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  • 特許-両面粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220105BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20220105BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/10
C09J133/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018031577
(22)【出願日】2018-02-26
(65)【公開番号】P2019147851
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 理仁
(72)【発明者】
【氏名】木上 裕貴
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-187513(JP,A)
【文献】特開2003-165964(JP,A)
【文献】特開2013-142132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
損失正接tanδの極大値が1.5以上であり、該極大値を与える温度が-30℃~0℃であり、
3層以上の粘着剤層を有し、
脂環式構造含有アクリル系単量体を必須成分として含有する単量体成分(M-a)を重合して得られるアクリル系ポリマー(P-a)をベースポリマーとして含む粘着剤組成物(C-a)から形成される粘着剤層(A)を有し、該粘着剤層(A)が最外層ではなく、
アルキル(メタ)アクリレートを必須成分として含有する単量体成分(M-b)を重合して得られるアクリル系ポリマー(P-b)をベースポリマーとして含む粘着剤組成物(C-b)から形成される粘着剤層(B)を有し、該粘着剤層(B)が最外層である、
両面粘着テープ。
【請求項2】
厚みが100μm以上である、請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記単量体成分(M-a)中の前記脂環式構造含有アクリル系単量体の含有割合が、1重量%~30重量%である、請求項1または2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記単量体成分(M-b)中の前記アルキル(メタ)アクリレートの含有割合が、30重量%~90重量%である、請求項1から3までのいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記アルキル(メタ)アクリレートがブチルアクリレートである、請求項1から4までのいずれかに記載の両面粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の各種性能の高度化の傾向に伴い、該モバイル機器に採用されている各種構成部材についての各種性能についても高度化が求められている。モバイル機器においては、筐体等の接合のために、両面粘着テープが採用されることがある。この両面粘着テープに対しても、近年、各種性能の高度化が求められている。
【0003】
モバイル機器は、その使用形態により、落下の危険性がある。このため、耐衝撃性の高いモバイル機器が求められている。モバイル機器の耐衝撃性を高めるために、筐体外部に衝撃吸収部材を設けることがある。しかし、このような形態では、モバイル機器のサイズが大きくなったり、意匠性が損なわれたりするおそれがある。
【0004】
そこで、モバイル機器内部に設けられ得る両面粘着テープに優れた耐衝撃性を付与することが望まれる。
【0005】
最近、耐衝撃性を有する両面粘着シートが報告されている(特許文献1)。この両面粘着シートは、耐衝撃性を発現するために発泡体の基材を必須としている。ところが、発泡体は、一定以上に伸びたり力が掛かると切れてしまい、面積が小さくなったり細くなったりする。その結果、発泡体の気泡部分が接着部の多くを占めることとなり、接着性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、モバイル機器は、通常、素手が常時接触する状態で使用され得る。このため、モバイル機器を使用し続けていると、皮脂が筐体内部に移行し、モバイル機器内部に設けられた両面粘着テープに浸透してしまい、該両面粘着テープが膨潤してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、モバイル機器内部に設けられ得る両面粘着テープに優れた耐油性を付与することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-120876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、優れた耐衝撃性を有し、好ましくは、さらに、優れた耐油性を有する、新規な両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の両面粘着テープは、損失正接tanδの極大値が1.5以上であり、該極大値を与える温度が-30℃~0℃である。
【0011】
一つの実施形態においては、本発明の両面粘着テープは、厚みが100μm以上である。
【0012】
一つの実施形態においては、本発明の両面粘着テープは、複数の粘着剤層を有する。
【0013】
一つの実施形態においては、本発明の両面粘着テープは、脂環式構造含有アクリル系単量体を必須成分として含有する単量体成分(M-a)を重合して得られるアクリル系ポリマー(P-a)をベースポリマーとして含む粘着剤組成物(C-a)から形成される粘着剤層(A)を有する。
【0014】
一つの実施形態においては、上記単量体成分(M-a)中の上記脂環式構造含有アクリル系単量体の含有割合が、1重量%~30重量%である。
【0015】
一つの実施形態においては、本発明の両面粘着テープは、3層以上の粘着剤層を有し、上記粘着剤層(A)が最外層ではない。
【0016】
一つの実施形態においては、本発明の両面粘着テープは、アルキル(メタ)アクリレートを必須成分として含有する単量体成分(M-b)を重合して得られるアクリル系ポリマー(P-b)をベースポリマーとして含む粘着剤組成物(C-b)から形成される粘着剤層(B)を有する。
【0017】
一つの実施形態においては、上記単量体成分(M-b)中の上記アルキル(メタ)アクリレートの含有割合が、30重量%~90重量%である。
【0018】
一つの実施形態においては、上記アルキル(メタ)アクリレートがブチルアクリレートである。
【0019】
一つの実施形態においては、本発明の両面粘着テープは、3層以上の粘着剤層を有し、上記粘着剤層(B)が最外層である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、優れた耐衝撃性を有し、好ましくは、さらに、優れた耐油性を有する、新規な両面粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一つの実施形態による両面粘着テープの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、(メタ)アクリルとあるのは、アクリルおよびメタクリルから選ばれる少なくとも1種を意味し、(メタ)アクリレートとあるのは、アクリレートおよびメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0023】
≪A.両面粘着テープ≫
本発明の両面粘着テープは、損失正接tanδの極大値が1.5以上であり、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは1.7以上であり、さらに好ましくは1.8以上であり、特に好ましくは1.9以上であり、最も好ましくは2.0以上である。上記損失正接tanδの極大値が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープが優れた耐衝撃性を発現し得る。上記損失正接tanδの極大値が上記範囲から外れる場合、両面粘着テープが優れた耐衝撃性を発現できないおそれがある。
【0024】
本発明の両面粘着テープは、損失正接tanδの極大値を与える温度が-30℃~0℃であり、好ましくは-30℃~-5℃であり、より好ましくは-25℃~-10℃であり、さらに好ましくは-25℃~-13℃であり、特に好ましくは-25℃~-15℃であり、最も好ましくは-20℃~-18℃である。上記損失正接tanδの極大値を与える温度が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープが優れた耐衝撃性を発現し得る。上記損失正接tanδの極大値を与える温度が上記範囲から外れる場合、両面粘着テープが優れた耐衝撃性を発現できないおそれがある。
【0025】
損失正接tanδは、耐衝撃性を示す指標となり得る。損失正接tanδの値が高く、その領域が大きいほど、幅広い温度領域で制振効果が高いことを示す。落下衝撃の振動周波数は1000Hz周辺であり、この振動周波数周辺の領域において損失正接tanδが高いほど、耐衝撃性に優れると言える。ここで、振動周波数が1000Hz周辺の場合は、損失正接tanδの極大値を与える温度として-30℃~0℃あたりに相当し、好ましくは-30℃~-5℃であり、より好ましくは-25℃~-10℃であり、さらに好ましくは-25℃~-13℃であり、特に好ましくは-25℃~-15℃であり、最も好ましくは-20℃~-18℃である。
【0026】
本発明の両面粘着テープの厚みは、好ましくは100μm以上であり、より好ましくは120μm以上であり、さらに好ましくは140μm以上であり、特に好ましくは160μm以上であり、最も好ましくは180μm以上である。本発明の両面粘着テープの厚みの上限は、好ましくは500μm以下であり、より好ましくは450μm以下であり、さらに好ましくは400μm以下であり、特に好ましくは350μm以下であり、最も好ましくは300μm以下である。本発明の両面粘着テープの厚みが上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープが優れた耐衝撃性を発現し得る。本発明の両面粘着テープの厚みが上記範囲から外れる場合、両面粘着テープが優れた耐衝撃性を発現できないおそれがある。
【0027】
