(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
G04R 20/02 20130101AFI20220105BHJP
G04C 9/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G04R20/02
G04C9/00 301A
G04C9/00 J
(21)【出願番号】P 2018053461
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-3304(JP,A)
【文献】特開2015-194458(JP,A)
【文献】特開2003-121571(JP,A)
【文献】特開2017-90362(JP,A)
【文献】特開2003-4873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0039232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/00 - 60/14
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信する情報が異なる第1受信動作及び第2受信動作のそれぞれを手動又は自動により実行する受信部と、
所定の
共通の印を指示可能な指針であって前記印を指示することにより前記第1受信動作又は前記第2受信動作を実行していることを表示可能な前記指針と、
前記第1受信動作が手動により行われる場合に前記指針に前記印を指示させる第1運針制御を行い、前記第2受信動作が手動により行われる場合に前記指針に前記印を指示させる第2運針制御であって前記第1運針制御とは前記指針の挙動が異なる前記第2運針制御を行い、前記第1受信動作が自動により行われる場合及び前記第2受信動作が自動により行われる場合に前記指針に前記印を指示させる第3運針制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記第3運針制御は、前記第1運針制御及び前記第2運針制御のうち消費電力が小さい運針制御であることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記第3運針制御は、前記第1運針制御及び前記第2運針制御のうち前記指針に前記印を指示させるまでの時間が短い運針制御であることを特徴とする請求項1に記載の電子時計。
【請求項4】
前記第3運針制御は、互いに前記指針の挙動が異なる複数の運針制御を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は、例外条件に該当するかを判定し、前記例外条件に該当しない場合は、前記第3運針制御を行い、前記例外条件に該当する場合は、前記指針に前記印を指示させる第4運針制御であって前記第3運針制御とは前記指針の挙動が異なる第4運針制御を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の電子時計。
【請求項6】
前記制御部は、前記例外条件に該当するかの判定として内部時刻が所定の時間帯であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
前記制御部は、前記例外条件に該当するかの判定として前記電子時計をユーザが装着しているか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の電子時計。
【請求項8】
前記第1受信動作は、現在時刻に関する時刻情報を受信する動作であり、
前記第2受信動作は、閏秒に関する閏秒情報を受信する動作であり、
前記第1受信動作によって受信された前記時刻情報と、前記第2受信動作によって受信された前記閏秒情報と、に基づく時刻を表示する表示部を備える、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の電子時計。
【請求項9】
前記第1受信動作及び前記第2受信動作の一方は、通信端末からのタイムゾーンに関する情報を他の受信する動作であり、
前記第1受信動作及び前記第2受信動作の他方は、衛星電波からのタイムゾーンに関する情報を受信する動作であり、
前記第1受信動作によって受信された前記情報、又は前記第2受信動作によって受信された前記情報に基づいてタイムゾーンの特定を行う判定部を備える、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、時刻情報を含んだ電波を受信して時刻の修正を行う電波時計が知られている。また、時刻情報から協定世界時に準拠した時刻を得るために、閏秒情報を受信して閏秒の補正を行う電波時計が知られている。また、衛星から時刻情報を含む信号を受信して時刻を修正する電波時計であって、閏秒情報の有効期限が切れているか否かを判定し、判定結果を表示する電波時計が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、複数の受信動作が可能な電子時計における視認性の向上及び消費電力の抑制を図ることが困難という問題がある。
【0005】
例えば、複数の受信動作が可能な電子時計において、実行する受信動作ごとに対応するマーク等を指針で指示することにより、いずれの受信動作を実行するかをユーザに通知する構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、受信動作ごとにマーク等が必要になるため、電子時計におけるマークの表記等が煩雑になり視認性が低下する。
【0006】
また、複数の受信動作が可能な電子時計において、いずれの受信動作を実行する場合にも共通のマーク等を指針で指示するとともに、実行する受信動作に応じて、指針が共通のマーク等を指示するまでの指針の挙動を異ならせる構成が考えられる。しかしながら、このような構成では、例えば常に消費電力が最小となる指針の挙動を用いる場合と比べて消費電力が大きくなる。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、視認性の向上及び消費電力の抑制を図ることができる電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電子時計は、受信する情報が異なる第1受信動作及び第2受信動作のそれぞれを手動又は自動により実行する受信部と、所定の共通の印を指示可能な指針であって前記印を指示することにより前記第1受信動作又は前記第2受信動作を実行していることを表示可能な前記指針と、前記第1受信動作が手動により行われる場合に前記指針に前記印を指示させる第1運針制御を行い、前記第2受信動作が手動により行われる場合に前記指針に前記印を指示させる第2運針制御であって前記第1運針制御とは前記指針の挙動が異なる前記第2運針制御を行い、前記第1受信動作が自動により行われる場合及び前記第2受信動作が自動により行われる場合に前記指針に前記印を指示させる第3運針制御を行う制御部と、を備える。
【0009】
これにより、複数の受信動作を共通のマークにより通知することで表示等が煩雑になることを抑制しつつ、ユーザの意図により実行される受信動作を他の受信動作と区別してユーザへ通知し、ユーザが意図しない受信動作を行う際の消費電力を抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明の一側面によれば、視認性の向上及び消費電力の抑制を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる電子時計の外観の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第1の例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかる電子時計のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかる電子時計による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第2の例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第3の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第4の例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第5の例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第6の例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第7の例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施の形態にかかる電子時計による処理の他の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第8の例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態にかかる電子時計による処理のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第9の例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態にかかる電子時計による受信結果の表示の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態にかかる電子時計による閏秒情報の取得状況の表示の一例を示す図(その1)である。
