湿度センサ出力対時間をプロットしたグラフである。
図5】滅菌システムを使用するための例示的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、特許請求されている主題の特定の例示的ないくつかの例を記載する。本技術の他の例、特徴、態様、実施形態及び利点は、以下の説明から当業者には明らかになるであろう。したがって図面及び説明は、実質的に例示的なものとしてみなされなければならない。
【0016】
I.滅菌システム
図1は、ブロック図の形式で模式的に描いた滅菌システム10を表す。同システム10は、真空チャンバ12を備え、同チャンバ12はその中に滅菌対象の器具の負荷(パック)14を有する。チャンバ12は、約20Pa~400Pa(0.15トル~3トル)もの低い圧力を取り扱えるくらいに堅牢で、その中に導入されるいかなる滅菌剤とも反応せず、吸収もしないくらいに不活性である任意の材料から形成され得る。そのような材料としては、アルミニウム及びステンレス鋼が挙げられ得る。チャンバ12はまた、例えばドアのような開放可能且つ封止可能なバリア16をも含み、同バリア16は、負荷14をチャンバ12内に置いたり、チャンバ12から取り出したりするのが可能とするよう開放し得るものである。バリア16は、チャンバ12内で実現される低い圧力に耐え得るよう、かつチャンバ12と周囲環境との間で漏れが起こらないよう、十分に堅牢であるべきで、十分に堅牢な封止部を含むべきである。所望の動作圧力を達成することが可能な真空ポンプ18は、空気及び、例えば水蒸気のようなその他のガスを、チャンバ12から排気する。真空ポンプ18は、同ポンプ18をチャンバ12と接続するためのホース又はパイプ20を含み得る。真空ポンプ18はまた、弁22をも含み得るが、同弁22は、チャンバ12内の圧力が変化するのを助けたり、妨げたりするために開閉され得る。例えば、弁22が解放され真空ポンプ18が作動している場合には、チャンバ12内の圧力が低下し得る。あるいは、弁22は開放されているものの真空ポンプ18が作動していない場合には、チャンバ内の圧力は、雰囲気圧と等しくなり得る。他の実施形態では、周囲空気をチャンバ12に導入し、チャンバ12内の圧力を雰囲気圧に戻すため、脱気弁を使用してチャンバ12の脱気又は排気を行ってもよい。図1に表示されていないこの脱気弁は、チャンバ12内の圧力を調節するために、ポンプ18及び弁22の代わりに又はそれに加えて使用され得る。ホース又はパイプは、チャンバ12を周囲環境に接続し得、脱気弁は、周囲環境とチャンバ12との間のこのホース又はパイプ内部に配設され得る。圧力モニタ24は、チャンバ12内の圧力を監視する。特に好適な圧力モニタは、MKS Instruments社製のキャパシタンスマノメータである。加熱素子26を、チャンバ12を加熱するために用いてもよい。同素子26は、チャンバ12の外側にあって、チャンバ12を均一に加熱するのに十分な位置に取り付けられた別々の素子を含むものであり得る。滅菌剤を収容し、ホース又はパイプ30を含むタンク又はリザーバ28が、チャンバ12に接続されている。一部の実施形態においては、タンク28は、弁32を更に含み、同弁32は、タンク28からホース30を経由してチャンバ12の中に至る滅菌剤の流れを制御するために、チャンバ12とタンク28との間に配設され得る。一部の実施形態においては、弁32の代わりに又はそれに加えて、封止部がタンク28とホース又はパイプ30との間に配設され得る。封止部は、滅菌剤がホース又はパイプ30に入ることを可能にするため、穿刺などによって開放されてよい。したがって、封止部は、アルミホイルなど、とりわけ金属又はプラスチックのシートから製造され得る。選択的に又は追加的に、滅菌剤が中に導入された後でチャンバ12の脱気を更に助けるため、弁が中に配置されている別のホース又はパイプがタンク28と周囲環境との間に配設されてもよい。
【0017】
電源及び/又は信号発生器33、並びにチャンバ12内に配設された電極34が、チャンバ12内の、電極34とチャンバ12の内面との間に電界を発生させて、チャンバ12内にプラズマを発生させるためにするために提供され得る。例えばRF信号のような信号が、例えばワイヤ式のフィードスルーのようなフィードスルー35を介して、発生器33から電極34に提供され得る。プラズマの発生は、過酸化水素ガスを用いる低温滅菌プロセスには有用である。これらのプロセスでは、過酸化水素ガスが励起されて、過酸化水素プラズマが形成され得る。あるいは、プラズマを形成するために例えば空気のような別のガスを用いてもよく、そうすることにより、負荷上に残る過酸化水素残留物の量を減らし、過酸化水素をチャンバ12から除去するのを容易にするのに役立ち得る。