(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
(21)【出願番号】P 2018025733
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】服部 浩
(72)【発明者】
【氏名】浅野 博昭
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 孝紘
(72)【発明者】
【氏名】冨田 堅哉
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-85541(JP,A)
【文献】特開平9-311064(JP,A)
【文献】実開平5-34525(JP,U)
【文献】実開昭62-106116(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111811603(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
G01F15/00-15/18
G01D11/24
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータケース内を通過するガスの流量を計測すると共に、ガスの流路と隣り合わせの付属部屋に収容される圧力センサにより前記流路内のガス圧の異常を大気圧と比較して検出するガスメータにおいて、
前記メータケースの下面に形成されて水平に延び、その端部が前記メータケースの外側面の下側位置で開口する溝端部開口となった下面溝と、
前記下面溝内の天井面に開口し、前記付属部屋に大気圧を取り込む通気孔と、
前記メータケースの外側面のうち前記溝端部開口からそれと略同じ幅で上方に延びる帯状領域の下端部に段付き状に形成され、前記帯状領域の幅方向に対して傾斜し、前記帯状領域を流下してくる雨水を受けて前記帯状領域の一側方へと案内する横傾斜案内面と、
前記横傾斜案内面の下端部から上方に立ち上がり、前記横傾斜案内面に案内される雨水を堰き止める鉛直堰止面と、
前記横傾斜案内面と前記鉛直堰止面との交差部分の一端に位置し、前記溝端部開口の一側縁部に上方から雨水を排出する雨水排出部と、を有するガスメータ。
【請求項2】
前記帯状領域に陥没形成されて、その内側下部に前記横傾斜案内面を有すると共に、内側一側部に前記鉛直堰止面を有する凹部を備える請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記メータケースの下面から突出するリブ形状をなし、その表裏の一方の面が、前記溝端部開口の前記一側縁部側の前記下面溝の一内側面を構成する下面リブを備える請求項1又は2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記下面リブの前記表裏の他方の面は、前記横傾斜案内面の下端部より上側まで延長されている請求項3に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記付属部屋には、前記圧力センサを収容する第1の付属部屋と、前記第1の付属部屋と区画壁を隔てて隣合わせに設けられて底部を前記通気孔が貫通する第2の付属部屋とが設けられ、前記第1と第2の付属部屋の間を連通する連通孔が、前記区画壁の上端部を貫通している請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のガスメータ。
【請求項6】
前記第2の付属部屋は、水平方向に開口して、その開口部を塞ぐ蓋体を有し、
前記下面溝は、前記第2の付属部屋の下側開口縁に沿って延び、
前記蓋体の下端部から直角曲げされて、前記下面溝を下方から覆う溝カバーを備える請求項5に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス圧異常を検出するための圧力センサを内蔵したガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のガスメータの圧力センサは、一般に、ガス圧と大気圧とを比較してガス圧の異常を検出する構造になっている。