【
図17】
図17は、実施の形態にかかる電子時計による閏秒情報の取得状況の表示の一例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、この発明にかかる電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
(実施の形態にかかる電子時計の外観)
図1は、実施の形態にかかる電子時計の外観の一例を示す図である。
図1に示すように、実施の形態にかかる電子時計100は、外装ケース101である胴内に配置された、文字板110と、時刻を示す指針である時針121、分針122及び秒針123と、アンテナ150と、太陽電池160と、を備える腕時計である。電子時計100の外装はベゼルと胴の二体物から構成されてもよい。
【0014】
時針121、分針122及び秒針123は、文字板110に対する相対的な位置によって時刻を表示する指針である。また、例えば秒針123は、後述の測時・閏秒受信マーク141、測位受信マーク142、OKマーク143及びNOマーク144の指示など、時刻とは異なる情報の表示にも用いられる。なお、指示とは指針等により指し示すことである。
【0015】
また、電子時計100は、胴の側面に、電子時計100のユーザが種々の操作を行うための操作部130として、リューズ(竜頭)131、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133が配置されている。
図1に示す例では、リューズ131は3時側に配置され、第1プッシュボタン132は2時側に配置され、第2プッシュボタン133は4時側に配置されている。例えば、操作部130のうち第2プッシュボタン133には、後述の測時受信や閏秒受信の機能が割り当てられている。第1プッシュボタン132には、後述の測位受信機能が割り当てられている。
【0016】
電子時計100には、文字板110を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が胴に取り付けられている。また、電子時計100における風防の反対側には胴に裏蓋が取り付けられている。以降、電子時計100において風防が配置される方向(
図1における紙面手前方向)を表側、電子時計100において裏蓋が配置される方向(
図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。
【0017】
また、電子時計100は、太陽などの光エネルギーを動力源とする太陽電池時計である。
図1に示す例では、文字板110の裏側には太陽電池160が配置され、表側から入光した光により太陽電池160において発電がなされる。そのため、文字板110はある程度光線を透過する材質で形成される。
【0018】
また、電子時計100は、日付や時刻に関する時刻情報等を含む衛星電波を衛星から受信する。衛星は、一例としてはGPS衛星である。GPSはGlobal Positioning System(全地球測位システム)の略である。
図1に示す例では、電子時計100における太陽電池160と重畳しない領域には、衛星電波を受信するためのアンテナ150が配置される。
【0019】
アンテナ150は、表側の面が衛星からの電波を受信する受信面となっている。アンテナ150の受信面、太陽電池160の受光面及び文字板110は、互いに平行に設けられており、いずれも表側を向いている。例えば、アンテナ150は、GPS衛星から送信される衛星電波を受信するパッチアンテナである。ただし、アンテナ150は、パッチアンテナに限らず、例えばチップアンテナや逆Fアンテナなどであってもよい。
【0020】
電子時計100は、アンテナ150を用いて衛星電波を受信することにより、例えば測時受信、測位受信及び閏秒受信を行う。測時受信、測位受信及び閏秒受信は、それぞれ衛星電波に含まれる異なる情報を受信する受信動作である。
【0021】
測時受信は、電子時計100の内部に保持している時刻の情報である内部時刻を修正するために、衛星電波の時刻情報(TOW)を受信する受信動作である。時刻情報(TOW)は、衛星電波に6秒ごとに含まれる情報である。
【0022】
測位受信は、電子時計100の位置のタイムゾーン(都市情報)を特定するために、例えば4基のGPS衛星からの各衛星電波に含まれる30秒間のデータを受信する受信動作である。測位受信によって取得できる情報は時刻情報やエフェメリスデータであり、これらの情報に基づいて緯度、経度が算出される。タイムゾーンは、緯度、経度に対応するタイムゾーン情報(例えば地図データ)と算出した緯度、経度とを比較して決定される。また、測位受信は、上述の時刻情報(TOW)や週番号(WN)を受信する動作を含んでもよい。週番号(WN)は、衛星電波に30秒ごとに含まれる情報である。
【0023】
閏秒受信は、電子時計100の閏秒の補正を行うために、衛星電波の閏秒情報(18ページ目の第4サブフレーム)を受信する受信動作である。閏秒情報は、衛星電波に12.5分ごとに含まれる。また、閏秒受信は、上述の時刻情報(TOW)を受信する動作を含んでもよい。また、閏秒受信は上述の週番号(WN)を受信する動作を含んでもよい。
【0024】
また、測時受信及び閏秒受信のそれぞれは、手動又は自動で実行される。測時受信や閏秒受信などの受信動作を手動で行うとは、例えば、電子時計100に対するユーザからの特定の操作に応じてその受信動作を行うことである。特定の操作とは、例えばユーザがその受信動作を電子時計100に実行させることを意図した操作である。測時受信を電子時計100に実行させる操作は、一例としては第2プッシュボタン133の短押し(例えば2秒以上7秒未満の押下)である。閏秒受信を電子時計100に実行させる操作は、一例としては第2プッシュボタン133の長押し(例えば7秒以上の押下)である。
【0025】
測時受信や閏秒受信などの受信動作を自動で行うとは、例えば、電子時計100に対するユーザからの操作によらずに、電子時計100が判定可能な特定の条件を満たしたことに応じてその受信動作を行うことである。特定の条件とは、上述の特定の操作の受け付け以外の条件である。例えば、特定の条件は、前回のその受信動作(又はその受信動作の成功時)から所定時間以上が経過したことである。又は、特定の条件は、電子時計100の内部時刻が所定の時刻(例えば毎日の午前2時)や所定の時間帯になったことなどでもよい。
【0026】
又は、特定の条件は、電子時計100の周辺の照度が所定照度以上であることなどでもよい。電子時計100の周辺の照度は、例えば電子時計100に設けられる光センサによる光強度の検出結果や、太陽電池160による発電量の検出結果などに基づいて判定することができる。又は、特定の条件は、電子時計100の電池残量が所定量以上であることでもよい。
【0027】
又は、特定の条件は、電子時計100や電子時計100のユーザの姿勢が特定の姿勢になったことでもよい。これらの姿勢は、例えば電子時計100に設けられた加速度センサやジャイロセンサなどによって判定することができる。又は、特定の条件は、電子時計100の電源が投入されたこと、電子時計100がパワーセーブやパワーブレイクから復帰したこと、電子時計100の位置のタイムゾーンが切り替わったことなどでもよい。又は、特定の条件は、上述の各条件の任意の組み合わせでもよい。
【0028】
また、電子時計100は、測位受信についても測時受信及び閏秒受信と同様に手動又は自動で実行してもよい。
【0029】
また、文字板110には、「RX-TIME」の文字とともに表記された測時・閏秒受信マーク141と、「RX-GPS」の文字とともに表記された測位受信マーク142と、「OK」の文字とともに表記されたOKマーク143と、「NO」の文字とともに表記されたNOマーク144と、を有する。これらの各マークは、文字板110に印刷や刻印など各種の方法で表記された印(しるし)である。