滅菌システム10はまた、ユーザーインターフェイス36をも含み、同インターフェイス36には、例えばプリンタ又ディスプレイのような出力装置と、例えばキーパッド又はタッチスクリーンのようなユーザー入力装置とが含まれ得る。滅菌システム10はまた、Honeywell International,Inc.製のHIH-4602-A/C Series Relative Humidityセンサなどの湿度又は相対湿度センサ50を含んでよい。一部の実施形態においては、弁52が湿度センサ50と真空チャンバ12との間に配設され、センサ50に損傷を与え得る高濃度の過酸化水素からセンサ50を遮蔽する。つまり、弁52は、過酸化水素がチャンバ12内にないときは開状態であってよく、それによって、センサ50は、チャンバ12内の空気及び/又はガスの湿度測定値を取得することが可能になる。弁52は、過酸化水素がチャンバ12内にあるとき、及び/又は過酸化水素が滅菌剤リザーバ28からチャンバ12内に導入される前に閉状態になり得る。弁52が閉状態であるとき、センサ50はチャンバ12及びその中のすべての過酸化水素から切り離され、それによって過酸化水素による損傷からセンサ50が保護される。
【0018】
例えばデジタル計算機のような制御システム38は、システム10及びその様々な構成部品の動作を制御する。制御システム38は、マイクロプロセッサ40を採用し得る。同システム38は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、又はフラッシュメモリのような、圧力の値、湿度の値、及び時間の値といったデータを保存可能な非一時的記憶媒体42をも採用し得る。例えば圧力データ及び/又は湿度データのようなアナログデータが収集される場合には、アナログからデジタルへの(A2D)変換器44を用いて、アナログデータをデジタルデータに変換してもよい。タイマー又はクロック回路45は、タイムキーピングをする。制御システム38は、マイクロプロセッサが、それにより、圧力データ及び/又は湿度データ間から最大又は最小の値を決定し得る、ソフトウェア及び/又はロジックを更に含み得る。制御システム38は、マイクロプロセッサが、それにより、圧力及び/又は相対湿度の値を他の圧力及び/又は相対湿度の値と比較し得る、ソフトウェア及び/又はロジックを更に含み得る。例えば、制御システムは、様々な時間増分iで取得される、圧力データP及び湿度データHを格納することができる。Δtで指定される、近接する時間増分間の時間量は、約0.1秒、約1秒、約2秒、約5秒、又は約10秒に等しくなり得る。圧力データ及び相対湿度データは、滅菌プロセスを通して測定され、記憶媒体42に格納され得る。データは、対応する圧力又は相対湿度センサから電圧出力として収集され得る。
【0019】
II.含水量の決定
理想的には、負荷14は、完全に乾燥した状態、すなわち水分がまったくない状態でチャンバ12に導入される。一部の、特に滅菌対象の器具が、保健医療従事者により十分乾燥されていない事例では、残留水が、真空チャンバの中に導入され得る。これらの事例では、滅菌プロセスの減圧が開始される際に、すなわち、真空ポンプ18が活性化される際に、チャンバ12内に水が存在し得る。チャンバ内の圧力が減少すると、残留水の少なくとも一部の体積の位相がガスに変化し得、これが過酸化水素滅菌プロセスなどの滅菌プロセスを妨害し得る。更に、ガスに位相が変化するあらゆる残留水の少なくとも一部の体積は、氷に位相が変化し得る。過酸化水素は、この氷上で液化し、過酸化水素が氷の下の装置に接触することを妨げ得るので、滅菌プロセスの有効性が更に低下する。
【0020】
従来技術は、圧力測定値を介して真空チャンバ内の水分を識別し、これらの測定値の分析に基づいて過酸化水素滅菌プロセスを進めるかどうかの判定の基礎を置く例を含むが、発明者らは、湿度又は相対湿度測定の分析に基づくそのような判定を認識していない。以前は、湿度及び/又は相対湿度センサが、過酸化水素滅菌に適した低圧力で真空チャンバ内の水蒸気分子を検出することが困難であることから、湿度に基づいた判定は不適合であると考えられていた。つまり、真空チャンバ内の圧力が、例えば約大気圧から、例えば約1.3kPa(10トル)の圧力まで低下されると、チャンバ内に残留している又は気化によって生成される水蒸気分子は、チャンバ12内の含水量を正確に表わす湿度センサからの出力を生成するほどには、湿度センサに接触しない。したがって、過酸化水素を導入するかどうかを判定するための基準として真空チャンバ内の含水量を評価するために、湿度データが用いられるべきではないと考えられてきた。
【0021】
発明者らは、湿度又は相対湿度センサを用いて真空チャンバ内の含水量を測定し得る驚くべき機構を発見しており、それにより、測定値は、過酸化水素を滅菌用としてチャンバ内に導入すべきかどうかを判定するための基準を形成し得る。本明細書の記載は、この発見の新たな、有益な、そして発明的な応用方法であり、そのことは、当該技術分野で既知の滅菌プロセス及び負荷コンディショニング技術を向上させるものである。
