(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ローブを形成する内側バルーンを有する二重バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20220105BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61M25/10 520
A61N1/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017224330
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-11-02
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517156539
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel) Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, P.O. BOX 275, Yokneam, ISRAEL 2066717
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ジャスティン・ヘレラ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100706(JP,A)
【文献】特表2002-535033(JP,A)
【文献】特表2012-502759(JP,A)
【文献】特開2016-116863(JP,A)
【文献】国際公開第2016/176567(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0018794(US,A1)
【文献】特表2013-521937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61N 1/06
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記可撓性挿入管内に収容され、前記遠位端に第1及び第2の流体をそれぞれ供給するように構成された第1及び第2の導管と、
前記
可撓性挿入管の前記遠位端に固定された末端部材であって、
1以上の噴射口を有する第1のバルーンであって、前記第1の流体が前記第1のバルーンを膨らませ、前記1以上の噴射口を介して前記体腔内の組織に供給されるように前記第1の導管に接続された第1のバルーンと、
前記第1のバルーン内に収容された第2のバルーンであって、前記第2の流体が前記第2のバルーンを膨らませるように前記第2の導管に接続された第2のバルーンと、
可撓性の弾性材料を含み、前記末端部材の長手方向軸に沿って延びる複数のスプラインであって、前記第2のバルーンを拘束するように構成されていることにより、前記第2のバルーンの膨張が、前記第1の導管から前記1以上の噴射口に前記第1の流体を方向付ける通路をローブ間に前記長手方向軸に沿って形成する
前記ローブを形成する、複数のスプラインと、を有する、末端部材と、を備え
、
前記複数のスプラインは、前記第2のバルーンに埋め込まれているか、または前記第2のバルーンの内側表面に貼着されており、前記可撓性の弾性材料は、形状記憶合金である、医療用装置。
【請求項2】
前記第1の流体が灌流液を含み、前記第2の流体が造影剤を含む、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項3】
前記造影
剤が、蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与える、請求項2に記載の医療用装置。
【請求項4】
前記第1のバルーン上に取り付けられ、
前記体腔内の組織に高周波エネルギーを伝達するように構成された1以上の電極を備える、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項5】
前記第2のバルーン内に収容された伸縮式シャフトであって、前記第2のバルーンが膨らむ際に縮み、前記第2のバルーンが収縮する際に伸長するように構成された伸縮式シャフトを備える、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項6】
前記伸縮式シャフトを包囲する可撓性スリーブであって、前記第2の流体が前記
可撓性挿入管に流入することを防止するように構成された可撓性スリーブを備える、請求項5に記載の医療用装置。
【請求項7】
前記スプラインが、長方形及び楕円形の断面からなる群から選択される断面を有する、請求項1に記載の医療用装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の医療用装置と、
制御コンソールであって、
前記
第2のバルーン内に造影剤を注入して前記
第2のバルーンを膨らませ、
前記
第2のバルーン内の前記造影剤を像視することにより前記体腔内の前記
可撓性挿入管の前記遠位端を可視化し、それにより、前記遠位端を標的位置へと誘導することを可能とし、
前記
第1のバルーンの前記1以上の噴射口を介して前記標的位置の組織に灌流液を搬送するように構成された制御コンソールと、を備えた装置。
【請求項9】
前記
制御コンソールがディスプレイを含み、蛍光透視ユニットを備えた、請求項
8に記載の装置であって、前記造影剤が、前記蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与え、前記
制御コンソールが、前記蛍光透視ユニットにより前記