本発明の両面粘着テープは、1以上の粘着剤層を有し、好ましくは、複数の粘着剤層を有する。本発明の両面粘着テープが複数の粘着剤層を有する場合、本発明の両面粘着テープは、好ましくは3層~10層の粘着剤層を有し、より好ましくは3層~8層の粘着剤層を有し、さらに好ましくは3層~5層の粘着剤層を有し、特に好ましくは3層~4層の粘着剤層を有し、最も好ましくは3層の粘着剤層を有する。本発明の両面粘着テープがこのような構成を有することにより、本発明の効果をより発現させ得る。また、本発明の両面粘着テープが3層の粘着剤層を有する場合、該3層の外側の2層は、好ましくは同じ組成の粘着剤層である。
【0028】
本発明の両面粘着テープは、粘着剤層以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していてもよい。
【0029】
本発明の両面粘着テープは、好ましくは、複数の粘着剤層からなる。この場合、複数の粘着剤層は、好ましくは3層~10層の粘着剤層であり、より好ましくは3層~8層の粘着剤層であり、さらに好ましくは3層~5層の粘着剤層であり、特に好ましくは3層~4層の粘着剤層であり、最も好ましくは3層の粘着剤層である。また、本発明の両面粘着テープが3層の粘着剤層からなる場合、該3層の外側の2層は、好ましくは同じ組成の粘着剤層である。
【0030】
図1は、本発明の一つの実施形態による両面粘着テープの概略断面図である。図1において、両面粘着テープ100は、3層の粘着剤層からなり、粘着剤層10aと粘着剤層10bと粘着剤層10cとを有する。
【0031】
粘着剤層の表面には、使用するまでの保護等のために、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な剥離ライナーが備えられていてもよい。剥離ライナーとしては、例えば、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がシリコーン処理された剥離ライナー、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がポリオレフィン系樹脂によりラミネートされた剥離ライナーなどが挙げられる。ライナー基材としてのプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどが挙げられる。ライナー基材としてのプラスチックフィルムとしては、好ましくは、ポリエチレンフィルムである。
【0032】
剥離ライナーの厚みは、好ましくは1μm~500μmであり、より好ましくは3μm~450μmであり、さらに好ましくは5μm~400μmであり、特に好ましくは10μm~300μmである。
【0033】
本発明の両面粘着テープの粘着力は、好ましくは5000mN/10mm~20000mN/10mmであり、より好ましくは6000mN/10mm~19000mN/10mmであり、さらに好ましくは7000mN/10mm~18000mN/10mmであり、特に好ましくは8000mN/10mm~17000mN/10mmである。本発明の両面粘着テープの粘着力が上記範囲内にあれば、両面粘着テープとしての機能を十分に発現し得る。
【0034】
<A-1.粘着剤層(A)>
本発明の両面粘着テープは、好ましくは、脂環式構造含有アクリル系単量体を必須成分として含有する単量体成分(M-a)を重合して得られるアクリル系ポリマー(P-a)をベースポリマーとして含む粘着剤組成物(C-a)から形成される粘着剤層(A)を有する。
【0035】
粘着剤層(A)は、任意の適切な方法によって、粘着剤組成物(C-a)から形成される。このような方法としては、例えば、粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物(C-a)を任意の適切な基材(例えば、基材フィルム)上に塗布して必要に応じて乾燥して、基材上において粘着剤層を形成する方法(直接法)や、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物(C-a)を塗布して必要に応じて乾燥して、剥離性を有する表面(剥離面)上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を任意の適切な基材(例えば、基材フィルム)上に転写する方法(転写法)が挙げられる。剥離性を有する表面(剥離面)としては、例えば、前述の剥離ライナーの表面が挙げられる。このような塗布の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な塗布の方法が挙げられる。このような塗布の方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコートなどが挙げられる。塗布によって形成される塗布層を硬化させるために、紫外線照射を行ってもよい。
【0036】
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行ってもよい。乾燥温度は、例えば、代表的には、40℃~150℃とすることができ、好ましくは、60~130℃である。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
【0037】
本発明の両面粘着テープが3層以上の粘着剤層を有する場合、粘着剤層(A)は、好ましくは、最外層ではない。例えば、本発明の両面粘着テープが3層の粘着剤層を有する場合は、粘着剤層(A)は、好ましくは、3層の粘着剤層の中の真ん中の層となる。本発明の両面粘着テープが粘着剤層(A)をこのような配置で有することにより、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性を発現し得る。
【0038】
粘着剤層(A)の厚みは、代表的には10μm~1000μmである。粘着剤層(A)の厚みは、耐衝撃性の向上のみの観点からは、一般的に、厚いほうが好ましい。しかしながら、モバイル機器内部に設けることなどを勘案すると、例えば、50μm~700μmであってもよいし、50μm~500μmであってもよいし、100μm~300μmであってもよい。
【0039】
<A-1-1.単量体成分(M-a)>
単量体成分(M-a)は、脂環式構造含有アクリル系単量体を必須成分として含有する。脂環式構造含有アクリル系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0040】
脂環式構造含有アクリル系単量体としては、好ましくは、環状の脂肪族炭化水素構造を有するアクリル系単量体である。環状の脂肪族炭化水素構造の炭素数は、好ましくは3以上であり、より好ましくは6~24であり、さらに好ましくは6~18であり、特に好ましくは6~12である。このような脂環式構造含有アクリル系単量体としては、具体的には、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの脂環式構造含有アクリル系単量体の中でも、より優れた耐衝撃性を発現させ得る点で、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0041】
単量体成分(M-a)中の脂環式構造含有アクリル系単量体の含有割合は、好ましくは1重量%~30重量%であり、より好ましくは3重量%~25重量%であり、さらに好ましくは5重量%~20重量%であり、特に好ましくは8重量%17重量%であり、最も好ましくは10重量%~15重量%である。単量体成分(M-a)中の脂環式構造含有アクリル系単量体の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性を発現できる。
【0042】
単量体成分(M-a)は、炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートを含有していてもよい。炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、本明細書において「炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート」には、脂環式構造を有するアルキル(メタ)アクリレートは含まれない。
【0043】
炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-へプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、n-ペンタデシル(メタ)アクリレート、n-ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n-ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレートなどの、炭素数4~18の直鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート;t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、t-ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソへプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどの、炭素数4~18の分岐鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート;などが挙げられる。これらの炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートの中でも、より優れた耐衝撃性を発現させ得る点で、炭素数4~12の直鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数4~8の直鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、具体的には、n-ブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0044】
単量体成分(M-a)中の炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートの含有割合は、好ましくは30重量%~90重量%であり、より好ましくは40重量%~80重量%であり、さらに好ましくは45重量%~75重量%であり、特に好ましくは50重量%~70重量%であり、最も好ましくは55重量%~65重量%である。単量体成分(M-a)中の炭素数4~18のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートの含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性を発現できる。
【0045】
単量体成分(M-a)は、水酸基含有モノマーを含有していてもよい。水酸基含有モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0046】