【0022】
一部の実施形態においては、チャンバ12内の開始圧力は、雰囲気圧、例えば大気圧と等しい又はほぼ等しい。チャンバ12は、障壁16を閉鎖することによって封止され得る。湿度又は相対湿度センサ50は、チャンバ12内の湿度のベースライン計測値を取るのに使用される。次いで、真空ポンプ18の弁22を開放し、ポンプを活性化して、チャンバ12内の圧力をコンディショニング圧力P(約5~2.0kPa(15トル)、約1.1kPa(8トル)~約1.6kPa(12トル)、又は約1.3kPa(10トル))まで低下させることによって、空気がチャンバ12から抜き取られ得る。次いで、負荷14内の残留水が気化できるように、チャンバ12内の圧力をある期間P又は約Pに維持するため、弁22が閉鎖され、ポンプ18が非活性化され得る。気化は、加熱素子26を活性化することによって助力され得る。圧力を維持するために弁22が閉鎖される期間又は滞留時間tは、約1秒~約5分、約1秒~約1分、約1秒~約50秒、約1秒~約10秒、又は約5秒であってよい。時間は、タイマー45によって監視され得、それぞれの時間増分Δtは、非一時的記憶媒体42に格納されるそれぞれの湿度測定値に対応する。同様に、プロセス又はその一部を通して、湿度又は相対湿度センサ50はそれぞれの時間増分Δtで湿度を測定し、センサ50の出力、典型的に電圧出力も非一時的記憶媒体42に記録される。
【0023】
滞留時間が経過した後、チャンバ12は加圧される。例えば、弁22及び/又は脱気弁は、周囲空気がチャンバ12内に入ることができるように開放され得る。空気がチャンバ12内に入る又はなだれ込むと、チャンバ内で空気及び水蒸気が混合し、発明者らが発見したように、この活動がチャンバ12内の水分子を湿度センサに接触させる。負荷14が中に配設されたときに、任意の残留水が真空チャンバ12内に導入された場合、チャンバ12から抜き出された空気と同じ含水量を有する空気の導入により、チャンバ12内の含水量全体が元の含水量よりも大きくなる。つまり、チャンバ12内の含水量は、湿度センサ50によって判定されるベースライン含水量よりも高くなるはずである。
【0024】
例えば、一実施形態では、プロセスはチャンバ12内の周囲空気から始まる。病院職員が負荷14を中に配設するが、負荷が十分乾燥していなかったため、負荷内部の残留水の体積を伴うことになる。チャンバ12内の圧力は、約1.3kPa(10トル)のコンディショニング圧力まで低下され、次いで弁22が閉鎖され、圧力は約0.1秒、1秒、5秒、又は10秒の滞留時間の間、ほぼコンディショニング圧力に維持される。チャンバ12内の圧力が低下され始めるおおよその時間から、残留水の分子の少なくとも一部が気化する。次いで、弁22又は脱気弁が、チャンバ12を加圧する及び/又は脱気するために開放される。これにより、負荷14上の残留水の一部が気化されたであろうことから、例えば周囲空気が、周囲空気よりも高い水蒸気量を有するチャンバ内の空気と混合される。この混合機構は、チャンバ12の至る所の蒸気量を等しくし、湿度センサ50が、残留水から気化された水分子を「確かめる」ことを可能にする。したがって、湿度センサ及びそこから導出される湿度データでは、過酸化水素がチャンバ内に導入されるべきかどうか、又は負荷コンディショニングプロセスが試みられるべきかどうかを正確に判定することができないという、当業者間の概念にかかわらず、湿度センサ及びそこから導出される湿度データは、この点において非常に有益であることが明らかである。
【0025】
滅菌負荷上の残留水によって生じる真空チャンバ内の含水量の変化が、相対湿度センサを用いて検出され得ることを実証する実験が行われた。実験は、改良されたSTERRAD(登録商標)100NX(登録商標)滅菌システムに、100NXの真空チャンバ内の湿度を読み取るように構成された、Honeywell International,Inc.製のHIH-4602-A/C Series Relative Humidityセンサを用いて実行された。過酸化水素への潜在的な暴露から湿度センサを保護するため、絶縁弁が湿度センサと真空チャンバとの間に配設された。
【0026】
一実験の湿度データが、図2のグラフに反映されている。この実験に使用された滅菌システムは、真空チャンバ内の湿度を測定できる(capable or measuring)湿度センサを含むように改良された100NX(登録商標)である。真空チャンバ内に導入され得るあらゆる過酸化水素からセンサを保護するために閉鎖され得る絶縁弁が、湿度センサと真空チャンバとの間に置かれた。グラフは、湿度センサからの電圧出力対時間をプロットしたものである。この実験には、2回の実施が含まれている。1回目の実施では、約5mLの残留水を含む湿潤負荷が、真空チャンバに配設された。別の実施では、乾燥負荷が真空チャンバ内に配設された。参照番号62は、湿潤負荷に対する湿度データのプロットに対応する。参照番号60は、乾燥負荷に対する湿度データのプロットに対応する。