第2のバルーン内の前記造影剤の画像を撮像することにより前記遠位端を可視化し、該画像を前記ディスプレイ上に提示するように構成されている、装置。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の医療用装置と組み合わせて動作するコンピュータソフトウェア製品であって、プログラム命令が格納された一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体を有し、前記
プログラム命令は、コンピュータによって読み取られると、前記
第2のバルーンを膨らませるために前記
第2のバルーン内に造影剤が注入される際に、前記コンピュータに、前記
第2のバルーン内の前記造影剤を像視することにより前記体腔内の前記
可撓性挿入管の前記遠位端を可視化させ、それにより、前記
第1のバルーンの前記1以上の噴射口を介して、標的位置の組織に灌流液を搬送しつつ、前記遠位端を前記標的位置へと誘導することを可能とする、コンピュータソフトウェア製品。
【請求項11】
前記第2のバルーンは、前記第1のバルーンよりも柔軟である、請求項1~7のいずれかに記載の医療用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には侵襲性プローブに関し、詳細には、医療処置の間に組織を灌流するように構成された侵襲性プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置で、センサ、チューブ、カテーテル、分注装置、及びインプラントなどの物体を体内に配置することが行われている。カテーテルを用いて行われる医療処置の例としては、心臓組織などの体内組織のアブレーション(焼灼)がある。アブレーションは、様々な心不整脈の治療、及び心房細動を管理する目的で用いることができる。こうした処置は、当該技術分野では周知のものである。静脈瘤の治療など、体内組織のアブレーションを利用した他の医療処置も、当該技術分野では周知のものである。これらの処置におけるアブレーションエネルギーは、処置に使用されるカテーテルの1以上の電極を介して供給される高周波(RF)エネルギーの形態でありうる。
【0003】
上記の説明は、当該技術分野における関連技術の一般論として示したものであって、この説明に含まれる情報のいずれも、本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものとして解釈されるべきではない。
【0004】
参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮すべきものとする点を除き、本出願の一部をなすものとみなす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に基づけば、体腔内に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、可撓性挿入管内に収容され、遠位端に第1及び第2の流体をそれぞれ供給するように構成された第1及び第2の導管と、挿入管の遠位端に固定された末端部材であって、1以上の噴射口を有する第1のバルーンであって、第1の流体が第1のバルーンを膨らませ、1以上の噴射口を介して体腔内の組織に供給されるように第1の導管に接続された第1のバルーンと、第1のバルーン内に収容された第2のバルーンであって、第2の流体が第2のバルーンを膨らませるように第2の導管に接続された第2のバルーンと、可撓性の弾性材料を含み、末端部材の長手方向軸に沿って延びる複数のスプラインであって、第2のバルーンを拘束するように構成されていることにより、第2のバルーンの膨張が、第1の導管から1以上の噴射口に第1の流体を方向付ける通路をローブ間に長手方向軸に沿って形成するローブを形成する、複数のスプラインと、を有する、末端部材と、を備えた医療用装置が提供される。
【0006】
特定の実施形態では、第1の流体は灌流液を含み、第2の流体は、蛍光透視ユニット用に放射線不透過性を与えることができる造影剤を含む。更なる実施形態では、本発明の一実施形態に基づく医療用装置は、第1のバルーン上に取り付けられ、体腔内の組織に高周波エネルギーを伝達するように構成された1以上の電極を有することができる。
【0007】
更なる実施形態では、医療用装置は、第2のバルーン内に収容された伸縮式シャフトであって、第2のバルーンが膨らむ際に縮み、第2のバルーンが収縮する際に伸長するように構成された伸縮式シャフトを有することができる。伸縮式シャフトを有する実施形態では、医療用装置は、伸縮式シャフトを包囲する可撓性スリーブであって、第2の流体が挿入管に流入することを防止するように構成された可撓性スリーブを有することができる。
【0008】
特定の実施形態では、スプラインは、長方形及び楕円形の断面からなる群から選択される断面を有することができる。更なる実施形態では、スプラインは、第2のバルーンに埋め込むことができる。更なる実施形態では、スプラインは、第2のバルーンの外側表面に貼着することができる。補足的な実施形態では、スプラインは、第2のバルーン内に配置することができる。
【0009】