水酸基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどのその他の水酸基含有モノマー;などが挙げられる。これらの水酸基含有モノマーの中でも、より優れた耐衝撃性を発現させ得る点で、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数2~6のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。また、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを併用する形態も特に好ましい。
【0047】
単量体成分(M-a)中の水酸基含有モノマーの含有割合は、好ましくは5重量%~50重量%であり、より好ましくは10重量%~40重量%であり、さらに好ましくは15重量%~35重量%であり、特に好ましくは20重量%~35重量%である。単量体成分(M-a)中の水酸基含有モノマーの含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性を発現できる。
【0048】
単量体成分(M-a)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の単量体を含有していてもよい。このような他の単量体としては、例えば、炭素数1~3のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマー、窒素系環状構造含有モノマー、環状エーテル基含有モノマー、グリコール系アクリルエステルモノマー、スチレン系モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、シラン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。このような他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0049】
炭素数1~3のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0050】
カルボキシル基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。
【0051】
窒素系環状構造含有モノマーとしては、具体的には、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、メチルビニルピロリドンなどのラクタム系ビニルモノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどの窒素含有複素環を有するビニル系モノマー;モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等の複素環を含有する(メタ)アクリルモノマー(例えば、N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジンなど);などが挙げられる。
【0052】
環状エーテル基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー;3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-メチル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-エチル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-ブチル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-ヘキシル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレートなどのオキセタン基含有モノマー;などが挙げられる。
【0053】
グリコール系アクリルエステルモノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0054】
スチレン系モノマーとしては、具体的には、例えば、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
【0055】
シラン系モノマーとしては、具体的には、例えば、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-ビニルブチルトリメトキシシラン、4-ビニルブチルトリエトキシシラン、8-ビニルオクチルトリメトキシシラン、8-ビニルオクチルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0056】
多官能モノマーとしては、具体的には、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ビニル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;エポキシアクリレート;ポリエステルアクリレート;ウレタンアクリレート;ブチルジ(メタ)アクリレート;ヘキシルジ(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
【0057】
<A-1-2.アクリル系ポリマー(P-a)>
単量体成分(M-a)を重合してアクリル系ポリマー(P-a)を製造する方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な製造方法を採用し得る。このような製造方法としては、例えば、溶液重合、UV重合等の活性エネルギー線重合、塊状重合、乳化重合等の各種ラジカル重合などが挙げられる。重合条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合条件を採用し得る。
【0058】
得られるアクリル系ポリマー(P-a)の重合構造としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合構造を採用し得る。このような重合構造としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。
【0059】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などの添加剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を採用し得る。
【0060】
溶液重合などに用い得る重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。重合溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0061】
溶液重合は、例えば、窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50℃~70℃程度で、5時間~30時間程度の反応条件で行われる。
【0062】
溶液重合などに用い得る重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な熱重合開始剤を採用し得る。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(VA-057、和光純薬工業(株)製)などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ-n-オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;などが挙げられる。
【0063】
重合開始剤の使用量は、効果的に重合反応を進行させ得る等の点で、単量体成分(M-a)の全量100重量部に対して、好ましくは1重量部以下であり、より好ましくは0.005重量部~1重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部~0.7重量部であり、特に好ましくは0.02重量部~0.5重量部である。
【0064】
連鎖移動剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な連鎖移動剤を採用し得る。連鎖移動剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノールなどが挙げられる。
【0065】
連鎖移動剤の使用量は、効果的に重合反応を進行させ得る等の点で、単量体成分(M-a)の全量100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以下である。
【0066】
乳化剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な乳化剤を採用し得る。乳化剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤;などが挙げられる。
【0067】
乳化剤の使用量は、重合安定性や機械的安定性の観点から、単量体成分(M-a)の全量100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.3重量部~5重量部であり、さらに好ましくは0.4重量部~3重量部であり、特に好ましくは0.5重量部~1重量部である。
【0068】
アクリル系ポリマー(P-a)は、好ましくは、UV重合、電子線重合などの活性エネルギー線重合によって製造し得る。アクリル系ポリマー(P-a)は、より好ましくは、UV重合によって製造し得る。
【0069】
UV重合を行う場合には、好ましくは、光重合開始剤を使用する。
【0070】
光重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な光重合開始剤を採用し得る。光重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
【0071】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(市販品としては、例えば、商品名「イルガキュア651」、BASF社製)、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。
【0072】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(市販品としては、例えば、商品名「イルガキュア184」、BASF社製)、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(市販品としては、例えば、商品名「イルガキュア2959」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(市販品としては、例えば、商品名「ダロキュア1173」、BASF社製)、メトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0073】