【0027】
t=0で、真空チャンバ内の圧力が雰囲気圧であり、周囲温度が18℃である間は、湿潤負荷の湿度がわずかに高かった。つまり、湿度センサは、湿潤負荷については約1.6ボルト、乾燥負荷については約1.5ボルトの電圧を出力した(output)。約t=0.15分より、改良された100NX(登録商標)の真空ポンプがチャンバから空気をパージし始めた。湿度センサからの電圧出力における著しい降下が観察されたが、これは、約t=0.15分(約雰囲気圧に対応)から約t=0.7分(約コンディショニング圧力1.3kPa(10トル)に対応)の間が反映されている。この期間は、データの2つのプロット間の相違が消え、2つのプロットは約t=0.4分から互いに重なり合っている。この重なり合いは、低めの圧力での湿潤負荷及び乾燥負荷に関する湿度センサのデータが類似していることを示している。したがって、湿潤負荷と乾燥負荷との間を区別するために、これらのデータを使用することはできない。これは、滅菌用に過酸化水素を真空チャンバ内に導入すべきかどうかを判定するための基準として、湿潤負荷と乾燥負荷との間を区別するために、湿度センサを使用すべきではないと、当業者が信じてきた可能性がある1つの理由であり得る。
【0028】
約t=0.7分より、真空ポンプは非活性化され、真空ポンプの弁は、約t=0.8分になるまでチャンバ内の圧力を維持するために封止され、それによって、あらゆる残留水が気化を続けることが可能になる。次いで、改良された100NX(登録商標)が脱気され、周囲空気が真空チャンバ内になだれ込む。乾燥負荷の場合、約t=1.5分までに、湿度センサからの電圧出力がt=0のときの出力にほぼ戻る。ただし、湿潤負荷の場合は約t=1.1分で、湿度センサからの電圧出力が約3.6ボルトに到達しており、これはt=0での湿潤負荷及び乾燥負荷の対応する値の約3倍となる。したがって、チャンバ内の圧力が低下される前の湿度センサからの電圧出力を使用して、湿潤負荷と乾燥負荷との間を区別することはできないが、チャンバ内の圧力が低下されて、チャンバが脱気された後の湿度センサからの電圧出力には、湿潤負荷と乾燥負荷との間に明確な相違が存在する。
【0029】
図2に反映されているデータのような湿度データは、このようにして、過酸化水素滅菌用に負荷が十分乾燥しているかどうかを判定するための基準として使用することができる。例えば、プロットに最大湿度値を含み得る、脱気後の時間に対応する湿度対時間のプロット上の湿度値は、乾燥負荷に関する湿度のベースライン値、すなわち、以前、チャンバが周囲条件にあったときに決定された空のチャンバ又は乾燥負荷が中に配設されたチャンバの湿度と比較され得る。あるいは、これらの湿度値は、以前、チャンバ内の圧力が約1.3kPa(10トル)などのコンディショニング圧力まで低下されたときに決定された、空のチャンバ又は乾燥負荷が中に配設されたチャンバに関する湿度対時間曲線上の湿度の最小値と比較され得る。あるいは、これらの湿度値は、チャンバが脱気される前の湿潤負荷及び乾燥負荷に関する湿度プロットの類似性により、t=0でのベースライン湿度値及び/又は同一プロット上の最小湿度値と比較され得る。いずれのタイプの比較が実行されるにせよ、脱気前及び脱気後の湿度値の著しい相違から、負荷に残留水が含まれていたことが分かる。一部の例示的比較においては、ベースライン湿度値を超える最大湿度値は、湿潤負荷を示すと見なされ、一方、ベースライン湿度値以下の最大湿度値は、乾燥負荷を示すと見なされる。
【0030】
負荷内部の残留水の既知の量を用いた最大湿度値及びベースライン湿度値に関する、湿度センサの出力における相対的な相違を相関させるため、更なる実験が行われた。これらの相関は次いで、将来的な他の負荷における残留水の量を推定するために使用され得る。これらのデータは、図3に反映されている。参照番号64は、乾燥負荷に対応する。参照番号66は、約1mLの残留水が配設されている負荷に対応する。参照番号68は、約2mLの残留水が配設されている負荷に対応する。参照番号70は、約3mLの残留水が配設されている負荷に対応する。参照番号72は、約4mLの残留水が配設されている負荷に対応する。参照番号74は、約5mLの残留水が配設されている負荷に対応する。参照番号76は、約10mLの残留水が配設されている負荷に対応する。それぞれのデータセットについて、t=0でのベースライン湿度は類似しており、すなわち約1.5~約1.6ボルトである。チャンバ内の圧力は、約t=0.15分で低下され始め、対応する湿度の降下がそれぞれの曲線で観察される。