【0030】
測時・閏秒受信マーク141は、電子時計100により上述の測時受信又は閏秒受信が行われる場合に、測時受信又は閏秒受信を行っていることを秒針123により表示するための、測時受信及び閏秒受信に共通の印である。測位受信マーク142は、電子時計100により上述の測位受信が行われる場合に、測位受信を行っていることを秒針123により表示するための印である。OKマーク143及びNOマーク144は、電子時計100による各受信動作の成否等を秒針123により表示するための印である。
【0031】
図1に示した電子時計100の外観は一例であり、電子時計100の外観はこれに限らない。例えば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、リューズ131等の操作部の有無、数、配置、種類も任意に変更することができる。また、曜日、サマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加してもよい。
【0032】
(実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御)
図2は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第1の例を示す図である。
図1に示した電子時計100は、測時受信又は閏秒受信を行う際に、
図2に示す運針制御211、運針制御212、運針制御221及び運針制御222のいずれかを行う。運針制御211、運針制御212、運針制御221及び運針制御222は、いずれも、電子時計100が測時受信又は閏秒受信を行うことを示す測時・閏秒受信マーク141を秒針123で指示する運針制御である。
【0033】
運針制御211は、手動で測時受信を行う際の秒針123の制御であり本発明の第1運針制御に相当する。運針制御212は、手動で閏秒受信を行う際の秒針123の制御であり本発明の第2運針制御に相当する。運針制御221は、自動で測時受信を行う際の秒針123の制御である。本実施形態では運針制御221は本発明の第3運針制御に相当し、第1運針制御と同等の動作である。運針制御222は、自動で閏秒受信を行う際の秒針123の制御であり本発明の第3運針制御に相当する。本実施形態では運針制御222の第3運針制御は第1運針制御と同じ動作である。つまり、運針制御211、運針制御221及び運針制御222は共通の第1運針制御であり、運針制御212は第1運針制御と異なる第2運針制御である。第2運針制御は、例えば第1運針制御より消費電力が大きい制御である。
【0034】
すなわち、電子時計100は、手動で測時受信又は閏秒受信を行う場合は、測時受信及び閏秒受信で異なる運針制御(第1運針制御又は第2運針制御)を行うことにより、測時受信及び閏秒受信のいずれを実行するのかをユーザに通知することができる。また、電子時計100は、自動で測時受信又は閏秒受信を行う場合は、測時受信及び閏秒受信で同じ運針制御(第1運針制御)を行うことにより、測時受信又は閏秒受信を実行することをユーザに通知しつつ、運針制御による消費電力を抑制することができる。
【0035】
図2に示す例における第1運針制御は最短運針である。最短運針とは、例えば、秒針123の直前の位置から測時・閏秒受信マーク141を指す位置まで、最短の移動距離(最少の回転量)で秒針123を移動(回転)させる運針である。
図2に示す例では、秒針123が直前におよそ1時方向を指しており、秒針123を正転方向(時計回り)に測時・閏秒受信マーク141の方向まで回転させるより、秒針123を逆転方向(反時計回り)に測時・閏秒受信マーク141の方向まで回転させる方が秒針123の移動距離が短い。したがって、この場合の第1運針制御(最短運針)は、秒針123を逆転方向に測時・閏秒受信マーク141の方向まで回転させる制御となる。
【0036】
図2に示す例における第2運針制御は、上述の最短運針の後に、その最短運針と同じ回転方向に秒針123を1周させる運針(最短運針+1周運針)である。ただし、最短運針の後に秒針123を1周させる方向は、最短運針と逆の方向でもよいし、最短運針の回転方向によらずに正転方向又は逆転方向でもよい。また、最短運針の後の秒針123の回転は1周に限らず2周以上であってもよい。
【0037】
また、最短運針及び1周運針のそれぞれにおいて、秒針123の回転速度、秒針123の移動方式などは任意に設定することができる。秒針123の移動方式には、例えば秒針123を滑らかに移動させるスイープ方式や秒針123を断続的に移動させるステップ方式がある。
【0038】
(実施の形態にかかる電子時計のハードウェア構成)
図3は、実施の形態にかかる電子時計のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、実施の形態にかかる電子時計100は、操作部130と、太陽電池160と、アンテナ150と、受信回路320と、制御回路330と、駆動機構340と、表示部341と、二次電池350と、スイッチ351と、により実現される。
【0039】
受信回路320は、アンテナ150によって受信された衛星電波を復号し、復号の結果得られる衛星電波の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。例えば、受信回路320は、高周波回路321(RF回路)及びデコード回路322を含む。高周波回路321は、高周波数で動作する集積回路である。例えば、高周波回路321は、アンテナ150が受信したアナログ信号に対して増幅及び検波を行うことにより、アンテナ150が受信したアナログ信号をベースバンド信号に変換する。
【0040】
デコード回路322は、ベースバンド処理を行う集積回路である。例えば、デコード回路322は、高周波回路321が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成する。そして、デコード回路322は、生成したビット列を制御回路330へ出力する。
【0041】
制御回路330は、演算部331と、ROM332と、RAM333と、RTC334と、モータ駆動回路335と、を含む。ROMはRead Only Memoryの略である。RAMはRandom Access Memory(ランダムアクセスメモリ)の略である。RTCはReal Time Clock(リアルタイムクロック)の略である。制御回路330は、例えばマイクロコンピュータ等の情報処理装置により実現することができる。
【0042】
演算部331は、ROM332に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。演算部331が実行する処理の詳細については後述する。RAM333は、演算部331のワークメモリとして用いられ、演算部331の処理対象となるデータが書き込まれる。例えば、受信回路320によって受信された衛星電波の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM333のバッファ領域に順次書き込まれる。RTC334は、電子時計100における計時に使用されるクロック信号を供給する。
【0043】
また、演算部331は、自動又は手動により、受信回路320を制御して、上述の測時受信、測位受信及び閏秒受信などの受信動作を行う。手動による受信動作は、例えば操作部130によって上述の特定の操作が受け付けられたことによって実行される受信動作である。自動による受信動作は、演算部331が上述の特定の条件を満たしたと判断することによって実行される受信動作である。
【0044】
例えば、演算部331は、上述の時刻情報(TOW)を含む衛星電波を受信するように受信回路320を制御することにより測時受信を行う。また、演算部331は、上述の4基のGPS衛星からの各衛星電波を受信するように受信回路320を制御することにより測位受信を行う。また、演算部331は、上述の閏秒情報を含む衛星電波を受信するように受信回路320を制御することにより閏秒受信を行う。
【0045】
また、演算部331は、測位受信によって受信した各衛星の時刻情報(TOW)に基づいて、電子時計100の現在位置を特定する。そして、演算部331は、判定した電子時計100の現在位置と、ROM332に記憶された地図データと、に基づいて、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンを判定する。
【0046】