α-ケトール系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0074】
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
【0075】
光活性オキシム系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシムなどが挙げられる。
【0076】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。
【0077】
ベンジル系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンジルなどが挙げられる。
【0078】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
【0079】
ケタール系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0080】
チオキサントン系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
【0081】
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-n-ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-t-ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2-メトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2-メトキシベンゾイル)(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジエトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジエトキシベンゾイル)(1-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジブトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4-ジメトキシベンゾイル)(2-メチルプロパン-1-イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)(2,4-ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2-フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2-メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-4-メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,5-ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,3,5,6-テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジ-n-ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6-ジメチトキシベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル-n-ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10-ビス[ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2-メチルベンゾイル)ホスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0082】
光重合開始剤の使用量は、良好な重合性を発現させる等の観点から、単量体成分(M-a)の全量100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部~5重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部~3重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~1.5重量部であり、最も好ましくは0.1重量部~1重量部である。
【0083】
UV重合を行う場合には、好ましくは、多官能(メタ)アクリレートを使用する。
【0084】
多官能(メタ)アクリレートとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多官能(メタ)アクリレートを採用し得る。多官能(メタ)アクリレートは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このような多官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート;ビニル(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン;エポキシアクリレート;ポリエステルアクリレート;ウレタンアクリレート;ブチルジ(メタ)アクリレート;ヘキシルジ(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
【0085】
多官能(メタ)アクリレートの使用量は、良好な架橋性を発現させる等の観点から、単量体成分(M-a)の全量100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部~5重量部であり、さらに好ましくは0.05重量部~3重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~1.5重量部であり、最も好ましくは0.1重量部~1重量部である。
【0086】
UV重合の方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なUV重合の方法を採用し得る。このようなUV重合の方法としては、例えば、単量体成分(M-a)に、光重合開始剤、必要に応じて多官能(メタ)アクリレートを配合し、紫外線を照射する。
【0087】
アクリル系ポリマー(P-a)の重量平均分子量は、本発明の両面粘着テープがより優れた耐衝撃性を発現し得る点で、好ましくは10万~300万であり、より好ましくは30万~200万であり、さらに好ましくは50万~150万であり、特に好ましくは50万~100万である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミネーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。なお、活性エネルギー線重合で得られたアクリル系ポリマー(P-a)については、重量平均分子量測定は困難である。
【0088】
<A-1-3.粘着剤組成物(C-a)>
粘着剤組成物(C-a)は、アクリル系ポリマー(P-a)をベースポリマーとして含む。
【0089】
粘着剤組成物(C-a)中のアクリル系ポリマー(P-a)の含有割合は、粘着剤組成物(C-a)の全量を100重量部としたときに、アクリル系ポリマー(P-a)が、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。粘着剤組成物(C-a)中のアクリル系ポリマー(P-a)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性を発現し得る。
【0090】
粘着剤組成物(C-a)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含み得る。このようなその他の成分としては、例えば、アクリル系ポリマー(P-a)以外の樹脂成分、粘着付与剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、着色剤、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。
【0091】
<A-2.粘着剤層(B)>
本発明の両面粘着テープは、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートを必須成分として含有する単量体成分(M-b)を重合して得られるアクリル系ポリマー(P-b)をベースポリマーとして含む粘着剤組成物(C-b)から形成される粘着剤層(B)を有する。
【0092】
粘着剤層(B)は、任意の適切な方法によって、粘着剤組成物(C-b)から形成される。このような方法としては、例えば、粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物(C-b)を任意の適切な基材(例えば、基材フィルム)上に塗布して必要に応じて乾燥して、基材上において粘着剤層を形成する方法(直接法)や、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物(C-b)を塗布して必要に応じて乾燥して、剥離性を有する表面(剥離面)上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を任意の適切な基材(例えば、基材フィルム)上に転写する方法(転写法)が挙げられる。剥離性を有する表面(剥離面)としては、例えば、前述の剥離ライナーの表面が挙げられる。このような塗布の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な塗布の方法が挙げられる。このような塗布の方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコートなどが挙げられる。塗布によって形成される塗布層を硬化させるために、紫外線照射を行ってもよい。
【0093】
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行ってもよい。乾燥温度は、例えば、代表的には、40℃~150℃とすることができ、好ましくは、60~130℃である。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
【0094】