約t=0.4分頃までに、それぞれの試料の湿度値は、重なり合い又はほぼ重なり合い始める。つまり、乾燥試料から最も湿潤している10mL試料まで、それぞれの試料の湿度値は等しい又はほぼ等しい。約t=0.7分にチャンバは封止され、その時点でそれぞれの試料の湿度出力は、それぞれの曲線の最小湿度値である約1.1ボルトとなる。湿度値の増加は、その後すぐに10mL曲線(参照番号76)上に観察される。チャンバは、約t=0.8分で脱気される。約t=1分までに、湿度対時間曲線はそれぞれ、互いから開散している。次いで、約t=1.1分~約t=1.15分までに、湿潤負荷に対応する湿度対時間曲線のそれぞれがその最大湿度値に達している(has have reached)。参照番号76の10mL曲線の場合、最大湿度値は約3.7ボルトである。参照番号74の5mL曲線の場合、最大湿度値は約3.6ボルトである。参照番号72の4mL曲線の場合、最大湿度値は約3.4ボルトである。参照番号70の3mL曲線の場合、最大湿度値は約3.2ボルトである。参照番号68の2mL曲線の場合、最大湿度値は約2.8ボルトである。参照番号66の1mL曲線の場合、最大湿度値は約2.2ボルトである。参照番号64の乾燥曲線の場合、湿度値は約1.4ボルトに達し、これはベースライン湿度値を下回っている。これらのデータは、将来的に真空チャンバ内に導入される水分量を判定するのに使用され得る。例えば、負荷の最大湿度値が約3.5ボルトである場合、負荷は約4mL~5mLの残留水を含んでいたと判定され得る。あるいは、最大湿度値が、ベースライン湿度値を超える約0.5ボルト~0.75ボルト、又は最小湿度値を超える約1.0ボルト~1.25ボルトである場合、負荷が湿潤しすぎており、過酸化水素で確実に滅菌できない可能性があることをデータは示唆している。したがって、これらのデータは、負荷が手動で又は負荷コンディショニングプロセスによって乾燥される後まで、過酸化水素を真空チャンバ内に導入すべきではないことを判定するための基準として使用され得る。ただし、負荷の最大湿度値が約1.5ボルトのベースライン湿度値とほぼ等しい又はそれ未満である場合、負荷は過酸化水素による滅菌用に十分に乾燥していると考えられる。したがって、これらのデータは、過酸化水素が滅菌用に真空チャンバ内に導入され得ることを判定するための基準として使用され得る。
【0031】
上述の実験が繰り返し可能であり、確実な結果を提供することを確認する、更なる実験が行われた。
【0032】
III.負荷コンディショニング
一部の事例においては、負荷内部の残留水は、「負荷コンディショニング」と呼ばれるプロセスによって真空チャンバから除去され得る。上述のテクノロジーは、負荷コンディショニングプロセスが意図されたとおりに負荷を乾燥させているかどうか、また最終的に負荷が過酸化水素によって滅菌するのに十分乾燥しているかどうかを判定するのに役立てるため、負荷コンディショニングプロセスに取り入れることができる。負荷コンディショニングの1つの技術は、時として「真空パルス法」と呼ばれる。真空パルス法は典型的に、真空チャンバが低圧力状態にあり、チャンバ内の負荷にエネルギーを提供することと、チャンバを加圧することと、圧力を低下させることと、の何らかの組み合わせを含む。上述の技術を元にすると、例えば、チャンバ内の圧力が、コンディショニング圧力P、約1.3kPa(10トル)に達するまで、例えば5mLの水を有する湿潤負荷を含む真空チャンバから、空気が抜き取られ得る。コンディショニング圧力が維持される滞留時間の後に、チャンバは脱気され得る。脱気によって、湿度センサは、図2~3に関する前述の説明に基づいて最大湿度値約3.6ボルトを出力するはずである。脱気の前に、エネルギーはプラズマを通って又は加熱素子26などの過熱素子を用いることによって負荷に提供され、あらゆる残留水の気化を更に助長し得る。あるいは又は加えて、チャンバは、チャンバ内の目下の空気よりも温かい周囲空気をチャンバ内に導入するために脱気され得、それによって負荷及びその上の残留水が温められ得る。この時点で、前述の工程で少なくとも一部の残留水が気化されているはずであることから、負荷内部に配設された残留水は5mLを下回るはずであり、これが、最大湿度値がベースライン湿度値を超える原因となる。ただし、一部の残留水は残存し得る。再度、空気はチャンバから抜き取られ、チャンバが再び脱気される前に、おそらくエネルギー供給され得る。湿度センサからの出力は、いくらかの水が残存していること、ただし、残存している水分量は元の5mLを下回っていることを示すはずである。これらの工程は、湿度センサからの出力がベースライン湿度値を下回るまで、複数回繰り返され得る。
【0033】
