特許 6991888 拡径部の寸法測定用ノギス

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2021-12-10

(45)【発行日】2022-01-13

(54)【発明の名称】拡径部の寸法測定用ノギス

(51)【国際特許分類】

   G01B 3/20 20060101AFI20220105BHJP

【ＦＩ】

G01B3/20 101Z

【請求項の数】 4

(21)【出願番号】P 2018030267

(22)【出願日】2018-02-23

(65)【公開番号】P2019144178

(43)【公開日】2019-08-29

【審査請求日】2021-01-07

(73)【特許権者】

【識別番号】000208695

【氏名又は名称】第一高周波工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100101878

【弁理士】

【氏名又は名称】木下 茂

(74)【代理人】

【識別番号】100187506

【弁理士】

【氏名又は名称】澤田 優子

(72)【発明者】

【氏名】萱野 帆高

(72)【発明者】

【氏名】友田 勇

(72)【発明者】

【氏名】森野 大智

【審査官】櫻井 仁

(56)【参考文献】

【文献】特開平０２－２３２５０１（ＪＰ，Ａ）

【文献】登録実用新案第３１７７１７３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】実開平０６－０５８３０４（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００６－１１２８８３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１１－０８９９４８（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許第０５３６９８９０（ＵＳ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｇ０１Ｂ ３／２０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

被測定物の端部と、前記被測定物の所定の幅寸法を有する部位との間の二点間の寸法を測定するノギスであって、
本尺およびスライダのいずれか一方に、前記被測定物の端部に接触する平面部を備えた第１接触キャリパが配置され、前記いずれか他方に、Ｕ字状に形成されてＵ字状の両脚部が、前記被測定物の所定の幅寸法を有する部位にそれぞれ接触する第２接触キャリパが配置されていることを特徴とする拡径部の寸法測定用ノギス。

【請求項2】

前記本尺およびスライダのいずれか一方のジョウに対して、前記第１接触キャリパが着脱可能に取り付けられ、前記いずれか他方のジョウに対して、前記第２接触キャリパが着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項１に記載の拡径部の寸法測定用ノギス。

【請求項3】

前記第２接触キャリパは、ライナ部材を介して前記いずれか他方のジョウに対して着脱可能に取り付けられ、
前記ライナ部材には、端部に切込み溝が形成されると共に、前記ジョウに対してボルトによって取り付けられ、前記第２接触キャリパは前記ライナ部材の切込み溝に挿通されるノブ付きボルトによって、ライナ部材に取り付けられていることを特徴とする請求項２に記載の拡径部の寸法測定用ノギス。

【請求項4】

前記被測定物が、コンクリート構造物に埋設されて当該コンクリートへの定着部として、軸方向に沿った断面形状がＴ字状に成形された定着部付き鉄筋であることを特徴とする請求項１に記載の拡径部の寸法測定用ノギス。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

この発明は、例えば鉄筋コンクリート構造物に埋設される鉄筋の端部に形成される拡径部の寸法を測定するに適した拡径部の寸法測定用ノギスに関する。

【背景技術】

【0002】

鉄筋コンクリート構造物やプレキャストコンクリート等に埋設される鉄筋の端部には、一般に鉄筋コンクリートへの定着部が形成される。
この定着部は従来より、鉄筋の端部をＵ字状やＬ字状に折り曲げて形成しているが、昨今においては配筋の施工性やコンクリートの充填性を向上させるために、熱間鋳込み加工などによって鉄筋の端部を拡径して、この拡径部を定着部とする施工工法が採用されている。この拡径部は、鉄筋の軸方向に沿った断面形状が、Ｔ字状になされていることから、Ｔヘッド工法鉄筋とも呼ばれており、これは例えば特許文献１に開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０００－２５７２０９号公報

【0004】

図８はＴヘッド工法鉄筋３０の例を示しており、丸棒状の鉄筋素体３０ａの端部には、前記した熱間鋳込み加工によって円錐形状の拡径部３０ｂが形成されている。そして、この円錐形状の拡径部３０ｂがコンクリート中に埋設されることで定着部になされる。
このＴヘッド工法鉄筋３０においては、その端部の拡径部３０ｂが目的の形状に成形されていることを確認するために、例えばノギスを用いて拡径部の厚さなどを測定することが行われる。