本発明の両面粘着テープが3層以上の粘着剤層を有する場合、粘着剤層(B)は、好ましくは、最外層である。例えば、本発明の両面粘着テープが3層の粘着剤層を有する場合は、粘着剤層(B)は、好ましくは、3層の粘着剤層の中の外側の層の少なくとも一方となる。本発明の両面粘着テープが粘着剤層(B)をこのような配置で有することにより、本発明の両面粘着テープは、優れた耐油性を発現し得る。
【0095】
粘着剤層(B)の厚みは、好ましくは5μm~100μmであり、より好ましくは10μm~80μmであり、さらに好ましくは10μm~50μmであり、特に好ましくは20μm~40μmである。粘着剤層(B)の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性とより優れた耐油性を発現し得る。
【0096】
<A-2-1.単量体成分(M-b)>
単量体成分(M-b)は、アルキル(メタ)アクリレートを必須成分として含有する。なお、本明細書において「アルキル(メタ)アクリレート」には、脂環式構造を有するアルキル(メタ)アクリレートは含まれない。
【0097】
単量体成分(M-b)中のアルキル(メタ)アクリレートの含有割合は、好ましくは50重量%~95重量%であり、より好ましくは60重量%~90重量%であり、さらに好ましくは65重量%~85重量%であり、特に好ましくは70重量%~85重量%である。単量体成分(M-b)中のアルキル(メタ)アクリレートの含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性とより優れた耐油性を発現できる。
【0098】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、好ましくは、炭素数1~20のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、炭素数1~14のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは、炭素数1~10のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは、炭素数2~10のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートであり、最も好ましくは、炭素数4~8のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートである。
【0099】
このようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-へプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、n-ペンタデシル(メタ)アクリレート、n-ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n-ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレートなどの、炭素数1~20の直鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、t-ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、イソヘキシル(メタ)アクリレート、イソへプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどの、炭素数3~20の分岐鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート;などが挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートの中でも、より優れた耐油性を発現させ得る点で、炭素数4~12のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数4~8のアルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、具体的には、n-ブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0100】
単量体成分(M-b)は、カルボキシル基含有モノマーを含有していてもよい。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0101】
カルボキシル基含有モノマーとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、より好ましくは、(メタ)アクリル酸であり、特に好ましくは、アクリル酸である。
【0102】
単量体成分(M-b)中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.01重量%~20重量%であり、より好ましくは3重量%~10重量%であり、さらに好ましくは4重量%~8重量%であり、特に好ましくは5重量%~6重量%である。単量体成分(M-b)中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性とより優れた耐油性を発現できる。
【0103】
単量体成分(M-b)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の単量体を含有していてもよい。このような他の単量体としては、例えば、水酸基含有モノマー、脂環式構造含有アクリル系単量体、窒素系環状構造含有モノマー、環状エーテル基含有モノマー、グリコール系アクリルエステルモノマー、スチレン系モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、ビニルエーテルモノマー、シラン系モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。このような他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。これらの他の単量体の具体的な例示については、<A-1-1.単量体成分(M-a)>の項における例示を援用し得る。
【0104】
<A-2-2.アクリル系ポリマー(P-b)>
単量体成分(M-b)を重合してアクリル系ポリマー(P-b)を製造する方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な製造方法を採用し得る。このような製造方法としては、例えば、溶液重合、UV重合等の活性エネルギー線重合、塊状重合、乳化重合等の各種ラジカル重合などが挙げられる。重合条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合条件を採用し得る。
【0105】
得られるアクリル系ポリマー(P-b)の重合構造としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合構造を採用し得る。このような重合構造としては、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などが挙げられる。
【0106】
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などの添加剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を採用し得る。
【0107】
溶液重合などに用い得る重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。重合溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0108】
溶液重合などに用い得る重合開始剤については、<A-1-2.アクリル系ポリマー(P-a)>の項における説明を援用し得る。
【0109】
連鎖移動剤、乳化剤については、<A-1-2.アクリル系ポリマー(P-a)>の項における説明を援用し得る。
【0110】
UV重合を行う場合の説明については、<A-1-2.アクリル系ポリマー(P-a)>の項における説明を援用し得る。
【0111】
アクリル系ポリマー(P-b)は、好ましくは、溶液重合によって製造し得る。
【0112】
アクリル系ポリマー(P-b)の重量平均分子量は、本発明の両面粘着テープがより優れた耐衝撃性を発現し得る点で、好ましくは10万~200万であり、より好ましくは20万~100万であり、さらに好ましくは20万~80万であり、特に好ましくは30万~70万である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミネーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。なお、活性エネルギー線重合で得られたアクリル系ポリマー(P-b)については、重量平均分子量測定は困難である。
【0113】
<A-2-3.粘着剤組成物(C-b)>
粘着剤組成物(C-b)は、アクリル系ポリマー(P-b)をベースポリマーとして含む。
【0114】
粘着剤組成物(C-b)中のアクリル系ポリマー(P-b)の含有割合は、粘着剤組成物(C-b)の全量を100重量部としたときに、アクリル系ポリマー(P-b)が、好ましくは50重量%~99重量%であり、より好ましくは55重量%~95重量%であり、さらに好ましくは60重量%~90重量%であり、特に好ましくは65重量%~88重量%であり、最も好ましくは70重量%~85重量%である。粘着剤組成物(C-b)中のアクリル系ポリマー(P-b)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐衝撃性とより優れた耐油性を発現し得る。
【0115】
粘着剤組成物(C-b)は、防錆剤を含んでいてもよい。粘着剤組成物(C-b)が防錆剤を含むことにより、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐油性を発現し得る。
【0116】
防錆剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防錆剤を採用し得る。このような防錆剤としては、例えば、アゾール系防錆剤が挙げられる。防錆剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0117】
アゾール系防錆剤としては、ヘテロ原子を2個以上含む五員環芳香族化合物であって、それらのヘテロ原子の少なくとも1個が窒素原子であるアゾール系化合物を有効成分とするものが好ましい。このようなアゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、セレナゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、テトラゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール等のアゾール類;これらの誘導体;これらのアミン塩;これらの金属塩;などが挙げられる。