本発明の一実施形態に基づけば、可撓性挿入管の遠位端を体腔内に挿入することであって、可撓性挿入管は、挿入管の遠位端に固定された末端部材に第1及び第2の流体をそれぞれ供給するように構成された第1及び第2の導管を収容し、末端部材が、1以上の噴射口を有し、第1の導管に接続された第1のバルーンと、第1のバルーン内に収容され、第2の導管に接続された第2のバルーンと、可撓性の弾性材料を含み、末端部材の長手方向軸に沿って延びる複数のスプラインであって、第2のバルーンを拘束するように構成された、複数のスプラインと、を有する、方法が提供される。本方法は、更に、第1の導管を介して第1の流体を搬送することによって第1のバルーンを膨らませ、更に1以上の噴射口を介して第1の流体を体腔内の組織に供給することと、第2の導管を介して第2の流体を搬送することによって第2のバルーンを膨らませ、更に、スプラインを用いて、第1の導管から1以上の噴射口に第1の流体を方向付ける通路をローブ間に長手方向軸に沿って形成する第2のバルーン上のローブを形成する、ことと、を含む。
【0010】
本発明の一実施形態に基づけば、1以上の噴射口を有する外側バルーン及び外側バルーン内に収容された内側バルーンをその遠位端に有する、体腔内に挿入するための医療用プローブを提供することと、内側バルーン内に造影剤を注入して内側バルーンを膨らませることと、内側バルーン内の造影剤を像視することにより体腔内の医療用プローブの遠位端を可視化し、それにより、遠位端を標的位置へと誘導することを可能とすることと、外側バルーンの1以上の噴射口を介して標的位置の組織に灌流液を搬送することと、を含む方法が提供される。
【0011】
特定の実施形態では、造影剤は、蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与え、遠位端を可視化することは、蛍光透視ユニットにより内側バルーン内の造影剤の画像を撮像し、画像をディスプレイ上に提示することを含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に基づけば、体腔内に挿入されるように構成された医療用プローブであって、1以上の噴射口を有する外側バルーン及び外側バルーン内に収容された内側バルーンをその遠位端に有する医療用プローブと、制御コンソールであって、内側バルーン内に造影剤を注入して内側バルーンを膨らませ、内側バルーン内の造影剤を像視することにより体腔内の医療用プローブの遠位端を可視化し、それにより、遠位端を標的位置へと誘導することを可能とし、外側バルーンの1以上の噴射口を介して標的位置の組織に灌流液を搬送するように構成された制御コンソールと、を有する装置が更に提供される。
【0013】
本発明の一実施形態に基づけば、1以上の噴射口を有する外側バルーン及び外側バルーン内に収容された内側バルーンをその遠位端に有する、体腔内に挿入するための医療用プローブと組み合わせて動作するコンピュータソフトウェア製品であって、プログラム命令が格納された一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体を有し、命令は、コンピュータによって読み取られると、内側バルーンを膨らませるために内側バルーン内に造影剤が注入される際に、コンピュータに、内側バルーン内の造影剤を像視することにより体腔内の医療用プローブの遠位端を可視化させ、それにより、外側バルーンの1以上の噴射口を介して、標的位置の組織に灌流液を搬送しつつ、遠位端を標的位置へと誘導することを可能とする、コンピュータソフトウェア製品。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここで、本開示をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に基づく、外側バルーンによって包囲された内側バルーンからなる二重バルーンカテーテルを使用したアブレーション処置を行うように構成された医療用システムの概略絵図である。
【
図2】本発明の一実施形態に基づく、二重バルーンカテーテルの遠位端の概略絵図である。
【
図3】本発明の一実施形態に基づく、内側バルーンが伸長状態にある遠位端の概略縦断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に基づく、内側及び外側バルーンが伸長状態にある遠位端の概略横断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に基づく、内側及び外側バルーンが膨張状態にある遠位端の概略縦断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に基づく、内側及び外側バルーンが膨張状態にある遠位端の概略横断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に基づく、アブレーション処置の間に心内膜組織と接触している外側バルーンを示す概略詳細図である。
【
図8】本発明の一実施形態に基づく、アブレーション処置の間の遠位端の切欠き図を示す概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態に基づく、アブレーション処置の間に遠位端を追跡する方法を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概説
心臓アブレーションなどの様々な治療処置で、患者の体内に挿入されるカテーテルなどの侵襲性の医療用プローブが使用されている。心臓のアブレーション処置の間に、焼灼される心臓表面及びその表面下の心組織の局所的過熱が生じる場合がある。この表面過熱は炭化として現れる場合があり、こうした下層組織の過熱は組織に他の損傷をもたらし、組織の貫通につながる場合すらある。表面及び下層組織の温度を制御するには、焼灼しようとする領域を灌流液(一般的には生理食塩水)で灌流することによって炭化を防止することができる。
【0016】