また、演算部331は、閏秒受信によって受信した閏秒情報に基づいて、衛星電波に含まれる時刻情報を協定世界時に準拠した時刻に補正するための閏秒を補正する。また、演算部331は、RTC334から供給される信号によって計時される内部時刻を、測時受信によって受信した時刻情報と、上述の閏秒情報に基づく閏秒と、に基づいて補正する。
【0047】
また、演算部331は、電子時計100が時刻を表示する通常モードである場合に、補正した内部時刻及び判定したタイムゾーンに基づいて、表示部341に表示すべき時刻(表示時刻)を決定し、決定した時刻を表示部341が表示するようにモータ駆動回路335を制御する。また、演算部331は、手動又は自動により測時受信、測位受信又は閏秒受信を行う場合に、例えば表示部341に含まれる秒針123が上述の測時・閏秒受信マーク141や測位受信マーク142を指示するようにモータ駆動回路335を制御する。
【0048】
モータ駆動回路335は、演算部331からの制御に応じて、後述する駆動機構340に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。駆動機構340は、モータ駆動回路335から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、表示部341に含まれる時針121、分針122、秒針123などの指針を回転させる。
【0049】
表示部341は、例えば、
図1に示した時針121、分針122、秒針123などの指針及び文字板110を含む。例えば、時針121、分針122及び秒針123が文字板110上を回転することによって現在時刻が表示される。また、例えば秒針123は、
図1に示した測時・閏秒受信マーク141を指示することにより測時受信や閏秒受信を実行していることを表示したり、
図1に示した測位受信マーク142を指示することにより測位受信を実行していることを表示したりする。
【0050】
二次電池350は、太陽電池160によって発電された電力を蓄積する。そして、二次電池350は、蓄積した電力を、受信回路320や制御回路330に対して供給する。二次電池350は、例えばリチウムイオン電池等により実現することができる。
【0051】
二次電池350から受信回路320への電力供給路の途中にはスイッチ351が設けられており、このスイッチ351のオン/オフは制御回路330が出力する制御信号によって切り替えられる。例えば、制御回路330の演算部331がスイッチ351のオン/オフを切り替えることで、受信回路320の動作タイミングが制御される。この場合に、受信回路320は、スイッチ351を介して二次電池350から電力が供給されている間だけ動作し、その間にアンテナ150が受信した衛星電波の復号を行う。
【0052】
操作部130は、例えば、
図1に示したように、リューズ131、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133などを含む。制御回路330は、操作部130が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。例えば、制御回路330は、ユーザによる操作部130に対する操作入力に応じて、上述した測時受信、測位受信及び閏秒受信などを行う。
【0053】
ここで、電子時計100は、衛星電波以外の電波や外部装置との通信を行うことができるように通信インタフェース371を備えてもよい。通信インタフェース371は、制御回路330によって制御される。通信インタフェース371の一例としてはBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信の通信インタフェースとしてもよいし、USBケーブルなどの有線接続による通信の通信インタフェースとしてもよい。USBはUniversal Serial Busの略である。なお、通信インタフェース371による通信が無線通信である場合には、通信インタフェース371はアンテナ及び受信回路を含む構成となる。例えば、タイムゾーン情報については、上述したように衛星電波を用いた測位受信によって算出することが可能であるが、通信インタフェース371を利用して外部装置から直接情報を得てもよい。
【0054】
図3に示した電子時計100において、受信する情報が異なる複数の受信動作のそれぞれを手動又は自動により実行する受信部は、例えばアンテナ150、受信回路320及び制御回路330により実現することができる。また、所定の印を指示することにより受信部による受信動作を実行していることを表示可能な指針は、例えば駆動機構340に含まれる指針(例えば秒針123)により実現することができる。
【0055】
また、受信部により各受信動作が行われる場合に各運針制御を行う制御部は、例えば制御回路330及び駆動機構340により実現することができる。また、各受信動作によって受信された時刻情報及び閏秒情報に基づく時刻を表示する表示部は、例えば制御回路330、駆動機構340及び表示部341(例えば時針121、分針122及び秒針123)により実現することができる。また、タイムゾーンの特定を行う判定部は、例えば制御回路330により実現することができる。
【0056】
(実施の形態にかかる電子時計による処理)
図4は、実施の形態にかかる電子時計による処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態にかかる電子時計100は、測時受信、閏秒受信又は測位受信を実行する際(受信時)に、例えば
図4に示す各ステップを実行する。
図4に示す各ステップは、例えば
図3に示した制御回路330の演算部331の処理によって実行される。
【0057】
まず、電子時計100は、実行するのが測位受信か否かを判断する(ステップS401)。測位受信である場合(ステップS401:Yes)は、電子時計100は、秒針123で測位受信マーク142(RX-GPS)を指示する(ステップS402)。このときの秒針123の運針制御には任意の運針制御を用いることができる。
【0058】
つぎに、電子時計100は、上述の測位受信を行う(ステップS403)。つぎに、電子時計100は、ステップS403の測位受信において受信した衛星電波に対する受信処理を行い(ステップS404)、一連の処理を終了する。ステップS404の受信処理には、例えば、
図3に示した高周波回路321によるベースバンド信号への変換や、
図3に示したデコード回路322による復号や、復号により得られるデータに基づくタイムゾーンの特定などが含まれる。
【0059】
ステップS401において、測位受信でない場合(ステップS401:No)は、電子時計100は、実行するのが測時受信か否かを判断する(ステップS405)。測時受信である場合(ステップS405:Yes)は、電子時計100は、第1運針制御(例えば最短運針)により秒針123で測時・閏秒受信マーク141(「RX-TIME」)を指示する(ステップS406)。なお、
図2に示したように、電子時計100は、測時受信を手動で実行する場合は第1運針制御を行い、測時受信を自動で実行する場合は第3運針制御を実行するが、この例においては第3運針制御は第1運針制御と同じである。このため、
図4に示す処理においては、測時受信を実行する場合は手動か自動かの判断を行わずに第1運針制御を行うこととしている。
【0060】
すなわち、電子時計100は、測時受信を実行する際は、その測時受信が手動及び自動のいずれかによらずに第1運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141を指示する。つぎに、電子時計100は、上述の測時受信を行う(ステップS407)。つぎに、電子時計100は、ステップS407の測時受信において受信した衛星電波に対する受信処理を行い(ステップS408)、一連の処理を終了する。ステップS408の受信処理には、例えば、
図3に示した高周波回路321によるベースバンド信号への変換や、
図3に示したデコード回路322による復号や、復号により得られる時刻情報に基づく内部時刻の修正などが含まれる。
【0061】
ステップS405において、測時受信でない場合(ステップS405:No)、すなわち実行するのが閏秒受信である場合は、電子時計100は、その閏秒受信が手動で実行されるか否かを判断する(ステップS409)。手動で実行される場合(ステップS409:Yes)は、電子時計100は、第2運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141(「RX-TIME」)を指示し(ステップS410)、ステップS412へ移行する。手動で実行されない場合(ステップS409:No)、すなわちその閏秒受信が自動で実行される場合は、電子時計100は、第3運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141(「RX-TIME」)を指示する(ステップS411)。本実施形態においては、第3運針制御は第1運針制御と同一の制御動作とする。