【0118】
アゾール類の誘導体としては、例えば、アゾール環と他の環、具体的には、ベンゼン環との縮合環を含む構造の化合物などが挙げられる。アゾール類の誘導体の具体例としては、例えば、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール(すなわち、1,2,3-トリアゾールのアゾール環とベンゼン環とが縮合した構造の1,2,3-ベンゾトリアゾール)、ベンゾチアゾール等、および、さらにこれらの誘導体であるアルキルベンゾトリアゾール(例えば、5-メチルベンゾトリアゾール、5-エチルベンゾトリアゾール、5-n-プロピルベンゾトリアゾール、5-イソブチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール)、アルコキシベンゾトリアゾール(例えば、5-メトキシベンゾトリアゾール)、アルキルアミノベンゾトリアゾール、アルキルアミノスルホニルベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール(例えば、4-ニトロベンゾトリアゾール)、ハロベンゾトリアゾール(例えば5-クロロベンゾトリアゾール)、ヒドロキシアルキルベンゾトリアゾール、ヒドロベンゾトリアゾール、アミノベンゾトリアゾール、(置換アミノメチル)-トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、N-アルキルベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、アミノベンゾチアゾール、これらのアミン塩、これらの金属塩などが挙げられる。アゾール類の誘導体の他の例としては、非縮合環構造のアゾール類誘導体、例えば、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールや5-フェニル-1H-テトラゾールなどのように非縮合のアゾール環上に置換基を有する構造の化合物などが挙げられる。
【0119】
アゾール系防錆剤として、特に好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物を有効成分とするベンゾトリアゾール系防錆剤が挙げられる。アゾール系防錆剤としてベンゾトリアゾール系化合物を有効成分とするベンゾトリアゾール系防錆剤を採用すれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐油性を発現し得る。
【0120】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、具体的には、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、4-メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0121】
粘着剤組成物(C-b)中のアゾール系防錆剤(例えば、ベンゾトリアゾール系防錆剤)の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~7重量部であり、より好ましくは0.05重量部~6重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部~5重量部であり、特に好ましくは0.3重量部~4重量部であり、最も好ましくは0.5重量部~3重量部である。粘着剤組成物(C-b)中のアゾール系防錆剤(例えば、ベンゾトリアゾール系防錆剤)の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐油性を発現し得る。
【0122】
粘着剤組成物(C-b)は、アゾール系防錆剤以外の防錆剤を含んでいてもよい。アゾール系以外の防錆剤(非アゾール系防錆剤)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなアゾール系防錆剤以外の防錆剤の具体例としては、例えば、アミン化合物、亜硝酸塩類、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ジシクロヘキシルアミン安息香酸塩、尿素、ウロトロピン、チオ尿素、カルバミン酸フェニル、シクロヘキシルアンモニウム-N-シクロヘキシルカルバメート(CHC)などが挙げられる。アミン化合物としては、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、アンモニアやアンモニア水等のヒドロキシ基含有アミン化合物;モルホリン等の環状アミン;シクロヘキシルアミン等の環状アルキルアミン化合物;3-メトキシプロピルアミン等の直鎖状アルキルアミン;などが挙げられる。亜硝酸塩類としては、例えば、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト(DICHAN)、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト(DIPAN)、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウムなどが挙げられる。
【0123】
粘着剤組成物(C-b)は、架橋剤を含んでいてもよい。粘着剤組成物(C-b)が架橋剤を含むことにより、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐油性を発現し得る。
【0124】
架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤を採用し得る。このような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、非イソシアネート系架橋剤が挙げられる。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0125】
イソシアネート系架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なイソシアネート系架橋剤を採用し得る。このようなイソシアネート系架橋剤としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ならびに、これらのジイソシアネートの二量体および三量体等が挙げられる。具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等、ならびに、これらの二量体および三量体、ポリフェニルメタンポリイソシアネートが用いられる。また、上記三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられる。
【0126】
イソシアネート系架橋剤としては、市販品を用いてもよい。市販品のポリイソシアネートとしては、例えば、三井化学社製の商品名「タケネート600」、旭化成ケミカルズ社製の商品名「デュラネートTPA100」、日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、「コロネートHL」、「コロネートHK」、「コロネートHX」、「コロネート2096」などが挙げられる。
【0127】
非イソシアネート系架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属塩系架橋剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0128】
好ましい一つの実施形態において、非イソシアネート系架橋剤としてエポキシ系架橋剤を採用することができる。エポキシ系架橋剤としては、好ましくは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられ、より好ましくは、1分子中に3~5個のエポキシ基を有するエポキシ系架橋剤が挙げられる。
【0129】
エポキシ系架橋剤の具体例としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ系架橋剤の市販品としては、例えば、三菱ガス化学社製の商品名「TETRAD-C」および商品名「TETRAD-X」、DIC社製の商品名「エピクロンCR-5L」、ナガセケムテックス社製の商品名「デナコールEX-512」、日産化学工業社製の商品名「TEPIC-G」などが挙げられる。
【0130】
粘着剤組成物(C-b)中の架橋剤の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~10重量部であり、より好ましくは0.1重量部~8重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部~7重量部であり、特に好ましくは1.5重量部~3重量部である。粘着剤組成物(C-b)中の架橋剤の含有割合が上記範囲内にあれば、本発明の両面粘着テープは、より優れた耐油性を発現し得る。
【0131】
粘着剤組成物(C-b)中において、イソシアネート系架橋剤と非イソシアネート系架橋剤(例えば、エポキシ系架橋剤)とを併用してもよい。この場合、本発明の両面粘着テープがより優れた耐油性を発現し得る点で、粘着剤組成物(C-b)中の非イソシアネート系架橋剤の含有割合は、イソシアネート系架橋剤の含有割合に対して、好ましくは1/50以下であり、より好ましくは1/75以下であり、さらに好ましくは1/100以下であり、特に好ましくは1/150以下である。また、本発明の両面粘着テープがより優れた耐油性を発現し得る点で、粘着剤組成物(C-b)中の非イソシアネート系架橋剤の含有割合は、イソシアネート系架橋剤の含有割合に対して、好ましくは1/1000以上であり、より好ましくは1/500以上である。
【0132】
粘着剤組成物(C-b)は、粘着付与樹脂を含有していてもよい。粘着付与樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。粘着付与樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着付与樹脂を採用し得る。このような粘着付与樹脂としては、例えば、フェノール系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、変性テルペン系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂などが挙げられる。
【0133】
フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂などが挙げられる。テルペンフェノール樹脂とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペン類とフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペン類の単独重合体または共重合体をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。このようなテルペンフェノール樹脂を構成するテルペン類としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する)などのモノテルペン類などが挙げられる。水素添加テルペンフェノール樹脂とは、このようなテルペンフェノール樹脂を水素化した構造を有する水素添加テルペンフェノール樹脂をいい、水添テルペンフェノール樹脂と称されることもある。アルキルフェノール樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドから得られる樹脂(油性フェノール樹脂)である。アルキルフェノール樹脂としては、例えば、ノボラックタイプおよびレゾールタイプが挙げられる。ロジンフェノール樹脂としては、例えば、ロジン類または各種ロジン誘導体(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類および不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類を包含する)のフェノール変性物などが挙げられる。ロジンフェノール樹脂としては、例えば、ロジン類または各種ロジン誘導体にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合する方法等により得られるロジンフェノール樹脂などが挙げられる。
【0134】
テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、d-リモネン、l-リモネン、ジペンテンなどのテルペン類(典型的にはモノテルペン類)の重合体などが挙げられる。1種のテルペン類の単独重合体としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体などが挙げられる。
【0135】
変性テルペン樹脂としては、例えば、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂などが挙げられる。
【0136】
ロジン系粘着付与樹脂の概念には、ロジン類およびロジン誘導体樹脂の双方が包含される。ロジン類としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水素添加、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジンなど);などが挙げられる。
【0137】
ロジン誘導体樹脂としては、例えば、未変性ロジンとアルコール類とのエステルである未変性ロジンエステル、変性ロジンとアルコール類とのエステルである変性ロジンエステルなどのロジンエステル類;ロジン類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;ロジン類やロジン誘導体樹脂(ロジンエステル類、不飽和脂肪酸変性ロジン類、不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類など)のカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;これらの金属塩;などが挙げられる。ロジンエステル類としては、例えば、未変性ロジンまたは変性ロジン(例えば、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)のメチルエステル、トリエチレングリコールエステル、グリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステルなどが挙げられる。
【0138】
炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体など)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。
【0139】
粘着剤組成物(C-b)中の粘着付与樹脂の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは1重量部~50重量部であり、より好ましくは5重量部~30重量部であり、さらに好ましくは8重量部~25重量部であり、特に好ましくは10重量部~20重量部である。
【0140】
粘着剤組成物(C-b)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なその他の成分を含み得る。このようなその他の成分としては、例えば、アクリル系ポリマー(P-b)以外の樹脂成分、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、顔料、着色剤、箔状物、軟化剤、老化防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒などが挙げられる。
【0141】
≪B.両面粘着テープの製造方法≫
本発明の両面粘着テープは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で製造することができる。本発明の両面粘着テープが複数の粘着剤層を有する場合は、例えば、各粘着剤層を別途準備して、任意の適切な方法によって貼り合わせる方法が挙げられる。本発明の両面粘着テープが、粘着剤層(B)/粘着剤層(A)/粘着剤層(B)の構成の3層の粘着剤層からなる場合を例に挙げると、例えば、粘着剤層(A)の両面に2つの粘着剤層(B)のそれぞれを貼り合わせる方法が挙げられる。貼り合わせには、例えば、ラミネータなどを用い得る。また、貼り合わせた後、必要に応じて、任意の適切な温度下で任意の適切な時間、エージングを行ってもよい。
【実施例
【0142】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0143】
<損失正接tanδの極大値および該極大値を与える温度>
厚さ1mm(厚さが1mmちょうどにならない場合は可能な限り1mmに近い厚さ)に重ねた両面粘着テープを、直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、評価サンプルとした。評価サンプルをパラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験機(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、機種名「ARES」)を用いて、周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、温度領域-70℃~150℃、5℃/分の昇温速度で、せん断モードにより貯蔵弾性率G’および損失弾性率G”を測定した。次に、損失正接tanδを、tanδ=G”/G’により算出し、その温度依存性をプロットすることにより、損失正接tanδの極大値、および該極大値を与える温度(tanδカーブが極大となる温度)を求めた。
【0144】
<耐衝撃性>
セパレーターに挟まれた両面粘着テープを1mmの幅で外径24.5mm角の枠状に打ち抜き、評価サンプルとした。厚さ2.0mm、外形50mm×50mmの正方形の中央部に穴の開いたステンレスプレートと円形のステンレスプレート(外径50mm、厚み2mm)の間に評価サンプルを設置し、重力方向で均一に掛かるように圧着し(500g×15秒)、その後50℃下に3時間静置し、取り出し後、23℃へ戻し試験片とした。デュポン式衝撃試験機(テスター産業株式会社製)の台座の上に、長さ150mm、幅100mm、高さ45mmのコの字型測定台(厚さ5mmのアルミ製)を設置し、その上に試験片を、円形のプレートを下側にして載せた。円形のプレート側から直径7.5mm、質量100gのステンレス製の撃芯(先端径12.7mm)を、高さを10cmずつ変化させ、ステンレスプレートの中心部分に、各高さ毎に、10秒間隔で5回落下させ、試験片にテープの剥がれや破壊が認められた時の高さを測定した。試験方法は、エネルギーが増えていくように、検証を行い、50g荷重にて高さを上げていき、装置上限の高さを越えた場合には、100gに変更して高さを上げていった。この際に、評価済みであるエネルギーについては、試験を行わず、エネルギー量が重複しないように荷重と高さを設定した。その後、剥がれる前までのエネルギーを荷重×高さとして結果とした。
【0145】
<耐油粘着性評価>
両面粘着シートの一方の粘着層面に厚さ50μmのPETフィルムを貼付けて裏打ちした後、幅10mm、長さ100mmのサイズにカットして試料片を作製した。23℃、50%RHの環境下にて、試料片の粘着剤層面をステンレス鋼板(SUS304BA板)に圧着して測定サンプルを作製した。圧着は、2kgのローラを1往復させることにより行った。作製した測定サンプルを、23℃、50%RHの環境下に30分間放置した後、引張試験機(島津製作所社製の「精密万能試験機 オートグラフ AG-IS 50N」)を使用して、JIS Z 0237:2000に準じて、引張速度300mm/分、剥離角度180度の条件で、剥離強度(N/10mm)を測定した。この値を浸漬前粘着力とした。
一方、上記と同様にして作製した測定サンプルを、23℃、50%RHの環境下に30分間放置した後、オレイン酸浴に浸漬し、40℃、90%RHの環境下に12時間保持した。その後、測定サンプルをオレイン酸浴から引き上げ、周囲に付着したオレイン酸を軽く拭き取り、23℃、50%RHの環境下に30分間放置した後、上記浸漬前粘着力と同様にして剥離強度(N/10mm)を測定した。この値を浸漬後粘着力とした。
得られた測定値から、
粘着力維持率(%)=(浸漬後粘着力/浸漬前粘着力)×100
により粘着力維持率を算出した。
【0146】
〔製造例1〕:粘着剤層(1)の製造
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのブチルアクリレート:95部およびアクリル酸:5部と、重合溶媒としての酢酸エチル:233部とを仕込み、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を加え、60℃で8時間溶液重合して、アクリル系ポリマーの溶液を得た。このアクリル系ポリマーの重量平均分子量は70万であった。