【0005】

すなわち、前記したＴヘッド工法鉄筋３０においては、「拡径部厚さｔ」が規定されている。この拡径部厚さｔは、「拡径はじめ３０ｃ」と「拡径部の底部３０ｄ」との間の寸法となる。
ところで、前記した拡径はじめ３０ｃの位置は、丸棒の鉄筋素体３０ａからなだらかに円錐形状の拡径部３０ｂにつながる境の部分に相当し、その位置はあいまいになり易い。そこで、拡径はじめ３０ｃは、丸棒の鉄筋素体３０ａの公称直径ｄの１．２倍（１．２ｄ）となる位置であると定めている。

【0006】

したがって、Ｔヘッド工法鉄筋３０の拡径部厚さｔを、ノギスで測定しようとする場合には、二つのノギスを用意して、次に示す順序にしたがって、拡径部厚さｔを求めることが行なわれる。
第１工程：第一ノギスの外側測定用ジョウの板厚方向の両面を、第二ノギス（デジタル表示式のノギス）の外側測定用ジョウで挟み、第二ノギスのデジタル表示のゼロ点設定を行なう。
第２工程：第一ノギスの外側測定用ジョウの間隔を、被測定物（Ｔヘッド工法鉄筋３０）の公称直径ｄの１．２倍に開き、ロックねじでスライダの移動を固定する。
第３工程：前記した公称直径ｄの１．２倍に開かれた第一ノギスの外側測定用ジョウを、被測定物の拡径はじめ３０ｃにあてがう。
第４工程：第二ノギスの外側測定用ジョウで、被測定物の底部３０ｄと第一ノギスの外側測定用ジョウの外側面とを挟み、第二ノギスのデジタル表示の値をＸ方向（リブ方向）拡径部厚さｔとして記録する。
第５工程：鉄筋素体３０ａを軸回りに９０度回転させた位置において、前記第１～第４工程を繰り返し、第二ノギスのデジタル表示の値をＹ方向（リブ垂直方向）拡径部厚さｔとして記録する。

【0007】

前記した第１～第５工程で示す二つのノギスを利用した測定方法によると、始めの第１工程において、第一ノギスの外側測定用ジョウの板厚を第二ノギスで測定して、デジタル表示のゼロ点設定が行なわれる。
これにより第４工程において、第二ノギスによって被測定物としてのＴヘッド工法鉄筋３０の底部３０ｄと第一ノギスのジョウの外側面との間の寸法を測定することにより、第一ノギスの外側測定用ジョウの板厚分が差し引かれた値として、被測定物の拡径部厚さｔを、第二ノギスのデジタル表示で得ることができる。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0008】

ところで、前記したように二つのノギスを利用した前記した拡径部厚さｔの測定方法によると、次のような観点から、測定の正確性に欠けるという問題、および測定の作業性が悪いという問題を有している。
１．第一ノギスのジョウの板厚を予め測定する必要があり、この測定にあたっては、第一ノギスのジョウの板厚方向に対して、第二ノギスに傾きが生ずることで、第一ノギスのジョウの板厚の測定誤差が発生し易い。したがって、熟練者による慎重な測定作業が求められる。
２．第一ノギスの外側測定用ジョウの間隔を、測定対称物としての鉄筋サイズｄごとに、１．２ｄに設定する必要があり、このときの第一ノギスの設定精度が拡径部厚さｔの測定結果に影響する。
３．第一と第二の二つのノギスの操作と、測定対象物（鉄筋３０）の把持も必要になることから、一人での測定作業は難しい。

【0009】

そこで、この発明が解決しようとする主要な課題は、一つのノギスを利用することで、前記したＴヘッド工法鉄筋などの拡径部厚さｔを測定可能にすると共に、その測定精度を向上させることができ、かつ人手を要することなく（測定者一人で）、容易に拡径部厚さｔの測定を行なうことが可能な拡径部の寸法測定用ノギスを提供する点にある。

【課題を解決するための手段】

【0010】

前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る拡径部の寸法測定用ノギスは、被測定物の端部（前記拡径部の底部３０ｄ）と、前記被測定物の所定の幅寸法を有する部位（前記拡径はじめ３０ｃ）との間の二点間の寸法を測定するノギスであって、本尺およびスライダのいずれか一方に、前記被測定物の端部に接触する平面部を備えた第１接触キャリパが配置され、前記いずれか他方に、Ｕ字状に形成されてＵ字状の両脚部が、前記被測定物の所定の幅寸法を有する部位にそれぞれ接触する第２接触キャリパが配置されていることを特徴とする。

【0011】

この場合、前記本尺およびスライダのいずれか一方のジョウに対して、前記第１接触キャリパが着脱可能に取り付けられ、前記いずれか他方のジョウに対して、前記第２接触キャリパが着脱可能に取り付けられていることが望ましい。