本発明の実施形態では、カテーテルなどの医療用プローブは、体腔内に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、可撓性挿入管内に収容され、遠位端に第1及び第2の流体をそれぞれ供給するように構成された第1及び第2の導管と、を有する。医療用プローブは更に、遠位端に固定された末端部材であって、第1のバルーン(本明細書では外側バルーンとも呼ばれる)、第1のバルーン内に収容された第2のバルーン(本明細書では内側バルーンとも呼ばれる)、及び末端部材の長手方向軸に沿って延びる複数のスプラインを有する末端部材を有する。第1のバルーンは1以上の噴射口を有しており、第1の流体が第1のバルーンを膨らませ、1以上の噴射口を介して体腔内の組織に供給されるように第1の導管に接続される。第2のバルーンは、第2の導管から受け取られる第2の流体が第2のバルーンを膨らませるように第2の導管に接続される。複数のスプラインは可撓性の弾性材料で構成されており、末端部材の長手方向軸に沿って延びているため、第2のバルーンが膨らまされる際、各スプラインが第2のバルーンの膨張を拘束することにより、第1の導管から1以上の噴射口に第1の流体を方向付ける通路をローブ間に長手方向軸に沿って形成するローブが形成される。
【0017】
特定の実施形態では、第1の流体は、灌流液を含むことができる。アブレーション処置の間に外側バルーンに灌流液を供給する間(すなわち体腔内の組織に搬送するため)、内側バルーンは全体の(すなわち両方のバルーンの)体積を制御することができる。更に、下記に述べられるように、内側バルーンは独立して膨らませるか又は萎ませることができることから、外側バルーンの膨張/収縮時間を大幅に短縮し、外側バルーンにかかる応力を低減することができる。
【0018】
更なる実施形態では、内側バルーンを膨らませつつ内側バルーン内に蛍光透視法用造影剤を注入する際、内側バルーン内の造影媒体を像視することにより、医療用プローブの遠位端を体腔内で蛍光透視法により可視化することができ、それにより、遠位端を標的位置へと案内することが可能となる。このような遠位端の可視化は、医療用プローブが外側バルーンの1以上の噴射口を介して標的位置の組織に灌流液を搬送する間に操作者が用いることができる。
【0019】
システムの説明
図1は、医療用プローブ22(例えばカテーテル)と制御コンソール24とからなる医療用システム20の概略絵図であり、
図2は、本発明の一実施形態に基づく、医療用システムで使用される医療用プローブの遠位端26の概略絵図である。システム20は、例えば、カリフォルニア州ダイアモンド・バー所在のバイオセンス・ウェブスター社(Biosense Webster Inc.)製造のCARTO(登録商標)システムに基づいたものとすることができる。以下に述べられる実施形態では、プローブ22は、心臓28の心組織のアブレーションを行うなどの診断又は治療処置において使用することを想定している。また、プローブ22は、必要な変更を加えることで心臓又は他の体内の臓器において他の治療及び/又は診断目的で使用することもできる。
【0020】
プローブ22は、操作者32によって患者34の心臓28の室などの管腔内に挿入される挿入管30を有している。
図1に示される例では、操作者32は、遠位端26に固定された末端部材36が心臓28の室に進入するように患者34の脈管系を通じて挿入管30を挿入している。操作者32は、蛍光透視ユニット38を使用して心臓28内の遠位端26を可視化することができる。蛍光透視ユニット38は患者34の上方に配置されるX線源40を備えており、これにより患者にX線を透過させる。患者34の下方に配置されるフラットパネル検出器42は、患者34を透過するX線を光に変換するシンチレータ層44と、この光を電気信号に変換するセンサ層46とを有している。センサ層46は一般的にはフォトダイオードの2次元アレイで構成され、各フォトダイオードは、そのフォトダイオードによって検出された光に比例した電気信号を生成する。
【0021】
制御コンソール24は、蛍光透視ユニット38からの電気信号を画像50に変換するプロセッサ48を有しており、プロセッサはこの画像50を処置に関する情報としてディスプレイ52に提示する。ディスプレイ52は、例えば、ブラウン管(CRT)ディスプレイ、又は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ若しくはプラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイで構成されるものと想定する。しかしながら、本発明の実施形態を実施するうえで他のディスプレイも使用することができる。特定の実施形態では、ディスプレイ52は、画像50の提示に加えて操作者32からの入力を受け入れるように構成されたタッチスクリーンを含んでもよい。
【0022】
図1の例では、コンソール24は、一般的には患者34に貼着される接着皮膚パッチ56として構成される体表面電極にケーブル54を介して接続されている。プロセッサ48は、心臓28内の遠位端26の位置座標を、パッチ56と遠位端26に取り付けられた1以上の電極70(
図2)との間で測定されるインピーダンスに基づいて決定する。
図1に示される医療用システムは、遠位端26の位置を測定するためにインピーダンスに基づいた検出を用いているが、他の位置追跡技術を用いることもできる(例えば磁気に基づいたセンサ)。インピーダンスに基づいた位置追跡技術については、例えばそれらの開示内容を参照によって本明細書に援用するところの米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、及び同第5,944,022号に記載されている。磁気位置追跡技術については、例えば、それらの開示内容を参照により本明細書に援用するところの米国特許第5,391,199号、同5,443,489号、第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に記載されている。上記に述べた位置検出の方法は上述のCARTO(商標)システムで実行され、上記に引用した特許に詳細に述べられている。