得られたアクリル系ポリマー溶液に、該溶液に含まれるアクリル系ポリマー:100部に対して、1,2,3-ベンゾトリアゾール(商品名「BT-120」、城北化学工業社製):0.8部と、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂(商品名「YSポリスターT-115」、軟化点約115℃、水酸基価30~60mgKOH/g、ヤスハラケミカル社製):20部と、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物の75%酢酸エチル溶液、東ソー社製):2部、エポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD-C」、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン、三菱瓦斯化学社製):0.01部、および黒顔料として、商品名「AT DN101ブラック」、大日精化工業株式会社製):1部を加え、攪拌混合して、粘着剤組成物(1)を調製した。
厚さ38μmのポリエステル製剥離ライナー(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)の剥離面に粘着剤組成物(1)を塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ25μmの粘着剤層(1)を形成した。
【0147】
〔製造例2〕:粘着剤層(2)の製造
モノマー成分として、ブチルアクリレート:57部、シクロヘキシルアクリレート:12部、4-ヒドロキシブチルアクリレート:23部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート:8部が混合されてなる液状のモノマー混合物(モノマー組成物)に、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン株式会社製):0.08部と1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン株式会社製):0.09部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬(株)製):0.19部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)が約15Pa・sになるまで紫外線を照射して、モノマー成分の一部が重合してなる部分重合体(重合率:約10%)を含む粘着剤組成物(2)を得た。粘着剤組成物(2)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に、最終的な厚みが150μmになるように塗布して塗布層を形成した。次いで、形成した塗布層の表面に、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRE、三菱樹脂(株)製)を、該ポリエステルフィルムの剥離処理面が塗布層側になるようにして被覆した。これにより、塗布層を酸素から遮断した。このようにして得られた塗布層を有するシートに、ケミカルライトランプ((株)東芝製)を用いて照度5mW/cmで紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、粘着剤層(2)を形成した。紫外線の強度は、約350nmに最大感度をもつトプコンUVR-T1で測定した。なお、粘着剤層(2)の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナーとして機能する。
【0148】
〔製造例3〕:粘着剤層(3)の製造
モノマー成分として、ブチルアクリレート:65部、シクロヘキシルアクリレート:10部、4-ヒドロキシブチルアクリレート:19部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート:6部が混合されてなる液状のモノマー混合物(モノマー組成物)に、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン株式会社製):0.08部と1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン株式会社製)0.09部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名「KAYARAD DPHA」、日本化薬(株)製):0.19部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)が約15Pa・sになるまで紫外線を照射して、モノマー成分の一部が重合してなる部分重合体(重合率:約10%)を含む粘着剤組成物(3)を得た。得られた粘着剤組成物(3)を用い、製造例2と同様に行い、粘着剤層(3)を形成した。
【0149】
〔製造例4〕:粘着剤層(4)の製造
1,2,3-ベンゾトリアゾールを用いなかった以外は製造例1と同様に行い、粘着剤層(4)を形成した。
【0150】
〔製造例5〕:粘着剤層(5)の製造
モノマー成分として、2-エチルヘキシルアクリレート:78部、N-ビニル-2-ピロリドン:18部、および2-ヒドロキシエチルアクリレート:4部が混合されてなる液状のモノマー混合物(モノマー組成物)に、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン株式会社製):0.05部と1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン株式会社製):0.05部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度:30℃)が約15Pa・sになるまで紫外線を照射して、モノマー成分の一部が重合してなる部分重合体(重合率:約10%)を含むシロップを得た。
得られたシロップ:100部に、アクリル酸:4部と、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート:0.07部とを添加し、混合物を得た。さらに、得られた混合物に、追加の光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン株式会社製):0.7部、および、黒顔料(商品名「AT DN101ブラック」、大日精化工業株式会社製):1部を添加し、十分混合することによって、粘着剤組成物(5)を得た。粘着剤組成物(5)を用い、製造例2と同様に行い、粘着剤層(5)を形成した。
【0151】
〔製造例6〕:粘着剤層(6)の製造
(アクリル系ポリマー(P)の製造)
ジシクロペンタニルアクリレート(DCPMA、メタクリル酸ジシクロペンタニル):60部、メチルメタクリレート(MMA、メタクリル酸メチル):40部、連鎖移動剤としてのα-チオグリセロール:3.5部、および重合溶媒としてのトルエン:100部を、4つ口フラスコに投入し、これらを窒素雰囲気下にて70℃で1時間撹拌した。次に、重合開始剤としての2,2´-アゾビスイソブチロニトリル:0.2部を4つ口フラスコに投入し、70℃で2時間反応させ、続いて、80℃で2時間反応させた。その後、反応液を130℃温度雰囲気下に投入し、トルエン、連鎖移動剤、および未反応モノマーを乾燥除去させ、固形状のアクリル系ポリマー(P)を得た。アクリル系ポリマー(P)の重量平均分子量は5.1×10であった。
(粘着剤層(6)の製造)
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA):68部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP):14.5部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA):17.5部から構成されるモノマー混合物(モノマー組成物)に、光重合開始剤としての2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名「イルガキュア651」、BASFジャパン株式会社製):0.035部と1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」、BASFジャパン株式会社製):0.035部を配合した後、粘度(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、モノマー成分の一部が重合したプレポリマー組成物を得た。次に、得られたプレポリマー組成物に、上記で得られたアクリル系ポリマー(P):5部、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.150部、シランカップリング剤(商品名「KBM-403」、信越化学工業株式会社製):0.3部を添加して、混合し、粘着剤組成物(6)を得た。得られた粘着剤組成物(6)を、ポリエチレンテレフタレート(PET)セパレータ(商品名「MRF50」、三菱樹脂株式会社製)上に最終的な厚み(粘着剤層の厚み)が150μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。次いで、形成した塗布層上に、PETセパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂株式会社製)を設け、塗布層を被覆して酸素を遮断した。これにより、MRF50/塗布層/MRF38の積層体を得た。次に、この積層体に対して、積層体の上面(MRF38側)から、ブラックライト(株式会社東芝製)にて、照度5mW/cmの紫外線を300秒間照射した。さらに、90℃の乾燥機で2分間乾燥処理を行い、残存モノマーを揮発させた。このようにして、粘着剤層(6)を形成した。なお、粘着剤層(6)の両面に被覆されたポリエステルフィルムは、剥離ライナーとして機能する。
【0152】
〔実施例1〕
粘着剤層(2)の剥離ライナーを順に剥がし露出された第一面および第二面に、2つの粘着剤層(1)をそれぞれ貼り合わせた。粘着剤層(1)に設けられている剥離ライナーは、そのまま粘着剤層(1)上に残し、粘着剤層(1)の表面の保護に使用した。得られた構造体を室温にてラミネータ(0.3MPa、速度0.5m/分)に1回通過させた後、50℃のオーブン中で1日間エージングした。このようにして、表1に示すように、両面粘着テープ(1)(構成:粘着剤層(1)/粘着剤層(2)/粘着剤層(1))を得た。
評価結果を表2に示した。
【0153】
〔実施例2~3、比較例1~4〕
表1に示す構成に変更した以外は、実施例1と同様に行い、両面粘着テープ(2)~(3)、(C1)~(C4)を得た。
評価結果を表2に示した。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明の両面粘着テープは、モバイル機器内部などに好適に使用し得る。
【符号の説明】
【0157】
両面粘着テープ 100
粘着剤層 10a
粘着剤層 10b
粘着剤層 10c


図1