真空パルス法のプロセスによるデータは、図4に反映されている。真空パルス法の対象となる5mLの水を含む湿潤負荷に関する、湿度対時間に対応するデータのプロットは、参照番号82で示されている。乾燥負荷に関する湿度対時間に対応するデータのプロットは、参照番号80で示されている。湿潤負荷に対する負荷コンディショニングプロセスは、図2と共に説明したプロセスに類似する方式で開始される。第1の最大湿度値は、時間約t=1.1分で発生する。第1の最大湿度値は、3.4ボルトにほぼ等しく、図2の対応する値約3.6ボルトに近接している。空気は次いで、1.3kPa(10トル)にほぼ等しくなり得るコンディショニング圧力Pまで繰り返し抜き取られ、その後、チャンバを脱気し、それによって中に残存する水にエネルギーを与えることにより、空気がチャンバに再導入される。それぞれの脱気工程に続いて、負荷が乾燥しているかどうかを判定するために、最大湿度値がベースライン湿度値と比較される。負荷が乾燥していない場合、真空パルス法は、最大湿度値がベースライン値以下になるまで継続する。図4に示されているとおり、5mLの残留水を有する試料負荷は、6つの脱気工程の後の負荷コンディショニングを介して、正常に乾燥されることと判定された。
【0034】
IV.滅菌システムのルーティーン
例えば滅菌システム10のような低温の化学的滅菌システムは、何らかの水が真空チャンバ12内にあるかどうか、負荷コンディショニングが実行されるべきであるかどうか、及び過酸化水素が真空チャンバ内に導入されるべきであるかどうかを判定することに関する様々なルーティーンを実行するよう設計されている場合がある。例えば負荷コンディショニングを実行すべきかどうかを判定するためのルーティーン、負荷コンディショニングのルーティーン、及び滅菌のルーティーンのような、滅菌システムが実行し得る工程、並びに保健医療従事者が実行し得るその他の工程を含む滅菌プロセスの例が、図5に記載されている。このプロセスは、開示される主題を更に例示し、その有用性を説明するために、単に例としてのみ記載されている。このプロセスに含まれる工程の多くは、その他の工程に替えて、又はその他の工程の前後に追加的に実行され得る。この例に記載される工程は、開示される主題の範囲から逸脱することなく、様々な組み合わせ及び順番で実行され得る。例えば、何らかの滅菌剤が真空チャンバ内に導入される前に、負荷コンディショニングルーティーンは実行され得るかつ/又は空気プラズマが真空チャンバ内に導入され得る。
【0035】
図5に詳しく説明されているように、滅菌プロセスの例は、保健医療従事者が、先に使用されたことにより汚れた器具を、水、洗浄液、又は器具用の水溶性潤滑剤を用いて洗浄することで開始される。次にその器具を、例えば器具を加熱したり、又は、圧縮空気を器具の中、特に器具の内腔に吹き付けたりすることのような、当該技術分野で既知の様々な技術のうちの任意のもの又はそれらを組み合わせたものを用いて乾燥させる。乾燥された器具は、例えばアルミニウムのような金属製の、又は例えばポリカーボネートのようなプラスチック製の、滅菌ボックス又はラック内に配置され得る。器具及び/又はラックは、滅菌ラップ内に包まれて、滅菌パック又は負荷14を形成する。ラップは、微生物に対してバリアとして機能するが、滅菌剤がそれを透過するのを可能とする。パックが包まれると、パックは、滅菌システム10の真空チャンバ12に導入される用意ができた状態になる。生物学的インディケータも、チャンバ内に配設してよい。チャンバは、障壁16を閉鎖することによって閉鎖され、封止される。この時点でタイマー45が開始され、制御システム38が時間増分Δtごとに(約0.1秒ごと又は約1秒ごとになり得る)、湿度センサ50からの湿度データ出力を記録し始める。時間t=0と、雰囲気圧に等価であり得るチャンバ内の元の圧力と、に対応する記録された第1の湿度データポイントが、ベースライン湿度値Hである。真空ポンプ18の弁22が開かれ、真空ポンプ18が活性化する。チャンバ12内の圧力が既定のコンディショニング圧力P以下であることを、圧力センサ24が示すまで、ポンプ18によってチャンバ12から空気が抜き取られる。Pは、例えば約1.3kPa(10トル)など、水が確実に気化する任意の圧力であってよい。チャンバ12内の圧力がPに達すると、ポンプ18は非活性化し、弁22が閉鎖される。チャンバ12内の圧力は、ある期間、すなわち、約0.1秒、約0.5秒、約1秒、約5秒、又は約10秒に等しくあり得る滞留時間tの間、Pに維持される。tの後、チャンバ12は、おそらく、ポンプ18を活性化する及び/又は脱気弁を開放することによって、大気へ放出される。制御システム38及び特にプロセッサ40は、後続の値Hをチェックして、いずれかのかかる値がベースライン湿度値Hを超えているかどうかを判定する。プロセスの一部の形態においては、プロセッサ40は、Hの最大値、すなわち、HmaxのみをHと比較する。