そして、従来のガスメータとして、圧力センサの収容部に大気圧を取り込むための通気孔を下面に備えたもの知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-43223号公報(第10~11頁、第13図~第15図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のガスメータでは、外側面を伝わる雨水が下面に回り込んで通気孔に入り込むことがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、通気孔への雨水の浸入を抑えることが可能なガスメータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、メータケース内を通過するガスの流量を計測すると共に、ガスの流路と隣り合わせの付属部屋に収容される圧力センサにより前記流路内のガス圧の異常を大気圧と比較して検出するガスメータにおいて、前記メータケースの下面に形成されて水平に延び、その端部が前記メータケースの外側面の下側位置で開口する溝端部開口となった下面溝と、前記下面溝内の天井面に開口し、前記付属部屋に大気圧を取り込む通気孔と、前記メータケースの外側面のうち前記溝端部開口からそれと略同じ幅で上方に延びる帯状領域の下端部に段付き状に形成され、前記帯状領域の幅方向に対して傾斜し、前記帯状領域を流下してくる雨水を受けて前記帯状領域の一側方へと案内する横傾斜案内面と、前記横傾斜案内面の下端部から上方に立ち上がり、前記横傾斜案内面に案内される雨水を堰き止める鉛直堰止面と、前記横傾斜案内面と前記鉛直堰止面との交差部分の一端に位置し、前記溝端部開口の一側縁部に上方から雨水を排出する雨水排出部と、を有するガスメータである。
【0007】
請求項2の発明は、前記帯状領域に陥没形成されて、その内側下部に前記横傾斜案内面を有すると共に、内側一側部に前記鉛直堰止面を有する凹部を備える請求項1に記載のガスメータである。
【0008】
請求項3の発明は、前記メータケースの下面から突出するリブ形状をなし、その表裏の一方の面が、前記溝端部開口の前記一側縁部側の前記下面溝の一内側面を構成する下面リブを備える請求項1又は2に記載のガスメータである。
【0009】
請求項4の発明は、前記下面リブの前記表裏の他方の面は、前記横傾斜案内面の下端部より上側まで延長されている請求項3に記載のガスメータである。
【0010】
請求項5の発明は、前記付属部屋には、前記圧力センサを収容する第1の付属部屋と、前記第1の付属部屋と区画壁を隔てて隣合わせに設けられて底部を前記通気孔が貫通する第2の付属部屋とが設けられ、前記第1と第2の付属部屋の間を連通する連通孔が、前記区画壁の上端部を貫通している請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載のガスメータである。
【0011】
請求項6の発明は、前記第2の付属部屋は、水平方向に開口して、その開口部を塞ぐ蓋体を有し、前記下面溝は、前記第2の付属部屋の下側開口縁に沿って延び、前記蓋体の下端部から直角曲げされて、前記下面溝を下方から覆う溝カバーを備える請求項5に記載のガスメータである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のガスメータでは、圧力センサに大気圧を取り込むための通気孔が、メータケースの下面に備えた下面溝の天井面に開口している。ここで、メータケースの外側面のうち下面溝の溝端部開口から上方に延びる帯状領域の下端部には、帯状領域の幅方向に傾斜する横傾斜案内面が段付き状に形成され、横傾斜案内面の下端部から鉛直堰止面が立ち上がっている。これにより、帯状領域を流下してくる雨水は、横傾斜案内面によって帯状領域の一側方へと案内されてから鉛直堰止面で堰き止められ、それら横傾斜案内面と鉛直堰止面との交差部分の一端の雨水排出部から溝端部開口の一側縁部へと排出され、さらに、その一側縁部の稜線伝いに流下して下面溝の下方に落ちる。つまり、横傾斜案内面を備えていないと、帯状領域を流下してくる雨水が下面溝の天井面に伝わり得るところを、本発明では、横傾斜案内面により雨水を溝端部開口の一側縁部に案内し、その一側縁部を雨樋として利用して下面溝の下方に導くことができる。これにより、下面溝の天井面に雨水が伝わることを規制することができ、通気孔への雨水の浸入が抑えられる。
【0013】