【0012】

そして好ましい形態においては、前記第２接触キャリパは、ライナ部材を介して前記いずれか他方のジョウに対して着脱可能に取り付けられ、前記ライナ部材には、端部に切込み溝が形成されると共に、前記ジョウに対してボルトによって取り付けられ、前記第２接触キャリパは前記ライナ部材の切込み溝に挿通されるノブ付きボルトによって、ライナ部材に取り付けられる。

【0013】

一方、この発明に係る拡径部の寸法測定用ノギスは、コンクリート構造物に埋設されて当該コンクリートへの定着部として、軸方向に沿った断面形状がＴ字状に成形された定着部付き鉄筋を被測定物として、その拡径部の寸法の測定に好適に利用することができる。

【発明の効果】

【0014】

前記したこの発明に係る拡径部の寸法測定用ノギスによると、Ｕ字状に形成された第２接触キャリパの両脚部の間隔が、Ｔヘッド工法鉄筋３０の拡径はじめ３０ｃの寸法（前記した１．２ｄ）に一致したものが用いられる。
そして、第２接触キャリパのＵ字溝内に、Ｔヘッド工法鉄筋３０の丸棒状の鉄筋素体３０ａを挿入し、Ｕ字状の両脚部に所定の幅寸法を有する部位（拡径はじめ３０ｃ）を接触させると共に、被測定物の端部（拡径部の底部３０ｄ）に、第１接触キャリパの前記平面部を接触させて、二点間の寸法を測定することにより、拡径部厚さｔを即座に得ることができる。

【0015】

この場合、デジタル表示式のノギスを用い、予め前記第１接触キャリパと第２接触キャリパを当接させた状態で、ノギスのゼロ点セットを行なうことで、デジタル表示部において、拡径部厚さｔの実測値を、そのまま表示することができる。
したがって、この発明に係る拡径部の寸法測定用ノギスによると、一つのノギスを利用して、前記したＴヘッド工法鉄筋などの拡径部厚さｔが測定可能であり、その測定精度を向上させることに寄与できる。加えて、他に人手を要することなく、測定者一人で容易に拡径部厚さｔの測定をすることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】この発明に係る拡径部の寸法測定用ノギスの上面図である。

【図2】同ノギスの一部を断面で示した正面図である。

【図3】同ノギスの底面図である。

【図4】同ノギスの側面図である。

【図5】同ノギスのジョウに取り付けられる第１接触キャリパの単体構成を示し、（Ａ）は上面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は側面図である。

【図6】同ノギスのジョウに取り付けられる第２接触キャリパの単体構成を示し、（Ａ）は上面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は側面図である。

【図7】第２接触キャリパとジョウとの間に介在されるライナ部材の単体構成を示し、（Ａ）は上面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は底面図、（Ｄ）は側面図である。

【図8】被測定物としてのＴヘッド工法鉄筋の正面図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

この発明に係る拡径部の寸法測定用ノギスについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図１～図４は、前記ノギスの全体構成を示しており、この例に示すノギスは、好ましくは測定値を液晶表示画面で表示可能な市販のデジタル表示式ノギスが利用される。
そして、ノギスの外側測定用ジョウのそれぞれに対して、第１接触キャリパと第２接触キャリパが着脱可能に取り付けられる。すなわち、第１接触キャリパと第２接触キャリパは、ノギスの外側測定用ジョウに対して、アダプタとして取り付ける構成が採用される。

【0018】

図に示すノギス本体１は、周知のとおり本尺２に対してスライダ３が、本尺２の長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられている。
そして、本尺２の長手方向に直交する一方に向って、一対の外側測定用ジョウ４および５が、それぞれ本尺２およびスライダ３に一体に形成されている。また、本尺２の長手方向に直交する他方に向って、一対の内側測定用ジョウ６および７が、それぞれ本尺２およびスライダ３に一体に形成されている。

【0019】

なお、本尺２から突出する符号８で示す部材は、その基端部が前記スライダ３に取り付けられた被測定物の深さを測定するデプスバーである。
さらに前記スライダ３には、図１に示すように液晶表示部１０を備えたケース１１が取り付けられ、このケース１１の一部には、液晶表示部１０の電源オン／オフボタン１２や、測定値のデジタル表示のゼロ点設定ボタン１３が配置されている。