プロセスの他の形態においては、プロセッサ40は、H及び/又はHmaxをHの最小値、すなわち、Hminと比較する。Hを超えるHがない場合、及び/又はHmaxがHを下回る場合、負荷14は乾燥していると推定され得る。したがって、滅菌プロセスの滅菌サイクルが開始され得る。具体的には、弁22が開放され、ポンプ18が活性化されて、チャンバ12内で既定の滅菌圧力Pが実現するまでより多くの空気がチャンバ12から抜き取られる。Pは、約40Pa(0.3トル)、約67Pa(0.5トル)、約133Pa(1トル)、約267Pa(2トル)、又は約400Pa(3トル)であり得る。チャンバ12内の圧力がPになると、ポンプ18は非活性化され、弁22が閉鎖される。過酸化水素によるセンサ50の損傷を防止するため、チャンバ12とセンサ50との間の絶縁弁も閉鎖される必要がある。弁32が開放され、滅菌剤リザーバ28の過酸化水素が蒸気形態、又は確実に気化される液状形態(例えば、液滴)でチャンバ12内に導入される。その後、チャンバ12から過酸化水素が排除され、例えば、雰囲気圧まで再び加圧される。チャンバは次いで、障壁16を開放することによって開放される。無菌状態になった器具は、その後、チャンバ12内から取り出されてよい。ただし、Pが実現した後の時間に対応するHがHを超えた場合、負荷コンディショニングサイクルが開始され得る。図5のプロセスでは、圧力がPに到達するまでチャンバから空気を抜き取る工程と、圧力をtの間、Pに維持する工程と、チャンバを脱気する工程と、後続のHをHと比較する工程と、を繰り返すことによって、真空パルス法が実行される。以前と同様、Hを超えるHがない場合、及び/又はHmaxがHを下回る場合、負荷14は乾燥していると推定され得る。これが当てはまらない場合には、負荷コンディショニングがもう1回実行され得る。負荷コンディショニングは、負荷を乾燥させるのに必要な回数だけ繰り返されてよい。あるいは、試行回数2回、5回、7回、又は10回など、コンディショニング試行の特定の回数以内に負荷が十分に乾燥されない場合には、プロセスがタイムアウトになり、中止される場合がある。
【0036】
本明細書に記載の例及び/又は実施形態のいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて様々な他の特徴及び/又は工程を有し得ると理解されるべきである。本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には明らかとなろう。
【0037】
本発明に含有される主題の例示の実施形態について図示し説明したが、本明細書で記載した方法及びシステムの更なる適用例は、特許請求の範囲を逸脱することなく適切な変更により達成され得る。このようないくつかの変更態様は、当業者には明らかのはずである。例えば上述した例、実施形態、幾何学的なもの、材料、寸法、比率、工程などは例示である。したがって特許請求の範囲は、明細書及び図面に記載される構造及び動作の詳細に限定されるべきではない。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 閉鎖状態の弁により滅菌剤のリザーバに接続された、器具を滅菌するための真空チャンバを有する滅菌システムを操作する方法であって、
(a)滅菌パック内に非滅菌状態の前記器具を配置する工程と、
(b)前記チャンバを開放する工程と、
(c)前記チャンバ内に前記パックを配置する工程と、
(d)前記チャンバ内に生物学的インディケータを配置する工程と、
(e)前記チャンバを閉鎖する工程と、
(f)前記チャンバから第1の体積の空気を抜き取る工程と、
(g)ある体積の液体水を水蒸気に変える工程と、
(h)前記弁を開放する工程と、
(i)前記チャンバ内に前記滅菌剤を導入する工程と、
(j)前記チャンバから前記滅菌剤を抜き取る工程と、
(k)前記チャンバ内に第2の体積の空気を導入する工程と、
(l)前記チャンバを開放する工程と、
(m)前記チャンバから前記パックを取り出す工程と、
(n)前記パックから滅菌状態の前記器具を取り出す工程と、を含む、方法。
(2) (a)前記チャンバ内からベースライン湿度測定値を取得することであって、前記チャンバ内の前記圧力が第1の圧力である、ことと、
(b)前記チャンバ内の前記圧力をコンディショニング圧力まで低下させることと、
(c)滞留時間の間、前記コンディショニング圧力を維持することと、
(d)前記チャンバ内の前記圧力を高めることと、
(e)前記チャンバ内から第2の湿度測定値を取得することと、
(f)前記ベースライン湿度測定値を前記第2の湿度測定値と比較することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 器具を滅菌するための真空チャンバを有する滅菌システムを操作する方法であって、