横傾斜案内面及び鉛直堰止面は、メータケースの外側面の突出部の上面又は側面として備えてもよいし、請求項2の構成のように、メータケースの外側面に陥没形成された凹部の内面として備えてもよい。請求項2の構成によれば、横傾斜案内面及び鉛直堰止面を備えるための突出部をメータケースの外側面へ設けずに済み、異物への引っ掛かりが防がれる。
【0014】
下面溝は、メータケースの下面に陥没した状態に形成されていてもよいが、請求項3のガスメータのように、メータケースの下面から突出する下面リブで下面溝の一内側面を構成し、前述の溝端部開口の一側縁部が下面リブの側縁部で構成されるようにすれば、下面リブの側縁部の表裏の2本の稜線を利用して、雨水を安定して鉛直下方に案内することができる。また、請求項4の発明のように、下面リブの表裏の他方の面を、横傾斜案内面の下端部より上側まで延長すれば、上記した2本の稜線のうちの1本を雨水排出部に近づけることができ、雨水排出部から溝端部開口の一側縁部への雨水の伝達が安定する。
【0015】
請求項5のガスメータでは、隣り合う第1と第2の付属部屋の間の区画壁の上部を連通孔が貫通し、第2の付属部屋の底部を通気孔が貫通しているので、仮に通気孔から第2の付属部屋に水が浸入したとしても、圧力センサを収容する第1の付属部屋にまで水が浸入することが防がれる。
【0016】
請求項5のガスメータでは、第2の付属部屋の開口部を塞ぐ蓋体の下端部から直角曲げされた溝カバーにより下面溝が下方から覆われているので、この点においても通気孔への雨水の浸入が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガスメータの斜視図
【
図4】ガスメータの前面カバー、受容口蓋を取り外した状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図9に基づいて説明する。
図1に示された本実施形態のガスメータ10は、ガスの配管99の途中に接続されるメータケース11に、遮断弁20(
図2参照),計測管50(
図3参照)、整流器70(
図3参照)等を収容して備える。
【0019】
メータケース11は、例えばアルミの鋳物部品であって、横方向に延びた略直方体状のダクト部12を有する。以下、ダクト部12が延びる第1の水平方向を「横方向H1」といい、それと直交する第2水平方向を「前後方向H2」という。また、前後方向H2のうち後述する前面フランジ16を有する側を「前側」等といい、その反対側を「後側」等ということとする。
【0020】
図2に示すように、ダクト部12のうち前方から見て左側にはフード部13が備えられ、フード部13内が本発明に係る第2の付属部屋10Kになっている。また、フード部13の四隅には、面取り傾斜壁35が備えられている。さらに、フード部13の先端部からは四角形のフード部フランジ36が四方に張り出している。フード部フランジ36には、フード部13の開口より一回り大きな環状のOリング溝37が形成されると共に、Oリング溝37より外側の四隅に螺子孔が形成されている。そして、Oリング溝37にOリング(図示せず)が収容された状態で、板状の蓋体15がフード部フランジ36に宛がわれて螺子止めされている。これにより、第2の付属部屋10Kの開口部13Kが密閉されている。
【0021】
フード部13とダクト部12との間は、弁装着壁14によって区画されている。また、ダクト部12内は、弁装着壁14側から横方向H1に順番に並ぶ第1~第3の仕切壁25,26,27により、同じく順番に並ぶ、遮断部屋30、流入部屋31、中間部屋32及び流出部屋33に区画されている。
【0022】
ダクト部12の上面の左右の両端部には、1対の配管接続部23,24が突設されて遮断部屋30と流出部屋33とに連通している。そして、遮断部屋30に連通する一方の配管接続部23に燃料ガスの供給元側の配管99(
図2参照)が接続される一方、流出部屋33に連通する他方の配管接続部24に燃料ガスの使用者側の配管99が接続される。
【0023】
図3に示すように、弁装着壁14には円形の貫通孔14Aが形成され、その貫通孔14Aより一回り小さい円形の貫通孔25Aが第1仕切壁25に形成されている。そして、
図2に示すように、遮断弁20のフランジ20Fがフード部13側の弁装着壁14の開口縁に宛われて螺子止めされ、遮断弁20の弁体21が遮断部屋30に収容されている。そして、
図3に示すように、通常時には、弁体21が貫通孔25Aから離間し、燃料ガスの流量等に異常が生じた時には、弁体21が貫通孔25Aを閉塞する。
【0024】