【0023】
プロセッサ48は、プローブ22からの信号を受信してコンソール24の他の構成要素を制御するのに適したフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する汎用コンピュータで一般的に構成されている。プロセッサ48は、本明細書に述べられる機能を実行するようソフトウェアにプログラムすることが可能である。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードするか、又は光学的、磁気的、若しくは電子的記憶媒体など、一時的でない有形の媒体上で与えることができる。また、プロセッサ48の機能の一部又はすべてが、専用の、又はプログラム可能なデジタルハードウェア要素によって実行されてもよい。
【0024】
プロセッサ48は、プローブ22及びシステム20の他の構成要素から受信した信号に基づいてディスプレイ52を駆動し、患者の体内における遠位端26の現在の位置を示す画像50、並びに進行中の処置に関するステータス情報及びガイダンスを更新して提示する。プロセッサ48は、画像50を表わすデータをメモリ58に格納する。特定の実施形態では、操作者32は、1以上の入力装置60を使用して画像50を操作することができる。ディスプレイ52がタッチスクリーンディスプレイで構成される実施形態では、操作者32は、タッチスクリーンディスプレイを介して画像50を操作することができる。
【0025】
図2に示されるように、末端部材36は、外側バルーン64内に収容された内側バルーン62を有し、挿入管30は、挿入管内に収容された灌流導管66及び膨張導管68を有している。灌流導管66は外側バルーン64に接続されており、灌流液が外側バルーンに注入されることを可能とする。膨張導管68は内側バルーン62に接続されており、灌流液とは別の流体が内側バルーンに注入されることを可能とする。本発明の実施形態では、内側バルーンに注入される流体は、造影流体(本明細書では以下、造影剤とも呼ぶ)を含むことができる。その形態のため、医療用プローブ22は二重バルーンカテーテルと呼ばれる場合もある。
【0026】
図2に示される例では、バルーン62及び64は膨張させられており、外側バルーンは、通常、外側バルーン上に形成された1以上の金属薄層で構成された電極70を有している。図を簡単にする目的で、
図2(及び
図3~6)には示されていないが、末端部材36は、コンソール24から電極70に高周波エネルギーを伝送する導線、温度を感知するように構成された熱電対、及び患者34体内における遠位端26の操作を助けることができる位置センサも有している。
【0027】
外側バルーン64は、外側バルーン内部から心臓26などの体腔内の組織に(例えばアブレーション処置の間に)灌流液を搬送するように構成された灌流噴射口72を有している。
図2の構成は、電極72内に配置された灌流噴射口72を示しているが、灌流ポートのそれぞれを外側バルーン64上の任意の位置に配置することは、本明細書の趣旨及び範囲の範囲内にあるものとみなされる。内側バルーン62の構成については、下記で
図3及び4を参照した説明で述べる。
【0028】
制御コンソール24は、アブレーションモジュール74、灌流モジュール76、及び内部バルーン膨張モジュール78(本明細書では膨張モジュール78とも呼ばれる)も有している。動作時には、アブレーションモジュール74は、アブレーション電極70に印加されるアブレーション出力のレベル及び長さなどのアブレーションパラメータを監視及び制御する。灌流モジュール76は、灌流導管66を介して灌流液を外側バルーン64に供給し、外側バルーンへの灌流液の流れを監視する。外側バルーンは、灌流噴射口72を介して体腔組織に灌流液を搬送する。膨張モジュール78は、膨張導管68を介して内側バルーン62に膨張流体を供給して内側バルーンを膨張させるように構成されている。膨張モジュール78は、内側バルーンから膨張流体を抜いて内側バルーン62を萎ませるようにも構成されている。
【0029】
灌流液は、通常は、炭化を防止するために、外側バルーンが灌流噴射口72を介してアブレーション処置の間に体腔内の組織に供給する生理食塩水である。本発明の特定の実施形態では、膨張流体は、医療イメージング用に内側バルーンのコントラストを強調するために使用することができる造影剤を含む。例えば、造影剤は、蛍光透視ユニット38用の放射線不透過性を与えるように構成することができる。造影剤は、外側バルーン64がアブレーション処置を行い、1以上の灌流噴射口を介して灌流液を心臓28内の組織に搬送する間に、コンソール24がディスプレイ52上に操作者32に対して内側バルーン62を提示することを可能とする。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に基づく、伸長(すなわち萎んだ)状態にある内側バルーン62及び外側バルーン64を有する末端部材36の概略縦断面図であり、
図4は、内側及び外側バルーンが伸長状態にある末端部材36の概略横断面図である。見やすくする目的で、電極70及び灌流噴射口72は