【0020】

前記スライダ３に形成されたジョウ５には、図１に示すように第１接触キャリパ２１が一対のボルト２５によって着脱可能に取り付けられている。なお、第１接触キャリパ２１の詳細な構成については、図５に基づいて後で説明する。
また、本尺２に形成されたジョウ４には、図１に示すように第２接触キャリパ２２が、ライナ部材２３を介して着脱可能に取り付けられている。すなわち、ジョウ４に対してライナ部材２３がボルト２６によって取り付けられ、ライナ部材２３に対して第２接触キャリパ２２が、ノブ付きボルト２７によって着脱可能に取り付けられている。
なお、第２接触キャリパ２２の詳細な構成については、図６に基づいて後で説明し、ライナ部材２３の詳細な構成については、図７に基づいて後で説明する。

【0021】

前記したスライダ側の外側測定用ジョウ５に取り付けられた第１接触キャリパ２１は、図５に単体構成で示すように、全体が逆Ｔ字状（凸型）を構成しており、ベース部２１ａに対して起立部２１ｂが直交するようにして金属素材により一体成形されている。
そして、ベース部２１ａの底部には隅角部に沿ってリブ状の突起部２１ｃが形成されており、このリブ状の突起部２１ｃがガイド部となって、ジョウ５の外側測定面に沿って位置するように配置される。この状態で第１接触キャリパ２１は、ジョウ５に対して２本のボルト２５によって取り付けられている。
前記リブ状の突起部２１ｃが形成された側の起立部２１ｂの面は、平面部２１ｄになされており、この平面部２１ｄが被測定物の端部（Ｔヘッド工法鉄筋３０の拡径部の底部３０ｄ）に接触する面となる。
なお、図５に示す符号２１ｅは、前記ボルト２５の締結孔である。

【0022】

一方、本尺側の外側測定用ジョウ４には、前記したとおり第２接触キャリパ２２が、ライナ部材２３を介して取り付けられている。この第２接触キャリパ２２は、図６に単体構成で示したように、全体がＵ字状（凹型）を構成しており、中央連結部２２ａを介してその両側に、一対の脚部２２ｂが金属素材により中央連結部２２ａと一体成形されている。 そして、対向する各脚部２２ｂの内側面は、互いに平行面になされ、Ｕ字溝２２ｃが形成されている。

【0023】

この第２接触キャリパ２２の中央連結部２２ａの背面には、位置決め用突起部２２ｄが中央連結部２２ａの長手方向に沿って形成されている。この突起部２２ｄは、次に説明するライナ部材２３との間で位置決めされると共に、ライナ部材２３に対して第２接触キャリパ２２がスライド可能に着脱できるように機能する。
したがって、前記突起部２２ｄは、中央連結部２２ａのほぼ中央部から端部に向って、長手方向に沿って同一の幅寸法となるように形成されている。
なお、図６に示す符号２２ｅは、後述するライナ部材２３に対して第２接触キャリパ２２を着脱可能に取り付けるための前記したノブ付きボルト２７の締結孔である。

【0024】

図７は、本尺側の外側測定用ジョウ４に取り付けられるライナ部材２３を示しており、前記したとおり、このライナ部材２３を介して第２接触キャリパ２２が着脱可能に取り付けられる。
このライナ部材２３は、直方体状の金属素材により構成されており、その長手方向の一辺に沿ってリブ状の突起部２３ａが形成されている。このリブ状の突起部２３ａはガイド部となって、図７（Ａ）に仮想線で示したジョウ４の外側測定面に沿って、突起部２３ａが位置するように配置される。この状態でライナ部材２３はジョウ４に対してボルト２６によって取り付けられている。
なお、図７に示す符号２３ｂは、前記ボルト２６の締結孔である。

【0025】

また、前記ライナ部材２３には、さらにライナ部材２３の中央部から端部に向って、矩形状の溝部２３ｃが形成されている。この溝部２３ｃには、第２接触キャリパ２２に形成された位置決め用突起部２２ｄが挿入されて、ライナ部材２３に対して第２接触キャリパ２２が位置決めされるように機能する。
そして、前記溝部２３ｃの端部には切込み溝２３ｄが形成されており、前記第２接触キャリパ２２は、前記ライナ部材２３の切込み溝２３ｄに挿通される例えば図２に示すノブ付きボルト２７によって、ライナ部材２３に対して取り付けられている。