図4に示すように、メータケース11の前面には、前面フランジ16が備えられている。前面フランジ16は、外縁部が横長の長方形をなし、ダクト部12から上下に張り出し、横方向H1の一端部がフード部13と一体になっている。また、前面フランジ16の前面には、外縁部を除く全体を段付き状に陥没させて陥没部16Aが形成され、その陥没部16A内に、流入部屋31、中間部屋32及び流出部屋33の前面全体を開放する部品受容口17が形成されている。
【0025】
流入部屋31には、部品受容口17から前述の整流器70が収容されていて、ガスの流れの均一化が図られている。また、第2及び第3の仕切壁26,27には、部品受容口17側が開口した矩形切欠部29,29が備えられている。これに対し、計測管50が角筒状をなし、その両端寄り位置に嵌合された1対の枠形シール部材60,60が矩形切欠部29,29に嵌合されて、計測管50が流入部屋31と流出部屋33との間を連絡している。また、計測管50には、図示しない1対の超音波素子が内蔵され、一方の超音波素子から送波された超音波が流体を伝播して他方の超音波素子に受波される伝搬時間に基づいて、後述する回路基板98(
図2参照)上の制御回路がガスの使用量を演算する。
【0026】
図2に示すように、受容口蓋18は、部品受容口17より一回り大きな長方形の板状をなし、外周部をメータケース11に螺子止めされる。また、受容口蓋18の内面には、図示しないパッキンが敷設され、流入部屋31と中間部屋32との間、中間部屋32と流出部屋33との間が気密状態に区画されている。
【0027】
受容口蓋18のうち中間部屋32に対向する部分には、ケーブル挿通孔18Aが形成され、計測管50の超音波素子の図示しないケーブルがケーブル挿通孔18Aを通して受容口蓋18の前側に引き出されている。
【0028】
図4に示すように、陥没部16A内の左辺上部には、フード部13内に連通する連通孔77が備えられ、その連通孔77を通して遮断弁20の図示しないケーブルが陥没部16Aの前側に引き出されている。
【0029】
陥没部16A内の左辺中間部には、遮断部屋30に連通する内圧検出孔78が形成され、その内圧検出孔78を塞ぐように
図2に示した圧力センサ80が取り付けられている。圧力センサ80は、遮断部屋30内のガス圧と大気圧とを表裏の一方と他方とに受ける図示しないダイヤフラムを内蔵している。
【0030】
陥没部16Aには、受容口蓋18の前側に回路基板98が重ねて取り付けられている。そして、前面フランジ16の全体を覆うように箱形の前面カバー81が取り付けられて、その前面カバー81の内に本発明に係る第1の付属部屋10Jが形成されている。
【0031】
回路基板98には、超音波素子、遮断弁20,圧力センサ80が接続されると共に、第1の付属部屋10J内に収容された図示しない電池が電源として回路基板98に接続されている。そして、回路基板98に実装された制御回路により、前述の如く超音波素子を利用して流体の流量が計測される。
【0032】
また、回路基板98のスイッチを介して遮断弁20が給電されていて通常は弁体21が貫通孔25Aから離間されている。そして、圧力センサ80にてガス圧の異常が検出されると遮断弁20への通電が遮断され、弁体21が貫通孔25Aを閉塞する。また、回路基板98には、震動検出器も実装されていて、その震動検出器が基準値以上の揺れを検出したときにも遮断弁20への通電が遮断されて貫通孔25Aが閉塞される。
【0033】
図5には、メータケース11の下面及び後面の形状が示されている。ダクト部12の下面には、横方向H1の両端部から1対の下面リブ61,62が垂下されている。それら下面リブ61,62は、ダクト部12の下面における前後方向H2の全体に亘って延び、前端部は前面フランジ16に接続されている。また、下面リブ61,62の下面は、前面フランジ16の下面と面一に配置され、それら下面リブ62等の下面よりフード部フランジ36の下面は僅かに上方に位置している。さらに、一方の下面リブ62は、ダクト部12とフード部13との間の弁装着壁14の真下に位置している。そして、その下面リブ62とフード部フランジ36との間が、本発明に係る下面溝64になっている。
【0034】
図6に示すように、下面溝64の天井面64Aには、1対の通気孔13B,13Bが並べて形成されている。そして、