図3及び4には示されていない。内側バルーン62は、延伸可能である一方でその元の(すなわち、伸長状態でかつ膨らんでいない)管状形状へと弛緩する能力を有するシリコーン管材又は別のポリマーなどの弾性材料で一般的に構成され、外側バルーン62は、ルブリゾール社(Lubrizol Corporation)(米国オハイオ州、ウィックリフ)により製造されるPellethane(登録商標)、ポリウレタン、アルケマ社(Arkema S.A.)(フランス、コロンブ)により製造されるPebax(登録商標)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの材料、又はこれらの材料の任意の混合物若しくは組み合わせで一般的に構成される。
【0031】
本発明の実施形態では、内側バルーン62の膨張は、薄い可撓性スリーブ90内に収納された伸縮式シャフト84の周囲に長手方向に延びる1組のスプライン82によって拘束される。同様に、シャフト84は、末端部材の長手方向軸86に沿って延びている。伸縮式シャフト84は、伸縮式シャフトが内側バルーンの膨張時には収縮し、内側バルーンが萎まされる際には伸長することを可能とするアコーディオン式の管で一般的に構成される。
図3に示される例では、内側バルーン62は萎んでおり、スプライン82はそれぞれの最初の状態に戻っている。
【0032】
スプライン82は、楕円(例えば円形)又は長方形(平坦に見える場合がある)の断面を有してよく、一般的には可撓性の弾性材料(例えばニチノールとしても知られるニッケルチタンなどの形状記憶合金)で構成される。特定の実施形態では、スプライン82は内側バルーンの弾性材料内に埋め込まれてもよく、また、代替的な実施形態では、スプラインは、内側バルーンの外側表面に貼着する(すなわち
図4に示される内側バルーンと外側バルーンとの間)か、又は内側バルーンの内側表面に貼着する(すなわち内側バルーンとスリーブ90との間)ことができる。内側バルーン62が膨らんでいない場合、スプライン82は真っ直ぐな状態(すなわち、スプラインの(元の状態))を保つことで内側バルーンを伸長状態に維持し、内側バルーン62が膨らむと各スプラインの長方形の形状のためにスプラインは一方向(すなわち、長手方向軸86から外側に)に曲がるように拘束される。スプライン82の形状記憶合金は、内側バルーン62が膨らんでいない場合に末端部材36を「真っ直ぐにする」ことに加えて、挿入管30を操作する際に行われる誤動作によって末端部材が「捻れ」て故障することを防止する。
【0033】
動作時には、伸縮式シャフト84はバルーン62及び64が膨らむと縮むように構成されており、スプライン82は長手方向に伸長して、
図6を参照して下記に述べられるようなローブを形成するように構成されている。同様に、バルーン62及び64が萎むと、スプライン82はそれぞれの元の(真っ直ぐな)状態に復帰することによって伸縮式シャフト84を伸長する。
図3の(及び下記に述べるように
図4の)例は、ローブ88を有する伸長状態にある内側バルーン62を示しているが、内側バルーンが伸長状態にある間に内側バルーンがローブを有さないように構成することも本発明の趣旨及び範囲内にあるものとみなされる。内側バルーン62は、外側バルーン64よりも一般的により柔軟であるため、内側バルーンは膨らんでいない場合の「管」形状から、
図6を参照した説明で下記に述べられるローブからなる球状の形状に移行することができる。
【0034】
上記に述べたように、伸縮式シャフト84は薄い可撓性スリーブ90内に収納されている。スリーブ90は、内側バルーン62から伸縮式シャフト内への膨張流体の逆流及び患者の血流を防止するためのシールとして機能するように伸縮式シャフト84を包囲するシリコーン又は延伸可能なポリマーで一般的に形成される。スリーブ90は軸方向に延伸し、ニチノールワイアがバルーンを伸長状態から膨張状態へと変化させるのにしたがって弛緩する。
【0035】
上記に述べたように、
図3及び4は、内側バルーン62が伸長状態にある末端部材36を示している。
図4に示される構成では、内側バルーン62は楕円形の横断面を有しており、外側バルーン64は外側バルーンに「星形」の横断面を与えるローブ80で構成されている。下記に述べられる
図5及び6に示されるように、内側及び外側バルーンが膨らむ際、内側バルーン62は星形の横断面を有するように膨張し、外側バルーン64は楕円形の放談面を有するように膨張する。
【0036】
図5は、本発明の一実施形態に基づく、膨張状態にあるバルーン62及び64からなる末端部材36の概略縦断面図である。
図5に示される例では、バルーンが膨らむと伸縮式シャフト84は長手方向に縮み、スプライン82は長手方向に伸長する。
【0037】
図6は、本発明の一実施形態に基づく、内側及び外側バルーンが膨張状態にある末端部材36の概略横断面図である。膨張モジュール78が、膨張流体100を内側バルーンに搬送することによって内側バルーン62を膨らませると、スプライン82が内側バルーンの膨張を拘束することによって、灌流導管66から灌流噴射口72に灌流液104を方向付ける通路102を形成するローブ88を形成する(すなわち各ローブ間の長手方向軸86に沿って)。
【0038】
二重バルーンカテーテルアブレーション及び灌流
図7は、本発明の一実施形態に基づく、アブレーション処置の間に心臓28の心内膜組織110と接触している外側バルーン64を示す概略図であり、
図8は、アブレーション処置の間の末端部材36の切欠き図を示す概略図である。上記に述べたように、心臓アブレーションなどの特定の電子生理学的な治療処置を行う際、心内膜組織の温度を調節することが一般的には重要である。したがって、
図7に示されるような、電極70を使用して行われるアブレーション処置において、医療用プローブ22は、灌流噴射口72から流出する灌流液104によって心内膜組織110を灌流することによって心内膜組織を冷却し、炭化を低減することができる。