【0062】
すなわち、電子時計100は、閏秒受信を実行する際は、その閏秒受信が手動である場合は第2運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141を指示することにより、測時受信と区別して閏秒受信の実行をユーザへ通知する。また、電子時計100は、その閏秒受信が自動である場合は測時受信と同じ第1運針制御をすることにより秒針123で測時・閏秒受信マーク141を指示することにより測時受信と区別せずにユーザへの通知を行う。
【0063】
つぎに、電子時計100は、上述の閏秒受信を行う(ステップS412)。つぎに、電子時計100は、ステップS412の閏秒受信において受信した衛星電波に対する受信処理を行い(ステップS413)、一連の処理を終了する。ステップS413の受信処理には、例えば、
図3に示した高周波回路321によるベースバンド信号への変換や、
図3に示したデコード回路322による復号や、復号により得られる閏秒情報に基づく閏秒の補正などが含まれる。
【0064】
(実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の他の例)
図5は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第2の例を示す図である。
図5において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図5においては、第1運針制御が上述の最短運針であり、第2運針制御が遠回り運針である場合について説明する。
【0065】
遠回り運針とは、例えば、秒針123の直前の位置から測時・閏秒受信マーク141を指す位置まで、上述の最短運針の場合と逆方向の回転(遠回りで)で秒針123を移動(回転)させる運針である。したがって、この例においても、第2運針制御(遠回り運針)は、最短運針より秒針123の移動距離が長いため、第1運針制御(最短運針)より消費電力が大きい制御である。遠回り運針において、秒針123の回転速度、秒針123の移動方式などは任意に設定することができる。
【0066】
図5に示す例では、秒針123が直前におよそ1時方向を指しており、秒針123を逆転方向(反時計回り)に測時・閏秒受信マーク141の方向まで回転させるより、秒針123を正転方向(時計回り)に測時・閏秒受信マーク141の方向まで回転させる方が秒針123の移動距離が長い。したがって、この場合は、第2運針制御(遠回り運針)は秒針123を正転方向に測時・閏秒受信マーク141の方向まで回転させる制御となる。
【0067】
図6は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第3の例を示す図である。
図6において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図6においては、第1運針制御が上述の最短運針であり、第2運針制御が上述の最短運針の後に微振動運針を行う運針(最短運針+微振動運針)である場合について説明する。
【0068】
微振動運針とは、例えば、秒針123を微振動させる運針である。具体的には、微振動運針は、秒針123の正転方向の微小な回転と、秒針123の逆転方向の微小な回転と、を交互に繰り返す運針である。この例においても、第2運針制御(最短運針+微振動運針)は、最短運針に加えて微振動運針を含むため、第1運針制御(最短運針)より消費電力が大きい制御である。
【0069】
微振動運針において、秒針123を最初にいずれの方向に回転させるか、秒針123を最後にいずれの方向に回転させるか、秒針123の回転方向が変わるごとに秒針123を停止させるか否か、秒針123の回転速度、秒針123の回転量、秒針123の振動回数、秒針123の振動周期などは任意に設定することができる。
【0070】
図7は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第4の例を示す図である。
図7において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図7では、第1運針制御が正転運針であり、第2運針制御が正転運針の後に上述の1周運針を行う運針(正転運針+1周運針)である場合について説明する。
【0071】
正転運針とは、例えば、秒針123の直前の位置から測時・閏秒受信マーク141を指す位置まで、正転方向(時計回り)で秒針123を移動(回転)させる運針である。この例においても、第2運針制御(正転運針+1周運針)は、正転運針に加えて1周運針を含むため、第1運針制御(正転運針)より消費電力が大きい制御である。正転運針において、秒針123の回転速度、秒針123の移動方式などは任意に設定することができる。
【0072】
図8は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第5の例を示す図である。
図8において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図8においては、第1運針制御が上述の正転運針であり、第2運針制御が逆転運針である場合について説明する。
【0073】
逆転運針とは、例えば、秒針123の直前の位置から測時・閏秒受信マーク141を指す位置まで、逆転方向(反時計回り)で秒針123を移動(回転)させる運針である。また、逆転運針は、例えばステッピングモータのロータを予め正転方向に振ってから逆転方向に回転させることにより実現されるため、正転運針よりも移動量あたりの消費電力が大きい。したがって、この例においても、第2運針制御(逆転運針)は、第1運針制御(正転運針)より消費電力が大きい制御である。逆転運針において、秒針123の回転速度、秒針123の移動方式などは任意に設定することができる。
【0074】
図9は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第6の例を示す図である。
図9において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図9においては、第1運針制御が上述の正転運針であり、第2運針制御が上述の正転運針の後に上述の微振動運針を行う運針(正転運針+微振動運針)である場合について説明する。この例においても、第2運針制御(正転運針+微振動運針)は、正転運針に加えて微振動運針を含むため、第1運針制御(正転運針)より消費電力が大きい制御である。
【0075】
また、第1運針制御及び第2運針制御の組み合わせは、
図2及び
図5~
図9に示した各組み合わせに限らず、種々の変更が可能である。例えば、上述の1周運針を第1運針制御とし、2周以上の運針を第2運針制御としてもよい。また、上述の遠回り運針を第1運針制御とし、遠回り運針の後に上述の1周運針や微振動運針を行う運針を第2運針制御としてもよい。
【0076】
また、上述の最短運針、遠回り運針、正転運針又は逆転運針の後に上述の微振動運針を行う運針を第1運針制御とし、上述の最短運針、遠回り運針、正転運針又は逆転運針の後に上述の微振動運針を第1運針制御より長く行う運針を第2運針制御としてもよい。その他、第1運針制御及び第2運針制御の組み合わせは、例えば第2運針制御の消費電力が第1運針制御の消費電力より大きくなる各組み合わせとすることができる。
【0077】
図10は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第7の例を示す図である。
図10において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。上記実施の形態においては、第3運針制御は第1運針制御と同一の制御動作として説明を行ったが、これに限定されず、第3運針制御は、第1運針制御及び第2運針制御とは異なる運針制御を行ってもよい。このとき、第3運針制御は、手動のときよりは消費電力が小さい方が好ましく、例えば、第1運針制御よりも消費電力が大きく、第2運針制御よりは消費電力が小さい運針制御とすることができる。
【0078】
例えば、
図10に示すように、第1運針制御を最短運針、第2運針制御を最短運針+1周運針、第3運針制御を最短運針+微振動運針としてもよい。ここで、微振動運針にかかる消費電力は、1周運針にかかる消費電力よりも小さいこととする。第1運針制御及び第2運針制御は、ユーザの手動操作によって意識的に行われるため、はっきりと違いがわかるような動作をすることが好ましい。自動の受信動作のときは、ユーザに気づかれるかどうかは判断できないため、消費電力を抑えつつもユーザが見ていたときには違いに気づけるように異なる動作をしていくことが好ましい。つまり、消費電力は、第1運針制御、第3運針制御、第2運針制御の順に大きい(第2運針制御の消費電力が最も大きい)ことが好ましい。