図1に示すように、これら通気孔13B,13Bと、フード部13内の第2の付属部屋10Kと前述の連通孔77とを通して、圧力センサ80を収容する第1の付属部屋10Jに大気圧が取り込まれる。
【0035】
図6に示すように、下面溝64の前端は、前面フランジ16によって閉塞される一方、下面溝64の後端は、本発明に係る溝端部開口65として後方に向かって開口している。また、下面溝64の下面開口は、蓋体15の下端部から直角曲げされた溝カバー15Aによって覆われている。
図7に示すように、溝カバー15Aは、前後方向H2に延びる帯板状をなし、下面溝64のうち下面リブ62によって形成される一方の溝内側面62Bの下端寄り位置に突き合わされている。また、溝カバー15Aの横幅は、前方に向かうに従って徐々に小さくなっていて、溝カバー15Aの先端と溝内側面62Bとの間の隙間は前方に向かうに従って徐々に大きくなっている。さらには、溝カバー15Aの全長は、下面リブ62の前後方向H2の全長より僅かに短くなっていて、前面フランジ16と溝カバー15Aの前端部との間には、僅かに隙間が形成されている。また、溝カバー15Aは、前方に向かうに従って徐々に下るように僅かに傾斜している。
【0036】
フード部フランジ36は、下面リブ62より後方に大きく突出している。また、フード部13の後部下端の面取り傾斜壁35の外面は、その下部が、下面リブ62の後端より前側に位置する一方、面取り傾斜壁35の上部が、下面リブ62の後端より後方に位置している。そして、面取り傾斜壁35の外面下端に段差壁部82が形成されている。
【0037】
段差壁部82の下面は、下面溝64の天井面64Aの一部(後端部)を構成している。また、段差壁部82の後面と下面リブ62の後面とダクト部12全体の後面と面一になって連続しかつ前後方向H2に対して直交した鉛直外面83になっている。そして、フード部13の後部下端の面取り傾斜壁35の外面の上端部が、鉛直外面83より後方に位置して、その上方にフード部13の後面13D(以下、「フード後面13D」という)が帯状をなして上下方向に延び、さらに、そのフード後面13Dの上端に、フード部13の後部上端の面取り傾斜壁35の外面が続いている。そして、フード後面13Dの一側縁部に、鉛直外面83との間の段差面13Eが形成されている。
【0038】
段差壁部82とフード後面13Dとの間は、本発明に係る凹部84になっている。そして、凹部84内に位置する段差壁部82の上面が、本発明に係る横傾斜案内面90をなし、下面リブ62によって形成される凹部84内の一側面が、本発明に係る鉛直堰止面91をなしている。
【0039】
図9に示すように、横傾斜案内面90は、前後方向H2に対して平行で、横方向H1に対しては、下面リブ62に接近するに従って下るように傾斜している。また、横方向H1に対する横傾斜案内面90の傾斜角は、例えば5~30度になっている。一方、鉛直堰止面91は、下面溝64の一方の溝内側面62Bと面一になっている。そして、横傾斜案内面90と縦傾斜面92とが交差する交差部分のうち鉛直外面83側の一端が、本発明に係る雨水排出部93になっている。そして、下面溝64の溝内側面62Bと鉛直外面83とが交差してなる稜線R1が、雨水排出部93の真下位置で上下方向に延びている。また、下面リブ62のうち下面溝64の溝内側面62Bとは反対側の外側面62Aと鉛直外面83との稜線R2は、雨水排出部93の上方位置から下面リブ62の下端部まで延びている。なお、横傾斜案内面90の上隣の面取り傾斜壁35の外面は、以下、「縦傾斜面92」ということとする。
【0040】
本実施形態のガスメータ10の構成に関する説明は以上である。次に本実施形態のガスメータ10の作用効果について説明する。本実施形態のガスメータ10は屋外の雨水がかかる場所に設置されることがある。また、ガスメータ10は、
図6に示すように、通気孔13B,13Bを備えているが、それら通気孔13B,13Bは、メータケース11の下面溝64の天井面64Aに開口しているので、通常であれば、通気孔13B,13Bに雨水が入り込むことはない。しかしながら、例えば晴天から急転して雨天になると、ガスメータ10が冷却されてメータケース11内に負圧状態になり、このとき下面溝64の天井面64Aに雨水が伝わっていると、通気孔13B,13Bからメータケース11内に雨水が入り込む事態が生じう得る。
【0041】