(a)デジタル計算機内のタイマーを始動することと、
(b)前記チャンバ内からベースライン湿度測定値を取得することと、
(c)前記チャンバから第1の体積の空気を抜き取ることと、
(d)前記チャンバから前記第1の体積の空気を抜き取りながら、前記チャンバ内から第1の後続の湿度測定値を繰り返し取得することと、
(e)前記第1の体積の空気が前記チャンバから抜き取られた後、滞留時間待機することと、
(f)前記滞留時間に、前記チャンバ内から第2の後続の湿度測定値を繰り返し取得することと、
(g)前記チャンバ内に第2の体積の空気を導入することと、
(h)前記第2の体積の空気を導入しながら、前記チャンバ内から第3の後続の湿度測定値を繰り返し取得することと、
(i)前記デジタル計算機を用いて、前記第3の後続の湿度測定値の中から最大湿度測定値を識別することと、
(j)前記最大湿度測定値を別の湿度測定値と比較することと、を含む、方法。
(4) 前記別の湿度測定値が前記ベースライン湿度測定値である、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記別の湿度測定値が、前記第1の後続の湿度測定値及び前記第2の後続の湿度測定値の中の最小湿度測定値である、実施態様3に記載の方法。
【0039】
(6) 前記ベースライン湿度測定値を取得する工程、前記第1の後続の湿度測定値を取得する工程、前記第2の後続の湿度測定値を取得する工程、及び前記第3の後続の湿度測定値を取得する工程が、湿度センサで湿度測定値データを繰り返し取ることと、前記デジタル計算機の非一時的記憶媒体に前記データを格納することと、を含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記チャンバを自動的に開放することと、滅菌状態の前記器具を前記チャンバから取り出すことと、を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記チャンバを閉鎖することを更に含み、前記タイマーを始動する前記工程が、前記チャンバを閉鎖する前記工程の後に起こる、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記チャンバから第1の体積の空気を抜き取る前記工程が、前記タイマーを始動する前記工程の後に始まる、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記最大湿度測定値が前記ベースライン湿度測定値を超える、実施態様9に記載の方法。
【0040】
(11) 一連の真空パルス法を自動的に開始することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記最大湿度測定値が前記ベースライン湿度測定値以下である、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記最大湿度測定値を前記ベースライン湿度測定値と比較した後で、滅菌剤リザーバに接続された弁を自動的に開放することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記滅菌剤リザーバが過酸化水素を収容する、実施態様13に記載の方法。
(15) (a)真空チャンバと、
(b)真空ポンプと、
(c)前記真空チャンバと前記真空ポンプとの間に配設された第1の弁と、
(d)過酸化水素を収容する滅菌剤リザーバと、
(e)前記真空チャンバに隣接して配置され、前記真空チャンバ内の湿度を検出するように構成されている湿度センサと、を含む、滅菌システム。
【0041】
(16) 前記湿度センサが前記真空チャンバ上に配設されている、実施態様15に記載の滅菌システム。
(17) 前記真空チャンバと前記滅菌剤リザーバとの間に配設された第2の弁を更に含む、実施態様16に記載の滅菌システム。
(18) 前記真空チャンバと前記滅菌剤リザーバとの間に配設された封止部を更に含む、実施態様16に記載の滅菌システム。
(19) 前記封止部が、金属又はプラスチックのシートを含む、実施態様18に記載の滅菌システム。
(20) 第3の弁が前記真空チャンバと前記湿度センサとの間に配設されている、実施態様15に記載の滅菌システム。
【0042】
(21) 前記第3の弁が、過酸化水素を前記湿度センサに接触させないように構成されている、実施態様20に記載の滅菌システム。
(22) 前記湿度センサが相対湿度センサである、実施態様20に記載の滅菌システム。
(23) 第4の弁が、前記滅菌剤リザーバと前記周囲環境との間に配設されている、実施態様15に記載の滅菌システム。
(24) 第5の弁が、前記真空チャンバと前記周囲環境との間に配設されている、実施態様15に記載の滅菌システム。
図1
図2
図3
図4
図5