【0079】
(実施の形態にかかる電子時計による処理)
図11は、実施の形態にかかる電子時計による処理の他の一例を示すフローチャートである。上記実施の形態においては、自動の測時受信及び自動の閏秒受信において同じ第3運針制御を行う構成について説明したが、これに限定されず、自動の測時受信及び自動の閏秒受信において、互いに秒針123の挙動が異なる運針制御を行う構成としてもよい。すなわち、第3運針制御は、互いに指針の挙動が異なる複数の運針制御を含んでもよい。
【0080】
例えば、実施の形態にかかる電子時計100は、測時受信、閏秒受信又は測位受信を実行する際(受信時)に、例えば
図11に示す各ステップを実行してもよい。
図11に示す各ステップは、例えば
図3に示した制御回路330の演算部331の処理によって実行される。
図11に示すステップS1101~S1105は、
図4に示したステップS401~S405と同様である。
【0081】
ステップS1105において、測時受信である場合(ステップS1105:Yes)は、電子時計100は、その測時受信が手動で実行されるか否かを判断する(ステップS1106)。その測時受信が手動で実行される場合(ステップS1106:Yes)は、電子時計100は、ステップS1107へ移行する。ステップS1107~S1109は、
図4に示したステップS406~S408と同様である。
【0082】
ステップS1106において、その測時受信が手動で実行されない場合(ステップS1106:No)は、電子時計100は、第3運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141(「RX-TIME」)を指示し(ステップS1110)、ステップS1108へ移行する。
【0083】
ステップS1105において、測時受信でない場合(ステップS1105:No)、すなわち実行するのが閏秒受信である場合は、電子時計100は、ステップS1111へ移行する。ステップS1111~S1115は、
図4に示したステップS409~S413と同様である。ただし、ステップS1115において、電子時計100は、第3’運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141(「RX-TIME」)を指示する(ステップS1115)。ステップS1115において実行される第3’運針制御は、ステップS1110において実行される第3運針制御とは秒針123の挙動が異なる制御である(例えば
図12参照)。
【0084】
なお、
図11に示した処理において、第3運針制御及び第3’運針制御を第1運針制御(第3運針制御=第3’運針制御=第1運針制御)とすると、
図4に示した処理と同等の処理となる。
【0085】
(実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御)
図12は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第8の例を示す図である。
図12において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示した例のように、電子時計100は、自動の測時受信において第3運針制御を実行し、自動の閏秒受信において第3’運針制御を実行してもよい。
【0086】
例えば、
図12に示すように、第3運針制御を第1運針制御と同じ最短運針とし、第3’運針制御を最短運針+微振動運針とすることができる。この場合に、電子時計100は、
図11に示したステップS1110においては第3運針制御として最短運針を実行し、
図11に示したステップS1115においては第3’運針制御として最短運針+微振動運針を実行する。ただし、第3運針制御及び第3’運針制御の組み合わせは、これに限らず各種の運針制御の組み合わせとすることができる。ただし、測時受信は閏秒受信より実行頻度が高いため、第3運針制御は、第3’運針制御より消費電力が小さい運針制御とすることが好ましい。
【0087】
(実施の形態にかかる電子時計による処理)
図13は、実施の形態にかかる電子時計による処理のさらに他の一例を示すフローチャートである。上記実施の形態においては、閏秒受信が自動の受信動作の場合は第3運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141を指示する処理について説明したが、例外条件を設け、例外条件に当てはまる場合には、第3運針制御とは異なる第4運針制御を行うように構成してもよい。
【0088】
例えば、自動の受信動作であっても、日中はユーザが電子時計100を目にする可能性がある。このため、ユーザが電子時計100を目にする可能性が高い所定の時間帯(一例としては8時~21時)を例外条件とした場合においては、自動の受信動作であっても、第4運針制御を手動の受信動作と同じ第2運針制御として行い秒針123を運針制御してもよいし、第4運針制御が第1運針制御及び第2運針制御とは異なる指針の挙動を行うように構成してもよい。このとき、第4運針制御は第3運針制御よりも消費電力が大きく、第2運針制御よりは消費電力が小さい運針制御としてもよい。
【0089】
例えば、実施の形態にかかる電子時計100は、測時受信、閏秒受信又は測位受信を実行する際(受信時)に、例えば
図13に示す各ステップを実行してもよい。
図13に示す各ステップは、例えば
図3に示した制御回路330の演算部331の処理によって実行される。
図13に示すステップS1301~S1309は、
図4に示したステップS401~S409と同様である。
【0090】
ステップS1309において、手動で実行される場合(ステップS1309:Yes)は、電子時計100は、ステップS1314へ移行する。ステップS1314~S1316は、
図4に示したステップS410、ステップS412及びステップS413と同様である。手動で実行されない場合(ステップS1309:No)、電子時計100は、所定の例外条件に該当するか(例外条件が満たされているか)否かを判断する(ステップS1311)。例外条件は、例えば、内部時刻(現在時刻)が上述の所定の時間帯であることである。
【0091】
ステップS1311において、例外条件に該当しない場合(ステップS1311:No)は、電子時計100は、ステップS1312へ移行する。ステップS1312は、
図4に示したステップS411と同様である。例外条件に該当する場合(ステップS1311:Yes)は、電子時計100は、第4運針制御により秒針123で測時・閏秒受信マーク141(「RX-TIME」)を指示し(ステップS1313)、ステップS1315へ移行する。第4運針制御は、例えば、第1運針制御及び第2運針制御とは異なる運針制御であって、第3運針制御よりも消費電力が大きく、第2運針制御よりは消費電力が小さい運針制御である。
【0092】
(実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御)
図14は、実施の形態にかかる電子時計による受信動作時の運針制御の第9の例を示す図である。
図14において、
図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図14に示す運針制御1401は、自動で閏秒受信を行い、かつ上述の例外条件に該当する際の秒針123の制御であり本発明の第4運針制御に相当する。
図14に示すように、この場合の第4運針制御は、一例としては最短運針の後に微振動運針を行う運針(最短運針+微振動運針)とすることができる。ただし、第4運針制御はこれに限らず、例えば第1運針制御及び第2運針制御とは異なる運針制御であって、第3運針制御よりも消費電力が大きく、第2運針制御よりは消費電力が小さい各種の運針制御とすることができる。
【0093】
例外条件については、所定の時間帯を例として説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザの電子時計100の装着状態に応じて、異なる運針制御を行ってもよい、ユーザが電子時計100を装着していればユーザが電子時計100を目にする可能性がある。このため、ユーザによる電子時計100の装着状態を判定して、ユーザが電子時計100を装着している場合は、自動の受信動作であっても、いずれの受信動作であるかによって秒針123の運針制御を異ならせてもよい。ユーザによる電子時計100の装着状態は、例えば、加速度センサや、光センサなどを利用した脈拍センサなどによって判定することができる。