これに対し、本実施形態のガスメータ10では、メータケース11のうち下面溝64の溝端部開口65から略同じ横幅で上方に延びる帯状領域の下端部に、横方向H1に対して傾斜する横傾斜案内面90が段付き状に形成されて、その横傾斜案内面90の下端部から鉛直堰止面91が立ち上がっている。これにより、
図8に示すように、帯状領域内(具体的には、フード後面13D、縦傾斜面92)を流下してくる雨水が、横傾斜案内面90によって帯状領域の一側方へと案内されてから鉛直堰止面91で堰き止められ、それら横傾斜案内面90と鉛直堰止面91との交差部分の一端の雨水排出部93から溝端部開口65の一側縁部へと排出されて、その一側縁部の稜線R1,R2伝いに雨水が流下して下面溝64の下方に落ちる。
【0042】
つまり、
図9に示すように、横傾斜案内面90を備えていないと、帯状領域内のフード後面13D、縦傾斜面92を流下してくる雨水が下面溝64の天井面64Aに伝わり得るところを、本実施形態のガスメータ10では、
図8に示すように、横傾斜案内面90を備えたことで雨水を溝端部開口65の一側縁部に案内して、その一側縁部を雨樋として利用して下面溝64の下方に導くことができる。これにより、下面溝64の天井面64Aに雨水が伝わることが規制され、通気孔13B,13Bへの雨水の浸入が抑えられる。
【0043】
また、横傾斜案内面90及び鉛直堰止面91は、メータケース11の後面から突出する突出部の上面又は側面として備えてもよいが、本実施形態のように凹部84の内面として備えれば、突出部による異物への引っ掛かりを防ぐことができる。
【0044】
下面溝64は、メータケース11の下面に陥没した状態に形成されていてもよいが、本実施形態では、メータケース11の下面から突出する下面リブ62で下面溝64の一方の溝内側面62Bを構成し、前述の溝端部開口65の一側縁部が下面リブ62の側縁部で構成されているので、下面リブ62の側縁部の表裏の2本の稜線R1,R2を利用して、雨水を安定して鉛直下方に案内することができる。しかも、それら一方の稜線R2は、雨水排出部93より上方まで延びてその途中部分が雨水排出部93に接近しているので、その稜線R2を伝わって雨水排出部93から溝端部開口65の一側縁部へと雨水が安定して伝わる。
【0045】
また、本実施形態では、第1と第2の付属部屋10J,10Kの間を区画する壁部の上部を連通孔77が貫通し、第2の付属部屋10Kの底部を通気孔13B,13Bが貫通しているので、仮に通気孔13B,13Bから第2の付属部屋10Kに水が浸入したとしても、圧力センサ80を収容する第1の付属部屋10Jにまで水が浸入することが防がれる。しかも、第2の付属部屋10Kの開口部13Kを塞ぐ蓋体15の下端部から直角曲げされた溝カバー15Aにより下面溝64が下方から覆われているので、この点においても通気孔13B,13Bへの雨水の浸入が抑えられる。仮に、溝カバー15Aの上に雨水が落ちても、溝カバー15Aは傾斜しているので、溝カバー15A上に雨水が溜まることはない。
【0046】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0047】
(1)前記実施形態のガスメータ10は、1対の超音波素子を利用してガスの流量を計測する構成になっていたが、本発明に係るガスメータの流量の計測原理はどのようなものであってもよい。
【0048】
(2)前記実施形態の横傾斜案内面90は、帯状領域の幅方向である横方向H1に傾斜し、前後方向H2に対しては平行になっていたが、前後方向H2に対して傾斜していてもよい。また、鉛直堰止面91も鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
【0049】
(3)前記実施形態の横傾斜案内面90は、メータケース11の後面に備えた凹部84の内部に配置されていたが、凹部を設けず、例えば、メータケース11の後面から突出する突部の上面と側面とに、横傾斜案内面90と鉛直堰止面91とを備えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 ガスメータ
10J 第1の付属部屋
10K 第2の付属部屋
11 メータケース
13B 通気孔
13K 開口部
15 蓋体
15A 溝カバー
61,62 下面リブ
62A 外側面(表裏の他方の面)
62B 溝内側面(表裏の一方の面)
64 下面溝
64A 天井面
65 溝端部開口
77 連通孔
80 圧力センサ
84 凹部
90 横傾斜案内面
91 鉛直堰止面
93 雨水排出部