図8に示されるように、内側バルーン62は膨張流体100によって膨らまされ、外側バルーン64は灌流液104によって膨らまされている。
【0039】
上記に述べたように、膨張モジュール76が膨張流体100によって内側バルーン62を膨らませ、灌流モジュール76が灌流液104によって外側バルーン64を膨らませると、各スプライン82が長手方向軸86から伸長して内側バルーンの表面上に通路102(すなわち長手方向のくぼみ)を形成することによって灌流液を灌流噴射口72に方向付ける。通路102は、灌流噴射口72への灌流液104の流れを最適化するために一般的に電極70と揃った位置にある。更に、通路102は、1以上の灌流噴射口への灌流液の供給を遮断しうる、内側バルーンと外側バルーンとの互いに対する接触を防止することができる。アブレーション処置が終了した時点で、膨張モジュール78は、内側バルーン62から膨張流体100を抜くことによって内側バルーンを萎ませることができる。
【0040】
図9は、本発明の一実施形態に基づく、アブレーション処置の間に末端部材36を追跡する方法を示したフロー図である。第1の配置工程120において、操作者32は、医療用プローブ22の遠位端26が心臓28の室に進入するように挿入管30を操作し、第1の注入工程122において、膨張モジュール78は膨張導管68に膨張流体100を注入することによって内側バルーン62を膨らませる。
【0041】
上記で述べたように、灌流液は蛍光透視ユニット38用の放射線不透過性を与える造影剤を含むことができる。蛍光透視ユニット38が内側バルーン62内の造影剤を像視し、その画像情報をコンソール24に伝送することに応じて、プロセッサ48は、可視化工程124において、遠位端26の可視化を含む画像50を提示する。
【0042】
操作工程126において遠位端26を追跡する際、操作者32は、挿入管30を操作して電極70が心内膜組織110上の標的位置と係合するように遠位端26を誘導し、注入工程128において、灌流モジュール76が灌流液104を挿入管30内に注入することによって外側バルーン64を膨らませるとともに通路102及び灌流噴射口72を介して灌流液を心内膜組織に搬送する。最後に、アブレーション工程130において、アブレーションモジュール74から伝送された高周波(RF)エネルギーを用いて電極72が心内膜組織110に対してアブレーション処置を行う一方で、蛍光透視ユニットが内側バルーン内の造影剤(すなわち膨張流体100)を像視し、灌流噴射口72が灌流液104を心内膜組織に搬送する。本発明の実施形態では、工程122、128及び130は、操作者32からの入力に応じて一般的に行われる(例えば入力装置60を介して)。
【0043】
上記に述べた実施形態はあくまで実例として挙げたものにすぎず、本発明は上記に詳細に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変形例及び改変例を含むものである。
【0044】
〔実施の態様〕
(1) 体腔内に挿入するための遠位端を有する可撓性挿入管と、
前記可撓性挿入管内に収容され、前記遠位端に第1及び第2の流体をそれぞれ供給するように構成された第1及び第2の導管と、
前記挿入管の前記遠位端に固定された末端部材であって、
1以上の噴射口を有する第1のバルーンであって、前記第1の流体が前記第1のバルーンを膨らませ、前記1以上の噴射口を介して前記体腔内の組織に供給されるように前記第1の導管に接続された第1のバルーンと、
前記第1のバルーン内に収容された第2のバルーンであって、前記第2の流体が前記第2のバルーンを膨らませるように前記第2の導管に接続された第2のバルーンと、
可撓性の弾性材料を含み、前記末端部材の長手方向軸に沿って延びる複数のスプラインであって、前記第2のバルーンを拘束するように構成されていることにより、前記第2のバルーンの膨張が、前記第1の導管から前記1以上の噴射口に前記第1の流体を方向付ける通路をローブ間に前記長手方向軸に沿って形成するローブを形成する、複数のスプラインと、を有する、末端部材と、を備えた医療用装置。
(2) 前記第1の流体が灌流液を含み、前記第2の流体が造影剤を含む、実施態様1に記載の医療用装置。
(3) 前記造影流体が、蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与える、実施態様2に記載の医療用装置。
(4) 前記第1のバルーン上に取り付けられ、体腔内の組織に高周波エネルギーを伝達するように構成された1以上の電極を備える、実施態様1に記載の医療用装置。
(5) 前記第2のバルーン内に収容された伸縮式シャフトであって、前記第2のバルーンが膨らむ際に縮み、前記第2のバルーンが収縮する際に伸長するように構成された伸縮式シャフトを備える、実施態様1に記載の医療用装置。
【0045】
(6) 前記伸縮式シャフトを包囲する可撓性スリーブであって、前記第2の流体が前記挿入管に流入することを防止するように構成された可撓性スリーブを備える、実施態様5に記載の医療用装置。
(7) 前記スプラインが、長方形及び楕円形の断面からなる群から選択される断面を有する、実施態様1に記載の医療用装置。
(8) 前記スプラインが、前記第2のバルーンに埋め込まれている、実施態様1に記載の医療用装置。
(9) 前記スプラインが、前記第2のバルーンの外側表面に貼着されている、実施態様1に記載の医療用装置。
(10) 前記スプラインが、前記第2のバルーン内に配置されている、実施態様1に記載の医療用装置。
【0046】
(11) 可撓性挿入管の遠位端を体腔内に挿入することであって、前記可撓性挿入管は、該挿入管の前記遠位端に固定された末端部材に第1及び第2の流体をそれぞれ供給するように構成された第1及び第2の導管を収容し、前記末端部材が、