【0094】
(実施の形態にかかる電子時計による受信結果の表示)
図15は、実施の形態にかかる電子時計による受信結果の表示の一例を示す図である。例えば、
図15の状態1501に示すように、リューズ131が引き出されていない状態(0段)で第2プッシュボタン133が1回(例えば2秒未満)押下されると、電子時計100は、測時受信、測位受信及び閏秒受信のうち前回行った受信動作の受信結果を秒針123により表示する。
【0095】
例えば、電子時計100は、前回行った受信が成功している場合は、状態1502に示すように、秒針123でOKマーク143を指示することによりその旨をユーザへ通知する。また、電子時計100は、前回行った受信が失敗している場合は、状態1503に示すように、秒針123でNOマーク144を指示することによりその旨をユーザへ通知する。これらの秒針123の運針は、例えば上述の最短運針により行われる。ただし、これらの秒針123の運針は、最短運針に限らず、正転運針など他の運針でもよい。また、測時受信及び測位受信のみに成功している場合は第1運針制御を用いて表示を行い、閏秒受信に成功している場合は第2運針制御を用いて表示を行うこととしてもよい。
【0096】
(実施の形態にかかる電子時計による閏秒情報の取得状況の表示)
図16及び
図17は、実施の形態にかかる電子時計による閏秒情報の取得状況の表示の一例を示す図である。例えば、
図16の状態1601に示すように、リューズ131が2段引き出されると、電子時計100は、時刻修正モードや閏秒修正モードへ移行し、その際に、閏秒受信による閏秒情報の取得状況を秒針123により表示してもよい。
【0097】
例えば、電子時計100は、閏秒受信によって正確な閏秒情報の取得に成功している場合は、
図16の状態1602に示すように、秒針123を正転方向に回転させて秒針123で原点位置(0秒の方向)を指示することによりその旨をユーザへ通知する。また、電子時計100は、閏秒受信によって正確な閏秒情報の取得に成功していない場合は、
図16の状態1603に示すように、秒針123を逆転方向に回転させて秒針123で原点位置を指示することによりその旨をユーザへ通知する。また、これにより次回の自動受信では第3運針制御を行い、指針の挙動が第1運針制御と同じであっても閏秒受信を実施する可能性があることについて、ユーザへ通知することができる。
【0098】
また、
図16の状態1602又は状態1603において、例えば第2プッシュボタン133が1回(例えば2秒未満)押下されると、電子時計100は手動で内部時刻を修正可能な時刻修正モードへ移行する。また、
図16の状態1602又は状態1603において、例えば第1プッシュボタン132が1回(例えば2秒未満)押下されると、電子時計100は手動で閏秒を修正可能な閏秒修正モードへ移行する。ただし、時刻修正モードや閏秒修正モードへの移行方法はこれらに限らず各種の移行方法とすることができる。
【0099】
また、閏秒情報の取得状況の表示のタイミングは、時刻修正モードや閏秒修正モードへ移行する際に限らず、例えば他のモードへ移行する際でもよい。また、閏秒情報の取得状況を表示用のモードを設け、電子時計100は、その表示用のモードへ移行した際に閏秒情報の取得状況を表示してもよい。また、閏秒情報の取得状況の表示方法も
図16に示した表示方法に限らず各種の表示方法としてもよい。また、閏秒情報の取得状況を音声や振動などによってユーザへ通知してもよい。
【0100】
また、電子時計100は、例えば、閏秒の更新を特定の日にのみ行う。一例としては、電子時計100は、閏秒の更新を1月1日及び7月1日にのみ行う。この場合に、最新の閏秒情報は閏秒の更新の約1か月前(例えば12月及び6月)に取得できていればよいため、
図16に示した閏秒情報の取得状況の表示方法は6月中及び12月中に限定してもよい。
【0101】
例えば、電子時計100は、6月中及び12月中以外においては、
図17の状態1701に示すようにリューズ131が2段引き出されると、閏秒情報の取得状況に関わらず、
図17の状態1702に示すように、秒針123を正転方向に回転させて秒針123で原点位置(0秒の方向)を指示する。
【0102】
また、電子時計100は、
図17の状態1702において第1プッシュボタン132が1回(例えば2秒未満)押下されると時刻修正モードへ移行する。また、電子時計100は、
図17の状態1702において第2プッシュボタン133が1回(例えば2秒未満)押下されると閏秒修正モードへ移行する。
【0103】
一方、電子時計100は、6月中及び12月中においては、リューズ131が2段引き出されると、
図16に示したように、閏秒情報の取得状況に応じて秒針123で原点位置を指示するまでの秒針123の挙動(回転方向)を異ならせる。
【0104】
このように、実施の形態にかかる電子時計100は、受信部(例えばアンテナ150、受信回路320及び制御回路330)により第1受信動作(例えば測時受信)が手動により行われる場合に指針(例えば秒針123)に印(例えば測時・閏秒受信マーク141)を指示させる第1運針制御を行う。また、電子時計100は、第2受信動作(例えば閏秒受信)が手動により行われる場合に指針に上述の印を指示させる第2運針制御であって第1運針制御とは指針の挙動が異なる第2運針制御を行う。また、電子時計100は、第1受信動作が自動により行われる場合及び第2受信動作が自動により行われる場合に指針に上述の印を指示させる第3運針制御(例えば第1運針制御)を行う。
【0105】
これにより、第1受信動作及び第2受信動作の各実行を共通の印の指示によりユーザに通知するとともに、手動で受信動作を実行する場合は実行する受信動作に応じて指針の挙動が異なる運針制御で共通の印を指示し、自動で受信動作を実行する場合は実行する受信動作に関わらず同じ運針制御で共通の印を指示することができる。
【0106】
したがって、複数の受信動作を共通のマークにより通知することで表示等が煩雑になることを抑制しつつ、ユーザの意図により実行される受信動作を他の受信動作と区別してユーザへ通知し、ユーザが意図しない受信動作を行う際の消費電力を抑制することができる。このため、視認性の向上及び消費電力の抑制を図ることができる。
【0107】
また、第3運針制御は、第1運針制御及び第2運針制御のうち消費電力が小さい運針制御としてもよい。これにより、自動で受信動作を実行する場合は実行する受信動作に関わらず消費電力が小さい運針制御で共通の印を指示することができる。このため、消費電力の抑制を図ることができる。
【0108】
また、第3運針制御は、第1運針制御及び第2運針制御のうち指針に印を指示させるまでの時間が短い運針制御としてもよい。これにより、ユーザの意図により実行される受信動作を他の受信動作と区別してユーザへ迅速に通知することができる。
【0109】
例えば、秒針123の回転は逆転方向より正転方向の方が速いため、
図5等に示した例において、直前の秒針123の位置によっては第1運針制御よりも第2運針制御の方が測時・閏秒受信マーク141を指示するまでの時間が短くなる場合がある。この場合は、電子時計100は、自動で測時受信又は閏秒受信を行う際に第2運針制御を行ってもよい。ただし、一般的には消費電力が小さい運針制御は指針の移動距離が短いため、印を指示するまでの時間が短い運針制御は消費電力が小さい運針制御と一致する。
【0110】
また、例えば
図4において説明したように、電子時計100は、所定の時間帯においては、第1受信動作が自動により行われる場合に第3運針制御を行い、第2受信動作が自動により行われる場合に指針に上記の印を指示させる第4運針制御であって第3運針制御とは指針の挙動が異なる第4運針制御を行ってもよい。これにより、例えばユーザが電子時計100を目にする可能性が高い所定の時間帯において、実行される受信動作を他の受信動作と区別してユーザへ通知することができる。
【0111】
また、例えば
図4において説明したように、電子時計100は、自時計(電子時計100)をユーザが装着していると判定すると、第1受信動作が自動により行われる場合に第3運針制御を行い、第2受信動作が自動により行われる場合に指針に上記の印を指示させる第4運針制御であって第3運針制御とは指針の挙動が異なる第4運針制御を行ってもよい。これにより、例えばユーザが電子時計100を目にする可能性が高い状況において、実行される受信動作を他の受信動作と区別してユーザへ通知することができる。
【0112】
また、上述した実施の形態において、秒針123によって、受信動作の実行の表示を含む各情報の表示を行う構成について説明したが、このような構成に限らず、時針121、分針122又はその他の指針によって各情報の表示を行う構成としてもよい。