【0026】

ライナ部材２３から第２接触キャリパ２２を取り外す場合には、前記したノブ付きボルト２７の締結状態を若干緩めて、ライナ部材２３の切込み溝２３ｄの端部に向って第２接触キャリパ２２をスライドさせることで、第２接触キャリパ２２はノブ付きボルト２７を螺合させた状態で、ライナ部材２３から離脱させることができる。
このスライド動作は、ライナ部材２３の矩形状の溝部２３ｃと、この溝部２３ｃに挿入された第２接触キャリパ２２の位置決め用突起部２２ｄとの間で行なわれることになる。 したがって、第２接触キャリパ２２を、ライナ部材２３に装着するには、前記と逆の操作をすれば良く、ライナ部材２３に対する第２接触キャリパ２２の装着および離脱操作は、ライナ部材２３の切込み溝２３ｄに挿通されたノブ付きボルト２７を若干緩めることで実現できる。

【0027】

図１～図４には、被測定物として冒頭において説明したＴヘッド工法鉄筋３０（仮想線で示す。）を対象とした拡径部厚さｔを測定する様子が示されている。
すなわち、第１接触キャリパ２１の起立部２１ｂに向って、Ｔヘッド工法鉄筋３０の底部３０ｄを配置し、第２接触キャリパ２２のＵ字溝２２ｃ内に、鉄筋素体３０ａを収容した状体で拡径部厚さｔが測定される。

【0028】

この場合、Ｕ字状に形成された第２接触キャリパ２２の両脚部２２ｂの間隔が、Ｔヘッド工法鉄筋３０の拡径はじめ３０ｃの寸法（前記した１．２ｄ）に一致したものが用いられる。これにより、第２接触キャリパ２２を前記拡径はじめ３０ｃに接触させると共に、第１接触キャリパ２１の平面部２１ｄを、拡径部の底部３０ｄに接触させて、二点間の寸法を測定することにより、拡径部厚さｔを即座に得ることができる。

【0029】

したがって、この実施の形態によると、測定しようとするＴヘッド工法鉄筋３０の種類に応じて、両脚部２２ｂの間隔が前記した１．２ｄに対応した複数種類の第２接触キャリパ２２を用意し、これらを前記したライナ部材２３に対して付け替えることで、それぞれの鉄筋の種類に応じた拡径部厚さｔを、容易に測定することが可能となる。
そして、ライナ部材２３に対する第２接触キャリパ２２の付け替えは、前記したとおり極めて容易であり、これにより多種類の被測定物に対応して、効率良く測定結果を得ることが可能となる。

【0030】

以上説明した実施の形態においては、スライダ側のジョウ５に対して、第１接触キャリパ２１を取り付け、本尺側のジョウ４に対して、ライナ部材２３を介して第２接触キャリパ２２を取り付けた構成が採用されているが、これら第１および第２の接触キャリパ２１，２２の配置は、互いに入れ替えた構成も採用することができる。

【0031】

また、以上説明した実施の形態においては、一般のデジタル表示式ノギスを利用して、ノギス本体の外側測定用ジョウに対して、第１接触キャリパ２１および第２接触キャリパ２２をそれぞれ取り付けた構成を採用している。
しかし、特定の被測定物に対して、専用に用いる形態のノギスである場合には、前記第１接触キャリパおよび第２接触キャリパを、それぞれジョウと一体に形成したノギスとすることも可能であり、このような形態の拡径部の寸法測定用ノギスにおいても、前記した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。

【符号の説明】

【0032】

１ ノギス本体
２ 本尺
３ スライダ
４ 外側測定用ジョウ（本尺側）
５ 外側測定用ジョウ（スライダ側）
６ 内側測定用ジョウ（本尺側）
７ 内側測定用ジョウ（スライダ側）
８ デプスバー
１０ 液晶表示部
１１ ケース
１２ 電源オン／オフボタン
１３ ゼロ点設定ボタン
２１ 第１接触キャリパ
２１ａ ベース部
２１ｂ 起立部
２１ｃ 突起部（ガイド部）
２１ｄ 平面部
２１ｅ ボルト締結孔
２２ 第２接触キャリパ
２２ａ 中央連結部
２２ｂ 脚部
２２ｃ Ｕ字溝
２２ｄ 位置決め用突起部
２２ｅ ノブ付きボルト締結孔
２３ ライナ部材
２３ａ 突起部（ガイド部）
２３ｂ ボルト締結孔
２３ｃ 溝部
２３ｄ 切込み溝
２５ ボルト（第１接触キャリパ締結ボルト）
２６ ボルト（ライナ部材締結ボルト）
２７ ノブ付きボルト
３０ Ｔヘッド工法鉄筋（被測定物）
３０ａ 鉄筋素体
３０ｂ 拡径部
３０ｃ 拡径はじめ（所定の幅寸法を有する部位）
３０ｄ 拡径部の底部（被測定物の端部）
ｔ 拡径部厚さ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】