1以上の噴射口を有し、前記第1の導管に接続された第1のバルーンと、
前記第1のバルーン内に収容され、前記第2の導管に接続された第2のバルーンと、
可撓性の弾性材料を含み、前記末端部材の長手方向軸に沿って延びる複数のスプラインであって、前記第2のバルーンを拘束するように構成された、複数のスプラインと、を有する、ことと、
前記第1の導管を介して前記第1の流体を搬送することによって前記第1のバルーンを膨らませ、更に前記1以上の噴射口を介して前記第1の流体を前記体腔内の組織に供給することと、
前記第2の導管を介して前記第2の流体を搬送することによって前記第2のバルーンを膨らませ、更に、前記スプラインを用いて、前記第1の導管から前記1以上の噴射口に前記第1の流体を方向付ける通路をローブ間に前記長手方向軸に沿って形成する前記第2のバルーン上のローブを形成する、ことと、を含む方法。
(12) 前記第1の流体が灌流液を含み、前記第2の流体が造影剤を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記造影流体が、蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与える、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1のバルーン上に取り付けられた1以上の電極を介して、体腔内の組織に高周波エネルギーを伝達することを含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記第2のバルーン内に収容された伸縮式シャフトを、前記第2のバルーンが膨らむ際に縮ませることと、前記第2のバルーンが収縮する際に前記伸縮式シャフトを伸長することと、を含む、実施態様11に記載の方法。
【0047】
(16) 前記伸縮式シャフトを包囲した可撓性スリーブを用いて、前記第2の流体が前記挿入管に流入することを防止することを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記スプラインが、長方形及び楕円形の断面からなる群から選択される断面を有する、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記スプラインが、前記第2のバルーンに埋め込まれている、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記スプラインが、前記第2のバルーンの外側表面に貼着されている、実施態様11に記載の方法。
(20) 前記スプラインが、前記第2のバルーン内に配置されている、実施態様11に記載の方法。
【0048】
(21) 1以上の噴射口を有する外側バルーン及び該外側バルーン内に収容された内側バルーンをその遠位端に有する、体腔内に挿入するための医療用プローブを提供することと、
前記内側バルーン内に造影剤を注入して前記内側バルーンを膨らませることと、
前記内側バルーン内の前記造影剤を像視することにより前記体腔内の前記医療用プローブの前記遠位端を可視化し、それにより、前記遠位端を標的位置へと誘導することを可能とすることと、
前記外側バルーンの前記1以上の噴射口を介して前記標的位置の組織に灌流液を搬送することと、を含む方法。
(22) 前記造影剤が、蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与え、前記遠位端を可視化することが、前記蛍光透視ユニットにより前記内側バルーン内の前記造影剤の画像を撮像し、該画像をディスプレイ上に提示することを含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 体腔内に挿入されるように構成された医療用プローブであって、1以上の噴射口を有する外側バルーン及び該外側バルーン内に収容された内側バルーンをその遠位端に有する医療用プローブと、
制御コンソールであって、
前記内側バルーン内に造影剤を注入して前記内側バルーンを膨らませ、
前記内側バルーン内の前記造影剤を像視することにより前記体腔内の前記医療用プローブの前記遠位端を可視化し、それにより、前記遠位端を標的位置へと誘導することを可能とし、
前記外側バルーンの前記1以上の噴射口を介して前記標的位置の組織に灌流液を搬送するように構成された制御コンソールと、を備えた装置。
(24) 前記コンソールがディスプレイを含み、蛍光透視ユニットを備えた、実施態様23に記載の装置であって、前記造影剤が、前記蛍光透視ユニット用の放射線不透過性を与え、前記コンソールが、前記蛍光透視ユニットにより前記内側バルーン内の前記造影剤の画像を撮像することにより前記遠位端を可視化し、該画像を前記ディスプレイ上に提示するように構成されている、装置。
(25) 1以上の噴射口を有する外側バルーン及び該外側バルーン内に収容された内側バルーンをその遠位端に有する、体腔内に挿入するための医療用プローブと組み合わせて動作するコンピュータソフトウェア製品であって、プログラム命令が格納された一時的でないコンピュータ読み取り可能な媒体を有し、前記命令は、コンピュータによって読み取られると、前記内側バルーンを膨らませるために前記内側バルーン内に造影剤が注入される際に、前記コンピュータに、前記内側バルーン内の前記造影剤を像視することにより前記体腔内の前記医療用プローブの前記遠位端を可視化させ、それにより、前記外側バルーンの前記1以上の噴射口を介して、標的位置の組織に灌流液を搬送しつつ、前記遠位端を前記標的位置へと誘導することを可能とする、コンピュータソフトウェア製品。