【0113】
また、第2プッシュボタン133の短押しで第1受信動作(例えば測時受信)を実行し、第2プッシュボタン133の長押しで第2受信動作(例えば閏秒受信)を実行する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、第2プッシュボタン133を一回押下(シングルクリック)すると第1受信動作を実行し、第2プッシュボタン133を2回押下(ダブルクリック)すると第2受信動作を実行する構成としてもよい。
【0114】
また、第2プッシュボタン133に第1受信動作及び第2受信動作の機能が割り当てた構成について説明したが、このような構成に限らず、リューズ131、第2プッシュボタン133又はその他の操作部に第1受信動作及び第2受信動作の機能が割り当てた構成としてもよい。
【0115】
また、衛星電波に基づいて現在時刻(標準時)を特定する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、地上の送信局から送信される標準電波に基づいて現在時刻(標準時)を特定してもよい。又は、電子時計100は、外部装置との通信が可能な通信インタフェース371を設けて他の通信装置(各種基地局や無線端末)から受信した時刻情報に基づいて現在時刻(標準時)を特定してもよい。また、電子時計100は、タイムゾーン情報についても、通信インタフェース371から情報を得てもよい。
【0116】
また、第1受信動作を測時受信、第2受信動作を閏秒受信とする例について説明したが、第1受信動作及び第2受信動作の組み合わせは、これに限らず、受信する情報が異なる各種の受信動作の組み合わせとすることができる。例えば、第1受信動作及び第2受信動作の組み合わせは、上述の測時受信、上述の閏秒受信、上述の測位受信、上述の標準電波を受信する受信動作、他の通信端末(例えばスマートフォンなどの情報端末や他の電子時計)からの信号を受信する受信動作などの各種の受信動作のうち、任意の受信動作の組み合わせとすることができる。
【0117】
また、測位受信において、タイムゾーンに関する情報を通信インタフェース371経由でも取得できるように構成した場合は、いずれも受信中は同じ測位受信マーク142を指示するようにし、通信インタフェース371経由で取得する場合に第1運針制御を行い、衛星電波経由で取得する場合に第2運針制御を行うように構成してもよい。この場合は、第1受信動作が他の通信端末からのタイムゾーンに関する情報を受信する動作であり、第2受信動作が衛星電波からのタイムゾーンに関する情報を受信する動作である。これにより、指針位置が同じであっても異なる受信モードである旨を使用者に表示することができる。また、少なくとも一方の受信モードが自動受信の動作が可能である場合は、自動の測位受信をするときは第3運針制御を行うように構成することができる。
【0118】
なお、通信インタフェース371経由で取得する場合に第2運針制御を行い、衛星電波経由で取得する場合に第1運針制御を行うようにしてもよい。この場合は、第1受信動作が衛星電波からのタイムゾーンに関する情報を受信する動作であり、第2受信動作が他の通信端末からのタイムゾーンに関する情報を受信する動作である。
【0119】
このように、測位受信において、タイムゾーンに関する情報を通信インタフェース371経由でも取得できるように構成した場合は、電子時計100は、第1受信動作によって受信されたタイムゾーンに関する情報、又は第2受信動作によって受信されたタイムゾーンに関する情報に基づいて、電子時計100の位置のタイムゾーンの特定を行う。
【0120】
ここで、通信インタフェース371経由及び衛星電波経由のいずれの受信モードにおいても自動受信の動作が可能である場合は、どちらの受信モードで自動受信動作を行うかについて、通信インタフェース371と接続される外部装置(例えばスマートフォン)との接続がされているか否かを検出して判定することができる。一例として、自動受信タイミングにおいて、スマートフォンとの接続が確立されていない状況が所定時間もしくは所定間隔継続している場合、衛星電波経由で測位受信を行うように構成することができる。
【0121】
また、第1受信動作は第2受信動作よりも実行される頻度が高い受信動作とし、第1運針制御は第2運針制御よりも消費電力が小さい運針制御としてもよい。これにより、実行される頻度が比較的高い第1受信動作の際の運針制御を、消費電力が比較的小さい第1運針制御とすることで、消費電力を抑制することができる。一例としては、上述の測時受信(例えば数日ごとに1回)は、上述の閏秒受信(例えば年ごとに2回)と比べて実行される頻度が高い。このため、上述のように第1受信動作を測時受信とし第2受信動作を閏秒受信とすることで、例えば第1受信動作を閏秒受信とし第2受信動作を測時受信とする場合と比べて消費電力を抑制することができる。
【0122】
また、電子時計100が腕時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、懐中時計、置き時計、掛け時計などの時計であってもよい。また、電子時計100が指針により時刻を表示するアナログ時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、ディスプレイにより時間を表示するデジタル時計などであってもよい。この場合に、例えば、上述した秒針123や測時・閏秒受信マーク141などは、ディスプレイに表示される画像によって実現されてもよい。
【0123】
以上説明したように、電子時計によれば、視認性の向上及び消費電力の抑制を図ることができる。
【0124】
例えば、近年、電子時計は多機能化され、複数の機能に関する各表示について指針を用いて表示を行う電子時計が知られている。例えば、衛星電波時計において、複数の受信動作があり、各受信動作における受信結果をそれぞれ、決められた位置を指針で示すことによってユーザへ通知する構成が考えられる。
【0125】
しかしながら、腕時計の文字板のように表示領域が限られている電子時計においては、複数の(特に頻度の少ない)情報を個別に表記する方法では、文字が小さくなったり、表記が煩雑になったりして使用しづらくなるおそれがある。これに対して、複数の受信動作のいずれの実行時にも共通のマークを指針で指示しつつ、実行する受信動作に応じて、指針がそのマークを指示するまでの指針の挙動を異ならせることにより、いずれの受信動作を実行するかをユーザへ通知することが考えられる。
【0126】
しかしながら、実行する受信動作に応じて指針の挙動を異ならせる場合は、例えば常に消費電力が最小となる指針の挙動を用いる場合と比べて消費電力が大きくなる。ところで、手動の受信動作では、例えばユーザが時計を見て操作を行うため、いずれの受信動作を実行するように操作できたかユーザへ通知することを要するが、自動の受信動作では、受信動作の開始タイミングがユーザの目に触れないため、いずれの受信動作を実行するのかをユーザへ通知する必要性は低い。
【0127】
この点に着目し、上述した実施の形態によれば、手動の受信動作においては実行する受信動作に応じて指針の挙動を異ならせることにより実行する受信動作をユーザへ通知し、自動の受信動作においては受信動作によらずに指針の挙動を同じにすることで消費電力を抑制することができる。
【0128】
したがって、複数の受信動作を共通のマークにより通知することで表示が煩雑になることを抑制しつつ、ユーザの意図により実行される受信動作をユーザへ通知し、ユーザが意図しない受信動作の消費電力を抑制することができる。このため、視認性の向上及び消費電力の抑制を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
以上のように、この発明にかかる電子時計は、受信する情報が異なる複数の受信動作が可能な電子時計に有用であり、特に、表示領域が限られた腕時計等の小型の電子時計に適している。
【符号の説明】
【0130】
100 電子時計
101 外装ケース
110 文字板
121 時針
122 分針
123 秒針
130 操作部
131 リューズ
132 第1プッシュボタン
133 第2プッシュボタン
141 測時・閏秒受信マーク
142 測位受信マーク
143 OKマーク
144 NOマーク
150 アンテナ
160 太陽電池
211、212、221、222、1401 運針制御
320 受信回路
321 高周波回路
322 デコード回路
330 制御回路
331 演算部
332 ROM
333 RAM
334 RTC
335 モータ駆動回路
340 駆動機構
341 表示部
350 二次電池
351 スイッチ
371 通信インタフェース
1501~1503、1601~1603、1701、1702 状態